JP5142054B2 - コンクリート充填状況検査方法 - Google Patents
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Description
図10は、フレッシュコンクリートの水分を検出する従来装置を示す。検査装置2は、コンクリートの打設空間に所定の間隔をおいて配置した複数の電気抵抗センサー1と、乾電池8と、検出装置16と、から成る。ここで電気抵抗センサー1は、間隔をおいて設けられた一対のゲージ端子1a、1bと、ゲージ端子1a、1b間に接続された抵抗器7と、からなる。乾電池8は各電気抵抗センサー1のゲージ端子1a、1b間に一定の電圧を印加する。検出装置16は多点切替スイッチ9と、検出器10と、パソコン11と、を有している。
フレッシュコンクリートが正しく充填されているかどうかを作業中もしくは作業終了直後に検査し、空隙を検出した場合にはフレッシュコンクリートが固化し始める前に、再充填やエア抜きなどの作業が行えるような、簡便で信頼性のあるコンクリート充填状況検査方法及の開発が望まれている。
本発明は、コンクリート建造物の建設作業において、簡便で、正確で、信頼性が高く、且つ安価で経済性が高いコンクリート充填状況検査方法を提供することを目的とする。
金属鉄と自然電位が異なった導電部材からなる電極板の複数を前記コンクリート充填空間内に間隔を有して配置する工程、あるいは、
金属鉄と自然電位が異なった導電部材からなる電極板及び圧力変化を電位差によって検出する圧力センサーを併設した状態とし、その複数を前記コンクリート充填空間内に間隔を有して配置する工程と、
前記コンクリート充填空間内にフレッシュコンクリートを充填した状態で、前記鉄製資材と前記電極板との間に発生する電位差を測定するか、あるいは、
前記コンクリート充填空間内にフレッシュコンクリートを充填した状態で、前記鉄製資材と前記電極板との間に発生する電位差及びコンクリート充填空間内の圧力変化に基づく電位差を測定することによりフレッシュコンクリートの充填状況を検査する工程と、を備えていることを特徴とする。
また、電位差の時間的な変化パターンを測定することにより、電極板周囲のフレッシュコンクリートがブリーディング状態であるか否かを判別することができる。
更に、電位差の経時的な変化と、充填されたフレッシュコンクリートの強度の経時的な変化の相関係数を算出し、電位差からコンクリートの強度を算定することができる。
圧力センサー161を金属充填センサー160と同一面に設置することで、コンクリート圧力管理が要求される場合、当該部分の充填性が二重に確認できる。
また、圧力センサー161は、一般の土圧計と比べサイズが極めて小さく安価であるほか、金属充填センサー160と同じ計測器で同時に監視することができる効果を有する。
まず、鉄製資材と電極板との間に発生する電位差を測定することによりフレッシュコンクリートの充填状況を検査する方法について説明する。
本発明のコンクリート充填状況検査方法は、金属鉄の表面を有する資材を用いたコンクリート充填空間を形成する工程を有する。鉄製資材は、少なくとも表面の一部にリード線を連結可能な金属鉄が露出している資材であって、鉄筋、鉄骨、埋め込みボルト又は鉄製コンクリート型枠を例示することができる。本発明では1種以上の鉄製資材を用いることができる。
鉄製資材102と電極板114の間に岩盤から漏れた水が存在する場合の電位差は、フレッシュコンクリートが存在する場合と大きく異なり、容易に判別することができる。
山岳トンネルの防水シート面には、通常「たるみ」が生ずる。
図13は、本発明の同一基板に設置した圧力センサー161と金属充填センサー160からなる圧力・金属充填センサー170を山岳トンネルの防水シートに貼り付けた状況を示す図であり、防水シートが垂れている状況が分かる。
防水シートが垂れている状態で金属充填センサー160がコンクリートと接触(充填感知)すると、金属充填センサー160は充填完了の信号を出して充填を感知することになるが、トンネル地山までフレッシュコンクリートが押しつけられない段階では充填が完了したことにはならない。
このように、山岳トンネルの二次覆工の防水シート面が重力により湾曲(垂れ下がって)している場合のコンクリート充填確認を行うために、金属充填センサー160を用いたコンクリート充填状況検査方法に加え、圧力センサー161を設置することでコンクリート充填状況確認の信頼性が大幅に向上する。
金属充填センサー160部に土圧計を設置すればコンクリート充填圧力の計測は理論的には可能であるが、サイズが非常に大きく同一面での計測は不可能であった。更に土圧計は高価で使い捨てとなり、土圧計を繰返作業の多い施工現場で採用することはできなかった。
また、小型の歪ゲージ等を使い圧力を測定する場合、アンプ等が必要となりゲージ費用の他に計測器も高価となる欠点があった。
金属充填センサー160によりコンクリートがシート面まで充填されたことを感知するのに加え、圧力センサー161を金属充填センサー160と同一面である共通基盤162に設置することで、コンクリートが地山まで確実に充填されたことが確認できる。
図11は、金属充填センサー160と圧力センサー161を共通基盤162上に設置した状況を示す図である。図11に示す通り、共通基盤162の上に圧力センサー161と金属充填センサー160を並べ、これをリード線163で共有監視装置に連結する。
本発明の実施例で使用した圧力センサー161は、圧力の増加に伴って、電気的抵抗値が減少する特性を利用するもので、高分子厚膜フィルムからなっている。超小型、安価であるため使い捨てセンサーとして活用が可能である。
当該圧力センサー161は圧力素子としての挙動を示すが、歪ゲージのような回路・アンプを必要とせず、サイズが小さいため金属センサーと共通基盤162上にて圧力が計測可能なものである。
圧力センサー161は荷重が加わると抵抗が減少する。圧力センサー161に例えば5Vの直流電圧を印加すると、荷重の変化により出力電位(mV)が変化する。コンクリート充填圧を同定するために、予め荷重と出力電位の検定曲線を作製しておく。
図12は、圧力センサー161の検定曲線を示す。
(実施例1)
図4は、コンクリート充填状況を検査するためのモデル試験装置の断面図である。図4に示すように、モデル試験装置150は(長さ)1800×(高さ)400×(奥行き)100(mm)の直方体の箱であって、底面に鉄板104を有し、その他の面はコンクリート型枠108によって形成され、長尺方向の一端にフレッシュコンクリートの投入口を有し、長尺方向の他端から900、500、100(mm)の位置の上面に、表面がアルミニウム箔で形成された3個の電極板154を設けた。それぞれの電極板154を第1電極板、第2電極板、及び第3電極板とする。鉄板104及び各電極板154から延引したリード線を図3に示した電位差測定手段110及び多点切り替えスイッチ120に連結した。この装置を用いて鉄板104と各電極板154の電位差を1秒毎に測定した。
図6は、ブリーディング状態を検査するためのモデル実験装置の断面図である。図6に示すように、モデル実験装置153は、3個の、直立した(内径)100×(高さ)200(mm)のプラスチック製円筒の容器151であって、各々の容器151は、底面に鉄板152を有し、内壁に表面がアルミニウム箔で形成された電極板154を有し、鉄板152と電極板154との間の電位差を測定する電位差測定手段110を連結した。
図6に示す3個の容器151の内、第1及び第2容器には正常なフレッシュコンクリートを投入し、第3容器にはブリーディングが発生する条件のフレッシュコンクリートを投入した。図7に示すように、第3容器の電位差の変化のパターンは他の2個の容器(第1容器及び第2容器)の電位差の変化のパターンと比べて明らかに異なり、容易に見分けることができた。
図6に示すモデル試験装置153を用い、上記実施例2で用いたのと同じ正常なフレッシュコンクリートを投入してフレッシュコンクリートの充填試験を行い、電位差の変化及びコンクリートの強度の変化を7日間測定した。コンクリートの強度はアムスラー試験機を用いて測定した。
図8に示すように、電位差の変化とコンクリートの強度の変化とは相関関係があることが見出された。この関係を利用して、充填したコンクリートの硬度を算定し、コンクリート型枠を取り外す時期を判断することができた。
図9は、本発明のコンクリート充填状況検査方法を用いたトンネル施工における鋼鉄製コンクリート型枠及び電極板の設置場所を示す断面図である。
トンネル坑121を掘削し、掘削面122に支保作業を施した後、鋼鉄製コンクリート型枠(以下セントル123と記す)を設置してコンクリート充填空間127を形成した。
複数の電極板128から延伸した多数のリード線129を纏めて束にし、例えば排水溝などを通じて延伸し、電位差測定手段130に連結した。
なお、単位作業工程当たり所定の距離を移動しながらセントル123を設置し、後にセントル123を脱型する長大なセントル台車を設けて作業を連続化することができた。
図11に本実施例で使用した圧力・金属充填センサー170を示す。
圧力・金属充填センサー170は、金属充填センサー160と同一面で圧力を計測するために、共通基盤162上に設置し、金属充填センサー計測線(1芯)と圧力センサー計測線(2芯)を3芯のリード線163の1本にまとめた。
センサー裏面には両面テープを設置することで、センサーを山岳トンネルシート面に貼付ける際、施工が容易になるようにした。
(1)トンネル掘削終了後、圧力・金属充填センサー170を防水シート面に貼付る。
(2)コンクリート打設に伴い、コンクリートと金属充填センサー160が反応して、当該部までのコンクリート到達が確認できる。
(3)さらに充填が進み、覆工コンクリートが防水シートを押上げ、地山面まで達すると圧力センサー161が反応し確実に充填されたことが分かる。
(4)圧力センサー161の計測器は金属充填センサー160の計測器回路が兼用できるので金属充填センサー計測器と同一装置内にコンパクトに収納可能である。
(5)図12に圧力センサー161の検定曲線を示す。覆工コンクリートが防水シートを押上げ、地山面まで達すると、当該検定曲線で検知できる。
圧力センサー161を金属充填ンセンサー160と共通基盤162に設置するとともに、金属センサー計測線(1芯)と圧力センサー161計測線(2芯)を3芯のリード線163の1本にまとめ、樹脂系接着剤にて防水処理を施すとともにセンサー裏面に両面テープを貼り付けることで、センサーを山岳トンネルシート面に貼付の際のセンサー配線作業の軽減を図った。
作業員による妻部のハンマ−打撃の際、しばしば計測線が断線する事例が発生していたが、計測線を太径の電線にして強度を上げればこの問題は解消できるものの、施工性が悪くなり計測線価格上昇等の問題もあって採用できなかった。
金属充填センサー160及び圧力センサー161は出力を電位(mV)で計測するため、必ずしも銅電線を使う必要がないため、本実施例では、小径で強度のある鋼線(例えばナイロン被覆ステンレスワイヤーロープ)を計測線であるリード線163として使用することにより破断の問題を解決した。
また、金属充填センサー160および圧力センサー161は出力として電位(mV)を計測するため、計測回路を共有し、表示を切替えによりコンパクトな監視装置1台にすることができた。
22 自然電位の高い導電部材、電極
24 自然電位の低い導電部材、電極
26 フレッシュコンクリート
100 検査装置
102 鉄製資材(金属鉄の表面を有する資材)
104 鉄板
105 フレッシュコンクリート
106 電極部材
108 コンクリート型枠
110 電位差測定手段
112 リード線
112a 鉄製資材に接続されたリード線
112b 電極板に接続されたリード線
114 電極板
116 接着部
118 制御端末
120 多点切り替えスイッチ
121 トンネル坑
122 掘削面
123 セントル(鋼鉄製コンクリート型枠)
124 天端部
125 肩部
126 中点
127 コンクリート充填空間
128 電極板
129 リード線
130 電位差測定手段
150 モデル試験装置
151 容器
152 鉄板
153 モデル実験装置
154 電極板
160 金属充填センサー
161 圧力センサー
162 共通基盤
163 リード線
170 圧力・金属充填センサー
Claims (3)
- コンクリート構造物建設の施工時に、金属鉄の表面を有する資材(以下鉄製資材と略記する)を用いてコンクリート充填空間を形成する工程と、
金属鉄と自然電位が異なった導電部材からなる電極板の複数を前記コンクリート充填空間内に間隔を有して配置する工程、あるいは、
金属鉄と自然電位が異なった導電部材からなる電極板及び圧力変化を電位差によって検出する圧力センサーを併設した状態とし、その複数を前記コンクリート充填空間内に間隔を有して配置する工程と、
前記コンクリート充填空間内にフレッシュコンクリートを充填した状態で、前記鉄製資材と前記電極板との間に発生する電位差を測定するか、あるいは、
前記コンクリート充填空間内にフレッシュコンクリートを充填した状態で、前記鉄製資材と前記電極板との間に発生する電位差及びコンクリート充填空間内の圧力変化に基づく電位差を測定することによりフレッシュコンクリートの充填状況を検査する工程と、を備えていることを特徴とするコンクリート充填状況検査方法。 - 前記電極板の電位差の経時的な変化を計測し、前記電極板電位差の変化パターンに基づいて前記鉄製資材と前記電極板との間のフレッシュコンクリートの充填が正常状態であるかブリーディング状態であるかを判別することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート充填状況検査方法。
- 前記電極板の電位差の経時的な変化及び前記コンクリート型枠と前記電極板との間に充填されたフレッシュコンクリートの強度の経時的な変化から、前記電極板の電位差とコンクリートの強度と相関係数を算出し、前記相関係数に基づいて、前記電極板電位差から前記コンクリートの強度を算定することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート充填状況検査方法。
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