JP3600993B2 - 地下コンクリート構造物の健全性の調査方法 - Google Patents

地下コンクリート構造物の健全性の調査方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3600993B2
JP3600993B2 JP22426196A JP22426196A JP3600993B2 JP 3600993 B2 JP3600993 B2 JP 3600993B2 JP 22426196 A JP22426196 A JP 22426196A JP 22426196 A JP22426196 A JP 22426196A JP 3600993 B2 JP3600993 B2 JP 3600993B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hole
soundness
groundwater
concrete structure
underground concrete
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22426196A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1060935A (ja
Inventor
清 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Corp filed Critical Shimizu Corp
Priority to JP22426196A priority Critical patent/JP3600993B2/ja
Publication of JPH1060935A publication Critical patent/JPH1060935A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3600993B2 publication Critical patent/JP3600993B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば基礎杭等の地下コンクリート構造物が地震に被災した場合等に、その健全性を調査するときに用いて好適な地下コンクリート構造物の健全性の調査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
構造物の基礎形式の一つである杭基礎は、多種多様な杭種、施工法が開発され、地盤や環境などの様々な条件に適用できることから、建築物をはじめとする多くの構造物の基礎として広く用いられている。
【0003】
ところで、強大な地震等が発生すると過大な曲げモーメントやせん断力が基礎杭に作用し、これによって基礎杭が破損したり、また地盤の液状化により基礎杭が側方に流動してしまう等の被害を受けてしまうことがある。このような被害を受けた基礎杭は健全性に欠けたものとなり、本来の機能を有しているとは言えない。
【0004】
このため、構造物が被災した場合には、構造物本体はもちろんのこと基礎や杭についても被害の有無、また被害がある場合にはその程度を調査して健全性を確認し、その上で必要に応じてこれらを修復する必要がある。
地上に露出している構造物本体についてはその健全性の確認が比較的容易であるのに対し、地盤中に埋設されている基礎杭については健全性の確認を行うのは困難である。このため、従来は、敷地における地震動の大きさの予測や地盤のボーリング資料に基づく被災予測、構造物周辺の地盤の変状の有無、さらには構造物の沈下量や不等沈下量を計測したり、地盤を掘削して杭頭部を露出させて目視で基礎杭の変状を観察したりしているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の技術には以下のような問題が存在する。すなわち、前記の被災予測、周辺地盤の変状の有無だけでは健全性の判断は難しい。さらに、前記沈下量や不等沈下量の計測による基礎杭の健全性の確認方法では、異常が明らかな場合や、沈下あるいは不等沈下が基準値を明らかに上回る場合を除けば、復旧のための十分な判断資料とはなり得ない。
また、杭頭部のみの観察では、地盤中の杭の変状について十分な情報が得られるわけではない。
このため、例えば杭頭部に変状が見出せず、構造物の全体的な沈下や傾きが僅かである場合には、基礎杭の健全性を的確に判定することは困難である。このような場合に、実際には基礎杭の中間部や下部に損傷があったとしても、これを発見・確認できずに、それを放置したままで復旧を終えてしまう可能性もある。
【0006】
このような問題を回避するため、近年では、基礎杭の健全性を判定するための各種技術が開発され、実用に供されている。このような技術としては、例えば、非破壊検査法の一つである杭の打撃判定法(いわゆるパイルインテグリティ試験)や、ボアホールカメラによる観察、ガンマ線密度計による検出等、がある。そして、これらの方法を単独あるいは複数組み合わせることにより、基礎杭の損傷の部位やその程度を調べたり、また基礎杭の支持力を調べたりするようになっている。
【0007】
しかしながら、これらの方法は、調査の目的自体が、損傷部位の特定やクラックの幅の把握にあり、クラック(損傷)が基礎杭の断面にわたって貫通しているものであるかどうか、また、修復のためにモルタル等の注入が可能であるかどうかを直接調べるというものではない。
【0008】
また、上記の問題は、基礎杭に限らず他の地下コンクリート構造物においても共通する問題である。
【0009】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、クラックが基礎杭の断面にわたって貫通しているものであるかどうか、また補修の可否を調査することができる地下コンクリート構造物の健全性の調査方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、有底筒状の孔が形成されている地下コンクリート構造物の健全性を調査するために、前記孔内およびその外周側に掘削した観測井に液面を計測する液面計を設置し、該液面計によって前記孔内およびその外周側に掘削した観測井に侵入した地下水の有無または地下水の液面の変化を計測することを特徴としている。
【0011】
請求項2に係る発明は、有底筒状の孔が形成されている地下コンクリート構造物の健全性を調査するために、前記孔内およびその外周側に掘削した観測井に流向流速計または比抵抗計を設置し、該流向流速計または比抵抗計によって前記孔内およびその外周側に掘削した観測井に侵入した地下水の流向流速または比抵抗を計測することを特徴としている。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の地下コンクリート構造物の健全性の調査方法において、前記孔内に侵入した地下水を加圧手段によって加圧し、このときに前記流向流速計または比抵抗計で流向流速または比抵抗を計測することを特徴としている。
【0014】
請求項に係る発明は、鉄筋コンクリート造の地下コンクリート構造物の健全性を調査するために、前記地下コンクリート構造物を構成する鉄筋と、該地下コンクリート構造物の周囲の地盤または該地下コンクリート構造物に形成された有底筒状の孔内に侵入した地下水との間で電気抵抗を計測することを特徴としている。
【0015】
請求項に係る発明は、請求項1ないしのいずれかに記載の地下コンクリート構造物の健全性の調査方法において、前記孔内の定められた位置に該孔を塞ぐ栓体を設置し、前記孔の一部の区間のみを区切って計測を行うことを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法の第一ないし第六の実施の形態の例について、図1ないし図13を参照して説明する。
【0017】
[第一の実施の形態]
まず、ここでは、本発明に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法に、例えば液面計を用いる場合について説明する。
【0018】
図1に示すように、健全性を調査すべき基礎杭(地下コンクリート構造物)1は、例えば遠心力締固め工法等により形成されたプレキャストコンクリート製で、その中心部には上下方向に延在する有底筒状の孔2が形成されている。
このような基礎杭1が地震等に被災して、例えば地盤G中の地下水面よりも下方位置においてクラックCが生じたとする。
【0019】
このような基礎杭1の健全性を調査するには、まず、基礎杭1の孔2以内に液面計3を挿入する。このとき、液面計3の挿入は、基礎杭1の頭部の側面に図示しない穴を開けるか、または基礎杭1の頭部を切断することにより行う。
そして、クラックCが基礎杭1の外周面にまで達していなければ孔2内には地下水は侵入せず、液面計3でその存在を確認することはできない。一方、図1に示したようにクラックCが基礎杭1の外周面にまで達していれば、地盤G中の地下水がクラックCから孔2内に侵入し、基礎杭1の内外で水の流れが生じる。したがって、液面計3では、孔2内の地下水Wの水位の上下が確認される。そして、水位の変化度合いによって、クラックCの大きさを予測することができる。
【0020】
上述した基礎杭1の健全性の調査方法によれば、孔2内に液面を計測する液面計3を設置し、液面計3によって孔2内の地下水Wの有無または地下水Wの液面の変化を計測する構成となっている。これにより、基礎杭1の断面を貫通するようなクラックCの発生の有無またその程度を調査することができる。しかもその調査には、何ら特殊で高価な機器類を用いることなく、液面計3を用いればよいので、調査を容易かつ低コストで実施することができる。
【0021】
[第二の実施の形態]
次に、本発明に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法に、例えば、流向流速計を用いる場合について説明する。以下に説明する第二の実施の形態において、前記第一の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0022】
図2に示すように、基礎杭1の健全性を調べるには、前記第一の実施の形態における液面計3(図1参照)に代えて、流向流速計4を基礎杭1の孔2内に挿入しても良い。
この場合、基礎杭1にその断面を貫通するクラックCが生じていれば、孔2内に地下水Wが侵入し、流向流速計4で地下水Wの出入りによる流れが検出される。さらに流向流速計4では、孔2内の各部における地下水Wの流れの方向・流速を検出することにより、クラックCの位置およびその程度が検出される。
【0023】
上述したように、流向流速計4によっても、基礎杭1の断面を貫通するようなクラックCの発生の有無またその程度を調査することができ、さらにはクラックCの位置についても調査することができる。
【0024】
[第三の実施の形態]
次に、本発明に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法において、例えば基礎杭1の孔2内に侵入した地下水Wを加圧する場合について説明する。以下に説明する第三の実施の形態において、前記第一および第二の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0025】
基礎杭1の内外での地下水の流れが定常状態、すなわち均衡状態に達した場合、孔2内における地下水Wの流れがほとんど止まってしまうこともある。このような場合、前記第一または第二の実施の形態に示した基礎杭1の健全性の調査方法(図1、図2参照)では、基礎杭1の断面を貫通するようなクラックCの存在自体は検出することはできるものの、その具体的な位置や程度を調査することはできない。
このときには、図3に示すように、外部から水を注入して孔2内の水位Lを高め、注入した水の質量によって、孔2内に侵入した地下水Wに上方から圧力をかける。これにより、孔2内の地下水Wの圧力が基礎杭1の外部の地下水の圧力よりも高まり、基礎杭1内外で地下水Wの流れが生じるので、この流れを流向流速計4で検出することにより、クラックCの位置、程度が検出される。なお、符号5で示すものは、外部から注入した水の水位Lを計測するための液面計である。
【0026】
上述した基礎杭1の健全性の調査方法によれば、孔2内に外部から水を注入することにより、これを加圧手段として孔2内に侵入した地下水Wを加圧する構成となっている。これにより、基礎杭1の内外で地下水の流れが均衡状態に達してしまった場合でも、孔2内の地下水Wに人為的に流れを生じさせて、クラックCの位置、程度を検出することができる。
ところで、クラックCを補修するためにモルタル等を注入するときに最小限必要な充填圧力は、クラックCの部分にある地下水Wを動かす圧力である。したがって、上記方法において、補修のためにモルタル等をクラックCに注入するには、地下水Wを加圧していって流れが生じたときの圧力が最小限必要となる。したがって、地下水Wに流れが生じたときの圧力を検出することにより、その圧力が、モルタル充填用の機器で実際にモルタル等を注入することのできる圧力であるかを判定することができる。このようにして、上記方法によれば、モルタル等による補修の可否についても調査することができる。
【0027】
なお、上記第三の実施の形態において、孔2内の地下水Wの加圧手段として外部から水を注入する構成としたが、これ以外の他の加圧手段を採用しても良い。例えば、図4に示すように、基礎杭1の上端部に、孔2を塞ぐ栓体6を設置する。この栓体6は可撓性を有した例えばゴム製等からなる袋状で、その中に空気等の気体を充填して膨らませることによって、孔2を塞ぐものである。この栓体6には、これ自体を膨張・収縮させるための注入管6aが備えられており、さらに液面計3、流向流速計4、栓体6の下方に空気を送り込む送気管7とが貫通するよう配設されている。このような栓体6で孔2を塞いだ後、栓体6と孔2内の地下水Wの水面との間の空間に送気管7から空気を注入して、孔2内の地下水Wを加圧する。この後は上記第三の実施の形態と同様にして、流向流速計4で地下水Wの流向流速からクラックCの位置・程度を検出する。
【0028】
[第四の実施の形態]
次に、本発明に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法において、例えば基礎杭1の近傍に観測井を掘削する場合について説明する。以下に説明する第四の実施の形態において、前記第一ないし第三の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0029】
図5に示すように、基礎杭1の健全性を調査するには、この基礎杭1の近傍に観測井10を掘削形成する。
そして、基礎杭1の孔2内に液面計3を挿入するとともに、観測井10にも液面計11を挿入する。そして、孔2内の地下水Wの水位を計測する液面計3と、観測井10内の地下水位、すなわち周囲の地盤Gの地下水位を計測する液面計11とでその計測結果を比較することにより、前記第一の実施の形態における基礎杭1の健全性の調査方法を、より詳細に検討することができる。
【0030】
なお、上記第四の実施の形態において、液面計3,11で基礎杭1の健全性の調査を行う構成としたが、図6に示すように、孔2,観測井10内に、流向流速計4,12を挿入し、孔2と観測井10とで、地下水Wの流向流速を検出するようにしても良い。このような構成によれば、前記第二の実施の形態における基礎杭1の健全性の調査方法を、より詳細に検討することが可能となる。
また、図5または図6に示した調査方法において、前記第三の実施の形態で示したような加圧手段で地下水Wを加圧する方法を採用しても良い。
【0031】
[第五の実施の形態]
次に、本発明に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法において、例えば所定区間のみを区切って調査を行う場合について説明する。以下に説明する第五の実施の形態において、前記第一ないし第四の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
図7に示すように、基礎杭1の一部の所定区間のみについて調査を行うには、孔2内の地下水W中の所定深さまで、上下に間隔を隔てて栓体6A,6Bを挿入し、これら栓体6A,6Bに気体を送り込んで膨張させることにより孔2を2カ所で塞いで一部の所定区間のみを区切る。
この状態で栓体6A,6B間の地下水Wの流向流速を流向流速計13で計測することにより、クラックCの有無およびその位置、程度が検出される。
【0033】
また、このときに、基礎杭1の内外で地下水Wの流れが均衡状態に達して地下水Wの動きが検出できない場合には、送水管14で栓体6A,6B間に水を送り込んでこの部分の圧力を高める。このときには栓体6A,6B間の圧力を圧力計15で観測するようにする。すると、孔2内の地下水Wの圧力が周囲の地盤Gの地下水の圧力よりも高くなり、孔2内で地下水Wの流れが人為的に起こされるので、このときの地下水Wの動きを流向流速計13で計測することによって、クラックCの位置、程度が検出される。
【0034】
上述したように、栓体6A,6Bで基礎杭1の孔2内の任意の区間を区切ることにより、基礎杭1の一部のみの区間において健全性を調査することができる。したがって、調査を小型の流向流速計13で行うことができ、例えば基礎杭1が長大なものである場合にも、栓体6A,6Bおよび流向流速計13を順次盛り替えていくことによって、調査を低コストで行うことができる。
【0035】
なお、上記第五の実施の形態で、地下水面よりも上方の部分の基礎杭1の健全性の調査を行うには、以下のようにすればよい。
図8に示すように、基礎杭1において、地下水Wの水面の直上位置を、栓体6Cで塞ぐ。そして、この栓体6C上に注水した後、注水した水の流れを流向流速計4で検出することにより、上記と同様にクラックC’の有無およびその位置、程度を検出することができる。
【0036】
また、地下水面よりも上方の部分の基礎杭1の健全性の調査を行う他の方法として、以下のような方法もある。
図9に示すように、基礎杭1において、孔2の上端部と地下水Wの水面の直上位置とを、栓体6D,6Eで塞ぐ。そして、これら栓体6D,6E間の空間Sに、送気管7で空気等の気体を送り込んで加圧する。そして、このときの空間Sにおける気圧の変化を圧力計16で検出する。
すると、栓体6D,6E間において基礎杭1に断面方向に貫通するクラックC’があれば、送気管7で気体を送り込んでも、その送気量に対して気圧は全く上昇しないかまたは上昇量が少なくなるため、このようなクラックC’の存在が検出される。このようにして、基礎杭1の地下水面よりも上方位置についても健全性を調査することができる。
【0037】
なお、上記第二ないし第五の実施の形態において、流向流速計4、12,13に代えて、比抵抗計を用い、孔2内に侵入した地下水Wの各部における比抵抗を計測するようにしても、上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0038】
[第六の実施の形態]
次に、本発明に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法において、例えば基礎杭1を構成する鉄筋と孔内とで電気抵抗を計測する場合について説明する。以下に説明する第六の実施の形態において、前記第一ないし第五の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0039】
図10に示すように、基礎杭1の健全性を調査するには、基礎杭1を構成する鉄筋1aと孔2内とに電極20,20を設置し、これらの間で電気抵抗を計測する。これには、交流電源21により、例えば周波数1000〜10000Hzで電圧1〜12V程度の電圧を印加し、このときの電流を電流計22で測定する。
【0040】
このとき、基礎杭1の断面を貫通するクラックCがなく、孔2内に地下水Wが侵入していなければ電気抵抗値を検出できないのに対し、クラックCがあれば、当然鉄筋1aは地下水W中に露出した状態となり、孔2内に侵入した地下水Wを介して導通して電気抵抗値が計測できる。
そして、地下水Wよりも基礎杭1を構成するコンクリート1bの方が導電度が低ければ、クラックCが存在せずに孔2内の地下水Wとコンクリート1bを介した場合に比較して、クラックCの存在により地下水Wが鉄筋1aに直接接触している方が電気抵抗は高くなる。したがって、孔2内の地下水と鉄筋1aとの間で電気抵抗を計測することによって、クラックCの有無およびその程度を調査することができる。
【0041】
ここで、地下水Wの導電度よりも、コンクリート1bの導電度の方が高い場合には、クラックCの有無にかかわらず電流はコンクリート1bに流れるため、上記方法では調査を行うことができない。この場合には、地下水Wに例えば塩化カリウム等の電解質の物質を加えることにより、地下水Wの導電度を高め、上記と同様に調査を行うことが可能となる。
【0042】
さらに、上記調査を、孔2内の上下方向において複数箇所で行うことにより、クラックCの位置が特定されるとともに、このクラックCが鉄筋1aにまで至っているのかどうかが判定される。
【0043】
上述したように、基礎杭1を構成する鉄筋1aと孔2内の地下水Wとの間で電気抵抗を計測することによっても、クラックCの有無、位置、その程度を調査することができる。
【0044】
なお、上記第六の実施の形態において、電気抵抗を鉄筋1aと孔2内の地下水との間で計測するようにしたが、鉄筋1aと、基礎杭1の周囲の地盤G、または周囲に掘削した観測井10(例えば図5参照)との間で電気抵抗を計測して調査を行うようにしても、同様の調査を行うことが可能である。さらに、このときには、周囲の地盤Gに散水したり、観測井10に注水したりしても良い。
また、基礎杭1に孔2がない場合であっても、基礎杭1の鉄筋1aと、周囲の地盤Gまたは観測井との間で電気抵抗を計測することによって調査を行うことも可能である。
【0045】
加えて、電気抵抗の計測に際して、孔2内の地下水Wを、ヒータ等の加熱手段によって加熱するようにしても良い。このような構成を採用すれば、地下水Wの温度上昇によって地下水Wの導電性が向上するので、これによってクラックCの存在をより明確に検出することが可能となる。
【0046】
また、上記第六の実施の形態において、前記第五の実施の形態と同様に、基礎杭1の一部の区間のみを区切って健全性の調査を行うことも可能である。
これは、地下水Wよりもコンクリート1Bの方が導電度が高い場合に有効な方法であり、図11に示すように、基礎杭1の孔2の所定区間を、上下に間隔を隔てた栓体6A,6Bで塞ぎ、これら栓体6A,6B間に一方の電極20を配置する。そして、送液管23を通して、栓体6A,6B間の地下水Wに例えば塩化カリウム等の電解質の物質を加える。これによりこの部分の地下水Wの導電度を容易に高めることができる。そして、これら栓体6A,6B間の地下水Wと基礎杭1の鉄筋1aとの電気抵抗を検出することにより、この部分における基礎杭1の健全性を調査することができる。
【0047】
さらに、上記第六の実施の形態において、基礎杭1において地下水面よりも上方部分の健全性を調査するには、前記第五の実施の形態において示した調査方法(図9参照)と同様に行う。すなわち、図12に示すように、基礎杭1において、孔2の上端部と地下水Wの水面の上方位置とを栓体6D,6Eで塞ぐ。そして、これら栓体6D,6E間の空間Sに、送水管24で、水または必要に応じて電解質の溶液を送り込む。この後に、空間S内に配した一方の電極20と、鉄筋1aとの間で電気抵抗を検出することにより、地下水面よりも上方部分の基礎杭1の健全性を調査することができる。
【0048】
なお、上記第一ないし第六の実施の形態においては、基礎杭1の孔2内の地下水の有無については、目視や液面計3(図1参照)等で確認すれば良く、この後に上記各種調査方法によってクラックC,C’の位置やその程度の調査に直接入ることができる。
また、クラックC,C’の有無や位置については、例えばボアホールカメラ等、従来の機器を用いて調査を行い、発見されたクラックC,C’の程度すなわちこれが基礎杭1の断面方向に貫通しているかどうかを調査するために前記第一ないし第六の実施の形態で示した調査方法を用いるようにしてもよい。
【0049】
さらに、上記基礎杭1の健全性の調査方法は、クラックCやC’の補修後に補修品質の確認のために実施しても良い。また、これ以外にも、地震の被災時だけでなく、これ以外にも例えば基礎杭1の打ち込み施工時における打撃による損傷の調査等にも適用することが可能である。
【0050】
加えて、上記第一ないし第六の実施の形態において、基礎杭1の孔2内の地下水Wのレベルと、周囲の地盤G中の地下水レベルとを同一レベルとする例を挙げたが、例えば、地盤G中に不透水層に上下を挟まれた地層に被圧(圧力がかかっている)地下水が存在すれば、この地層からクラックCを通して孔2内に侵入した地下水Wは、地盤G中の地下水レベルよりも高くなることもある。
また、基礎杭1の断面方向に貫通するクラックCが存在しても、ほとんど水を通さなければ、孔2内の地下水Wのレベルが地盤G中の地下水レベルよりも低くなることもある。このように、上記各実施の形態で示した孔2内の地下水Wのレベルは一例にすぎず、このレベルがいかなる場合であっても、上記と同様の調査を行うことが可能である。
【0051】
加えて、基礎杭1の孔2については、基礎杭1が例えば場所打ちコンクリート製の場合等、孔2が存在しない場合には、調査のためにボーリング等で形成しても良い。また、この孔2を、基礎杭1の構築時に上記各種の調査を行うために予め形成しておくようにしても良い。
さらに、孔2は一本のみに限らず、複数本形成するようにしても良い。例えば図13に示すように、四本の孔2を形成した場合、各孔2に流向流速計4等の各種計測手段を配置することにより、上記方法による調査をより高い精度で行うことが可能となる。
【0052】
なお、上記第一ないし第六の実施の形態において、健全性を調査すべき地下コンクリート構造物として、例えば基礎杭1を例としてあげたが、地下に構築されたコンクリート構造物であれば、いかなるものであっても良い。
例えばビル等の建物の地下躯体について健全性を調査する場合、この地下躯体の外周部等に孔を形成し、上記と同様の調査を行えばよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法によれば、地下コンクリート構造物の孔内に液面計を設置し、孔内の地下水の有無または地下水の液面の変化を計測する構成となっている。これにより、地下コンクリート構造物の断面を貫通するようなクラック等の発生の有無またその程度を調査することができる。しかもその調査には、何ら特殊で高価な機器類を用いることなく、液面計を用いればよいので、調査を容易かつ迅速に、しかも低コストで実施することができる。さらに、クラック等をモルタル等で補修した後、その補修状態の調査も行うことができる。そして、このように、クラック等の調査と、その補修後の調査を同じ方法で調査することによって、補修の効果を定量的かつ客観的に判断することが可能となる。
【0054】
請求項2に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法によれば、地下コンクリート構造物の孔内に流向流速計または比抵抗計を設置し、孔内に侵入した地下水の流向流速または比抵抗を計測する構成となっている。これによっても、地下コンクリート構造物の断面を貫通するようなクラック等の発生の有無またその程度を容易かつ迅速に、しかも低コストで調査することができ、さらにはクラック等の位置についても把握することができる。さらに、クラック等の補修状態の調査も行うことができ、補修の効果を定量的かつ客観的に判断することが可能となる。
【0055】
請求項3に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法によれば、孔内に侵入した地下水を加圧手段によって加圧し、流向流速計または比抵抗計でこのときの流向流速または比抵抗の変化を計測する構成となっている。これにより、地下コンクリート構造物の孔内に侵入した地下水がその内外で均衡状態となっている場合であっても、地下水の流れを人為的に発生させることができ、前記請求項1または2に係る調査を行うことができる。また、地下水に流れが生じたときの圧力が、実際にモルタル等を注入することのできる圧力であるかを判定することにより、モルタル等による補修の可否についても調査することができる。
【0056】
また、請求項1または2に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法によれば、地下コンクリート構造物の孔内と、その外周側に掘削した観測井とで、それぞれ地下水の液面または流向流速または比抵抗を計測する構成となっている。そして、孔内と、観測井すなわち周囲地盤とでその計測結果を比較することにより、地下コンクリート構造物の健全性をより詳細に検討することができる。
【0057】
請求項に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法によれば、地下コンクリート構造物を構成する鉄筋と、地下コンクリート構造物の周囲地盤または地下コンクリート構造物に形成された孔内に侵入した地下水との間で電気抵抗を計測する構成となっている。これによっても、地下コンクリート構造物の断面を貫通するようなクラック等の発生の有無またその程度、位置を、容易かつ迅速にしかも低コストで調査することができる。
【0058】
請求項に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法によれば、孔内に栓体を設置し、孔の一部の区間のみについて調査を行う構成となっている。これにより、健全性の調査を地下コンクリート構造物の一部についてのみ行うことができる。また地下コンクリート構造物が大規模なものであっても、栓体を順次盛り替えつつ調査を繰り返していくことによって、最小限の機器で効率よくかつ低コストで調査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地下コンクリート構造物の健全性の調査方法の第一の実施の形態を示す平断面図および立断面図である。
【図2】同調査方法の第二の実施の形態を示す立断面図である。
【図3】同調査方法の第三の実施の形態を示す立断面図である。
【図4】同調査方法の第三の実施の形態における他の例を示す立断面図である。
【図5】同調査方法の第四の実施の形態を示す立断面図である。
【図6】同調査方法の第四の実施の形態における他の例を示す立断面図である。
【図7】同調査方法の第五の実施の形態を示す立断面図である。
【図8】同調査方法の第五の実施の形態における他の例を示す立断面図である。
【図9】同調査方法の第五の実施の形態におけるさらに他の例を示す立断面図である。
【図10】同調査方法の第六の実施の形態を示す立断面図である。
【図11】同調査方法の第六の実施の形態における他の例を示す立断面図である。
【図12】同調査方法の第六の実施の形態におけるさらに他の例を示す立断面図である。
【図13】同調査方法を適用する地下コンクリート構造物の他の一例を示す立断面図である。
【符号の説明】
1 基礎杭(地下コンクリート構造物)
1a 鉄筋
2 孔
3,11 液面計
4,12,13 流向流速計
6 栓体
G 地盤
W 地下水

Claims (5)

  1. 有底筒状の孔が形成されている地下コンクリート構造物の健全性を調査するために、前記孔内およびその外周側に掘削した観測井に液面を計測する液面計を設置し、該液面計によって前記孔内およびその外周側に掘削した観測井に侵入した地下水の有無または地下水の液面の変化を計測することを特徴とする地下コンクリート構造物の健全性の調査方法。
  2. 有底筒状の孔が形成されている地下コンクリート構造物の健全性を調査するために、前記孔内およびその外周側に掘削した観測井に流向流速計または比抵抗計を設置し、該流向流速計または比抵抗計によって前記孔内およびその外周側に掘削した観測井に侵入した地下水の流向流速または比抵抗を計測することを特徴とする地下コンクリート構造物の健全性の調査方法。
  3. 請求項1または2記載の地下コンクリート構造物の健全性の調査方法において、前記孔内に侵入した地下水を加圧手段によって加圧し、このときに前記流向流速計または比抵抗計で流向流速または比抵抗を計測することを特徴とする地下コンクリート構造物の健全性の調査方法。
  4. 鉄筋コンクリート造の地下コンクリート構造物の健全性を調査するために、前記地下コンクリート構造物を構成する鉄筋と、該地下コンクリート構造物の周囲の地盤または該地下コンクリート構造物に形成された有底筒状の孔内に侵入した地下水との間で電気抵抗を計測することを特徴とする地下コンクリート構造物の健全性の調査方法。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の地下コンクリート構造物の健全性の調査方法において、前記孔内の定められた位置に該孔を塞ぐ栓体を設置し、前記孔の一部の区間のみを区切って計測を行うことを特徴とする地下コンクリート構造物の健全性の調査方法。
JP22426196A 1996-08-26 1996-08-26 地下コンクリート構造物の健全性の調査方法 Expired - Fee Related JP3600993B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22426196A JP3600993B2 (ja) 1996-08-26 1996-08-26 地下コンクリート構造物の健全性の調査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22426196A JP3600993B2 (ja) 1996-08-26 1996-08-26 地下コンクリート構造物の健全性の調査方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1060935A JPH1060935A (ja) 1998-03-03
JP3600993B2 true JP3600993B2 (ja) 2004-12-15

Family

ID=16811010

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22426196A Expired - Fee Related JP3600993B2 (ja) 1996-08-26 1996-08-26 地下コンクリート構造物の健全性の調査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3600993B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20060087476A (ko) * 2006-06-15 2006-08-02 차재선 피에치씨말뚝의 내부수위 변화를 측정으로 콘크리트말뚝의품질 평가방법
KR101265826B1 (ko) 2009-07-23 2013-05-20 이경민 지하댐 구축용 강재파일
CN106320397B (zh) * 2016-08-28 2018-05-29 神翼航空器科技(天津)有限公司 基坑渗漏的超前预报及超前整治方法
CN114622605A (zh) * 2022-03-11 2022-06-14 国网甘肃省电力公司经济技术研究院 一种混凝土灌注桩电阻层析成像监测装置及监测方法
CN116592933B (zh) * 2023-07-19 2023-09-26 宝航环境修复有限公司 一种用于原位注入修复的含水层堵塞监测系统和监测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1060935A (ja) 1998-03-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Rehman et al. Nondestructive test methods for concrete bridges: A review
Ljunggren et al. An overview of rock stress measurement methods
CN106638725A (zh) 一种管桩挤土效应测试装置及方法
Yin et al. An innovative laboratory box for testing nail pull-out resistance in soil
Nazir et al. Appraisal of reliable skin friction variation in a bored pile
Rashidyan et al. Practical aspects of nondestructive induction field testing in determining the depth of steel and reinforced concrete foundations
Sienko et al. Application of distributed optical fibre sensor for strain and temperature monitoring within continuous flight auger columns
JP3600993B2 (ja) 地下コンクリート構造物の健全性の調査方法
Lin et al. Diameter assessment of soilcrete column using in-hole electrical resistivity tomography
Cox et al. Axial load tests on 14-inch pipe piles in clay
JP2004294261A (ja) 既設トンネルの健全性診断方法
Tamura et al. A simple method for detecting cracks in soil–cement reinforcement for centrifuge modelling
CN106501086A (zh) 一种岩石可压性测试系统及测试方法
KR200179851Y1 (ko) 터널 콘크리트 라이닝의 코아홀용 탄성파 측정장치
Baraneedaran et al. Review of in-service assessment of timber poles
Janson et al. Test with different stress measurement methods in two orthogonal bore holes in Äspö HRL
Kim et al. Evaluation of dynamic resistance for application of portable in-situ device to extra target depth
CN107059952A (zh) 一种模拟波浪荷载的钢管桩水平循环实验装置
Zuidberg et al. EURIPIDES, load tests on large driven piles in dense silica sands
Eng Response of pile foundations due to lateral force and soil movements
Ni et al. Concrete Strength Variation and Curing Effect on the Crosshole Sonic Logging (CSL) Results of Cast-in-place (CIP) Concrete Piles
JP6841704B2 (ja) 地盤改良方法
Shinoda et al. Stability inspection method for existing retaining walls
Henke Full-scale site investigations on soil-plugging inside tubular piles
KR100284123B1 (ko) 다양한 각도의 시추공 전기 비저항 탐사방법 및 그 장치

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040525

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040716

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040831

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040909

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101001

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131001

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees