JP5141542B2 - 雑音検出装置及び雑音検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、音声通信等において生じる耳障りな雑音を検出する雑音検出装置及び雑音検出方法に関する。
音声通信等において、増幅器(アンプ)やA/D又はD/A変換器の回路の不具合(例えば増幅回路と電源回路とが絶縁されていない等)により、音声信号にハムノイズが混入し、音質が劣化する場合がある。
このハムノイズを検出する技術として、入力信号を時間周波数変換し、予め定めてあるハムノイズの周波数において時間的に定常的なピークを有する場合に、当該周波数にハムノイズが混入していると判断する技術が開示されている。予め定めてあるハムノイズの周波数としては、例えば日本の商用電源の周波数である50Hz又は60Hzとその倍音である。
特開2005−77423号公報
しかしながら、音声や背景雑音などハムノイズ以外の妨害音の混入により、ハムノイズ成分によってピークとなるべき周波数でピークとならない結果、この周波数ではハムノイズを検出できないという問題点があった。
問題点について具体例を示して説明する。図1は、ハムノイズを検出できない例を示す図である。図1に示すように、ハムノイズ単体のスペクトルに妨害音のスペクトルを合成することで、ハムノイズ成分によりピークをとるべき各周波数において、ピークが失われている周波数Aが存在する。この場合、この周波数Aにおいてはハムノイズ成分を検出することができず、その他の周波数においてハムノイズ成分を除去したとき、かえって不自然な音声となる可能性がある。
開示の雑音検出装置は、入力信号を周波数変換してスペクトルを算出する周波数変換手段と、前記スペクトルから各周波数のパワーを算出するパワースペクトル算出手段と、フレーム毎の前記各周波数のパワーのピークを用いて、該パワーのピークが定常的な周波数を算出するピーク定常性算出手段と、フレーム毎の前記各周波数のパワーの大きさを用いて、該パワーの大きさが定常的な周波数を算出するパワー定常性算出手段と、前記ピーク定常性算出手段により算出された周波数と前記パワー定常性算出手段により算出された周波数とを用いて、周波数領域におけるピーク及びパワーの定常性を有する雑音の有無を判定する判定手段とを備える。
開示の雑音検出装置によれば、入力信号のパワースペクトルを用いてピークの定常性、パワーの定常性のいずれかを有する周波数を算出することにより、周波数領域におけるピークの定常性とパワーの定常性とを有する雑音の検出率を向上させることができる。
まず、前提となるハムノイズの特徴について説明した後、本発明を実施するための最良の形態を、実施形態に基づき図面を参照しつつ説明する。
図2は、ハムノイズの周波数領域におけるスペクトルを示す図である。図2において、縦軸は周波数、横軸は時間を示し、色の濃さでパワースペクトルの大きさを示している。図2中、色が濃いほどスペクトルのパワーが強いことを示す。ここで、ハムノイズの2つの特徴について説明する。
1つ目は、時間に関係なくパワーのピークが定常的である(ピークの定常性)。これは、周波数軸において定期的に線状に見える部分があることから分かる。
2つ目は、時間に関係なくピークをとる周波数のパワーの大きさがほぼ一定である(パワーの定常性)。これは、図2においてピークを取る周波数の色の濃さがほぼ一定であることから分かる。つまり、ハムノイズには、周波数領域におけるピーク及びパワーの定常性を有する周波数が複数存在する。
以下、このハムノイズの2つの特徴を用いて、周波数領域におけるピーク及びパワーの定常性を有する雑音(ハムノイズを含む)を検出する各実施形態について説明する。
[実施形態1]
<機能構成>
図3は、実施形態1にかかる雑音検出装置1の主要機能構成の一例を示すブロック図である。図3に示す雑音検出装置1は、時間・周波数変換手段11、パワースペクトル算出手段12、ピーク定常性算出手段13、パワー定常性算出手段14、判定手段15を含む。
時間・周波数変換手段11は、入力信号に対してフレーム毎に時間周波数変換を行う。時間・周波数変換は、離散フーリエ変換(DFT)や高速フーリエ変換(FFT)など時間領域の信号を周波数領域の信号に変換できる一般的な変換式を用いる。また、時間・周波数変換手段11は、時間周波数変換後のスペクトルをパワースペクトル算出手段12に出力する。
パワースペクトル算出手段12は、時間・周波数変換手段11により出力されたスペクトルを取得し、取得したスペクトルからパワースペクトルを算出する。また、パワースペクトル算出手段12は、算出したパワースペクトルをピーク定常性算出手段13及びパワー定常性算出手段14に出力する。
ピーク定常性算出手段13は、パワースペクトル算出手段12から取得したパワースペクトルのパワーのピークを用いて、定常的にパワーがピークとなる(ピークの定常性を有する)周波数を算出する。ピーク定常性算出手段13は、フレーム毎にパワースペクトルを記憶し、記憶したパワースペクトルのうち、例えば5割以上のフレームでピークをとっている場合に、定常的なピークであるとみなす。
また、ピーク定常性算出手段13は、記憶したパワースペクトルから集計範囲を設定して、集計範囲のフレームのうち、例えば5割以上のフレームでピークをとっている場合に、定常的なピークであるとみなすこともできる。集計範囲は例えば、30フレームなどである。次に、ピーク定常性算出手段13は、パワースペクトルのパワーが定常的なピークをとるとみなして算出した周波数を判定手段15に出力する。
なお、ピーク定常性算出手段13は、定常的なピークとみなす場合に次のような条件を加えることもできる。例えば、ピークとみなされるパワーが周囲の周波数のパワーよりもX(単位:dB)以上大きいとする条件や、パワーの大きさがY(単位:dBov)以上であるとする条件等が考えられる。ここで、X、Yの一例としてX=3,Y=−60が与えられる。これより、微小なピークを除外することができる。
パワー定常性算出手段14は、パワースペクトル算出手段12から取得したパワースペクトルのパワーの大きさを用いて、定常的にパワーの大きさがほぼ一定となる(パワーの定常性を有する)周波数を算出する。パワー定常性算出手段14は、フレーム毎にパワースペクトルを記憶し、記憶したパワースペクトルのうち、例えば6割以上のフレームのパワーの大きさが例えば5dB以内となっている場合に、定常的なパワーであるとみなす。
また、パワー定常性算出手段14は、記憶したパワースペクトルから集計範囲を設定して、集計範囲のフレームのうち、例えば6割以上のフレームのパワーの大きさが例えば5dB以内となっている場合に、定常的なパワーであるとみなすこともできる。集計範囲は例えば、30フレームなどである。次に、パワー定常性算出手段14は、パワースペクトルのパワーの大きさが定常的であるとみなして算出した周波数を判定手段15に出力する。
ここで、図4を用いてパワー定常性について説明する。図4は、ハムノイズ成分が存在する周波数におけるパワー分布の一例を示す図である。図4に示す例では、左の黒い棒Aがハムノイズと音声及び/又は背景雑音とが存在する周波数のパワー分布であり、右の白い棒Bがハムノイズ成分のみが存在する周波数のパワー分布である。なお、パワーの目盛は5dBずつに区切り、5dB以内に入るパワー値を集計する。図4に示すメモリは、範囲内の代表値(例えば、−80、−75、・・・)が表示されている。
図4に示すように、Bは、非常に偏りが大きく、−50dBovのパワー値を有するフレーム数が集計範囲の7割以上を占める。一方、AはBに比べると分散は大きいが、偏りは存在する。よって、ハムノイズに音声及び/又は背景雑音が混入したとしても、周波数におけるパワー分布の偏りを用いればハムノイズが存在するか否かを判定することができる。つまり、パワー分布の偏りを算出して、その偏りが所定値以上である場合に、パワーの定常性を有するとみなすことができる。
なお、パワー定常性算出手段14は、定常的なパワーとみなす場合に次のような条件を加えることもできる。例えば、パワーの大きさがZ(単位:dBov)以上であるとする条件等が考えられる。ここで、Zの一例として、Z=−60が与えられる。これより、微小な大きさのパワーを除外することができる。
判定手段15は、ピーク定常性算出手段13及びパワー定常性算出手段14から取得した周波数を用いて、周波数領域におけるピーク及びパワーの定常性を有する雑音(例えばハムノイズ)の有無を判定する。また、判定手段15は、所定値判定手段151を含む。
所定値判定手段151は、ピーク定常性算出手段13、又はパワー定常性算出手段14の少なくともいずれか一方で算出された周波数の数をカウントし、このカウント値が所定値以上であるか否かを判定する。所定値は、例えば8kHzサンプリングだと10などと設定する。また、カウントについて、ピーク定常性算出手段13及びパワー定常性算出手段14の両方で算出される周波数がある場合は、重複してカウントしないようにしてもよい。
判定手段15は、所定値判定手段151によりカウント値が所定値以上であると判定された場合は、周波数領域におけるピーク及びパワーの定常性を有する雑音が存在すると判定する。このとき、雑音検出装置1は、カウントされた周波数において、ピーク及びパワーの定常性を有する雑音が存在すると検出することができる。また、判定手段15は、所定値判定手段151によりカウント値が所定値以上ではないと判定された場合は、ピーク及びパワーの定常性を有する雑音は存在しないと判定する。
<動作>
次に、実施形態1にかかる雑音検出装置1の動作について説明する。図5は、雑音検出装置1の雑音検出処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS11において、時間・周波数変換手段11は、入力信号に対して時間・周波数変換を行ってスペクトルを算出し、算出したスペクトルをパワースペクトル算出手段12に出力する。
ステップS12において、パワースペクトル算出手段12は、取得したスペクトルからパワースペクトルを算出し、算出したパワースペクトルをピーク定常性算出手段13及びパワー定常性算出手段14に出力する。
ステップS13において、ピーク定常性算出手段13は、取得したパワースペクトルのピークを用いて、パワーのピークが定常的な周波数を算出する。具体的な算出方法は前述した通りである。また、ピーク定常性算出手段13は、算出した周波数を判定手段15に出力する。
ステップS14において、判定手段15(所定値判定手段151)は、ピーク定常性算出手段13により算出された周波数の数をカウントする。
ステップS15において、パワー定常性算出手段14は、取得したパワースペクトルのパワーを用いて、パワーの大きさが定常的な周波数を算出する。具体的な算出方法は前述した通りである。また、パワー定常性算出手段14は、算出した周波数を判定手段15に出力する。
ステップS16において、判定手段15(所定値判定手段151)は、パワー定常性算出手段14により算出された周波数の数をカウントする。なお、ステップS14又はステップS16において、判定手段15(所定値判定手段151)は、同じ周波数に対して重複してカウントしないようにしてもよい。
ステップS17において、判定手段15(所定値判定手段151)は、カウントしたカウント値が所定値以上であるか否かを判定する。ステップS17の判定結果がYES(カウント値が所定値以上)であればステップS18に進み、判定結果がNO(カウント値が所定値未満)であれば処理を終了する。
ステップS18において、雑音検出装置1は、ステップS17において判定に用いられた周波数において雑音を検出する。
ここで、ピーク定常性のみを用いて雑音検出した場合とピーク定常性及びパワー定常性を用いて雑音検出した場合とで、雑音の検出率を比較する実験を行ったので説明する。
まず、下記の複数の入力信号で実験を行った。
・ハムノイズ
基本周波数:50Hz、60Hzのいずれか
パワーの大きさ:平均 −30 〜 −50dBov
・混入する雑音
街頭、オフィス(事務所)内、駅構内等
ハムノイズに上記雑音が混入した複数の入力信号に対して以下の条件でハムノイズの判定を行った。
・ピーク定常性算出
128msを1フレームとし、30フレーム(約4秒)中5割以上のフレームで以下の2つの条件を満たす場合に、当該周波数を定常的なピークをとる周波数として算出する。
1.パワーが−60dBov以上
2.前後の周波数に比べて3dB以上パワーが大きい
・パワー定常性算出
128msを1フレームとし、30フレーム(約4秒)中6割以上のフレームのパワーが以下の条件を満たす場合に、当該周波数を定常的なパワーとなる周波数として算出する。
1.パワーが5dB以内におさまっており、かつそのパワーが−60dBov以上
・判定条件
1.ピーク定常性のみを用いる場合
基本周波数の定数倍となる周波数においてピークを取る場合にハムノイズありと判定する。
2.ピーク定常性とパワー定常性とを用いる場合
ピーク定常性算出、パワー定常性算出の少なくともいずれか一方で算出された周波数の個数が10個以上ある場合に、ハムノイズありと判定する。
上記実験の結果、ピーク定常性のみを用いて判定を行なった場合のハムノイズ検出率は79%だったのに対し、ピーク定常性及びパワー定常性を用いて判定を行なった場合のハムノイズの検出率は92%だった。これより、ピーク定常性及びパワー定常性を用いてハムノイズの検出を行った方が、ピーク定常性のみを用いてハムノイズを検出するよりもハムノイズの検出率を向上させることができる。また、上記実験により、実施形態1にかかる雑音検出装置1は、ハムノイズのようなピークの定常性とパワーの定常性とを有する雑音に対して、雑音の検出率を向上させることができる。
以上、実施形態1によれば、入力信号のパワースペクトルを用いてピークの定常性、パワーの定常性のいずれかを有する周波数を算出することにより、周波数領域におけるピークの定常性とパワーの定常性とを有する雑音の検出率を向上させることができる。
[実施形態2]
次に、実施形態2にかかる雑音検出装置2について説明する。実施形態2では、雑音の有無を判定する際に、任意の周波数を基本周波数として、この基本周波数の定数倍となる周波数を検出する。また、実施形態2では、基本周波数の定数倍として検出された周波数のみをカウントする。これより、基本周波数の定数倍の周波数において定常的な雑音となるハムノイズに対して、雑音検出の精度を上げることができる。
<機能構成>
図6は、実施形態2にかかる雑音検出装置2の主要機能構成の一例を示すブロック図である。図6に示す機能において、図3に示す機能と同様のものは同じ符号を付し、その説明を省略する。
図6に示すように、雑音検出装置2は、時間・周波数変換手段11、パワースペクトル算出手段12、ピーク定常性算出手段13、パワー定常性算出手段14、判定手段21を含む。以下、判定手段21について説明する。
判定手段21は、倍音判定手段211、所定値判定手段212を含む。倍音判定手段211は、任意の周波数を基本周波数と推定し、ピーク定常性算出手段13、又はパワー定常性算出手段14により算出された周波数の中から基本周波数の定数倍となる周波数があるか否かを判定する。任意の周波数は、ピーク定常性算出手段13、又はパワー定常性算出手段14により算出された周波数のうち、例えば一番低い周波数を設定する。
なお、交流電源等で発生するハムノイズを検出したい場合は、任意の周波数を、日本の商用電源の周波数である50Hz及び/又は60Hzに予め設定しておけばよい。また、任意の周波数は複数設定されてもよい。
所定値判定手段212は、倍音判定手段211により基本周波数の定数倍であると判定された周波数の数をカウントし、このカウント値が所定値以上であるか否かを判定する。これより、ハムノイズのような基本周波数の倍音にピーク及びパワーの定常性を有する雑音に対して、より的確に雑音検出を行うことができる。
<動作>
次に、実施形態2にかかる雑音検出装置2の動作について説明する。図7は、雑音検出装置2の雑音検出処理の一例を示すフローチャートである。図7に示す処理において、図5に示す処理と同様の処理を行うものは同じ符号を付し、その説明を省略する。
ステップS21において、判定手段21(倍音判定手段211)は、ピーク定常性算出手段13、又はパワー定常性算出手段14により算出された周波数の中から基本周波数の定数倍となる周波数があるか否かを判定する。ステップS21において、判定結果がYES(基本周波数の定数倍となる周波数がある)の場合はステップS22に進み、判定結果がNO(基本周波数の定数倍となる周波数がない)の場合は処理を終了する。
基本周波数については任意の周波数を設定しておく。任意の周波数は、前述した通り、ピーク定常性算出手段13、又はパワー定常性算出手段14により算出された周波数のうち、例えば一番低い周波数を設定したり、日本の商用電源の周波数である50Hz及び/又は60Hzを設定したりする。
ステップS22において、判定手段21(所定値判定手段212)は、基本周波数の定数倍として検出された周波数の数をカウントする。
ステップS23において、判定手段21(所定値判定手段212)は、ステップS22においてカウントしたカウント値が所定値以上であるか否かを判定する。所定値は例えば10とする。以降の処理として、ステップS23によりYESと判定された場合、判定に用いられた周波数において、雑音が検出される。
以上、実施形態2によれば、ハムノイズのような基本周波数の倍音にピーク及びパワーの定常性を有する雑音に対して、より的確に雑音検出を行うことができる。また、雑音の基本周波数を決定しておかなくてもハムノイズの検出率を向上させることができる。
なお、所定値判定手段212は必ずしも設けなくてもよい。例えば、倍音判定手段211により基本周波数の定数倍である周波数が検出された場合は、検出された周波数においてハムノイズが存在すると判定すればよい。
[実施形態3]
次に、実施形態3にかかる雑音除去装置3について説明する。実施形態3では、雑音を検出した後に、検出した雑音を除去する。以下、実施形態1の判定手段15により判定された雑音を除去する場合について説明するが、実施形態2の判定手段21により判定された雑音でもよいことは言うまでもない。
<機能構成>
図8は、実施形態3にかかる雑音除去装置3の主要機能構成の一例を示すブロック図である。図8に示す機能において、図3に示す機能と同様のものは同じ符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すように、雑音除去装置3は、時間・周波数変換手段11、パワースペクトル算出手段12、ピーク定常性算出手段13、パワー定常性算出手段14、判定手段15、除去手段31を含む。以下、除去手段31について説明する。
除去手段31は、まず、判定手段15により雑音が存在すると判定された周波数のスペクトルを正弦波合成することにより、時間領域のノイズ信号を生成する。次に、除去手段31は、生成したノイズ信号の位相を反転させ、入力信号に加算する。これより、検出された雑音を除去した出力信号が得られる。
<動作>
次に、実施形態3にかかる雑音除去装置3の動作について説明する。図9は、雑音除去装置3の雑音除去処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理において、図5に示す処理と同様の処理を行うものは同じ符号を付し、その説明を省略する。
ステップ31において、除去手段31は、まず、ステップS18により雑音として検出された周波数におけるスペクトルを正弦波合成してノイズ信号を生成する。次に、除去手段31は、生成したノイズ信号の位相を反転させ、入力信号に加算する。
以上、実施形態3によれば、的確に検出された雑音を除去した出力信号を得ることができる。
また、前述した各実施形態で説明した雑音検出処理内容をコンピュータに実行させるためのプログラムとし、このプログラムをサーバ等からインストールして、コンピュータに実行させることにより前述した雑音検出処理を実現させることも可能である。
また、このプログラムを記録媒体(CD−ROMやSDカード等)に記録し、このプログラムが記録された記録媒体をコンピュータや携帯端末に読み取らせて、前述した雑音検出処理を実現させることも可能である。なお、記録媒体は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
図10は、雑音検出装置を適用した音声信号伝送システムの一例を示す図である。開示の雑音検出装置を音声信号伝送システムに適用することで、ネットワークを介して伝送された音声信号に対してハムノイズのような雑音の検出を的確に行うことができる。
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
なお、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
入力信号を周波数変換してスペクトルを算出する周波数変換手段と、
前記スペクトルから各周波数のパワーを算出するパワースペクトル算出手段と、
フレーム毎の前記各周波数のパワーのピークを用いて、該パワーのピークが定常的な周波数を算出するピーク定常性算出手段と、
フレーム毎の前記各周波数のパワーの大きさを用いて、該パワーの大きさが定常的な周波数を算出するパワー定常性算出手段と、
前記ピーク定常性算出手段により算出された周波数と前記パワー定常性算出手段により算出された周波数とを用いて、周波数領域におけるピーク及びパワーの定常性を有する雑音の有無を判定する判定手段と
を備える雑音検出装置。
(付記2)
前記判定手段は、
前記ピーク定常性算出手段、又は、前記パワー定常性算出手段の少なくともいずれか一方により算出された周波数の総数が所定値以上あるか否かを判定する所定値判定手段を有し、
前記所定値判定手段により前記所定値以上あると判定された場合に、前記雑音が有ると判定する付記1記載の雑音検出装置。
(付記3)
前記所定値判定手段は、
前記ピーク定常性算出手段により算出された周波数と前記パワー定常性算出手段により算出された周波数のうち、任意の周波数の定数倍となる周波数のみカウントする付記2記載の雑音検出装置。
(付記4)
前記パワー定常性算出手段は、
前記パワーの大きさの分布に第1閾値以上の偏りがある周波数を、前記パワーの大きさが定常的な周波数とする付記1乃至3いずれか一項に記載の雑音検出装置。
(付記5)
前記パワー定常性算出手段は、
前記分布に最も偏りがあるパワーの大きさが第2閾値以上の場合にのみ、前記パワーの大きさが定常的であるとする付記4記載の雑音検出装置。
(付記6)
前記ピーク定常性算出手段は、
同じ周波数において前記パワーが極大値をとるフレーム数が第3閾値以上ある場合に、前記極大値における周波数を前記パワーのピークが定常的な周波数とする付記1乃至5いずれか一項に記載の雑音検出装置。
(付記7)
前記ピーク定常性算出手段は、
前記パワーが周囲の周波数のパワーと比べて第4閾値以上大きい場合にのみ、前記ピークとする付記6に記載の雑音検出装置。
(付記8)
前記ピーク定常性算出手段は、
前記パワーの大きさが第5閾値以上大きい場合にのみ、前記ピークとする付記6又は7に記載の雑音検出装置。
(付記9)
入力信号を周波数変換してスペクトルを算出する周波数変換手段と、
前記スペクトルから各周波数のパワーを算出するパワースペクトル算出手段と、
フレーム毎の前記各周波数のパワーのピークを用いて、該パワーのピークが定常的な周波数を算出するピーク定常性算出手段と、
フレーム毎の前記各周波数のパワーの大きさを用いて、該パワーの大きさが定常的な周波数を算出するパワー定常性算出手段と、
前記ピーク定常性算出手段により算出された周波数と前記パワー定常性算出手段により算出された周波数とを用いて、周波数領域におけるピーク及びパワーの定常性を有する雑音の有無を判定する判定手段と
前記判定手段により雑音有りと判定された場合、判定に用いられた周波数におけるスペクトルを正弦波合成して雑音信号を合成する合成手段と、
前記合成手段により合成された雑音信号の位相を反転して入力信号に加算する加算手段と
を備える雑音除去装置。
(付記10)
入力信号を周波数変換してスペクトルを算出する周波数変換段階と、
前記周波数変換段階により変換されたスペクトルから各周波数のパワーを算出するパワースペクトル算出段階と、
前記パワースペクトル算出段階によりフレーム毎に算出された各周波数のパワーのピークを用いて、該パワーのピークが定常的な周波数を算出するピーク定常性算出段階と、
前記パワースペクトル算出段階によりフレーム毎に算出された各周波数のパワーの大きさを用いて、前記パワーの大きさが定常的な周波数を算出するパワー定常性算出段階と、
前記ピーク定常性算出段階により算出された周波数と前記パワー定常性算出段階により算出された周波数とを用いて、周波数領域におけるピーク及びパワーの定常性を有する雑音の有無を判定する判定段階と
を有する雑音検出方法。
ハムノイズを検出できない例を示す図である。 ハムノイズの周波数領域におけるスペクトルを示す図である。 実施形態1にかかる雑音検出装置1の主要機能構成の一例を示すブロック図である。 ハムノイズ成分が存在する周波数におけるパワー分布の一例を示す図である。 雑音検出装置1の雑音検出処理の一例を示すフローチャートである。 実施形態2にかかる雑音検出装置2の主要機能構成の一例を示すブロック図である。 雑音検出装置2の雑音検出処理の一例を示すフローチャートである。 実施形態3にかかる雑音除去装置3の主要機能構成の一例を示すブロック図である。 雑音除去装置3の雑音除去処理の一例を示すフローチャートである。 雑音検出装置を適用した音声信号伝送システムの一例を示す図である。
符号の説明
1、2、3 雑音検出装置
4 雑音除去装置
11 時間・周波数変換手段
12 パワースペクトル算出手段
13 ピーク定常性算出手段
14 パワー定常性算出手段
15、21 判定手段
31 除去手段
151、212 所定値判定手段
211 倍音判定手段

Claims (7)

  1. 入力信号を周波数変換してスペクトルを算出する周波数変換手段と、
    前記スペクトルから各周波数のパワーを算出するパワースペクトル算出手段と、
    フレーム毎の前記各周波数のパワーのピークを用いて、該パワーのピークが定常的な周波数を算出するピーク定常性算出手段と、
    フレーム毎の前記各周波数のパワーの大きさを用いて、該パワーの大きさが定常的な周波数を算出するパワー定常性算出手段と、
    前記ピーク定常性算出手段により算出された周波数と前記パワー定常性算出手段により算出された周波数とを用いて、周波数領域におけるピーク及びパワーの定常性を有する雑音の有無を判定する判定手段と
    を備える雑音検出装置。
  2. 前記判定手段は、
    前記ピーク定常性算出手段、又は、前記パワー定常性算出手段の少なくともいずれか一方により算出された周波数の総数が所定値以上あるか否かを判定する所定値判定手段を有し、
    前記所定値判定手段により前記所定値以上あると判定された場合に、前記雑音が有ると判定する請求項1記載の雑音検出装置。
  3. 前記所定値判定手段は、
    前記ピーク定常性算出手段により算出された周波数と前記パワー定常性算出手段により算出された周波数のうち、任意の周波数の定数倍となる周波数のみカウントする請求項2記載の雑音検出装置。
  4. 前記パワー定常性算出手段は、
    前記パワーの大きさの分布に第1閾値以上の偏りがある周波数を、前記パワーの大きさが定常的な周波数とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の雑音検出装置。
  5. 前記パワー定常性算出手段は、
    前記分布に最も偏りがあるパワーの大きさが第2閾値以上の場合にのみ、前記パワーの大きさが定常的な周波数とする請求項4記載の雑音検出装置。
  6. 前記ピーク定常性算出手段は、
    同じ周波数において、前記パワーが極大値をとるフレーム数が第3閾値以上ある場合に、前記極大値における周波数を前記パワーのピークが定常的な周波数とする請求項1乃至5いずれか一項に記載の雑音検出装置。
  7. 入力信号を周波数変換してスペクトルを算出する周波数変換段階と、
    前記周波数変換段階により変換されたスペクトルから各周波数のパワーを算出するパワースペクトル算出段階と、
    前記パワースペクトル算出段階によりフレーム毎に算出された各周波数のパワーのピークを用いて、該パワーのピークが定常的な周波数を算出するピーク定常性算出段階と、
    前記パワースペクトル算出段階によりフレーム毎に算出された各周波数のパワーの大きさを用いて、前記パワーの大きさが定常的な周波数を算出するパワー定常性算出段階と、
    前記ピーク定常性算出段階により算出された周波数と前記パワー定常性算出段階により算出された周波数とを用いて、周波数領域におけるピーク及びパワーの定常性を有する雑音の有無を判定する判定段階と
    を有する雑音検出方法。
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