JPH07283860A - ノイズ除去装置 - Google Patents

ノイズ除去装置

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JPH07283860A
JPH07283860A JP6869294A JP6869294A JPH07283860A JP H07283860 A JPH07283860 A JP H07283860A JP 6869294 A JP6869294 A JP 6869294A JP 6869294 A JP6869294 A JP 6869294A JP H07283860 A JPH07283860 A JP H07283860A
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JP
Japan
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noise
acoustic
steady
state
stationarity
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JP6869294A
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Susumu Kanba
進 神庭
Kimio Miseki
公生 三関
Masami Akamine
政巳 赤嶺
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 騒音など有用な情報に乏しい音響ノイズは除
去し、人の声や音楽など話者のいる周囲の雰囲気を伝え
得るような有用な音響ノイズは抑圧せずに伝送できるノ
イズ除去装置を提供すること。 【構成】 本発明のノイズ除去装置は、入力音声信号に
重畳している音響ノイズを除去する除去能力可変のノイ
ズ除去手段105と、前記音響ノイズの定常性の有無を
判定する判定手段102,103と、この判定手段の判
定結果に基づいて、前記ノイズ除去手段のノイズ除去能
力を、前記音響ノイズの定常性が無いと判定された場合
の除去能力が定常性があると判定された場合の除去能力
より弱くなるように制御する制御手段104とを備える
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノイズ除去装置に係わ
り、特に有線電話装置や自動車電話装置、携帯電話装
置、あるいはコードレス電話装置などの音声通信装置に
おいて、送話口で重畳する音響ノイズを除去するために
用いられるノイズ除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】以下の説明において、信号の性質の1つ
である「定常性」については、数百ミリ秒から数秒の時
間間隔で見たときのものを扱うものとする。また、音声
信号処理の分野では上記時間間隔よりもはるかに短い数
十ミリ秒程度の時間間隔での定常性がしばしば論じられ
るので、これと区別する目的で、数百ミリ秒から数秒の
時間間隔で見たときの定常性に対して、「長期定常性」
「長期的に定常」などといった「長期」という表現を含
む語句を用いている。
【0003】昨今、音声通信装置は様々な環境下で使用
されるようになり、使用環境によっては、送信側におい
て話者の音声の他に種々の音響ノイズが混入する場合が
多々あり、音声信号中から音響ノイズを除去するノイズ
除去装置の有用性が高まっている。
【0004】一般的に、従来のノイズ除去装置では、ノ
イズ信号から該ノイズを生成するシステムのパラメータ
(例えば線形予測係数)を抽出し、これを利用してノイ
ズを除去している。また、音響ノイズの生成システムパ
ラメータを求める際は、いかなるノイズも全て除去の対
象としている。ノイズを除去する具体的な方法について
は、電子情報通信学会編「ディジタル信号処理ハンドブ
ック」(文献1)(特に、第9章,第203頁)等に記
載されている他、数多くの方法が知られている。
【0005】ところで、音響ノイズはその性質上、長期
的な定常性を有するノイズと非定常なノイズに分類され
る。長期的に定常な音響ノイズとしては、例えば自動車
電話の使用時に混入する自動車のエンジン音や風切り音
などがこれに当たる。非定常的な音響ノイズとしては、
例えば公衆電話の使用時における話者の周囲にいる他人
の声や背景で流れる音楽などが相当する。
【0006】まず、エンジン音や風切り音のごとき長期
的に定常な音響ノイズは、通話の初期段階では使用場所
に関する情報を伝えているため有用である場合もあろう
が、時間が経つにつれ返って騒音として通話の妨げにな
ってくるものである。すなわち、この種のノイズは、そ
の性質上たかだか話者のいる場所あるいは環境を聞き手
に把握させる以外の情報に乏しく、除去されるべき対象
であることの方が多い。
【0007】一方、話者の周囲にいる他人の声や音楽の
ごとき長期的に非定常な音響ノイズは、通話の内容には
直接関係ないものの、話者がいる場所やそこの雰囲気の
変化を伝える重要な情報源の一種としてとらえることが
できる。特に、公衆電話や携帯電話では使用場所が不特
定であるため、通話の形はとらないが使用場所に関する
情報が伝わる点で大きな意味がある。
【0008】しかしながら、従来のノイズ除去装置で
は、音響ノイズそのものの長期的な定常性は考慮せずに
音響ノイズを全て除去の対象にするので、上述のエンジ
ン音や風切り音のごとき音響ノイズの除去にともなっ
て、後者の有用な情報をも除去してしまう不具合があっ
た。
【0009】さらには、従来のノイズ除去装置では、話
者以外の人の話し声が重畳している場合に、それを除去
すべきノイズとしてノイズ除去処理を行うと、両者とも
人間の音声として生成過程が同一であるため、ノイズ除
去処理は却って話者の音声品質に悪影響を与える場合が
あるという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来のノイズ除去装置では、ノイズ除去処理の際に音響ノ
イズの性質を考慮せずに、話者以外の音はすべて除去の
対象として画一的に処理していた。このため、有用であ
る長期的に非定常なノイズも除去され、話者が存在する
場所あるいは環境に関する情報が乏しくなるという不具
合があった。また、伝送すべき通話音声にまでノイズ除
去処理の影響が及んで品質が低下する場合があるという
問題があった。
【0011】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、騒音など有用な情報に乏しい音響ノイズは除
去し、人の声や音楽など話者のいる周囲の雰囲気を伝え
得るような有用な音響ノイズは抑圧せずに伝送できるノ
イズ除去装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るノイズ除去
装置は、入力音声信号に重畳している音響ノイズを除去
する除去能力可変のノイズ除去手段と、前記音響ノイズ
の定常性の有無を判定する判定手段と、この判定手段の
判定結果に基づいて、前記ノイズ除去手段のノイズ除去
能力を、前記音響ノイズの定常性が無いと判定された場
合の除去能力が定常性があると判定された場合の除去能
力より弱くなるように制御する制御手段とを備えること
を特徴とする。
【0013】また、前記制御手段は、前記音響ノイズの
定常性がない場合、前記ノイズ除去手段が前記音響ノイ
ズの除去をしないように制御するように構成しても良
い。また、好ましくは、前記判定手段は、前記音響ノイ
ズの定常性を、時間毎のスペクトルの相関または類似度
によって判定しても良い。また、好ましくは、前記判定
手段は、前記音響ノイズの定常性を、短時間スペクトル
単体またはその移動平均の相関または類似度によって判
定しても良い。
【0014】
【作用】本発明によれば、ノイズ除去手段の音響ノイズ
除去能力を可変にするとともに、話者音声に重畳する音
響ノイズの定常性の有無を判定手段によって判定し、音
響ノイズの定常性がある場合は高いノイズ除去能力で音
響ノイズを除去し、一方、音響ノイズの定常性がない場
合は弱いノイズ除去能力で音響ノイズを除去する。ある
いは、定常性がない場合は音響ノイズの除去を停止す
る。
【0015】従って、定常性を有しない話者のいる場所
あるいは環境に関する情報としての有用な音響ノイズは
抑圧せずに伝えることができ、また伝送すべき通話音声
までノイズ除去処理の影響を及ぼして品質を低下させる
という問題を回避することができる。さらに、除去すべ
き騒音であることが多い長期的に定常なノイズは、高い
ノイズ除去能力をもって取り除くことができる。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例を
説明する。図1に、本発明の一実施例に係るノイズ除去
装置の基本的な構成を示す。本実施例のノイズ除去装置
は、入力音声信号にノイズ除去処理を施すノイズ除去能
力可変のノイズキャンセラ105、入力音声信号が有音
であるか/無音であるかを判定する有音/無音判定部1
02、無音時の入力音声信号の長期的な定常性の有無を
判定する定常性判定部103、および上記各判定結果に
基づいてノイズキャンセラ105のノイズ除去能力を制
御する制御部104を備えている。
【0017】ノイズキャンセラ105は、例えば良く知
られたカルマンフィルタ等を用いて構成され、所定のパ
ラメータを調整することによってノイズ除去能力を変え
ることが可能である。
【0018】図1の音声信号入力端子101から入力さ
れた入力音声信号は、ノイズ除去処理が施された後、音
声信号出力端子106から出力される。以下、このノイ
ズ除去処理について説明する。
【0019】有音/無音判定部102は、音声信号入力
端子101から入力された入力音声信号が有音であるか
/無音であるかを判定する。この判定は、例えば入力音
声信号のパワーと予め設定されたしきい値との比較によ
り行われる。
【0020】まず、入力音声信号が無音であると判定さ
れた場合、入力音声信号は音響ノイズのみ含むものとし
て扱う。この場合、定常性判定部103は、入力音声信
号を用いて、ノイズキャンセラ105を作動させるため
のパラメータの抽出や音情報の分類を行う。音情報の分
類では、入力音声信号が長期的に定常か、あるいは長期
的に非定常かについての分類を行う。音声信号の定常性
の分類は、例えば時間毎のスペクトルの相関または類似
度によって行っても良いし、短時間スペクトル単体また
はその移動平均の相関または類似度によって行っても良
い。
【0021】定常性判定部103によって、音響ノイズ
が長期的に定常であると判定された場合、そのノイズは
通話の妨げとなる除去すべき騒音であるものとして扱
う。この場合、制御部104は、ノイズキャンセラ10
5を高い除去能力をもって作動させる。
【0022】一方、音響ノイズが長期的に非定常である
と判定された場合、制御部104は、ノイズキャンセラ
105に対し、既に無音と判定された期間において長期
的に定常と判定された場合に抽出したパラメータ(有用
でない音響ノイズを除去するためのパラメータ)のうち
最新のものを使用してノイズ除去を行うよう制御する。
ただし、制御部104は、ノイズキャンセラ105のノ
イズ除去能力をその時(長期的に定常と判定された場
合)に用いたノイズ除去能力よりも弱くするように制御
を行う。ここでノイズ除去能力を積極的に低減するの
は、長期的に非定常と判定されるノイズは、元々長期的
に非定常なノイズである場合と、ある定常なノイズに別
の長期的に非定常なノイズが重畳したものである場合が
あるからであり、上記制御によって前者の場合における
ノイズ除去処理による信号の品質低下を緩和することが
できる。なお、上記のようにノイズ除去能力を弱くする
代わりに、ノイズ除去を行わないようにしても良い。
【0023】次に、有音/無音判定部102において入
力信号が有音であると判定された場合は、入力音声信号
には話者の音声に音響ノイズが重畳しているものとして
扱う。
【0024】この場合、音響ノイズ自体の定常性を調べ
ることができないので、制御部104は、最新の無音時
の定常性判定結果に従ってノイズキャンセラ105の制
御を行う。
【0025】すなわち、定常性判定部103による最新
の無音時の定常性判定結果が「長期的に定常」であった
場合は、最も新しく無音期間において長期的に定常的と
判定された場合に抽出されたパラメータを使用し、入力
音声信号に対して高いノイズ除去能力によるノイズ除去
を行わせる。
【0026】また、定常性判定部103による最新の無
音時の定常性判定結果が「長期的に非定常」であった場
合は、最も新しく無音期間において長期的に定常である
と判定された場合に抽出されたパラメータを使用し、入
力音声信号に対して弱いノイズ除去能力によるノイズ除
去を行わせ、あるいはノイズ除去を行わないようにす
る。
【0027】以上のようにして、本実施例によれば、音
響ノイズの長期的な定常性を判定し、その判定結果に基
づいたノイズ除去処理を行うので、長期的な非定常性を
有する音響ノイズに対するノイズ除去能力を弱めて(あ
るいはノイズ除去を行わずに)、話者のいる場所の雰囲
気を伝える等、話者のいる場所に関する情報を与えるこ
とができるとともに、伝送すべき通話音声までノイズ除
去処理の影響を及ぼして品質を低下させるという問題を
回避することができる。
【0028】さらに、除去すべき騒音であることが多い
長期的な定常性を有するノイズに対しては、従来通り高
いノイズ除去能力を保つことができる。次に、上記した
ノイズ除去装置について、特に各ブロックの構成・動作
をより詳細に説明する。なお、ここでは、入力音声信号
は1フレーム毎に処理されるものとして説明する。
【0029】図2には、本実施例のより詳細なブロック
図を示す。このノイズ除去装置は、入力音声信号バッフ
ァ202、有音/無音判定部203、定常性判定部20
4、制御部211、ノイズキャンセラ212を備えてい
る。
【0030】有音/無音判定部203は、図1の有音/
無音判定部102に相当するものであり、パワー算出器
205、パワー比較器206からなる。定常性判定部2
04は、図1の定常性判定部103に相当するものであ
り、LPC分析器207、移動平均算出器208、距離
計算部209、距離比較器210からなる。
【0031】また、制御部211は、図1の制御部10
4に相当する。上記構成において、まず、音声信号入力
端子201から、サンプリングされた音声信号系列が1
フレーム分ずつ逐次入力され、入力音声信号バッファ2
02に蓄積される。
【0032】バッファ202に蓄積された入力音声信号
は、ノイズキャンセラ212、有音/無音判定部203
および定常性判定部204に与えられる。有音/無音判
定部203は、入力音声信号のパワーを計算し、パワー
のレベルによって有音/無音を判定する。まず、入力さ
れた1フレーム分の入力音声信号のパワーP(n)(n
はフレームの番号)がパワー算出器205で計算され
る。パワー比較器206では、内部に予め設定されてい
る閾値Pthとこの算出されたパワーP(n)とが比較さ
れる。入力音声信号のパワーP(n)が閾値Pthよりも
小さい場合は音声信号は無音区間と判定され、閾値Pth
よりも大きい場合は有音区間と判定される。この判定結
果は、定常性判定部204へ出力される。
【0033】定常性判定部204は、現フレームが無音
区間すなわち音響ノイズ区間である場合、過去の音響ノ
イズ区間の入力音声信号との相関を調べることにより、
入力音声信号の定常性を判定する。
【0034】長時間の相関を調べる方法としては、所定
の時間分の入力音声信号のサンプルを蓄積しておき、こ
れを用いて直接相関係数を求める方法を用いることがで
きる。ただしこの方法は、対象とする時間間隔が数百ミ
リ秒〜数秒である場合には、遅延や演算量の面から実際
的でない。
【0035】そこで、本実施例では、短時間窓分析によ
り過去の分の短時間スペクトルを複数求め、これらと現
フレームで求められた短時間スペクトルまたは現フレー
ムを含む短時間スペクトル複数個分との間の類似度を長
時間の相関の代わりに用いて長期定常性の強さを判定す
る方法を用いる。類似度としては、誤差や距離などを用
いることができる。類似度を調べる方法には、複数の短
時間スペクトルの平均と比較する方法や、あるいは各々
そのまま保存しておき逐一類似度を比較する方法があ
る。短時間スペクトルは分析窓長程度(通常10〜40
ミリ秒)の遅延で得られるため、上記の相関係数を直接
求める方法に比べて、遅延が小さいという利点もある。
短時間スペクトルとしては、LPC係数やLPCケプス
トラム、あるいはパワーを正規化したスペクトラム等が
使用できる。相関をとる最長の時間間隔は、使用状況に
応じて適宜設定すると効果的である。
【0036】この実施例では一例として、現フレームお
よび過去数フレーム分のLPC係数の移動平均と過去の
フレームのみで算出した移動平均の相互の距離を求める
ことによって、長期定常性の強さを判定する方法を示
す。以下、この定常性判定部204による判定処理につ
いて説明する。
【0037】まず、LPC分析器207は、入力音声信
号バッファ202より入力された1フレーム分の入力音
声信号に対し、p次のLPC分析を行いLPC係数ci
(n)(i=1〜p)を求める。
【0038】前述の有音/無音判定部203による有音
/無音判定結果が無音である場合、移動平均算出器20
8において現フレームおよび過去M−1フレーム分のL
PC係数の移動平均値Ci (i=1〜p)を次式によっ
て求める。
【0039】
【数1】
【0040】ここで、wi (m)(i=1〜p,m=0
〜M−1)は重み係数であり、nkは無音の判定時のフ
レームの番号を指す。すなわち、ci (nk )は全て、
無音の判定が出たフレームのLPC係数を指す。
【0041】次に、LPC係数距離算出器209で、C
i をp次元空間上の点(C1 ,…,Cp )と見なしたと
きの、LPC係数の最新の過去の移動平均値C0i(i=
1〜p)との距離Dが、次式に従って計算される。ここ
で、C0iは具体的には最新の過去Mフレーム分のLPC
係数ci (nk-M )〜ci (nk-1 )に対する移動平均
値である。
【0042】
【数2】
【0043】次に、距離Dは距離比較器210へ出力さ
れ、距離比較器210内部に予め設定されている閾値D
thと比較される。距離Dが閾値Dthよりも低い場合は入
力音声信号バッファ202に格納されている音声信号は
定常的と判定され、閾値Dthよりも高い場合は非定常的
と判定される。この判定結果は、制御部211へ出力さ
れる。
【0044】制御部211は、定常性判定部204の判
定結果をもとに、ノイズが長期的に定常的である場合は
ノイズキャンセラ212のノイズ除去能力を高くし、非
定常的である場合は低くするように制御し、あるいはノ
イズ除去処理を行わないように制御する。
【0045】一方、入力音声信号が有音であると判定さ
れた場合は、前述したように制御部211は、最新の無
音時の定常性判定結果に従ってノイズキャンセラ212
の制御を行うことになる。
【0046】ここで、ノイズキャンセラ212で用いる
ノイズ除去の方式について説明する。ノイズ除去の方式
としては、例えばカルマンフィルタを用いる方法がある
(例えば“A speech enhancement method based on Kal
man filtering ”,K.K. Pliwaland Anjan Basu, IEEE I
nternational conference on acoustics, speech, and
signal processing, pp. 177-180, 1987 ;文献2)。
【0047】カルマンフィルタは、音声信号やノイズの
生成システムの伝達関数やその駆動音源信号の分散を用
いてノイズの除去を行う。音声信号やノイズのシステム
の分析をそれぞれ有音/無音の区間で行うことによっ
て、システムのパラメータを得ることができる(厳密に
は音声信号のシステムは近似的に得られる)。
【0048】文献2によれば、真値s(k)(雑音が重
畳していない場合の音声信号)、観測値y(k)(s
(k)に雑音が重畳した場合の値、すなわち入力音声信
号)、第1の推定値x(k|k-1)(y(0),…,y(k
−1)よりs(k)を推定した値)、第2の推定値x(k
|k)(y(0),…,y(k−1)およびy(k)より
s(k)を推定した値、すなわちノイズキャンセラ出
力)、およびカルマンゲインK(k)を用いて、次式の
ように第2の推定値x(k|k)を計算する。
【0049】
【数3】 ノイズの除去能力の調整は、例えばK(k)にλ(0≦
λ≦1)なる数を乗じた上でフィルタを作動させること
で実現することができる。
【0050】
【数4】
【0051】x´(k|k)と同時にx(k|k)も求
めてカルマンゲイン等の再帰式計算に用いるようにして
おくことにより、カルマンフィルタ自体の性能を劣化さ
せずに、ノイズ除去能力だけを制御することができる。
【0052】図3に、このような機能を有するノイズキ
ャンセラの例を示す。図のように、第1の推定値x(k|
k-1)算出器402、カルマンゲインλK(k) 乗算器40
3、カルマンゲインK(k) 算出/乗算器405、遅延器
406、減算器408、および加算器409,410を
用いて構成している。401が音声信号入力端子、40
4が音声信号出力端子である。
【0053】なお、本実施例では、ノイズキャンセラ2
12およびそのノイズ除去能力の制御法として、ここで
はカルマンフィルタおよびカルマンゲインを直接制御す
る方法を挙げたが、もちろんこれらに限定されるもので
はなく他の方式を使用しても良い。
【0054】以上のようにして、バッファ202からの
1フレーム分の入力音声信号に対してノイズキャンセラ
212にてノイズ除去が施され、有用でない音響ノイズ
の除去された音声信号が出力端213より出力する。
【0055】以後、同様の処理を、1フレーム分の入力
音声信号ごとに行っていく。このようにして、前述した
ような効果が得られるわけである。次に、本発明の他の
実施例について説明する。
【0056】図4には、本発明の他の実施例に係るノイ
ズ除去装置を示す。本実施例のノイズ除去装置は、音響
ノイズの長期的な定常性の有無を判定する定常性判定部
303および入力音声信号にノイズ除去処理を施すノイ
ズ除去能力がこの判定結果に応じて制御されるノイズキ
ャンセラ307を備えている。また、ノイズキャンセラ
307は、適応フィルタ304、ゲインコントローラ3
05、および減算器306からなる。
【0057】本実施例は前述した実施例と異なり、音声
信号入力端子301から、話者の音声を集音するための
マイクロフォンから得られた音声信号を入力するととも
に、参照入力端子302から、音響ノイズのみを集音す
るためのマイクロフォンから得られた参照信号を入力す
る。
【0058】定常性判定部303の内部構成は、前述し
た実施例における図2の定常性判定部204の内部構成
とほぼ同様であるが、入力端子302から定常性判定部
303に与えられるのは常に無音の参照信号であるの
で、図2と異なり定常性判定部303は外部から無音の
判定時のフレームの番号を示す情報を貰わずに、常に参
照信号を用いて音響ノイズの定常性の判定を行う構成に
なっている。
【0059】また、本実施例では、定常性判定部303
による定常性判定結果に応じてゲインコントローラ30
5のゲインを制御する機能を有する手段が必要である
が、これは、定常性判定部303の最終段に定常性判定
結果に応じてゲインコントローラ305のゲインを制御
する信号を生成する回路を設けることによって実現して
も良いし、定常性判定部303の定常性判定結果をその
ままゲインコントローラ305に与えるとともにゲイン
コントローラ305を定常性判定結果に応じて作動する
ように構成することによって実現しても良い。
【0060】ここで、入力端子301からの入力音声信
号には、話者の音声と音響ノイズが含まれ、入力端子3
02からの参照信号には音響ノイズのみが含まれるもの
と想定される。しかも、入力音声信号中の音響ノイズ
は、参照信号にある伝達関数を乗じたものであると想定
される。この前提の元に、ゲインコントローラ305の
ゲインを1倍としたときに、適応フィルタ304の伝達
関数を上記伝達関数と等価になるように設定すれば、減
算器306で入力音声信号から適応フィルタ304の出
力を引けば、話者の音声だけが抽出できるというのが、
本方式の基本的な原理である。ただし、このような処理
だけでは、ノイズの長期的な定常性を考慮したノイズ除
去処理はできない。
【0061】そこで、本実施例では、定常性判定部30
3とゲインコントローラ305を設けることによって、
ノイズの長期的な定常性を考慮したノイズ除去処理を行
うことを可能としているのである。
【0062】すなわち、公知の方法によって適応フィル
タ304のパラメータを設定した後、参照入力端子30
2からの参照信号に基づいて、定常性判定部303は、
ノイズの長期的な定常性を判定する。
【0063】この判定結果に応じ、ノイズが長期的な定
常性を有する場合には、ゲインコントローラ305のゲ
インは高く設定されノイズキャンセラ307のノイズ除
去能力を高くし、ノイズが長期的な非定常性を有する場
合には、ゲインコントローラ305のゲインを弱くある
いは0に設定してノイズキャンセラ307のノイズ除去
能力を抑える。
【0064】このように、本実施例によれば、音響ノイ
ズの長期的な定常性を判定し、その判定結果に基づいた
ノイズ除去処理を行うので、長期的な非定常性を有する
音響ノイズに対するノイズ除去能力を弱めて(あるいは
ノイズ除去を行わずに)、話者のいる場所の雰囲気を伝
える等、話者のいる場所に関する情報を与えることがで
きるとともに、伝送すべき通話音声までノイズ除去処理
の影響を及ぼして品質を低下させるという問題を回避す
ることができる。
【0065】さらに、除去すべき騒音であることが多い
長期的な定常性を有するノイズに対しては、従来通り高
いノイズ除去能力を保つことができる。なお、適応フィ
ルタ304の出力の制御には、上記のようにゲインコン
トローラ305のゲインを調整する他に、適応フィルタ
304のフィルタ係数を変える方法を採用することも可
能である。なお、この場合の構成および動作は自明であ
るので、詳細な説明は省略する。
【0066】ここで、上記各実施例において、入力音声
信号が長期的に非定常であると判断された場合に、ノイ
ズキャンセラのノイズ除去能力を低くするか、あるいは
従来通り高くするかを選択できる切替回路をさらに設け
ても良い。この場合、ノイズキャンセラのノイズ除去能
力を常に低くして環境の音響を伝え続ける使い方、会話
初期にはノイズキャンセラのノイズ除去能力を低くして
環境の音響を伝えておき、ある時間が経過した後はノイ
ズ除去能力を高くして話者の音声だけを伝えるといった
使い方、あるいは内容を忠実に伝えることを目的として
最初からノイズ除去能力を高くする使い方を利用者が目
的に応じて選択できるので、実用上便利である。
【0067】なお、本発明は、有線電話装置や自動車電
話装置、携帯電話装置、コードレス電話装置などの様々
な音声通信装置に適用することができる。また、本発明
は上述した各実施例に限定されるものではなく、その要
旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することがで
きる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、話
者音声に重畳する音響ノイズの長期定常性を判別し、そ
の結果音響ノイズの定常性が無い場合は高いノイズ除去
能力で音響ノイズを除去し、音響ノイズの定常性がある
場合は弱いノイズ除去能力で音響ノイズを除去しあるい
はノイズの除去を停止する。
【0069】従って、定常性を有する話者のいる場所あ
るいは環境に関する情報としての有用な音響ノイズは抑
圧せずに伝えることができ、また伝送すべき通話音声ま
でノイズ除去処理の影響を及ぼして品質を低下させると
いう問題を回避することができる。さらに、除去すべき
騒音であることが多い長期的に定常なノイズは、高いノ
イズ除去能力をもって取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の概略的な構成を示すブロッ
ク図
【図2】本発明の一実施例のより詳細な構成を示すブロ
ック図
【図3】ノイズキャンセラの一例を示すブロック図
【図4】本発明の他の実施例を示すブロック図
【符号の説明】
101…音声信号入力端子、102…有音/無音判定
部、103…定常性判定部、104…制御部、105…
ノイズキャンセラ、106…音声信号出力端子、201
…音声信号入力端子、202…入力音声信号バッファ、
203…有音/無音判定部、204…定常性判定部、2
05…パワー算出器、206…パワー比較器、207…
LPC分析器、208…移動平均算出器、209…距離
計算部、210…距離比較器、211…制御部、212
…ノイズキャンセラ、213…音声信号出力端子、30
1…音声信号入力端子、302…リファレンス用入力端
子、303…定常性判定部、304…適応フィルタ、3
05…ゲインコントローラ、306…減算器、307…
ノイズキャンセラ、308…音声信号出力端子、401
…音声信号入力端子、402…推定値x(k|k-1)算出
器、403…カルマンゲインλK(k) 乗算器、404…
音声信号出力端子、405…カルマンゲインK(k) 算出
/乗算器、406…遅延器、408…減算器、409,
410…加算器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力音声信号に重畳している音響ノイズを
    除去する除去能力可変のノイズ除去手段と、 前記音響ノイズの定常性の有無を判定する判定手段と、 この判定手段の判定結果に基づいて、前記ノイズ除去手
    段のノイズ除去能力を、前記音響ノイズの定常性が無い
    と判定された場合の除去能力が定常性があると判定され
    た場合の除去能力より弱くなるように制御する制御手段
    とを備えることを特徴とするノイズ除去装置。
JP6869294A 1994-04-06 1994-04-06 ノイズ除去装置 Pending JPH07283860A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7590524B2 (en) 2004-09-07 2009-09-15 Lg Electronics Inc. Method of filtering speech signals to enhance quality of speech and apparatus thereof
JP2010154092A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Fujitsu Ltd 雑音検出装置及び雑音検出方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7590524B2 (en) 2004-09-07 2009-09-15 Lg Electronics Inc. Method of filtering speech signals to enhance quality of speech and apparatus thereof
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