本実施形態の情報処理装置100は、入力されたスケジュールに応じて、ユーザが予定された行動を実際に開始できる時刻を算出する。
本実施形態では、このような情報処理装置100を含む案内情報提供システム10000を例にして説明する。
図1は、案内情報提供システム10000の構成例を示す図である。図1に示すように、案内情報提供システム10000は、車両に搭載されたスケジュール管理装置2000と、車載装置Aを備える。
さらに、この車載装置Aは、スケジュール管理装置2000と相互に情報の授受を行う車載の情報処理装置100と、この情報処理装置100と相互に情報の授受を行うナビゲーション装置100と、車両コントローラ4000とを備える。
まず、ユーザの予定が記録されるスケジュール管理装置2000について説明する。
スケジュール管理装置2000は、ユーザにより予定された行動の実行場所を少なくとも含むスケジュール情報を管理する。本実施形態のスケジュール管理装置2000は、ユーザにより予定された行動の実行場所(「施設A」の「会議室Q」)とともに、予定された行動の開始時間(「P年M月N日」「午前K時」)と、その行動に関して連絡をする場合の連絡先(「電話番号」、「電子メールアドレス」)とを含むスケジュール情報を管理する。
このスケジュール情報は、図示しないスケジュール管理装置2000の入力デバイスを介して入力される。本実施形態のスケュール管理装置2000は、入力、記憶、編集、ソート、抽出、表示といった一般的に知られているスケジューラの機能を備え、通信機能により情報処理装置100と相互に情報の授受を行う。
スケジュール管理装置2000の態様は特に限定されないが、本実施形態のスケジュール管理装置2000は、時間と場所を選ぶことなくスケジュール情報を入力できるものであることが好ましい。たとえば、スケジュール管理装置2000は、ユーザごとに一のスケジュール情報が一元的に管理し、インターネットを通じて閲覧・編集が可能できるものであることが好ましい。また、スケジュール管理装置2000は、ユーザが携帯可能なPDA(Personal Digital Assistant)、PND(Personal Navigation Device)、携帯電話などの小型コンピュータであり、それらが備えるスケジュール管理機能を利用するものであって、無線通信機能を介してスケジュール情報を送出できるものであってもよい。
このように、スケジュール管理装置2000は、車載装置Aに搭載されてもよいし、車載装置Aの情報処理装置100内に組み込んでもよいし、インターネットなどの通信網を介して情報の入出力が可能なサーバ上に構築してもよい。
次に、車載装置Aについて説明する。本実施形態の車載装置Aは、情報処理装置100と、ナビゲーション装置1000と、車両コントローラ4000とを備える。この情報処理装置100は、同じ車両に搭載されたナビゲーション装置1000、及び車両コントローラ4000と情報の授受を行う。
また、情報処理装置100は、通信ネットワークを介して、電話や電子メール等により外部装置3000と相互に情報の授受を行う。
この外部装置3000は、車両に搭乗するユーザの連絡先側の通信装置である。外部装置3000は、図1に示す外部装置Aのように、予定された行動を実行する実行場所に設置されたコンピュータ(例えば、会議室近傍のコンピュータ)であってもよいし、外部装置Bのように、予定された行動をともに実行する他人が携帯する携帯電話(例えば、会議メンバの携帯電話)であってもよい。
<第1実施形態>
以下、図面に基づいて第1実施形態について説明する。
図2は、第1実施形態に係る情報処理装置100を含む車載のナビゲーション装置1000のブロック構成の一例、スケジュール管理装置2000のブロック構成の一例、外部装置3000のブロック構成の一例を示す図である。
第一に、情報処理装置100を含むナビゲーション装置1000について説明する。
図2に示すように、本実施形態のナビゲーション装置1000は、情報処理装置100と、車両の現在位置を検出する現在位置検出装置200と、走行履歴301などの情報を記憶する記憶装置300と、地図情報400と、自車両の走行経路を探索する経路探索部500とを備える。ナビゲーション装置1000への情報の入力、及びナビゲーション装置100からの情報の出力は、入出力装置5000を介して行われる。
また、情報処理装置100は、ナビゲーション装置1000を構成する各部、並びに車両及び車載情報処理装置の情報を集中的に管理する車両コントローラ4000と情報の授受を行う。
これらの情報処理装置100、ナビゲーション装置1000、コントローラ4000、入出力装置5000は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続される。
なお、情報処理装置100、この情報処理装置100を含むナビゲーション装置1000、及び車両コントローラ4000、スケジュール管理装置2000、及び外部装置3000は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの動作回路を組み合わせて構成される。
以下、本実施形態の情報処理装置100が備える各構成と、それに関連する構成について説明する。
本実施形態の情報処理装置100は、スケジュール情報取得部10と、施設到着時間算出部30と、行動開始準備時間算出部40と、実行時刻算出部50と、情報作成部60と、通信部70とを備える。なお、特に限定されないが、施設到着時間算出部30と、行動開始準備時間算出部40と、実行時刻算出部50と、情報作成部60と、通信部70は、例えば、マイクロコンピュータとメモリから構成されて動作するプログラムや、それぞれの処理を回路として組み込んだASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成することができる。
まず、スケジュール情報取得部10について説明する。スケジュール情報取得部10は、通信機能11とスケジュール情報記憶機能12とを備え、ユーザにより予定された行動の実行場所を少なくとも含むスケジュール情報を取得する。
スケジュール情報取得部10の通信機能11は、外部に設けられたスケジュール管理装置2000から有線又は無線の通信手段を介して、スケジュール情報を取得する。
本実施形態のスケジュール情報取得部10が取得するスケジュール情報は、ユーザにより予定された行動の実行場所(「施設A」の「会議室Q」)とともに、予定された行動の開始時間(「P年M月N日午前K時」)と、その行動に関して連絡をする場合の連絡先(「電話番号」、「電子メールアドレス」)とを含む。
本実施形態のスケジュール情報取得部10のスケジュール情報記憶機能12は、取得したスケジュール情報に各予定を識別するための識別子を付して記憶する。
図3は、スケジュール情報の一例を示す図である。図3に示すように、ユーザにより予定された行動を開始する年月日、曜日、時間(例えば2007年5月18日(火曜日)午前9時30分と、予定された行動の実行場所(例えば施設Cの、会議室Z)と、その行動に関連づけられた連絡先(例えば電子メールアドレス99)と、その行動内容のカテゴリ(例えば商談J)とが対応づけて記憶されている。
スケジュール情報記憶機能12は、スケジュール情報を記憶するとともに、後述する施設到着時間算出部30と、行動開始準備時間算出部40のアクセス(情報の読み込み)を受け付ける。
次に、現在位置取得部20について説明する。現在位置取得部20は、車両の現在位置を取得する。本実施形態の現在位置取得部20は、ナビゲーション装置1000が備える現在位置検出装置200が検出した現在位置を取得する。実施形態の現在位置検出部200は、GPSシステム201を備え、測位衛星から発信される電波をGPSアンテナで受信し、自車両の現在位置を取得する。また、現在位置検出部200は、ジャイロセンサ及び車輪に取り付けられた距離センサから入力される測位データに基づいて累積計算法によって現在位置を推定する自律航法を用いて車両の位置を測位する。なお、車両の現在位置の表現態様は特に限定されず、緯度・経度、その他の地図座標に基づいて表現することができる。
また、現在位置検出装置200は、走行開始から走行終了までの走行ごとに現在位置と時間とを対応づけて走行履歴301に蓄積する。この走行履歴301は、情報処理装置100のアクセスを受け付ける。
次に、施設到着時間算出部30について説明する。施設到着時間算出部30は、アクセス可能な電子地図を含む地図情報400を参照し、取得された現在位置からスケジュール情報に含まれる実行場所が属する施設に到着するまでに要する施設到着時間を算出する。
具体的に、施設到着時間算出部30は、地図情報400を参照し、取得した現在位置に基づいて、現在位置から目的の場所を含む施設までの経路を探索する。
さらに施設到着時間算出部30は、予め地図情報400に記憶した経路の走行速度、又は車両コントローラ4000から取得した自車両の車速に基づいて、その経路を通過して目的の場所を含む施設までに要する時間を算出する。ちなみに、施設到着時間算出部30は、施設到着までの時間を算出するにあたり、自車両の車速を、車両コントローラ4000から車載LANを介して取得することができる。
また、このとき、VICSを介して渋滞情報を取得し、渋滞の状況を考慮して、目的の場所を含む施設に到着するまでにかかる時間を算出してもよい。また、施設到着時間算出部30は、ナビゲーション装置1000が備える経路探索部500により探索された経路を利用して、目的の場所を含む施設に到着するまでにかかる時間を算出してもよい。
続いて、行動開始準備時間算出部40について説明する。行動開始準備時間算出部40は、予め準備された施設に関する情報を含む施設情報80と、施設に到着したユーザが実行場所に至り、予定された行動を開始するまでに要する行動開始準備時間との対応関係41を参照し、予定された行動の実行場所を含む施設に到着してから行動の実行場所に至る行動開始準備時間を算出する。
予め準備された施設に関する情報を含む施設情報80は、アクセス可能な外部記憶装置に格納される。本実施形態では、施設情報80を専用の外部記憶装置に格納したが、情報処理装置100内に記憶してもよい。また、施設情報80を予め地図情報400に含め、行動開始準備時間算出部40は、施設情報を含む地図情報400を用いて、行動開始準備時間を算出してもよい。この場合、施設情報80は、地図情報400に含まれる施設IDに対応づけて記憶される。
施設情報80は、施設に到着してから、施設内の特定の場所(予定された行動が実行される場所)に到着するまでの時間に影響を与える情報である。施設情報80は、施設の識別子と、施設の規模、施設の広さ、施設の敷地の最長幅、施設の階層数、施設の入場管理ポイント数、施設の敷地平面図その他の施設に関する情報とを対応づけた情報とすることができる。
一般に、施設の規模が大きいほど、施設に到着してから施設内の特定の場所に到着するまでの時間は長くなる傾向がある。また、施設の敷地面積が広いほど、施設に到着してから施設内の特定の場所に到着するまでの時間は長くなる傾向がある。また、施設の敷地の最長幅が長いほど、施設に到着してから施設内の特定の場所に到着するまでの時間は長くなる傾向がある。また、施設の階層数が多いほど、施設に到着してから施設内の特定の場所に到着するまでの時間は長くなる傾向がある。また、施設の入場管理ポイント数が多いほど、施設に到着してから施設内の特定の場所に到着するまでの時間は長くなる傾向がある。本実施形態の施設情報80は、施設に到着してから施設内の特定の場所に到着するまでの時間に影響を与えると考えられる情報を施設ごとに整理した情報である。
図4は、施設情報80の一例を示す図である。図4に示すように、本実施形態の施設情報80においては、施設IDと施設の規模カテゴリ(規模の最も大きいものからXL、L、M,S、XS)とが対応づけられ、施設IDと施設の敷地面積(平米、坪数)とが対応づけられ、施設IDと施設の敷地の境界上の2点を結ぶ直線のうち、距離が最も長い最長距離とが対応づけられ、施設IDと施設の階層数とが対応づけられ、施設IDと施設の入場管理ポイント数とが対応づけられている。施設情報80は、これらのうち、いずれか一以上を含む。
本実施形態の施設情報80は、施設IDと施設の敷地の境界上の2点を結ぶ直線のうち距離が最も長い最長距離として、施設の敷地の境界に対応するポリゴンの最長対角線距離とが対応づけられた情報を含む。ポリゴンの最長対角線距離は、地図上にその施設の敷地の範囲や建造物の概形を表示するポリゴン(多角形)の対角線の長さのうち、最も長い対角線である。地図上にその施設の敷地の範囲や建造物の概形を表示するために用いられるポリゴン(多角形)の大きさは、施設の広さの指標として扱うことができる。
図5は、施設に対応するポリゴンの最長対角線距離Lの算出手法を説明するための図である。図5に示すように、敷地の境界を表すポリゴンPGと、その中に含まれ、4棟の建造物を示すポリゴンPG1〜PG4である。本例では、敷地の境界を表す敷地ポリゴンPGの各頂点の中で最も離れた2点間の距離(差し渡し径の距離)が最も長くなる最長対角線距離Lを求める。
施設の敷地の広さを求める手法は、図5に示す手法に限定されず、敷地ポリゴンを内包する最小の円の直径(距離)や、敷地ポリゴンと同じ面積の円の直径に基づいて判断することができる。すなわち、敷地ポリゴンを内包する最小の円の直径(距離)、敷地ポリゴンと同じ面積の円の直径を施設情報として施設IDと対応づけて記憶させてもよい。
行動開始準備時間算出部40は、この施設情報80と、施設に到着したユーザが実行場所に至り、予定された行動を開始するまでに要する行動開始準備時間との対応関係41を参照して行動開始準備時間を算出する。
対応関係41の態様は特に限定されず、予定された行動が実行される実行場所とその実行場所の施設の施設情報から、行動開始準備時間を導くことができる関係であればよい。
本実施形態の対応関係41は、規模や敷地面積その他の施設情報80の値と、ユーザが予定された行動の実行場所を含む施設に到着してから行動の実行場所に至るまでの時間との関係である。言い換えると、対応関係41は、ユーザが施設に到着してから実行場所に至るまでの時間を、施設情報ごとに分析した値である。
たとえば、敷地が広いほど施設に到着してから実行場所に至るまでの時間が長いという観点から、施設の敷地面積と施設に到着してから実行場所に至るまでの時間とを対応づけた関係を対応関係41とすることができる。また、敷地の面積が100平米増加するごとに、施設に到着してから実行場所に至るまでの時間の増加時間を対応づけた関係を対応関係41としてもよい。
図6は、対応関係41の一例を示す図である。図6に示す対応関係41は、施設の規模(規模カテゴリ)、施設の広さ(敷地面積)、施設の敷地の最長幅(ポリゴン最長対角線距離)、施設の階層数(階層数)、又は施設のセキュリティ手続き(入場管理ポイント数)を段階ごとに区別し、その段階ごとに行動開始準備時間を対応づけた情報である。たとえば、ポリゴン最長対角線距離が予め設定されたY9以上であるとき、施設到着から予定された行動の実行場所に至るまでの時間は15分とし、ポリゴン最長対角線距離が予め設定されたY6以上Y9未満であるとき、施設到着から予定された行動の実行場所に至るまでの時間は10分とし、ポリゴン最長対角線距離が予め設定されたY4以上Y6未満であるとき、施設到着から予定された行動の実行場所に至るまでの時間は8分とし、ポリゴン最長対角線距離が予め設定されたY2以上Y4未満であるとき、施設到着から予定された行動の実行場所に至るまでの時間は5分とし、ポリゴン最長対角線距離が予め設定されたY2未満であるとき、施設到着から予定された行動の実行場所に至るまでの時間は3分と定義する。
この対応関係41を参照すれば、ユーザが次に予定された行動の実行場所が属する施設の施設情報80に基づいて、施設到着から行動の実行場所に至るまでの行動開始準備時間を算出することができる。
さらに、図7は、対応関係41の他の例を示す図である。図7に示す対応関係41は、施設の規模(規模カテゴリ)、施設の広さ(敷地面積)、施設の敷地の最長幅(ポリゴン最長対角線距離)、施設の階層数(階層数)、又は施設のセキュリティ手続き(入場管理ポイント数)ごとに、単位規模あたりの準備時間、単位敷地面積あたりの準備時間、単位ポリゴン最長対角線距離あたりの準備時間、単位階層あたりの準備時間、単位入場管理ポイント数あたりの準備時間である。
この対応関係41を参照すれば、行動開始準備時間算出部40は、ユーザが次に予定された行動の実行場所が属する施設の施設情報に基づいて、施設に到着してから予定された行動の実行場所に至るまでの行動開始準備時間を算出することができる。
また、行動開始準備時間算出部40は、施設の規模(規模カテゴリ)、施設の広さ(敷地面積)、施設の敷地の最長幅(ポリゴン最長対角線距離)、施設の階層数(階層数)、又は施設のセキュリティ手続き(入場管理ポイント数)の対応情報41を、2つ以上組み合わせて、施設に到着してから予定された行動の実行場所に至るまでの行動開始準備時間を算出することができる。つまり、行動開始準備時間算出部40は、施設の広さ(敷地面積)の対応情報41から求めた行動開始準備時間と、施設の階層数(階層数)の対応情報41から求めた行動開始準備時間とを加算して行動開始準備時間を算出してもよい。さらに、行動開始準備時間算出部40は、セキュリティ手続き(入場管理ポイント数)の対応情報41から求めた行動開始準備時間を加算して行動開始準備時間を算出してもよい。
具体的に、行動開始準備時間算出部40は、予め準備された施設の敷地の広さと施設に到着してから予定された行動を開始できるまでに要する行動開始準備時間との対応関係41を参照し、ユーザが到着する施設の敷地の広さに基づいて、行動開始準備時間を算出することができる。
また、行動開始準備時間算出部40は、予め準備された施設の敷地の境界上の2点を結ぶ直線のうち、距離が最も長い最長距離(ポリゴン最長対角線距離)と施設に到着してから予定された行動を開始できるまでに要する行動開始準備時間との対応関係41を参照し、ユーザが到着する施設の敷地の広さに基づいて、行動開始準備時間を算出することができる。
さらに、行動開始準備時間算出部40は、予め準備された施設の階層数と施設に到着してから予定された行動を開始できるまでに要する行動開始準備時間との対応関係を参照し、施設情報80に含まれる施設の階層数に基づいて、行動開始準備時間を算出することができる。
さらにまた、行動開始準備時間算出部40は、予め準備された施設の入場管理のチェックポイントの数と施設に到着してから予定された行動を開始できるまでに要する行動開始準備時間との対応関係41を参照し、ユーザが到着する入場管理のチェックポイントの数に基づいて、行動開始準備時間を算出することができる。
また、本実施形態の行動開始準備時間算出部40は、準備時間延長部42をさらに備える。準備時間延長部42は、車両の走行履歴301を参照し、その車両がスケジュールにおいて行動が予定された施設内で停車したことが無い、すなわち、ユーザがその施設に行ったことがない場合は、算出した行動開始準備時間を延長する。
ユーザがその施設に行ったことがなく、初めてその施設を利用する場合、ユーザはその施設の建物の配置が分からず、迷ったり、遠回りをしてしまったりすることが考えられ、会議室に至るまでに時間がかかる可能性がある。また、ユーザが初めてその施設を利用する場合、セキュリティチェックの手法に慣れておらず、手続きにとまどうことが考えられ、会議室に至るまでに時間がかかる可能性がある。
このため、本実施形態では、ユーザが初めて施設を利用する場合には、施設に到着してから行動の実行場所(会議室)に到着するまでの時間を長く見積ることとし、行動開始準備時間を延長する。
これにより、ユーザがその施設を利用した経験が無い場合と、ユーザがその施設を利用したことがある場合のいずれの場合においても、ユーザが予定された行動を開始できるまでに要する行動開始準備時間を高い精度で算出することができる。
次に、実行時刻算出部50について説明する。実行時刻算出部50は、施設到着時間と行動開始準備時間とに基づいて、ユーザが予定された行動を実行場所で実行できる実行時刻を算出する。具体的には、予定された行動を実行する実行場所が含まれる施設(会社C)に到着するまでの施設到着時間と、その施設に到着してから実際に行動(商談)を実行する実行場所(会議室Z)に至るまでの行動開始準備時間とを加算して、ユーザが予定された行動を実際に実行できる実行時刻を算出する。
ちなみに、走行履歴301は、ナビゲーション装置100の記憶装置300に蓄積される。この走行履歴は車両の現在位置の経時的な変化を記録したものである。
続いて、情報作成部60について説明する。情報作成部60は、ユーザがスケジュールに記載された予定された行動の開始予定時間に遅刻する場合に、その施設情報に関連づけられた通信先に向けた、遅刻を伝える通信情報を作成する。その通信情報には、到着する予定時間を含めることが好ましい。遅刻する旨のみを連絡するよりも、いつ実行場所に至るか、すなわち行動を開始できる実行時刻を伝達する方が、相手の判断の助けになるからである。
具体的に、情報作成部60は、スケジュール情報取得部10を介して、ユーザにより予定された行動の実行場所と、その行動の開始予定時刻を含むスケジュール情報を得る。そして、情報作成部60は、実行時刻算出部50により算出された実行時刻と、スケジュール情報に含まれる開始予定時刻とを比較し、実行時刻と開始予定時刻との差が所定の遅刻閾値以上である場合は、実行時刻を含む通信情報を作成する。
遅刻閾値は予め定義しておくことが好ましい。遅刻閾値は任意に設定することができる。遅刻閾値は、正又は負の値を定義することができる。つまり、「開始予定時刻よりも5分前の時刻を過ぎたら遅刻」と判断するための遅刻閾値を設定してもよいし、「開始予定時刻よりも5分後の時刻を過ぎたら遅刻と判断する」ための遅刻閾値を設定してもよい。
さらに、情報作成部60は、遅刻閾値補正部61を備える。遅刻閾値補正部61は、過去における、実行時刻算出部50により算出された実行時刻とスケジュール情報に含まれる開始予定時刻との時間差を蓄積し、蓄積された時間差のバラツキに応じて遅刻閾値を補正する。
遅刻閾値補正部61は、所定期間における時間差のバラツキを求める。そして、遅刻閾値補正部61は、時間差のバラツキが所定の基準よりも大きい場合は、開始予定時間は厳格に守らなくてもよいと判断し、遅刻であると判断する基準を低くするため、遅刻閾値を補正する。補正された遅刻閾値を基準とすることにより、情報作成手段は、開始予定時間から多少遅れても、遅刻する旨を伝える通信情報を作成しない。
他方、時間差のバラツキが所定の基準よりも小さい場合は、開始予定時間は厳格に守るべきと判断し、遅刻であると判断する基準を厳しくするため、遅刻閾値を補正する。補正された遅刻閾値を基準とすることにより、情報作成手段は、開始予定時間から少しでも遅れると、遅刻する旨を伝える通信情報を作成する。
情報作成部60は、実行時刻算出部50から実行時刻を取得し、この実行時刻を含む通信情報を作成する。
情報作成部60により作成された通信情報は、通信部70を介して外部装置3000に送出される。
次に通信部70について説明する。通信部70は、情報作成部60により作成された通信情報を、予めスケジュール情報に関連づけられた外部装置3000の電子メールアドレス又は電話番号に宛て送出する。
本例の通信部70は、通信ネットワーク上に構成され外部装置3000との間の通信を行う広域通信機能を備える。通信部10は特に限定されず、携帯電話網、UWB(Ultra Wide Band)やDSRC(Dedicated Short Range Communication)などの無線LAN、地上波データ放送波、衛星放送波などを用いることができる。
本実施形態の通信部70は、通信機能を利用して、サーバ2000、外部装置3000と電話、電子メールによる通信を行う。通信部70は、メール送信機能71を有し、所定のアドレスデータに宛てた電子メールを送信する。また、通信部70は、自動発信機能72を有し、所定の電話番号に自動的に電話をかける。これにより、ユーザはフリーハンドフォンにより遅刻する旨を伝えることができる。また、自動発信機能72は、所定の電話番号に自動的に電話をかけ、電話が繋がったら合成音声情報を出力させてもよい。合成音声情報には、実行時刻を含ませることが好ましい。
このように、本実施形態の情報処理装置100は、算出された実行時刻と予定された行動の開始予定時刻とを比較し、遅刻すると判断された場合は、その旨又は行動の実行場所に至る実行時刻を自動的に伝達することができる。
続いて、図8のフローチャートに基づいて、以上のように構成された案内情報提供システム10000の動作制御手順を説明する。
情報処理装置100の起動に前後して、スケジュール管理装置2000は、ユーザからスケジュールの入力を受け付け(S2100)、入力されたスケジュール情報2020を記憶する(S2101)。スケジュール情報を記憶するスケジュール管理装置2000は、有線又は無線の通信機能2010を介して、情報処理装置100と情報の授受を行うことができる。
まず、ステップS100において、車両のエンジン始動が検知され、運転が開始されたと判断した場合は、ステップ101へ進む。
ステップS101において、スケジュール情報取得部10は、スケジュール管理装置2000側からスケジュール情報を取得する(S101)。取得するスケジュール情報は、例えば、図3に示すものであり、例えば、18日の火曜日は9:30〜11:30までC社の会議室Zで商談、というように、各予定された行動の開始予定時刻/終了時刻と、施設ID(識別子)、実行場所ID(識別子)、内容等が書き込まれる。さらに連絡先として、C社で会議をするC社の社員のメールアドレスを付してもよい。これは後段で遅延を連絡する連絡情報のメールを送信する際の送信先として利用される。
続く、ステップ102において、スケジュール情報取得部10は、これから実行するスケジュールを特定する(S102)。スケジュール情報取得部10は、スケジュール情報記憶機能12に記憶されたスケジュール情報を参照し、これからユーザ(車両)が向い、実行するスケジュールを選択する。スケジュール情報取得部10は、予定された行動の開始予定時刻のうち、現在時刻に最も近いスケジュールを選択する。例えば、本日が火曜日であり、現在時刻が8時15分であれば、約1時間後に予定されているC社との商談を、これから予定された行動のスケジュールとして選択する。
また、時間だけでなく位置的な条件も考慮してよい。スケジュール情報取得部10は、車両のナビゲーション装置100に目的地が設定された場合に、その目的地を行動の実行場所とするスケジュールを、これから予定されたスケジュールとして特定してもよい。
また、例えば、本日が水曜日であり、現在時刻が7時半であるときに、エンジンを始動した場合、図3に示すスケジュール情報において、現在時間との関係だけから見れば直近にあるH大学との打ち合わせをこれから予定されている行動として特定するのが妥当であるが、まだ予定まで5時間半あり、車両の現在位置からH大学までの所要時間が約2時間(距離が50Kmほど)であると判断された場合は、今、車を始動して向かう先がH大学である可能性は低い。このようなときは、このスケジュールは今から移動を開始する予定ではないと判断し、特定されるべき該当スケジュールは無いと判断してもよい。
さらに、各スケジュール情報に車の移動を伴うか否かの情報を付加し、これを判定条件に加えても良い。例えば、本日が21日であり、現在時刻が17:00である場合、直近の予定が18時30分からの「新人歓迎会」が予定された行動と判断できるが、この「新人歓迎会」のスケジュール情報に車で移動しない(本機能の対象外)との情報が付加されている場合は、21日の17時にエンジンを始動したとしても、直近の「新人歓迎会」を予定された行動のスケジュール情報として特定しない。
実行されるスケジュールが特定されたら、必要な情報を抽出する。具体的に、スケジュール情報取得部10は、特定されたスケジュール情報から、予定された行動の実行場所(実行場所を含む施設と、施設内の具体的な実行場所)、開始予定時刻、連絡先を読み出して記憶する。図3に示すスケジュール情報を例にすると、開始予定時刻は行動を開始する時刻であり、C社との商談の例では18日(火)の午前9時30分である。実行場所は、予定された行動が実際に行われる実行場所と、その実行場所を含む施設であり、C社との商談の例ではC社の会議室Zを特定する情報と、C社の社屋がある施設Cを特定する情報である。
自宅などの現在位置から車両を動かすときには、まずC社の社屋を含む施設が目的地となる。本実施形態の実行場所を含む施設の情報(施設のID)は、地図情報400において施設を特定する識別子(施設のID)を含む。実行場所に応じた識別子に基づいて、その施設の位置を地図情報400上で特定することができる。
また、スケジュール情報取得部10は、スケジュール情報に含まれる連絡先を取得する。この連絡先は予定された行動の関係者のメールアドレスであって、後述する遅延を連絡する連絡情報メールの送信先となる。この連絡先は複数設定することができる。連絡先が複数設定されている場合は、その代表となる一の連絡先を予め設定することもできるし、複数の連絡先の筆頭に記憶されている連絡先を、一の連絡先としてもよい。この連絡先は、施設ごとに特定されたものであってもよい。また、連絡先は設定しなくてもよい。
実行スケジュールの特定後、ステップS103に進む。ステップS103において、行動開始準備時間算出部40は、予定された行動の実行場所を含む施設に到着してから行動の実行場所に至る行動開始準備時間を算出する。
この行動開始準備時間の算出処理を図9のフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップS1031において、行動開始準備時間算出部40は、S102で特定されたスケジュールにおける予定された行動の実行場所を含む施設を特定する。
続いて、ステップS1032において、行動開始準備時間算出部40は、施設情報80にアクセスし、特定された施設の施設情報80を参照する(S1032)。施設情報80が地図情報400に含まれ、その地点情報に対応づけられている場合は、S1031において特定された施設を目的地とした経路探索を実行し、ナビゲーション装置100の経路探索部500を介して施設情報80を取得してもよい。
次に、ステップS1033において、ステップS1031において特定された施設の対応関係41を参照する(S1033)。この対応関係41は、施設に関する情報を含む施設情報と、その施設に到着したユーザが実行場所に至り、予定された行動を開始するまでに要する行動開始準備時間との関係であり、予め定義されたものである。具体的に、対応情報41は、図6、図7に示す施設の規模、敷地面積、ポリゴン最長対角線距離、階層数、入場管理ポイント数、行動開始準備時間と、施設に到着してから予定された実行場所に至るまでに要する時間とが対応づけられた情報である。
定性的な分析を行えば、施設が広い場合は、施設の広さに応じて施設に到着してから会議室などの行動の実行場所に至るまでに歩いて行く時間がかかる。同様に、施設が高層である場合、施設のセキュリティチェックが厳しく入場管理が複数回設定されている場合は、それに応じて施設に到着してから会議室などの行動の実行場所に至るまでに歩いて行く時間がかかる。
このような観点から、本実施形態では、施設の規模、敷地面積、ポリゴン最長対角線距離、階層数、入場管理ポイント数、行動開始準備時間に関する対応関係41を例示したが、対応関係41の指標はこれに限定されるものではない。
続いて、ステップS1034において、行動開始準備時間算出部40は、S1032において参照された、特定された実行場所の施設についての施設情報80と、S1033において参照された、特定された実行場所の施設についての対応関係41とに基づいて、行動開始準備時間を算出する(S1034)。
直近に予定されている行動が、施設Cの会議室Zでの商談である場合を例に、行動開始準備時間の算出処理について説明する。行動開始準備時間算出部40は、スケジュールデータに含まれる施設Cの識別子に基づいて、施設情報80を参照し、施設Cの施設情報を得る。行動開始準備時間の算出指標がポリゴン最長対角線距離である場合、施設Cのポリゴン最長対角線距離Eを得る。そして、行動開始準備時間算出部40は、施設Cの施設情報に基づいて、対応情報41を参照し、行動開始準備時間を算出する。Eの値は、Y6以上、Y9未満に属するので、図6に示す対応関係41によれば、行動開始準備時間は10分となる。また、図7の対応関係41のように、ポリゴン最長対角線距離の対応関係41が、ポリゴン最長対角線距離の単位距離あたりの時間として定義されている場合、例えば、ポリゴン最長対角線距離の50mごとに1分であり、距離Eが600mであれば、行動開始準備時間は12分となる。
さらに、行動開始準備時間を算出する際に、複数の指標を組み合わせてもよい。たとえば、敷地規模、敷地面積、ポリゴン最長対角線距離を指標とする行動開始準備時間と、階層数を指標とする行動開始準備時間とを組み合わせて、その施設についての行動開始準備時間を算出してもよい。これらに、さらに、入場管理ポイント数を指標とする行動開始準備時間を組み合わせてもよい。たとえば、施設内に入るために複数の入場管理ポイントで通過手続きをし、施設内を移動して目的の社屋に至り、さらに、エレベータで実行場所の会議室がある階まで移動するような場合は、入場管理ポイント数を指標とする行動開始準備時間と、敷地規模、敷地面積、ポリゴン最長対角線距離を指標とする行動開始準備時間と、階層数を指標とする行動開始準備時間とを加算して、その施設についての行動開始準備時間を算出する。
行動開始準備時間が算出されたら、次のステップS104に進む。
図8に戻り、ステップS104において、施設到着時間算出部30は、車両の現在位置を取得する(S104)。車両の現在位置はナビゲーション装置1000により検出される。
続くステップS105において、施設到着時間算出部30は、地図情報400を参照し、現在位置から目的地となる予定の行動が実行される施設までの経路を探索する(S105)。
そして、ステップS106において、施設到着時間算出部30は、ステップS105にて算出された経路で、取得された現在位置からスケジュール情報に含まれる実行場所が属する施設に到着するまでに要する施設到着時間を算出する。
もちろん、施設到着時間算出部30は、ナビゲーション装置1000の経路探索部500により探索された、現在位置から目的地となる施設までの経路と、目的地に至るまでの時間を取得してもよい。算出された施設到着時間を記憶し、ステップS107に進む。
ステップS107において、実行時刻算出部50は、施設到着時間と行動開始準備時間とに基づいて、ユーザが予定された行動を実行場所で実行できる実行時刻を算出する。具体的に、実行時刻算出部50は、現在時刻に施設到着時間と行動開始準備時間とを加算し、実行時刻を算出する。この実行時刻は、スケジュール管理装置2000に送出し、スケジュール管理の情報として活用してもよい。算出された実行時刻を記憶し、ステップS108に進む。
ステップS108において、情報作成部60は、通信情報の作成タイミングを待機する。つまり、情報作成部60は、現在時刻がスケジュール開始時刻の30分前を切ったかどうかを判断する。スケジュールに遅れそうな場合に連絡を入れるとしても、あまり早い時点では施設に到着する時刻の予測が必ずしも正確とはいえず、その段階で遅延を知らせる通知情報を出力すると、通知情報の信憑性を低下させる恐れがある。
そこで、遅延の判断は、ある程度スケジュールの開始予定時刻が近付いてから行うこととし、その時限を設定する。本実施形態では、現在時刻と開始予定時刻の差を30分とし、開始予定時刻まで30分以上ある場合は、遅延判断を行わない。この処理を所定周期で行い、開始予定時刻まで30分以上ある場合は、ステップS104に戻り、処理を繰り返す。このように経路探索を繰り返すのは、時間の経過と共に車両も目的地に接近し、また時々刻々に変化する交通情報を反映することによって、より正確な実行時刻を算出するためである。
ステップS108において、開始予定時刻までの時間が30分を切った段階で、ステップS109へ移る。
ステップS109において、情報作成部60は、ステップS107において算出された実行時刻と、スケジュール情報に含まれる開始予定時刻とを比較する。実行時刻と開始予定時刻との差が所定の遅刻閾値以上である場合は、遅刻と判断し、ステップS110へ進む。他方、実行時刻と開始予定時刻との差が所定の遅刻閾値未万である場合は、遅刻ではないと判断し、ステップS104へ戻る。
ステップS110において、情報作成部60は、ユーザが遅刻すると判断した場合、遅延を知らせる通信情報を含むメールを作成する。この遅延を知らせる通信情報には、ステップS107において算出された実行時刻と、通信相手に対する謝りの文章が含まれることが好ましい。このメールは、定型的なテンプレート(メール文の雛型)に実行時刻など必要な情報を埋め込むことによって自動的に作成される。
続いて、通信部70は、作成された通信情報を外部装置3000に向けて送出する。通信先としては、スケジュール情報に含めたメールアドレス等を用いる。通信部70は、メールの発信前にユーザに通信情報の送信の承諾を得てもよい。
なお、連絡先の指定がない場合は、ユーザにメール発信の諾否を問い合わせ、発信する場合はさらに通信先の指定を求めてもよい。
また、情報作成部60は、ステップS107の処理の後、実行時刻算出部50により算出された実行時刻とスケジュール情報に含まれる開始予定時刻との時間差を蓄積し、蓄積された時間差のバラツキに応じて遅刻閾値を補正する処理(S115)を実行してもよい。
なお、ステップS103の行動開始準備時間の算出処理と、ステップ104〜S106の施設到着時刻の算出処理とは、その順序を逆にして実行してもよいし、並行して実行してもよい。
本実施形態の情報処理装置100は、以上のように構成され、動作するので、以下の作用及び効果を奏する。
本実施形態の情報処理装置100は、ユーザが施設に到着してから実行場所に至り、予定された行動を開始するまでに要する行動開始準備時間を考慮して、予定の行動を実行できる実行時刻を算出するため、施設に到着してから行動の実行場所に至るまでに時間がかかる場合であっても、ユーザが予定した行動を実行場所で実行する時刻の算出精度を向上させることができる。
つまり、本実施形態では、行動開始準備時間算出部40を設け、予め準備された施設に関する情報を含む施設情報と、施設に到着したユーザが実行場所に至り、予定された行動を開始するまでに要する行動開始準備時間との対応関係41を参照し、予定された行動の実行場所を含む施設に到着してから行動の実行場所に至る行動開始準備時間を算出するため、施設に到着してから行動の実行場所に至るまでに時間がかかる場合であっても、ユーザが予定した行動を実行場所で実行する時刻の算出精度を向上させることができる。
ここで、本実施形態では、ユーザが予定された行動をするときに、その行動を実際に実行する実行場所と、その実行場所を含む施設と別の場所として認識し、施設に到着するまでの時間に加えて、施設に到着してから実行場所に至るまでの時間を、各施設の特徴(施設情報)を考慮して算出するため、ユーザが行動を実行する時刻を高い精度で算出することができる。
すなわち、一概に施設といっても、規模の大きさ、敷地の広さ、階層の高さ、入場管理の厳格さなどに差がある。このため、施設に到着した、施設の敷地内に到着した時刻と、施設内の目的の実行場所に至り、予定された行動を実行できる時刻との差は、施設によって異なる。
本実施形態の情報処理装置100は、施設ごとに異なる特徴を考慮し、施設に到着する時間に加えて、施設内の目的の実行場所に至り、行動を実行できる実行時刻を求めることにより、スケジュールの予定開始時刻と比較できる正確な予想時刻を算出することができる。
つまり、ユーザが到着する施設の敷地の広さ、ユーザが到着する施設の敷地の境界上の2点を結ぶ直線のうち、距離が最も長い最長距離、ユーザが到着する施設の階層数、ユーザが到着する入場管理のチェックポイントの数に基づいて、行動開始準備時間を算出することにより、施設の具体的な情報に基づいて正確な行動開始準備時間を求めることができ、結果として施設内の目的の実行場所に至り、予定された行動を実行できる実行時刻を高い精度で算出することができる。
言い換えると、ユーザは、施設への到着時刻や、施設周辺の駐車場の到着時刻に、自分で時間代を加算して行動するという煩雑な判断をしなくて済む。また、初めて訪問する施設についても、施設の規模等に応じた行動開始準備時間を求めることができるので、適切なスケジュール管理を行うことができる。
特に、本実施形態では、車両の走行履歴を参照し、車両が施設内で停車したことが無い場合は、算出した行動開始準備時間を延長するため、ユーザがその施設に不案内であるという固有の事情を考慮した正確な行動開始準備時間を求めることができ、結果として施設内の目的の実行場所に至り、予定された行動を実行できる実行時刻を高い精度で算出することができる。
また、本実施形態では、情報作成部60を設け、算出された実行時刻と、スケジュール情報の開始予定時刻とを比較し、実行時刻と開始予定時刻との差が所定の遅刻閾値以上である場合は、遅刻を知らせる通信情報を作成するため、適切なタイミングで自動的に相手側に連絡を行うことができる。
さらに、本実施形態では、算出された実行時刻とスケジュール情報に含まれる開始予定時刻との時間差を蓄積し、蓄積された時間差のバラツキに応じて遅刻閾値を補正する。この時間差のバラツキにより、開始予定時間に遅れても問題がないような予定を抽出し、そのような予定に遅れても、通信情報を送出しないようにすることができる。これにより、遅刻を通知しなくても良い場面を自動的に判断し、通知不要な通信情報を送信することを防止することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、過去に予定された行動を実行するために、施設を訪問したときの停車位置の履歴に基づいて、行動開始準備時間を算出する点を特徴とする。
図10は、第2実施形態の情報処理装置100を含む車載のナビゲーション装置1000のブロック構成の一例と、スケジュール管理装置2000のブロック構成の一例と、外部装置3000のブロック構成の一例とを示す図である。
第2実施形態の情報処理装置100Aの構成は、図1及び図2に示す第1実施形態の情報処理装置100と基本的に共通し、この情報処理装置100Aを含む第2実施形態の案内情報提供システムの構成も、図1及び図2に示す第1実施形態の案内情報提供システム10000と共通する。ここでは重複した説明を避けるため、異なる点を中心に説明する。
図10に示すように、本実施形態の情報処理装置100Aは、スケジュール情報取得部10と、現在位置取得部20と、施設到着時間算出部30と、行動開始準備時間算出部40と、実行時刻算出部50と、情報作成部60と、通信部70とを備える。
特に、本実施形態の行動開始準備時間算出部40は、車両が過去に施設内で停車した位置と実行場所の実績距離と行動開始準備時間との対応関係41に基づいて、予定された行動の実行場所を含む施設に到着してから行動の実行場所に至る行動開始準備時間を算出する。
本実施形態の対応関係41は、施設の敷地内の実行場所の位置を記憶する敷地平面図を参照して算出された、車両が施設内で過去に停車した位置と敷地平面図に含まれる実行場所の実績距離と、施設に到着したユーザが実行場所に至り予定された行動を開始するまでに要する行動開始準備時間との関係である。この対応関係41は、予め準備される。
本実施形態の行動開始準備時間算出部40は、実績準備時間算出機能43を備える。この行動実績準備時間算出機能43は、実績距離を算出する機能と、その実績処理を用いた対応関係を生成する機能とを有する。
まず、実績準備時間算出機能43は、敷地平面図を参照し、車両が施設内で過去に停車した位置と、敷地平面図に含まれる実行場所の実績距離を算出する。
実績準備時間算出機能43は、車両が施設内で過去に停車した位置を含む停車位置履歴302を記憶装置300から取得する。
記憶装置300は、現在位置検出装置200により検出された現在位置とともに、車両コントローラ4000から車両が停車したタイミングを取得し、車両が施設内で過去に停車した位置を停車位置履歴302として記憶する。
まず、記憶装置300は、車両コントローラ4000から取得するイグニッションスイッチ情報、ACCオンオフ情報、エンジン情報に基づいて、自車両の走行が終了したタイミングを得る。具体的に、記憶装置300は、イグニッションスイッチのオフ情報、車速ゼロ情報、ACCオフ情報、ブレーキ動作情報、エンジンオフ情報から、車両が停車し、走行が終了したことを示す車両情報を取得することができる。このように、記憶装置300は、車両コントローラ4000から取得した、イグニッションスイッチのオフ情報、ACCオフ情報、エンジンの停止情報の受信をタイミングに基づいて、自車両の走行が終了したタイミングを判断する。
そして、記憶装置300は、車両が停車したタイミングにおける車両の現在位置、すなわち車両の停車位置を記憶する。このとき、記憶装置300は、地図情報400を参照し、車両の停車位置が施設内に位置するか否かを判断し、車両の停車位置が施設内に位置する場合は、その停車位置を施設の識別子に対応づけ、停車位置履歴302として記憶する。この記憶装置300が記憶する停車位置履歴302は、行動開始準備時間算出部40のアクセスを受け付ける。
なお、停車位置履歴302は、ナビゲーション装置1000が記録する走行履歴301から、各施設に含まれる停車位置を抽出したものであってもよい。
図11は、停車位置履歴302の作成処理を説明するための図である。
本実施形態の記憶装置300は、ナビゲーション装置1000において、ある目的地を設定して車両を走行し、その目的地に到着したときに図11に示すような停車位置を逐一記録する。ここで「目的地を設定」とは、ユーザがナビゲーション装置1000に対して直接目的地を入力・設定した場合だけでなく、前述のようにスケジュール情報取得部10がスケジュール情報を取得し、これから実行する行動として特定された実行場所を含む施設が自動的に目的地として設定された場合、又はユーザの日常の行動パターンから「この時間にここを出発する場合は、オフィスに向かう可能性が高い」などの予測に基づいて、仮想的に目的地が設定された場合などであってもよい。いずれの場合も、車両を停車したときにその停車位置が設定された目的地(ある施設)の位置から所定距離以内にあるならば、その目的地(施設)に「到着した」と見なし、図11のような停車した位置の履歴を記録する。
停車位置を示す停車地点IDはナビゲーション装置1000において用いられる地点IDを利用する。たとえば、設定した目的地がナビゲーション装置1000において検索用地点データとして登録されているならば、ユニークなIDが与えられているのでそれを地点IDとして記録する。
また「勤務先」などのようにユーザが自分で登録した地点であれば、登録したときに個別のIDが割り振られるので、停車位置履歴にもそのIDが記録される。図11に示す停車一履歴の例では、ユーザが自身で登録した地点のIDは「U〜」で始まる記号とし、検索用地点IDと区別する。
なお、設定目的地が同じであっても、車両が実際に停止した地点は毎回違うので、これを例えば(経度、緯度)といった座標値で記録する。
実績準備時間算出機能43は、敷地平面図を参照し、以上のような停車位置履歴から求められる車両が施設内で停車した位置と、敷地平面図に含まれる実行場所の距離を算出する。
この敷地平面図は、施設情報80に含まれ、所定の座標上において施設の敷地内の実行場所の位置を記憶する。実績準備時間算出機能43は、この敷地平面図を参照し実行場所の位置を求めるとともに、敷地平面図における車両の停車位置を求める。そして、実績準備時間算出機能43は、実行場所と停車位置との距離を算出する。
図12は、車両の停車位置と実行場所との距離を算出する手法を説明するための図である。図12は、C社の社屋の敷地平面図であり、この敷地平面図にC社の敷地内における車両の停車位置(図中Xで示す)の履歴を重畳して示すものである。具体的に、図12に示す敷地平面図は、施設C社の敷地を示す敷地の境界情報と、施設C社に含まれる行動の実行位置である会議室Zの存在位置を示す位置情報を含む。
実績準備時間算出機能43は、スケジュール情報取得部10により特定された、ユーザがこれから予定された行動を実行するために向かう実行場所が含まれる施設に関し、過去における実際の停車位置を抽出する。図12に示すように、実際の停車位置は分布している場合は、その停車位置の重心位置を算出する。そして、その重心位置を一の停車位置とし、この停車位置と、敷地平面図に記録された実行場所(例えばZ会議室)の位置とを比較し、その実績距離を求める。
なお、ある施設に対して実行場所が複数存在する場合は、実行場所ごとに実績距離を求める。
複数の停車位置と一の実行場所との実績距離の算出手法は特に限定されず、複数の停車位置のうち実行場所から最も遠い停車位置と実行場所との距離を、実績距離としてもよい。
実績準備時間算出機能43は、求めた実績距離と行動開始準備時間との対応関係41を求める。この対応関係41は予め定義された距離と時間との関係に基づいて算出されることが好ましい。
たとえば、求めた重心位置と実行場所との実績距離が300mであり、予め設定された距離と時間の関係が、50mあたり1分である場合は、車両がある施設における実績距離は行動開始準備時間6分と対応づけられる。実績準備時間算出機能43は、施設IDごとに実績距離と行動開始準備時間との対応関係41が生成される。
行動開始準備時間算出部40は、生成された対応関係41を参照し、予定された行動の実行場所を含む施設について、その施設に到着してから行動の実行場所に至る行動開始準備時間を算出する。
なお、スケジュール情報取得部10、現在位置取得部20、施設到着時間算出部30、実行時刻算出部50、情報作成部60、及び通信部70の機能は、第1実施形態におけるスケジュール情報取得部10、現在位置取得部20、施設到着時間算出部30、実行時刻算出部50、情報作成部60、及び通信部70の機能と共通する。
続いて、第2実施形態の情報処理手順を説明する。
まず、本実施形態における対応関係の生成処理を図13に基づいて説明する。
図13に示すように、ステップS1231において、ナビゲーション装置1000の記憶装置300は、車両コントローラ4000のイグニッションスイッチのオフ情報に基づいて、車両が停止したか否かを判断する。ステップS1231において、記憶装置300が、車両は停止したと判断した場合はステップS1232に進む。
続く、ステップS1232において、記憶装置300は、車両の停車位置を取得する。さらに、記憶装置300は、停車位置が属する施設ID又は停車位置の近傍の施設IDごとに、車両の停車位置の履歴を蓄積する。なお、停車位置が蓄積された停車位置履歴302は、行動開始準備時間算出部40のアクセスを受け付ける。また、停車位置履歴302は行動開始準備時間算出部40内に記憶させてもよい。
また、ステップS1233において、行動開始準備時間算出部40の実績準備時間算出機能43は、施設情報80に含まれる、施設の敷地内の実行場所の位置を記憶する敷地平面図を参照する。
ステップS1234において、実績準備時間算出機能43は、この敷地平面図を参照し、車両が施設内で過去に停車した停車位置の履歴と敷地平面図に含まれる実行場所との位置に基づいて、一の停車位置と一の実行位置との実績距離を算出する。停車位置履歴302に含まれる複数の停車位置から一の停車位置を算出する手法は特に限定されず、複数の停車位置の重心を一の停車位置としてもよいし、実行場所から最も遠い停車位置を一の停車位置としてもよい。
ステップS1235において、行動開始準備時間算出部40の実績準備時間算出機能43は、敷地平面図を参照し、算出された一の停車位置と実行位置との実績距離を算出する。
さらに、ステップS1236において、実績準備時間算出機能43は、予め定義した距離と時間の関係を取得する。
続くステップS1237において、実績準備時間算出機能43は、距離と時間の関係を用いて対応関係41を生成する。この対応関係41は、停車位置と実行位置との実績距離に時間が対応づけられた情報である。
次に、本実施形態の行動開始準備時間算出部40による行動開始準備時間の算出処理を図14に基づいて説明する。
図14に示すように、まず、ステップS1331において、行動開始準備時間算出部40は、スケジュール情報取得部10により取得されたスケジュール情報において定義された、次に実行する行動の実行場所とその実行場所が含まれる施設を特定する。
続いて、ステップS1332において、行動開始準備時間算出部40は、特定された施設における実行場所の対応関係41を参照する。
さらに、ステップS1333において、行動開始準備時間算出部40は、特定された施設の対応関係41を参照し、その施設における実行場所の行動開始時準備時間を算出する。
なお、第2実施形態の基本的な情報処理手順は、図8に示す第1実施形態の情報処理手順を示すフローチャートと基本的に共通する。
本実施形態は、以上のように構成され動作するので、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、過去に施設車両を停止させた停車位置と、行動を実行した実行場所との距離に基づいて、予定された行動の実行場所を含む施設に到着してから行動の実行場所に至る行動開始準備時間を高い精度で算出することができる。
その施設において、過去に車両を停車させた位置は、その施設の駐車場であると考えられる。そして、車両の停車位置と実行場所の位置との距離は、ユーザが施設に到着し、車両を停車させてから予定の行動を実行する実行場所に向かうために移動する距離と考えられる。本実施形態では、施設内における過去の停車位置の履歴に基づいて、ユーザが実行場所に向かうために移動する距離を算出するため、正確な行動開始準備時間を算出することができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、過去に施設を訪問したときの停車時刻の履歴に基づいて、行動開始準備時間を算出する点を特徴とする。
図15は、第3実施形態の情報処理装置100を含む車載のナビゲーション装置1000のブロック構成の一例と、スケジュール管理装置2000のブロック構成の一例と、外部装置3000のブロック構成の一例とを示す図である。
第3実施形態の情報処理装置100Bの構成は、図1及び図2に示す第1実施形態の情報処理装置100と基本的に共通し、この情報処理装置100Bを含む第3実施形態の案内情報提供システムの構成も、図1及び図2に示す第1実施形態の案内情報提供システム10000と共通する。ここでは重複した説明を避けるため、異なる点を中心に説明する。
図15に示すように、本実施形態の情報処理装置100Bは、スケジュール情報取得部10と、現在位置取得部20と、施設到着時間算出部30と、行動開始準備時間算出部40と、実行時刻算出部50と、情報作成部60と、通信部70とを備える。
本実施形態の行動開始準備時間算出部40は、参考準備時間算出機能44を備える。
参考準備時間算出機能44は、車両が過去に施設内で停車した時刻と予定された行動の実行を開始する開始予定時刻との時間差と、行動開始準備時間との対応関係41に基づいて、予定された行動の実行場所を含む施設に到着してから行動の実行場所に至る行動開始準備時間を算出する。
本実施形態の対応関係41は、スケジュール情報において予定された行動を実行するために車両が過去に施設内で停車した時刻と、その行動の開始予定時刻との時間差から求められた参考準備時間と、施設に到着したユーザが実行場所に至り予定された行動を開始するまでに要する行動開始準備時間との関係である。この対応関係41は、予め準備される。
以下、具体的に参考準備時間算出機能44の機能について説明する。この参考準備時間算出機能44は、参考準備時間を算出する機能と、その参考準備時間を用いた対応関係を生成する機能とを有する。
まず、参考準備時間算出機能44は、スケジュール情報において予定された行動を実行するために車両が過去に施設内で停車した時刻と、その行動の開始予定時刻との時間差から求められた参考準備時間を算出する。
参考準備時間算出機能44は、車両が施設内で過去に停車した時刻を記憶装置300から取得する。記憶装置300は、車両が施設内で過去に停車した時刻を走行履歴として記憶する。記憶装置300は、現在位置検出装置200により現在位置が施設の敷地内検出された時刻の履歴とともに、車両コントローラ4000から車両が停車したタイミングを取得する。
記憶装置300は、第2実施形態と同様に、車両コントローラ4000から取得するイグニッションスイッチ情報、ACCオンオフ情報、エンジン情報に基づいて、自車両の走行が終了したタイミングを得る。
そして、記憶装置300は、車両が敷地内で停車した時刻を記憶する。つまり、記憶装置300は、車両の現在位置が予定された行動を実行する施設の敷地内にあるとともに、車両が停車したタイミングの時刻を記憶する。
このとき、記憶装置300は、地図情報400を参照し、車両の停車位置が施設内に位置するか否かを判断し、車両の停車位置が施設内に位置する場合は、その停車時刻を施設の識別子に対応づけ、停車時刻履歴303として記憶する。この記憶装置300が記憶する停車時刻履歴303は、行動開始準備時間算出部40のアクセスを受け付ける。
なお、停車時刻履歴303は、ナビゲーション装置1000が記録する走行履歴301から、各施設に含まれる停車時刻を抽出したものであってもよい。
図16は、停車時刻の履歴303の生成処理を説明するための図である。記憶装置300は、車両が停車したときに現在位置検出装置200により検出された場所がスケジュールに記載されている実行場所から所定距離以内にあるならば、そのスケジュールの実行場所を含む施設に「到着した」と見なし、図16に示すような到着履歴を逐一記録する。実際の停車時刻とスケジュールに記載された開始予定時間との差をとればこの場所にどれだけ先行して到着したか、すなわち、どれだけの準備時間をとっていたかという参考となる準備時間(参考準備時間)を得ることができる。
図16に示す例では、施設C社には今まで3回行き、それぞれスケジュール開始予定時刻の8分前、6分前、13分前に車両を停止している。このため、ユーザは、C社のある実行場所で実行される予定に対して、開始予定時刻よりも先行して行動を実行する準備のために設定した参考準備時間はその平均をとって9分とする。
また、図16に示すように、施設「オフィス」には4回行き、スケジュール開始予定時刻(始業時刻である9時)に対して、▲8分、9分、▲34分、5分の時間差が発生している。
ここで▲はスケジュール開始予定時刻よりも遅い、すなわち開始予定時刻に遅刻して到着していることを示し、単純に図16の施設オフィスに対する平均をとると、7分の遅刻となる。参考準備時間算出機能44は、実際の車両の停車時刻と開始予定時刻との時間差の平均値を、参考準備時間として算出する。参考準備時間の算出手法は特に限定されず、このように平均値をとる以外に、例えば過去の停車時刻と開始予定時刻との時間差の最小値をとって「どこまでギリギリの到着で間に合うか」を基準に定めてもよく、具体的な算出方法は限定されない。
また、図16の施設「オフィス」における停車時刻履歴を見ると、ある日にはスケジュール情報の開始予定時刻よりも先に到着しているが、別の日には開始予定時刻よりも30分以上遅れている。このように、施設における停車時刻(施設への到着時刻)のバラツキが大きいということは、スケジュールの開始予定時刻に拘束力が無いという判断を導くことができる。つまり、施設オフィスについては、スケジュールの開始予定時刻に強い強制力はなく、原則的な指針として示されているに過ぎないと考えることもできる。つまり、スケジュールの開始予定時刻9時にある程度遅れても良い、という許容を見込むことができる。
そこで、このような一定の開始予定時刻に対する停車時刻(施設への到着時刻)のバラつき(例えば標準偏差)を求め、それが所定値以上である場合は、行動開始準備時間の短縮、又は開始予定時刻の繰り下げ幅(遅刻の許容時間)を設定してもよい。
例えば、開始予定時刻に対する停車時刻の標準偏差5分以上につき5分の繰り下げ幅(遅刻の許容時間)を設定し、標準偏差が5分増すごとに5分の繰り下げ幅(遅刻の許容時間)を追加する。このようにすると、図16に示す施設オフィスの例においては、標準偏差が16.8分であるため、15分の開始予定時刻の繰り下げ(遅刻の許容時間)が与えられる。
なお、停車時刻の標準偏差が大きくても、開始予定時刻に対する遅延、すなわち遅刻の実績が無い場合は、遅刻許容時間は認めずに、時間差の平均値から参考準備時間を算出することが好ましい。
次に、対応関係41の算出処理について説明する。
参考準備時間算出機能44は、求めた参考準備時間と行動開始準備時間との対応関係41を求める。この対応関係41は予め定義された実際の停車時刻履歴303に基づいて求められた参考準備時間と行動開始準備時間との関係に基づいて算出されることが好ましい。
参考準備時間と行動開始準備時間との関係は、これらが等しいという関係(参考準備時間=行動開始準備時間)であってもよいし、参考準備時間に所定時間を加算する時間が行動開始準備時間という関係(参考準備時間+α=行動開始準備時間)であってもよいし、実際の停車時刻と開始予定時刻との時間差のバラツキに応じて重みづけされた係数を参考準備時間に乗じた時間が行動開始準備時間であるという関係(参考準備時間×β=行動開始準備時間)であってもよい。
行動開始準備時間算出部40は、生成された対応関係41を参照し、予定された行動の実行場所を含む施設について、その施設に到着してから行動の実行場所に至る行動開始準備時間を算出する。
なお、スケジュール情報取得部10、現在位置取得部20、施設到着時間算出部30、実行時刻算出部50、情報作成部60、及び通信部70の機能は、第1実施形態におけるスケジュール情報取得部10、現在位置取得部20、施設到着時間算出部30、実行時刻算出部50、情報作成部60、及び通信部70の機能と共通する。
続いて、第3実施形態の情報処理手順を説明する。
まず、本実施形態における対応関係の生成処理を図17に基づいて説明する。
図17に示すように、ステップS1241において、ナビゲーション装置1000の記憶装置300は、車両コントローラ4000のイグニッションスイッチのオフ情報に基づいて、車両が停止したか否かを判断する。ステップS1241において、記憶装置300が、車両は停止したと判断した場合はステップS1242に進む。
続く、ステップS1242において、記憶装置300は、車両の停車時刻を取得する。さらに、記憶装置300は、停車位置が属する施設ID又は停車位置の近傍の施設IDごとに、車両の停車時刻の履歴を蓄積する。なお、停車時刻が蓄積された停車時刻履歴303は、行動開始準備時間算出部40のアクセスを受け付ける。また、停車位置履歴302は行動開始準備時間算出部40内に記憶させてもよい。
ステップS1243において、行動開始準備時間算出部40の参考準備時間算出機能44は、記憶装置300から取得した車両が施設内で過去に停車した停車時刻履歴303とスケジュール情報の開始予定時刻との時間差から一の参考準備時間を算出する。
一の参考準備時間を算出する手法は特に限定されず、複数の時間差の平均を一の参考準備時間としてもよいし、最も小さい時間差を一の参考準備時間としてもよい。
さらに、ステップS1244において、参考準備時間算出機能44は、予め定義した参考準備時間と行動開始準備時間の関係を取得する。
そして、ステップS1245において、参考準備時間算出機能44は、予め定義した参考準備時間と行動開始準備時間の関係を用いて対応関係41を生成する。この対応関係41は、参考準備時間と行動開始準備時間が対応づけられた情報である。
次に、本実施形態の行動開始準備時間算出部40による行動開始準備時間の算出処理を図18に基づいて説明する。
図18に示すように、まず、ステップS1341において、行動開始準備時間算出部40は、次に実行する行動の実行場所とその実行場所が含まれる施設を特定する。
続いて、ステップS1342において、行動開始準備時間算出部40は、特定された施設における実行場所の対応関係41を参照する。
さらに、ステップS1343において、行動開始準備時間算出部40は、特定された施設の対応関係41を参照し、その施設における実行場所の行動開始時準備時間を算出する。
なお、第3実施形態の基本的な情報処理手順は、図8に示す第1実施形態の情報処理手順を示すフローチャートと基本的に共通する。
本実施形態は、以上のように構成され動作するので、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏するとともに、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、過去に施設車両を停止させた停車時刻と、行動を実行する開始予定時刻との時間差に基づいて、予定された行動の実行場所を含む施設に到着してから行動の実行場所に至る行動開始準備時間を高い精度で算出することができる。
その施設において、過去に車両を停車させたタイミング、その施設の駐車場に到着したタイミングであると考えられる。そして、車両の停車時刻と予定された行動が実行される開始実行時刻との時間差は、ユーザが施設に到着し、車両を停車させてから予定の行動を実行する実行場所に至るまでの時間と考えられる。本実施形態では、施設内における過去の停車時刻の履歴に基づいて、ユーザが実行場所に向かうための移動に要する時間差を算出するため、結果として正確な行動開始準備時間を算出することができる。
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
すなわち、本明細書では、本発明に係る情報処理装置の一態様として、スケジュール情報取得手段の一例としてのスケジュール情報取得部10と、現在位置取得手段の一例としての現在位置取得部20と、施設到着時間算出手段の一例としての施設到着時間算出部30と、行動開始準備時間算出手段の一例としての行動開始準備時間算出部40と、実行時刻算出手段の一例としての実行時刻算出部50と、を備える情報処理装置100を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
さらに、以上の構成に加えて、本発明に係る情報処理装置の一態様として、さらに情報作成手段の一例としての情報作成部60と、通信手段の一例としての通信部70とを備える情報処理装置100を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。