JP5140891B2 - 信号ピーク測定システム - Google Patents

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Description

本発明は、被験体に電磁波(繰返し電磁波パルスを含む)を照射して得られる反射波に基づいて、被験体の状態を解析するための所定の信号波形を取得する信号ピーク測定システムに関する。
人体の健康状態を把握するために測定される心拍については、単なる健康モニタとしての役割だけでなく、ストレス評価や車輌運転時の入眠予兆検知などへの応用も期待されている。すなわち、心臓の拍動は自律神経によってリズムの調整がなされているため、心拍間隔の変動を解析することにより自律神経の心拍への影響、さらにそれを変化させる原因となっている精神的な安定度やストレスの程度を推定できると考えられている。
例えば、長時間にわたるコンピュータ作業や車両等の運転、または長距離移動等に伴って長時間の着座を強いられる状況などは、作業者や運転者等に精神的負荷(ストレス)を与えるが、こうした精神的負荷が時には種々のストレス性疾患を引き起すことが従来から問題となっていた。このような疾患の事前回避には、人体に印加されたストレスを正しく評価することが重要であり、心拍変動の解析によりストレスの評価を行う手法が提案されていた。
従来、心拍の測定は、被験者の体に電極を装着して心電図データを取得する方法が一般的であった。心拍変動は、心電図においてスパイク状に現れるR波とR波のピーク間隔(RRI)を閾値の設定により読み取っていくことで算出される。この心拍変動を周波数解析することにより、ストレス評価指標を求められる。
詳しくは、心拍の時間変化を周波数解析すると、約0.03〜0.15Hzの帯域を持つ低周波成分と、0.15〜約0.45Hzの帯域を持つ高周波成分にそれぞれスペクトルピークが現れる。各々のピーク値をLFおよびHFとすると、LFは交感神経と副交感神経両方の活動具合を示し、HFは副交感神経のみの活動具合を示すこととなる。ここで、人体にストレスが印加された状態では交感神経活動が優位になり、逆に、リラックス状態では副交感神経活動が優位になることを考慮すると、LF/HFの値を交感神経活動の指標、すなわちストレス評価値とすることができる。
こうした従来の心拍間隔の変動に基づくストレス評価の手法の一例として、特開2001−95769号公報や特開2005−218595号公報、特開2008−99876号公報に開示されるものがある。また、心電図の手法とは異なり、マイクロ波を用いて非接触で心拍を測定した上でストレス評価を行うものの例として、特開2008−253538号公報に開示されるものもある。
特開2001−95769号公報 特開2005−218595号公報 特開2008−99876号公報 特開2008−253538号公報
従来の波形ピーク間隔の測定評価システムは前記各特許文献に示されるものとなっており、このうち前記特許文献1ないし3に記載の、心拍を心電図を用いて測定して心拍変動を得る場合、被験者に対し検出用の電極を直接接触させて測定を実行することから、被験者を拘束し、また被験者に測定を強く意識させるなど、被験者に新たなストレスを与えることとなり、得られた心拍変動について、正確なストレス評価を行えないおそれがあるという課題を有していた。
一方、前記特許文献4に示されるように、マイクロ波を用いて非接触で心拍を測定する提案がなされ、この場合は被験者の測定に係り測定器具の直接接触などのストレス要因を排除できるが、被験体からの反射波を受信して得られた信号から心拍の間隔を求める技術内容は、前記特許文献には具体的に示されておらず、特に、着座した静止状態以外、例えば車の運転中など、エンジン動作や走行に伴う振動等の外来ノイズが含まれるような状況下で、心拍の間隔を適切に抽出して測定可能とする技術的記載は一切なく、実施は極めて難しいという課題を有していた。
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、被験体に対する電磁波の送受信で得られた信号波形からテンプレート信号を求め、さらにこのテンプレート信号と先の信号波形との相互相関を計算して相関係数の時間的変化を得ることで、ノイズの影響を避けて所望の情報を取得でき、被験体の状態を適切に把握して評価可能とする信号ピーク測定システムを提供することを目的とする。
本発明に係る信号ピーク測定システムは、被験体に対し繰返しの電磁波パルス又は電磁波を照射すると共に、被験体からの反射波を受信し、反射波の信号、又は照射波と反射波との位相差に基づく信号を出力する電磁波送受信手段と、反射波の信号波形、又は照射波と反射波との位相差信号波形から、信号波形上で測定対象となる各ピークの発生予想時を中心に所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成するテンプレート作成手段と、前記反射波の信号又は前記位相差信号と前記テンプレート信号との相互相関を、前記反射波の信号又は前記位相差信号の所定単位時間ごとに順次求めて、当該単位時間ごとの各時点における相関係数の時間的変化の波形である相関係数信号を取得する相互相関処理手段と、得られた相関係数信号において所定の閾値を超えるピークの発生時を、測定対象のピーク発生時として認定するピーク認定手段とを備えるものである。
このように本発明によれば、電磁波送受信手段によって得られた測定対象のピーク以外のノイズ成分も含む信号波形から、テンプレート作成手段が測定対象のピーク発生時を含む所定範囲の信号波形の加算平均をとってテンプレート信号を求め、さらに相互相関処理手段がこのテンプレート信号と電磁波送受信手段からの信号との相互相関をとり、相関係数を求めると、測定対象のピークとの相関の高さを示す相関係数は測定対象のピークに対応して高い値を示す一方、この相関係数はノイズ成分については相関が低くなることで、相関係数の時間的変化の波形である相関係数信号は測定対象のピークに適合するピークを生じることにより、相関係数信号の波形にあらわれるピークのうち閾値を超えて有効と見なせるものを測定対象のピークに対応するものとして取扱えば、電磁波送受信手段で得られる信号がノイズを含んで測定対象のピークが明確でない場合でも、相関係数信号の鮮明なピークを使用して、取得したい測定対象のピークに係る諸測定値を効率よく求められ、且つ正確に評価できる。
また、本発明に係る信号ピーク測定システムは必要に応じて、前記ピーク認定手段で、前記相関係数信号における各ピークのうち、ピークの値が0.5より大きいものについて、それぞれピーク間隔を取得し、得られたピーク間隔のうち、反射波の信号波形、又は照射波と反射波との位相差信号波形上で測定対象となる各ピークの発生予想間隔の2倍を超えるものがあると認められた場合に、前記テンプレート作成手段が、前記相関係数信号の波形から、前記各ピークを中心に所定時間幅分を抽出して加算平均処理を行い、平均波形としての新たなテンプレート信号を作成し、さらに前記相互相関処理手段が、前記新たなテンプレート信号と前記相関係数信号との相互相関を所定単位時間経過ごとに計算して、新たな相関係数信号を取得する過程を、前記ピーク認定手段で新たな相関係数信号における0.5を上回る値の各ピークの間隔が前記発生予想間隔の2倍以下であると認められるまで繰返すものである。
このように本発明によれば、相関係数信号におけるピーク間隔が測定対象のピークに十分対応すると見なせる条件を満たさない場合に、相関係数信号から新たにテンプレート信号を作成し、この新たなテンプレート信号と相関係数信号の相関をとり、新たな相関係数信号を取得していく処理を必要に応じて繰返し、相関係数信号におけるピークをさらに明確化していくことにより、相関係数信号からピークを適切に識別して測定対象のピークとしての利用に供することができ、電磁波送受信手段で得られる信号がノイズを多く含んで一度の相互相関をとる処理のみでは、相関係数信号の鮮明なピークを得にくい場合でも、測定対象のピークとして適切に使用できる相関係数信号を確実に取得でき、相関係数信号から得たピークに基づく計算等処理を正確に実行できる。
また、本発明に係る信号ピーク測定システムは必要に応じて、前記ピーク認定手段で、前記相関係数信号における各ピークのうち、いずれかの値が0.5以下であると認められた場合に、前記テンプレート作成手段が、前記相関係数信号の波形から、前記各ピークを中心に所定時間幅分を抽出して加算平均処理を行い、平均波形としての新たなテンプレート信号を作成し、さらに前記相互相関処理手段が、前記新たなテンプレート信号と前記相関係数信号との相互相関を所定単位時間経過ごとに計算して、新たな相関係数信号を取得する過程を、前記ピーク認定手段で新たな相関係数信号における各ピークの全ての値が0.5を上回ると認められるまで繰返すものである。
このように本発明によれば、相関係数信号における各ピークの大きさが測定対象のピークに十分対応すると見なせる条件を満たさない場合に、相関係数信号から新たにテンプレート信号を作成し、この新たなテンプレート信号と相関係数信号の相関をとり、新たな相関係数信号を取得していく処理を必要に応じて繰返し、相関係数信号におけるピークをさらに明確化していくことにより、相関係数信号からピークを適切に識別して測定対象のピークとしての利用に供することができ、電磁波送受信手段で得られる信号がノイズを多く含んで一度の相互相関をとる処理のみでは、相関係数信号の鮮明なピークを得にくい場合でも、測定対象のピークとして適切に使用できる相関係数信号を確実に取得でき、相関係数信号から得たピークに基づく計算等処理を正確に実行できる。
また、本発明に係る信号ピーク測定システムは必要に応じて、前記電磁波送受信手段が、所定周期での繰返しの超短パルスを照射し、前記テンプレート作成手段が、反射波の信号波形から、信号波形上で前記超短パルスに基づく各ピークの発生予想時を中心に所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成し、前記相互相関処理手段が、前記反射波の信号と前記テンプレート信号との相互相関を、反射波の信号の所定単位時間経過ごとに計算して、相関係数信号を取得するものである。
このように本発明によれば、電磁波送受信手段の照射した超短パルスに基づくピーク以外のノイズ成分も含む反射波の信号波形から、測定対象の超短パルスに基づくピーク発生予想時を含む所定範囲の信号波形の加算平均をとってテンプレート信号を求め、このテンプレート信号と反射波の信号との相互相関をとり、得られた相関係数信号の波形にあらわれるピークを、元の反射波における超短パルスのピークに対応するものとして取扱うことにより、反射波のピークとの相関の高さを示す相関係数は反射波のピークに対応して高い値を示して鮮明なピークをなしており、反射波の信号がノイズを含んでピークが明確でない場合でも、相関係数の鮮明なピークを反射波の測定対象のピークとして適切に使用でき、反射波に含まれるピークに関連する測定値、例えばピーク成分の送受で経過した時間等について効率よく求められ、且つ適切に評価できる。
また、本発明に係る信号ピーク測定システムは必要に応じて、前記電磁波送受信手段が、電磁波を所定周期の連続波として照射し、反射波を受信して、照射波と反射波との位相差信号を出力し、前記テンプレート作成手段が、照射波と反射波との位相差信号波形から、測定対象のピーク前後の所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成し、前記相互相関処理手段が、前記位相差信号と前記テンプレート信号との相互相関を、位相差信号の所定単位時間経過ごとに計算して、相関係数信号を取得するものである。
このように本発明によれば、電磁波送受信手段から得られた照射波と反射波との位相差信号の波形から、測定対象のピーク発生予想時を含む所定範囲の信号波形の加算平均をとってテンプレート信号を求め、このテンプレート信号と元の位相差信号との相互相関をとり、得られた相関係数信号の波形にあらわれるピークを、位相差信号に含まれて被験体の状態をあらわす測定対象のピークに対応するものとして取扱うことにより、位相差信号に含まれる測定対象のピークとの相関の高さを示す相関係数は、測定対象のピークに合致する鮮明なピークを生じて、位相差信号がノイズを含んで測定対象のピークが明確にあらわれない場合でも、この相関係数の鮮明なピークを測定対象のピークとして適切に使用でき、被験体の状態に基づいて変化する測定対象のピークに係る測定値、例えばピーク同士の間隔等を効率よく求められ、且つ適切に評価できる。
また、本発明に係る信号ピーク測定システムは必要に応じて、前記電磁波送受信手段が、所定の略周期的振動を生じる被験体に対し、電磁波を所定の測定時間にわたって照射し、反射波を受信して位相差信号を出力し、前記テンプレート作成手段が、前記測定時間の範囲内で、位相差信号におけるピークのうち所定の振幅中心値の±30%の範囲内にピーク値が収るものについて、前記位相差信号の最初の1ないし数秒間で最大値探査に基づいてピーク発生予想時を検出し、続いて、直前に検出したピーク発生予想時から被験体における振動の予想ピーク周期の一周期分経過した時間を中心に±1/4周期程度の時間幅の範囲で最大値探査に基づいてピーク発生予想時を検出する処理を順次行い、検出した各ピーク発生予想時を適切なピーク発生予想時と認定し、前記位相差信号波形から前記各ピーク発生予想時を中心として前記予想ピーク周期の±1/2周期程度の時間幅分の波形抽出を行うものである。
このように本発明によれば、被験体の略周期的振動をあらわすピークを含むこととなる位相差信号について、テンプレート作成手段が被験体の振動周期に基づいて各ピーク発生予想時とこれを中心とした波形抽出時間を決定し、位相差信号の波形から、各ピーク発生予想時を中心とした抽出範囲の信号波形の加算平均をとってテンプレート信号を求め、相互相関処理手段における処理で得られる相関係数信号の波形に、位相差信号に含まれる被験体の振動をあらわす略周期的なピークに対応する鮮明なピークを生じさせることにより、位相差信号からはノイズの影響で測定対象となる被験体の振動に係るピークを直接認識しにくい場合でも、この相関係数の鮮明なピークを測定対象のピークとして適切に使用でき、被験体の振動状態に基づいて位相差信号に含まれるピークに係る各種測定を効率よく実行でき、正確な測定値が得られる。
また、本発明に係る信号ピーク測定システムは必要に応じて、前記電磁波送受信手段で得られた反射波の信号、又は照射波と反射波との位相差信号から、反射波の信号波形、又は照射波と反射波との位相差信号波形上で測定対象となる各ピークの発生予想周期より短い周期となる高周波成分を除去するフィルタ処理手段を備えるものである。
このように本発明によれば、電磁波送受信手段によって得られた反射波の信号、又は照射波と反射波との位相差信号をフィルタ処理手段に通し、測定対象のピーク以外のノイズ成分のうち、高周波成分、すなわち、信号波形から測定対象のピークの発生予想周期より短い周期のピークの重畳分を減衰させ、測定対象のピークを信号波形の中で際立たせることにより、以降のテンプレート作成手段でテンプレート信号を求める処理や、相互相関処理手段でテンプレート信号と電磁波送受信手段からの信号との相互相関をとり、相関係数を求める処理を容易にして、処理負荷を軽減し、相関係数信号に測定対象のピークに合致する鮮明なピークを生じさせるまでの過程をより一層効率よく実行できる。
本発明の第1の実施形態に係る信号ピーク測定システムのブロック構成図である。 本発明の第1の実施形態に係る信号ピーク測定システムのハードウェア構成図である。 本発明の第1の実施形態に係る信号ピーク測定システムのテンプレート信号作成過程説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る信号ピーク測定システムの処理過程を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る信号ピーク測定システムのブロック構成図である。 本発明の実施例における信号ピーク測定システムで得られた位相差信号と比較例の心電図を示すグラフである。 本発明の実施例における信号ピーク測定システムで得た第一相関係数信号、第二相関係数信号及び第三相関係数信号のグラフである。 本発明の実施例における信号ピーク測定システムで得た第一相関係数信号に基づく心拍間隔変動状態図及びパワースペクトル図である。 本発明の実施例における信号ピーク測定システムで得た第二相関係数信号に基づく心拍間隔変動状態図及びパワースペクトル図である。 本発明の実施例における信号ピーク測定システムで得た第三相関係数信号に基づく心拍間隔変動状態図及びパワースペクトル図である。 本発明の実施例に対する比較例の心電図における信号に基づく心拍間隔変動状態図及びパワースペクトル図である。
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る信号ピーク測定システムを前記図1ないし図4に基づいて説明する。本実施形態においては、心拍の振動を非接触且つ非拘束状態で測定して心拍を検出するための測定システムの例について説明する。
前記各図において本実施形態に係る信号ピーク測定システム1は、被験体70に対し連続の電磁波を照射すると共に、被験体70からの反射波を受信し、照射波と反射波との位相差に基づく信号を出力する電磁波送受信手段11と、照射波と反射波との位相差信号波形から、この信号波形上で測定対象としての心拍に対応する各ピークの発生予想時を中心に所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成するテンプレート作成手段12と、前記位相差信号と前記テンプレート信号との相互相関を、前記位相差信号の所定単位時間ごとに順次求めて、この単位時間ごとの各時点における相関係数の時間的変化の波形である相関係数信号を取得する相互相関処理手段13と、得られた相関係数信号において所定の閾値を超えるピークの発生時を、測定対象のピーク発生時として認定するピーク認定手段14とを備える構成である。
前記電磁波送受信手段11は、略周期的振動である心拍を生じる被験体としての人体に対し、連続する電磁波であるマイクロ波を所定の測定時間にわたって照射する一方、被験体からの反射波を受信して、照射波と反射波との位相差信号を出力するものである。
詳細には、電磁波送受信手段11は、被験体にマイクロ波を照射すると共に、その反射波を受信するアンテナ11aと、マイクロ波を発生させるマイクロ波発振器11bと、発生したマイクロ波を被験体への照射波と参照波に分離する方向性結合器11cと、照射波を減衰させる減衰器11dと、反射波を増幅する増幅器11eと、照射波をアンテナ11aに送信すると共にアンテナ11aからの反射波を増幅器11eに送信するサーキュレータ11fと、増幅器11eからの反射波及び方向性結合器11cからの参照波を用いてクオドラチャ検出処理を行うクオドラチャ検出器11gと、クオドラチャ検出処理で得られた位相変化に基づく二つの信号から位相差信号を取得する計測演算部11hとを備える構成である。
この電磁波送受信手段11では、同一の発振器出力に基づいた反射波と参照波を混合して、周波数差や位相差を検出する方式であるホモダイン干渉法を採用している。マイクロ波発振器11bから出力されるマイクロ波は、方向性結合器11cで照射波と参照波に分離され、照射波が被験体である人体の所定箇所に照射される。
被験体70で反射された反射波の信号を増幅器11eで増幅した後、この反射波と、照射波に一致する前記参照波とをクオドラチャ検出器11gで混合して位相変化Δφに基づく余弦成分(ErcosΔφ)と正弦成分(ErsinΔφ)を取得し、これらから計測演算部11hでΔφに直接比例する位相差信号を算出する。位相変化Δφは測定対象の反射面の移動量に対応することから、前記過程により、反射面の変位に伴って変化する位相差信号の高精度な検出が可能となることに加え、発振器が一つで済み、発振器周波数の安定性が問題とならない。
そして、このマイクロ波の照射で心臓の拍動に伴う皮膚あるいは筋肉の微細変化を測定することで、得られた位相差信号には心拍に対応したピーク成分が含まれることとなり、このピーク間隔から、心拍の間隔を求めることができる。
クオドラチャ検出器11gでは、直交する二つの参照波信号成分(Acosωt、Asinωt)を反射波の信号成分(Bcos(ωt+Δφ))に混合して復調することで、位相変化の余弦と正弦の各信号成分(ErcosΔφ及びErsinΔφ)を得ることができ、これを計測演算部11hでさらに処理することで反射波信号の振幅(成分Er)と位相(成分φ)を分離して位相差信号を取得できる。なお、振幅成分Erは、参照波信号成分の振幅Aと反射波信号成分の振幅Bの積である。
前記計測演算部11hは、クオドラチャ検出器11gで得られた位相変化Δφの余弦と正弦の各信号成分(ErcosΔφ及びErsinΔφ)を用いて、
Δφ=tan-1(ErsinΔφ/ErcosΔφ)
の関係から、Δφに直接比例する成分を算出でき、位相差信号を取得できる。
前記テンプレート作成手段12は、照射波と反射波との位相差信号波形から、測定対象のピーク時、すなわち心拍に対応するピーク時を中心とする所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成するものである。詳細には、テンプレート作成手段12は、前記測定時間の範囲内で、位相差信号波形にあらわれた各ピークから、ピーク値が心拍等測定対象の振動の特徴から導かれる振幅の所定の中心値を挟んでその±30%の範囲内に収るものを選択し、これらについて、まず、位相差信号の最初の1ないし数秒間で最大値探査に基づいてピーク発生予想時を検出する。続いて、直前に検出したピーク発生予想時から、被験体における振動の予想ピーク周期の一周期分経過した時間を中心に±1/4周期程度の時間幅の範囲で、最大値探査に基づいてピーク発生予想時を検出する処理を順次行い、位相差信号波形から前記検出した各ピーク発生予想時を中心として前記予想ピーク周期の±1/2周期程度の時間幅分の波形抽出を行う仕組みである。こうして抽出された時間幅分の波形を加算平均処理して、テンプレート信号が導かれる。
なお、位相差信号波形にあらわれた各ピークについて、最初にピーク値が前記中心値の±30%の範囲内に収るものを選択し、外部擾乱によるノイズや測定対象と無関係な振動に係るピーク成分を検出対象から排除するようにしているが、この処理の最初にピークの絞り込みを行うのに代えて、位相差信号に対し最大値探査に基づいてピーク発生予想時を検出する際、同時に、検出しようとするピークが前記中心値の±30%の範囲内に収るものであるかの検証を行う処理手順とすることもでき、適切なピーク発生予想時の検出を迅速に実行可能となる。
前記相互相関処理手段13は、電磁波送受信手段11で反射波に基づく位相差信号が得られ、さらにテンプレート作成手段により位相差信号に基づくテンプレート信号が作成されたら、これら位相差信号とテンプレート信号との相互相関を、位相差信号の所定単位時間ごとに順次求め、各時点の相関係数を得ることで、測定時間全体にわたる相関係数の時間的変化の波形、すなわち相関係数信号を取得するものである。
位相差信号とテンプレート信号との相互相関を位相差信号の所定単位時間ごとに順次求めていく場合、位相差信号におけるテンプレート信号の時間幅に対応する計算対象範囲を位相差信号の始端側から時間経過方向に前記単位時間に相当するシフト時間、例えば1/1000秒分シフトしながら繰返し求め、シフト時間ずつずれた各時点ごとの相関係数を得ていくこととなる。得られた各相関係数は時間的変化の波形として取扱うことができ、相関係数信号となる。
相関係数を求める仕組みを説明すると、位相差信号は、測定対象のピーク成分を含むことから、ピーク前後の所定幅の信号波形から求めたテンプレート信号と相関の強い箇所が周期的に存在すると予想される。信号間の相関が強いと、各信号をベクトルとして考えた時、これらのベクトルの内積が大となることから、相関の強さを内積に基づく相関係数で表現する。詳細には、ベクトルの内積が二つのベクトルのなす角の余弦とベクトルのノルムの積で表されることを利用して、二つのベクトルのなす角の余弦を相関係数として用いることができる。
ここで、電磁波送受信手段11で得られた位相差信号K(k1,k2,…,kM)、テンプレート信号L(l1,l2,…,lN)、シフト量(単位時間)m[秒]を用いれば、相関係数は次式で定義される。
Figure 0005140891
ここで、右辺の分子は内積、分母の‖‖はノルムを表わす。またM、Nはそれぞれ、位相差信号、テンプレート信号のデータ数である。得られた相関係数を単位時間の経過ごとにプロットすれば、相関係数信号が得られる。
前記ピーク認定手段14は、得られた相関係数信号において所定の閾値を超え且つ所定間隔をなす各ピークの発生時を、測定対象の心拍に対応するピーク発生時として認定するものである。より詳細には、相関係数信号における各ピークのうち、ピークの値が所定の閾値、例えば0.5より大きいものについて、それぞれピーク間隔を取得し、得られたピーク間隔のいずれも、位相差信号波形上で測定対象となるピークの発生予想間隔、例えば、測定対象である心拍の平常時間隔(約1秒)、の2倍以内に収る場合は、適切なピーク間隔として、各ピークをそのまま測定対象である心拍に対応するものとして認定する仕組みである。こうして得られた相関係数信号の心拍に対応する各ピークから、心拍間隔を測定し、ストレス評価等に用いることができる。
一方、ピーク認定手段14において、得られたピーク間隔のうち、位相差信号波形上で測定対象となるピークの発生予想間隔の2倍を超えるものがあると認められた場合には、新たに相関係数信号を求める一連の処理の実行がテンプレート作成手段12及び相互相関処理手段13に指示され、テンプレート作成手段12及び相互相関処理手段13では、取得された新たな相関係数信号におけるピーク間隔が前記発生予想間隔の2倍以下であるとピーク認定手段14で認められるまで、相関係数信号を求める処理が繰返される仕組みである。
前記電磁波送受信手段11の計測演算部11h、テンプレート作成手段12、相互相関処理手段13、及びピーク認定手段14は、そのハードウェア構成として、CPU50と、メモリ51と、ROM52と、入出力インターフェース53とを備えるコンピュータとなっており、メモリ51及び/又はROM52に格納されるプログラムにより、コンピュータを前記計測演算部11h、テンプレート作成手段12、相互相関処理手段13、及びピーク認定手段14として動作させる仕組みである。前記メモリ51は、計測演算部11hで得られた位相差信号や、テンプレート作成手段12で得られたテンプレート信号、並びに相互相関処理手段で求められた相関係数等の測定、算出結果を、一回の測定毎に記録保存する。なお、前記計測演算部11h、テンプレート作成手段12、相互相関処理手段13、及びピーク認定手段14は、それぞれ独立に、あるいは複数まとめた状態として、複数のコンピュータをなすものとすることもできる。また、こうしたコンピュータは、CPU50、メモリ51及びROM52を一体的に形成されたマイクロコンピュータとしてもかまわない。
次に、本実施形態に係る信号ピーク測定システムの使用状態について、図4に示すフローチャートを用いつつ説明する。前提として、被験体70となる人(被験者)は心拍平常状態(心拍数:毎分50〜100回)で身体所定部位をアンテナ11aの近傍に位置させ、また、被験体70には外部から振動が加わり得る状況となっているものとする。まず、被験体70としての人体に対し、あらかじめ設定された測定時間(100〜180秒)の間、電磁波送受信手段11が、被験体70に対しアンテナ11aから連続のマイクロ波を照射すると共に、被験体70からの反射波を受信し、照射波と反射波との位相差信号をテンプレート作成手段12に出力する(ステップS001)。
テンプレート作成手段12は、得られた位相差信号について、ピーク値が前記中心値の±30%の範囲内に収るピークを絞り込んだ上で(ステップS002)、まず位相差信号の最初の1〜2秒間で最大値探査に基づいてピーク発生予想時を検出する。ここで、被験体における振動、すなわち心拍の予想ピーク周期は、心拍の平均的周期(約1秒)と見なせることで、先の検出に続けて、測定時間内で、直前に検出したピーク発生予想時から、心拍の平均的周期(約1秒)の一周期分経過した時間を中心に±1/4周期程度の時間幅に相当する、0.6〜1.2秒の経過時間の範囲で、最大値探査に基づいてピーク発生予想時を検出する処理を順次行う(ステップS003)。こうして検出した各ピーク発生予想時は適切なピーク発生予想時と認定でき、前記位相差信号波形から前記各ピーク発生予想時を中心として前記予想ピーク周期の±1/2周期程度となる±0.5秒の時間幅分の波形抽出を行う(ステップS004)。
そして、テンプレート作成手段12は、この位相差信号波形から各ピークの発生予想時を中心に抽出した信号波形について加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成する(図3参照;ステップS005)。
なお、ここに示した位相差信号波形における各ピーク発生予想時の探査時間幅や、ピーク発生予想時を中心とする波形の抽出時間幅は、被験者の心拍数が毎分50〜100回の範囲にある平常時に対応するものであり、これらの値は被験者の状態によって適宜変更可能である。例えば、激しい運動後や作業時において被験者の心拍数が毎分100〜200回の範囲にあるような場合、前記探査時間幅を直前に検出したピーク発生予想時から0.3〜0.6秒の範囲に、また、波形の抽出時間幅を±0.25秒に設定するのが望ましい。
続いて、相互相関処理手段13は、位相差信号とテンプレート信号との相互相関を、位相差信号の所定単位時間(1/1000秒)ごとに順次求め、各時点の相関係数を得る。すなわち、位相差信号におけるテンプレート信号の時間幅に対応する計算対象範囲を位相差信号の始端側から時間経過方向に前記単位時間の1/1000秒分シフトしながら繰返し求めていき、1/1000秒ずつずれた各時点ごとの相関係数を得ていく。測定時間全体にわたって得られた各相関係数により、相関係数の時間的変化の波形である相関係数信号が求まる(ステップS006)。
さらに、ピーク認定手段14は、得られた相関係数信号における各ピークのうち、ピークの値が閾値0.5より大きいものについて、それぞれピーク間隔を取得し、得られた各ピーク間隔のうち、位相差信号波形上で心拍に対応するピークの発生予想間隔(心拍の平常時間隔)の2倍を超えるものがあるか否かを判定する(ステップS007)。
ここで、各ピークの発生予想間隔の2倍を超えるものがあると認められた場合には、ピーク認定手段14は、新たに相関係数信号を求める一連の処理の実行をテンプレート作成手段12及び相互相関処理手段13に指示する。すなわち、前記ステップS003ないしステップS006の各処理を繰返すこととなる。
その場合、テンプレート作成手段12は、相関係数信号の波形から、前記各ピークを中心に所定時間幅分を抽出して加算平均処理を行い、平均波形としての新たなテンプレート信号を作成する(ステップS003〜S005)。さらに、相互相関処理手段13は、前記新たなテンプレート信号と相関係数信号との相互相関を、相関係数信号の所定単位時間(1/1000秒)ごとに順次求め、新たな相関係数信号を取得する(ステップS006)。
そして、こうした過程が、ピーク認定手段14における新たな判定(ステップS007)において、新たな相関係数信号における0.5を上回る値の各ピークの間隔が前記各ピークの発生予想間隔の2倍以下であると認められるまで繰返されることとなる。
ピーク認定手段14において、得られた各ピーク間隔が、いずれも位相差信号波形上で心拍に対応する各ピークの発生予想間隔の2倍以下であると認められた場合には、相互相関の処理を経て得られた各ピークが位相差信号における測定対象の心拍に対応するピークと見なし、テンプレート作成と相互相関の処理のさらなる繰返しは行わず、得られた相関係数信号の心拍に対応する各ピークを、心拍間隔測定等の利用に供することとなる。
こうしてピーク認定手段14を用いて、相関係数信号におけるピーク間隔が測定対象である心拍に対応すると見なせる条件を満たさない場合に、テンプレート作成手段12で相関係数信号から新たにテンプレート信号を作成し、相互相関処理手段13で新たなテンプレート信号と相関係数信号の相関をとり、新たな相関係数信号を取得していく処理を繰返すことで、新たな相関係数信号におけるピークをさらに明確化でき、電磁波送受信手段11で得られる信号がノイズを多く含んで一度の相互相関をとる処理のみでは、相関係数の鮮明なピークを得にくい場合でも、測定対象のピークとして適切に使用できる相関係数信号を確実に取得できる。そして、相関係数信号のピークが明確にあらわれてピーク間隔が適切となっている場合は、さらなる相関係数の算出に係る各処理を省略することで、測定精度を確保しつつ処理時間を必要最小限にできる。
さらに、ピーク認定手段14による認定を経た相関係数信号のピークを用いて、被験者の心拍を測定できることで、心拍間隔に対応する相関係数信号のピーク間隔の変動を求めれば、ストレス評価を行なうこともできる。すなわち、心電計のR波とR波のピーク間隔から読取った心拍間隔の時間変化を周波数解析し、低周波成分のピーク値LFと、高周波成分のピーク値HFを用い、ストレス評価値としてのLF/HFの値を求める従来のストレス評価手法と同様に、相関係数信号のピーク間隔を用いて心拍間隔変動に基づくストレス評価が行え、特に本実施形態のシステムの場合、直接被験者の身体に接触せずに測定を行えることで、被験者へ緊張等与えることなく心拍の間隔を確実に捉えられることとなり、ストレス評価を適切に行え、評価精度を向上させられる。
このように、本実施形態に係る信号ピーク測定システムは、電磁波送受信手段11によって得られた測定対象のピーク以外のノイズ成分も含む照射波と反射波との位相差信号の波形から、測定対象である心拍に対応するピーク発生時を含む所定範囲の信号波形の加算平均をとってテンプレート信号を求め、このテンプレート信号と元の位相差信号との相互相関をとり、相関係数を求めると、測定対象のピークとの相関の高さを示す相関係数は測定対象のピークに対応して高い値を示す一方、この相関係数はノイズ成分については相関が低くなることで、相関係数の時間的変化の波形である相関係数信号は測定対象のピークに適合するピークを生じることから、相関係数信号の波形にあらわれるピークのうち有効と見なせるものを測定対象のピークに対応するものとして取扱えば、電磁波送受信手段11で得られる位相差信号がノイズを含んで測定対象のピークが明確でない場合でも、相関係数信号の鮮明なピークを使用して、被験体の状態に基づいて位相差信号上で変化する測定対象の心拍に係る測定値、例えば心拍の間隔等を効率よく求められ、且つ正確に評価できる。
なお、前記実施形態に係る信号ピーク測定システムにおいては、電磁波送受信手段11で得られた位相差信号について、そのままテンプレート作成手段12や相互相関処理手段13による処理を実行する構成としているが、これに限らず、得られた位相差信号を所定のフィルタ処理手段に通し、不要成分を減衰させてから、テンプレート作成手段12や相互相関処理手段13での処理に供する構成とすることもでき、テンプレート信号を求める処理や、テンプレート信号と位相差信号との相関係数を求める処理を容易にして、処理負荷を軽減し、相関係数信号に鮮明なピークを生じさせるまでの過程をより一層効率よく実行できる。
また、前記実施形態に係る信号ピーク測定システムにおいては、ピーク認定手段14で、相関係数信号でピークの値が0.5より大きい各ピークについて、それぞれピーク間隔を取得し、得られたピーク間隔のうち、位相差信号波形上で測定対象となる各ピークの発生予想間隔の2倍を超えるものがあると認められた場合に、ピーク認定手段14がテンプレート作成手段12や相互相関処理手段13による各処理を繰返し実行させる構成としているが、これに限らず、他の条件に基づいて、例えば、相関係数信号における各ピークのうち、いずれかの値が0.5以下であると認められた場合に、ピーク認定手段がテンプレート作成手段や相互相関処理による各処理を繰返させる構成とすることもでき、前記実施形態同様、測定対象のピークとして適切に使用できるピークを含んだ相関係数信号を確実に取得でき、相関係数信号上のピークに基づく計算等処理を正確に実行できる。
また、前記実施形態に係る信号ピーク測定システムにおいては、電磁波送受信手段11のアンテナ11aからマイクロ波を照射し、被験体からの反射波に基づいて位相差信号を取得し、テンプレート作成手段12や相互相関処理手段13による各処理を実行するという一連の処理系統を一つのみ備える構成としているが、これに限らず、測定場所が周囲環境から隔離されていない状況など、雑音や振動が常時存在し、被験体としての人体皮膚表面からの反射波信号が非常に多くの雑音・振動に基づく成分を含んで、ランダムな不要成分が心拍に基づく信号成分をマスクして測定を困難にするような場合に対応して、測定・処理系統を二つ以上配設し、各処理系統で得られた結果同士でさらに相互相関処理を行い、最終的に一つの相関係数信号を得るようにして、不要成分をキャンセルする構成とすることもでき、通常の一系統における処理よりも強力に相関係数信号のピークを明確化でき、測定対象のピークとして適切に使用できる相関係数信号を確実に取得できる。
また、前記実施形態に係る信号ピーク測定システムにおいては、測定対象を心拍とし、位相差信号に心拍の周期的なピークが含まれるようマイクロ波が照射され、心拍の間隔を相関係数信号のピーク間隔の形で求められる構成としているが、これに限らず、心拍に代えて呼吸のタイミングを測定対象とする構成とすることもでき、呼吸にはストレス時には浅く速くなり、リラックス時には深くゆっくりしたものとなる傾向が見られ、被験者にマイクロ波を照射して電磁波送受信手段で取得した位相差信号には、呼吸に基づいて、ストレス時に振幅が小さく且つ周波数が高くなり、またリラックス時に振幅が大きく且つ周波数が低くなっている振動波形成分が含まれることから、呼吸の間隔を相関係数信号のピーク間隔として得て、心拍と同様にストレス評価を行うことができる。また、電磁波送受信手段で取得した位相差信号からテンプレート信号を求め、位相差信号とテンプレート信号との相互相関を求める各処理を心拍と呼吸のそれぞれについて独立させて行うことで、心拍と呼吸の同時測定も可能であり、この場合、心拍・呼吸変化の両面からストレス評価を行うことができ、心拍と同様にストレスと密接に関係している呼吸を解析・比較し、心拍測定によるストレス評価と並行してストレス評価を行うことで、評価の精度と信頼性が向上する。また、これら心拍変動と呼吸変動のストレス評価に係る関連性も明らかにできる。
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態を図5に基づいて説明する。本実施形態においては、被験体であるコンクリート構造物にパルスを照射してその飛行時間から反射面の位置を取得するための測定システムの例について説明する。
前記図5において本実施形態に係る測定評価システム2は、被験体80に対し繰返しのマイクロ波パルスを照射すると共に、被験体80からの反射波を受信する電磁波送受信手段21と、反射波の信号波形から、信号波形上で測定対象となる各ピークの発生予想時を中心に所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成するテンプレート作成手段22と、前記反射波の信号とテンプレート信号との相互相関を、前記反射波の信号の所定単位時間ごとに順次求めて、この単位時間ごとの各時点における相関係数の時間的変化の波形である相関係数信号を取得する相互相関処理手段23と、得られた相関係数信号において所定の閾値を超えるピークの発生時を、測定対象のピーク発生時として認定するピーク認定手段24とを備える構成である。
前記電磁波送受信手段21は、被験体80としてのコンクリート構造物に対し、マイクロ波帯でパルス幅が10〜100psとなる超短パルスを所定周期で繰返し照射する一方、被験体からの反射波を受信して、反射波の信号を出力するものである。
詳細には、電磁波送受信手段21は、被験体にマイクロ波パルスを照射する照射用アンテナ21aと、マイクロ波パルスを発生させるパルス発生器21bと、反射波を受信する受信用アンテナ21cと、受信用アンテナ21cからの反射波を増幅する増幅器21dと、増幅器21dからの反射波を外部へ解析可能な状態で出力する出力部21eとを備える構成である。
この電磁波送受信手段21では、パルス発生器21bから出力されるマイクロ波パルスが、照射用アンテナ21aから照射波として被験体80であるコンクリート構造物の所定箇所に照射される。そして、被験体80で反射された反射波の信号を受信用アンテナ21cで受信し、増幅器21dで増幅した後、この反射波信号が出力部21eから出力される。このマイクロ波パルスをコンクリート構造物に照射することで、コンクリート内における誘電率等の媒質状態が変化した部位、例えば、コンクリート内の空隙等欠陥部分や鉄筋等金属部分で、反射した反射波が得られ、この反射波にパルスに対応したピーク成分が含まれることから、このピークの、照射波における入射時からの遅れ時間、すなわちパルスの飛行時間を算出することで、欠陥部分等の反射面位置を求めることができる。反射位置を求める原理自体は、照射時から反射波到来までの遅れ時間により決定するいわゆるレーダと同じ原理である。
なお、当然ながら被験体80の表面でも反射が生じており、この被験体80表面からの反射波が受信用アンテナ21cに最初に到達することとなる。本実施形態における測定の場合、各アンテナと被験体80表面との間の距離は容易に得られることにより、被験体80表面からの前記ピーク成分が含まれる反射波が受信用アンテナ21cに到達してから、被験体80内部からの前記ピーク成分を含む反射波が受信用アンテナ21cに到達するまでの経過時間を算出して、内部の反射面位置を求めるようにしてもよい。
前記テンプレート作成手段22は、反射波の信号波形から、測定対象のピーク時、すなわち反射面で反射したパルスに対応するピーク時を中心とする所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成するものである。
このテンプレート作成手段22については、反射波信号を対象としてテンプレート作成処理を行い、また、各ピーク発生予想時の探査時間幅や、ピーク発生予想時を中心とする波形の抽出時間幅を、超短パルスに対応した極めて短い時間幅に設定する点以外は、前記第1の実施形態におけるテンプレート作成手段12と同様であり、詳細な説明を省略する。
前記相互相関処理手段23は、電磁波送受信手段21で反射波の信号が得られ、さらにテンプレート作成手段により反射波の信号に基づくテンプレート信号が作成されたら、これら反射波信号とテンプレート信号との相互相関を、反射波信号の所定単位時間ごとに順次求め、各時点の相関係数を得ることで、測定時間全体にわたる相関係数の時間的変化の波形、すなわち相関係数信号を取得するものである。
この相互相関処理手段23についても、反射波の信号についてテンプレート信号との相互相関処理を行い、また、反射波の信号について順次相互相関を求めていく各時点間の間隔としての単位時間(シフト時間)の設定が超短パルスに対応した時間幅とされる点以外は、前記第1の実施形態と同様であり、詳細な説明を省略する。
前記ピーク認定手段24は、得られた相関係数信号において所定の閾値を超える各ピークの発生時を、測定対象である反射したパルスを示すピークの発生時点として認定するものである。より詳細には、相関係数信号における各ピークの値が、いずれも閾値0.5より大きい場合は、適切なピーク発生時として、各ピークをそのまま測定対象であるパルスに対応するものとして認定する仕組みである。こうして得られた相関係数信号のパルスに対応する各ピーク時と、照射波におけるパルスの入射時とからパルスの飛行時間を算出し、反射面位置の特定等を行うことができる。
一方、ピーク認定手段24において、ピークのうち、その値が閾値の0.5以下となるものがあると認められた場合には、前記第1の実施形態同様、新たに相関係数信号を求める一連の処理の実行がテンプレート作成手段22及び相互相関処理手段23に指示され、条件が合うまで相関係数信号を求める処理が繰返される仕組みである。
次に、本実施形態に係る信号ピーク測定システムの使用状態について説明する。前提として、被験体80となるコンクリート構造物に対し移動可能とされた照射用アンテナ21a及び受信用アンテナ21cが、あらかじめ設定された一箇所当りの測定時間の間、被験体80に対し位置固定状態とされ、また、受信用アンテナ21cには被験体80内部だけでなく被験体80表面等で反射する反射波も到来し得る状況となっているものとする。まず、被験体80としてのコンクリート構造物に対し、あらかじめ設定された測定時間の間、電磁波送受信手段21が、照射用アンテナ21aからマイクロ波パルス(例えば、出力パルス幅65ps、振幅8V)を所定の繰返し周期(例えば、10マイクロ秒)で照射すると共に、被験体80内部からの反射波を受信し、反射波の信号をテンプレート作成手段12に出力する。
テンプレート作成手段22は、得られた反射波信号について、まず、被験体80の媒質から見積られる電磁波の伝搬速度と被験体80の大きさからパルスの飛行時間を予想して、この予想飛行時間分の最初の経過時間で、反射波信号について最大値探査に基づいて最初のピーク発生予想時を検出し、続いて、測定時間内で、直前に検出したピーク発生予想時から測定対象となる反射波のパルスの到来時期に対応する照射波におけるパルスの繰返し周期の一周期分経過した時間を中心に所定時間幅で最大値探査に基づいてピーク発生予想時を検出する処理を順次行い、検出した各ピーク発生予想時におけるピーク値が所定の中心値を挟んで±30%の範囲内に収る場合、前記検出した各ピーク発生予想時を適切なピーク発生予想時と認定し、前記反射波信号波形から前記各ピーク発生予想時を中心として所定時間幅分の波形抽出を行う。なお、ピーク発生予想時を検出する際や、波形抽出を行う際に設定される所定時間幅としては、例えば、被験体がコンクリートの場合、反射波が反射される欠陥等の予想位置の曖昧度設定値Δxを用いると、時間幅Δtは
Figure 0005140891
(ただし、εr:非誘電率、c:光速)
であらわすことができ、乾燥したコンクリートで、Δx=5[cm]の場合、時間幅は2[ns]である。
そして、テンプレート作成手段22は、この反射波信号波形から各ピークの発生予想時を中心に抽出した信号波形について加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成する。
続いて、相互相関処理手段23は、反射波信号とテンプレート信号との相互相関を、反射波信号の所定単位時間ごとに順次求め、各時点の相関係数を得る。すなわち、反射波信号におけるテンプレート信号の時間幅に対応する計算対象範囲を反射波信号の始端側から時間経過方向に前記単位時間分シフトしながら繰返し求めていき、単位時間ずつずれた各時点ごとの相関係数を得ていく。測定時間全体にわたって得られた各相関係数により、相関係数の時間的変化の波形である相関係数信号が求まる。
さらに、ピーク認定手段24は、得られた相関係数信号における各ピークのうち、ピークの値が閾値0.5以下となるものがあるか否かを判定する。
ここで、各ピークのうち0.5以下の値となるものがあると認められた場合には、ピーク認定手段24は、新たに相関係数信号を求める一連の処理の実行をテンプレート作成手段22及び相互相関処理手段23に指示する。
その場合、テンプレート作成手段22は、相関係数信号の波形から、前記各ピークを中心に所定時間幅分を抽出して加算平均処理を行い、平均波形としての新たなテンプレート信号を作成する。さらに、相互相関処理手段23は、前記新たなテンプレート信号と相関係数信号との相互相関を、相関係数信号の所定単位時間ごとに順次求め、新たな相関係数信号を取得する。
そして、こうした過程が、ピーク認定手段24における新たな判定において、新たな相関係数信号における各ピークの値がいずれも0.5を上回ると認められるまで繰返されることとなる。
ピーク認定手段24において、得られた各ピークの値が、いずれも閾値0.5より大きいと認められた場合には、相互相関の処理を経て得られた各ピークが反射波信号における測定対象のパルスに対応するピークと見なし、テンプレート作成と相互相関の処理のさらなる繰返しは行わず、得られた相関係数信号のパルスに対応する各ピークを、飛行時間導出等の利用に供することとなる。
このピーク認定手段24による認定を経た相関係数信号のピークを用いて、反射波におけるパルスを測定できることで、パルスに対応する相関係数信号のピークの発生時点を求めれば、入射時点からの遅れ時間として飛行時間を求めて、あるいは被験体表面からの反射波到達からの経過時間を求めて、反射面までの距離の特定を行うことができ、被験体80に対するアンテナ21a位置を変えて同様の測定を行えば、被験体80とアンテナ21aとの位置関係と、得られた反射面までの距離から、反射面、すなわち空隙等の欠陥や金属等の存在により媒質状態の変化した部位を精度よく特定できることとなる。
このように、本実施形態に係る信号ピーク測定システムは、電磁波送受信手段21の照射した超短パルスに基づくピーク以外のノイズ成分も含む反射波の信号波形から、測定対象の超短パルスに基づくピーク発生時を含む所定範囲の信号波形の加算平均をとってテンプレート信号を求め、このテンプレート信号と反射波の信号との相互相関をとり、得られた相関係数信号の波形にあらわれるピークを、元の反射波における超短パルスのピークに対応するものとして取扱うことにより、反射波のピークとの相関の高さを示す相関係数は反射波のピークに対応して高い値を示して鮮明なピークをなしており、反射波の信号がノイズを含んでピークが明確でない場合でも、相関係数の鮮明なピークを反射波の測定対象のピークとして適切に使用でき、反射波に含まれるピークに関連する測定値、例えばピークの送受信で経過した時間等について効率よく求められ、且つ適切に評価できる。
なお、前記実施形態に係る信号ピーク測定システムにおいて、ピーク認定手段24は、相関係数信号における各ピークの値がいずれも閾値0.5より大きい場合に、各ピークを適切なピーク発生時と認定して、相関係数信号を求める処理をそれ以上繰返させない構成としているが、この他、ピーク認定手段が、相関係数信号における各ピークのうち、ピークの値が閾値0.5より大きいものについて、それぞれのピークの被験体表面で反射されたパルスからの遅れ時間を取得し、得られたピークの遅れ時間のいずれも、反射波信号波形上で測定対象のパルスに対応するピークの発生予測時間、すなわち、媒質に係る伝搬速度からあらかじめ予測される、被験体表面で反射されたパルスからの遅れ時間、に対し±30%以内など所定範囲内に収る場合に、各ピークを測定対象であるパルスに対応する適切なピーク発生時として認定するようにすることもでき、前記同様、相関係数の算出に係る各処理を適度に実行して処理時間を必要最小限に抑えつつ、ピークが明確にあらわれた相関係数信号を確実に取得して、相関係数信号の各ピーク時を用いたパルスの飛行時間算出が適切に行えることとなる。
本発明の信号ピーク測定システムで、心拍を測定し、ストレス評価に適用した事例を、比較例としての心電計による心拍測定結果及びそれを用いたストレス評価結果と比較評価した。
実施例として前記第1の実施形態に係る信号ピーク測定システムを用いて、心拍に対応する相関係数信号のピークを得ることによる心拍測定を行うにあたっては、心拍の測定に際し呼吸による動きの影響を避けるために、電磁波送受信手段のアンテナは、着座状態の被験者の下肢大腿部近傍に配置され、被験者の左大腿部裏にマイクロ波を照射し、心臓の動きに対応する動脈の脈動を測定するようにした。
マイクロ波発振器で生成されるマイクロ波は、周波数が10.525GHz、出力が10dBmである。このマイクロ波が、方向性結合器を経て6〜10dBの減衰特性を有する減衰器で減衰されてサーキュレータに達し、アンテナから照射される。
被験者からの反射波は、サーキュレータを介して、40dBの増幅特性を有する増幅器に達して増幅された後、クオドラチャ検出器に入る。クオドラチャ検出器で位相変化に基づく信号成分を得、さらにこれを計測演算部11hで処理して、心拍に相当する反射面の動き(振動)のピーク成分を含んだ位相差信号が出力される。
また、比較例として、マイクロ波による測定と同時に、心電計による心拍測定も行った。心電計の電極は一般的な心電図測定同様に被験者の身体複数箇所に直接当接させて測定を実施した。
実施例と比較例のいずれも、非静止環境として被験者及び測定システムが自動車内でエンジン振動を加えられる状況下で測定され、その測定時間は180秒となっている。実施例における電磁波送受信手段で得た位相差信号波形と、比較例の心電図における信号波形を、図6に示す。
前記図6(A)に示されるように、実施例の位相差信号は図6(B)に示される心拍に相当するピークが明確にあらわれていないことから、相関係数信号を求める処理も合せて行う。
位相差信号について、テンプレート作成手段により、位相差信号波形にあらわれた各ピークのうち、心拍の特徴からあらかじめ導かれた中心値を挟んでその±30%の範囲内にピーク値が収るものが選択され、これらについて、位相差信号の最初の1〜2秒間で最大値探査に基づいてピーク発生予想時が検出され、続いて、測定時間の180秒内で、直前に検出したピーク発生予想時から0.6〜1.2秒の経過時間の範囲で最大値探査に基づいて次のピーク発生予想時を検出する処理が順次行われ、位相差信号波形から前記各ピーク発生予想時を中心として±0.5秒の時間幅分の波形抽出が行われる。この抽出された信号波形について加算平均処理がなされて、平均波形としてのテンプレート信号が作成される(図3参照)。
続いて、相互相関処理手段13により、位相差信号とテンプレート信号との相互相関が、位相差信号におけるテンプレート信号の時間幅に対応する計算対象範囲を位相差信号の始端側から時間経過方向に1/1000秒分シフトしながら繰返し求められ、測定時間全体にわたって1/1000秒ずつずれた各時点ごとの相関係数が得られることで、相関係数の時間的変化の波形である相関係数信号が求まる。得られた(第一)相関係数信号の波形を、横軸をシフト時間、縦軸を相関係数の値(−1〜1)としてプロットしたグラフを図7(A)に示す。
得られた第一相関係数信号における各ピークは、心拍に対応するものであるため、ピークの発生間隔は心拍の平常時間隔にほぼ一致するものとなっているが、ピークの値が閾値0.5を超えていないものがあることで、ピーク認定手段14は、相関係数信号におけるピーク間隔について、心拍に対応するピークの発生予想間隔としての平常時間隔の2倍を超えるものがあると判定することとなり、新たに相関係数信号を求める処理が行われる。
相関係数信号が三回繰返し求められた場合の、二回目に得られた第二相関係数信号の波形、並びに三回目に得られた第三相関係数信号の波形を、前記一回目同様にプロットしたグラフを、図7(B)、(C)に示す。
前記図7(A)に示した第一相関係数信号は、心電図のピークに相当するピークが得られているものの、明確で鋭いピークとはなっていない。これに対し、図7(B)に示した第二相関係数信号及び図7(C)に示した第三相関係数信号では、ピークの値が閾値0.5を超えて明確なピークが得られており、マイクロ波による測定で得られた位相差信号について相関係数を繰返し求めることにより。心電図のピークに示される心拍との対応がより確実なものとなることがわかる。
これら心拍測定結果としての、第一ないし第三の相関係数信号と、心電図の各波形について、心拍間隔(ピーク間隔)を測定し、従来のストレス評価手法に従い、HRV(心拍間隔の変動)を求め、さらにこのHRVについて高速フーリエ変換による周波数解析を行い、各周波数帯域ごとのパワースペクトルを求めて、ストレス評価値としての、低周波成分(0.03〜0.15Hz)のピーク値LFと高周波成分(0.15〜0.45Hz)のピーク値HFの比(LF/HF)を算出した。
各相関係数信号に基づくHRVとパワースペクトルの各グラフを図8ないし図10に示すと共に、比較例としての心電図に基づくHRV及びパワースペクトルの各グラフを図11に示す。
パワースペクトルの各グラフから得られるLF/HFの値は、図8に示す第一相関係数信号の場合は0.81、図9に示す第二相関係数信号の場合は0.72、図10に示す第三相関係数信号の場合は0.57となり、また図11に示す比較例としての心電図の場合は0.51となっている。
これらから、相関係数信号におけるピークが明確となって心拍のピークにより近いものとなるほど、ストレス評価値も心電図由来の値に近くなっており、非静止環境下での被験者と非接触状態における測定でも、得られた信号に対し相互相関等の処理を適用することで、心電図による測定同様の精度で心拍を測定でき、適切にHRVを取得して問題なくストレス評価を行えることが確認できた。
1、2 信号ピーク測定システム
11、21 電磁波送受信手段
11a、21a アンテナ
11b マイクロ波発振器
11c 方向性結合器
11d 減衰器
11e、21d 増幅器
11f サーキュレータ
11g クオドラチャ検出器
11h 計測演算部
12、22 テンプレート作成手段
13、23 相互相関処理手段
14、24 ピーク認定手段
21a 照射用アンテナ
21b パルス発生器
21c 受信用アンテナ
21e 出力部
50 CPU
51 メモリ
52 ROM
53 入出力インターフェース
70、80 被験体

Claims (6)

  1. 被験体に対し繰返しの電磁波パルス又は電磁波を照射すると共に、被験体からの反射波を受信し、反射波の信号、又は照射波と反射波との位相差に基づく信号を出力する電磁波送受信手段と、
    反射波の信号波形、又は照射波と反射波との位相差信号波形から、信号波形上で測定対象となる各ピークの発生予想時を中心に所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成するテンプレート作成手段と、
    前記反射波の信号又は前記位相差信号と前記テンプレート信号との相互相関を、前記反射波の信号又は前記位相差信号の所定単位時間ごとに順次求めて、当該単位時間ごとの各時点における相関係数の時間的変化の波形である相関係数信号を取得する相互相関処理手段と、
    得られた相関係数信号において所定の閾値を超えるピークの発生時を、測定対象のピーク発生時として認定するピーク認定手段とを備え、
    前記電磁波送受信手段が、電磁波を所定周期の連続波として照射し、反射波を受信して、照射波と反射波との位相差信号を出力し、
    前記テンプレート作成手段が、照射波と反射波との位相差信号波形から、測定対象のピーク前後の所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成し、
    前記相互相関処理手段が、前記位相差信号と前記テンプレート信号との相互相関を、位相差信号の所定単位時間経過ごとに計算して、相関係数信号を取得することを
    特徴とする信号ピーク測定システム。
  2. 前記請求項1に記載の信号ピーク測定システムにおいて、
    前記電磁波送受信手段が、所定の略周期的振動を生じる被験体に対し、電磁波を所定の測定時間にわたって照射し、反射波を受信して位相差信号を出力し、
    前記テンプレート作成手段が、前記測定時間の範囲内で、位相差信号におけるピークのうち所定の振幅中心値の±30%の範囲内にピーク値が収るものについて、前記位相差信号の最初の1ないし数秒間で最大値探査に基づいてピーク発生予想時を検出し、続いて、直前に検出したピーク発生予想時から被験体における振動の予想ピーク周期の一周期分経過した時間を中心に±1/4周期程度の時間幅の範囲で最大値探査に基づいてピーク発生予想時を検出する処理を順次行い、検出した各ピーク発生予想時を適切なピーク発生予想時と認定し、前記位相差信号波形から前記各ピーク発生予想時を中心として前記予想ピーク周期の±1/2周期程度の時間幅分の波形抽出を行うことを
    特徴とする信号ピーク測定システム。
  3. 被験体に対し繰返しの電磁波パルス又は電磁波を照射すると共に、被験体からの反射波を受信し、反射波の信号、又は照射波と反射波との位相差に基づく信号を出力する電磁波送受信手段と、
    反射波の信号波形、又は照射波と反射波との位相差信号波形から、信号波形上で測定対象となる各ピークの発生予想時を中心に所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成するテンプレート作成手段と、
    前記反射波の信号又は前記位相差信号と前記テンプレート信号との相互相関を、前記反射波の信号又は前記位相差信号の所定単位時間ごとに順次求めて、当該単位時間ごとの各時点における相関係数の時間的変化の波形である相関係数信号を取得する相互相関処理手段と、
    得られた相関係数信号において所定の閾値を超えるピークの発生時を、測定対象のピーク発生時として認定するピーク認定手段とを備え、
    前記電磁波送受信手段が、所定周期での繰返しの超短パルスを照射し、
    前記テンプレート作成手段が、反射波の信号波形から、信号波形上で前記超短パルスに基づく各ピークの発生予想時を中心に所定時間幅分をそれぞれ抽出して加算平均処理を行い、平均波形としてのテンプレート信号を作成し、
    前記相互相関処理手段が、前記反射波の信号と前記テンプレート信号との相互相関を、反射波の信号の所定単位時間経過ごとに計算して、相関係数信号を取得することを
    特徴とする信号ピーク測定システム。
  4. 前記請求項1ないし3のいずれかに記載の信号ピーク測定システムにおいて、
    前記ピーク認定手段で、前記相関係数信号における各ピークのうち、ピークの値が0.5より大きいものについて、それぞれピーク間隔を取得し、得られたピーク間隔のうち、反射波の信号波形、又は照射波と反射波との位相差信号波形上で測定対象となる各ピークの発生予想間隔の2倍を超えるものがあると認められた場合に、
    前記テンプレート作成手段が、前記相関係数信号の波形から、前記各ピークを中心に所定時間幅分を抽出して加算平均処理を行い、平均波形としての新たなテンプレート信号を作成し、
    さらに前記相互相関処理手段が、前記新たなテンプレート信号と前記相関係数信号との相互相関を所定単位時間経過ごとに計算して、新たな相関係数信号を取得する過程を、
    前記ピーク認定手段で新たな相関係数信号における0.5を上回る値の各ピークの間隔が前記発生予想間隔の2倍以下であると認められるまで繰返すことを
    特徴とする信号ピーク測定システム。
  5. 前記請求項1ないし3のいずれかに記載の信号ピーク測定システムにおいて、
    前記ピーク認定手段で、前記相関係数信号における各ピークのうち、いずれかの値が0.5以下であると認められた場合に、
    前記テンプレート作成手段が、前記相関係数信号の波形から、前記各ピークを中心に所定時間幅分を抽出して加算平均処理を行い、平均波形としての新たなテンプレート信号を作成し、
    さらに前記相互相関処理手段が、前記新たなテンプレート信号と前記相関係数信号との相互相関を所定単位時間経過ごとに計算して、新たな相関係数信号を取得する過程を、
    前記ピーク認定手段で新たな相関係数信号における各ピークの全ての値が0.5を上回ると認められるまで繰返すことを
    特徴とする信号ピーク測定システム。
  6. 前記請求項1ないしのいずれかに記載の信号ピーク測定システムにおいて、
    前記電磁波送受信手段で得られた反射波の信号、又は照射波と反射波との位相差信号から、反射波の信号波形、又は照射波と反射波との位相差信号波形上で測定対象となる各ピークの発生予想周期より短い周期となる高周波成分を除去するフィルタ処理手段を備えることを
    特徴とする信号ピーク測定システム。
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