JP5140285B2 - 組換え微生物 - Google Patents
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Description
本明細書に記載の枯草菌の各遺伝子及び遺伝子領域の名称は、Nature, 390, 249-256,(1997)で報告され、JAFAN: Japan Functional Analysis Network for Bacillus subtilis (BSORF DB)でインターネット公開(http://bacillus.genome.ad.jp/、2004年3月10日更新)された枯草菌ゲノムデータに基づいて記載している。
(1)配列番号1で示される塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、且つ配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に等価なタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子。
(2)配列番号1で示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に等価なタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子。なお、ここで、「ストリンジェントな条件」としては、例えばMolecular Cloning −A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook, David W. Russell., Cold Spring Harbor LaboratoryPress]記載の方法が挙げられ、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M 塩化ナトリウム、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5% SDS、5xデンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
(3)配列番号2で示されるアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に等価なタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子。
(4)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に等価なタンパク質をコードするDNAからなる遺伝子。なお、ここで、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列には、1若しくは数個、好ましくは1〜10個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列が含まれ、付加には、両末端への1〜数個のアミノ酸の付加が含まれる。
なお、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に等価なタンパク質とは、secY遺伝子によりコードされるタンパク質と実質的に同じ機能を有し、分泌タンパク質が通過する輸送チャネルの主要部分を構成することのできるタンパク質をいう。
尚、ここで、「ストリンジェントな条件」としては、上記したものと同様の条件が挙げられる。
特に、本発明微生物の宿主として枯草菌を用いる場合、secY遺伝子を含むオペロンの本来の転写開始制御領域、若しくは転写開始制御領域とリボソーム結合部位から、当該転写開始制御領域、若しくは転写開始制御領域とリボソーム結合部位への相同組換えによる置換は、Mol.Gen.Genet.,223,268,1990記載の方法等を利用して行うことが出来る。
またかかる断片は、プラスミド等のベクターによって細胞質中に導入することができる。尚、後記実施例に示す様に、かかる断片は1菌体当たり1コピーの導入で目的タンパク質又はポリペプチドの生産に対し充分な効果を発揮することから、プラスミドによって導入した場合、生産培養中に一部のプラスミドが脱落しても、その影響を受け難い。
本方法で用いる導入用DNA断片は、宿主のゲノム上の導入部位の上流に隣接する約0.1〜3、好ましくは0.4〜3kbの断片(以下、断片(1))と、下流に隣接する約0.1〜3、好ましくは0.4〜3kbの断片(以下、断片(2))の間に、当該spoVG遺伝子の転写開始制御領域、若しくは転写開始制御領域とリボソーム結合部位を含む断片(以下、断片(3))、secY遺伝子断片(以下、断片(4))、及びクロラムフェニコール耐性遺伝子等の薬剤耐性マーカー遺伝子断片(以下、断片(5))を順に挿入したDNA断片である。まず、1回目のPCRによって、断片(1)〜断片(5)の5断片を調製する。この際、例えば、断片(1)の下流末端に断片(3)の上流側10〜30塩基対配列、断片(4)の上流末端に断片(3)の下流側10〜30塩基対配列、断片(4)の下流末端に断片(5)の上流側10〜30塩基対配列、更に断片(2)の上流側に断片(5)の下流側10〜30塩基対配列が付加される様にデザインしたプライマーを用いる(図1)。
次いで、1回目に調製した5種類のPCR断片を鋳型とし、断片(1)の上流側プライマーと断片(2)の下流側プライマーを用いて2回目のPCRを行う。これにより、断片(1)の下流末端に付加された断片(3)の配列に於いて断片(3)とのアニールが生じ、同様に、断片(4)の上流末端に付加された断片(3)の配列に於いて断片(3)とのアニールが生じ、断片(4)の下流末端に付加された断片(5)の配列に於いて断片(5)とのアニールが生じ、断片(2)の上流側に付加された断片(5)の配列において断片(5)とのアニールが生じるので、PCR増幅の結果、断片(1)〜断片(5)の5断片が、(1)(3)(4)(5)(2)の順に結合したDNA断片を得ることが出来る(図1)。
かくして得られた導入用DNA断片を、コンピテント法等によって細胞内に導入すると、同一性のあるゲノム上導入部位の上流及び下流の相同領域おいて、細胞内での遺伝子組換えが生じ、spoVG遺伝子の転写開始制御領域、又は転写開始制御領域とリボソーム結合部位をsecY遺伝子の上流に連結した遺伝子断片が導入された細胞を薬剤耐性マーカーによる選択によって分離することができる。薬剤耐性マーカーによる選択は、例えば、クロラムフェニコールを含む寒天培地上に生育するコロニーを分離したのち、ゲノムを鋳型としたPCR法などによってゲノム上への導入が確認されるものを選択することにより行えばよい。尚、上記薬剤耐性マーカー遺伝子は、一般的に用いられる抗生物質を用いた選択に利用可能なものであれば特に限定されないが、クロラムフェニコール耐性遺伝子の他には、エリスロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、スペクチノマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子及びブラストサイジンS耐性遺伝子等の薬剤耐性マーカー遺伝子が挙げられる。
すなわち、枯草菌株をSPI培地(0.20% 硫酸アンモニウム、1.40% リン酸水素二カリウム、0.60% リン酸二水素カリウム、0.10% クエン酸三ナトリウム二水和物、0.50% グルコース、0.02% カザミノ酸 (Difco)、5mM 硫酸マグネシウム、0.25μM 塩化マンガン、50μg/ml トリプトファン)において37℃で、生育度(OD600)の値が1程度になるまで振盪培養した。振盪培養後、培養液の一部を9倍量のSPII培地(0.20% 硫酸アンモニウム、1.40% リン酸水素二カリウム、0.60% リン酸二水素カリウム、0.10% クエン酸三ナトリウム二水和物、0.50% グルコース、0.01% カザミノ酸 (Difco)、5mM 硫酸マグネシウム、0.40μM 塩化マンガン、5μg/ml トリプトファン)に接種し、更に生育度(OD600)の値が0.4程度になるまで振盪培養することで、枯草菌株のコンピテントセルを調製した。次いで調製したコンピテントセル懸濁液(SPII培地における培養液)100μLに各種DNA断片を含む溶液(SOE−PCRの反応液等)5μLを添加し、37℃で1時間振盪培養後、適切な薬剤を含むLB寒天培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl、1.5%寒天)に全量を塗沫した。37℃における静置培養の後、生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体のゲノムを抽出し、これを鋳型とするPCRによって目的とするゲノム構造の改変が為されたことを確認した。
以下の様に、secY遺伝子を過剰発現する変異株の構築を行った(図2参照)。枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示したPVG-FWとPVG-R、及びsecY/PVG-FとsecY/Cm-Rのプライマーセットを用いてspoVG遺伝子の転写開始制御領域とリボソーム結合部位を含む0.2kb断片(A)、及びsecY遺伝子を含む1.3kb断片(B)をPCRにより増幅した。またプラスミドpC194(J. Bacteriol. 150 (2), 815 (1982))を鋳型として、表1に示したcatfとcatrのプライマーセットを用いてクロラムフェニコール(Cm)耐性遺伝子を含む0.9kb断片(C)をPCRにより増幅した。次いで、得られた(A)(B)(C)3断片を混合して鋳型とし、表1に示したPVG-FW2とcatr2のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、3断片を(A)(B)(C)の順になる様に結合させ、spoVG遺伝子の転写開始制御領域とリボソーム結合部位がsecY遺伝子の上流に連結し(spoVG遺伝子の開始コドンの位置にsecY遺伝子の開始コドンが位置する様に連結)、更にその下流にCm耐性遺伝子が結合した2.2kbのDNA断片(D)を得た。続いて枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示したamyEfw2とamyE/PVG2-R、及びamyE/Cm2-FとamyErv2のプライマーセットを用いてamyE遺伝子の5'側領域を含む1.0kb断片(E)、及びamyE遺伝子の3'側領域を含む1.0kb断片(F)をPCRにより増幅した。次いで、得られた(E)(F)(D)3断片を混合して鋳型とし、表1に示したamyEfw1とamyErv1のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、3断片を(E)(D)(F)の順になる様に結合させ、spoVG遺伝子の転写開始制御領域とリボソーム結合部位の下流にsecY遺伝子が連結し、更にその下流にクロラムフェニコール耐性遺伝子が結合した2.2kbのDNA断片がamyE遺伝子の中央に挿入された総塩基長4.2kbのDNA断片(G)を得た。得られた4.2kbのDNA断片(G)を用いてコンピテントセル法により枯草菌168株を形質転換し、クロラムフェニコール(10μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示すamyEfw2とsecY/Cm-R、及びsecY/PVG-FとamyErv2のプライマーセットを用いたPCRを行うことによって2.5kb及び3.1kbのDNA断片の増幅を確認し、枯草菌168株ゲノム上のamyE遺伝子部位にspoVG遺伝子の転写開始制御領域とリボソーム結合部位の下流にsecY遺伝子が連結したDNA断片が挿入されたことを確認した。この様にして得られた菌株をsecY-K株と命名した。
実施例1にて得られたsecY-K株、及び対照として枯草菌168株の異種タンパク質生産性評価は、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるバチルス属細菌由来のアルカリセルラーゼの生産性を指標として以下の様に行った。すなわち、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-S237株(FERM BP-7875)由来のアルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000-210081号公報)断片(3.1 kb)を表1に示した237UB1と237DB1のプライマーセットを用いて増幅した後BamHI制限酵素処理し、シャトルベクターpHY300PLKのBamHI制限酵素切断点に挿入した組換えプラスミドpHY-S237を、プロトプラスト形質転換法によって各菌株に導入した。これによって得られた組換え菌株を10 mLのLB培地で一夜37℃で振盪培養を行い、更にこの培養液0.05 mLを50 mLの2×L−マルトース培地(2% トリプトン、1% 酵母エキス、1% NaCl、7.5% マルトース、7.5 ppm硫酸マンガン4-5水和物、15 ppmテトラサイクリン)に接種し、30℃にて3日間振盪培養を行った。遠心分離によって菌体を除いた培養液上清のアルカリセルラーゼ活性を測定し、培養によって菌体外に分泌生産されたアルカリセルラーゼの量を求めた。
セルラーゼ活性測定については、1/7.5M リン酸緩衝液(pH7.4 和光純薬)で適宜希釈したサンプル溶液50μLに0.4mM p-nitrophenyl-β-D-cellotrioside(生化学工業)を50μL加えて混和し、30℃にて反応を行った際に遊離するp-ニトロフェノール量を420nmにおける吸光度(OD420nm)変化により定量した。1分間に1μmolのp-ニトロフェノールを遊離させる酵素量を1Uとした。
secY遺伝子と共にsecE遺伝子を過剰発現する菌株の構築を以下の様に行った(図3参照)。すなわち、枯草菌168株から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示したsecE/Y-F2とsecE/Ne-R、secY/PVG-FとsecY/Cm-R、及びamyE/Nm-FとamyErv2のプライマーセットを用いて、secE遺伝子及びそのリボソーム結合部位を含む0.2kb断片(H)、secY遺伝子を含む1.3kb断片(I)、及びamyE遺伝子の3'側領域を含む1.0kb断片(J)をPCRにより増幅した。また表1に示したrneofとrepUr-Nmとのプライマーセット及び鋳型としてプラスミドpUB110(Plasmid 15, 93 (1986))を用いて調製したrepU遺伝子プロモーター領域を含む0.4kb断片と、表1に示したNmUf-repとNmrとのプライマーセット及び鋳型としてプラスミドpUB110を用いて調製したネオマイシン耐性遺伝子の構造遺伝子領域を含む0.8kb断片とを混合して鋳型とし、表1に示したプライマーrneofとNmrのプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって1.2kbのネオマイシン耐性カセット断片(K)を調製した。次いで、得られた(H)(I)(J)(K)の4断片を混合して鋳型とし、表1に示したsecY-F2とamyErv1のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、4断片を(I)(H)(K)(J)の順になる様に結合させ、secY遺伝子の下流にリボソーム結合部位を伴うsecE遺伝子が連結し、更にその下流にネオマイシン耐性カセットとamyE遺伝子の3'側領域が連結した総塩基長3.7kbのDNA断片(L)を得た。得られた3.7kbのDNA断片(L)を用いてコンピテントセル法により実施例1にて構築したsecY-K株を形質転換し、ネオマイシン(10μg/mL)を含むLB寒天培地上に生育したコロニーを形質転換体として分離した。得られた形質転換体から抽出したゲノムDNAを鋳型として、表1に示すamyEfw2とsecE/Ne-R、及びsecE/Y-F2とamyErv2のプライマーセットを用いたPCRを行うことによって2.6kb及び2.4kbのDNA断片の増幅を確認し、枯草菌168株ゲノム上のamyE遺伝子部位にspoVG遺伝子の転写開始制御領域とリボソーム結合部位の下流にsecY遺伝子が連結し、更にその下流にsecE遺伝子が連結したDNA断片が挿入されたことを確認した。尚、secY遺伝子とsecE遺伝子との間に転写終結部位は存在せず、secE遺伝子はsecY遺伝子と同一転写単位として、spoVG遺伝子転写開始制御領域の機能により転写されるものと考えられた。この様にして得られた菌株をsecYE-K株と命名した。また実施例1の方法と同様の方法にて、枯草菌168株ゲノム上のamyE遺伝子部位にspoVG遺伝子の転写開始制御領域とリボソーム結合部位の下流にsecG遺伝子が連結したDNA断片が挿入されたsecG-K株を作成した。secG-K株の構築には表1に示すプライマーを使用し、それぞれのプライマーとsecY-K株の構築に用いたプライマーとの対応を表3に示した。
比較例1にて構築した菌株のアルカリセルラーゼ分泌生産性評価を、実施例2と同様に行った。対照として枯草菌168株及び実施例1にて構築したsecY-K株についても評価を行った。
実施例1にて構築したsecY-K株、及び比較例1にて構築したsecG-K菌株のアルカリアミラーゼ分泌生産性評価を以下の様に行った。すなわち、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-K38株(FERM BP-6946)より抽出したゲノムDNAを鋳型として、K38matu-F2(ALAA)とSP64K38-R(XbaI)のプライマーセットを用いてPCRを行い、アルカリアミラーゼ(Appl. Environ. Microbiol., 67, 1744, (2001))をコードする1.5kbのDNA断片を増幅した。またバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-S237株(FERM BP-7875)より抽出したゲノムDNAを鋳型として、S237ppp-F2(BamHI)とS237ppp-R2(ALAA)のプライマーセットを用いてPCRを行い、アルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000-210081号公報)のプロモーター領域と分泌シグナル配列をコードする領域を含む0.6kbのDNA断片を増幅した。次いで、得られた2断片を混合して鋳型とし、S237ppp-F2(BamHI)とSP64K38-R(XbaI)のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、アルカリセルラーゼ遺伝子のプロモーター領域と分泌シグナル配列をコードする領域の下流にアルカリアミラーゼ遺伝子が連結した2.1kbのDNA断片を得た。得られた2.1kbのDNA断片をシャトルベクターpHY300PLK(ヤクルト)のBamHI-XbaI制限酵素切断点に挿入し、アルカリアミラーゼ生産性評価用プラスミドpHYK38(S237ps)を構築した。
構築したプラスミドpHYK38(S237ps)をプロトプラスト形質転換法によって各菌株に導入した。対照として枯草菌168株についてもプラスミドを導入した。これによって得られた組換え菌株を、上記実施例2と同様の条件にて5日間、振盪培養を行った。培養後、遠心分離によって菌体を除いた培養液上清のアルカリアミラーゼ活性を測定し、培養によって菌体外に分泌生産されたアミラーゼの量を求めた。培養上清中のアミラーゼの活性測定にはリキテックAmy EPS(ロシュ・ダイアグノスティック社)を使用した。すなわち1% NaCl-1/7.5M リン酸緩衝液 (pH7.4 和光純薬工業)で適宜希釈したサンプル溶液50μLに、100μLのR1・R2混合液(R1(カップリング酵素):R2(アミラーゼ基質)=5:1(Vol.))を加えて混和し、30℃にて反応を行った際に遊離するp-ニトロフェノール量を405nmにおける吸光度(OD405nm)変化により定量した。1分間に1μmolのp-ニトロフェノールを遊離させる酵素量を1Uとした。
本発明に関連のある遺伝子について、遺伝子番号、及び機能を表6に示した。
secY遺伝子と共にsecG遺伝子の発現を強化した菌株の構築を比較例1と同様に行った。すなわち、secYE-K株の構築に用いたプライマーのうち、secE/Y-F2を表7に示すsecG/Y-F2に、またsecE/Ne-Rを表7に示すsecG/Ne-Rに替えて用いることにより、secYG-K株を構築した。
また、実施例1の方法と同様の方法にて、枯草菌168株ゲノム上のamyE遺伝子部位にspoVG遺伝子の転写開始制御領域とリボソーム結合部位の下流にsecE遺伝子が連結したDNA断片が挿入されたsecE-K株を作成した。secE-K株の構築にはsecY-K株の構築に用いたプライマーのうち、secY/PVG-Fを表7に示すsecE/PVG-Fに、またsecY/Cm-Rを表7に示すsecE/Cm-Rに替えて用いた。
構築した上記菌株のアルカリセルラーゼ分泌生産性評価を、実施例2と同様に行った。対照として枯草菌168株及び実施例1にて構築したsecY-K株についても評価を行った。
実施例1にて構築したsecY-K株のアルカリプロテアーゼ生産性評価を以下の様に行った。対照として枯草菌168株についても評価を行った。即ち、バチルス クラウジ(Bacillus clausii)KSM-K16株(FERM BP-3376)より抽出したゲノムDNAを鋳型として、表10に示されるS237pKAPpp-FとKAPter-R(BglII)のプライマーセットを用いてPCRを行い、配列番号42で示されるアミノ酸配列を有するアルカリプロテアーゼ(Appl. Microbiol. Biotechnol., 43, 473, (1995))をコードする1.3kbのDNA断片を増幅した。またバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-S237株(FERM BP-7875)より抽出したゲノムDNAを鋳型として、表10に示されるS237ppp-F2(BamHI)とS237pKAPpp-Rのプライマーセットを用いてPCRを行い、アルカリセルラーゼ遺伝子(特開2000-210081号公報)のプロモーター領域を含む0.6kbのDNA断片を増幅した。次いで、得られた2断片を混合して鋳型とし、表10に示されるS237ppp-F2(BamHI)とKAPter-R(BglII)のプライマーセットを用いたSOE-PCRを行うことによって、アルカリセルラーゼ遺伝子のプロモーター領域の下流にアルカリプロテアーゼ遺伝子が連結した1.8 kbのDNA断片を得た。得られた1.8 kbのDNA断片をシャトルベクターpHY300PLK(ヤクルト)のBamHI-BglII制限酵素切断点に挿入し、アルカリプロテアーゼ生産性評価用プラスミドpHYKAP(S237p)を構築した。
Claims (10)
- 枯草菌のsecY遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子を過剰発現するように遺伝子構築された微生物に、セルラーゼをコードする遺伝子を導入した組換え微生物。
- 微生物において機能を有する転写開始制御領域若しくは転写開始制御領域とリボソーム結合部位を、枯草菌のsecY遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子のゲノム上における上流、又は枯草菌のsecY遺伝子又は当該遺伝子を含むゲノム上のオペロンの先頭遺伝子の上流に導入してなるか、或いは微生物において機能を有する転写開始制御領域若しくは転写開始制御領域とリボソーム結合部位を枯草菌のsecY遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子の上流に連結した遺伝子断片を導入することにより、secY遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子を過剰発現させる請求項1記載の組換え微生物。
- 微生物において機能を有する転写開始制御領域若しくは転写開始制御領域とリボソーム結合部位が、枯草菌のspoVG遺伝子又は当該遺伝子に相当する遺伝子の転写開始制御領域若しくは転写開始制御領域とリボソーム結合部位である請求項2記載の組換え微生物。
- 微生物がバチルス属(Bacillus)細菌である請求項1〜3のいずれか1項記載の組換え微生物。
- バチルス(Bacillus)属細菌が枯草菌(Bacillus subtilis)である請求項4記載の組換え微生物。
- セルラーゼをコードする遺伝子の上流に転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域から選ばれる1以上の領域を結合した請求項1〜5のいずれか1項記載の組換え微生物。
- 転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域を結合した請求項6記載の組換え微生物。
- 分泌シグナル領域がバチルス(Bacillus)属細菌のセルラーゼ遺伝子由来のものであり、転写開始制御領域及び翻訳開始制御領域が当該セルラーゼ遺伝子の上流0.6〜1kb領域由来のものである請求項6又は7記載の組換え微生物。
- 転写開始制御領域、翻訳開始制御領域及び分泌シグナル領域からなる3領域が、配列番号3で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜659の塩基配列、配列番号5で示される塩基配列からなるセルラーゼ遺伝子の塩基番号1〜696の塩基配列又は当該塩基配列のいずれかと90%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNA断片である請求項6〜8のいずれか1項記載の組換え微生物。
- 請求項1〜9のいずれか1項記載の組換え微生物を用いるセルラーゼの製造方法。
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