(構成)
以下に説明する受光装置は、光を受光し電気出力が受光出力として得られる受光素子と、受光素子を制御する駆動制御回路とにより構成される。また、複数個の受光素子が配列されることにより撮像素子を構成しているものとする。つまり、図1(a)に示す構造の受光素子1が垂直方向Dvに複数個配列され、複数個の受光素子1からなる列が水平方向において複数列配列された構造を有している。複数個の受光素子1を2次元正方格子の格子点上にマトリクス状に配列した2次元イメージセンサを構成する。
また、イメージセンサとしては、CCDイメージセンサにおけるフレームトランスファー(以下、「FT」と略称する)方式の構成と同様に垂直転送レジスタが光電変換部と兼用された構造の撮像素子を想定するが、インターライントランスファー(以下、「IT」と略称する」)方式の構成と同様に光電変換部に隣接して垂直転送レジスタを配置した構造の撮像素子においても以下の実施形態の技術を採用することが可能である。また、FT方式とIT方式との構造に適用可能であることから、フレームインターライントランスファー(以下、「FIT」と略称する)方式の構成に類似した構造であっても以下の実施形態の技術を採用することが可能である。
さらに、以下に説明する実施形態では、受光装置を発光源と組み合わせて構成したアクティブ形の空間情報の検出装置を例示する。空間情報の検出装置としては、対象空間に存在する物体までの距離を求める距離計測動作を行う検出装置と、物体の反射率や媒質の透過率を求める強度検出動作を行う検出装置とを例示する。
図1(a)は1個の受光素子1を正面から見た概略構成である。図1における縦方向を画像における垂直方向Dv、横方向を画像における水平方向Dhとする。受光素子1は半導体に形成されており、FT方式のイメージセンサと同様に、半導体は垂直方向Dvにおいて撮像領域と蓄積領域とに2分される。ただし、蓄積領域の構成については要旨ではないから説明を省略し、撮像領域に配列された受光素子1について説明する。
受光素子1は、図2、図3に示すように、第1導電形(図示例ではp形)の半導体(図示例ではシリコンを想定している)からなる素子形成層11の主表面側に、第2導電形(図示例ではn形)の半導体からなるウェル12を形成してある。素子形成層11は、第2導電形のサブストレート10の上に形成される。ウェル12の主表面には、絶縁層(たとえば、酸化シリコンあるいは窒化シリコン)13を介して感度制御電極21と分離電極22と蓄積電極23と障壁制御電極24とが配列される。
素子形成層11においてウェル12の範囲内には、第2導電形であって不純物濃度がウェル12よりも高濃度(つまり、n++形)である保持用ウェル14が形成される。保持用ウェル14には金属配線からなる接続線26の一端部25がオーミックに接続され、接続線26の他端部には障壁制御電極24が接続される。つまり、障壁制御電極24に印加される電圧は、保持用ウェル14に保持された電荷量により決定される。
感度制御電極21と分離電極22と蓄積電極23と障壁制御電極24とは、平面視において矩形状ないし短冊状に形成される。図示例では、感度制御電極21と分離電極22と蓄積電極23と障壁制御電極24とは、幅方向(垂直方向Dv)において同寸法であり、長手方向(水平方向Dh)においては障壁制御電極24の寸法のみが他よりも短く形成されている。また、感度制御電極21と分離電極22と蓄積電極23と障壁制御電極24とは、一端縁を垂直方向Dvの一直線上に揃えた形で等間隔に配置される。
障壁制御電極24は1個であるが、感度制御電極21と分離電極22と蓄積電極23とは複数個(図示例では、感度制御電極21が6個、分離電極22と蓄積電極23とがそれぞれ3個)設けられる。
保持用ウェル14は、3個の分離電極22のうちの中央の分離電極22に対して画素配列の水平方向Dhの一側に隣接して配置される。また、素子形成層11には感度制御電極21および分離電極22に隣接してオーバーフロードレイン15が形成され、オーバーフロードレイン15には絶縁層13を介さずにドレイン電極(オーバーフロードレイン15と同じ部位に設けている)が直接接続される。オーバーフロードレイン15は、たとえば、ウェル12と同じ導電形で不純物濃度がウェル12よりも高濃度である領域として形成される。
さらに、オーバーフロードレイン15は、感度制御電極21および蓄積電極23の長手方向(画素配列の水平方向Dh)の両側のうち保持用ウェル14と同じ側に形成される。素子形成層11において保持用ウェル14が形成される領域にはウェル12が張り出した形で形成されており、オーバーフロードレイン15は、この部位では、垂直方向Dvにおいて分断され、水平方向Dhにおいてウェル12の張出部分に沿う形に形成される。
感度制御電極21と分離電極22と蓄積電極23と障壁制御電極24とのうち少なくとも感度制御電極21は透光性を有している。分離電極22と蓄積電極23と障壁制御電極24とは、透光性を有していないことが望ましいが、感度制御電極21と同時に形成されるから透光性を有している。したがって、素子形成層11の主表面は、感度制御電極21に対応する領域に形成した開口窓31(図3参照)を除いて全体が遮光膜30(図2、図3参照)により覆われる。以下の説明では、光照射により生成される電荷のうち電子を利用する例について説明するが、電荷としてホールを利用する場合には、半導体の導電形を入れ換え、後述する電圧の極性を入れ換えることになる。
素子形成層11およびウェル12において感度制御電極21を配置した領域は、開口窓31を通して光が照射されることにより電荷を生成する光電変換部D1として機能する。また、ウェル12において、分離電極22および障壁制御電極24を配置した領域は電荷秤量部D2として機能し、蓄積電極23を配置した領域は電荷蓄積部D3として機能する。ウェル12において保持用ウェル14を配置した領域は電荷保持部D4として機能する。電荷秤量部D2のうち、分離電極22の直下は電荷分離領域Daになり、障壁制御電極24の直下は障壁形成領域Dbになる。
保持用ウェル14には電荷として電子が保持されるから、障壁制御電極24に電圧を印加することができ、障壁制御電極24の直下に形成される電子に対するポテンシャル障壁が保持用ウェル14に蓄積された電子の多寡に応じて増減される。
電荷分離領域Daにポテンシャル井戸を形成し、障壁形成領域Dbに形成するポテンシャル障壁の高さを適宜に調節すれば、電荷分離領域Daにおいてポテンシャル障壁の高さに応じた量の不要電荷を秤量することができる。電荷蓄積部D3にポテンシャル井戸を形成しておくことにより、ポテンシャル障壁を乗り越えた電荷を電荷蓄積部D3で受け取ることができる。
障壁制御電極24との電位は電荷保持部D4に保持された電荷量で決まるが、感度制御電極21と分離電極22と蓄積電極23とに印加する電圧は、別途に制御する必要がある。たとえば、正負2種類の電圧(+10V、−5V)を適宜のタイミングで印加する。そのため、感度制御電極21と分離電極22と蓄積電極23とには、金属配線である電源配線(図示せず)がオーミックに接続される。
ところで、素子形成層11の主表面には、分離電極22と保持用ウェル14との間に転送ゲート27が形成され、さらに保持用ウェル14を挟んで転送ゲート27の反対側にはリセットゲート28とリセットドレイン29とが形成される。つまり、分離電極22と転送ゲート27と保持用ウェル14とリセットゲート28とリセットドレイン29とが、水平方向Dhに並んで配置される。
この構成は一例であって、リセットゲート28およびリセットドレイン29が保持用ウェル14に対して垂直方向Dvに並ぶ配置であってもよい。リセットドレイン29は、たとえば不純物濃度が高濃度である第2導電形(つまり、n++形)の領域として形成され、リセット電極(リセットドレイン29に重ねて設けられる)がオーミックに接続される。
さらに、転送ゲート27は、ゲート電極(転送ゲート27に重ねて設けられる)に印加する電圧に応じて、電荷分離領域Daから保持用ウェル14への電荷移動を許可する導通状態と、電荷移動を禁止する遮断状態とを選択する。つまり、ゲート電極に適宜の電圧を印加して許可状態とすれば、ゲート電極の直下にチャンネルが形成され、電荷分離領域Daから電荷保持部D4への電荷の移動が可能になる。
(基本動作)
図1(a)に示した受光素子1の基本的な動作について説明する。受光素子1の動作は、光電変換部D1で生成した生成電荷を用いて保持用ウェル14に電荷を保持させる調整期間と、光電変換部D1で生成した生成電荷から電荷秤量部D2で秤量した不要電荷を分離し電荷蓄積部D3で受け取った残留電荷を受光出力のために利用する計測期間とを備える動作を基本動作にしている。図4に示す期間Ta,Tb,Tfは調整期間に含まれ、期間Tc,Td,Teは計測期間に含まれる。また、調整期間と計測期間とにおける各電極に印加する電圧の制御は受光素子1とは別に設けた駆動制御回路(図示せず)が行う。駆動制御回路は、受光素子1と同じ半導体上に集積回路として形成することが可能である。
調整期間では、まず、ウェル12の中の電子を空乏化した後に受光素子1に光を照射する。ウェル12の中の電子を空乏化するには、オーバーフロードレイン15を通して光電変換部D1と電荷秤量部D2と電荷蓄積部D3とに残留する電子を廃棄し、リセットゲート28にリセット電圧を印加して保持用ウェル14とリセットドレイン29との間にチャンネルを形成し、電荷保持部D4に残留する電子をリセットドレイン29を通して廃棄する。
ウェル12の中の電荷を空乏化した後に、光電変換部D1の感度制御電極21に適宜の電圧を印加して光電変換部D1に電子に対するポテンシャル井戸を形成した状態で光を照射すると、ウェル12を含む素子形成層11において生成された電子とホールとのうち電子がポテンシャル井戸に集積され、ホールはサブストレート10を通して廃棄される。つまり、受光光量に応じた量の電子がポテンシャル井戸に集積される。感度制御電極21に印加する電圧の制御の具体例は後述する。
光電変換部D1において受光光量に応じた量の電子(以下、電子は斜線部で示す)を集積させた後、まず図4の期間Taのように、分離電極22に電圧を印加して電荷秤量部D2にポテンシャル井戸を形成し、光電変換部D1に集積された電子を電荷秤量部D2に移動させる(図5(a)参照)。つまり、光電変換部D1から電荷秤量部D2に電子が移動する。また、電荷秤量部D2に移動させた電子は、転送ゲート27に対応するゲート電極に適宜の電圧を印加し、電荷秤量部D2と保持用ウェル14との間にチャンネルを形成して、電荷保持部D4に移動させる。
n形のウェル12に囲まれたn++形である保持用ウェル14では、ポテンシャルがウェル12よりも高く(電子に対するポテンシャルが低く)、ポテンシャルは電荷秤量部D2よりも電荷保持部D4のほうが高くなっている。したがって、転送ゲート27に適宜の電圧を印加してチャンネルを形成すると、電荷秤量部D2から電荷保持部D4に向かって電子が移動し、保持用ウェル14に電子が流れ込む。
保持用ウェル14に電子が流れ込むに従って保持用ウェル14の電位が低下し、保持用ウェル14に電気的に接続された障壁制御電極24の電位が低下する。つまり、障壁制御電極24の直下にポテンシャル障壁が形成される。
なお、図示例では期間Taにおいて蓄積電極23には電圧を印加せず、電荷蓄積部D3には電子が集積されないようにしているが、蓄積電極23には電子を集積する電圧を印加していてもよい。分離電極22に電圧を印加した後に転送ゲート27に電圧を印加するか、分離電極22と転送ゲート27とに同時に電圧を印加するかは適宜に選択することができる。
電荷保持部D4に電子が移動すると、図5(b)のように、電荷秤量部D2の電子がなくなるから、期間Tbのように分離電極22に印加する電圧を規定の基準電圧に戻す。
上述した動作において光電変換部D1で受光した光は、受光光量に応じた受光出力を得るためではなく、障壁制御電極24の直下におけるポテンシャル障壁BPの高さを決めるために入射させている。上述の動作でポテンシャル障壁BPの高さが決まると、計測期間に移行する。
計測期間では、光を受光する前に、期間Tcのように、まずオーバーフロードレイン15を通して、ウェル12のうち電荷保持部D4を除く部位の電子を空乏化し、光電変換部D1および電荷秤量部D2から電子を除去する。
計測期間では、保持用ウェル14に電荷が蓄積されているから、光電変換部D1において受光光量に応じた電子を集積する際に、障壁制御電極24の直下にはポテンシャル障壁が形成された状態になっている。光電変換部D1で受光光量に応じた電子を集積した後、期間Tdのように、分離電極22に適宜の電圧を印加して電荷秤量部D2に電子に対するポテンシャル井戸を形成するとともに、感度制御電極21への印加電圧を制御することにより、光電変換部D1から電荷秤量部D2に電子を移動させる(図5(c)参照)。
その後、期間Teのように、蓄積電極23に適宜の電圧を印加して電荷蓄積部D3にポテンシャル井戸を形成した状態で、分離電極22に基準電圧を印加すると、図5(d)のように、障壁制御電極24の直下に形成されているポテンシャル障壁の高さと電荷秤量部D2の大きさとにより決まる一定量の電子が不要電荷として電荷秤量部D2に残され、電荷秤量部D2からポテンシャル障壁を超えた電荷は電荷蓄積部D3に流れ込む。ただし、分離電極22に基準電圧を印加する前に、電荷秤量部D2と光電変換部D1との間には障壁制御電極24の直下のポテンシャル障壁よりも高いポテンシャル障壁を形成するように感度制御電極21および分離電極22への印加電圧を制御しておく。
上述の動作によって、光電変換部D1での受光光量に応じて集積された電子から電荷秤量部D2で一定量の電子が不要電荷として分離され、不要電荷を分離した残留電荷が有効電荷として電荷蓄積部D3に蓄積される。
有効電荷を電荷蓄積部D3に蓄積した後には、期間Tfのように、電荷秤量部D2に残っている不要電荷をオーバーフロードレイン15から廃棄し、さらに電荷保持部D4に保持されている電荷を廃棄するために、リセットゲート28に適宜の電圧を印加して保持用ウェル14とリセットドレイン29との間にチャンネルを形成し、保持用ウェル14の電子を廃棄した後にリセットゲート28への電圧印加を停止する。その後、電荷蓄積部D3に蓄積された有効電荷は利用に供される。
(空間情報の検出装置)
以下では、上述した受光素子1を利用する応用例として、撮像空間(つまり、対象空間)における物体の存否や物体の反射率を検出する検出装置と、撮像空間に存在する物体までの距離を計測する検出装置とに、上述した受光素子1を配列した撮像素子を用いる例を示す。以下に説明する空間情報の検出装置は、図6に示すように、対象空間に投光する発光源2を用いたアクティブ型の検出装置であり、対象空間を上述した受光素子1を配列した撮像素子により撮像し、撮像素子の受光出力を信号処理部3に与えて後述する演算を行うことにより、物体による反射光の光量を求めるか、対象空間に存在する物体5までの距離を求める。また、撮像素子と発光源2との動作のタイミングは駆動制御回路と兼用された制御部4が制御する。制御部4は信号処理部3にも演算のタイミングを指示する。
発光源2は複数個の赤外線発光ダイオードを並設して構成し、撮像素子へは赤外線透過フィルタを通して対象空間からの光を入射させる。つまり、距離の計測に用いる光として赤外線を用いることにより、撮像素子に可視光領域の光が入射するのを抑制している。信号処理部3および制御部4は、適宜のプログラムを実行するマイクロコンピュータによって構成する。
物体5の存否や反射率を求めるには(強度検出動作)、図7(a)に示すように、発光源2を点灯させる投光期間Txと消灯させる非投光期間Tyとを設け、投光期間Txの受光光量と非投光期間Tyの受光光量との差分を求める。発光源2からの強度変調光は矩形波で変調されていることになる。この矩形波のデューティ比を50%とすれば、180度間隔で投光期間Txと非投光期間Tyとを繰り返し、投光期間Txは0〜180度の区間に相当し、非投光期間Tyは180度〜360度の区間に相当する。
撮像素子の各受光素子1には、図7(b)のように、投光期間Txにおいて発光源2から投光され物体5で反射された信号光と対象空間に存在している環境光とが入射し、非投光期間Tyにおいて撮像素子の各受光素子1に環境光のみが入射する。したがって、投光期間Txと非投光期間Tyとの受光光量の差分を求めると、環境光の影響を除去して物体5での光の反射の程度を評価することができる。後述するように、距離の計測において0度から始まる区間の受光光量をA0とし、180度から始まる区間の受光光量をA2としているから、この符号を用いるとすれば、投光期間Txと非投光期間Tyとの受光光量の差分を求めることは、A0−A2を求めることに相当する。
物体5までの距離が一定であれば、受光光量の差分によって投光した光の波長に対する物体5の反射率を求めることができる。反射率は投光した光の波長に依存性があるから、発光源2から対象空間に投光する光の波長を可変にすれば、波長に対する反射率の特性を求めることも可能である。また、環境光のみが存在する非投光期間Tyと環境光に加えて信号光が存在する投光期間Txとの受光光量の差分を求めているから、差分が規定した閾値以上の領域には光を反射する物体5が存在すると判断することも可能である。
一方、距離の計測には(距離計測動作)、発光源2から強度を変調した光(強度変調光)を対象空間に投光し、対象空間に存在する物体5で反射され撮像素子の各受光素子1に入射した光の強度変化の位相と発光源2からの光の強度変化の位相との位相差を求め、この位相差を距離に換算する技術を用いている。つまり、発光源2から図8(a)(b)のように強度変調光を対象空間に投光し(図8(a)は強度変調光と受光との関係を示し、図8(b)は時間軸を引き延ばした状態を示している)、撮像素子を構成する各受光素子1に入射する光の強度が図8(c)のように変化しているとすると、同位相の時間差Δtは物体5までの距離Lを反映しているから、光速をc[m/s]として、時間差Δt[s]を用いると、物体5までの距離Lは、L=c・Δt/2で表される。光の強度を変調する変調信号の周波数をf[Hz]とし、位相差をφ[rad]とすれば、時間差Δtは、Δt=φ/2πfであるから、位相差φを求めることにより距離Lを求めることができる。
この位相差φは、発光源2を駆動する変調信号と受光素子1への入射光との位相差とみなしてよい。そこで、撮像素子の各受光素子1への入射光の受光強度を変調信号の複数の異なる位相について求め、求めた位相の関係と受光強度とから入射光と変調信号との位相差φを求めることが考えられている。実際には、撮像素子の各受光素子1において所定の位相幅(時間幅)を有する区間(位相区間)ごとの受光光量を検出し、この受光光量に相当する受光出力を位相差φの演算に用いる。各区間を90度間隔とすれば、変調信号の1周期について等位相間隔の4つの区間が周期的に得られ、各区間の受光光量A0〜A3を用いることによって、位相差φは、φ=tan−1{(A0−A2)/(A1−A3)}と表すことができる。
なお、受光光量A0〜A3を変調信号のどの位相に対応させるかによって、位相差φの符号は変化する。また、図8に示す例では、各区間を90度の位相幅に設定しているが、位相幅は適宜に設定することができる。さらに、必ずしも4区間の受光光量A0〜A3を用いなくとも位相差φを求めることが可能であり、3区間あるいは5区間以上の受光光量を用いて位相差φを求めてもよい。
ところで、図7に示すように、強度検出動作では、1回の受光が投光期間Txまたは非投光期間Tyに対応付けられ、図8に示すように、距離計測動作では、1回の受光が変調信号の複数周期(数万周期)に設定してある。
上述の演算を行うには、変調信号の各区間ごとの受光光量に応じた電子を光電変換部D1で生成する必要がある。各区間ごとの受光光量を求めるには、感度制御電極21に印加する電圧を変調信号に同期させて制御する。
この動作について説明する。制御部4は、各感度制御電極21に対してそれぞれ電圧の印加の有無を制御することができ、電圧を印加された感度制御電極21では直下にポテンシャル井戸が形成される。つまり、連続して隣り合う感度制御電極D1に電圧を印加することにより、電圧を印加した感度制御電極21の個数分に相当する開口面積(素子形成層11の主表面に沿った開口面積)を有したポテンシャル井戸が形成される。
光電変換部D1で生成された電子はポテンシャル井戸に集積されるから、ポテンシャル井戸の開口面積(つまり、ポテンシャル井戸の体積)が大きいほど、電子を集積する効率が高くなる。逆に、1個の感度制御電極21にのみ電圧を印加しているときには、電子を集積する効率が低くなり、すでにポテンシャル井戸に集積されている電子を保持することができる。もちろん、1個の感度制御電極21にのみ電圧を印加して電子を保持している状態であっても、ポテンシャル井戸に電子は集積されるが、複数個の感度制御電極21に電圧を印加する場合よりも電子の集積効率が低下するから、集積された電子の量は複数個の感度制御電極21に電圧を印加している期間の受光光量を反映していることになる。なお、電子を保持するためのポテンシャル井戸を形成する感度制御電極21を遮光すれば、電荷を保持している期間における電子の集積を抑制することができる。
上述の動作から明らかなように、光電変換部D1において、変調信号の特定の区間における受光光量に相当する電子を集積するには、当該区間において電圧を印加する感度制御電極21の個数を多くし、他の区間には1個の感度制御電極21にのみ電圧を印加することで電子を保持すればよい。制御部4は、感度制御電極21への電圧の印加パターンを時間経過に伴って変化させる。たとえば、変調信号の各周期の同じ区間ごとに複数個の感度制御電極21に電圧を印加することにより、当該区間に生成される電子を複数周期に亘って累積させる動作が可能である。この動作では、変調信号の1周期の区間で得られる受光光量が少ない場合であっても、光電変換部D1において電子を累積させて電子の量を増加させることができる。もっとも、受光強度が高い場合には電子を累積させると飽和しやすくなるから、電子を累積させるか否かは使用環境に応じて適宜に定める。
信号処理部3では、各受光素子1ごとに各区間に対応する受光出力を用い、上述した演算により位相差を求め、各受光素子1ごとに距離を計測する。つまり、各受光素子1の画素値を距離とした距離画像を生成する。
ところで、上述した原理で距離を計測するには、発光源2から対象空間に投光した信号光のみを撮像素子の各受光素子1で検出すればよく、信号光の受光光量が多いほど距離の計測精度を高めることができると考えられる。しかし、撮像素子の各受光素子1に入射する光は信号光のみではなく、周囲に存在する環境光がつねに入射する。また、撮像素子の各受光素子1において生成される電子の量が受光光量に応じて変化する範囲には上限があり、受光光量が多くなると生成される電子の量が飽和し、受光出力が受光光量を反映しなくなる。したがって、撮像素子の各受光素子1の飽和を抑制しつつ信号光に相当する電子の量を増加させる必要がある。
上述した撮像素子では、電荷保持部D4に保持した電子の量に応じた量の不要電荷を秤量して廃棄する機能を有しているから、秤量する不要電荷の量を環境光の受光光量に対応付ければ、受光光量に含まれる信号光の成分の割合に対して、電荷蓄積部D3に蓄積される電子に含まれる信号光に相当する電子の量の割合を増加させることができる。しかも、光電変換部D1で生成された電子のうちの一部を不要電荷として廃棄するから、電荷蓄積部D3に蓄積される電子が飽和する可能性を低減することができる。
このような知見に基づいて、発光源2を消灯させる非投光期間(受光素子1の調整期間に対応付ける)と発光源2から強度変調光を投光する投光期間(受光素子1の計測期間に対応付ける)とを設けて対象空間に間欠的に投光する構成を採用している。非投光期間においては、光電変換部D1で生成された電子を電荷保持部D4に保持させることにより、環境光の強度を反映した量の電子を電荷保持部D4に保持させ、電荷秤量部D2で秤量する不要電荷の量を環境光の強度に対応付ける。
一方、投光期間には、非投光期間の受光光量に応じたポテンシャル障壁が障壁制御電極24の直下に形成されているから、光電変換部D1において生成した電子のうち環境光の受光光量を反映した量の不要電荷を秤量して廃棄した残りの電子を電荷蓄積部D3に蓄積することができる。ここに、不要電荷として秤量される電荷量は、環境光の受光光量に比例しているとは限らないが、環境光の受光光量に応じて変化するから、環境光の増減に応じて秤量する不要電荷の量も変化する。したがって、受光光量が微小変動しても電荷蓄積部D3に蓄積される電荷において信号光に相当する成分の割合を高い状態に保つことができる。すなわち、発光源2の投光期間において光電変換部D1で生成された電荷から不要電荷を分離することによって、信号光成分の情報を残しながらも信号対雑音比を増加させることができる。
上述したように、変調信号の1周期において光電変換部D1で生成される電子の量が少ない場合に、変調信号の複数周期に亘って光電変換部D1で電子を集積することによって電子を累積させることが可能であるが、光電変換部D1において電子が飽和する可能性もある。そこで、電荷蓄積部D3に蓄積した電荷をただちに受光出力として読み出す代わりに、電荷秤量部D2において不要電荷を秤量する動作を複数回行う間、電荷蓄積部D3に電子を蓄積することによって、電子を累積させる技術を採用することもできる。
電荷蓄積部D3に蓄積される電子は、光電変換部D1で生成された電子から不要電荷が除去されているから、光電変換部D1において電子を集積する場合のように受光した環境光成分の電子を累積させる場合に比較すると、電子の量が少なく飽和が生じにくくなる。しかも上述のように、全電荷量に占める信号光成分の割合が多いから、信号光成分の変化に対する電荷量の変化率が大きくなり、それだけ距離の計測精度が高くなる。
制御部4では、電荷蓄積部D3に電子を流入させた後、オーバーフロードレイン15を通して電荷秤量部D2から不要電荷を廃棄させる。この動作は、電荷蓄積部D3に電子を流入させるたびに行う。電荷保持部D4に保持させる電子の量を更新する場合には、リセットゲート28に電圧を印加し、保持用ウェル14に保持された電子をリセットドレイン29から廃棄する。電荷保持部D4の電子を廃棄するタイミングは、使用環境に応じて適宜に設定すればよいが、たとえば、受光出力の読出毎とすることができる。つまり、距離画像の1フレームごとにポテンシャル障壁の高さを調整すればよい。また、不要電荷は電荷蓄積部D3に電子を流入させるたびに廃棄する。
(動作1)
基本動作において説明したように、調整期間では電荷保持部D4に電荷を投入することにより電荷秤量部D2におけるポテンシャル障壁の高さを決定し、計測期間では調整期間において決定した高さのポテンシャル障壁を用いて不要電荷を秤量し、光電変換部D1で生成された生成電荷のうち不要電荷を除いた残留電荷を有効電荷として受光出力に利用している。
また、発光源2から対象空間に投光し、受光素子1により対象空間からの光を受光することにより対象空間の空間情報を検出する装置では、発光源2の非投光期間を調整期間に対応付けるとともに、発光源2の投光期間を計測期間に対応付けることによって、調整期間において環境光の受光光量に相当する電荷量の電荷を電荷保持部D4に保持させる。そして、計測期間には環境光の受光光量に相当する電荷量を不要電荷として生成電荷から除去することにより、信号光の受光光量に相当する電荷量を残留電荷として取り出すことが可能になっている。
すなわち、図9に示すように、調整期間T1のうち数ms程度の受光期間P1において光電変換部D1で生成した生成電荷を、転送期間Ptにおいて電荷保持部D4に引き渡し、次に計測期間T2のうち数ms程度の受光期間P2(受光期間P1と同時間)において光電変換部D1で生成した生成電荷を電荷秤量部D2で秤量している。電荷秤量部D2で秤量する秤量期間Pmは数μs程度の期間になる。
この動作では、調整期間T1において電荷保持部D4に引き渡した電荷量で決定される不要電荷の電荷量が、環境光の受光光量に相当する電荷量に一致していることが理想であるが、電荷保持部D4に受け渡し元から与えた電荷量と、電荷秤量部D2で秤量される分離電荷の電荷量とは線形関係ではない。そこで、制御部4では調整期間T1において以下に説明する制御を行う。
本動作では、以下の各動作の基本となる動作について説明する。以下の各動作の共通点は、図10に示すように、調整期間T1において、複数回の受光期間Pi(i=1,2,……)を設けるとともに、受光期間Piごとに電荷保持部D4に電荷を投入し、さらに調整期間T1のうち少なくとも最後の1回の受光期間Pn(図示例ではn=2)に生成した生成電荷は電荷秤量部D2で不要電荷を分離した後の残留電荷とする点にある。
図10に示す例では、調整期間T1における1回目の受光期間P1に生成された生成電荷を転送期間Ptにおいて電荷保持部D4に転送する。電荷保持部D4に電荷を転送する前には電荷保持部D4の電荷は廃棄されているから、電荷保持部D4に電荷が投入されることにより電荷秤量部D2にはポテンシャル障壁BPが形成される(図11参照)。
調整期間T1を継続して、2回目の受光期間P2に生成された生成電荷を電荷秤量部D2に転送すると、電荷秤量部D2では電荷保持部D4に保持された電荷量に応じて規定された電荷量の不要電荷を秤量する。つまり、秤量期間Pmにおいて生成電荷から不要電荷が分離され、ポテンシャル障壁BPを乗り越えた残留電荷が電荷蓄積部D3に蓄積される。
この残留電荷を転送期間Ptにおいて電荷保持部D4に投入する。電荷保持部D4では、1回目に投入された電荷と2回目に投入された電荷とが加算されるから、ポテンシャル障壁BPの高さが増加し、それだけ不要電荷として秤量される電荷量が増加する。
電荷秤量部D2における電荷分離領域Daと電荷保持部D4とは、転送ゲート27を介して隣接しているから、電荷分離領域Daから電荷保持部D4への電荷の転送は容易であるが、電荷蓄積部D3と電荷保持部D4とは隣接していないから、電荷蓄積部D3から電荷保持部D4に電荷を転送するには、電荷分離領域Daの不要電荷を廃棄した後に電荷蓄積部D3として形成されているポテンシャル井戸を浅くして電荷蓄積部D3から電荷分離領域Daに残留電荷を移動させ、その後、電荷分離領域Daから電荷保持部D4に電荷を転送することになる。
電荷蓄積部D3から電荷保持部D4に電荷を転送するに際して、電荷分離領域Daを通過させる代わりに、電荷保持部D4および転送ゲート27を設ける位置を、電荷秤量部D2の側方ではなく、電荷蓄積部D3の側方に変更した構成を採用することもできる。この構成を採用する場合には、1回目の受光期間P1において、電荷蓄積部D3となるポテンシャル井戸を電荷分離領域Daとなるポテンシャル井戸よりも深くしておくことにより、光電変換部D1で生成された生成電荷を電荷蓄積部D3に蓄積することができる。
本動作では、1回目の受光期間P1に生成された生成電荷は、図11(a)に示すように、電荷秤量部D2にポテンシャル障壁BPが形成されていない状態において電荷蓄積部D3に転送される(図の斜線部は電荷を示す)。このとき電荷蓄積部D3に転送された電荷の電荷量は、生成電荷の電荷量に一致するとみなしてよい。
次に、転送期間Ptにおいて電荷蓄積部D3から電荷保持部D4に電荷を移動させると、図11(b)のように、電荷保持部D4に保持された電荷量に見合う高さのポテンシャル障壁BPが電荷秤量部D2に形成される。1回目の受光期間P1の後の転送期間Ptにおいて電荷保持部D4に電荷が投入される際の受け渡し元の電荷量は、理想的には光電変換部D1で生成された生成電荷の電荷量であるから、図11(b)の状態において秤量することのできる不要電荷の電荷量は、光電変換部D1で生成された生成電荷の電荷量に一致すると考えられる。
しかしながら、電荷保持部D4に保持された電荷量に対してポテンシャル障壁BPの高さが決まり、形成されたポテンシャル障壁BPの高さに対して不要電荷の電荷量が決まるから、電荷保持部D4に保持された電荷量と不要電荷の電荷量とは必ずしも一致しない。
たとえば、1回の受光期間P1において得られた受光光量に相当する電荷量をQDCとし、この電荷量QDCに対して2回目の受光期間P2において電荷秤量部D2で秤量される不要電荷の電荷量をQUNとすれば、QDC>QUNであり、2回目の受光期間P2における受光光量に相当する電荷量もQDCであるから、秤量期間Pmにおいて秤量すると、図11(c)のように電荷蓄積部D3には、QDC−QUNの残留電荷が蓄積されることになる。
この残留電荷(QDC−QUN)を転送期間Ptにおいて電荷保持部D4に転送すると、電荷保持部D4に保持される電荷量が増加し、その結果として、図11(d)のように、ポテンシャル障壁Bの高さが増加し、受光期間P1,P2において得られた受光光量に相当する電荷量QDCと不要電荷の電荷量QUNとの差分が小さくなる。
ここで、電荷保持部D4に保持された電荷量とポテンシャル障壁BPの形成により秤量できる不要電荷の電荷量との関係は単調増加の関係ではあるが線形関係ではないから、不要電荷の電荷量QUNを電荷保持部D4に保持された電荷量Qの単調増加関数f(Q)として表す(すなわち、QUN=f(Q))。受光期間P1,P2ごとの生成電荷の電荷量QDCを用いると、1回目の受光期間P1の後に形成されるポテンシャル障壁BPにより秤量される不要電荷の量はf(QDC)であり、2回目の受光期間P2の後に形成されるポテンシャル障壁BPにより秤量される不要電荷の量は、f(2QDC−f(QDC))になって秤量される不要電荷の量が増加する。
なお、関数f(Q)は、電荷保持部D4に保持された電荷量からポテンシャル障壁BPの高さへの変換率α(Q)と、ポテンシャル障壁BPの高さHから電荷秤量部D2で秤量する不要電荷の電荷量への変換率β(H)とを含む。つまり、f(Q)=α(Q)・β(H)と近似することができる。ここに、変換率α(Q)は電荷量Qにかかわらずほぼ一定であり、変換率β(H)はポテンシャル障壁BPの高さHに対して非線形に変化する。
図10では電荷秤量部D2において秤量した後の残留電荷を電荷保持部D4に転送する回数を1回だけ示しているが、この回数にはとくに制限がなく、図12のように、電荷秤量部D2において電荷を秤量する秤量期間Pmと、秤量後の電荷を電荷保持部D4に転送する転送期間Ptと複数回ずつ設けるようにしてもよい。
秤量期間Pmと転送期間Ptとを複数回ずつ設けると、秤量期間Pm毎に残留電荷が徐々に減少する。光電変換部D1で生成される生成電荷の電荷量が各受光期間Piにおいて変化しないものとすれば、残留電荷は零に収束する。つまり、理論的には、秤量期間Pmと転送期間Ptとの繰り返し回数が無限大になると、生成電荷の電荷量と不要電荷の電荷量とが一致する。
もっとも、実際には複数回の繰り返しで実質的に一致するようになる。したがって、生成電荷の電荷量と不要電荷の電荷量とがほぼ一致するとみなせるようになる回数をあらかじめ実測しておき、その回数よりもやや多い回数だけ繰り返すことによって、電荷秤量部D2において秤量する不要電荷の電荷量を環境光の受光光量に相当する電荷量に一致させることが可能になる。
このような動作により、電荷秤量部D2において秤量する不要電荷の電荷量を過不足なく設定することが可能になる。発光源2とともに用いて空間情報の検出装置を構成している場合には、発光源2からの信号光の非投光期間において、環境光の成分に相当する電荷量を不要電荷として過不足なく秤量できるようにポテンシャル障壁BPを設定することができるから、信号光の投光期間には、受光光量に相当する量の電荷のうち環境光の受光光量に相当する量の電荷を過不足なく不要電荷として除去することが可能になり、結果的に信号光に対するダイナミックレンジをほぼ最大化することが可能になる。
本動作では、1回目の受光期間P1に得られた生成電荷を電荷保持部D4にそのまま投入し、2回目以降の受光期間P2,P3,……では電荷秤量部D2において不要電荷を除去する秤量期間Pmを設け、秤量期間Pmで得られた残留電荷を電荷保持部D4に投入している。以下では、受光期間Piと転送期間Ptとのみを持つ期間を単純投入期間と呼び、受光期間Piと秤量期間Pmと転送期間Ptとを持つ期間を分離投入期間と呼ぶ。
単純投入期間には、ポテンシャル障壁BPを形成しない状態で電荷蓄積部D3に一旦投入した電荷を、電荷蓄積部D3から電荷分離領域Daに戻した後(電荷蓄積部D3のポテンシャルを浅くするとともに電荷分離領域Daにポテンシャル井戸を形成する)、電荷分離領域Daから電荷保持部D4に電荷を移動させる。あるいはまた、電荷蓄積部D3のポテンシャルを電荷分離領域Daおよびポテンシャル障壁BPよりも浅くし、電荷分離領域Daから電荷保持部D4に電荷を直接投入できるようにする。
図1(a)の構成では、電荷秤量部D2を介して電荷保持部D4に電荷を投入しているが、図1(b)のように、電荷保持部D4を光電変換部D1に隣接させて設け、光電変換部D1から電荷保持部D4に電荷を投入する構成を採用してもよい。
(動作2)
動作1では、単純投入期間と分離投入期間とにおける受光期間Piを同じ長さにしているが、電荷蓄積部D3から電荷保持部D4に引き渡す電荷量に対して電荷秤量部D2で秤量される不要電荷の電荷量の増加率が小さい場合には、単純投入期間において光電変換部D1で生成された生成電荷に相当する量の電荷を電荷保持部D4に引き渡しただけでは、ポテンシャル障壁BPの高さを大きく増加させることができない。したがって、所望高さのポテンシャル障壁BPが形成されるまでに要する分離投入期間の回数が多くなり、調整期間が長くなるという問題が生じる。
この場合には、単純投入期間において電荷保持部D4に引き渡す電荷量を、分離投入期間の受光期間と同時間で環境光を受光した場合に得られる電荷量よりも多くする。
図13(a)では、単純投入期間(受光期間Piと転送期間Ptのみ)を複数回(図示例では2回)設けた後に、分離投入期間(受光期間Piと秤量期間Pmと転送期間Ptとを備える)を設けることによって、単純投入期間において電荷保持部D4に投入する電荷量を増加させている。
この構成では、単純投入期間を繰り返している間には、電荷蓄積部D3のポテンシャルをポテンシャル障壁BPよりも浅くし、光電変換部D1で生成された生成電荷を電荷分離領域Daと転送ゲート27とを通してそのまま電荷保持部D4に転送する。
また、図13(b)のように、単純投入期間を分離投入期間よりも長くしてもよい。要するに、光電変換部D1での受光光量を増加させ、電荷保持部D4に投入される電荷量を増加させるのである。この構成を採用することによっても、調整期間を短縮することができる。
本動作を選択する場合には、計測期間T2に除去する不要電荷の電荷量が環境光に相当する電荷量を超えることがないように、単純投入期間において電荷保持部D4に投入する電荷量を設定することが必要である。他の動作は動作1と同様である。
(動作3)
動作1において説明したように、分離投入期間において電荷保持部D4に電荷を1回投入するとポテンシャル障壁BPの高さが増加して不要電荷の電荷量が増加し、理想的には、不要電荷の電荷量の最大値は、光電変換部D1で生成される生成電荷の電荷量により制限される。しかしながら、調整期間において複数回の受光期間Piを設けているから、電荷秤量部D2で秤量される不要電荷の電荷量が、期待した電荷量を上回る可能性がある。
本動作では、分離投入期間におけるポテンシャル障壁BPの高さ変化を緩和することにより、不要電荷の電荷量が過大になる可能性を低減する。具体的には、図14に示すように、電荷秤量部D2で秤量した結果の残留電荷を電荷秤量部D2で再度秤量する。
生成電荷の電荷量が100で不要電荷の電荷量が20であるとすれば、残留電荷は80になるから、この残留電荷を電荷秤量部D2に再投入して秤量することにより、残留電荷の電荷量を60にすることができる。
残留電荷を電荷秤量部D2に再投入する回数は不要電荷の電荷量に応じて適宜に設定する。たとえば、残留電荷の電荷量を監視し、残留電荷が規定した範囲内の電荷量になったときに、電荷保持部D4に投入する構成を採用すればよい。
上述の動作では、電荷秤量部D2で秤量した後の残留電荷を電荷秤量部D2に再投入することにより、電荷保持部D4に投入する残留電荷の電荷量を低減させる技術を採用しているが、電荷保持部D4に投入する残留電荷を低減するには、電荷秤量部D2で1回に秤量する不要電荷の電荷量を増加させる技術を採用してもよい。
たとえば、計測期間T2において電荷秤量部D2で1回に秤量する電荷量を、図15(b)のように20とすれば、分離投入期間において電荷秤量部D2で1回に秤量する電荷量を図15(a)のように20×2=40になるように、電荷秤量部D2における電荷分離領域Daの面積を2倍にする。この動作は、電荷秤量領域Daに複数個の分離電極22を設けておき、電圧を印加する分離電極22の個数を制御して、電荷分離領域Daとして機能するポテンシャル井戸の開口面積を変化させることにより実現することができる。
この技術を採用すれば、残留電荷を電荷秤量部D2に再投入することによって電荷を2回秤量した場合と同様の電荷量を不要電荷として分離することが可能になる。
ただし、残留電荷を電荷秤量部D2に再投入する構成のほうが、電荷秤量部D2の専有面積を小さくすることができる上に、残留電荷を電荷秤量部D2に再投入する回数を変えることにより電荷保持部D4に投入する電荷量を調整することができるから、構成上の変化を伴うことなく電荷保持部D4に投入する電荷量を調節できる。他の動作は動作1と同様である。
(動作4)
ここまで詳述しなかったが、計測期間T2において光電変換部D1で生成された生成電荷から環境光に相当する電荷量を不要電荷として電荷秤量部D2で秤量するには、調整期間T1において設定する不要電荷の電荷量は、計測期間T2の不要電荷の電荷量と等しいかそれ以下の関係になっている必要がある。この点について、計測期間T2の動作に鑑みて考察する。
計測期間T2の動作としては、図16に示すように、動作3で説明した調整期間T1の動作と同様に、電荷秤量部D2で複数回の秤量を行う動作があり、また、電荷秤量部D2における電荷分離領域Daの面積を変化させる動作が考えられる。
計測期間T2では電荷秤量部D2において1回の秤量により分離される不要電荷の電荷量は、調整期間T1において電荷保持部D4に保持された電荷量に対応するポテンシャル障壁BPの高さにより決まるから、計測期間T2において分離する不要電荷の総量は、計測期間T2における電荷秤量部D2で不要電荷を秤量する回数と電荷秤量部D2で不要電荷を秤量する際の電荷分離領域Daの開口面積との積で決まる。
したがって、調整期間T1と計測期間T2とにおいて環境光の受光強度に実質的な変化が生じないという条件下では、計測期間T2において電荷秤量部D2で秤量する回数あるいは電荷分離領域Daの面積は、調整期間T1における受光期間Piと計測期間T2における受光期間Piとの比率により決まる。
すなわち、調整期間T1において設定した不要電荷の電荷量をV1とすれば、計測期間T2において1回の秤量で分離される不要電荷の電荷量もV1であるから、調整期間T1と計測期間T2とにおける受光期間Piの長さが等しければ、計測期間T2での秤量は1回になる。また、計測期間T2における受光期間Piが調整期間T1における受光期間Piに対してn倍(nは2以上の整数)であるときには、計測期間T2における電荷秤量部D2での秤量の回数をn回にする。
調整期間T1においてポテンシャル障壁BPを成長させるのに要する時間は、計測期間T2において不要電荷を秤量する時間に比較して100倍程度の差があるから、計測期間T2において複数回の秤量を行っても、調整期間T1におけるポテンシャル障壁BPの成長時間を短縮することで、全体の所要時間を短縮できる。つまり、計測期間の秤量を複数回の秤量で満足させることにより、電荷保持部に保持させる電荷量が少なく、調整期間を短くすることが可能になるから応答性が向上する。
ところで、光電変換部D1の開口面積(電荷を集積するためのポテンシャル井戸を形成するための電圧を印加する感度制御電極21の個数)を、調整期間T1と計測期間T2とで異ならせる場合がある。この場合も上述の動作と同様に、調整期間T1において設定した不要電荷の電荷量は、計測期間T2の1回の受光期間Piにおける環境光の受光光量に相当する電荷量に一致しない。
たとえば、空間情報の検出装置を構成する場合であって、とくに物体までの距離を求める測距装置を構成する場合には、上述したように、強度変調光の位相の特定区間における受光光量A0〜A3を求めるから、光電変換部D1において、2区間ずつ受光光量(たとえば、A0,A2)を変調信号の複数周期に亘って蓄積した後に、光電変換部D1から電荷秤量部D2に転送して不要電荷を分離する場合にこのような状態が生じる。
この動作では、図17(a)(b)のように、変調信号の各区間に同期させて感度制御電極21に印加する電圧を変化させることによりポテンシャル井戸を形成する領域を変化させる。ポテンシャル井戸の開口面積が大きい領域のほうが電荷の集積効率が高く実質的に感度が高くなり、開口面積の小さい領域は電荷の集積効率が低くもっぱら電荷の保持を行う。
したがって、図17(a)の状態では、主として受光光量A0に相当する電荷を保持するとともに受光光量A2に相当する電荷を集積し、図17(b)の状態では、主として受光光量A0に相当する電荷を集積するとともに受光光量A2に相当する電荷を保持する。
このように、調整期間T1と計測期間T2との各受光期間Piにおいて環境光に対する受光光量が明らかに異なるときには、上述のようにして、計測期間T2における秤量の回数や電荷分離領域Daの開口面積を変化させるほかに、調整期間T1において光電変換部D1に形成するポテンシャル井戸の形状を計測期間T2のポテンシャル井戸の形状とは異ならせる技術を採用することができる。
たとえば、図17に示す動作では、計測期間T2において、8個の感度制御電極21のうち各1個を受光光量A0,A2に対応する電荷量の保持に用いており、環境光と信号光とを併せて受光する領域は6個の感度制御電極21に対応する領域になっている。これは、異なる2区間の電荷の集積と保持とを行うからであり、8個の感度制御電極21に対応する領域においていわば2種類の電荷を扱っていることになる。
これに対して、調整期間T1には8個の感度制御電極21に対応する領域で環境光の受光光量に対応する1種類の電荷のみを扱えばよいから、8個の感度制御電極21に対応する領域の全体を受光領域に用いることができる。また、調整期間T1において感度制御電極21に印加する電圧は、計測期間T2において感度制御電極21に印加する電圧とは異ならせることが可能であり、調整期間T1におけるポテンシャル井戸の深さを計測期間T2とは異ならせることができる。要するに、調整期間T1において計測期間T2とは光電変換部D1の感度を調節することができる。
このように、調整期間T1において計測期間T2に比較して実質的に光電変換部D1の受光面積を拡大した状態で電荷を集積することにより、環境光の受光光量に相当する電荷量を比較的短時間で電荷保持部D4に保持させることが可能になる。したがって、計測期間T2と調整期間T1とにおいて光電変換部D1の受光面積を実質的に等しくしている場合に比較すると、調整期間T1を短縮することが可能になる。
なお、この動作では、計測期間T2において除去すべき不要電荷の電荷量が、調整期間T1に設定された不要電荷の電荷量に比例するように、計測期間T2の長さ、秤量の回数などを調節することが必要である。また、上述の例では、受光面積あるいは感度制御電極21に印加する電圧を変化させているが、受光期間Piの長さを調節することによっても調整期間T1において設定する不要電荷の電荷量の調節が可能である。他の動作は動作1と同様である。