JP5137055B2 - 安定化されたインターフェロン−γ組成物 - Google Patents

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本発明は、安定化されたインターフェロン−γ組成物、詳しくは温血動物由来の血清アルブミンを含有せず、かつ少なくとも、インターフェロン−γ、糖および/または糖アルコール、SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに親水性高分子を含有するインターフェロン−γ組成物に関するものである。
インターフェロンはリンパ球や線維芽細胞等によって生産される生理活性タンパク質であり、抗ウィルス作用、抗癌作用等を有する。インターフェロンには大きく分けてα、β、およびγのサブタイプが存在するが、その中でインターフェロン−γは細胞のDNA合成を抑制する作用が強く、免疫系を活性化する作用も有しており、種々の腫瘍、特に腎癌、慢性肉芽腫、菌状息肉症、成人T細胞白血病等の治療薬として大きな期待が寄せられている。
インターフェロン−γをはじめとするタンパク質成分は、通常の保存状態では不安定な物質であり、インターフェロン−γは特に凝集を起こし易いという問題を有するために、種々の安定化方法が試みられている。例えば、特許文献1には、安定化剤としてタンパク質の凝集抑制作用等を有するヒト血清アルブミン(以下、HSA)を配合することで、安定なインターフェロン−γ組成物が得られることが記載されている。特許文献2には、糖および/または糖アルコールならびにアミノ酸を組み合わせて配合することで、安定なインターフェロン−γ組成物が得られることが記載されている。特許文献3には、糖類および疎水性アミノ酸、要すれば界面活性剤を配合することで着色を防止したインターフェロン−γ組成物が開示されている。特許文献4には、インターフェロン−γ以外の生理活性タンパク質を含む医薬組成物として、ポリエチレングリコールならびに、糖、糖アルコール、アミノ酸、およびメチルアミンから選択されるいずれかを組み合わせて配合した、安定な乳酸デヒドロゲナーゼ組成物が開示されている。
特開昭61−137828号公報 国際公開第2004/28557号パンフレット 国際公開第2001/48117号パンフレット 国際公開第93/00807号パンフレット
しかしながら、近年、上記特許文献1に安定化剤として開示されているHSA等の温血動物由来の血清アルブミンは、ウィルス感染や狂牛病などの要因としてその危険性が指摘されており、製剤処方に含まれないことが望まれている。また、上記特許文献2には、HSAを含まない医薬組成物として、糖および/または糖アルコールならびにアミノ酸を組み合わせて配合したインターフェロン−γ組成物が、ガラスバイアルの器壁への主薬の吸着抑制効果を有することが記載されているが、インターフェロン−γの凝集を抑制する効果については記載も示唆もない。上記特許文献3には、糖類、疎水性アミノ酸、および界面活性剤を配合したインターフェロン−γ組成物が着色を防止する効果を有することが記載されているが、タンパク質の凝集等による安定性低下を抑制する効果があることは記載も示唆もされていない。さらに、タンパク質の安定化方法については、一般的にタンパク質の種類が異なれば、必ずしも同様に安定化できるとは限らないことが文献に記載されている[Int.J.Pharm.185、129−188(1999)、Int.J.Pharm.203、1−60(2000)]。したがって、上記特許文献4のようにインターフェロン−γと異なるタンパク質を安定化できる組成物であっても、インターフェロン−γを安定化できる組成物とは限らない。このように、HSAを含まないインターフェロン−γ組成物として、安定性が高く、長期保存可能な医薬組成物が望まれていた。
本発明者らは、温血動物由来の血清アルブミンを含有せず、糖および/または糖アルコール、SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに親水性高分子等を含有することによって、安全性が高く、しかもインターフェロン−γの安定性を高めた医薬組成物を見出し、以下に示す本発明を完成した。
(1)温血動物由来の血清アルブミンを含有せず、かつ少なくとも以下の成分
1)インターフェロン−γ、
2)糖および/または糖アルコール、
3)SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに、
4)親水性高分子
を含んだ医薬組成物。
(2)糖および/または糖アルコールがグルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、フルクトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、カルボキシメチルセルロース−Na、マンニトール、イノシトール、ズルシトール、キシリトール、アラビトール、ラフィノース、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、またはトレハロースである(1)に記載の医薬組成物。
(3)糖および/または糖アルコールがマルトース、マンニトール、ラクトース、スクロース、またはラフィノースである(1)または(2)に記載の医薬組成物。
(4)糖および/または糖アルコールがマルトース、スクロース、またはラフィノースである(1)〜(3)のいずれかに記載の医薬組成物。
(5)糖および/または糖アルコールがマルトースである(1)〜(4)のいずれかに記載の医薬組成物。
(6)SH基を有する化合物がシステイン、チオグリコール酸、チオシアン酸、チオ硫酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトベンゾイミダゾール、アリルメルカプタン、ベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン、2,3−ブタンジチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、シクロペンタンチオール、1,2−ジメルカプトエタン、2,3−ジメルカプトプロパノール、2,5−ジメチル−3−フランチオール、3,3−ジメチルブタンチオール、ドデシルメルカプタン、エタンチオール、フルフリルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、ヘキサデカンチオール、1,6−ヘキサンジチオール、イソアミルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、3−((メルカプト−1−メチルプロピル)チオ)2−ブタノール、3−メルカプト−2−ブタノール、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトメチルピラジン、メルカプトピナン、4−メトキシ−2−メチルブタン−2−チオール、メチルメルカプタン、2−メチル−3−フランチオール、2−メチル−3−テトラヒドロフランチオール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−3−フランチオール、p−メチルベンジルメルカプタン、3−メチル−2−ブタンチオール、2−メチルブタンチオール、2−メチルプロパン−2−チオール、2−ナフタレンチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、オクチルメルカプタン、2,4,4,6,6−ペンタメチル−2−ヘプタンチオール、ペンタン−2−チオール、ペンタン−1−チオール、2−フェニルエタン−1−チオール、1−p−メンテン−8−チオール、1,2−プロパンジチオール、プロピルメルカプタン、ピラジンエタンチオール、2−メルカプトメチルピリジン、ターピニルメルカプタン、2−テニルメルカプタン、1−(2−チエニル)エチルメルカプタン、チオゲラニオール、チオリナロール、o−トルエンチオール、1,4−ブタンジチオール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メチル−3−(2−メチル−2(4),5−ジヒドロ−3−フラニルチオ)−3−テトラヒドロフランチオール、2−メチル−4,5−ジヒドロフラン−3−チオール、2−チアゾリン−2−チオール、3−メルカプト−1−ヘキサノール、メルカプトメチルブタノール、3−メルカプト−2−メチルペンタノール、3−メルカプト−3−メチルブタノール、4−エトキシ−2−メチル−2−ブタンチオール、エタンジチオール、ヘキサンチオール、イソブチルチオール、メルカプトアセトアルデヒドジエチルアセタール、プレニルメルカプタン、1,1−ジメチルヘプタンチオール、ジメチルチオフェノール、または(S)−1−メトキシ−3−ヘプタンチオールである(1)〜(5)のいずれかに記載の医薬組成物。
(7)SH基を有する化合物がシステイン、チオグリコール酸、チオシアン酸、チオ硫酸、チオリンゴ酸、または2−メルカプトベンゾイミダゾールである(1)〜(6)のいずれかに記載の医薬組成物。
(8)SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩がL−システイン、L−システイン塩酸塩、チオグリコール酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、または2−メルカプトベンゾイミダゾールである(1)〜(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
(9)SH基を有する化合物がシステインである(1)〜(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
(10)親水性高分子がポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである(1)〜(9)のいずれかに記載の医薬組成物。
(11)親水性高分子が平均分子量380〜10000のポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、酸化エチレンの平均付加モル数45〜65のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、または酸化エチレンおよび酸化プロピレンの平均重合度がそれぞれ150〜170、25〜35のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである(1)〜(10)のいずれかに記載の医薬組成物。
(12)親水性高分子が平均分子量380〜3800のポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、酸化エチレンの平均付加モル数45〜65のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、または酸化エチレンおよび酸化プロピレンの平均重合度がそれぞれ150〜170、25〜35のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである(1)〜(11)のいずれかに記載の医薬組成物。
(13)親水性高分子がポリエチレングリコールである(1)〜(10)のいずれかに記載の医薬組成物。
(14)親水性高分子が平均分子量380〜3800のポリエチレングリコールである(1)〜(13)のいずれかに記載の医薬組成物。
(15)親水性高分子が平均分子量2600〜3800のポリエチレングリコールである(1)〜(14)のいずれかに記載の医薬組成物。
(16)凍結乾燥製剤である(1)〜(15)のいずれかに記載の医薬組成物。
(10’)親水性高分子がポリエチレングリコールまたはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである(1)〜(9)のいずれかに記載の医薬組成物。
(11’)親水性高分子が平均分子量380〜10000のポリエチレングリコール、またはモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンである(1)〜(9)および(10’)のいずれかに記載の医薬組成物。
(12’)親水性高分子が平均分子量380〜3800のポリエチレングリコール、またはモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンである(1)〜(9)、(10’)、および(11’)のいずれかに記載の医薬組成物。
(13’)親水性高分子がポリエチレングリコールである(1)〜(9)および(10’)〜(12’)のいずれかに記載の医薬組成物。
(14’)親水性高分子が平均分子量380〜3800のポリエチレングリコールである(1)〜(9)および(10’)〜(13’)のいずれかに記載の医薬組成物。
(15’)親水性高分子が平均分子量2600〜3800のポリエチレングリコールである(1)〜(9)および(10’)〜(14’)のいずれかに記載の医薬組成物。
(16’)凍結乾燥製剤である(1)〜(9)および(10’)〜(15’)のいずれかに記載の医薬組成物。
(17)温血動物由来の血清アルブミンを含有せず、かつ少なくとも以下の成分
1)インターフェロン−γ、
2)糖および/または糖アルコール、
3)SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに、
4)親水性高分子
を含んだ溶液を凍結乾燥する工程を含むことを特徴とする、医薬組成物の製造方法。
(18)温血動物由来の血清アルブミンの非存在下に、少なくとも糖および/または糖アルコール、SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに親水性高分子を共存させることを特徴とする、インターフェロン−γの凝集化抑制方法。
本発明の温血動物由来の血清アルブミンを含有しないインターフェロン−γを含有する医薬組成物は、HSAを含有しないことから安全性が高く、さらにインターフェロン−γの凝集が抑制され、安定性が向上された医薬組成物である。
本発明のインターフェロン−γを含む医薬組成物は、インターフェロン−γおよび下記の添加物を溶解した溶液(例:注射剤)として用いることができるが、該溶液の液媒体を乾燥し、固形剤(例:凍結乾燥製剤)にする場合もある。固形剤であるならば、組成物を長期保存することも可能である。
本発明のインターフェロン−γは、天然由来または遺伝子組換えヒトインターフェロン−γの全てを用いることができるが、遺伝子組換えヒトインターフェロン−γが好ましい。特に組換えヒトインターフェロン−γ1aが好ましい。
本発明の医薬組成物を溶液として使用する場合、溶液1mL中にインターフェロン−γは、1〜3000μg、好ましくは10〜2000μg、より好ましくは50〜1200μg含有すればよい。また、本発明の医薬組成物を固形剤として使用する場合、固形剤全量に対しインターフェロン−γは、0.001〜3w/w%、好ましくは0.01〜2w/w%、より好ましくは0.05〜1.2w/w%含有すればよい。インターフェロン−γ含有量が前記含有量よりも少なければ、薬効が十分に発揮されない可能性があり、また、前記含有量よりも多ければ、溶液中にインターフェロン−γが完全に溶解しない恐れがあるが、本発明の効果を損なわない限りはこれらの範囲に限定されない。
本発明において、糖および/または糖アルコールは、単糖類、二糖類、多糖類あるいは水溶性グルカン類を意味し、生理的に許容されるものであれば使用できる。糖および/または糖アルコールは、インターフェロン−γの安定化のために添加されるが、溶解補助剤、賦形剤あるいは等張化剤としても添加されうる。糖として、具体的にはグルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、フルクトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、カルボキシメチルセルロース−Na等が挙げられる。また、糖アルコールとしてはC4〜C8の糖アルコールが好ましく、具体的には、マンニトール、イノシトール、ズルシトール、キシリトール、アラビトール、ラフィノース、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、トレハロース等が挙げられる。前記糖および/または糖アルコールの中で、好ましくはマルトース、マンニトール、ラクトース、スクロース、ラフィノース、およびソルビトールであり、より好ましくはマルトース、マンニトール、ラクトース、スクロース、およびラフィノースであり、さらに好ましくはマルトース、スクロース、およびラフィノースであり、特に好ましくはマルトースである。
前記の糖および/または糖アルコールは、単独または混合物で用いることができる。含有量は特に限定されるものではなく、組成物の溶液に溶解可能でインターフェロン−γの安定性を高める量であればよい。インターフェロン−γに対する糖および/または糖アルコールの含有割合は重量比で1〜2000倍、好ましくは5〜1750倍、より好ましくは20〜1500倍であればよい。また、本発明の医薬組成物を溶液として使用する場合、組成物の溶液1mL中に糖および/または糖アルコールを5〜500mg、好ましくは10〜250mg、より好ましくは20〜200mg添加すればよい。前記含有量よりも少なければ、インターフェロン−γを安定化することができない恐れがあり、多ければ、組成物全量に対するインターフェロン−γ含量が相対的に低下し、多量のインターフェロン−γの組成物を投与しなければ、薬効が生じない可能性がある。
本発明において、SH基を有する化合物は、インターフェロン−γの安定化のために添加されるが、賦形剤としても添加されうる。具体的にはシステイン、チオグリコール酸、チオシアン酸、チオ硫酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトベンゾイミダゾール、アリルメルカプタン、ベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン、2,3−ブタンジチオール、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、シクロペンタンチオール、1,2−ジメルカプトエタン、2,3−ジメルカプトプロパノール、2,5−ジメチル−3−フランチオール、3,3−ジメチルブタンチオール、ドデシルメルカプタン、エタンチオール、フルフリルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、ヘキサデカンチオール、1,6−ヘキサンジチオール、イソアミルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、3−((メルカプト−1−メチルプロピル)チオ)2−ブタノール、3−メルカプト−2−ブタノール、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトメチルピラジン、メルカプトピナン、4−メトキシ−2−メチルブタン−2−チオール、メチルメルカプタン、2−メチル−3−フランチオール、2−メチル−3−テトラヒドロフランチオール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−3−フランチオール、p−メチルベンジルメルカプタン、3−メチル−2−ブタンチオール、2−メチルブタンチオール、2−メチルプロパン−2−チオール、2−ナフタレンチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、オクチルメルカプタン、2,4,4,6,6−ペンタメチル−2−ヘプタンチオール、ペンタン−2−チオール、ペンタン−1−チオール、2−フェニルエタン−1−チオール、1−p−メンテン−8−チオール、1,2−プロパンジチオール、プロピルメルカプタン、ピラジンエタンチオール、2−メルカプトメチルピリジン、ターピニルメルカプタン、2−テニルメルカプタン、1−(2−チエニル)エチルメルカプタン、チオゲラニオール、チオリナロール、o−トルエンチオール、1,4−ブタンジチオール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メチル−3−(2−メチル−2(4),5−ジヒドロ−3−フラニルチオ)−3−テトラヒドロフランチオール、2−メチル−4,5−ジヒドロフラン−3−チオール、2−チアゾリン−2−チオール、3−メルカプト−1−ヘキサノール、メルカプトメチルブタノール、3−メルカプト−2−メチルペンタノール、3−メルカプト−3−メチルブタノール、4−エトキシ−2−メチル−2−ブタンチオール、エタンジチオール、ヘキサンチオール、イソブチルチオール、メルカプトアセトアルデヒドジエチルアセタール、プレニルメルカプタン、1,1−ジメチルヘプタンチオール、ジメチルチオフェノール、(S)−1−メトキシ−3−ヘプタンチオール等が挙げられる。好ましくはシステイン、チオグリコール酸、チオシアン酸、チオ硫酸、チオリンゴ酸、もしくは2−メルカプトベンゾイミダゾールであり、より好ましくはシステインである。
本発明において、薬学的に許容される塩とは、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等の鉱酸の塩;ギ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマール酸、マレイン酸、コハク酸等の有機酸の塩;アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等の有機塩基の塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩またはカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等を挙げることができる。好ましくは塩酸塩である。
前記のSH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の添加量は特に限定されるものではなく、組成物の溶液に溶解可能でインターフェロン−γの安定性を高める量であればよい。インターフェロン−γに対するSH基を有する化合物の含有割合は重量比で0.001〜2000倍、好ましくは0.01〜1500倍、より好ましくは0.02〜1000倍であればよい。また、本発明の医薬組成物を溶液として使用する場合、組成物の溶液1mL中にSH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を0.001〜250mg、好ましくは0.005〜125mg、より好ましくは0.01〜100mg添加すればよい。前記添加量よりも少なければ、インターフェロン−γを安定化できない恐れがあり、多ければ、組成物全量に対するインターフェロン−γの含量が相対的に低下し、多量のインターフェロン−γを含有する組成物を投与しなければ、薬効が生じない可能性があるが、本発明の効果を損なわない限りはこれらの範囲に限定されない。
上記、糖および/または糖アルコールとSH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の含量の比率は、SH基を有する化合物に対し、重量比で糖および/または糖アルコールが1〜10000倍、好ましくは5〜5000倍、より好ましくは10〜2000倍である。
本発明の親水性高分子としては、生理的に許容される親水性高分子であればよく、該親水性高分子の添加により、溶液状態の組成物および組成物溶液の液媒体を乾燥した時におけるインターフェロン−γの安定性を向上(特に溶液時におけるインターフェロン−γの分子同士の凝集を防止して、組成物中のインターフェロン−γ含量の低下を抑制)する効果が得られ、また、固形剤調製における乾燥前の組成物溶液調製時または固形剤を蒸留水に再溶解する時のインターフェロン−γの溶解性改善等の効果も得られる。親水性高分子として、組成物の溶液に溶解または懸濁でき、インターフェロン−γの安定性を高めるものであればよいが、好ましくは非イオン性の親水性高分子であり、具体的にはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油として具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等がある。ポリエチレングリコールとして具体的には、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール2000、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000等がある。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとして具体的には、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール[プルロニックF87]、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール[プルロニックF68]、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール[プルロニックP123]、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール[プルロニックF85]、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール[プルロニックF127]、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール[プルロニックL44]等がある。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとして具体的には、ポリソルベート20[Tween20]、ポリソルベート40[Tween40]、ポリソルベート60[Tween60]、ポリソルベート65[Tween65]、ポリソルベート80[Tween80]等がある。ポリビニルピロリドンとして具体的には、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90等がある。ポリビニルアルコールとして具体的には、ポリビニルアルコール(完全けん化物)、ポリビニルアルコール(部分けん化物)等がある。ポリプロピレングリコールとして具体的にはポリプロピレングリコール2000等がある。好ましくはポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールであり、より好ましくはポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールであり、特に好ましくはポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールとしては、好ましくは平均分子量380〜10000のポリエチレングリコールであり、より好ましくは平均分子量380〜3800のポリエチレングリコールであり、特に好ましくはマクロゴール400またはマクロゴール4000であり、最も好ましくはマクロゴール4000である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、好ましくはモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであり、より好ましくはポリソルベート80である。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、好ましくは酸化エチレンの平均付加モル数45〜65のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であり、より好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60である。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、好ましくは酸化エチレンおよび酸化プロピレンの平均重合度がそれぞれ150〜170、25〜35のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールであり、より好ましくはポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールである。 親水性高分子の含有量は用いる親水性高分子の種類によっても異なるが、インターフェロン−γに対する親水性高分子の含有割合は重量比で0.01〜300倍、好ましくは0.05〜200倍、より好ましくは0.1〜100倍であればよい。本発明の医薬組成物を溶液として使用する場合、組成物の溶液1mL中に0.02mg〜50mg、好ましくは0.05mg〜20mg、より好ましくは0.1mg〜15mg、特に好ましくは0.25mg〜10mgを添加すればよい。また、本発明の医薬組成物を固形剤として使用する場合、前記添加量よりも少なければ、インターフェロン−γの溶解性が改善せず、またインターフェロン−γの安定性が低下する恐れがあり、逆に多ければ、調製の際、泡立ちにより組成物溶液の調製が困難となる可能性があるが、本発明の効果を損なわない限りはこれらの範囲に限定されない。
本発明では、固形剤調製における乾燥前の組成物溶液製造時または固形剤を蒸留水に再溶解する時のpH変動を最小限にするために緩衝剤を用いることが好ましい。緩衝剤としては、生理的に許容される緩衝剤であればよく、例えば、リン酸系またはクエン酸系の緩衝剤が挙げられる。
緩衝剤の添加量は用いる緩衝剤の種類によっても異なるが、インターフェロン−γが安定に存在できるpH、すなわち、組成物の溶液のpHを5.5〜8に保持するのに必要な量を用いればよい。具体的には、インターフェロン−γに対する緩衝剤の含有割合は重量比で10〜5000倍、好ましくは20〜2000倍、より好ましくは50〜1000倍あればよい。本発明の医薬組成物を溶液として使用する場合、組成物の溶液1mL中に緩衝剤を1〜200mg、好ましくは2.5〜150mg、より好ましくは5〜100mg添加すればよい。前記量よりも少なければ、組成物溶液製造時または固形剤を蒸留水に再溶解する時のpH変動が大きくなる恐れがあり、多ければ、組成物全量に対するインターフェロン−γの含量が相対的に低下し、多量のインターフェロン−γの組成物を投与しなければ、薬効が生じない可能性があるが、本発明の効果を損なわない限りはこれらの範囲に限定されない。
本発明の医薬組成物は、その形態に応じ、製剤学上許容される添加物を含有しうる。例えば、注射剤の場合、フェノール、クレゾール等の保存剤、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の酸化防止剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール等の無痛化剤、塩化ナトリウム、グリセリン等の等張化剤を添加してもよい。
安定化剤として、温血動物由来の血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ブタ血清アルブミン等を含有した場合、前述した様に副作用を生じる可能性があるが、アルブミンであっても遺伝子組換えアルブミンであれば、上記副作用を生じる可能性が低く、組成物の添加剤として含有する場合もありうる。遺伝子組換えアルブミンの添加は、インターフェロン−γの安定性低下の防止に有用である。インターフェロン−γに対する遺伝子組換えアルブミンの含有割合は、重量比で0.5〜500倍、好ましくは1〜200倍、より好ましくは2〜100倍であればよい。本発明の医薬組成物を溶液として使用する場合、組成物の溶液1mL中に0.1mg〜100mg、好ましくは0.25mg〜50mg、より好ましくは0.5mg〜25mgを添加すればよい。
本発明の医薬組成物は、少なくともインターフェロン−γ、糖および/または糖アルコール、SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに親水性高分子、さらに要すれば緩衝剤等の含有成分を含む。
本発明の医薬組成物の含有成分の好ましい組合せとして、1)インターフェロン−γ、マルトース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、マクロゴール4000、要すればリン酸緩衝液、2)インターフェロン−γ、スクロース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、マクロゴール4000、要すればリン酸緩衝液、3)インターフェロン−γ、マルトース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、マクロゴール400、要すればリン酸緩衝液、4)インターフェロン−γ、スクロース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、マクロゴール400、要すればリン酸緩衝液、5)インターフェロン−γ、マルトース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、ポリソルベート80、要すればリン酸緩衝液、6)インターフェロン−γ、スクロース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、ポリソルベート80、要すればリン酸緩衝液の組合せの医薬組成物、7)インターフェロン−γ、マルトース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、要すればリン酸緩衝液、8)インターフェロン−γ、スクロース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、要すればリン酸緩衝液、9)インターフェロン−γ、マルトース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、要すればリン酸緩衝液、10)インターフェロン−γ、スクロース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、要すればリン酸緩衝液、11)インターフェロン−γ、マルトース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、要すればリン酸緩衝液、12)インターフェロン−γ、スクロース、L−システインまたはその薬学的に許容される塩、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、要すればリン酸緩衝液である。これら好ましい組合せの含有成分の含有量について、インターフェロン−γは、固形剤全量に対し0.001〜3w/w%、好ましくは0.01〜2w/w%、より好ましくは0.05〜1.2w/w%、インターフェロン−γに対するマルトースまたはスクロースの含有割合は重量比で1〜2000倍、好ましくは5〜1750倍、より好ましくは20〜1500倍、インターフェロン−γに対するL−システインまたはその薬学的に許容される塩の含有割合は重量比で0.01〜2000倍、好ましくは0.1〜1500倍、より好ましくは0.2〜1000倍、インターフェロン−γに対するマクロゴール4000、マクロゴール400、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、またはポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールの含有割合は、重量比で0.01〜300倍、好ましくは0.05〜200倍、より好ましくは0.1〜100倍、リン酸緩衝液を添加するならば、pH5.5〜8に保持するのに必要な含有割合で添加すればよいが、具体的にはインターフェロン−γに対する緩衝液の含有割合は、重量比で10〜5000倍、好ましくは20〜2000倍、より好ましくは50〜1000倍であればよい。本発明の医薬組成物を溶液として使用する場合、インターフェロン−γは、組成物の溶液1mL中に1〜3000μg、好ましくは10〜2000μg、より好ましくは50〜1200μg、マルトースまたはスクロースは、組成物の溶液1mL中に5〜500mg、好ましくは10〜250mg、より好ましくは20〜200mg、L−システインまたはその薬学的に許容される塩は、組成物の溶液1mL中に0.01〜250mg、好ましくは0.05〜125mg、より好ましくは0.1〜100mg、マクロゴール4000、マクロゴール400、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、またはポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールは、組成物の溶液1mL中に0.02mg〜50mg、好ましくは0.05mg〜20mg、より好ましくは0.1mg〜10mg、リン酸緩衝液を添加するならば、pH5.5〜8に保持するのに必要な含有割合で添加すればよいが、具体的には組成物の溶液1mL中に1〜200mg、好ましくは2.5〜150mg、より好ましくは5〜100mg添加すればよい。
本発明溶液から固形剤を製造する際の溶液の乾燥法としては、組成物溶液の液媒体を乾燥しさえすればよいが、好ましくは凍結乾燥法、流動層乾燥法、噴霧乾燥法、より好ましくは凍結乾燥法がある。凍結乾燥法によって固形状にした凍結乾燥品は、インターフェロン−γのようなタンパク成分を含む製剤の場合、熱等のストレスがかからず、安定なタンパク製剤を製造することができる。
本発明の医薬組成物は、インターフェロン−γの分解、およびインターフェロン−γの凝集を抑制する。また、組成物製造直後のインターフェロン−γの含量は経時保存後、例えば40℃、3か月間程度保存してもほとんど低下しない。
本発明のインターフェロン-γ含有医薬組成物の製造方法は、特に限定されないが、好ましくは以下のような方法で製造する。糖および/または糖アルコール、SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに親水性高分子の必要量を蒸留水に溶解した溶液に、インターフェロン−γ原液の適当量を加える。残りの蒸留水を加えて液量を調節し、組成物の溶液を製造後、無菌濾過、容器へ分注、次いで凍結乾燥させる。凍結乾燥は、上記調製した組成物の溶液を約−60℃〜約−10℃、好ましくは約−50℃〜約−40℃で急速凍結した後、要すれば、昇華熱を供給しながら、好ましくは48〜72時間、0.005〜1mbに保って所定含水量になるまで水分を昇華、除去し、要すれば窒素など不活性気体または乾燥空気を充填して、密栓する。
本発明の医薬組成物の使用方法は特に限定されるものではないが、非経口的に用いることが好ましい。注射剤として用いる際には、凍結乾燥された該組成物を注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖液、適当な点滴用輸液等に用時溶解して静脈内、筋肉内、皮下または皮内に投与する。また、本組成物に適当な担体、賦形剤等を加えて口、鼻、耳腔内投与等の局所投与製剤としてもよい。投与量としては、インターフェロン−γとして例えば一日あたり、25万〜1000万JRU(国内標準単位)/体表面積(m)である。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
実施例1 ポリソルベート80によるインターフェロン−γ1aの凝集化の抑制試験
以下に示す製造方法に準じて、表1に示す成分の組成物を製造し、インターフェロン−γ1aの凝集化の抑制効果を評価した。
(実施例1製剤の製造方法)
表1に本組成物の配合成分を示す。糖および/または糖アルコールとしては、マルトース、SH基を有する化合物としてはL−システイン塩酸塩、親水性高分子としてはポリソルベート80(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.))、緩衝液としてはリン酸緩衝液を用いた。
所定量のマルトース一水和物、L−システイン塩酸塩一水和物、ポリソルベート80、リン酸一ナトリウム2水和物およびリン酸二ナトリウム12水和物を適量の注射用蒸留水に溶解した後、インターフェロン−γ1aを添加し、表記の濃度まで注射用蒸留水で希釈後,0.22μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルターでろ過を行い,製剤溶液を調製した。
Figure 0005137055

(単位:mg/mL)
(試験方法)
調製した製剤溶液2mLを分取し、振とうすることによりインターフェロン−γ1a凝集体を発生させた。この溶液を孔径0.22μmのPVDFフィルターでろ過を行い、凝集体を取り除いたものを検体Aとした。また、調製した製剤溶液2mLを分取し、振とうを行わずに孔径0.22μmのPVDFフィルターでろ過を行ったものを検体Bとした。
各検体について下記の条件で検体を調製し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分析を行い、インターフェロン−γ1aの含量を測定した。

含量測定検体(HPLC)調製方法
製剤溶液450μLにリン酸塩塩化物溶液を25μL、50mmol/L ジチオスレイトール溶液25μL加えて含量測定検体とする。
含量測定(HPLC)条件
装置 :Waters社製 2960 Alliance
カラム :(株)資生堂製 CAPCELL PAK C1 SG300 5μm
4.6mm×250mm
カラム温度 :30度
移動相A液 :水/トリフルオロ酢酸(1000/1)
移動相B液 :2−プロパノール/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸
(900/100/1)
移動相A、移動相Bを用いて、表2に示すグラジエント法を実施
流速 :0.5mL/分
注入量 :20μL
サンプル温度:6度
検出波長 :220nm
測定時間 :70分
Figure 0005137055

解析 :Waters社製 ミレニアム
測定対象 :インターフェロン−γ1a量
凝集体を除いたインターフェロン−γ1aの残存率%は以下の式で算出した。
残存率(%)=Pa/Pb×100
Pa:検体Aのインターフェロン−γ1a由来ピーク面積
Pb:検体Bのインターフェロン−γ1a由来ピーク面積
(試験結果)
評価、解析した結果を表3に示す。その結果、ポリソルベート80の添加によってインターフェロン−γ1a凝集体の発生を良好に抑制することが見出された。
Figure 0005137055
実施例2 マクロゴール4000によるインターフェロン−γ1a凝集化の抑制
以下に示す製造方法に準じて、表4に示す成分の組成物を製造し、インターフェロン−γ1aの凝集化の抑制効果を評価した。
(実施例2製剤の製造方法)
表4に本組成物の配合成分を示す。糖および/または糖アルコールとしては、マルトース、SH基を有する化合物としてはL−システイン塩酸塩、親水性高分子としてはマクロゴール4000(平均分子量2600〜3800のポリエチレングリコール)、緩衝液としてはリン酸緩衝液を用いた。
所定量のマルトース一水和物、L−システイン塩酸塩一水和物、マクロゴール4000、リン酸一ナトリウム2水和物およびリン酸二ナトリウム12水和物を適量の注射用蒸留水に溶解した後、インターフェロン−γ1aを添加し、表記の濃度まで注射用蒸留水で希釈後,0.22μmのPVDFフィルターでろ過を行い,製剤溶液を調製した。
Figure 0005137055

(単位:mg/mL)
(試験方法)
実施例1の場合と同様に試験を行った。
(試験結果)
評価、解析した結果を表5に示す。その結果、マクロゴール4000の添加によってインターフェロン−γ1a凝集体の発生を良好に抑制することが見出された。
Figure 0005137055
実施例3 マクロゴール400によるインターフェロン−γ1a凝集化の抑制
以下に示す製造方法に準じて、表4に示す成分の組成物を製造し、インターフェロン−γ1aの凝集化の抑制効果を評価した。
(実施例3製剤の製造方法)
表6および表7に本組成物の配合成分を示す。糖および/または糖アルコールとしては、マルトース、SH基を有する化合物としてはL−システイン塩酸塩、親水性高分子としてはマクロゴール400(平均分子量380〜420のポリエチレングリコール)、緩衝液としてはリン酸緩衝液を用いた。
所定量のマルトース一水和物、L−システイン塩酸塩一水和物、マクロゴール400、リン酸一ナトリウム2水和物およびリン酸二ナトリウム12水和物を適量の注射用蒸留水に溶解した後、インターフェロン−γ1aを添加し、表記の濃度まで注射用蒸留水で希釈後,0.22μmのPVDFフィルターでろ過を行い,製剤溶液を調製した。
Figure 0005137055

(単位:mg/mL)
Figure 0005137055

(単位:mg/mL)
(試験方法)
実施例1の場合と同様に試験を行った。
(試験結果)
評価、解析した結果を表8および表9に示す。その結果、マクロゴール400の添加によってインターフェロン−γ1a凝集体の発生を良好に抑制することが見出された。
Figure 0005137055

Figure 0005137055
実施例4 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、およびポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールによるインターフェロン−γ1a凝集化の抑制
以下に示す製造方法に準じて、表10に示す成分の組成物を製造し、インターフェロン−γ1aの凝集化の抑制効果を評価した。
(実施例4製剤の製造方法)
表10に本組成物の配合成分を示す。糖および/または糖アルコールとしては、マルトース、SH基を有する化合物としてはL−システイン塩酸塩、親水性高分子としてはポリエチレングリコール4000、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、またはポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、緩衝液としてはリン酸緩衝液を用いた。また上記組成物から親水性高分子を除いた物を比較例とした。
所定量のマルトース一水和物、L−システイン塩酸塩一水和物、上記のいずれかの親水性高分子、リン酸一ナトリウム2水和物およびリン酸二ナトリウム12水和物を適量の注射用蒸留水に溶解した後、インターフェロン−γ1aを添加し、表記の濃度まで注射用蒸留水で希釈後,0.22μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルターでろ過を行い,製剤溶液を調製した。
Figure 0005137055

(単位:mg/mL)
(試験方法)
調製した製剤溶液2mLをバイアルへ分取し、打栓を行った。インターフェロン−γ1a凝集体はバイアルを振とうすることにより発生させた。その後,各検体を目視により濁りの程度を確認した。
(試験結果)
目視の結果、親水性高分子を含まない比較例の製剤溶液はインターフェロン−γ1aの凝集に起因する濁りが確認された。一方、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、およびポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールのいずれかを含む実験例の製剤溶液はいずれも濁りが認められず、実施例2で凝集抑制効果を確認したマクロゴール4000を含む製剤溶液と同程度に澄明が保たれた。すなわち、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、またはポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールの添加によってインターフェロン−γ1a凝集体の発生を良好に抑制することが見出された。
実施例5 凍結乾燥製剤の安定性
以下に示す製造方法に準じて表6に示す成分の凍結乾燥製剤を製造し、インターフェロン−γ1a凍結乾燥製剤安定性について評価を行った。
(実施例5製剤の製造方法)
表11に本組成物の配合成分を示す。糖および/または糖アルコールとしては、マルトース、SH基を有する化合物としてはL−システイン塩酸塩、親水性高分子としてはマクロゴール4000、緩衝液としてはリン酸緩衝液を用いた。
所定量のマルトース一水和物、L−システイン塩酸塩一水和物、マクロゴール4000、リン酸一ナトリウム2水和物およびリン酸二ナトリウム12水和物を適量の注射用蒸留水に溶解した後、インターフェロン−γ1aを添加し、表記の濃度まで注射用蒸留水で希釈後,0.22μmのPVDFフィルターでろ過を行い,製剤溶液を調製した。各製剤溶液を3mL容量のガラスバイアルに分注し、表12に示す凍結乾燥条件によって凍結乾燥を行った。
Figure 0005137055

(単位:mg/mL)
Figure 0005137055

(試験方法)
凍結乾燥直後の凍結乾燥品および40℃/75%RHで一定期間保存した検体について,注射用蒸留水で再溶解した後,実施例1と同様の含量測定検体(HPLC)調製方法、含量測定(HPLC)条件で測定を行い、経時的な含量変化について試験を行った。
なお、経時的な含量変化については以下に示す式でイニシャルに対する残存率(%)として評価した。
対イニシャル残存率(%)
対イニシャル残存率(%)=Pc/Pd×100
Pc:イニシャル凍結乾燥製剤におけるインターフェロン−γ1a由来ピーク面積
Pd:保存後凍結乾燥製剤におけるインターフェロン−γ1a由来ピーク面積
(試験結果)
評価、解析した結果を表13に示す。その結果、経時的に安定な凍結乾燥製剤を製することができた。
Figure 0005137055
本発明の医薬組成物は、インターフェロン−γ、糖および/または糖アルコール、SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに親水性高分子を含有する溶液、前記溶液を凍結乾燥して得られた凍結乾燥製剤、該凍結乾燥製剤に注射用蒸留水等の適当な復元剤を添加して所要の濃度とした溶液用製剤等、種々の形態のインターフェロン−γを含有する医薬組成物を提供する。これらの本発明の医薬組成物は、温血動物由来の血清アルブミンを含有しなくても、インターフェロン−γの分解、およびインターフェロン−γの凝集が抑制され、安定性が高い。

Claims (7)

  1. 温血動物由来の血清アルブミンを含有せず、かつ少なくとも以下の成分
    1)インターフェロン−γ、
    2)二糖類
    3)SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに、
    4)マクロゴール4000
    を含んだ医薬組成物。
  2. 二糖類がマルトースまたはスクロースである請求項1記載の医薬組成物。
  3. SH基を有する化合物がシステインである請求項1記載の医薬組成物。
  4. 二糖類がマルトースまたはスクロースであり、SH基を有する化合物がシステインである請求項1に記載の医薬組成物
  5. 凍結乾燥された請求項1〜のいずれかに記載の医薬組成物。
  6. 温血動物由来の血清アルブミンを含有せず、かつ少なくとも以下の成分
    1)インターフェロン−γ、
    2)二糖類
    3)SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに、
    4)マクロゴール4000
    を含んだ溶液を凍結乾燥する工程を含むことを特徴とする、医薬組成物の製造方法。
  7. 温血動物由来の血清アルブミンの非存在下に、少なくとも二糖類、SH基を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびにマクロゴール4000を共存させることを特徴とする、インターフェロン−γの凝集化抑制方法。
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