JP5136249B2 - 光学フィルター - Google Patents

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Description

本発明は、光を透過、又は光の反射を防止する光学部品、例えば撮影カメラにおいて使用される帯域制限フィルター、入射光線を透過する窓(光学窓)、レンズ等の光学部品に関する。
発光装置、受光装置、又は撮影装置などにおいて、光学部品(例えば、光学フィルター)は、該光学部品を透過する光に対して高い透過率を示すことが要求される。そのために、光学部品を構成する材料として、一般に、対象とする波長域の光に対して低い吸収率を有するものが選択される。また、光学部品を構成する材料の屈折率と該光学部品に接する媒質(通常は空気)の屈折率との差に基づいて光学部品の表面(入射面と透過面)で発生する透過率の損失を減少するために、光学部品の表面に反射防止膜を設けることもある。
例えば、従来の赤外線用の光学フィルターは、光学フィルターの窓材としてGe、ZnS、ZnSe及びSiなどが良く利用され、また、反射防止膜として、金属フッ化物などが採用されていた(例えば、特許文献3参照)。
また、光学部品の表面に反射防止膜を形成する代わりに、その表面に光の波長よりも小さな間隔をあけて規則的な三次元構造を微細加工することにより、この光学部品の表面に反射防止機能を与える試みがあった(例えば、特許文献1〜2、非特許文献1参照)。
特開2002−287370号公報 特表2004−521329号公報 特開2003−177210号公報 OPTICS LETTERS, Vol. 24, No.20, October 15, p1422(Optical Society of America)
近年、撮影装置の高機能化や高効率化の要求が増してきており、これに答えるべく撮影装置が取扱う光学波長帯をマルチバンド化する必要が出てきた。ところが、上記のような多層の反射防止膜を光学部品に適用する場合には、光学部品が使用される環境(例えば、高温、ヒートサイクル)を考慮して、膜の屈折率や膜の線膨張係数などの材料特性を考慮して膜の材質を選択する必要があった。つまり、設計仕様を越えた環境下で使用されると、反射防止膜の剥離や残留歪み、反射防止膜からの残留ガスの放出といった現象が長期信頼性を阻害するおそれがあった。また、バンドパスフィルターとして急峻な波長選択性を持たせる場合には層数がさらに増加するので、かかる材質選択の問題のために使用環境が制約される課題もあった。
他方、特許文献1に示されたような、光学部品の表面に微細な凹凸を形成して反射防止効果を狙う構造では、所望の波長帯を急峻な波長選択性をもって選択することが要求されるマルチバンドの光学フィルターを得ることは特に難しかった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、信頼性に優れた波長選択性の良い光学フィルターを提供することを目的とする。
本発明に係る光学フィルターは、基板と、その基板の主面とこの主面から所定の距離離れた面とで規定される上層内に設けられ、光学フィルターが対象とする光を透過し且つ光学フィルターが対象とする光の波長よりも小さいブロックであって距離をその厚みとするブロックからなるブロック群と、上層に隣接して主面から所定の第二の距離離れた面と上層の表面とで規定される中層内に設けられ、光学フィルターが対象とする光の波長よりも小さいブロックであって中層の厚みをその厚みとするブロックからなるブロック群とから構成され、主面を平面視したときのブロック群の占有面積とそれ以外の面積との比率が各層内でそれぞれ所定の比率となるように、ブロックがそれぞれの層内で配置され、上層内に設けられたブロックと中層内に設けられたブロックとが異なる周期で配置されたことを特徴とする。
この発明によれば、基板表面に多層構造となる3次元構造体であって、各層における構造体の充填率と、各層の厚みを所定の値にすることにより所望の透過率特性を得ることができる。また、多層積層膜に起因する剥離等の問題も無く、信頼性に優れた波長選択性の良い光学フィルターを得ることができる。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係る光学フィルターの概略構成を示す斜視図である。図2は、斜視図で示した図1を平面視した模式図である。図3は、図2中に示すIII-III線に沿った光学フィルターの断面の模式図である。
以下に、図面を参照しながら、赤外線検出器用の光学フィルターを例にとり、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、3〜5μm帯及び8〜12μm帯に対応するマルチバンドの光学フィルターを例に本願発明を説明するが、他の形態も、当然に本願発明の技術的範囲に含まれる。また赤外線の波長帯にとどまることなくそれ以外の波長帯の光に対しても有効である。
まず、光学フィルター1の全体構成について説明する。
図1において、光学フィルター1は、基板2の上に配置された下層小円柱31と大円柱4、さらに大円柱4の上に配置された上層小円柱11から構成されている。また、これらの大小の円柱の組合わせを便宜的に表面3次元構造体3と呼ぶことにする。また、基板2、大円柱4等の材質は赤外線を透過するSiである。なお、Siの替わりにGe,ZnSeあるいはこれらの複合材料も基板として使用できる。
図3を参照して、上述した表面3次元構造体3は、基板2に近いほうから順に、下層構造体30、中層構造体20、上層構造体10の3層構造となっている。また、表面3次元構造体3は、光学特性上は等価的に3層の光学多層膜と考えることができる。以下、この理由を説明する。
まず、表面3次元構造体3が単層の場合、すなわち基板2の上に単に下層小円柱31のみが配置されている状態(大円柱4は無い状態)を考え、光学フィルターの特性を決める屈折率が表面3次元構造体の形状で決まることを説明する。
光学部品(ここでは光学フィルター)が、ある媒質(通常は空気)に接して配置されるとき、光透過面で入射光線の散乱が発生しないためには、全ての3次元構造体(ここでは下層小円柱31)の間隔Lは入射光線の波長以下になるように設計する。このような3次元構造体において凹部と凸部との面積比率(ここでは、下層小円柱31の上底面の面積を凸部の面積、基板2の上の下層小円柱31が占有していない部分を凹部の面積、として考える)によりその層の実効的な屈折率(n)を制御することができる。基板2の空気によって満たされている凹部分の面積比率をf(全て凹部の場合をf=1とする)とする場合には、この単層の実効的な屈折率(n)を式(1)から求めることができる。
Figure 0005136249
上述のように、(1)式に従い単層の屈折率を計算できるので、三層からなる表面3次元構造体3の場合は、上層〜下層構造体の各層毎にそれぞれ屈折率を計算することができる。図3のような3次元構造に当てはめて考えると、面積比率fが上層からf、f、fとする3層構造とすることができる。この場合の実効的な屈折率(n)は、各層によって異なりそれぞれn、n、nとなる。このように、面積比率fを変えることによって、ステップ状に屈折率が変化する多層膜を積層した場合と同等の効果を得ることができる。また面積比率fで実効的な屈折率(n)が確定することから、例えば下層小円柱31をランダムに配置してもよく、特に凹凸部分を周期構造とする必要は無い。
つぎに、上述した単層の波長ピークは、実効的屈折率部分の凸部の高さ(すなわち、凹部の深さ:d)によって式(2)から決定される。
Figure 0005136249
したがって、目的とする赤外線を透過したい波長帯を計算するには、上記(1)式を用いて各層構造体毎に屈折率(n)を算出し、透過したい波長帯に合わせて(2)式を用いて上層〜下層構造体の各層構造体の厚み(d)を求めることができる。
3〜5μm帯及び8〜14μm帯に対応するマルチバンドの光学フィルターを設計する場合は、(1)式、(2)式を基に適宜、屈折率(n)、厚み(d)を算出し、これらを組み合わせ、通常の光学多層膜の計算手法によって目的とする透過率特性が得られるか検証する。例えば、図3に示すような三層構造体の場合に、凹部と凸部との面積比率を適宜選定し、実効屈折率n=1.5、n=2.0、n=2.5及び凹部の深さをd=0.5μm、d=0.9μm、d=0.25μmの場合に、図4に示したような設計目標とする二つの波長帯で良好な透過特性を得ることが可能である。
また本実施の形態では凸部の形状を円柱状としたが、特に円柱である必要はなく、角柱等の形状であっても問題はない。また、実効的な屈折率をステップ状とすることにより波長選択性が向上することがわかっており、各ステップの面積比率のばらつきは少ない方が望ましい。
次に、本願発明の光学フィルターの製造方法例について図を基に説明する。なお、ここで述べる製造方法はあくまでも一例であり、他の製造方法によっても上述の構造を実現することは可能である。
基板2に上述の実効屈折率を制御した3次元構造を作製する方法を説明する。図5〜図9は、本実施の形態における製造方法を工程順に示す概略断面図である。なお、断面位置は図3中に示すIII-III線に沿った位置に相当する。以下、工程順に説明する。
図5に示す第1工程では、基板2上にフォトレジスト41のパターンを形成しマスクとする。
図6に示す第2工程では、ドライエッチング等により所定の深さまで掘り込む。
図7に示す第3工程では、一旦フォトレジスト41を取り除き、最深部を保護し最上部を掘り込めるようにフォトレジスト42によりマスクする。つぎにドライエッチング等により表面層部分を所定の深さまで掘り進める。
図8に示す第4工程では、再度フォトレジスト42を除去し、最表面を保護するようにフォトレジスト43によりマスクする。その状態で最深部分の凸部をドライエッチング等によりエッチングして所定の深さまで削る。
最後に、図9に示す第5工程で、フォトレジスト43を除去する。エッチング及び露光工程が繰り返し、期待する表面3次元構造体を基板表面に実現する。
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、赤外線用の光学フィルターの実現のために円柱状の突起物による制御例を示したが例を説明したが、表面3次元構造体は必ずしも円柱状の突起物である必要はなく、実効屈折率の制御のために多数の穴を基板に設けることにより面積比率fの制御を行ってもよい。図10はかかる形態を示したもので、図1と同様に光学フィルターの概略構成を示す斜視図である。本実施の形態では、円柱状の突起物と基板とに円筒状の穴を開けたものを組合わせた。この形態によっても同等の効果を得ることができる。
実施の形態3.
上述の実施の形態2では、光学フィルターの実現のために円柱状の突起物による制御例を示したが、本実施の形態では図11に示すように、穴の深さが3段階に異なるように基盤に穴を開ける加工をして面積比率fの制御を行ったものである。この形態によっても同等の効果を得ることができる。
実施の形態4.
上述の実施の形態1では、光学フィルターの実現のために実効屈折率(n)が最表面からn<n<nとなっていく制御例を示したが、実効的な屈折率の配分がn<n<nとなるように3次元構造を作製することでも光学フィルター実現することが可能である。以下、本形態の構造を説明する。図13は、構造をわかりやすくするために、本形態の光学フィルターを分解した斜視図であり、第3層構造体と中層構造体の境界で分離して示している。また、光学フィルターの断面の模式図を図12に示す。
本形態の構造について説明する。下層構造体30は、基板2の表面を加工して中円柱を設けたものである。また、薄いSi基板を中層構造体20とし、さらにそのSi基板の表面を加工して上層小円柱11を形成して上層構造体10としている。中円柱の上面にSi基板(中層構造体20)の底面を接合して3層構造にしたものが本形態の構造である。
この構造により上述の実効屈折率の配分を実現することができる。例えば、図14に示すように、実効屈折率n=1.5、n=2.5、n=2.0(=面積率から制御)及び凹部の深さ(d=2.0μm,d=0.6μm,d=0.7μm)の場合にターゲットとする二つの波長帯で良好な透過特性が得られる。
上述の形態4において、下層構造体を円柱により形成したが、特に他の形状によって面積率を制御しても問題は無く、角柱、六角形穴、溝でも同様な効果を示す。
実施の形態5.
上述の実施の形態1では、等価的に3層の光学多層膜となるように3層構造の例を説明した。本実施の形態5では、光学フィルターとしてブロックを周期的に配置した2層構造を説明する。すなわち、下層構造体、上層構造体の2層構造が等価的に2層の光学多層膜となる例を説明する。
本実施の形態で説明する構造は、第1層内の下層構造体で8〜12μm帯の透過率が大きくなるようにし、第2層内の上層構造体で3〜5μm帯の透過率が大きくなるようにした設計例である。基板44に形成された一層目の下層構造体に相当する大きなブロック45と二層目の上層構造体に相当するそれより小さなブロック46により形成されている。以下、赤外線検出器用の光学フィルターの構成について説明する。
図15は、本実施の形態の光学設計に係る光学フィルターの下層構造体のみの模式図である。図16は、図15で示したブロックのサイズをパラメータとし、下層構造体のみの光学フィルターの透過率特性の計算結果のグラフである。図17は、係る計算結果から最適のブロックサイズ範囲を検討するために、構造パラメータLと透過率のピーク波長と波長10μmとのずれを表したグラフである。図18は、本実施の形態に係る2層構造の光学フィルターの概略構成を示す斜視図である。図19は、下層構造体のサイズを固定し、上層構造体である第2層目のブロックのサイズをパラメータとして透過率特性を計算した結果のグラフである。図20は、係る計算結果から最適のブロックサイズ範囲を検討するために4μmでの透過率とブロックのサイズの関係を示したグラフである。
まず、下層構造体の光学設計を説明する。図15に示すような一層目がブロック状のブロック45のみの構造を考える。ここで、ブロック45の縦,横,高さ方向のサイズをLx,Ly,dとし、隣接するブロック45どうしの間隔を縦横それぞれsy,sxとする。また、例えばLxのみ長くするとこの方向の光学的な異方性が生じるので、sx=sy=Lx=Ly=dとして光学異方性がなるべく小さくなるよう光学設計をする。また、構造パラメータLを、L=sx=sy=Lx=Ly=dと定義する。ここで、ブロック45は立方体である。
構造パラメータLを1μm付近で変化させて透過率を計算した。なお、解析は厳密結合波解析を用いている。また、材質は屈折率3.4のシリコンとした。解析結果のうち代表的な結果を図16に示す。図16を参照すると、8〜12μm付近に透過率の窓(すなわち、透過率の高い領域)が形成され、Lが大きくなるに従い透過率のピークが全体的に長波長側にシフトすることがわかる。
下層構造体の光学設計は、8〜12μm帯での吸収率が最大となるように設計することを目的としている。そこで、この帯域に現れるピーク波長と8〜12μm帯の中心波長である波長10μmとのずれに着目し、このずれが最小になる範囲が光学設計として最適な範囲と考え、構造パラメータLを0.9μmから1.7μmまで変化させた場合の透過率を計算した。図17は、構造パラメータLを変化させた場合において、透過率のピーク波長と波長10μmとのずれの変化を表したグラフである。また、このずれ量が小さいほどその構造の透過帯域が8〜12μm帯に入っていることになり、目的とする波長域の赤外光をよく透過させることができる。
図17を参照して、下層構造体の8〜12μm帯での透過率のピーク値と波長10μmとのずれ量が2μm以上(図中網掛けの領域)になると設計目標からはずれてしまうので、ずれ量が2μm以下となる1.05μmから1.6μmのLの範囲に設定するのが適当であることがわかる。また、最も効率良く所望の波長域を透過させるのは、Lx=Ly=d=1.3μmであることがわかる。
次に、上層構造体の光学設計を説明する。
上述のように、下層構造体としてsx=sy=Lx=Ly=d=1.3μmの場合が最適であったので、図15で示した下層構造体のブロック45の上に、上層構造体として更に小さなブロック46を2つ配置した。係る形態が図18である。
上述した下層構造体の光学設計と同様に、ブロック46の縦,横,高さ方向のサイズをLx2,Ly2,d2とし、L2=Lx2=Ly2=d2として、上層構造体の構造パラメータL2を変化させて計算した。L2の代表的な数値について透過率特性を図19に示す。このようにした2層構造では、8〜12μm付近に加えて新たに3〜5μm帯付近に透過率のピークが現れる。この3〜5μm帯の中心波長である波長4μmにおける透過率をL2に対して表したのが図20である。
図20を参照して、L2=0.4μm以上において透過率が急激に上昇し90%以上となる。よって、上述した2層構造においてはL2=0.4μm以上が望ましいことがわかる。特にLx2=Ly2=d2=0.65μmの場合に、3〜5μm帯付近で透過率が最も高くなっている。つまり、sx=sy=Lx=Ly=d=1.3μm、Lx2=Ly2=d2=0.65μmの2層構造がマルチバンド(3〜5μm帯および8〜12μm帯)の光学フィルターとして最適な構造となる。
上述したように、3辺が等しいブロックでかつブロックどうしの間隔がこのブロックの一辺と等しい長さを備えた条件下で、適宜、光学設計を行えば、目的とする波長帯に透過率のピークを作ることができ、しかも光学的な異方性が生じ難い。
さらに、3辺が等しいブロックでかつブロックどうしの間隔がこのブロックの一辺と等しい長さを備えた条件の第一層内のブロック群の上に、3辺が等しいブロック群からなる第二層を載せた構成とすることで、2つの波長帯に透過率のピークを持つ光学フィルターを得ることが可能である。
なお、上述した実施の形態においては、上層構造体を構成するブロック群として小さなブロック46を2つ下層構造体を構成するブロック45の上に配置した例を示したが、3辺が等しいブロックであってブロック45の上に配置できるサイズであれば2つ以上配置してもかまわない。この場合でも、適宜、光学設計を行えば目的とする波長帯に透過率のピークを作ることができる。
このように、ミクロン、サブミクロンスケールのブロックの二層構造を形成することで、それぞれのスケールに対応する異なる波長域を選択的に透過させるようなマルチバンドの光学フィルターの形成が可能である。
実施の形態6.
上述の実施の形態5では、光学フィルターとして3辺が等しいブロックを周期的に配置した2層構造の例を説明した。本実施の形態6では、ブロックの配置数あるいは平面形状を適宜選択することによって、その層内に存在するブロック群の占める比率(すなわち、上述の実施の形態1で定義した面積比率)を操作し透過率の制御が出来ることを説明する。
図21は、本実施の形態に係る2層構造の光学フィルターの概略構成を示す斜視図である。図中の点線Aで囲んだ部分を上から見た状態の平面図を図22に示す。図22において、ブロック(ブロック45、ブロック46)の寸法は、上述の実施の形態5で説明した最適の構造であるsx=sy=Lx=Ly=d=1.3μm、Lx2=Ly2=d2=0.65μmである。このサイズを例にして説明する。図22を参照して、第一層目の下層構造体を構成するブロック45の上に第二層目の上層構造体を構成するブロック46が載っている。ここで、第一層目の各ブロック45の上に載っている第二層目のブロック46の個数は2個である。いま、第一層目のブロック45に対して第二層目のブロック46の占有面積を充填率と定義すると、この状態で第一層目のブロック45に対して第二層目のブロック46が占める面積は50%であるので、上記の場合は充填率50%である。
次に、図23に示すように第二層目のブロック46の大きさを図22のブロック46の半分にしたとする。このときの充填率は25%となる。但し、深さ方向(紙面垂直方向)は0.65μmを保つ(以下に示す例でも高さは変えない)。同様に、図24に示すように、図22の状態の第二層目のブロック46の数を増して2倍にすると充填率50%となる。次に、図25に示すように、図23の状態から第二層目のブロック46を変形して占有面積を増やして充填率65%とする。以上の図22〜25のケースのように第二層目のブロック46の充填率を変化させた場合について、透過率を求めた結果が図26に示す透過率特性を示すグラフである。図26を参照すると、充填率に従い特に3〜5μm帯の透過率が大きく変化しているのがわかる。
上述の各ケースについての3〜5μm帯での極小値(例えば、図26の充填率50%の透過率曲線について波長4μm近辺に示した矢印部分)と充填率との関係を図27に示す。図27から、透過率が約95%以上の高い透過領域に入るのは、充填率が55%から78%の間であることがわかる。
上述したように、光学フィルターの基板の主面を平面視して、第一層内のブロックの面積に対する第二層内のブロックの面積の比率を所定の値とすれば、第一層目のブロック群による所定の透過帯域よりも短波長側に第二の透過帯域を作ることができる。したがって、上述した充填率を所定の値とすることによってマルチバンドの光学フィルターを得ることが可能である。
上述した実施の形態は例示であって、本発明は例示した実施形態の範囲に限定されない。例えば、上述下形態ではフィルター基板の一方の主面に凹凸形状を付加した例を説明したが、フィルター基板の他方の主面にも形成しても良い。本発明は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施形態1の光学フィルターの斜視図である。 本発明の実施形態1の光学フィルターの平面図である。 本発明の実施形態1の光学フィルターの断面図である。 本発明の実施形態1の光学フィルターの透過特性例である。 本発明の実施形態1の光学フィルターの製造工程中の断面図である。 本発明の実施形態1の光学フィルターの製造工程中の断面図である。 本発明の実施形態1の光学フィルターの製造工程中の断面図である。 本発明の実施形態1の光学フィルターの製造工程中の断面図である。 本発明の実施形態1の光学フィルターの製造工程中の断面図である。 本発明の実施形態2の光学フィルターの斜視図である。 本発明の実施形態3の光学フィルターの斜視図である。 本発明の実施形態4の光学フィルターの断面図である。 本発明の実施形態4の光学フィルターの斜視図である。 本発明の実施形態4の光学フィルターの透過特性例である。 本発明の実施形態5の光学フィルターを説明する斜視図である。 本発明の実施形態5における透過率特性である。 本発明の実施形態5における透過率の変化を説明する図である。 本発明の実施形態5の光学フィルターの斜視図である。 本発明の実施形態5における透過率特性である。 本発明の実施形態5における透過率の変化を説明する図である。 本発明の実施形態6の光学フィルターの斜視図である。 本発明の実施形態6の光学フィルターの上面図である。 本発明の実施形態6における充填率25%の構造の上面図である。 本発明の実施形態6における充填率50%の構造の上面図である。 本発明の実施形態6における充填率65%の構造の上面図である。 本発明の実施形態6における透過率特性である。 本発明の実施形態6における透過率の変化を説明する図である。
符号の説明
1 光学フィルター、
2 基板、
3 表面3次元構造体、
4 大円柱
10 上層構造体、
11 上層小円柱、
12 エッチング穴
13 上層基板
20 中層構造体、
30 下層構造体、
31 下層小円柱、
32 エッチング穴
33 エッチング溝
40 フォトレジスト
41 フォトレジスト
42 フォトレジスト
43 フォトレジスト
44 基板
45 1層目のブロック
46 2層目のブロック

Claims (7)

  1. 光学フィルターの基板と、
    前記基板の主面とこの主面から所定の距離離れた面とで規定される第一層内に設けられ、前記光学フィルターが対象とする光を透過し且つ前記光学フィルターが対象とする光の波長よりも小さいブロックであって前記距離をその厚みとするブロックからなるブロック群と、
    前記第一層に隣接し、前記主面から所定の第二の距離離れた面と前記第一層の表面とで規定される第二層内に設けられ、前記光学フィルターが対象とする光の波長よりも小さいブロックであって前記第二層の厚みをその厚みとするブロックからなるブロック群と、から構成され、
    前記主面を平面視したときのブロック群の占有面積とそれ以外の面積との比率が前記各層内でそれぞれ所定の比率となるように、前記ブロックがそれぞれの層内で配置され、前記第一層内に設けられたブロックと前記第二層内に設けられたブロックとが異なる周期で配置されたことを特徴とする光学フィルター。
  2. 第二層に隣接し、基板の主面から第三の距離離れた面と前記第二層の表面とで規定される第三層内に、前記光学フィルターが対象とする光の波長よりも小さいブロックであって前記第三層の厚みをその厚みとするブロックからなるブロック群を備え、前記主面を平面視して、前記各層内でそれぞれ所定の面積比率でブロックがそれぞれの層内で配置されたことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 第一層、第二層および第三層の厚みは、光学フィルターの屈折率をn0、前記光学フィルターに接する媒質の屈折率をn、前記光学フィルターが対象とする光の波長をλとすると、
    Figure 0005136249
    であることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルター。
  4. ブロック群は、基板の主面の凹凸形状であって、円柱、角柱、若しくは不定形の柱又はこれらの組み合わせからなる複数のブロックであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルター。
  5. ブロックに、所定の深さで光学フィルターが対象とする光の波長λよりも小さい開口の穴を複数備え、複数の前記穴の占有面積と前記穴以外の前記ブロックの残地部分の面積との比率を所定の値に規定した請求項1または2に記載の光学フィルター。
  6. 第一層内にある立方体のブロックであって隣り合うブロックどうしの間隔が前記立方体の一辺に等しいブロック群と、
    前記第一層内のブロックに隣接して配置され、前記第一層内のブロックよりも小さい立方体のブロックからなるブロック群を第二層内に有する請求項1に記載の光学フィルター。
  7. 第一層内にある立方体のブロックであって隣り合うブロックどうしの間隔が前記立方体の一辺に等しいブロック群と、
    前記第一層内のブロックに隣接して配置され、前記第一層内のブロックよりも小さいブロックからなるブロック群を第二層内に有し、
    光学フィルターの基板の主面を平面視して、第一層内のブロックの面積に対する第二層内のブロックの面積の比率を所定の値とした請求項1に記載の光学フィルター。
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