JP5135265B2 - 無線機能付き電子時計 - Google Patents

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Description

本発明は無線機能付きの電子時計に関する。更に詳しくは、極力強い電波をアンテナに与え、高感度な電波受信を実現できるようにした無線機能付き電子時計の構造に関するものである。
無線機能付きで比較的小型の電子機器としては、例えば携帯電話機や、標準電波を発信している無線局の時刻信号を用いて表示時刻を修正するいわゆる電波時計などがある。それらの電子機器の一つである電波腕時計の2種の従来例を図7、図8および図9に示す。
図7は従来例1である電波腕時計の要部の断面図である。図は腕時計の外装である時計ケースの構成と、ケース内に配置される標準電波受信用のアンテナとを示している。なお、ケースに内蔵される他の部材である、電波による時刻修正機能を備えた電子時計ムーブメント、その電源、時刻を表示する指針等は図示を省略してある。
図7において、金属製の胴2は腕時計のケースであり、金属製のベゼル1は腕時計の時刻表示面の上面を覆っている時計ガラス6の外周を保持する部材であって、胴2の上側に圧入されている。金属製の裏蓋3は、胴2の下側に圧入されている。磁芯4とコイル5とは電波を受信するためのアンテナを構成する部材であって、透磁率の高い材料よりなる磁芯4、磁芯4に巻き付けられたコイル5とより成る。その他の外装部材である、時計ガラス6は非伝導性かつ非磁性体であり、文字板7は非伝導性、見返しリングは非伝導性かつ非磁性体であって、これらは電波の進路を妨げない材料で構成されている。なお、アンテナ4,5の時計ケース内における平面的なおよその配置は、例えば図9(後述の従来例2の説明にも兼用している)の如くである。
図9において、電波修正時計には、金属製の胴2の内側に磁芯4とコイル5から構成されるアンテナが少なくとも1つ存在し、ケースの外側には電波11が存在する。また、他の部品に関しては、図示を省略してある。この時、アンテナの中心を通るA−A 断面図として表されたものが従来例1では図7であり、従来例2では図8となる。
電波は時計の外部からケース部材を透過して内部のアンテナに到達する。図9に示した電波11がケース内部に進入する場合、図7に示す従来例1において、その大部分は金属のベゼル1を上面側から迂回し、非伝導性である時計ガラス6や文字板7を透過して進入してくる電波の成分11dであるが、その他に、電波が透過し難い材料である金属のベゼル1と金属の胴2の間に存在する僅かな隙間である電波経路9cを通って進入してくる電波の成分11eや、極僅かではあるが金属の胴2などの金属部材を透過して進入してくる電波の成分11fが存在する。
しかし、電波の成分11eの電波受信感度への寄与は通常小さい。特に、胴2の断面の上面側が図示のように大きく出入りし電波経路9cが屈曲している場合には磁芯4に到達する電波きわめて弱くなり、寄与は一層小さくなる。このため、従来はこの胴2とベゼル1との隙間に沿ってケース内に進入して来る電波成分を積極的に利用することがなかったと考えられる。
次に、電波腕時計の従来例2を特許文献1として挙げる。図8は、特許文献1に記載された発明の代表図面を簡略化し、実質的に同じ部材の符号については第1従来例と共通化して示した要部断面図である。
特開2008−203063号公報
図8に示すように、従来例2の時計ケースは、合成樹脂製のベゼル13と、金属製の胴2と合成樹脂製の補強部材12と、金属製の裏蓋3と、非磁性体かつ非伝導性の時計ガラス6と、非磁性体かつ非伝導性の文字板7と、非磁性体かつ非伝導性の見返しリング8を備えており、ケース内部には透磁率の高い材料よりなる磁芯4と磁芯4に巻き付けられたコイル5とより成るアンテナを備えている。また、金属製の胴2の内周面を、上側になるほど次第に薄肉化してあり、それによるケース強度の低下を補うため、非金属材(高強度の合成樹脂)から成る補強部材12を裏打ちしてある。
図8に示す従来例2の電子時計では、従来例1と同様に図9に示した電波11がケース内部に進入する場合、ベゼル13に非金属を用いていることと、金属製の胴2の上部を薄肉化し、その薄肉部と重なる補強部材12やベゼル13は非金属製で電波をよく透過するため、電波11gは胴2の上側の縁からアンテナの磁芯4の端部に対して迂回することなく真直ぐに到達するので、多くの電波を効率的に利用できると考えられる。その他に、極僅かではあるが金属の胴2などの金属部材を透過して進入してくる電波の成分11hが存在する。
しかし、製造の面から見ると、補強部材12を必要とし、またそれをケースの胴と接合する工程が増す問題があるし、デザインの面から見ると、ベゼル部分のみ非金属になることで時計としての外観の高級感が損なわれてしまう。つまり、第2の従来例においては、金属製の部材を減らし、電波の通りやすい部材でケースを構成することで、受信感度の向上は図ることができたが、構成部品の点数や製造の手間を変えず、金属外装による高級感を損なわずに感度を向上させることができなかった。
既述のように、従来例1においては、金属製のケース部材の隙間を浸透してくる電波の成分を有効に活用しようとするという観点がなかった。また従来例2においては、金属ケースを迂回してくる電波成分を減らし、アンテナに直接到達する電波の成分を増やそうとしているが、ケースを構成する部材の数や製造の手間が増し、あるいは美観を犠牲にしてしまっていた。本発明は、電子機器の金属製ケースの隙間を透過してくる電波成分を強めることによって、それらの課題の解決を図るものである。
本発明の目的は、金属製の胴と金属製のベゼルから構成される無線機能付き電子機器ケースにおいて、ケース外から到来する電波を内部のアンテナに極力迂回なく到達させることで電波を効率よく利用し、受信の感度を向上させるようにしたケースの構造を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の無線機能付き電子時計は以下の特徴を有する。
(1)金属製の胴と、該胴の上側にあって該胴と嵌合する金属製のベゼルを含む時計ケースの内部に無線機能付き時計機構と外部から到来する電波を受信するためのアンテナとを収容しており、該アンテナは透磁率が高い材料よりなる細長い形状の磁芯にコイルを巻回したものである無線機能付き電子機器において、前記ベゼルの外側下面に対面する前記胴の頂上部の内縁を構成するすべての点と前記磁芯の各上側端点とを結ぶ直線の集合であるすりばち状の面を想定したとき、前記頂上部よりも内側に位置する前記胴の上側の部分が
、前記すりばち状の面よりも上側には実質的に存在しないようにしたこと。
(2)また、前記時計ケース外から前記時計ケース内の前記磁芯の上側端点に向けて前記胴の上面に沿って進入する電波の最短経路の屈曲角は実質的に鈍角であること。
(3)また、前記胴の頂上部の内縁よりも内側において、前記胴の上面または前記ベゼルの下面には、前記すりばち状の面における最も傾斜が急である部分にほぼ沿った斜面部を有すること。
(4)また、前記時計ケースは更に前記胴と嵌合する金属製の裏蓋を備え、該裏蓋の外側下面に対面する前記胴の最下端部の内縁を構成するすべての点と前記磁芯の各下側端点とを結ぶ直線の集合である第2のすりばち状の面を想定したとき、前記最下端部よりも内側に位置する前記胴の下側の部分が、前記第2のすりばち状の面よりも下側には実質的に存在しないようにしたこと。
(5)また、前記時計ケース外から前記時計ケース内の前記磁芯の下側端点に向けて前記胴の下面に沿って進入する電波経路に沿った前記胴の断面の屈曲角は鋭角でないこと。
(6)また、前記胴と前記ベゼルとの合わせ面の少なくとも一部には絶縁性の部材が配置されていること。
(7)また、前記胴と前記裏蓋との合わせ面の少なくとも一部には絶縁性の部材が配置されていること。
本発明は、上記に示した構成を採用しているので、金属製の胴と金属製のベゼルの組み合わせにおいても高い効率でケース内にあるアンテナへ電波を到達させることが容易に得られるという効果を発揮するものである。
本発明の実施例1を示した断面図である。 本発明の実施例1において電波経路を示した断面図である。 本発明の実施例2を示した断面図である。 本発明の実施例1、実施例2を示した平面図である。 本発明の実施例3を示した平面図である。 本発明の実施例4を示した断面図である。 本発明の従来例1を示した断面図である。 本発明の従来例2を示した断面図である。 本発明の従来例1、従来例2を示した平面図である。 図1の一部を拡大した部分断面図である。
本発明は、電子時計の外部からケースの内部に設置されたアンテナの磁芯に到来する電波のうち、金属製のケースの胴と金属製のベゼルとの隙間、あるいは金属製のケースの胴と金属製の裏蓋との隙間に沿ってケース内部に進入して来る電波の成分を、極力減衰させないようにケースの胴の断面形状を、前記隙間の断面的形状の屈曲の程度が極力少なくなるように定めることによって、無線機能つき電子時計の受信感度を総合的に高めるものである。以下、図面を用いて本発明の各実施例について説明する。
図1は本発明の実施例1である、電波腕時計の要部断面図であり、丸型の金属製の胴と金属製のベゼルに本発明を適用したものである。図10は図1の断面図の一部を拡大した部分断面図である。図2は実施例1において、ケースを電波が透過する状態を説明する断面図である。図4は実施例1の要部の平面図であるが、時計ガラス6および文字板7を取り除いて、ケース内部のアンテナ4,5の概略の平面配置を示してある。なお、図4の平面図は、実施例2についても適用される。
図1において、既述の従来例と実質的に同じ役割を持つ部材には図7、図8の各部と同じ符号を与えて、重複する説明をなるべく避けることとする。ベゼル1の材質は、例えばTi、SS、Ag、Au、BSなどの金属であり、従来類似の部品に用いられて来た材質も含まれる。また、胴2の材質は、ベゼル1と同じであっても異なる金属であっても基本的には構わない。裏蓋3の金属材料についても、ベゼル1や胴2と同材質でも異なる材質でもよい。アンテナを構成する磁芯4の材質としては、例えばフェライト、アモルファス磁性材料など透磁率の高い材料が用いられる。磁芯4と共にアンテナを構成するため磁芯4に巻き付けられたコイル5と、非磁性体であって、電波の進路を妨げない非伝導性の時計ガラス6と、非磁性体であって、電波の進路を妨げない非伝導性の文字板7と、非磁性体であって、電波の進路を妨げない非伝導性の見返しリング8を備えている。
そして、金属ベゼル1と金属胴2の間には、磁芯4の上部に位置する代表上側端点4aと、ベゼル1の外側下面に対面する胴2の頂上部の内縁2a上の無数の点を結んだ直線の集合であるすりばち状の面14を考えると、このすりばち状の面にほぼ平行しあるいは一部が沿うような電波経路9aが想定される。
また、このすりばち状の面14よりも上側には実質的に胴2の部分が存在しないようにしてある。(たとえ存在してもごく部分的である。)
胴2の頂上部で内縁2aよりも外周に近い部分は、胴2の上面に固着されるベゼル1の下面を確実に受けるため、ナイフエッジとはせず、図10に拡大して示すように、細いリング状の平面を残す。その部分は水平方向にリングの幅が狭いことが電波経路9aの形成上は好ましく、例えば50〜1000μm、あるいは100〜2000μmの幅を持たせる。よって、胴2の頂上部には内縁と外縁が存在することになる。また外縁に沿ってその外側には、適宜な寸法の細い面取りを設けてもよい。
(電波受信時の動作)
次に、本実施例1の作用を図2に基づいて説明する。図2は、実施例1の断面図である図1に、金属製のケース外部から内部のアンテナの磁芯4に到達する電波経路を、符号を付した矢印付きの破線で記入したものである。
図2において、外部からの電波11は金属製のベゼル1や金属製の胴2、金属製の裏蓋3を通って、アンテナの磁芯4に透過して来る電波の成分11cと、金属製のベゼル1、胴2を迂回し、文字板7の方から磁芯4に到達する電波の成分11aと、金属製のベゼル
1と金属製の胴2との隙間である電波経路9aを通り磁芯4に到達する電波の成分11b(想定される形で描いてある)に別れる。この電波経路9aを通ってくる電波11bの強度を極力増して、これを活用することにより、アンテナの磁芯4が集める電波の総合的な強度を高め、受信感度を向上させる。
電波腕時計の機能として、外部からの電波11を利用し、現在時刻を修正するためには、時計ケース内にある磁芯4とコイル5から構成されるアンテナに外部からの電波を透過させる必要がある。この時コイル内を通る電波成分11a、11b、11cのアンテナ上の到達点は、電波の侵入点に最も近い磁芯4の端点に集中するため、多くの電波を取り込むための条件として磁芯4の端点が重要となる。
次に、実施例1における、最適な電波経路9aの選定方法を図1および図4に基づいて説明する。
図4において、電波修正時計には、金属製の胴2と磁芯4とコイル5が存在し、ケース外側に電波11が存在する。磁芯4の端部の平面形状が角張っている場合、磁芯4の上面に存在する4個の上側端点のうち、胴2の頂上部の内縁2aとなる円に最も近い距離にある上側端点41aに4aという符号を付け、代表端点とする。またもし、磁芯4の端面の平面形状が角張っておらず丸みを帯びている場合には、代表上側端点4aとしては、磁芯4の端部付近の上面における、胴2の頂上部の内縁2aとなる円に最も近くなる点あるいは胴2の内周面に最も近くなる点を選ぶ。)また図1はこの代表上側端点4aとこの点から最短距離にある、内縁2a上の点21aとを含むA−A断面図として表したものである。断面は円形の胴2の中心を通ることになる。
次にすりばち状の面14を定義する。すりばち状の面14は、上側代表端点4aと、ケースの胴2の頂上部の内縁2aとなる円上にあるすべての点、即ち内縁を構成するすべての点を結ぶ無数の直線で構成される、上側に開いた円錐面である。(ただし、上側代表端点4aの平面図における位置が図示のように内縁2aの中心にない場合には、円錐の軸は鉛直ではなく傾いている。)本発明においては、電波経路9aがこのすりばち状の面14の主要部に極力沿って形成されるように、胴2の上面形状を規定する。
以上、代表上側端点4aとして、その平面的な位置が胴2に最も近い点であるとし、それを用いて胴2の上部のすりばち状の面を定義したが、実は、電波の実際の経路と対応付けて代表端点の位置やすりばち状の面の形状を厳密に定めることは困難である。磁芯の端部に到達する電波はある表面密度分布を持つであろうし、(端部の角部ほど密度が高いことはあり得る。)電波経路も必ずしもすりばち状の面に厳密には沿っていないと考えられるからである。そこで、代表端点としては、単に、磁芯の端部(コイル5の外側部分)の、すりばち状の面と同じ側にある表面上の1点であるとしてゆるく定義し、それに基づいてすりばち状の面を定めることとしても実質的に差し支えないであろう。なぜなら、磁芯の端部は、磁芯4の全体に対して比較的小部分にすぎないので、片側の磁芯端部の範囲内では代表端点を表面のどこに選んでも、すりばち状の面の形状や角度から生まれる効果はほぼ同等となるであろうからである。2個ある磁芯の端部のいずれから代表端点を選ぶかについては、任意でよいものとする。
次に、代表端点(前述の定義のゆるさの程度はいずれでもよい)からケースの外側を見たとして、その「視野」を考える。代表端点4aが胴2から遠い方向には、視野が比較的開けている。すなわち、金属ケースでさえぎられない、文字板7を見込む立体角が大きい。故に、アンテナは金属ケースを迂回して文字板側から入ってくる電波成分を比較的多く捕らえることができるので問題は少ない。
一方、代表端点4aが胴2に近い方向については、視野の大部分が大きな立体角で、金
属製で厚肉である胴2にさえぎられる。換言すれば、この方向から入ってくる電波はアンテナに極めて届きにくい。そこで、この方向に有効な電波経路9aを設けることが重要である。
図1において点線であらわされているすりばち状の面の断面14は、場所によって傾斜の異なるすりばち状の面のうちで最も傾斜の急な部分の断面である。このすりばち状の面14の断面は、胴2の頂上部から代表上側端点4aにまっすぐに向かっている。それにより、最も問題視される、代表上側端点4aからの視野角の狭い方向から入ってくる電波の強度を増すことができる。
すりばち状の面14に沿った面を胴の上部に設ける場合、上に定義したすりばち状の面をそのまま設けられればよいが、傾斜が一様でない曲面を胴に加工するのは一般に困難である。そこで、胴2に設けるすりばち状の面の他の部分の傾斜を、図1に示した最も急な傾斜に合せておけば、すなわち胴2に設けられるすりばち状の面14を、傾斜のない鉛直軸を持つ円錐面としておけば、最も重要な方向の電波経路9aは確保され、その他の方向については代表端面4aの視野が開けているので問題は少ないことになる。
金属製のベゼル1と胴2とは、圧入(合成樹脂のリングを介在させて圧入することもある)、接着または溶接等の手法によって固着される。両者の合わせ面は、前記すりばち状の面14に沿うことが理想的ではあるが、実際には、ベゼルの胴への圧入など組み立て作業上の諸条件により、図1に示すごとく、相互に入り組んだ断面形状になりやすい。しかしその場合、胴2の断面はすりばち状の面14より上側には出ず、ベゼル1の方が下側に出るようにするのが好ましい。その理由は、図1に示すように、ベゼル1の断面積は胴2の断面積に比して相対的に小さいため、電波に対する阻害効果は胴2の阻害効果よりも少ないからである。また、胴2の上面をすりばち状の面14より上方に垂直に突出させると、電波経路9aは鋭角に曲げられて強く屈曲し、電波は阻害され減衰し易いが、ベゼル1の下面の一部を下向きの円筒面としてすりばち状の面14より下げた場合は、電波経路9aは鈍角(せいぜい一部で直角)に曲げられるだけであり、電波は阻害され難く減衰が少ない。
通常、電波の阻害効果は金属ベゼルより断面積または厚みが大きいケース胴の方が強いので、このようにケース外から到来する電波を内部のアンテナに対して到達させるような電波経路9aをすりばち状の面14またはその下側に作成し、極力大きな迂回や強い屈曲をさせることなく電波を到達させることで、10%程度の感度向上ができるという効果を有するものである。
見返しリング8に関しては、非導電性であることが好ましいが、時計である場合など美観上金属製であることが求められることがある。見返しリングの断面は胴2よりも通常小さいので、たとえ金属であっても、電波を阻害する効果は胴2よりもかなり少ないので無視できる場合がある。
図3は本発明の実施例2である、電波腕時計の要部断面図であり、丸型の金属製の胴と金属製のベゼルに加え、丸型の金属製の胴と金属製の裏蓋を持つ電波腕時計に本発明を適用したものである。
図4は実施例2の要部の平面図であるが、時計ガラス6および文字板7を取り除いて、ケース内部のアンテナ4,5の概略の平面配置を示してある。なお、図4の平面図は、実施例1と共通に用いられ、既に説明済みである。
図3において、既述の従来例および実施例1と実質的に同じ役割を持つ部材には図1、
図7、図8の各部と同じ符号を与えて、重複する説明をなるべく避けることとする。
次に胴下部10と胴2の関係及び胴下部10と裏蓋3の関係を記載する。
図3において、金属製の胴2は腕時計のケースであり、金属製のベゼル1は腕時計の時刻表示面の上面を覆っている時計ガラス6の外周を保持する部材であって、胴2の上側に圧入されている。
金属製の胴下部10は腕時計のケースの一部であり、胴下部10の上側は胴2の下側に圧入されている。また、金属製の裏蓋3は、胴下部10の下側に圧入されている。この時、胴下部10の材質は、胴2と同じであっても異なる金属であっても構わない。
そして、金属ベゼル1と金属胴2の間には、実施例1で説明済みである代表上側端点4aが存在し、電波経路9aがある。
また、金属胴2と金属胴下部10の間には、磁芯4の下部に位置する代表下側端点4bと、裏蓋3の外側上面に対面する胴下部10の頂下部の内縁上の点2bを結んだ直線の集合であるすりばち状の面15を想定したとき、このすりばち状の面15にほぼ並行な電波経路9bがある。また、このすりばち状の面15よりも下側には実質的に胴2の部分が存在しない。(たとえ存在してもごく部分的である。)
胴2の下部で外周に近い部分は、胴2の下面に固着される胴下部10の上面を確実に受けるため、適宜な幅のリング状の平面または平面に近いゆるい傾斜面を残す。
次に、実施例2における、最適な電波経路9bの選定方法を図3に基づいて説明する。
図3において、実施例1で説明した代表上側端点4aと同じように、磁芯4の下面の端部に複数存在する端点の1つを代表下側端点4bとする。この時、胴2の内面の円筒面と代表下側端点4bまでの距離は最短になる。端点が明確でない場合は、磁芯4の下面にあって胴2の内面に最も近い点か、あるいは定義をゆるめて、磁芯4の端部(コイル5の外側)下側の表面上の任意の点を代表下側端点4bとする。
次にすりばち状の面15を定義する。すりばち状の面15は、代表下側端点4bと、ケースの胴2の頂下部の内縁2bとなる円上のすべての点を結ぶ無数の直線で構成される、下側に開いた円錐面である。(ただし、代表下側端点4bの平面図における位置が内縁2bの中心にない場合には、円錐の軸は鉛直ではなく傾いている。)本発明においては、電波経路9bがこのすりばち状の面15の主要部に極力沿って形成されるように、胴2の下面形状を規定する。
すりばち状の面15に沿った面を胴の下部に設ける場合、上に定義したすりばち状の面をそのまま設けられればよいが、傾斜が一様でない曲面を胴に加工するのは一般に困難である。そこで、胴2に設けるすりばち状の面の他の部分の傾斜を、図3に示した最も急な傾斜に合せておけば、すなわち胴2に設けられるすりばち状の面15を、傾斜のない鉛直軸を持つ円錐面としておけば、最も重要な方向の電波経路9bは確保され、その他の方向については上面側の電波経路9a同様、代表下側端点4bの視野が開けているので問題はないことになる。
金属製の胴下部10と胴2とは、圧入(合成樹脂のリングを介在させて圧入することもある)、接着または溶接等の手法によって固着される。両者の合わせ面は、前記すりばち面15に沿うことが理想的ではあるが、実際には組み立て作業上の諸条件により、図3に示すごとく、相互に入り組んだ断面形状になりやすい。しかしその場合、胴2の断面はすりばち状の面15より下側には出ず、胴下部10の方が上側に出るようにするのが好ましい。その理由は、図3に示すように、胴下部10の断面積は胴2の断面積に比して相対的に小さいため、電波に対する阻害効果は胴2の阻害効果よりも少ないからである。また、
胴2の下面をすりばち状の面15より下方に垂直に出すと、電波経路は鋭角に曲げられ、電波は阻害され易いが、胴下部10の上面の一部を上向きの円筒面としてすりばち状の面15より出した場合は、電波経路は鈍角に曲げられるだけであり、電波は阻害され難い。
本実施例2の変形例として、ベゼルや指針などがない時計の裏蓋側においては、すりばち状の面が浅く、あまりすりばち状の面の形状が電波強度を左右しない場合が多いことを考慮して、胴下部10の部材を省略し、胴2の下面に直接裏蓋3を装着して、胴2の下部と裏蓋3との断面形状を、電波経路9bが鋭角にならぬ程度に抑えることによって目的を近似的に達成することが考えられる。この場合、裏蓋3の外縁部と胴2の下面との合わせ面が平面となることも許容される。
図5は本発明の実施例3である、電波腕時計の平面図であり、角型の金属製の胴と金属製のベゼルに本発明を適用したものである。また、図4と同様に、時計ガラス6および文字板7を取り除いて、ケース内部のアンテナ4,5の概略の平面配置を示してある。断面図に関しては、図1と同様になるため改めて提示はしない。
次に、実施例3における、最適な電波経路9aの選定方法を図1および図5に基づいて説明する。図5において、電波修正時計には、金属製の胴2と磁芯4とコイル5が存在し、ケース外側に電波11が存在する。磁芯4の上面に存在する4個の上側端点のうち、胴2の内周面に最も近い距離にある上側端点41aに4aという符号を付け、代表端点とする。
また図1はこの代表上側端点4aとこの点から最短距離にある、内縁2a上の点21aとを含むA−A断面図として表されたものである。
次にすりばち状の面14を定義する。すりばち状の面14は、代表上側端点4aと、ケースの胴2の頂上部の内縁2a上の点を結ぶ無数の直線で構成される、上側に開いた四角錐面である。(ただし、代表端点4aの平面図における位置が内縁2aの中心にない場合には、四角錐の軸は鉛直ではなく傾いている。)本発明においては、電波経路9aがこのすりばち状の面14の主要部に極力沿って形成されるように、胴2の上面形状を規定する。
また、最適な電波経路9bの選定方法については実施例2と同様であるため、説明は省略するが、すりばち状の面15は下側に開いた四角錐面であり、電波経路9bがこのすりばち状の面15の主要部に極力沿って形成されるように、胴2の下面形状を規定する。
図6は本発明の実施例4である、電波腕時計の要部断面図であり、丸型の金属製の胴と金属製のベゼルに本発明を適用したものである。実施例1と実質的に同じ役割を持つ部材には図1の各部と同じ符号を与えて、重複する説明をなるべく避けることとする。実施例1との相違点は、磁芯4の端部上面に磁芯4と材質が同じか、異なるが透磁率の高い素材で生成された磁性体ブロック16を磁気的にほぼ一体となるよう固着し、磁芯4の上側端面を風防用のガラス6側に実質的に接近させたことである。磁性体ブロック16は磁芯4の両端部に設けるとよいが、図6ではその一方の側のみを示している。
実施例4における、すりばち状の面や代表上側端点や、最適な電波経路9aの選定方法は、図6に基づいて、実施例1と同様に行われる。
相違点は、磁性体ブロック16の存在により、代表上側端点が胴2の頂上側に近づいており、すりばち状の面の傾斜が実施例1よりも緩やかになることである。このため、時計ケースの設計・製造がより容易になり得る効果がある。
また、本実施例の変形例として、磁性体ブロック16に磁性体ブロック16と同素材、または異素材で構成された、例えば羽状に広がって端部の平面表面積が拡大された部材、あるいは端部に固着され、その外端部がガラス側に反った形状を与えられて、代表上側端点をより一層ガラス側に近づけた部材が存在する場合や、磁性体ブロック16が磁芯4の下部に存在する場合、または磁芯4の片側にのみ磁性体ブロック16存在する場合などが種々考えられる。
また、各実施例の変形例として、ケース胴と金属ベゼルまたは金属裏蓋との合わせ面には絶縁性の部材(薄板、塗料、皮膜など)が設けられていてもよい。
本発明によって、電波の利用効率のよい金属ケース付きの電子時計が得られるので、産業状の利用可能性は大きい。
1 ベゼル
2 胴
2a 胴の頂上部の内縁
2b 胴の最下部の内縁
21a 胴の頂上部の内縁上で代表上側端点から最短距離の点
3 裏蓋
4 磁芯
4a 代表上側端点
4b 代表下側端点
41a 胴の頂上部の内縁に最も近い上側端点
5 コイル
6 時計用ガラス
7 文字板
8 見返しリング
9a、9b、9c 電波経路
10 胴下部
11 電波
11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h 電波成分
12 補強材
13 ベゼル
14 すりばち状の上側面
15 すりばち状の下側面
16 磁性体ブロック

Claims (7)

  1. 金属製の胴と、該胴の上側にあって該胴と嵌合する金属製のベゼルを含む時計ケースの内部に無線機能付き時計機構と外部から到来する電波を受信するためのアンテナとを収容しており、該アンテナは透磁率が高い材料よりなる細長い形状の磁芯にコイルを巻回したものである電子機器において、前記ベゼルの外側下面に対面する前記胴の頂上部の内縁を構成するすべての点と前記磁芯の代表上側端点とを結ぶ直線の集合であるすりばち状の面を想定したとき、前記頂上部よりも内側に位置する前記胴の上側の部分が、前記すりばち状の面よりも上側には実質的に存在しないようにしたことを特徴とする無線機能付き電子時計。
  2. 前記時計ケース外から前記時計ケース内の前記磁芯の上側端点に向けて前記胴の上面に沿って進入する電波の最短経路の屈曲角は実質的に鈍角であることを特徴とする請求項1に記載の無線機能付き電子時計。
  3. 前記胴の頂上部の内縁よりも内側において、前記胴の上面または前記ベゼルの下面には、前記すりばち状の面における最も傾斜が急である部分にほぼ沿った斜面部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の無線機能付き電子時計。
  4. 前記時計ケースは更に前記胴と嵌合する金属製の裏蓋を備え、該裏蓋の外側下面に対面する前記胴の最下端部の内縁を構成するすべての点と前記磁芯の代表下側端点とを結ぶ直線の集合である第2のすりばち状の面を想定したとき、前記最下端部よりも内側に位置する前記胴の下側の部分が、前記第2のすりばち状の面よりも下側には実質的に存在しないようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無線機能付き電子時計。
  5. 前記時計ケース外から前記時計ケース内の前記磁芯の下側端点に向けて前記胴の下面に沿って進入する電波経路に沿った前記胴の断面の屈曲角は鋭角でないことを特徴とする請求項4に記載の無線機能付き電子時計。
  6. 前記胴と前記ベゼルとの合わせ面の少なくとも一部には絶縁性の部材が配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の無線機能付き電子時計。
  7. 前記胴と前記裏蓋との合わせ面の少なくとも一部には絶縁性の部材が配置されていることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の無線機能付き電子時計。
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