以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1の斜視図である。
遊技機1は、島設備に固定される本体枠(外枠)2にヒンジ4を介して一側部が開閉回動自在に取り付けられる開閉枠を備える。開閉枠は、前面枠3及びガラス枠18によって構成される。
前面枠3には、遊技領域10aを有する遊技盤10(図2参照)が、裏面に取り付けられた収納フレーム(図示省略)に収装される。また、前面枠3には、遊技盤10の前面を覆うカバーガラス(透明部材)18aを備えたガラス枠18が取り付けられる。前面枠3及びガラス枠18は、それぞれ個別に開放することが可能であり、例えば、ガラス枠18のみを開放して遊技盤10の遊技領域10aにアクセスすることができる。また、前面枠3をガラス枠18が開放されていない状態で開放することによって、遊技盤10の裏側に配置された遊技制御装置500などにアクセスすることができる。
ガラス枠18のカバーガラス18aの周囲には、装飾光を発光する装飾部材9が備えられている。装飾部材9の内部にはランプやLED等によって構成された装飾/演出装置9a(図3参照)が備えられている。装飾/演出装置9aを所定の発光態様によって発光させることによって、装飾部材9が所定の発光態様によって発光する。
ガラス枠18の左右には、音響(効果音、警報音、報知音等)を発するスピーカ30が備えられる。ガラス枠18の上方には照明ユニット11が備えられる。照明ユニット11の内部には、前述した装飾/演出装置9aが備えられる。
照明ユニット11の右側には、遊技機1において異常が発生したことなどを報知するための遊技状態LED29が備えられている。また、遊技機1において異常が発生した場合には、さらに、スピーカ30から異常を報知するための報知音が出力される。
遊技機1で発生する異常には、遊技機1の故障及び不正行為の実施などが含まれる。不正行為は、例えば、磁石によって発射された遊技球の軌道を不正に操作する行為や、遊技機1を振動させる行為などである。また、不正に開閉枠が開放される行為も不正行為である。そこで、営業時間中に前面枠3やガラス枠18の開閉枠が開放されたことが検出されると、遊技状態LED29やスピーカ30などによって異常が報知されるようになっている。
前面枠3の下部に開閉可能に取り付けられる開閉パネル20には、図示しない打球発射装置に遊技球(遊技媒体)を供給する上皿21が備えられる。さらに、開閉パネルの下方位置であって前面枠3に固定される固定パネル22には、灰皿15、下皿23及び打球発射装置の操作部24等が備えられる。遊技者が操作部24を回動操作することによって、打球発射装置は、上皿21から供給される遊技球を遊技盤10の遊技領域10aに発射する。
下皿23には、下皿23に貯まった遊技球を排出するための下皿球抜き機構16が備えられる。前面枠3の下部右側には、ガラス枠18を施錠するための鍵25が備えられている。
また、上皿21の上縁部には、遊技者からの操作入力を受け付けるための演出ボタン60が備えられている。遊技者は、演出ボタン60を操作することによって、表示装置53(図2参照)における変動表示ゲームの演出内容を選択することができる。さらに、変動表示ゲームに遊技者の操作を介入させた演出を行うことが可能である。また、通常遊技状態で遊技者が演出ボタンを操作することによっても演出パターンを変更することが可能である。なお、通常遊技状態とは、特別な遊技状態が発生していない遊技状態である。また、特別な遊技状態とは、例えば、変動表示ゲームの抽選確率が高い確率の状態(時短遊技状態、確変遊技状態)である。
上皿21の右上部には、遊技者が遊技球を借りる場合に操作する球貸ボタン26、及び、図示しないカードユニットからプリペイドカードを排出させるために操作される排出ボタン27が設けられている。
図2は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1に備えられる遊技盤10の正面図である。
遊技盤10は、各種部材の取り付けベースとなる平板状の遊技盤本体10b(木製又は合成樹脂製)を備え、該遊技盤本体10bの前面にガイドレール32で囲まれた遊技領域10aを有している。また、遊技盤本体10bの前面であってガイドレール32の外側には、前面構成部材33が取り付けられている。さらに、遊技領域10aの右下側の前面構成部材33は、前面の中央部が黒色透明の証紙プレート38で覆われている。そして、このガイドレール32で囲まれた遊技領域10a内に打球発射装置から遊技球を発射して遊技を行うようになっている。
遊技領域10aの略中央には、変動表示ゲームの表示領域となる窓部を形成するセンターケース51が取り付けられている。センターケース51に形成された窓部52の後方には、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームの演出を実行可能な演出表示装置としての表示装置53が配置されている。表示装置53は、例えば、液晶ディスプレイを備え、センターケース51の窓部を介して遊技盤10の前面側から表示内容が視認可能となるように配置される。なお、表示装置53は、液晶ディスプレイを備えるものに限らず、EL、CRT等のディスプレイを備えるものであってもよい。
表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、複数の変動表示領域が設けられており、各変動表示領域に識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクタが表示される。その他、表示画面には遊技の進行に基づく画像(例えば、大当り表示、ファンファーレ表示、エンディング表示等)が表示される。
また、遊技盤10には、普図始動ゲート34と、普図変動表示ゲーム及び特図変動表示ゲームに関する情報などを表示する普図・特図表示器35が設けられている。また、遊技領域10a内には、始動入賞領域をなす始動口36が設けられている。そして、遊技球が始動口36に入賞した場合には、補助遊技として特図変動表示ゲームが実行される。
さらに遊技領域10aには、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉42aを有し、特図変動表示ゲームの結果によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換する特別変動入賞装置42、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト口43が設けられている。
この他、遊技領域10aには、一般入賞口44、打球方向変換部材としての多数の障害釘(図示略)などが配設されている。また、一般入賞口44への遊技球の入賞は、一般入賞口44に備えられた一般入賞口SW44a〜44n(図3参照)によって検出される。
一般入賞口44、始動口36、及び特別変動入賞装置42に遊技球が入賞すると、排出制御装置580(図3参照)は、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球を払出装置から前面枠3の上皿21又は下皿23に排出するように制御する。
普図始動ゲート34内には、該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するための普図始動ゲートSW34a(図3参照)が設けられている。そして、遊技領域10a内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、普図変動表示ゲームが実行される。
また、普図変動表示ゲームを開始できない状態で普図始動ゲート34を遊技球が通過すると、普図変動表示ゲームの始動記憶数(普図始動記憶数)が上限数未満であるならば、普図始動記憶数に1を加算し、当該普図変動表示ゲームが当りとなるか否かを示す乱数が普図始動記憶として一つ記憶される。普図始動記憶数は、LEDを備える普図・特図表示器35によって表示される。
普図変動表示ゲームが開始できない状態とは、例えば、普図変動表示ゲームが実行中であり、該普図変動表示ゲームが終了していない状態や、普図変動表示ゲームで当りとなったために始動口36が開状態になっている状態である。
普図変動表示ゲームは、遊技盤10に設けられた普図・特図表示器35で実行される。なお、表示装置53の表示領域の一部で普図変動表示ゲームを表示するようにしてもよい。例えば、識別図柄として、数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、識別図柄を所定時間変動表示させた後、停止表示させる。
普図変動表示ゲームの停止表示が特別な結果態様になると、普図変動表示ゲームが当りとなり、始動口36の開閉部材36aが所定時間(例えば、0.5秒間)開放される。これにより、始動口36に遊技球が入賞しやすくなり、特図変動表示ゲームが始動しやすくなる。
始動口36には、左右一対の開閉部材36aが具備される。開閉部材36aは、通常時には遊技球の直径程度の間隔をおいて閉じた状態(遊技者にとって不利な状態)を保持しているが、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合(普図変動表示ゲームが当りとなった場合)には、駆動装置としてのソレノイド(普電SOL36b、図3参照)によって、逆「ハ」の字状に開いて始動口36に遊技球が流入し易い状態(遊技者にとって有利な状態)に変化させられるようになっている。
始動口36の内部には始動口SW36d(図3参照)が備えられ、始動口SW36dによって遊技球の入賞を検出し、補助遊技としての特図変動表示ゲームを開始する始動権利が発生するように構成されている。特図変動表示ゲームを開始する始動権利は、所定の上限数(例えば4)の範囲内で始動記憶(特図始動記憶)として記憶される。特図変動表示ゲームの始動記憶数(特図始動記憶数、保留記憶数)は、普図・特図表示器35に表示される。
そして、特図変動表示ゲームが直ちに開始可能な状態(特図始動記憶数が0の状態)で、始動口36に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って抽出された乱数が始動記憶として記憶されて、特図始動記憶数に1が加算されるととともに、直ちに始動記憶に基づいて、特図変動表示ゲームが開始され、この際に特図始動記憶数が1減算される。
一方、特図変動表示ゲームが直ちに開始できない状態、例えば、既に特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、始動口36に遊技球が入賞すると、特図始動記憶数が上限数未満(例えば、4個未満)ならば、特図始動記憶数に1が加算され、始動口36に遊技球が入賞したタイミングで抽出された乱数が一つ記憶される。
そして、特図変動表示ゲームが開始可能な状態となると、始動記憶に基づき特図変動表示ゲームが開始される。
補助遊技としての特図変動表示ゲームは、遊技盤10に設けられた普図・特図表示器35で実行されるようになっており、複数の識別情報を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。
また、表示装置53にて特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる。具体的に説明すると、特図変動表示ゲームが開始されると、表示装置53は、前述した複数種類の識別情報の変動表示を、左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)の順に開始する。つまり、表示装置53では、普図・特図表示器35の表示に対応する特別図柄の変動表示が行われる。普図・特図表示器35は、変動表示状態と変動表示結果とを遊技者に正確に知らせ、表示装置53は、興趣向上のために多様な表示を演出する。
さらに、始動口36への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の当たり乱数値が当たり値であるとき)には特図変動表示ゲームの結果として表示図柄により特定の結果態様(特別結果態様)が導出されて、大当り状態(特別遊技状態)となる。また、これに対応して表示装置53の表示態様も特別結果態様(例えば、「7,7,7」等のゾロ目数字の何れか)となる。なお、普図・特図表示器35によらずに表示装置53のみで特図変動表示ゲームを実行するようにしてもよい。
このとき、特別変動入賞装置42は、大入賞口開閉ソレノイド(大入賞口SOL)42b(図3参照)への通電によって、大入賞口が所定の時間(例えば、30秒)だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。すなわち、特別変動入賞装置42に備えられた大入賞口が所定の時間又は所定数の遊技球が入賞するまで大きく開くので、この間遊技者は多くの遊技球を獲得することができるという特典が付与される。また、特別変動入賞装置42への遊技球の入賞は、カウントSW42d(図3参照)によって検出される。
図3は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1の遊技制御装置500を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
遊技制御装置500は、遊技を統括的に制御する主制御装置である。演出制御装置550は、遊技制御装置500からの指示に基づいて、演出を制御する従属制御装置である。電源装置300は、遊技制御装置500及び演出制御装置550に必要な電力を供給する。
遊技制御装置500は、遊技用マイコン501、入力I/F(Interface)505、出力I/F506、及び外部通信端子507を備える。遊技用マイコン501、入力I/F505及び出力I/F506は、内部バスによって相互に接続される。
遊技用マイコン501は、遊技制御装置500全体の制御を行う。遊技用マイコン501には、CPU502、ROM(Read Only Memory)503、及びRAM(Random Access Memory)504が含まれる。遊技用マイコン501の詳細な構成については、図4にて後述する。
CPU502は、入力I/F505を介して各種入力装置(始動口SW36d、普図始動ゲートSW34a、カウントSW42d、一般入賞口SW44a〜44n、ガラス枠開放SW18d、前面枠開放SW3d、及び磁気/振動SW39)からの検出信号を受けて、大当り抽選等、種々の処理を行う。
また、CPU502は、出力I/F506を介して、特図表示器35a、普図表示器35b、普電SOL36b、大入賞口SOL42b、及び排出制御装置580に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
ROM503は、遊技制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。RAM504は、遊技制御に必要な情報を一時的に記憶するワークエリアとして利用される。
外部通信端子507は、遊技用マイコン(遊技用演算処理装置)501に接続され、遊技制御装置500の設定情報等を検査する検査装置等の外部機器に接続するためのインターフェースである。
始動口SW36dは、始動口36に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。普図始動ゲートSW34aは、普図始動ゲート34を遊技球が通過したことを検出するスイッチである。カウントSW42dは、特別変動入賞装置42に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。遊技球の入賞が検出されると、入賞した遊技球の数がカウントされ、例えば、RAM504に記憶される。一般入賞口SW44a〜44nは、一般入賞口44に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。
ガラス枠開放SW18dは、例えば、ガラス枠18の裏面に設けられ、ガラス枠18が開放されたことを検出する。ガラス枠開放SW18dは、ガラス枠18が前面枠3から開放されるとオンに設定され、ガラス枠18が前面枠3に閉止されるとオフに設定される。
同様に、前面枠開放SW3dは、前面枠3が開放されたことを検出する。前面枠開放SW3dは、前面枠3が外枠2から開放されるとオンに設定され、前面枠3が外枠2に閉止されるとオフに設定される。
磁気/振動SW39は、発射された遊技球の軌道を磁石によって操作する不正行為を検出したり、遊技機1を振動させる不正行為を検出したりするためのスイッチである。
普電開閉ソレノイド(SOL)36bは、始動口36の開閉部材36aを所定時間拡開するように動作させる。
大入賞口SOL42bは、特別変動入賞装置42の大入賞口が所定の時間だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)にする。
普図・特図表示器35(図2参照)は、特図表示器35a及び普図表示器35bを有する。特図表示器35aは、特図変動表示ゲームの識別情報(特別図柄)の変動表示、及び特図始動記憶数(保留記憶数)の表示を行う。普図表示器35bは、普図変動表示ゲームの識別情報(普通図柄)の変動表示、及び普図始動記憶数の表示を行う。
遊技状態LED29は、異常等が検出された場合に信号を受信し、異常などの遊技状態を報知する。
排出制御装置580は、遊技制御装置500からの賞球指令信号に基づいて、図示しない払出ユニットの動作を制御し賞球を排出させる。また、図示しないカードユニットからの貸球要求信号に基づいて、払出ユニットの動作を制御し貸球を排出させる。
また、遊技制御装置500は、遊技機データ(例えば、変動表示ゲームの開始を示すスタート信号、及び特別遊技状態(大当り)の発生を示す特賞信号等)を、外部情報端子508を介して、図示しない情報収集端末装置に出力する。
さらに、遊技制御装置500は、変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、演出制御指令信号として、出力I/F506を介して、演出制御装置550に送信する。
演出制御装置550は、遊技制御装置500から送信された演出制御指令信号に基づいて、遊技を演出する各装置(被制御装置)を制御する。各装置(被制御装置)による遊技を演出には、表示装置53の表示、装飾/演出装置9aによる装飾光の発光、及びスピーカ30による効果音の出力などが含まれる。また、異常を検知した場合、例えば、前面枠3やガラス枠18が開放された場合などにも、演出制御装置550によってスピーカ30から報知音(枠開放音)が出力される。
演出制御装置550は、CPU551、PROM552、RAM553、入出力I/F(I/O)554、リアルタイムクロック(RTC)555、バックアップ電源556、音LSI557、VDP558、画像ROM559及びVRAM560を備える。
CPU551は、遊技制御装置500からの指令に基づいて、各種演出を制御する。PROM552は、遊技制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。RAM553は、遊技における演出制御に必要な情報を一時的に記憶するワークエリアとして利用される。
I/O554は、遊技制御装置500などに接続するためのインターフェースである。また、I/O554は、遊技者による演出ボタンSW60aからの入力を受け付ける。さらに、装飾/演出装置9aに信号を出力する。
RTC555は、時間情報(日付情報、時刻情報)を計時可能な計時手段であり、CPU551からの要求に応じて時間値を提供する。また、RTC555は、遊技機1の電源(電源装置300)と独立したバックアップ電源556によって電力が供給されており、遊技機1の電源遮断時にも継続して動作可能である。バックアップ電源556は、例えば、電池やコンデンサなどである。
音LSI557は、CPU551からの要求に応じて、効果音及び報知音などをスピーカ30から出力する。
VDP558は、CPU551からの要求に応じて、表示装置53に識別情報やキャラクタなどの画像を出力する。VDP558には、画像データなどが記憶された画像ROM559(演出データ記憶手段)が接続される。画像ROM559には、機種毎に共通の画像情報と、当該機種のシリーズに対応する画像情報が記憶される。画像ROM559の詳細については、図13にて後述する。また、VDP558には、画像処理に必要な情報を一時的に記憶するVRAM560が接続される。
電源装置300は、電源回路などの通常電源310及びバックアップ電源320を備える。電源装置300には、さらに、図示しない停電監視回路が備えられている。停電監視回路は、電源装置300の電圧降下を検出すると、遊技制御装置500等に対して停電検出信号とリセット信号とを順に出力する。
遊技制御装置500は、停電検出信号を受け付けると所定の停電処理を行い、リセット信号を受け付けるとCPU502の動作を停止させる。
バックアップ電源320は、停電時など、通常電源310から電力が供給されない場合に、遊技データ(遊技情報、遊技制御情報(変動表示ゲームに関する情報等を含む))などをRAM504に保持させるために必要な電力を供給する。遊技制御装置500は、停電復旧後、RAM504に保持された遊技データに基づいて、停電前の遊技状態に復旧させる。
図4は、本発明の第1の実施の形態の遊技用マイコン(遊技用演算処理装置)501のブロック図である。
遊技用マイコン501は、いわゆるアミューズチップ用のICとして製造され、遊技制御を行う遊技領域部400Aと情報管理を行う情報領域部400Bに区分される。
遊技領域部400Aは、CPUコア(演算処理手段、図3のCPU502に対応)401、ユーザプログラムROM402及びHWパラメータROM403(総称して、ROM(不揮発性記憶手段)、図3のROM503に対応)、ユーザワークRAM404及びミラードRAM405(総称して、RAM(揮発性記憶手段)、図3のRAM504に対応)、外部バスインターフェース(I/F)406、バス切り換え回路407、乱数生成回路408、クロックジェネレータ409、リセット/割込制御回路410、アドレスデコーダ411、出力制御回路412、ブートブロック413、復号化・ROM書込回路414、及びバス415を含む。
CPUコア401は、遊技制御のための演算処理を行う。ユーザプログラムROM402は、制御プログラムを格納する。制御プログラムは、遊技の制御を行うための遊技制御プログラムである。
HWパラメータROM403は、正当性確認情報などを格納する。正当性確認情報とは、遊技用マイコン501の正当性の簡易チェックを行うための情報である。正当性確認情報は、第3者機関又は遊技機1の製造メーカがユーザプログラムROM402にプログラムを書き込む際に、HWパラメータROM403に書き込まれる。また、HWパラメータROM403の記憶内容は、外部通信端子507を介して接続された検査装置によって変更可能であるが、遊技場の作業者などが容易に変更できないように構成されている。すなわち、HWパラメータROM403には第3者機関等によって予め設定された情報が記憶されており、これらの情報を容易に変更することができないようになっている。
正当性確認情報には、例えば、遊技機1の一意な識別子を示すNAC固有ID、メーカコード(遊技機1の製造メーカ毎に割り振られた固有の製造メーカの一意な識別子)、遊技機1のランク(1種、2種等)を示すランクコード、製造メーカが遊技機1の種類に設定する機種コード、検査番号を示す検査コード、電源投入時にRAMをバックアップするか否かを示すRAMバックアップコード、税率設定スイッチによって設定された税率、貸出料金設定スイッチによって設定された貸出料金等などが含まれる。
また、本発明の第1の実施の形態の機種コードには、製造メーカによって設定される遊技機1の種類だけではなく、営業時間などの報知期間判定情報も対応付けられている。機種コードに対応付けられる情報については、図6にて後述する。
遊技用マイコン501の簡易チェックを行う場合、遊技用マイコン501の電源立ち上がり時に、遊技用マイコン501自身が演算した演算値と、正当性確認情報(すなわち、第3者機関等によって予め設定された結果値)とを比較判定することで、簡易的な遊技用マイコン501のチェックを可能にする構成になっている。
ユーザワークRAM404は、遊技領域部400Aにおけるプログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられるものである。ミラードRAM405は、クロックの立ち下がり時にユーザワークエリアに記憶された情報を複製した情報を記憶する(CPUコアがZ80の場合には、クロックの立ち上がり時に処理を実行するため、同期して動くことがないようにしている)。
外部バスインターフェース406は、メモリリクエスト信号MREQ、入出力リクエスト信号IORQ、メモリ書込み信号WR、メモリ読み出し信号RD及びモード信号MODEなどをやり取りするインターフェースである。また、バス切り換え回路407は、16ビットのアドレス信号A0〜A15や8ビットのデータ信号D0〜D7のインターフェースをとるものである。
例えば、MODE信号を[H]レベルにした状態で、アドレス信号A0〜A15を順次にインクリメントしながら、データ信号D0〜D7を加えると、ユーザプログラムROM402への書き込みモードとなって遊技機1の製造メーカ又は第3者機関によるプログラムの書き込みが可能になる。なお、書き込みモードはプログラムの書き込みを可能にするものであり、ブートブロック413に記憶されるブートプログラムを書き込みできるようにするものではない。また、ユーザプログラムROM402へのプログラムの書き込みが終了すると、HWパラメータROM403の所定領域に書込終了コードが記録(例えば、所定のコード若しくは所定ビットを物理的に切断することで記録)されるようになっており、HWパラメータROM403に書込終了コードが記録されている場合には、ユーザプログラムROM402への新たなプログラムの書き込みができないようになっている。
乱数生成回路408は遊技の実行過程において遊技価値(例えば、大当り)を付加するか否か等に係わる乱数(乱数は、大当たりの決定や停止時の図柄の決定等に使用)を生成するもので、一様性乱数を生成する数学的手法(例えば、合同法あるいはM系列法等)を利用している。
クロックジェネレータ409は所定のクロック信号を生成する。リセット/割込制御回路410は図示しない割込み信号発生回路からのリセット割込み信号RSTを検出してCPUコア401に知らせる。
アドレスデコーダ411は内蔵デバイス及び内蔵コントロール/ステータスレジスタ群のロケーションをメモリマップドI/O方式及びI/OマップドI/O方式によりデコードする。
出力制御回路412はアドレスデコーダ411からの信号制御を行って外部端子より8ビットのチップセレクト信号(CS0〜CS7)を外部に出力する。ブートブロック413は、ブートプログラムを記憶し、電源投入時にユーザワークRAM404に記憶された情報を初期化する。
復号化・ROM書込回路414は、ユーザプログラムROM402及びHWパラメータROM403への書込みモードの際に使用されるもので、モード信号MODEが[H]レベルになっている間、バス切り換え回路407を介してアドレス信号A0〜A15やデータ信号D0〜D7を取り込み、そのデータ信号D0〜D7に含まれる情報(暗号化されたプログラム及び暗号化された変更後の固有ID)を復号化処理した後、バス415を介してユーザプログラムROM402及びHWパラメータROM403に出力する(書き込む)というものである。なお、HWパラメータROM403に記憶された機種コードを変更する手順については、図7にて後述する。
バス415は、データバス、アドレスバス及び制御バスを含むものであり、情報領域部400Bに接続される。
次に、遊技用マイコン501における情報管理を行う情報領域部400Bは、HPGプログラムROM416、IDプロパティメモリ417、バスモニタ回路418、HPGワークRAM419、制御回路420、外部通信制御回路421、バス422、及び遊技領域部400Aから接続されるバス415の一部を含んで構成される。
HPGプログラムROM416は、各種検査処理を実行するためのHPGプログラムが格納される。
IDプロパティメモリ417には、外部通信端子507及び外部通信制御回路421を介して検査装置から受信した要求に基づいて、HWパラメータROM403に記憶されている情報を検査装置にすぐに出力できるように、遊技用マイコン501の電源投入時(システムリセット時)にHWパラメータROM403に記憶されている情報を複製して記憶する。なお、IDプロパティメモリ417は、遊技領域部400A側及び情報領域部400B側の双方よりアクセスが可能な構成になっている。
バスモニタ回路418は、情報領域部400B側より遊技領域部400A側のバス415の状態監視及び制御を行う。ここでの制御とは、HWパラメータROM403の内容をIDプロパティメモリ417に複写する際のタイミング制御や、ユーザプログラムROM402に格納されたプログラムを外部に出力する際(遊技領域部400A側のバス415を開放してユーザプログラムROM402からプログラムを読み込んで情報領域部400B側より外部に出力する際)のタイミング制御である。なお、プログラムは、外部通信制御回路421で暗号化されてから出力される。
HPGワークRAM419は、情報領域部400Bにおける処理を実行するために必要な情報を一時的に格納するワークエリア(作業領域)として用いられる。
制御回路420は、情報領域部400B側の処理を制御するものであり、バッファメモリを有している。制御回路420は、例えば、バスモニタ回路418を介してCPUコア401の動作を監視し、非動作中に遊技領域部400AのユーザワークRAM404に記憶された内容をミラードRAM405にコピーする。また、検査装置からの要求に応答して情報領域部400BのIDプロパティメモリ417の内容を外部に転送したり、プログラム要求に応答してバスモニタ回路418を介してユーザプログラムROM402内のプログラムを外部に転送したりする。制御回路420のメモリは、転送時のタイミング調節のために用いられる。
外部通信制御回路421は、外部通信端子507を介して検査装置と通信し、例えば、外部からの指令に基づいて遊技用マイコン501内に格納されている情報(例えば、固有ID、プログラム、実払出数等)を暗号化した後、外部に転送するなどの処理を行う。
遊技用マイコン501では、遊技領域部400Aと情報領域部400Bとがバスモニタ回路418を介して独立して動作する。すなわち、情報領域部400B側は遊技領域部400AにおけるCPUコア401の動作に関係なく(プログラム実行に関係なく)動作可能である。
図5は、本発明の第1の実施の形態の遊技制御装置500におけるメイン処理の手順を示すフローチャートである。
メイン処理は、遊技機に電源が投入された場合又は停電から復旧した場合に遊技制御装置500のCPU502によって実行される。メイン処理は、電源投入時に1回だけ実行される初期化のための処理、メインループ処理(遊技機が通常稼動している状態における処理)、及び停電発生時の処理を含んでいる。
遊技制御装置500は、メイン処理が開始されると、最初に、初期化処理を実行する(S501)。具体的には、初期化処理において、遊技制御装置500は、まず、外部からの割込みを禁止し、割込みベクタ及びスタックポインタをセットする。さらに、割込みモードの設定及びRAM504へのアクセス許可を行い、その後、全出力ポートをOFFに設定する。
遊技制御装置500は、ステップS501の初期化処理が完了すると、ROM503(HWパラメータROM403)に記憶された機種コードを取得する(S502)。機種コードは、前述のように、遊技用マイコン501へのプログラムの書き込み時や遊技機導入時などに検査装置によって設定される。さらに、遊技制御装置500は、取得された機種コードを含む機種指定コマンドを送信バッファにセットする(S503)。
ステップS503の処理は、遊技機1の電源投入後、遊技制御装置500によって、最初に1回だけ実行される処理である。遊技機1の電源が投入されると、遊技制御装置500よりも演出制御装置550及び排出制御装置580が早く起動する。したがって、電源投入直後にステップS503の処理が実行された後、送信バッファから機種指定コマンドが演出制御装置550に直ちに送信された場合であっても、演出制御装置550の起動は完了しているため、機種指定コマンドが取りこぼされる可能性がほとんどなくなる。
遊技制御装置500は、続いて、電源投入/停電復旧処理を実行する(S504)。電源投入/停電復旧処理では、まず、前回の電源遮断の原因が通常の電源遮断であるか停電による電源遮断であるかを判定し、判定結果に応じて電源投入処理又は停電復旧処理を実行する。
電源投入処理では、RAM504の記憶内容をクリアし、あらかじめ定義されている初期値を設定する。一方、停電復旧処理では、停電前の状態で遊技を再開するための処理が実行される。停電が発生すると、電源装置300のバックアップ電源320によって、遊技制御装置500のRAM504の記憶内容がバックアップされ、さらに、当該記憶内容に基づいて算出されたチェックサムが記憶される。停電復旧処理では、記憶されたチェックサムに基づいて、RAM504の記憶内容が正しいか否かを判定し、記憶内容が正しければ、バックアップされた記憶内容に基づいて、停電発生前の状態に復旧させる。
遊技制御装置500は、電源投入/停電復旧処理が終了すると、電源投入前の特図変動表示ゲームの抽選確率が高確率状態であったか否かを判定する(S505)。なお、前回の電源の遮断が正常に行われた場合、すなわち、電源投入処理が実行された場合には、低確率状態と判定される。つまり、ステップS505の処理は、前回の電源の遮断が停電による場合に、停電前の遊技状態を選択する処理である。選択される遊技状態には、通常遊技状態と、時短遊技状態又は確変遊技状態などの特別遊技状態とが含まれる。高確率状態には、時短遊技状態又は確変遊技状態などが該当する。
遊技制御装置500は、停電前の特図変動表示ゲームの抽選確率が高確率状態であった場合、すなわち、時短遊技状態又は確変遊技状態であった場合には(S505の結果が「YES」)、高確率状態に対応する表示データ(識別情報)をセットする(S506)。
ステップS506までの処理が完了すると、遊技制御装置500は、図8にて後述するタイマ割込処理を実行するための割込みを所定のタイミング(例えば、1ミリ秒)で発生させる割込みタイマを起動させる(S507)。
続いて、遊技制御装置500は、各種乱数の初期値となる初期値乱数を更新する。これらの乱数には、特図変動表示ゲームの大当りを決定するための乱数(大当り乱数)、特図変動表示ゲームの大当り図柄を決定するための乱数(大当り図柄乱数)、普図変動表示ゲームの当たりを決定するための乱数(当り乱数)及び普図変動表示ゲームの当たり図柄を決定するための乱数に対応する初期値乱数が含まれる。
各種初期値乱数を更新する処理では、まず、割込みを禁止し(S508)、初期値乱数更新処理を実行して、各種初期値乱数を更新する(S509)。初期値乱数の更新後、割込みを許可する(S510)。このように初期値乱数を設定する際に割込みを禁止して、遊技制御装置500は、各種初期値乱数が更新されてからタイマ割込み処理が実行されるように制御する。
さらに、遊技制御装置500は、停電が発生したか否かを判定する(S511)。具体的には、RAM504の停電検査領域をチェックする。停電検査領域には、停電によって遊技機1の電源が遮断されると、チェックデータ(停電フラグ)が記録され、停電フラグの有無を判定することによって、停電が発生したか否かを判定することができる。
遊技制御装置500は、停電の発生を検出しなかった場合には(S511の結果が「NO」)、ステップS508の処理に戻り、以降の処理を順次実行する。
遊技制御装置500は、停電の発生を検出した場合には(S511の結果が「YES」)、停電処理を実行する。なお、停電発生時には、バックアップ電源320によって、以下に示す停電処理を実行するために必要な電力が供給されている。
停電処理では、遊技制御装置500は、まず、割込みを禁止し、すべての出力ポートをOFFに設定する。続いて、停電検査領域をクリアし、停電検査領域に停電検査領域チェックデータ(停電フラグ)を保存する。さらに、電源遮断時のRAM504の記憶内容に基づいてチェックサムを算出して記録する。最後に、RAM504へのアクセスを禁止し、遊技機1の電源が遮断されるまで待機する。
図6は、本発明の第1の実施の形態の機種コード一覧表600の一例を示す図である。
第1の実施の形態では、機種コード一覧表600は、少なくとも演出制御装置550に記憶されている。遊技制御装置500から送信された機種指定コマンド(又は機種コード)に基づいて、遊技機1の機種及びシリーズを特定し、対応する演出を実行する。
機種コード一覧表600には、機種コード601、機種指定コマンド602及びシリーズ603が含まれる。
機種コード601は、遊技機1の機種を一意に識別する識別子である。機種コード601は、遊技用マイコン501へのプログラムの書き込み時に設定されるか、遊技機1の導入時などに、遊技用マイコン501の外部通信端子507に接続された検査装置によって設定される。
機種指定コマンド602は、機種コードに対応するコマンドである。演出制御装置550は、遊技制御装置500から機種指定コマンド602を受信すると、対応する機種コード601を記憶する。例えば、遊技制御装置500は、上位2バイトには機種指定コマンドであることを示す情報を設定し、下位2バイトには機種指定コマンド602の値を設定した4バイトのコマンドを演出制御装置550に送信する。
シリーズ603は、同一の機種の中でも遊技性能が相違する細分化された種類(シリーズ)を識別する情報である。例えば、大当たり確率や演出内容などが相違する。本発明の第1の実施の形態では、Zタイプ、Fタイプ及びMタイプの3種類のシリーズが含まれている。
本発明の第1の実施の形態では、さらに、各シリーズが報知時間(音報知実行期間)毎に分類されている。報知時間には、例えば、営業時間が対応付けられる。また、報知時間は営業時間以外でもよく、例えば、営業開始時刻から営業終了時刻の30分前までの時間を設定してもよい。図6に示す機種コード一覧表では、報知時間として開店時間及び閉店時間を示す情報(すなわち、営業時間)が機種コードに対応付けられている。なお、音による報知を実行する時間については、閉店時間のみを設定して遊技機1の電源を投入してから閉店するまでの時間とするなどしてもよい。以上のように、機種コードは、演出内容及び報知時間を特定するための特定情報となっている。
図7は、本発明の第1の実施の形態の遊技制御装置500における機種コード変更処理の手順を示すフローチャートである。
本処理は、遊技機1が導入された場合若しくは他の遊技場に遊技機1が移転された場合(中古機移動)などに、遊技用マイコン501の外部通信端子507に接続された検査装置によって、機種コードを変更又は設定するための処理である。機種コードは、前述のように、遊技用マイコン501のHWパラメータROM403及びIDプロパティメモリ417に記憶されている。
遊技制御装置500は、まず、機種コード変更要求を受け付けたか否かを判定する(S701)。機種コード変更要求を受け付けていない場合には(S701の結果が「N」)、本処理を終了する。
遊技制御装置500は、機種コード変更要求を受け付けた場合には(S701の結果が「Y」)、受け付けられた機種コード変更要求が正当な要求か否かを判定する(S702)。機種コードには、前述のように、大当たり確率や営業時間が対応付けられている。したがって、大当たり確率が大きくなるように不正に設定が変更されたり、遊技機1の内部を不正に操作するために警報音(報知音、枠開放音)が出力されないように設定が変更されたりしないように、受け付けられた機種コード変更要求が正当であるか否かを、HWパラメータROM403に格納された正当性確認情報などに基づいて判定する。
遊技制御装置500は、受け付けられた機種コード変更要求が正当な要求でない場合には(S702の結果が「N」)、本処理を終了する。このとき、不正行為が行われたものとして警報音(報知音)を出力するようにしてもよい。
遊技制御装置500は、受け付けられた機種コード変更要求が正当な要求であった場合には(S702の結果が「Y」)、遊技用マイコン501のIDプロパティメモリ417及びHWパラメータROM403に指定された機種コードを設定する(S703)。さらに、書き換え完了情報を出力し(S704)、本処理を終了する。
図8は、本発明の第1の実施の形態の遊技制御装置500におけるタイマ割込処理の手順を示すフローチャートである。
遊技制御装置500では、メイン処理のステップS507の処理で起動される割込みタイマによって、所定時間周期(例えば、1ミリ秒周期)でタイマ割込みが発生する。遊技制御装置500は、タイマ割込みが発生すると、以下に示すタイマ割込み処理を実行する。ただし、タイマ割込み処理(S801〜S815)は、タイマ割込み発生毎に必ずしもすべての実行が完了しなくてもよい。
遊技制御装置500は、まず、CPU502のレジスタを退避させ(S801)、入出力処理を実行する(S802)。入出力処理には、出力I/F506を介して、演出制御装置550及び排出制御装置580に遊技制御に関する情報を出力し、遊技機における遊技データを収集する情報収集端末装置(図示せず)に遊技データを出力する出力処理と、入力I/F505を介して入力される各種センサやスイッチ等からの信号にチャタリング除去等の処理を行い、入力情報を確定させる入力処理が含まれる。
遊技制御装置500は、次に、各種コマンドを演出制御装置550及び排出制御装置580に送信するコマンド送信処理を行う(S803)。具体的には、特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド、及び停電から復旧した場合に演出制御装置550に停電復旧処理を実行させる停電復旧コマンドを演出制御装置550に送信したり、払出装置から払い出す賞球数を指定する賞球コマンドを排出制御装置580に送信したりする。また、演出制御装置550に送信されるコマンドには、前述した機種指定コマンドも含まれる。
次に、遊技制御装置500は、大当り乱数及び当り乱数にランダム性を付与するために大当り乱数カウンタ及び当り乱数カウンタの値を1ずつ加算する乱数更新処理1を実行する(S804)。なお、乱数更新処理1では、停止図柄を決定する大当り図柄乱数カウンタの値にも1ずつ加算する。
次に、遊技制御装置500は、大当り乱数及び当り乱数等の初期値乱数を更新する処理である初期値乱数更新処理を実行する(S805)。
そして、遊技制御装置500は、特図変動表示ゲームを進行させる際の演出又は装飾(変動パターンや停止図柄等)にランダム性を付与するための演出決定用乱数カウンタの値を1ずつ加算する乱数更新処理2を実行する(S806)。
次に、遊技制御装置500は、始動口SW36dによる検出信号の入力を監視する入賞口スイッチ監視処理を実行する(S807)。
さらに、遊技制御装置500は、遊技機1における異常の発生を監視するエラー監視処理を実行する(S808)。この場合の異常とは、不正行為や遊技機1の故障などである。不正行為には、例えば、始動口36等に遊技球を入賞させるために、遊技者が遊技機に磁石を近づけて遊技球の進路を変える磁石不正がある。磁石不正は、図3に示した磁気/振動SW39によって検出される。エラーを検出した場合には、スピーカ30から報知音を出力したり、遊技状態LED29を点灯させるなどして報知させる。
さらに、ステップS808のエラー監視処理で検出される不正行為には、遊技者によってガラス枠18や前面枠3が開放される開放不正が含まれる。開放不正は、前述のように、ガラス枠開放SW18dや前面枠開放SW3dなどによって検出される。従来では、営業時間外に作業者がメンテナンスのために開閉枠を開放した場合であっても報知されていたが、本発明では、遊技者による開放不正が行われる可能性の低い営業時間外など、指定された時間以外には、開閉枠の開放を報知しないように構成される。こうすることによって、作業者によるメンテナンスの作業効率を向上させることができる。
そして、遊技制御装置500は、特図変動表示ゲームの進行を制御する特図ゲーム処理(S809)、さらに、普図変動表示ゲームの進行を制御する普図ゲーム処理(S810)を実行する。その後、特図表示器35a及び普図表示器35bのセグメントLEDに、特図変動表示ゲーム及び普図変動表示ゲームの結果を出力するためのパラメータを編集するセグメント編集処理を実行する(S811)。
次に、遊技制御装置500は、外部情報端子508から出力する各種信号を編集する外部情報編集処理を実行する(S812)。
そして、遊技制御装置500は、タイマ割込み処理の終了を宣言する(S813)。その後、一時退避されていたレジスタの復帰処理(S814)及び禁止設定されていた外部機器による割込み及びタイマ割込みを許可する(S815)。そして、タイマ割込み処理を終了し、メイン処理に戻る。
図9は、本発明の第1の実施の形態の遊技機1の開閉枠の開放を監視する枠開放監視処理の手順を示すフローチャートである。
本処理は、ガラス枠18や前面枠3の開放を監視するための処理である。ガラス枠18の開放は、ガラス枠開放SW18dによって検出され、遊技制御装置500に通知される。同様に、前面枠3の開放は、前面枠開放SW3dによって検出され、遊技制御装置500に通知される。
遊技制御装置500は、まず、ガラス枠18が開放されているか否かを判定する(S901)。ガラス枠18が開放されている場合には(S901の結果が「Y」)、ガラス枠開放コマンドをセットし(S902)、さらに、報知中フラグ1をセットする(S903)。報知中フラグ1は、ガラス枠18が開放されていることが報知されていることを示すフラグである。
遊技制御装置500は、次に、ガラス枠18が閉止されているか否かを判定する(S904)。ガラス枠が閉止されている場合には(S904の結果が「Y」)、さらに、報知中フラグ1がセットされているか否かを判定する(S905)。報知中フラグ1がセットされている場合には(S905の結果が「Y」)、開放されていたガラス枠18が閉止されたことを検出したことになり、枠開放音の出力を停止させるためのガラス枠閉止コマンドをセットし(S906)、さらに、報知中フラグ1をリセットする(S907)。
続いて、遊技制御装置500は、前面枠3が開放されているか否かを判定する(S908)。前面枠3が開放されている場合には(S908の結果が「Y」)、前面枠開放コマンドをセットし(S909)、さらに、報知中フラグ2をセットする(S910)。報知中フラグ2は、前面枠3が開放されていることが報知されていることを示すフラグである。
遊技制御装置500は、次に、前面枠3が閉止されているか否かを判定する(S911)。前面枠3が閉止されている場合には(S911の結果が「Y」)、報知中フラグ2が設定されているか否かを判定する(S912)。報知中フラグ2が設定されている場合には(S912の結果が「Y」)、前面枠閉止コマンドをセットし(S913)、さらに、報知中フラグ2をリセットする(S914)。
なお、ガラス枠開放コマンド、ガラス枠閉止コマンド、前面枠開放コマンド及び前面枠閉止コマンドは、図8に示したタイマ割込み処理のコマンド送信処理(S803)によって演出制御装置550に送信される。
図10は、本発明の第1の実施の形態の演出制御装置550におけるメイン処理の手順を示すフローチャートである。
本処理は、遊技機1に電源が投入された場合に、演出制御装置550のCPU551によって実行される。
まず、演出制御装置550は、RAM553に初期値を設定する初期化処理を実行する(S1001)。次に所定のタイミング(例えば、1ミリ秒)で割込みを発生させるための割込みタイマを起動させる(S1002)。割込みが発生するタイミングで図11にて後述する割込み処理が実行される。
演出制御装置550は、遊技制御装置500から受信したメインコマンドを解析するメインコマンド解析処理を実行する(S1003)。続いて、機種指定コマンドを受信した場合に機種コードを設定する機種情報設定処理を実行する(S1004)。なお、機種情報設定処理の詳細については、図12にて後述する。
演出制御装置550は、特図変動表示ゲームの実行状況を管理するゲーム管理処理を実行する(S1005)。さらに、表示装置53の表示画面を制御する表示制御処理を実行する(S1006)。続いて、スピーカ30から出力される音を制御する音制御処理を実行し(S1007)、さらに、装飾部材9の発光態様などを制御する装飾制御処理を実行する(S1008)。
演出制御装置550は、遊技機1における異常の発生を監視するエラー監視処理を実行する(S1009)。演出制御装置550に関わる異常の他に、遊技制御装置500からエラーに対応するコマンドを受信した場合に、警報音の報知など所定の処理を実行する。
最後に、演出制御装置550は、変動パターン及び停止図柄を決定するための乱数を更新するための乱数更新処理を実行し(S1010)、ステップS1003の処理に戻る。以降、ステップS1003からステップS1010までの処理を繰り返す。
図11は、本発明の第1の実施の形態の演出制御装置550における割込み処理の手順を示すフローチャートである。
演出制御装置550は、まず、各種タイマの値を更新するタイマ更新処理を実行する(S1101)。
続いて、演出制御装置550は、外部からの信号入力を監視し、入力を受け付けるための入力処理を実行する(S1102)。例えば、演出ボタン60が操作されたことによって入力された信号を検出し、当該信号の入力を受け付ける。
さらに、演出制御装置550は、表示制御処理(図10のS1006)によって指示された画像を表示装置53から出力したり、音制御処理(図10のS1007)によって指示された効果音や報知音などをスピーカ30に出力したりする出力処理を実行する(S1103)。
最後に、演出制御装置550は、遊技制御装置500から送信されたメインコマンドの入力を監視し、当該メインコマンドを受信するメインコマンド受信処理を実行し(S1104)、割込み処理を終了する。
図12は、本発明の第1の実施の形態の演出制御装置550における機種情報設定処理の手順を示すフローチャートである。
本処理は、遊技制御装置500から機種指定コマンドを受信した場合に、受信した機種指定コマンドに基づいて、演出に用いられる画像情報などを設定する。受信した機種指定コマンドに対応する情報を含む機種コード一覧表600(図6)は、演出制御装置のRAM553又はPROM552にあらかじめ記憶されている。
演出制御装置550は、まず、遊技制御装置500から機種指定コマンドを受信したか否かを判定する(S1201)。機種指定コマンドを受信していない場合には(S1201の結果が「N」)、本処理を終了する。
演出制御装置550は、機種指定コマンドを受信した場合には(S1201の結果が「Y」)、受信した機種指定コマンドに対応するシリーズを特定する。そして、特定されたシリーズに対応する画像が格納されたデータ領域のアドレスをセットする(S1202)。さらに、受信した機種指定コマンドに対応する報知時間を報知期間判定情報としてRAM553に記憶する(S1203)。
図13は、本発明の第1の実施の形態の演出制御装置550の画像ROM559の記憶内容を示す図である。
前述のように、本発明の第1の実施の形態の遊技機1では、同一機種の中に複数のシリーズが含まれている。具体的には、図6に示したように、Zタイプ、Fタイプ及びMタイプの3種類の演出が実行可能となっている。画像ROM559には、共通のデータと各タイプ(Zタイプ、Fタイプ、Mタイプ)特有のデータが格納されている。
図12に示した機種情報設定処理のステップS1202では、機種指定コマンドに基づいてシリーズ(タイプ)を特定し、特定されたタイプに対応する画像データが格納された領域のアドレスを設定する。
図14は、本発明の第1の実施の形態の演出制御装置550における枠開放音設定処理の手順を示すフローチャートである。
本処理は、図10のステップS1009のエラー監視処理に含まれるサブルーチンである。従来では、ガラス枠18や前面枠3が開放されたことが遊技制御装置500から通知されると、不正行為が行われていない場合であっても枠開放音が出力されていた。本発明の第1の実施の形態では、例えば、営業時間外のメンテナンス時などには、作業の妨げにならないように、枠開放音が出力されないように制御する。
演出制御装置550は、まず、RTC555の値(時間値)を取得する(S1401)。続いて、機種情報設定処理(図12)のステップS1203の処理でRAM553に記憶された報知期間判定情報を取得する(S1402)。
続いて、演出制御装置550は、ステップS1401の処理で取得された時間値が、ステップS1402の処理で取得された報知期間内であるか否かを判定する(S1403)。時間値が報知期間内でない場合には(S1403の結果が「N」)、枠開放音の出力を解除し(S1416)、本処理を終了する。こうすることによって、枠開放音の出力を停止するコマンドを受信しなくても、報知期間外になれば枠開放音の出力を自動的に解除することが可能となる。
演出制御装置550は、時間値が報知期間内である場合には(S1403の結果が「Y」)、前面枠開放コマンドを受信したか否かを判定する(S1404)。前面枠開放コマンドを受信した場合には(S1404の結果が「Y」)、前面枠開放中フラグを設定し(S1405)、さらに、枠開放音の出力を設定する(S1406)。
演出制御装置550は、さらに、ガラス枠開放コマンドを受信したか否かを判定する(S1407)。ガラス枠開放コマンドを受信した場合には(S1407の結果が「Y」)、ガラス枠開放中フラグを設定し(S1408)、枠開放音の出力を設定する(S1409)。
枠開放音の出力が設定されると、メイン処理(図10)の音制御処理(S1007)において、音LSI557によってスピーカ30から枠開放音が出力される。
続いて、演出制御装置550は、前面枠閉止コマンドを受信したか否かを判定する(S1410)。前面枠閉止コマンドを受信した場合には(S1410の結果が「Y」)、前面枠開放中フラグの設定を解除する(S1411)。さらに、ガラス枠開放中フラグが設定されているか否かを判定する(S1412)。ガラス枠開放中フラグが設定されていない場合には(S1412の結果が「N」)、開閉枠(前面枠3、ガラス枠18)がすべて閉止されているため、枠開放音の出力を解除する(S1416)。
演出制御装置550は、ガラス枠開放中フラグが設定されている場合には(S1412の結果が「Y」)、ガラス枠閉止コマンドを受信したか否かを判定する(S1413)。ガラス枠閉止コマンドを受信していない場合には(S1413の結果が「N」)、本処理を終了する。
演出制御装置550は、ガラス枠閉止コマンドを受信した場合には(S1413の結果が「Y」)、ガラス枠開放中フラグの設定を解除する(S1414)。さらに、前面枠開放中フラグが設定されているか否かを判定する(S1415)。前面枠開放中フラグが設定されている場合には(S1415の結果が「Y」)、本処理を終了する。一方、前面枠開放中フラグが設定されていない場合には(S1415の結果が「N」)、開閉枠(前面枠3、ガラス枠18)がすべて閉止されているため、枠開放音の出力を解除する(S1416)。
枠開放音の出力が解除されると、出力設定時と同様に、メイン処理(図10)の音制御処理(S1007)において、音LSI557によってスピーカ30からの枠開放音の出力が停止される。
本発明の第1の実施の形態によれば、報知期間内(遊技場の営業時間内)では開閉枠を開放すると音による報知が実行されることで、遊技者による不正行為の発生を防止することが可能となる一方で、報知期間外(営業時間外)においては開閉枠を開放しても音による報知が実行されないので、遊技機1のメンテナンスを行う従業員の作業の妨げになることがない。
さらに、本発明の第1の実施の形態によれば、報知期間外(営業時間外)になれば音による報知が停止するので、報知期間終了後即座に遊技機1のメンテナンス作業を開始することができる。
また、本発明の第1の実施の形態によれば、遊技制御装置500から通知された機種コードに基づいて、演出制御装置550が報知を実行するか否かを判定するため、遊技制御装置500の交換だけで営業時間の異なる遊技場に遊技機1を移転しても、移転先の営業時間に基づいて報知音の出力制御を行うことができる。
さらに、本発明の第1の実施の形態によれば、機種コードはHWパラメータROM403に記憶されており、HWパラメータROM403に記憶された情報は外部通信端子507を介して接続された検査装置によってのみ変更であるため、機種コードを変更する不正行為を防ぐことができる。
なお、本発明の第1の実施の形態では、開閉枠の開放を監視し、枠開放音の出力を制御していたが、監視対象が排出制御装置580やその他の構成であってもよい。すなわち、メンテナンス対象の装置を監視対象とすることができ、作業時刻に応じて枠開放音の出力を制御することが可能となる。
また、報知期間外に枠開放音を出力しない場合には、遊技状態LED29のみを点灯させるようにしてもよい。このようにすれば、メンテナンス作業の大きな妨げにならないようにエラーの発生を報知することが可能となる。
(第2の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態では、外部通信端子507を介して検査装置によって機種コードを設定していたが、第2の実施の形態では、遊技制御装置500に備えられた機種コード設定スイッチ(SW)509によって機種コードを設定するように構成する。
なお、以降の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と共通する構成及び処理については、同一の符号を付与して説明を省略する。
図15は、本発明の第2の実施の形態の遊技機1の遊技制御装置500を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
第2の実施の形態の遊技制御装置500の構成は、機種コード設定SW509を備える点を除いて、第1の実施の形態と同様である。
機種コード設定SW509は、前述のように、機種コードを設定するためのスイッチである。機種コード設定SW509は、例えば、ディップスイッチで実現される。また、機種コード設定SW509は、遊技制御装置500が遊技機1に装着されると、後述する封止手段によって、封止を解除しないと再設定できないように構成される。
なお、演出制御装置550及び電源装置300の構成については、第1の実施の形態と同様である。
図16Aは、本発明の第2の実施の形態の遊技制御装置(基板ボックス)500の斜視図である。
遊技制御装置500は、遊技制御基板500c(図16B参照)を収装する基板ボックスとして構成される。基板ボックスは、遊技機1に取り付けられる取付ベース500aと、取付ベース500aに取り付けられ、取付ベース500aとの間に遊技制御基板500cを収納する収納空間を画成する蓋部材500bとを備える。
取付ベース500a及び蓋部材500bは、平板状の底部と、底部の周囲から立設する周壁とを有する箱状の部材である。取付ベース500a及び蓋部材500bは、透明な合成樹脂によって構成され、蓋部材500bが取付ベース500aに取り付けられた状態、つまり、遊技制御装置500が閉じられた状態でも内部に収納された遊技制御基板500cが透視可能に構成されている。
取付ベース500a、蓋部材500b及び遊技制御基板500cの組み付けは、まず、蓋部材500bに対して遊技制御基板500cを組み付け、その後、一体となった蓋部材500b及び遊技制御基板500cを、取付ベース500aに対して取り付けることによって行われる。さらに、取付ベース500aに蓋部材500bを取り付け、遊技制御装置500を閉じた状態で封止する封止手段521が配設されている。
図16Aに示すように、封止手段521は、取付ベース500aに備えられる複数の第一封止部522と、蓋部材500bに備えられる複数の第二封止部523と、第一封止部522と第二封止部523とを固着するためのワンウェイネジ524とを備える。なお、本発明の第2の実施の形態では、第一封止部522及び第二封止部523が、遊技制御装置500の両端にそれぞれ2つずつ形成されている。
また、ワンウェイネジ524は、締め方向にしか回せないネジである。そのため、ワンウェイネジ524によって固着された第一封止部522と第二封止部523の固着を解除するには、第一封止部522及び第二封止部523をそれぞれ取付ベース500a及び蓋部材500bから切り離す必要がある。したがって、第一封止部522と第二封止部523との固着を解除すると痕跡が残り、遊技制御基板500cを交換するなどの不正行為が行われた場合に容易に発見することができる。
図16Bは、本発明の第2の実施の形態の遊技制御装置500に含まれる正面図である。
図16Bには、遊技制御装置500である基板ボックスの蓋部材500bを取り外した状態であり、遊技制御基板500cを正面から見た図である。
遊技制御基板500cには、遊技用マイコン(アミューズチップ)501及びその他の電子部品が実装されると共に、各種装置と電気的に接続するためのコネクタ530が設けられる。蓋部材500bには、コネクタ530を外部に露出するための開口部が設けられている。
遊技制御基板500cは、遊技用マイコン501及びその他の電子部品が実装される実装面が蓋部材500bに対向する向きで、基板ボックスの収納空間内に収納される。
遊技用マイコン501は、図3及び図4に示したように、遊技制御を行うための遊技制御プログラムを格納したROM503、遊技制御プログラムに基づく制御を行うCPU502、制御実行時に必要な情報を読み書きするRAM504などを一体化して構成したワンチップマイコンである。
図16Bに示す遊技制御装置500の左下部分には、検査装置等の外部機器に接続するためのインターフェースである外部通信端子507が配置されている。また、外部通信端子507の右側には、機種コード設定SW509が配置されている。蓋部材500bの機種コード設定SW509に対向する部分には、外部から設定を変更するための開口部は設けられておらず、一旦、封止手段521によって遊技制御装置500が封止されると、第一封止部522及び第二封止部523をそれぞれ取付ベース500a及び蓋部材500bから切り離すことによって第一封止部522及び第二封止部523の固着を解除しない限り、再設定できないように構成されている。このように構成することによって、機種コード設定SW509が不正に操作されることを防止することができる。
図17は、本発明の第2の実施の形態の遊技制御装置500におけるメイン処理の手順を示すフローチャートである。
本発明の第2の実施の形態のメイン処理では、機種コードを取得する手順が第1の実施の形態と相違し、その他の手順については、図5に示した第1の実施の形態のメイン処理と同じである。
第1の実施の形態では、あらかじめ機種コードが遊技用マイコン501のROM503に格納されているのに対し、第2の実施の形態では、まず、遊技制御装置500が、機種コード設定SW509に設定された機種コードの値を取得する(S1701)。そして、取得された機種コードの値を遊技用マイコン501のROM503に記憶し(S1702)、第1の実施の形態と共通のステップS503以降の処理を実行する。
本発明の第2の実施の形態によれば、機種コード設定SW509が封止された遊技制御装置500(基板ボックス)内部に配置されるため、機種コードが不正に変更されることを防ぐことができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態では、演出制御装置550にのみリアルタイムクロック(RTC555)が備えられていたが、第3の実施の形態では、遊技制御装置500にもRTC510が備えられる。また、第3の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、遊技制御装置500は、遊技制御基板500cが収装され、封止手段521によって封止された基板ボックスとして構成されている。
図18は、本発明の第3の実施の形態の遊技機1の遊技制御装置500を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
第2の実施の形態の遊技制御装置500の構成は、RTC(計時手段)510を備える点を除いて、第1の実施の形態と同様である。
RTC510は、演出制御装置550に備えられるRTC555と同じく、時間情報(日付情報、時刻情報)を計時可能な計時手段であり、CPU502からの要求に応じて時間値を提供する。また、RTC510は、通常電源310からの電力供給が遮断されている場合には、バックアップ電源320から電源が供給される。
本発明の第3の実施の形態では、遊技制御装置500にRTC510が備えられているため、遊技制御装置500が報知音(枠開放音)を出力するか否かを判定し、演出制御装置550に指示すること可能である。
図19は、本発明の第3の実施の形態の遊技制御装置500におけるメイン処理の手順を示すフローチャートである。
第3の実施の形態のメイン処理では、前述のように、遊技制御装置500側で報知の開始及び停止を判定し、演出制御装置550に指示する。したがって、第3の実施の形態では、機種コード一覧表600が少なくとも遊技制御装置500に記憶されている。
遊技制御装置500は、初期化処理が終了すると(S501)、RTC510から時間値(時刻情報)を取得する(S1901)。さらに、報知期間判定情報を取得する(S1902)。報知期間判定情報は、第1の実施の形態と同様に機種コードに基づいて設定するようにしてもよいが、遊技制御装置500側で報知の開始及び停止を制御するため、営業時間などの報知期間判定情報そのものを別途保持するようにしてもよい。
続いて、遊技制御装置500は、ステップS1901の処理で取得された時間値と、ステップS1902の処理で取得された報知期間判定情報とを比較することによって、報知期間内であるか否かを判定する(S1903)。報知期間内であれば(S1903の結果が「Y」)、報知開始コマンドを出力バッファにセットする(S1904)。
その後、第1の実施の形態と同様に、遊技制御装置500は、ステップS504からステップS507までの処理が終了すると、割込みを禁止して(S508)、初期値乱数を更新する処理(S509)を実行する。このとき、第3の実施の形態では、初期値乱数を更新する処理の前に、報知開始コマンド又は報知停止コマンドを出力バッファにセットする。以下、これらの手順について具体的に説明する。
遊技制御装置500は、割込みを禁止した後(S508)、RTC510から時間値を取得する(S1905)。さらに、報知期間判定情報を取得する(S1906)。
続いて、遊技制御装置500は、ステップS1905の処理で取得された時間値と、ステップS1906の処理で取得された報知期間判定情報とを比較することによって、報知開始時間になっているか否かを判定する(S1907)。報知開始時間になっている場合には(S1907の結果が「Y」)、時間情報(RTC510から取得された時間値、ステップS1905の処理で取得された時間値でもよい)を出力バッファにセットし(S1908)、さらに、報知開始コマンドを出力バッファにセットする(S1909)。
さらに、遊技制御装置500は、ステップS1905の処理で取得された時間値と、ステップS1906の処理で取得された報知期間判定情報とを比較することによって、報知停止時間になっているか否かを判定する(S1910)。報知停止時間になっている場合には(S1910の結果が「Y」)、ステップS1908の処理と同様に、時間情報を出力バッファにセットし(S1911)、さらに、報知停止コマンドを出力バッファにセットする(S1912)。
そして、遊技制御装置500は、初期値乱数更新処理を実行し(S509)、割込みを許可する(S510)。さらに、停電が発生したか否かを判定し(S511)、発生していない場合には(S511の結果が「Y」)、S508以降の処理を実行する。また、停電が発生した場合には(S511の結果が「N」)、停電処理を実行する(S512)。
以上のようにして、遊技制御装置500から演出制御装置550に報知の開始及び停止を指示する。以下に、演出制御装置550が受信した報知開始コマンド又は報知停止コマンドに基づいて行う処理について説明する。
図20は、本発明の第3の実施の形態の演出制御装置550における枠開放音設定処理の手順を示すフローチャートである。
演出制御装置550は、まず、遊技制御装置500から報知開始コマンドを受け付けたか否かを判定する(S2001)。
演出制御装置550は、報知開始コマンドを受け付けた場合には(S2001の結果が「Y」)、報知期間フラグをセットする(S2002)。さらに、RTC555から時間値を取得する(S2003)。
演出制御装置550は、ステップS2002の処理で取得された時間値が、報知開始コマンドとともに遊技制御装置500から受信した時間値(図19のステップS1908)とほぼ一致するか否かを判定する(S2004)。このとき、遊技制御装置500のRTC510から時間値を取得したタイミングと、RTC555から時間値を取得したタイミングが厳密に一致させることができないため、これらの時間値の差が所定の範囲内であれば一致しているとみなす。
演出制御装置550は、ステップS2002の処理で取得された時間値が、遊技制御装置500から受信した時間値と一致する場合には(S2004の結果が「Y」)、異常報知音の出力を設定する(S2005)。さらに、異常報知音を出力する時間を指定する継続タイマを設定する(S2006)。なお、このとき出力される異常報知音を、枠開放音と相違するように設定することによって、異常の種類を作業者が認識できるようにしてもよい。
続いて、演出制御装置550は、遊技制御装置500から報知停止コマンドを受け付けたか否かを判定する(S2007)。
演出制御装置550は、報知停止コマンドを受け付けた場合には(S2007の結果が「Y」)、報知期間フラグをリセットする(S2008)。さらに、RTC555から時間値を取得する(S2009)。
演出制御装置550は、ステップS2009の処理で取得された時間値が、報知停止コマンドとともに遊技制御装置500から受信した時間値(図19のステップS1911)とほぼ一致するか否かを判定する(S2010)。このとき、ステップS2004の場合と同様に、RTC555から取得した時間値と、遊技制御装置500から受信した時間値の差が所定の範囲内であれば一致するとみなす。
演出制御装置550は、ステップS2009の処理で取得された時間値が、遊技制御装置500から受信した時間値と一致しない場合には(S2010の結果が「N」)、ステップS2005の処理と同様に、異常報知音の出力を設定する(S2011)。さらに、ステップS2006の処理と同様に、異常報知音の継続タイマを設定する(S2012)。
以上の処理が終了すると、第1の実施の形態と同様に、ステップS1403からステップS1416までの処理を実行する。
本発明の第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、遊技制御装置500及び演出制御装置550(従属制御装置)にそれぞれ計時手段を設け、各計時手段から取得された時間値を比較することによって、計時状態が不正に操作されたことを発見することができる。
さらに、本発明の第3の実施の形態によれば、遊技制御装置500に備えられるRTC510が、封止手段によって封止された基板ボックス内に配置されるため、演出制御装置550のRTC555が不正に操作されても容易に不正行為を発見することができる。なお、遊技制御装置500ではなく、演出制御装置550についても封止手段によって封止するように構成してもよく、また、遊技制御装置500及び演出制御装置550を両方封止するようにしてもよい。
また、その他の実施の形態として、開閉枠(前面枠3、ガラス枠18)が開放された場合に、枠開放監視処理において、前面枠開放コマンド、ガラス枠閉止コマンド、前面枠開放コマンド、及びガラス枠閉止コマンドを演出制御装置550に送信する代わりに、RTC510から取得された時間値と報知期間判定情報とに基づいて、異常報知音を出力するか否かを遊技制御装置500が判断し、報知音を出力又は停止するコマンドを送信するように構成してもよい。
以上のように構成することによって、演出制御装置550は遊技制御装置500から送信されたコマンドに基づいて報知音を出力すればよいため、演出制御装置550に特別な構成変更を加えることなく、指定された時間内にのみ報知音を出力することができる。
また、監視対象を排出制御装置580とした場合には、排出制御装置580が報知音を出力するか否かを判定するようにしてもよい。例えば、排出制御装置580がリアルタイムクロックを備え、報知期間判定情報を保持するように構成し、エラーを検出した場合には、RTCから取得された時間値と報知期間判定情報とを比較することによって、報知音を出力するか否かを判定し、遊技制御装置500又は演出制御装置550に通知するようにしてもよい。なお、開閉枠の開放などについても報知音を出力するか否かを排出制御装置580が判定するようにしてもよい。
さらに、報知音を出力するか否かを判定する機能を有する基板を設けるようにしてもよい。例えば、当該基板がRTCを備え、報知時間を保持する。そして、遊技制御装置500からエラーを報知する信号を受信すると、報知音を出力するか否かを判定し、判定結果に基づいて、演出制御装置550に報知音の出力を要求すればよい。このように構成することによって、基板の数が増える代わりに、既存の基板(例えば、遊技制御装置500)の容量制約などに依存せずに本発明の効果を享受することが可能となる。