JP5133601B2 - 冷却塔システム - Google Patents

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Description

本発明は、冷却塔システムに関する。
従来、湿式冷却器の後流側に乾式冷却器を配置し、乾式冷却器の上方に散水量の調節が可能な補助散水装置を設置した冷却塔がある(特許文献1を参照)。
また、冷却塔内に多段に設けられて供給された水を滞留しながら順次下方に移動させる受水部を備える、冷水の製造装置がある(特許文献2を参照)。
実開昭51−56644号公報 特開2004−232925号公報
近年、地球温暖化対策として、空調システムの省エネルギー化が重要な課題となっている。そして、空調システムのCOPを向上させ、省エネルギー化を実現するために、冷凍機等の機器の高性能化や、冷凍機を運転せずに冷房を行うフリークーリングが実施されている。また、従来、建物等に設置された空調システムにおいて使用される冷却水の冷却を行うために冷却塔が用いられており、冷却塔から供給される冷却水の温度を低温化することによっても、空調システムのCOPは向上する。なお、冷却塔は、空調以外にも、例えば空気圧縮機等の発熱機器の冷却や、洗浄水、食品処理水等の冷却といった用途に用いられている。
しかし、従来の冷却塔は、設計上の制約が多く、湿球温度に近い低温の冷却水を生成しようとすると、経済的に実現することが困難なほど大規模な冷却塔が必要となる、という問題があった。向流型冷却塔は、空気と水とが対向して流れることから熱交換性能に優れているが、構造上、空気流通断面と水流通断面がほぼ等しくなる。このため、負荷側(即ち、水側)の条件が決まると、水負荷(L/A・・・Lは水量、Aは断面積)の制約から、充填層の断面積(A)がほぼ決定され、空気負荷(G/A・・・Gは空気量)の制約条件となる。このため、要求されるU/N(塔特性。Uは交換熱量、NはL/G)を満たすためには、充填材を積み上げる必要があり、冷却塔の高さが増大する。更に、充填材を積み上げることにより、空気流通抵抗が増大するという問題も発生する。
また、直交流型冷却塔は、空気と水とが直交して流れることから、空気負荷(G/Aa・・・Aaは空気側断面積)と水負荷(L/Al・・・Alは水側断面積)とを独立して設計することができ、向流型冷却塔に比べて設計の自由度が高い。しかし、直交流型であることから、向流型冷却塔に比べて熱交換効率の点で劣り、更に、負荷側(水側)の条件により、設計上の制約を受ける。
表1は、外気湿球温度が摂氏27度である場合に、向流型冷却塔で目標となる温度(冷却水出口温度)の冷却水を得るために必要なU/Nの例を示す表である。この表によれば、要求される冷却水出口温度が低温化することに伴って、要求されるU/Nが増大することが分かる。従来の冷却塔でこのU/Nを実現するためには、Ka(エンタルピ基準総括熱伝達係数)の高い充填材を使用するか、または充填層の積み増しが必要となり、いずれにしても空気流通抵抗の増大を招く。また、一般に、送風機には軸流送風機が使用されており、静圧の増大に伴って送風機効率が低下する。以上のような制約から、従来の冷却塔では、試算条件(2)において示された程度のU/Nを実現するのが限界であった。
Figure 0005133601
本発明は、上記した問題に鑑み、送風効率を低下させずに、外気湿球温度に近い冷却水を生成することが可能な冷却塔システムを提供することを課題とする。
本発明は、上記した課題を解決するために、冷却水を散水して冷却を行うことを、冷却水の流れに沿って直列に複数回繰り返すことで、送風効率を低下させずに、外気湿球温度に近い冷却水を生成することが可能な冷却塔システムを提供することを可能にした。
詳細には、本発明は、冷却水を冷却する冷却塔システムであって、冷却水の冷却に使用される空気を送る送風手段と、冷却対象の冷却水を散水し、前記送風手段によって送られた空気によって、散水された該冷却水を冷却し、冷却された冷却水を貯める水槽を有する、複数の冷却手段とを備え、前記複数の冷却手段は、該冷却塔システム内の冷却水の流れにおける上流から下流に向けて一列に接続され、最上流の冷却手段を除く冷却手段は、自身の上流側に接続された冷却手段の水槽より冷却水を取水して散水する、冷却塔システムである。
建物等に設置された空調システムでは、冷凍機の凝縮器に対して、あるいは各部屋やフロア等の領域の空調を直接行う空調装置に対して、場合により熱変換器を介して、熱媒等を冷却するための冷却水が供給される。本発明に係る冷却塔システムでは、送風手段によって空気を送り、空気と冷却水との間での熱交換、および冷却水の気化熱によって、冷却水の冷却を行う。また、屋外、屋内に設置された発熱機等や被冷却水の冷却についても同様である。
本発明に係る冷却塔システムは、上記した方法で冷却水の冷却を行う冷却手段を複数備え、この複数の冷却手段が冷却水の流れにおいて上流から下流に向けて一列に接続される点で特徴を有する。夫々が独立して冷却を行う複数の冷却手段に、冷却水が順次送られて直列処理されることで、冷却水の温度を段階的に外気湿球温度に近づけることが可能となる。即ち、本発明に拠れば、外気との熱交換および気化熱による冷却のみで、冷却水の温度を外気湿球温度に近い温度まで冷却することが可能となる。
また、本発明において、前記送風手段は、該送風手段によって送られる空気が、該冷却塔システム内の冷却水の流れにおける下流側の前記冷却手段から上流側の冷却手段に向かって流れるように送風を行ってもよい。
送風手段によって送られる空気の流れが複数の冷却手段を順次通過する場合、冷却水との熱交換によって、空気の流れにおける下流側では、空気の温度が上がってしまうという問題がある。例えば、冷却水の流れにおける上流側の冷却手段から下流側の冷却手段に向
かって流れるように送風を行った場合、冷却水上流側では温度の低い空気によって温度の高い冷却水の冷却を行うことが出来るが、冷却水下流側では温度の比較的高い空気によって温度の低い冷却水の冷却を行うこととなり、冷却効率の点で不利である。
ここで、冷却水の流れにおける下流側の冷却手段から上流側の冷却手段に向かって流れるように送風を行うことで、温度の低い空気によって温度の低い冷却水を冷却し、温度が比較的高い空気によって温度の高い冷却水の冷却を行うことが出来る。即ち、冷却の全ての段階において空気と冷却水との温度差を大きい状態に保ち、冷却の効率を上げることが出来る。
また、本発明において、前記送風手段は、前記冷却手段によって散水された冷却水が流れる方向と直交する方向に送風を行ってもよい。所謂直交流型冷却塔の方式によれば、下方向に向かって散水される冷却水の流れに対して空気の流れを横方向とするため、冷却水の流れにおける下流側の冷却手段から上流側の冷却手段に向かって流れるように送風を行うことが容易である。
また、本発明において、前記複数の冷却手段は、単一の冷却塔内に設けられた複数の冷却ブロックであり、前記冷却の過程および前記水槽にある冷却水が、前記複数の冷却ブロック同士で混合することを防止する混合防止手段を更に備えてもよい。
単一の冷却塔を複数のブロックに区切り、ブロックを配管によって接続することで冷却の直列処理を行うこととした場合、単一の冷却塔内において散水等が行われることとなるため、冷却過程の冷却水が混合してしまう虞が生じる。冷却過程の冷却水が混合してしまった場合、直列処理によって順次冷却水の温度を下げていく処理の効果が薄れてしまう。そこで、上記混合防止手段を設けることで、冷却過程の冷却水が混合してしまうことを防止し、直列処理の効果が薄れてしまうことを防止することが可能である。
また、本発明において、前記送風手段は、前記複数の冷却手段の夫々に対して個別に送風を行ってもよい。複数の冷却手段の夫々に対して個別に送風を行うことで、冷却の各段階において空気と冷却水との温度差を大きい状態に保ち、冷却の効率を上げることが出来る。
また、本発明において、前記送風手段は、前記冷却手段によって散水された冷却水が流れる方向と対向する方向に送風を行ってもよい。所謂向流型冷却塔の方式によれば、冷却水の流れと空気の流れとが対向するため、冷却の効率が高い。また、本発明を向流型冷却塔に適用することで、一基の冷却塔によって実現しようとした場合、実現性の低い巨大な冷却塔を建設する必要があったところ、比較的小さな占有領域で、外気湿球温度に近い温度の冷却水を生成可能な冷却塔システムを実現することが可能である。
また、本発明において、前記冷却手段は、散水された冷却水を一時的に滞留させる滞留部を有し、前記送風手段によって送られた空気によって、散水されて該滞留部に滞留した冷却水の冷却を行ってもよい。
ここで、滞留部は、散水された冷却水が一時的に滞留することで、送風手段によって送られた空気と接触する際の冷却効率を向上させるための構成である。従来、滞留部としては、多孔質の部材や、櫛状の部材からなる充填材が用いられるが、散水された冷却水を一時的に滞留させることが可能であれば、その他の構成が採用されてもよい。
本発明によって、送風効率を低下させずに、外気湿球温度に近い冷却水を生成すること
が可能な冷却塔システムを提供することが可能となる。
本発明に係る冷却塔システムの実施の形態について、図面に基づいて説明する。冷却塔システムは、建物に設けられた空調システムにおいて用いられる冷却水を冷却するシステムであり、主に空調システムより還流した冷却水を冷却して、再び空調システムへ供給することで、冷却水を空調システム内で循環させる。
<第一の実施形態>
図1は、本実施形態に係る冷却塔システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る冷却塔システム1aは、散水された冷却水が流れる方向と送風方向とが直交する、直交流型冷却塔である。また、本実施形態に係る冷却塔は開放式で、塔内に乾式熱交換器は有さず、塔内の殆どの空間が気液直接接触空間である。
本実施形態に係る冷却塔システム1aは、建物内の空調対象である各領域に設けられた空調装置(図示は省略する)から還流した冷却水が流れる還水配管20、冷却水の冷却が行われる2つの冷却ブロック10−1、10−2、冷却塔システム1aの中心に位置し冷却ブロック10−1、10−2に対して送風を行う送風機30、および送風機30によって送られる空気を外部より入れるためのルーバ31を備える。また、冷却塔システム1aの系外には、冷却ブロック10−2において冷却された冷却水を冷却負荷、ここでは建物内の冷凍機へ送り出す送水ポンプ41、往水配管40、冷却負荷から冷却水を戻し入れる還水ポンプ21および還水配管20が設けられる。以降、本実施形態において、例えば冷却ブロック10−1、10−2等、冷却塔システム1aが複数備える構成のうちの一つを特定して示す場合には、符号に「−1」、「−2」等の番号を付して区別することとする。なお、複数備える構成のうち全部または特定されない何れかを示す場合には、「−1」、「−2」等の番号を付さずに示す。なお、本実施形態において、「ブロック」の語は、管理単位としての「区画」や「空間」を示す意味で用いられる。
2つの冷却ブロック10−1、10−2は、ブロックごとに、冷却対象の冷却水を散水する散水装置12、散水装置12によって散水された冷却水が一時的に滞留する充填材13、および充填材13から落下した冷却水が貯められる下部水槽14を備える。また、ブロック間には、冷却ブロック10−1の下部水槽14−1から冷却水を取水するための取水ポンプ11、冷却ブロック10−1において散水された冷却水と冷却ブロック10−2において散水された冷却水とが混合しないように冷却水の飛散を防ぐエリミネータ(除水板)15が備えられる。冷却ブロック10−1、10−2において、冷却水の冷却を行うための構成は互いに独立しており、更にエリミネータ15によって散水の混合が防止されている。このため、冷却ブロック10−1、10−2において処理される冷却水は処理の途中で互いに混合しない。
また、2つの冷却ブロック10−1、10−2は、冷却水の流れにおける上流から下流へ一列に接続されている。本実施形態では、冷却塔システム1aの中心側、即ち送風機30により近い側の冷却ブロック10−1が冷却水上流側、冷却ブロック10−2が冷却水下流側に接続される。即ち、還流した冷却水は、冷却ブロック10−1に取り込まれて冷却された後、続いて取水ポンプ11によって冷却ブロック10−2に取り込まれて更に冷却される。
散水装置12−1、12−2は、冷却対象の冷却水を、充填材13に対して均一に散布するための装置である。本実施形態における散水装置12は、底に50から100mm間隔で直径数mmから十数mmの孔が設けられた水槽(上部水槽)であり、この孔から冷却水を重力落下させる方式が用いられる。但し、充填材13に対して冷却水を散布すること
が可能であれば、他の散水方式を採用しても良い。例えば、散水装置12の他の方式として、スプレーノズル方式、特殊ノズル方式等が知られている。このようにして、冷却水は、塔体の内側から外気の取入口に向けて冷却ブロック10ごとに直接空気と接触する。即ち、冷却ブロック10を経るごとに、より温度および湿度の低い空気と直接気液接触する。
エリミネータ15は、散水装置12によって散水された冷却水が、隣接する冷却ブロック10の冷却水と混合しないように仕切るための板状の部材である。具体的には、散水装置12によって散水された冷却水が、隣接する冷却ブロック10の散水装置12によって散水された冷却水と混合したり、隣接する冷却ブロック10の充填材13に供給されたりすることを防ぐことができる位置に設けられる。なお、ここでは間隔を置いて設けられた各冷却ブロック10の充填材13の中間位置に、充填材13の高さ分を残してエリミネータ15(遮蔽体)が設けられている。
充填材13−1、13−2は、送風機30によって送風された空気が冷却水に効率よく接触するように、散水装置12によって散水された冷却水を一時的に滞留させ、冷却水と空気との接触面積を増やすための部材である。形状としては、一般に多孔質の部材や、櫛状の部材が用いられる。
下部水槽14−1、14−2は、充填材13において冷却された後に落下した冷却水が貯められる水槽である。下部水槽14は、冷却ブロック10−1と冷却ブロック10−2で、堰板によって仕切られることで個別に設けられているため、冷却ブロック10−1の下部水槽14−1に貯められた冷却水と、冷却ブロック10−2の下部水槽14−2に貯められた冷却水とは混合しない。
また、本実施形態に係る冷却塔システム1aは、ルーバ31から取り込まれて送風機30によって送られる空気が、冷却ブロック10−2の充填材13−2、冷却ブロック10−1の充填材13−1、の順に通る点で特徴を有する。即ち、送風機30によって吸引される(送られる)無調整の外気は、冷却塔システム1a内の冷却水の流れにおける下流側の冷却ブロック10−2から上流側の冷却ブロック10−1に向かって流れる。このようにすることで、冷却ブロック10−1および冷却ブロック10−2の双方において、冷却対象の冷却水の温度と、この冷却水に接触する空気の温度との温度差を大きくすることが出来、外気等の大気のみを冷却用冷熱源とした効率の良い冷却が可能となる。
次に、本実施形態に係る冷却塔システム1aにおける冷却水の冷却の流れを説明する。図2は、本実施形態に係る冷却の流れを示すフローチャートである。
はじめに、冷却対象の冷却水が取水される。冷却ブロック10−1は、還水ポンプ21によって、還水配管20から冷却水を取水する(ステップS101)。次に、取水された冷却水が散水される。冷却ブロック10−1は、散水装置12−1によって、取水した冷却水を充填材13−1に対して散水する(ステップS102)。散水された冷却水は、充填材13−1に滞留する。
ここで、送風機30によって送られる空気がルーバ31を介して充填材13−1を通ることで、空気と冷却水との間での熱交換、および冷却水が気化する際に奪われる気化熱によって、冷却水が冷却される(ステップS103)。冷却された冷却水は、充填材13−1より落下して下部水槽14−1に貯められる(ステップS104)。
冷却ブロック10−2は、取水ポンプ11によって、下部水槽14−1から冷却水を取水する(ステップS105)。取水された冷却水は、散水装置12−2によって散水され
(ステップS106)、充填材13−2において、送風機30によって送られた空気との間での熱交換または気化熱によって冷却される(ステップS107)。冷却された冷却水は、充填材13−2より落下して下部水槽14−2に貯められ(ステップS108)、送水ポンプ41によって往水配管40へ送り出される(ステップS109)。
例えば、L/G=0.8として、U/N≒1.3の充填材13を2基直列に配置した場合、冷却ブロック10−1において摂氏33度の冷却水を摂氏29.5度まで冷却し、更に冷却ブロック10−2において摂氏29.5度の冷却水を摂氏28度まで冷却することが可能となる。これは、U/N=3.8の従来型直交流型冷却塔と同様の性能である。即ち、従来であれば経済的に実現性の低い巨大な冷却塔を必要としたところ、本実施形態に拠れば、一台の冷却塔からなる冷却塔システム1aとして、比較的小さな占有領域で、外気湿球温度に近い冷却水を生成することが可能となる。また、本発明に拠れば、充填材を分割配置し、冷却水を分割された充填材に順次散水することで、従来問題であった負荷側の条件と冷却塔の構造的による制約が解消され、最適な水負荷、空気負荷、水空気比の設計を行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、2つの冷却ブロック10−1、10−2を、冷却水の流れにおいて一列に接続することとしたが、3つ以上の冷却ブロック10を冷却水の流れにおいて一列に接続することとしてもよい。例えば、N個の冷却ブロック10を接続することとし、冷却水の流れにおいて上流から順に冷却ブロック10−1、10−2、・・・10−Nとした場合、送風機30は、冷却ブロック10−N・・・10−2、10−1の順に空気が通過するように送風を行う。なお、この場合、最上流の冷却ブロック10−1を除く各冷却ブロック10の取水側には、冷却水の流れにおいて上流から順に取水ポンプ11−2、11−3、・・・11−Nが設けられる。
直交流型冷却塔の場合、空気側の断面積を比較的自由に設定することが可能であるが、水量については、負荷側の条件によって固定されており、このことが冷却塔を設計する上での制約となる。本実施形態に拠れば、充填材13を任意の列数に分割し、冷却水を順次供給することで、水側の断面積の自由度を高めることが可能となる。
<第二の実施形態>
図3は、本実施形態に係る冷却塔システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る冷却塔システム1bは、散水された冷却水が流れる方向と送風方向とが対向する、向流型冷却塔である。
本実施形態に係る冷却塔システム1bは、建物内の空調対象である各領域に設けられた空調装置(図示は省略する)から還流した冷却水が流れる還水配管20、還水配管20から冷却水を取水するための還水ポンプ21、冷却水の冷却が行われる3つの向流型冷却塔50−1、50−2および50−3、向流型冷却塔50−3において冷却された冷却水を建物内の各空調装置へ送り出す送水ポンプ41および往水配管40を備える。以降、本実施形態において、冷却塔システム1bが複数備える構成のうちの一つを特定して示す場合には、符号に「−1」、「−2」等の番号を付して区別することとする。なお、複数備える構成のうち全部または特定されない何れかを示す場合には、「−1」、「−2」等の番号を付さずに示す。なお、何れの冷却塔50も、第一の実施形態と同様に開放式であり、塔内に乾式熱交換器を有さず、気液直接接触空間が内部の大部分を占める。
3つの向流型冷却塔50−1、50−2および50−3は、互いにU/Nがほぼ等しい向流型冷却塔であり、冷却水の流れにおける上流から下流へ一列に接続されている。本実施形態では、冷却水上流から下流に向けて、向流型冷却塔50−1、向流型冷却塔50−2、向流型冷却塔50−3の順に接続される。
また、夫々の向流型冷却塔50は、冷却対象の冷却水を散水する散水装置12、散水装置12によって散水された冷却水が一時的に滞留する充填材13、充填材13に滞留する冷却水に向けて送風を行う送風機19、送風機19によって送られる空気を外部より入れるためのルーバ18、および充填材13から落下した冷却水が貯められる下部水槽14を備える。また、最上流の向流型冷却塔50−1を除く向流型冷却塔50−2および50−3は、上流側の向流型冷却塔50の下部水槽14から冷却水を取水するための取水ポンプ11−2、11−3を更に備える。
本実施形態における散水装置12は、スプレーノズル方式の散水装置12である。但し、充填材13に対して冷却水を散布することが可能であれば、他の散水方式を採用しても良い。その他、充填材13、下部水槽14等の機能、構成は第一の実施形態に示したものと概略同様である。
また、本実施形態は、冷却塔が夫々個別にルーバ18および送風機19を有する点で、第一の実施形態と異なる。冷却塔が夫々個別にルーバ18および送風機19を有しているため、全ての向流型冷却塔50において、冷却対象の冷却水の温度と、この冷却水に接触する空気の温度との温度差を大きくすることが出来る。
還水配管20に還流した冷却水は、還水ポンプ21によって取水されてはじめに向流型冷却塔50−1によって冷却され、その後順次向流型冷却塔50−2、50−3によって冷却され、外気湿球温度に近い水温の冷却水となる。
例えば、U/N≒1.15の向流型冷却塔50を2基直列に接続した場合、向流型冷却塔50−1において摂氏33度の冷却水を摂氏29.5度まで冷却し、更に向流型冷却塔50−2において摂氏29.5度の冷却水を摂氏28度まで冷却することが可能となる。これは、表1の例におけるU/N=3.37の向流型冷却塔と同様の性能である。即ち、従来であれば経済的に実現性の低い巨大な冷却塔を必要としたところ、本実施形態に拠れば、比較的小さな占有領域で、外気湿球温度に近い冷却水を生成することが可能となる。また、本発明に拠れば、冷却塔を分割配置し、冷却水を順次冷却することで、従来、向流型冷却塔を設計する際に問題であった空気負荷の制約が解消され、最適な水負荷、空気負荷、水空気比の設計を行うことが可能となる。
また、各向流型冷却塔50の下部水槽14に送水配管と送水ポンプ41とを設け(図示は省略する)、低温冷却水が不要な場合に、最下流の向流型冷却塔50よりも上流にある何れかの向流型冷却塔50の下部水槽14より、負荷側(空調装置等)に冷却水を供給することとしてもよい。このような構成とすることによって、低温冷却水を必要としない場合に、一部の向流型冷却塔50の運転を停止し、エネルギー消費量を低減させることが可能となる。
なお、本実施形態では、3つの向流型冷却塔50を、冷却水の流れにおいて一列に接続することとしたが、一列に接続される向流型冷却塔50の数は、冷却塔システム1bに要求される性能に応じて適宜最適な数が選択されることが好ましい。
<その他の実施形態>
上記第一、第二の実施形態では、充填材を使用する冷却塔(所謂開放式冷却塔)に本発明を適用した場合の実施形態について述べたが、本発明は、充填材に代えて多管式、フィン付き管式またはプレート式などの、熱交換器を設置して、熱交換器の外面に散布した水の蒸発潜熱を利用して管内の冷却水を冷却する方式を採用した冷却塔(所謂密閉型冷却塔)に適用されてもよい。
なお、散布水のキャリーオーバーや蒸発に応じて水の補給が必要となるが、図1の例では冷却ブロック10−1、図3の例では冷却塔14−1等、上流に一箇所給水管およびボールタップを設けることで対応可能である。
また、図1の還水配管20と往水配管40との間、図3の還水配管20と往水配管40との間、または取水ポンプ11−2/11−3系統と往水配管40との間を、弁付きのバイパス管で結び、能力が出すぎる場合には、冷却された冷却水を下流の冷却ブロックまたは冷却塔へ通さず、最下流のブロックまたは最下流の冷却塔へ到達する前の冷却水を負荷側へ送水することとしてもよい。
更に、外気湿球温度等の条件を計測して、送風機30の回転数(水温を制御)、取水ポンプ11の回転数(水量を制御)、およびこれらの運転台数を制御することで、よりきめ細かい制御が可能となる。
実施形態に係る冷却塔システムの概略構成を示す図である。 実施形態に係る冷却の流れを示すフローチャートである。 実施形態に係る冷却塔システムの概略構成を示す図である。
符号の説明
1a、1b 冷却塔システム
10−1、10−2 冷却ブロック
11、11−2、11−3 取水ポンプ
12−1、12−2 散水装置
13 充填材
14−1、14−2 下部水槽
15 エリミネータ(除水板)
18 ルーバ
1b 冷却塔システム
19 送風機
20 還水配管
30 送風機
31 ルーバ
40 往水配管
41 送水ポンプ
50−1、50−2、50−3 向流型冷却塔

Claims (3)

  1. 冷却水を冷却する冷却塔システムであって、
    冷却水の冷却に使用される空気を送る送風手段と、
    冷却対象の冷却水を散水し、前記送風手段によって送られた空気によって、散水された該冷却水を冷却し、冷却された冷却水を貯める水槽を有する、複数の冷却手段とを備え、
    前記複数の冷却手段は、該冷却塔システム内の冷却水の流れにおける上流から下流に向けて一列に接続され、
    最上流の冷却手段を除く冷却手段は、自身の上流側に接続された冷却手段の水槽より、取水ポンプを用いて冷却水を取水して、該冷却水が前記送風手段によって送られた空気によって冷却される位置が、前記複数の冷却手段の間で同じ高さとなるように散水し、
    前記送風手段は、該送風手段によって送られる空気が、該冷却塔システム内の冷却水の流れにおける下流側の前記冷却手段から上流側の冷却手段に向かって、前記複数の冷却手段を順次通過するように、且つ前記冷却手段によって散水された冷却水が流れる方向と直交する方向に送風を行う、
    冷却塔システム。
  2. 前記複数の冷却手段は、単一の冷却塔内に設けられた複数の冷却ブロックであり、
    前記冷却の過程および前記水槽にある冷却水が、前記複数の冷却ブロック同士で混合することを防止する混合防止手段を更に備える、
    請求項1に記載の冷却塔システム。
  3. 前記冷却手段は、散水された冷却水を一時的に滞留させる滞留部であって、前記複数の冷却手段の間で同じ高さに設けられる滞留部を有し、前記送風手段によって送られた空気によって、散水されて該滞留部に滞留した冷却水の冷却を行う、
    請求項1または2に記載の冷却塔システム。
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