〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1は、本実施形態の複合機の概略構成を示したブロック図である。
複合機50は、画像データの画像を出力するジョブを実行する画像出力装置である。ここで、複合機50にて実行されるジョブとは、印刷処理、送信処理、ファイリング処理等の出力処理を意味する。
また、前記の印刷処理とは、複写モードにおける印刷処理、プリントモードにおける印刷処理、ファクシミリ受信モードにおける印刷処理を意味する。ここで、複写モードとは、複合機50にて読み取られた画像データの画像を複合機50にて印刷するモードであり、プリントモードとは、端末装置(不図示)から複合機50に送られてきた画像データの画像を複合機50にて印刷するモードであり、ファクシミリ受信モードとは、ファクシミリによって複合機50に送られてきた画像データの画像を複合機50にて印刷するモードを意味するものである。
さらに、前記の送信処理とは、ファクシミリ送信モードにおける送信処理、イメージ送信モードにおける送信処理を意味する。ここで、ファクシミリ送信モードとは、複合機50にて読み取られた画像データの画像をファクシミリによって外部装置へ送信するモードである。イメージ送信モードとは、複合機50にて読み取られた画像データの画像を利用者に指定された送信先へ送信するモードである。なお、イメージ送信モードの送信先には、複合機50に接続されているネットワーク上のアドレス、フォルダ、複合機50に装着されているUSBメモリ等がある。
また、ファイリング処理とは、複写モードやファクシミリ送信モード等において、これらモードの印刷または送信の対象となる画像から所定のファイル形式の画像ファイルを生成し、生成した画像ファイルを保存する処理を意味する。
複合機50は、図1に示すように、画像入力装置51、画像処理装置52、プリント部53、記憶装置54、送信装置55、受信装置56、操作パネル57、リードライト部58、制御装置59を有する。
画像入力装置51は、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取手段である。より具体的に説明すると、画像入力装置51は、CCD(Charge Coupled Device)を含むスキャナ部を有し、原稿から反射してきた光に基づき、当該原稿の画像を示した画像データを生成するものである。
画像処理装置52は、外部から送られてきた画像データや画像入力装置51にて生成された画像データに対して画像処理を施す集積回路であり、ASIC(Application specific integrated circuit)から構成されるものである。
プリント部53は、画像処理装置52にて画像処理の施された後の画像データの画像を記録媒体(例えば紙等)上に印刷(出力)する装置であり、例えば、電子写真方式またはインクジェット方式を用いたカラープリンタを挙げることができる。
記憶装置54は、複合機50にて扱われる画像データや複合機50にて実行されるジョブのデータを一旦記憶するためのハードディスク装置である。
送信装置55は、電話回線またはインターネットに接続しており、画像入力装置51にて入力され且つ画像処理装置52にて処理された画像データの画像をファクシミリ通信によって外部装置へ送信する装置(例えばモデム)である。受信装置56は、電話回線またはインターネットに接続しており、ファクシミリ通信によって外部装置から画像データを受信する装置(例えばモデム)である。
操作パネル57は、利用者が複合機50を操作するために、利用者が各種コマンドを入力したり各種設定を行うためのユーザインターフェイスである。操作パネル57には、入力および設定のためのボタン群と表示部57aとが備えられている。
表示部57aは、カラー画像の表示が可能な液晶ディスプレイであり、複合機50に関する各種情報を表示するものである。また、表示部57aは、タッチパネルに覆われており、複合機50の入力インターフェイスとしての機能も有している。つまり、表示部57aには、複合機50に対して各種コマンドの入力等の操作を行うためのGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)や操作ガイドが表示される。
リードライト部58は、ユーザID(利用者ID)の登録時に利用者の所持する非接触ICカード(以下、単に「ICカード」と称す)へユーザIDを書き込む処理と、利用者認証を行う際に利用者の所持するICカードからユーザIDを読み出す処理とを実行するリーダーライターである。なお、ICカードの一例としてFelica(登録商標)がある。但し、本実施形態では、リードライト部58は特に備えられていなくても構わない。
制御装置59は、CPU(Central Processing Unit)あるいはDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含むコンピュータから構成されるものであり、複合機50に備えられる各ハードウェアを制御すると共に各ハードウェア間のデータ転送を制御することによって、複合機50の動作制御を行うものである。
具体的に、制御装置59は、利用者から入力されるコマンドに応じて、上述した複写モード、プリントモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードにおける処理を複合機50に実行させるようになっている。
つまり、制御装置59は、複写モードにおいて、画像入力装置51に画像データを読み取らせて当該画像データを記憶装置54に一旦記憶させ、この画像データの画像をプリント部53に印刷させる。また、制御装置59は、プリントモードにおいて、端末装置から受信した画像データを記憶装置54に一旦記憶させ、この画像データの画像をプリント部53に印刷させる。さらに、制御装置59は、ファクシミリ送信モード時において、画像入力装置51に画像データを読み取らせて当該画像データを記憶装置54に一旦記憶させ、この画像データの画像を送信装置55に送信させる。また、制御装置59は、ファクシミリ受信処理モードにおいて、受信装置56が受信した画像データを記憶装置54に一旦記憶させ、その後に当該画像データの画像をプリント部53に印刷させる。
また、図1に示すように、制御装置59は、イメージ送信部59a、ファイリング処理部59b、ジョブ制御部59c、予告部59d、認証部59eを有する。
イメージ送信部59aは、イメージ送信モードにおいて、画像入力装置51に画像データを読み取らせて当該画像データを記憶装置54に一旦記憶させ、この画像データの画像を指定された送信先へ送信する処理を行うブロックである。なお、イメージ送信部59aは、ネットワーク上のアドレスに画像を送信する場合、送信対象の画像を電子メールに添付し、この電子メールを前記アドレスへ送信するようになっている。
ファイリング処理部59bは、利用者からのコマンドに応じて、以上示した各モードの選択中において、印刷または送信の対象とされている画像から所定のファイル形式の画像ファイル(JPEGファイル,TIFFファイル等)を生成し、生成した画像ファイルを記憶装置54に保存する処理を行うブロックである。
ジョブ制御部59cは、複写モード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードにおける印刷・送信・ファイリング等の出力処理の実行前において、プレビューコマンドが入力されている場合、または、プレビュー有の設定がされている場合、各モードにおいて出力処理の対象となる画像のプレビューを表示部57aに表示させる。
このプレビューについて以下詳細に説明する。複写モード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいてプレビューを表示させる場合、利用者は、プレビュー有を設定した上でスタートコマンドを入力するようになっている。これにより、画像入力装置51が画像データを読み取り、当該画像データが記憶装置54にて記憶されると共に、記憶装置54にて記憶されている画像データの画像のプレビューが表示部57aに表示されるようになっている。そして、プレビューの表示中に利用者が出力コマンドを入力すると、記憶装置54にて記憶されている画像データの画像の印刷または送信が行われるようになっている。
ファクシミリ受信モードにおいてプレビューを表示させる場合、受信画像データが記憶装置54に記憶されている事を確認した利用者がプレビューコマンドを入力すると、記憶装置54にて記憶されている受信画像データの画像のプレビューが表示部57aに表示されるようになっている。そして、プレビューの表示中に利用者が出力コマンドを入力すると、記憶装置54にて記憶されている受信画像データの画像の印刷が行われるようになっている。
また、複写モードやファクシミリ送信モード等において、利用者から予めファイリングの実行が指定されている場合は、プレビューの表示中に利用者が出力コマンドを入力すると、前記印刷または送信と共にファイリング処理も行われるようになっている。
なお、以上の各モードにおいて、画像データは画像処理装置52にて画像処理が施された上で表示部57aに送られるようになっている。また、画像データは、画像処理装置52にて画像処理が施された上で、出力処理の行われるプリント部53、送信装置55、イメージ送信部59a等に送られるようになっている。
また、表示部57aにプレビューが表示されている間に、複合機50に対する利用者の操作のない状態が所定時間続いた場合、ジョブ制御部59cは、表示されているプレビューに対応する画像の出力処理(印刷、送信、ファイリング)が実行されるように複合機50を制御するようになっている。なお、複合機50に対する利用者の操作のない状態とは、利用者が操作パネル57を操作しない状態である。
つまり、複写モード、ファクシミリ受信モードにおいて、プレビューが表示されている間、利用者が複合機50に対して所定時間何らの操作も行わない場合、ジョブ制御部59cは、利用者からのコマンドがなくとも、これらモードにおいて処理対象とされる画像データの画像の印刷をプリント部53に行わせる。また、ファクシミリ送信モードにおいて、プレビューが表示されている間、利用者が複合機50に対して所定時間何らの操作も行わない場合、ジョブ制御部59cは、処理対象とされる画像データの画像の送信を送信装置55に行わせる。さらに、イメージ送信モードにおいて、プレビューが表示されている間、利用者が複合機50に対して所定時間何らの操作も行わない場合、ジョブ制御部59cは、利用者からのコマンドがなくとも、処理対象とされる画像データの画像の送信をイメージ送信部59aに行わせる。
なお、複写モードやファクシミリ送信モード等において、利用者から予めファイリング処理の実行が指定されている場合、利用者が複合機50に対して所定時間何らの操作が行われないと、印刷または送信と共にファイリングも実行されるようになっている。
また、以下では、プレビューの表示中に利用者による操作が所定時間無い場合に行われる印刷または送信を自動出力(強制出力)と称する。
予告部59dは、自動出力される前に、自動出力される事を予告するメッセージを表示部57aに表示する。図2(a)は、予告部59dによって表示部57aに表示される画像であり、複写モードにおいて自動出力(印刷)される事を予告するメッセージを示した画像である。
図2(a)では、参照符80aのメッセージが自動出力を予告するメッセージに該当する。また、前記メッセージは自動出力までの残り時間を示したものでもあり、表示されている残り時間の値は時間経過と共にデクリメントされるようになっている。さらに、図2(a)の画像では、自動出力までの残り時間を示すメーターも表示され、利用者が残り時間を認識し易いようになっている。また、図2(a)の画像では、出力コマンド(印刷コマンド)を入力するためのYesボタン、および、キャンセルコマンドを入力するためのNoボタンも示されている。
なお、図2(a)の画像では、時間経過と共に残り時間の値をデクリメントしているが、単に「10秒間キー操作が無い場合は自動実行します」というメッセージを表示するような形態であっても構わない(つまり、表示している時間の値をデクリメントせず固定にする)。
認証部59eは、リードライト部58によってICカードから読み取られたユーザIDと操作パネル57から入力されたパスワードとを用いて利用者認証を行うブロックである。但し、本実施形態では、リードライト部58と同様、認証部59eは特に備えられていなくても構わない。
つぎに、ジョブ制御部59cによって実行される自動出力について図3を用いてさらに詳細に説明する。図3は、ジョブ制御部59cの処理の流れを示したフローチャートである。なお、以下では複写モードにおける自動出力を例にして図3の内容を説明する。
ジョブ制御部59cは、複写モードにおいて、出力(印刷)の対象となる画像のプレビューの表示を開始すると、ループカウント1(通常状態)を設定し(S1)、第1閾値時間を閾値時間として設定し(S2)、カウンタをリセットするようになっている(S3)。その後、ジョブ制御部59cは、単位時間だけ待機してから(S4)、単位時間を示す値だけカウンタをインクリメントする(S5)。なお、本実施形態では、第1閾値時間を60秒として単位時間を0.01秒とするが、第1閾値時間および単位時間はこれら値に限定されるものではない。
そして、S4の待機中において利用者が操作パネル57を操作して出力コマンドを入力した場合(S6にてNO,S7にてYES)、ジョブ制御部59cは、表示されているプレビューに対応する画像の出力(印刷)をプリント部53に実行させ、ジョブを終了する。また、S4の待機中において利用者が操作パネル57を操作してキャンセルコマンドを入力した場合(S6にてNO,S7にてYES)、ジョブ制御部59cは、プリント部53に画像を出力(印刷)させずに、ジョブを終了する。なお、ジョブ制御部59cは、ジョブの終了に伴い、プレビューの表示も終了する。
さらに、S4の待機中において、利用者が操作パネル57を用いて出力コマンドの入力およびキャンセルコマンドの入力以外の操作を行った場合、ジョブ制御部59cは処理をS1に戻すようになっている(S6にてNO,S7にてNO)。
これに対し、S4の待機中において利用者による操作が無い場合(S6にてYES)、ジョブ制御部59cは、カウンタの値が閾値時間以上になっているか否かを判定する(S8)。カウンタの値が閾値時間以上ではない場合(S8にてNO)、ジョブ制御部59cは、処理をS4に戻すようになっている。
そして、S4〜S6,S8が繰り返し実行され、カウンタの値が閾値時間以上になった場合(S8にてYES)、ジョブ制御部59cは、ループカウント2(出力確認状態)が設定されているかを判定する(S9)。
ここで、最初にS9に到達した場合はループカウント1であってループカウント2ではないため、図3に示すように、ジョブ制御部59cは処理をS10に移行する。S10では、ジョブ制御部59cは予告部59dに指示を出し、この指示を受けた予告部59dは、図2(a)に示す画像を表示部57aに表示することで、後に自動印刷される事を利用者に予告するようになっている。なお、図2(a)に示す画像に表示する残り時間は、後述するS12にて設定される第2閾値時間であり、第2閾値時間は10秒であるものとする。但し、第2閾値時間は、10秒に限定されるものではなく、変更可能な値である。
S10の後、ジョブ制御部59cは、ループカウント1の設定を解消すると共にループカウント2を設定する(S11)。S11の後、ジョブ制御部59cは、第1閾値時間の設定を解消すると共に第2閾値時間を閾値時間として設定し(S12)、処理をS3に移行させ、カウンタをリセットする。その後、S4〜S8が実行される。なお、ループカウント2が設定されている状況下では、予告部59dは、時間の経過と共に、図2(a)の画像にて示される残り時間をデクリメントするようになっている。
そして、S4〜S6,S8が繰り返されることによってカウンタの値が閾値時間以上になると(S8にてYES)、ジョブ制御部59cは、ループカウント2(出力確認状態)が設定されているかを判定する(S9)。S9への到達が2回目の場合はループカウント2が設定されているため、図3に示すように、ジョブ制御部59cは処理をS13に移行する。そして、S13において、ジョブ制御部59cは、利用者からの出力コマンドを受けないまま、表示されているプレビューに対応する画像の出力(印刷)をプリント部53に実行させ、ジョブを終了する。また、ジョブ制御部59cは、ジョブの終了に伴い、プレビューの表示も終了する。
なお、以上では、複写モードにおける出力処理(印刷処理)を例にして図3の処理内容を説明したが、図3の処理内容は、ファクシミリ受信モードにおける出力処理(印刷)にも適用されるものであり、ファクシミリ送信モードおよびイメージ送信モードにおける出力処理(送信)にも適用されるものである。
但し、ファクシミリ送信モードおよびイメージ送信モードにおける出力処理の場合、プレビュー表示される画像は送信対象となる画像である。また、この場合、S4の待機中において利用者が操作パネル57を操作して出力コマンドを入力すると(S6にてNO,S7にてYES)、ジョブ制御部59cは、送信装置55またはイメージ送信部59aに送信処理(出力処理)を行わせることになる。さらに、S13においては、ジョブ制御部59cは、利用者からの出力コマンドを受けないまま、表示されているプレビューの画像の送信を送信装置55またはイメージ送信部59aに実行させることになる。
以上示した図3の処理において第1閾値時間と第2閾値時間とを合わせた時間を所定時間とする場合、ジョブ制御部59cは、表示部57aにプレビューが表示されている間に利用者による操作の無い状態が所定時間続くと、表示されているプレビューに対応する画像を出力するジョブを複合機50に実行させるようになっている(S13)。それゆえ、プレビューを表示させたまま利用者が操作を行わない状況が続いても、所定時間が経過すると、表示されているプレビューに対応するジョブは強制的に終了されてしまうため、当該ジョブを入力した利用者とは別の利用者が複合機50を利用することが可能になる。それゆえ、複合機50の能率の低下を抑制できるという効果を奏する。
また、プレビューを長時間表示させたままであるとセキュリティの面から好ましくないという問題が生じる。これに対し、本実施形態の処理によれば、プレビューが表示されている間に利用者による操作の無い状態が所定時間続くと、ジョブを強制実行すると共にプレビューの表示を終了するため、以上の問題を抑制できる。
また、プレビュー機能を有する複合機において、プレビュー機能を使用しない場合は1回のコマンド入力でスキャン指示と印刷指示との両方が行われるようになっており、プレビューを表示させた上で複写を行う場合はスタートコマンド(スキャン指示)と出力コマンド(印刷コマンド)とを別々で入力するようになっている事が多い。それゆえ、プレビュー機能を使用する場合にコマンドを2回入力する必要がある事を知らない利用者(不慣れな利用者)が、プレビューを表示させたまま、その後の操作手法がわからず、戸惑ってしまうという問題が生じることが想定される。これに対し、本実施形態の処理によれば、1回のコマンド入力でも、所定時間経過後に強制的にジョブが実行されるため、以上の問題を回避できる。
また、本実施の形態では、予告部59dは、利用者による操作の無い状態が前記所定時間よりも短い第1閾値時間続いた場合に、表示されているプレビューに対応する画像の出力処理が強制的に実行されることを利用者に予告していることになる。そして、ジョブ制御部59cは、予告部59dによる予告が行われた後で、表示されているプレビューの画像の出力処理を複合機50に実行させるようになっている。それゆえ、利用者にとって不意にジョブが強制実行されることを抑制でき、ジョブの強制実行を望まない利用者は強制実行を禁止するための必要な措置を講じることができる。なお、図3の例でいえば、キャンセルコマンドを入力するか、何らかの操作を行うことで強制実行を回避できる。また、何らかの操作を行うことで(S7にてNO)、継続してプレビューの内容の確認を行うことができる。
また、予告部59dによる予告は特に行われなくてもよい。この点について以下説明する。図3において、S1、S2、S9〜S12を使用せず、S8でYESの場合は必ずS13に移行するように設定する。このようにしても、ジョブ制御部59cは、表示部57aにプレビューが表示されている間に利用者による操作の無い状態が所定時間(S8の閾値時間)続くと、表示されているプレビューに対応する画像を出力するジョブを複合機50に実行させることになる。
また、通常のプレビュー機能付きの複合機では、プレビュー表示されている間、スキャン処理を行えない。それゆえ、プレビュー表示されている間、プリントモードのデータを受信して印刷処理を行う事およびファクシミリ受信モードのデータを受信する事は可能になっているが、複写モード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおけるジョブを受け付けることはできない。それゆえ、プレビュー表示されたままであって当該プレビューに対応するジョブが終了しない場合、このジョブを入力した利用者とは別の利用者が複写モード,ファクシミリ送信モード,イメージ送信モードのジョブの入力を行えず、複合機の能率を低下させることになる。これに対し、本実施の形態の複合機50では、プレビューを表示させたまま利用者が操作を行わない状況が続くと、表示されているプレビューに対応するジョブは強制的に終了されてしまうため、当該ジョブを入力した利用者とは別の利用者が画像入力装置51を操作して複写モード,ファクシミリ送信モード,イメージ送信モードのジョブの入力を行うことが可能になる。それゆえ、本実施の形態の複合機50では、プレビューが表示され続けることによって生じる能率の低下を抑制できるという効果を奏する。
以上のように、本実施形態は、画像を出力するジョブと前記ジョブの実行前に前記画像のプレビューを表示部に表示する処理とを実行する画像出力装置を制御する制御装置において、前記プレビューが表示されている間に前記画像出力装置に対する操作の無い状態が所定時間続いた場合、表示されているプレビューに対応するジョブを前記画像出力装置に実行させるジョブ制御部を有することを特徴とする。この特徴によれば、プレビューを表示させたまま画像出力装置に対して利用者が操作を行わないという状況が続いても、所定時間が経過すると、表示されているプレビューに対応するジョブは強制的に終了されてしまうため、当該ジョブを入力した利用者とは別の利用者が画像出力装置を利用することが可能になる。それゆえ、画像出力装置の能率の低下を抑制できるという効果を奏する。
また、本実施形態の制御装置は、前記構成に加えて、表示部に表示されているプレビューに対応するジョブの実行を利用者に予告する予告部を有し、前記予告部が、前記プレビューが表示されている間に前記画像出力装置に対する操作の無い状態が前記所定時間よりも短い閾値時間続いた場合に前記予告を行うことが好ましい。それゆえ、ジョブの強制実行を利用者に予告しているため、利用者にとって不意にジョブが強制実行されてしまうことを抑制できるという効果を奏する。そして、ジョブの実行を望まない利用者やプレビューの確認の継続を望む利用者からすれば、必要なコマンド入力を行うことでジョブが勝手に実行されてしまわないようにできる。
また、本実施形態は、画像を出力するジョブと前記ジョブの実行前に前記画像のプレビューを表示部に表示する処理とを実行する画像出力装置を制御する画像出力装置の制御方法において、前記プレビューが表示されている間に前記画像出力装置に対する操作の無い状態が所定時間続いた場合、前記画像出力装置を制御する制御装置が、表示されているプレビューに対応するジョブを前記画像出力装置に実行させることを特徴とする。
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、ジョブ制御部59cは、表示部57aにプレビューが表示されている間に複合機50に対する利用者の操作の無い状態が所定時間続いた場合、プレビューに対応する画像を出力するジョブを複合機50に実行させる形態であった。
しかしながら、ジョブ制御部59cは、このような形態に限定されるものではない。例えば、ジョブ制御部59cは、表示部57aにプレビューが表示されている間に複合機50に対する利用者の操作の無い状態が所定時間続いた場合、プレビューに対応する画像を出力するジョブを保留状態にする形態であっても構わない。本実施形態ではこの形態のジョブ制御部59cについて説明する。なお、本実施形態の各部材は、特に説明の無い限り、実施の形態1において同じ番号の付された部材と同じ機能を有するものとする。
本実施の形態では、複合機50に入力されるジョブは図4に示すジョブリストに登録され、制御装置59はジョブリストに基づいてジョブの実行を制御している。図4に示すように、ジョブリストには、複合機50に入力されているジョブ毎に、ジョブのデータ(以下「ジョブデータ」と称す)が示される。ジョブデータには、ジョブID、ユーザID、モード、時刻、状態がある。ここで、ジョブIDとはジョブの識別情報であり、ユーザIDとはジョブを入力したユーザの識別情報であり、モードとはジョブの種別を示したものであり、時刻はジョブデータの入力時刻(または設定時刻)を示したものであり、状態はジョブの状態を示したものである。また、上記時刻は、最終更新時刻(保留ジョブであれば保留状態へ移行した時刻、出力中ジョブであれば一定間隔で更新される時刻)であってもよい。
また、ジョブの状態には、出力状態、待機状態、受信状態、保留状態がある。なお、図4では、出力状態は「出力中」として示され、受信状態は「データ受信中」として示され、保留状態は「保留」として示されている。また、図4では待機状態のジョブはジョブリストにあげられていないが、待機状態はジョブリストにおいて「待機中」として示される。
そして、出力状態とは、出力処理が実行されている状態を示す。待機状態とは、出力状態のジョブがあるために、出力待ちになっている状態を意味する。つまり、待機状態のジョブは、この待機状態のジョブ以外のジョブであって出力状態のジョブがなくなると、出力状態に移行するようになっている。但し、待機状態のジョブが複数あるときは、入力された順に出力状態へ移行するようになっている。
受信状態とは、ジョブを実行する上で必要となる画像データを受信している状態を示したものである。つまり、受信状態はプリントモードまたはファクシミリ受信モードにおいて画像データを受信している状態を示している。そして、データ受信の終了したジョブは受信状態から出力状態、待機状態、保留状態のいずれかに移行するようになっている。
保留状態とは、ジョブの実行が保留されている状態を示したものである。この保留状態は、利用者からの保留コマンドが入力されることによって設定され、また、プレビューが表示されている間に利用者による操作の無い状態が所定時間続いた場合に設定されるようになっている。また、ファクシミリ受信モードにおけるジョブは、受信状態の後、保留状態に移行するようになっていてもよい。なお、本実施の形態では、前記保留コマンドを入力するための画像(図2(b)参照)はプレビュー表示中の所定のタイミングにて自動的に表示されるようになっている。
保留状態のジョブは実行されることなく、そのジョブのジョブデータおよび画像データが記憶装置54に保存され続ける。そして、利用者からのコマンドによって保留状態は解除され、保留状態の解除されたジョブは出力状態または待機状態に移行するようになっている。
また、本実施形態では、ジョブが保留状態に移行した場合、このジョブを入力した利用者に対してジョブを保留状態にしたことを示す電子メールが送信されるようになっている。ここで、電子メールの送信手法について以下に説明する。
本実施形態では、記憶装置54において、利用者のユーザIDと当該利用者のパスワードと当該利用者のメールアドレスとが対応付けられて記憶されている。ここで、利用者は、複合機50を使用するに際し、操作パネル57からパスワードを入力すると共に、ICカードに記憶されているユーザID(利用者ID)をリードライト部58に読み取らせる。そして、認証部59eは、ユーザIDおよびパスワードを用いて利用者認証を行う。つまり、認証部59eは、入力されたパスワードおよび読み取られたユーザIDの組み合わせが記憶装置54に記憶されているものと一致する場合、パスワードを入力した利用者を真正利用者として判定する。さらに、この利用者が複合機50を操作してジョブを入力すると、この利用者のユーザIDを基にしてジョブデータが作成される。そして、図示しないメール処理部は、このジョブが保留状態に移行すると、当該ジョブのジョブデータにおけるユーザIDに対応付けられているメールアドレスを記憶装置54から読み出し、このメールアドレスに前記電子メールを送信するようになっている。このようにして、保留状態にされたジョブを入力した利用者に対し、ジョブを保留状態にしたことを示す電子メールが送信されるようになっている。
つぎに、本実施形態のジョブ制御部59cについて説明する。本実施形態のジョブ制御部59cは、実施の形態1と同様、複写モード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードにおける印刷・送信・ファイリング等の出力処理の実行前において、各モードにおいて出力処理の対象となる画像のプレビューを表示部57aに表示させる機能を有している。
しかし、本実施形態のジョブ制御部59cは、表示部57aにプレビューが表示されている間に複合機50に対する利用者の操作のない状態が所定時間続いた場合、表示されているプレビューの画像を出力するジョブを複合機50に実行させるのではなく、表示されているプレビューの画像を出力するジョブを前記保留状態にするようになっている。
つまり、複写モード、ファクシミリ受信モード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、表示部57aにプレビューが表示されている間、利用者が複合機50に対して所定時間何らの操作も行わない場合、ジョブ制御部59cは、利用者からのコマンドがなくとも、表示されているプレビューの画像を出力(印刷,送信)するジョブを強制的に保留状態にする。そして、保留状態に移行したジョブは、図4のジョブリストにおいて「保留」として示されることになる。
また、本実施形態の予告部59dは、利用者からのコマンド無しでジョブが保留状態にされる前に、保留状態にされることを予告するメッセージを表示部57aに表示する。図2(b)は、本実施形態において、予告部59dによって表示部57aに表示される画像であり、ジョブが強制的に保留状態にされる事を予告するメッセージを示した画像である。また、図2(b)の画像には、保留コマンドを入力するためのYesボタン、および、図2(b)の画像の表示を終了させるためのNoボタンも示されている。
つぎに、本実施形態におけるジョブ制御部59cの処理について図5を用いてさらに詳細に説明する。図5は、実施の形態2においてのジョブ制御部59cの処理の流れを示したフローチャートである。なお、以下では複写モードにおける処理を例にして図5の内容を説明する。
まず、図5のS21〜S26については、図3のS1〜S6と同じ内容であり、ここではその説明を省略する。また、S22の第1閾値時間もS2の第1閾値時間と同様に60秒であり、S24の単位時間もS4の単位時間と同様に0.01秒とするが、これら値に限定されるものではない。
そして、S24の待機中に利用者が操作パネル57を操作して出力コマンドを入力した場合(S26およびS27にてNO,S33にてYES)、ジョブ制御部59cは、表示されているプレビューに対応する画像の出力(印刷)をプリント部53に実行させ、ジョブを終了する。なお、ジョブの終了に伴い、プレビューの表示も終了するようになっている。
また、S24の待機中において、利用者が操作パネル57を用いて出力コマンドの入力以外の操作を行った場合、ジョブ制御部59cは処理をS21に戻すようになっている(S26,S27,およびS33にてNO)。
これに対し、S24の待機中において利用者による操作が無い場合(S26にてYES)、ジョブ制御部59cは、カウンタの値が閾値時間以上になっているか否かを判定する(S28)。カウンタの値が閾値時間以上ではない場合(S28にてNO)、ジョブ制御部59cは、処理をS24に戻すようになっている。
そして、S24〜S26,S28が繰り返し実行され、カウンタの値が閾値時間以上になった場合(S28にてYES)、ジョブ制御部59cは、ループカウント2(出力確認状態)が設定されているかを判定する(S29)。ここで、最初にS29に到達した場合、設定されているのはループカウント1であってループカウント2ではないため、図5に示すように、ジョブ制御部59cは処理をS30に移行する。
S30では、ジョブ制御部59cは予告部59dに指示を出し、この指示を受けた予告部59dは、図2(b)に示す画像を表示部57aに表示することで、後にジョブが強制的に保留状態になる事を利用者に予告するようになっている。また、S30において図2(b)に示す画像が表示されることにより、利用者は保留コマンドを入力できるようになる。なお、図2(b)に示す画像に表示する残り時間は、後述するS32にて設定される第2閾値時間であり、第2閾値時間は実施の形態1と同様に10秒であるものとする。但し、第2閾値時間は、10秒に限定されるものではなく、変更可能な値である。
S30の後、ジョブ制御部59cは、ループカウント1の設定を解消すると共にループカウント2を設定する(S31)。また、ジョブ制御部59cは、第1閾値時間の設定を解消すると共に第2閾値時間を閾値時間として設定し(S32)、処理をS23に移行させ、カウンタをリセットする。その後、S24〜S28が実行される。
そして、ループカウント2が設定されている状況下においては、図2(b)に示す画像が表示部57aに表示されているため、利用者は保留コマンドを入力することが可能になっている。そこで、ループカウント2が設定されている状況下において、S24の待機中に利用者が保留コマンドを入力した場合(S26にてNO,S27にてYES)、ジョブ制御部59cは、表示されているプレビューに対応する画像の出力(印刷)を実行するジョブを保留状態にする(S34)。S34の後、図示しないメール処理部は、保留にされたジョブの利用者のメールアドレスが記憶装置54に登録されているか否かを判定する(S35)。登録されている場合(S35にてYES)、メール処理部は、保留にされたジョブの利用者のメールアドレスに、ジョブを保留状態にしたことを示す電子メールを送信する(S36)。この電子メールが送信されると、処理が終了するようになっている。また、保留にされたジョブの利用者のメールアドレスが登録されていない場合(S35にてNO)、電子メールは送信されずに処理が終了するようになっている。なお、ジョブが保留状態にされると、当該ジョブにおけるプレビューの表示も終了する。
そして、S24〜S26,S28が繰り返し実行され、カウンタの値が閾値時間以上になると(S28にてYES)、ジョブ制御部59cは、再度、ループカウント2が設定されているかを判定する(S29)。ここで、2度目にS29に到達した場合はループカウント2が設定されているため、図5に示すように、ジョブ制御部59cは処理をS34に移行する。そして、ジョブ制御部59cは、利用者からの保留コマンドを受けないまま、表示されているプレビューに対応する画像の出力(印刷)を実行するジョブを強制的に保留状態にする(S34)。その後、利用者のメールアドレスが登録されている場合は利用者に対する電子メールの送信が行われた上で処理が終了し、メールアドレスが登録されていない場合は電子メールが送信されずに処理が終了するようになっている(S35,S36)。
以上示した図5の処理において第1閾値時間と第2閾値時間とを合わせた時間を所定時間とする場合、ジョブ制御部59cは、表示部57aにプレビューが表示されている間に複合機50に対する利用者の操作の無い状態が所定時間続くと、表示されているプレビューに対応する画像を出力するジョブを保留状態にするようになっている(S34)。それゆえ、プレビューを表示させたまま利用者が操作を行わない状況が続いても、所定時間が経過すると、表示されているプレビューに対応する画像を出力するジョブは強制的に保留状態にされてしまうため、当該ジョブを入力した利用者とは別の利用者が複合機50を利用することが可能になる。それゆえ、複合機50の能率の低下を抑制できるという効果を奏する。
また、複合機50にプレビュー表示をさせたまま、利用者が火急の用事で複合機50から離れてしまうような場合、ジョブを強制的に保留にすると共にプレビューの表示を終了するため、ジョブの内容についてセキュリティを確保できると共に、ジョブを再入力(例えば再スキャン)することなく、後にジョブに関する作業を再開できる。
また、図5の手順によれば、予告部59dは、利用者による操作の無い状態が前記所定時間よりも短い第1閾値時間続いた場合に、表示されているプレビューに対応するジョブを保留にすることを利用者に予告していることになる。それゆえ、利用者にとって不意にジョブが強制的に保留状態にされてしまうことを抑制できるという効果を奏する。例えば、ジョブの保留を望まずに出力を望む利用者からすれば、出力コマンド入力を行うことでジョブが強制的に保留にされてしまわないようにすることができる。
なお、図5の処理内容が、ファクシミリ受信モードにおける出力処理(印刷)にも適用されるものであり、ファクシミリ送信モードおよびイメージ送信モードにおける出力処理(送信)にも適用されるものであることは、図3の場合と同様である。
また、以上では、複合機50において利用者へのメール通知が有効に設定されていることを前提として説明したが、メール通知が有効に設定されていない場合、および、複合機50がメール通知機能を有さない場合、図5においてS35およびS36を使用せず、S34の後はENDに移行するようになっている。
さらに、本実施形態においても、予告部59dによる予告は特に行われなくてもよい。この場合、図5において、S21、S22、S27、S29〜S32を使用せず、S28でYESの場合は必ずS34に移行し、S26にてNOの場合は必ずS33に移行するように設定する。
さらに、以上では、S30において図2(b)の画像が表示されることによって、利用者は保留コマンドを入力できるようになる形態であるが、このような形態に限定されるものではない。例えば、プレビューの表示を開始すると共に、保留コマンドを入力するためのGUIをプレビューと共に表示部57aに表示させれば、プレビューが表示されている間は常に保留コマンドを入力することが可能となる。
また、図5の処理によって保留に設定されたジョブは、保留状態のジョブとしてジョブリストに登録されることになる。そして、ジョブリストに登録されているジョブのうち保留状態のジョブが利用者に選択され、選択されたジョブの保留状態を解除する解除コマンドおよびプレビューコマンドが利用者によって入力されると、ジョブ制御部59cは、当該ジョブにて出力の対象となる画像のプレビューを表示部57aに再度表示し、図5の処理を再度開始する。
また、ユーザビリティ向上のため、利用者が複合機50に対して操作を開始すると、この開始時点で保留状態になっているジョブのみからなるジョブリストを表示部57aに表示するようになっていてもよい。その際に表示する内容としては、図4の「モード」「時刻」の他、ジョブにおいて処理対象となる画像のサムネイル(複数頁存在する場合は1ページ目の画像)がある。また、モードや時刻でリスト表示をフィルタすることができるようにしてもよい(例えば、フィルタ条件として「複写モード」とすれば、複写モード以外のモードのジョブはリストからはずれて当該ジョブに関する情報は表示されなくなる)。
さらに、複合機50を操作している利用者のジョブのみに限定して、保留状態になっているジョブのみからなるジョブリストを表示する形態であってもよい。以下、この形態について説明する。まず、利用者は、複合機50を使用するに際してパスワードおよびユーザIDを入力する。そして、認証部59eは、入力されたパスワードおよびユーザIDを用いて利用者認証を行い、この利用者認証後、入力されたユーザIDに対応する保留状態のジョブを記憶装置54から検索する。さらに、認証部59eは、入力されたユーザIDに対応する保留状態のジョブがある場合、そのユーザIDに対応するジョブのみからなるジョブリストを表示する。
また、S36において、ジョブを保留状態にしたことを示す電子メールを送る際、保留状態にしたジョブのジョブIDも電子メールに記述しておく。そして、利用者が当該電子メールを複合機50に返信すると、当該ジョブの保留状態が解除されて出力が行われるようにしてもよい。また、ネットワーク経由で複合機50へアクセスして、ファイリング情報を参照し、出力を指示してもよい。
さらに、図5において、S29からS34に移行することでジョブが強制的に保留状態にされた場合、保留状態にされたことを利用者が認識していない可能性がある。そして、利用者の認識していない保留ジョブが記憶装置54に蓄積されると、記憶装置54の容量が枯渇する可能性もある(通常、保留状態でないジョブは実行されると記憶装置54から消去されるが、保留状態のジョブはユーザから特に指示がない場合は残り続ける)。それゆえ、ある一定期間(例えば、1日や1週間)経過すると保留ジョブを記憶装置54から消去するようにしてもよい。
なお、ジョブリストを用いた処理はやや複雑であるため、実施の形態2は複合機50の使用に慣れている利用者(例えば、複合機50の設置されているオフィスの利用者)に向いているといえる。これに対し、実施の形態2よりも処理内容の単純な実施の形態1は、複合機50の使用に不慣れな利用者向きといえる。
〔実施の形態3〕
実施の形態3は、表示部57aに表示されているプレビューに対応するジョブの内容に応じて下記の第1制御処理および第2制御処理のうちのいずれかの制御処理が選択され、表示部57aにプレビューが表示されている間に複合機50に対する利用者の操作の無い状態が所定時間続いた場合には前記選択された制御処理を実行する形態である。
第1制御処理:表示部57aに表示されているプレビューに対応するジョブを複合機50に実行させる。
第2制御処理:表示部57aに表示されているプレビューに対応するジョブを保留状態にする。
つまり、実施の形態3は、プレビューが表示されている間に利用者の操作の無い状態が所定時間続いた場合はジョブを複合機50に実行させるという実施の形態1の処理と、プレビューが表示されている間に利用者による操作の無い状態が所定時間続いた場合はジョブを保留にするという実施の形態2の処理とのいずれかを選択して実行するものである。なお、本実施形態の各部材は、特に説明の無い限り、実施の形態1および実施の形態2において同じ番号の付された部材と同じ機能を有するものとする。
本実施形態では、記憶装置54には、図6に示される条件・処理テーブルが予め保存されている。この条件・処理テーブルとは、図6に示すように、ジョブの条件(ジョブの内容)を示した条件情報(内容情報)と、当該ジョブの条件に適した制御処理を示した処理情報との対応関係を示したテーブルである。なお、処理情報には、第1制御処理および第2制御処理のうちのいずれかが示される。
そして、本実施形態では、ジョブ制御部59cは、記憶装置54にアクセスして条件・処理テーブルを参照し、表示されているプレビューに対応するジョブの条件と同一条件の条件情報を検索し、検索にて抽出された条件情報に対応付けられている処理情報を検出する。そして、ジョブ制御部59cは、表示部57aにプレビューが表示されている間に利用者による操作の無い状態が所定時間続いた場合、検出した処理情報に示される制御処理を実行する。
つまり、ジョブ制御部59cは、図6の条件・処理テーブルを参照して、表示部57aに表示されているプレビューに適した制御処理として、第1制御処理および第2制御処理のうちのいずれかを選択する。そして、ジョブ制御部59cは、表示部57aにプレビューが表示されている間に利用者による操作の無い状態が所定時間続いた場合には選択した制御処理を実行する。
図6の内容からすれば、表示されているプレビューに対応するジョブが複写モードにおけるカラー印刷の場合、ジョブ制御部59cは第2制御処理を選択するようになっている。また、表示されているプレビューに対応するジョブが複写モードにおけるモノクロ印刷で10枚未満の印刷の場合、ジョブ制御部59cは第1制御処理を選択するようになっている。
つぎに、本実施形態におけるジョブ制御部59cの処理について図7を用いてさらに詳細に説明する。図7は、実施の形態3においてのジョブ制御部59cの処理の流れを示したフローチャートである。
なお、以下では複写モードにおける処理を例にして図7の内容を説明する。それゆえ、図7のSTARTの時点において、複写モードにて印刷対象とされる画像のプレビューの表示が開始されるものとする。また、実施の形態2では、ジョブを保留にする保留コマンドの入力は図2(b)の画像が表示されてからでなければ行えなかったが、本実施の形態では、プレビューの表示中は保留コマンドの入力を行えるようになっている。
まず、図7のS41〜S46については、図3のS1〜S6と同じ内容であり、ここではその説明を省略する。また、S42の第1閾値時間もS2の第1閾値時間と同様に60秒であり、S44の単位時間もS4の単位時間と同様に0.01秒とするが、これら値に限定されるものではない。
そして、図7のS44の待機中に利用者が操作パネル57を操作して出力コマンドを入力した場合(S46にてNO,S47にてYES)、ジョブ制御部59cは、表示されているプレビューに対応する画像の出力(印刷)をプリント部53に実行させ、ジョブを終了する。なお、ジョブの終了に伴い、プレビューの表示も終了するようになっている。
また、S44の待機中において、利用者が操作パネル57を用いて保留コマンドを入力した場合(S46およびS47にてNO,S48にてYES)、ジョブ制御部59cは、表示されているプレビューに対応する画像の出力(印刷)を実行するジョブを保留状態にする(S49)。なお、ジョブが保留状態に移行されるに伴い、当該ジョブのプレビューの表示も終了するようになっている。
さらに、S44の待機中に利用者が操作パネル57を操作して出力コマンドの入力および保留コマンドの入力以外の操作を行った場合(S46,S47,およびS48にてNO)、ジョブ制御部59cは処理をS41に戻すようになっている。
これに対し、S44の待機中において利用者による操作が無い場合(S46にてYES)、ジョブ制御部59cは、カウンタの値が閾値時間以上になっているか否かを判定する(S50)。カウンタの値が閾値時間以上ではない場合(S50にてNO)、ジョブ制御部59cは、処理をS44に戻すようになっている。
そして、S44〜S46,S50が繰り返し実行され、カウンタの値が閾値時間以上になった場合(S50にてYES)、ジョブ制御部59cは、ループカウント2(出力確認状態)が設定されているかを判定する(S51)。ここで、最初にS51に到達した場合、設定されているのはループカウント1であってループカウント2ではないため、図7に示すように、ジョブ制御部59cは処理をS52に移行する。
S52において、ジョブ制御部59cは、図6の条件・処理テーブルを参照し、表示部57aに表示されているプレビューに対応するジョブの内容に応じて、第1制御処理および第2制御処理のうちのいずれかの制御処理を選択する。
第1制御処理:表示部57aに表示されているプレビューに対応するジョブを複合機50に実行させる。
第2制御処理:表示部57aに表示されているプレビューに対応するジョブを保留状態にする。
S52の後、ジョブ制御部59cは予告部59dに指示を出し、この指示を受けた予告部59dは、S52にて選択した制御処理を後に行う事を利用者に予告する(S53)。具体的に、予告部59dは、S52にて第1制御処理を選択した場合は、図2(a)に示す画像を表示部57aに表示することで、後に印刷される事を利用者に予告する。また、予告部59dは、S52にて第2制御処理を選択した場合は、図2(b)に示す画像を表示部57aに表示することで、後にジョブが保留状態になる事を利用者に予告するようになっている。
なお、図2(a)または図2(b)に示す画像に示される残り時間は、後述するS55にて設定される第2閾値時間であり、第2閾値時間は実施の形態1、2と同様に10秒であるものとする。但し、第2閾値時間は、10秒に限定されるものではなく、変更可能な値である。
S53の後、ジョブ制御部59cは、ループカウント1の設定を解消すると共にループカウント2を設定する(S54)。また、ジョブ制御部59cは、第1閾値時間の設定を解消すると共に第2閾値時間を閾値時間として設定し(S55)、処理をS43に移行させ、カウンタをリセットする。その後、S44〜S50が実行される。
そして、S44〜S46,S50が繰り返されることによってカウンタの値が閾値時間以上になると(S50にてYES)、ジョブ制御部59cは、ループカウント2(出力確認状態)が設定されているかを判定する(S51)。ここで、2度目にS51に到達した場合はループカウント2が設定されているため、図7に示すように、ジョブ制御部59cは処理をS56に移行する。
S56では、ジョブ制御部59cは、S52にて選択した制御処理を実行し、処理を終了する。なお、プレビューの表示も終了する。つまり、S56において、表示されているプレビューに対応するジョブの実行、および、表示されているプレビューに対応するジョブを保留状態へ移行させる処理のいずれかが行われるようになっている。なお、図6の例によれば、プレビューに対応するジョブの内容がカラー印刷である場合、S56にてジョブが保留されることになる。また、プレビューに対応するジョブの内容がモノクロ印刷であって印刷枚数が10枚未満である場合、S56にてジョブが実行されることになる。また、プレビューに対応するジョブの内容がモノクロ印刷であって印刷枚数が10枚以上の場合、S56にてジョブが保留状態にされることになる。
以上示した図7の処理において、第1閾値時間と第2閾値時間とを合わせた時間を所定時間とする場合、ジョブ制御部59cは、プレビューが表示されている間に複合機50に対する利用者の操作の無い状態が所定時間続くと、前記プレビューに対応するジョブを複合機50に実行させる第1制御処理、および、前記プレビューに対応するジョブを保留状態にする第2制御処理のいずれかを実行するようになっている(S56)。それゆえ、プレビューを表示させたまま利用者が操作を行わない状況が続いても、所定時間が経過すると、表示されているプレビューに対応する画像を出力するジョブが強制的に実行されるか保留状態にされてしまうため、当該ジョブを入力した利用者とは別の利用者が複合機50を利用することが可能になる。それゆえ、複合機50の能率の低下を抑制できるという効果を奏する。
また、ジョブ制御部59cは、図6に示される条件・処理テーブルを参照して、第1制御処理および第2制御処理のうち、表示されているプレビューに対応するジョブに適した制御処理を選択している。それゆえ、第1制御処理および第2制御処理のうち、ジョブの内容に応じた制御処理が実行されることになる。例えば、ジョブの内容がファクシミリ送信処理である場合、送信料金が発生するため、実行の適否を利用者に確認する必要性が高く、図6に示すように、第2制御処理(保留)が適している。また、ジョブの内容がカラー印刷または所定枚数以上の印刷である場合、コスト高であるため、実行の適否を利用者に確認する必要性が高く、図6に示すように、第2制御処理が適している。さらに、ジョブの内容が所定量以上のデータ量のイメージ送信である場合、データ量が多すぎて送信先の相手に迷惑をかける可能性があるため、実行の適否を利用者に確認する必要性があり、第2制御処理が適している。また、ジョブの内容が枚数少のモノクロ印刷である場合、コスト高ではないため実行の適否を利用者に確認する必要性が少ない点と、保留ジョブの蓄積をできるだけ抑制するという点とから、第1制御処理が適している。
また、図7の手順によれば、予告部59dは、S56で第1制御処理が行われる予定の場合、表示されているプレビューに対応するジョブを実行することを利用者に予告し、S56で第2制御処理が行われる予定の場合、表示されているプレビューに対応するジョブが保留状態にされることを利用者に予告していることになる(S53)。それゆえ、利用者にとって不意にジョブが強制的に実行されることや、利用者にとって不意にジョブが強制的に保留状態にされてしまうことを抑制できるという効果を奏する。例えば、ジョブの保留を望まずに出力を望む利用者からすれば、出力コマンド入力を行うことでジョブが保留にされてしまわないようにできる。また、ジョブの出力を望まずに保留を望む利用者からすれば、保留コマンドを入力することでジョブが出力されてしまわないようにできる。また、何らかの操作を行うことにより(S48にてNO)、プレビューの表示を継続できる。
また、本実施形態においても、予告部59dによる予告は特に行われなくてもよい。この場合、図7において、S53は使用されず、S52の後はS54に移行するように設定される。
また、図7においては示されていないが、S49が実行された後、および、S56において第2制御処理が行われた後、図5のS35およびS36を実行するようにしてもよい。これにより、ジョブが保留状態にされるときは、そのことを示す電子メールを利用者に送信できる。
なお、図7の処理内容が、ファクシミリ受信モードにおける出力処理(印刷)にも適用されるものであり、ファクシミリ送信モードおよびイメージ送信モードにおける出力処理(送信)にも適用されるものであることは、図3または図5の場合と同様である。
また、実施の形態3は第1制御処理および第2制御処理のいずれを選択するのかをジョブの内容に応じて決定する形態であるが、このような形態に限定されるものではない。
例えば、ジョブ制御部59cは、S52において、保留状態にされている全てのジョブのデータ量の累計である総データ量が所定量(例えば16ギガバイト)以上であるか否かを判定し、前記総データ量が所定量以上であれば第1制御処理を選択し、前記総データ量が所定量未満であれば第2制御処理を選択するようになっていてもよい。この構成によれば、保留されているジョブが過剰になることによってコンピュータのリソースが無駄に消費されてしまうことを抑制できる。なお、保留状態のジョブのデータは記憶装置54に保存されているため、ジョブ制御部59cは記憶装置54にアクセスすることによって前記総データ量を検知できる。
また、ジョブ制御部59cは、S52において、記憶装置54にて記憶されている保留ジョブ(保留状態のジョブ)の数が所定数(例えば16)以上であるか否かを判定し、前記保留ジョブの数が所定数以上であれば第1制御処理を選択し、前記保留ジョブの数が所定数未満であれば第2制御処理を選択するようになっていてもよい。この構成によれば、保留されているジョブの数が過剰になることを抑制でき、利用者が所望の保留ジョブを検索する時の手間を抑制できるという効果を奏する。つまり、利用者が所望の保留ジョブを検索する際、保留ジョブの一覧リストを表示させて所望の保留ジョブを目視で検索するようなケースも想定されるが、保留されているジョブの数が過剰であれば、検索に手間がかかるため、保留されているジョブの数が過剰になることは好ましくない。
以上にて説明した複合機50において、利用者認証が不要な形態(例えば図3)しか実行しないような場合、リードライト部58および認証部59eは特に設けられていなくてもよい。また、以上にて説明した複合機50では、ユーザIDは、リードライト部58から入力されるようになっているが、操作パネル57のキーボードから入力されるようになっていてもよい。
以上示したように、本実施形態は、画像を出力するジョブと前記ジョブの実行前に前記画像のプレビューを表示部に表示する処理とを実行する画像出力装置を制御し、前記ジョブを保留状態にすると共に当該保留状態を解除することが可能であって、保留状態のジョブよりも保留状態ではないジョブを優先して前記画像出力装置に実行させる制御装置において、前記表示部に表示されているプレビューに対応するジョブを前記画像出力装置に実行させる第1制御処理、および、前記表示部に表示されているプレビューに対応するジョブを前記保留状態にする第2制御処理のうちのいずれかを選択し、前記プレビューが表示されている間に前記画像出力装置に対する操作の無い状態が所定時間続いた場合、前記選択した制御処理を実行するジョブ制御部を有することを特徴とする。この特徴によれば、プレビューを表示させたまま利用者が操作を行わない状況が続いても、所定時間が経過すると、表示されているプレビューに対応する画像を出力するジョブが強制的に実行されるか保留状態にされてしまうため、当該ジョブを入力した利用者とは別の利用者が画像出力装置を利用することが可能になる。それゆえ、画像出力装置の能率の低下を抑制できるという効果を奏する。
また、本実施形態において、前記ジョブ制御部は、ジョブの内容を示した内容情報と当該内容に適した制御処理を示した情報であり第1あるいは第2制御処理のいずれかを示した情報である処理情報との対応関係を予め記憶した記憶部を参照して、前記プレビューに対応するジョブの内容に適した制御処理を選択することが好ましい。これにより、第1制御処理および第2制御処理のうち、前記プレビューに対応するジョブの内容に適した制御処理が実行されるという効果を奏する。例えば、ジョブの内容がカラー印刷である場合、コスト高であるため実行前に利用者に確認することが好ましく、第2制御処理が適している。これに対し、ジョブの内容が枚数少のモノクロ印刷である場合、コスト高の問題がない点と、保留ジョブの蓄積をできるだけ抑制するという点とから、第1制御処理が適している。
また、本実施形態の制御装置において、前記ジョブ制御部は、保留状態にされている全てのジョブのデータ量の累計である総データ量が所定量以上であれば第1制御処理を選択し、前記総データ量が所定量未満であれば第2制御処理を選択するようになっていてもよい。この構成によれば、保留されているジョブが過剰になることによってコンピュータのリソースが無駄に消費されてしまうことを抑制できる。
さらに、本実施形態の制御装置において、前記ジョブ制御部は、保留状態にされているジョブの数である保留ジョブ数が所定数以上であれば第1制御処理を選択し、前記保留ジョブ数が所定数未満であれば第2制御処理を選択するようになっていてもよい。この構成によれば、保留されているジョブの数が過剰になることを抑制でき、利用者が所望の保留ジョブを検索する時の手間を抑制できるという効果を奏する。つまり、利用者が所望の保留ジョブを検索する際、保留ジョブの一覧リストを表示させて所望の保留ジョブを目視で検索するようなケースも想定されるが、保留されているジョブの数が過剰であれば、検索に手間がかかるため、保留されているジョブの数が過剰になることは好ましくない。
また、本実施形態の制御装置は、前記構成に加えて、前記第1制御処理が選択される場合は表示部に表示されているプレビューに対応するジョブが実行されることを利用者に予告し、前記第2制御処理が選択される場合は表示部に表示されているプレビューに対応するジョブを前記保留状態にすることを利用者に予告する予告部を有し、前記予告部は、前記プレビューが表示されている間に前記画像出力装置に対する操作の無い状態が前記所定時間よりも短い閾値時間続いた場合に前記予告を行うことが好ましい。それゆえ、利用者にとって不意にジョブが実行されることを抑制でき、また、利用者にとって不意にジョブが保留状態にされてしまうことを抑制できるという効果を奏する。
また、本実施形態は、画像を出力するジョブと前記ジョブの実行前に前記画像のプレビューを表示部に表示する処理とを実行する画像出力装置を制御し、前記ジョブを保留状態にする処理と当該保留状態を解除する処理とを行い、保留状態のジョブよりも保留状態ではないジョブを優先して前記画像出力装置に実行させる画像出力装置の制御方法において、前記画像出力装置を制御する制御装置が、前記表示部に表示されているプレビューに対応するジョブを前記画像出力装置に実行させる第1制御処理、および、前記表示部に表示されているプレビューに対応するジョブを前記保留状態にする第2制御処理のうちのいずれかを選択し、前記プレビューが表示されている間に前記画像出力装置に対する操作の無い状態が所定時間続いた場合、前記選択した制御処理を実行することを特徴とする。
また、コンピュータを実施の形態1〜3の制御装置59の各部として機能させるプログラムを記録媒体に記録し、複合機50を制御するコンピュータに前記プログラムを読み取らせることで実施の形態1〜3を実現することもできる。なお、記録媒体とは、コンピュータに処理を実行させるためのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録したコンピュータ読み取り可能な媒体であり、持ち運び自在なリムーバブル媒体である。但し、マイクロコンピュータに処理を行われるために図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものをプログラムメディアとしてもよいし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置がプログラムメディアとして設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能になっている形態でもよい。
いずれの場合においても、格納されているプログラムコードはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムコードが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記記録媒体は、本体と分離可能に構成される記録媒体であってもよく、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等の半導体メモリ系を含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成である場合、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。なお、本実施形態は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。上記記録媒体がデジタルカラー複合機・複写機やコンピュータシステムに備えられるプログラム読み取り装置により読み取られることで、制御装置59の処理が実行される。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、ジョブにおいて処理対象となる画像のプレビューを表示可能な複合機としては様々なものがあるが、以下の参考例に記載のものもジョブにおいて処理対象となる画像のプレビューを表示可能である。なお、以下の参考例では、複合機を画像形成装置と称する。
〔参考例〕
つぎに、参考例について図に基づいて説明する。図8は、参考例の画像形成装置100の概略構成を示すブロック図である。
画像形成装置100は、コピーモード・プリントモード・ファクシミリ送信モード・ファクシミリ受信モード・イメージ送信モードの中からいずれかのモードが選択されると、選択されたモードを実行するデジタルカラー複合機である。
コピーモードとは、画像データを読み込み(原稿を読み取って画像データを生成し)、この画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。また、プリントモードとは、画像形成装置に接続されている端末装置から送られてくる画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。ファクシミリ送信モードとは、原稿を読み取って得られる画像データを電話回線によって外部装置に送信する通常のファクシミリモードと、前記画像データをメールに添付してインターネットによって送信するインターネットファクシミリモードとを意味する。ファクシミリ受信モードとは、外部装置から画像データをファクシミリにて受信し、受信した画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。イメージ送信モードとは、(1)原稿を読み取って生成した画像データを電子メールに添付して指定されたアドレスへ送信するモード(scan to e-mailモード)、(2)原稿を読み取って生成した画像データをユーザにより指定されたフォルダに送信するモード(scan to ftpモード)、(3)原稿を読み取って生成した画像データを画像形成装置100に装着されたUSBメモリなどに送信するモード(scan to usbモード)を意味する。なお、本参考例においては、画像処理の動作上から、ファクシミリ送信モードとイメージ送信モードとを上記のように分類している。
また、コピーモード・プリントモードが選択されている場合、利用者は、白黒画像を出力する白黒モード,フルカラーの画像を出力するフルカラーモード,利用者の所望する1色のみからなる単色画像を出力するシングルカラーモード,利用者の所望する1色と黒色とからなる2色画像を出力する2色カラーモードのいずれかを選択できるようになっている。
例えば、コピーモードまたはプリントモードにおいて、利用者がシングルカラーモードを選択した場合、上記単色画像が印刷されることになる。また、コピーモードまたはプリントモードにおいて、利用者が2色カラーモードを選択した場合、上記2色画像の画像データが印刷される。なお、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、利用者は、R(赤),G(緑),B(青),C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の中から所望の色を1つ選択することになる。
また、本参考例では、コピーモードにおいて、自動判別モードを設定することが可能である。この自動判別モードが設定されている場合、画像形成装置100は、複写対象がカラー原稿か白黒原稿であるかを判別する自動カラー判別処理(ACS)を行い、カラー原稿と判別される場合は上記のフルカラーモードで出力処理を行い、白黒原稿と判別される場合は上記の白黒モードで出力処理を行うようになっている。
画像形成装置100は、図8に示されるように、画像入力装置101、画像処理装置102、プリント部103、画像表示装置104、受信装置105、送信装置106、記憶装置107、制御部108を有している。
画像入力装置101は、コピーモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、原稿を読み取り画像データを生成する画像読取手段である。より具体的に説明すると、画像入力装置101は、CCD(Charge Coupled Device)を備えたスキャナ部を有し、原稿から反射してきた光を、RGBに色分解された電気信号(アナログの画像信号)に変換し、この電気信号を画像処理装置102に入力するものである。
なお、画像入力装置101は、上記のフルカラーモード,シングルカラーモード,2色カラーモードのいずれのモードが選択されている場合であっても、フルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。また、画像入力装置101は、画像処理装置102において前述した自動カラー判別処理が行われる場合であってもフルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。
画像処理装置102は、画像データ(画像信号)に対して画像処理を施す集積回路であり、ASIC(Application specific integrated circuit)から構成されるものである。この画像処理装置102は、図8に示すように、A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9、領域分離信号復号部10、画質調整部11、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、変倍部16、出力階調補正部17、中間調生成部18の各ブロックを有している。画像処理装置102に含まれる各ブロックの処理内容については後で詳述する。
なお、画像処理装置102は、コピーモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、画像入力装置101から送られてきた画像データに画像処理を行い、プリントモードにおいて、端末装置から送信されてきた画像データに画像処理を行い、ファクシミリ受信モードにおいて、外部装置から受信した画像データに画像処理を行うようになっている。そして、画像処理装置102は、コピーモード、プリントモード、ファクシミリ受信モードにおいて、画像処理を施した画像データをプリント部103に送信し、ファクシミリ送信モードにおいて、画像処理を施した画像データを送信装置106に送信するようになっている。また、画像処理装置102は、イメージ送信モードのscan to e-mailモードにおいて、画像処理を施した画像データをメール処理部(不図示)に送信し、scan to ftpモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のフォルダに送信し、scan to usbモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のUSBメモリに送信するようになっている。
プリント部(プリンタ)103は、画像処理装置102から送られてきた画像データの画像を記録媒体(例えば紙等)上に印刷(形成)するものであり、例えば、電子写真方式またはインクジェット方式を用いたカラープリンタを挙げることができる。なお、本参考例においての「印刷」とは、プリントモードにおける印刷、コピーモードでの印刷、ファクシミリ受信モードでの印刷のいずれかを意味する。
画像表示装置104は、画像形成装置100の操作パネル(不図示)に備えられている液晶ディスプレイであり、カラー画像の表示が可能な表示手段である。また、画像表示装置104は、タッチパネルに覆われており、画像形成装置100の入力インターフェイスとしての機能を有している。つまり、画像表示装置104には、画像形成装置100に対して各種コマンドの入力を行うためのGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)や操作ガイドが表示される。
また、本参考例の画像形成装置100では、コピーモードまたはファクシミリ受信モードにおいて、印刷実行前に、印刷対象となる画像のプレビューを画像表示装置104に表示することが可能になっている。さらに、本参考例の画像形成装置100では、ファクシミリ送信モードまたはイメージ送信モードにおける送信実行前において、送信対象となる画像のプレビューを画像表示装置104に表示することが可能になっている。
また、コピーモードまたはイメージ送信モードにおいて、フルカラーモードが選択されている場合はフルカラー画像のプレビューが表示され、シングルカラーモードが選択されている場合は単色画像のプレビューが表示され、2色カラーモードが選択されている場合は2色画像のプレビューが表示されるようになっている。
なお、画像表示装置104は、液晶ディスプレイに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ以外の表示手段(例えば、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等)であってもよい。
受信装置105は、電話回線またはインターネットに接続しており、ファクシミリ通信によって外部装置から画像データを受信する装置である。また、送信装置106は、電話回線またはインターネットに接続しており、画像入力装置101にて入力された画像データをファクシミリ通信によって外部装置へ送信する装置である。
記憶装置107は、画像処理装置102にて扱われる画像データを一旦保存するためのハードディスクである。
制御部108は、CPU(Central Processing Unit)あるいはDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含むコンピュータであり、画像形成装置100に備えられる各種ハードウェアを統括的に制御するものである。また、制御部108は、画像形成装置100に備えられる各ハードウェア間のデータ転送を制御する機能も有する。
つぎに、コピーモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードの各モードにおいて、画像処理装置102の各ブロックにて実行される処理の内容を詳細に説明する。なお、本参考例の画像処理装置102には、或るモードaが選択されている時は動作する一方で前記モードaとは異なるモードbが選択されている時は動作しないようなブロックが存在する(モードa、モードbは、コピーモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードのいずれかである)。また、画像処理装置102には、選択されているモードに応じて処理内容を変更するブロックも存在する。さらに、画像処理装置102には、選択されているモードが同じであっても、印刷用(送信用)の画像データの処理時は動作する一方でプレビュー用の画像データの処理時は動作しないようなブロックや、印刷用(送信用)の画像データの処理時とプレビュー用の画像データの処理時とで処理内容を変更するブロックが存在する。そこで、以下では、画像処理装置102に含まれる各ブロックにて実行される処理の内容について、モード別に説明すると共に、印刷処理時(または送信処理時)とプレビュー表示時とで分けて説明する。
(1)コピーモード
(1−1)印刷処理時
以下では、図8に基づいて画像処理装置102について説明するが、図8はコピーモード且つフルカラーモードにて印刷処理を行う際の画像処理装置102内の画像データの流れを示したものである事を述べておく。
A/D(アナログ・デジタル)変換部2は、画像入力装置101から送られてきたカラー画像信号(RGBアナログ信号)をデジタルの画像データ(RGBデジタル信号)に変換するブロックである。シェーディング補正部3は、A/D変換部2から送られてきた画像データに対して、画像入力装置101の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施すブロックである。入力処理部4は、シェーディング補正部3より送られてくるRGBの画像データのそれぞれに対してγ補正処理などの階調変換処理を施すブロックである。
原稿種別自動判別部5は、入力処理部4にてγ補正等の処理がなされたRGBの画像データ(RGBの濃度信号)に基づき、画像入力装置101にて読み取られた原稿の種別の判定を行う。ここで、判定される原稿の種別としては、文字原稿、印刷写真原稿、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿等がある。また、原稿種別自動判別部5は、上記画像データに基づき、読み取られた原稿がカラー原稿であるか白黒原稿であるのかの判別を行う処理である自動カラー判別処理(ACS:Auto Color Selection)やブランク原稿であるか否か(無地の原稿であるか否か)の判定処理も行うことができる。なお、原稿種別自動判別部5から出力されるRGBの画像データは、領域分離処理部6および圧縮部7に入力するようになっている。
領域分離処理部6は、原稿種別自動判別部5から送られてくるRGBの画像データに基づき、入力画像の画素毎に、当該画素がどのような画像領域に分類されるのかを判別し、この判別結果を示す領域分離信号を生成する処理を行う。ここで、領域分離処理部6において判別される画像領域には、黒文字領域,色文字領域,網点領域等がある。なお、領域分離処理は、画素毎に画像領域の判定を行う形態ではなく、複数の画素よりなるブロック毎に画像領域の判定が行われる形態であってもよい。
圧縮部7は、原稿種別自動判別部5から送られてくる画像データ(RGB信号)を符号化する処理を行うブロックである。なお、上記符号化は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式に基づいて行われる。
領域分離信号圧縮部8は、画素毎に生成された領域分離信号に対して圧縮処理を施すブロックである。なお、領域分離信号圧縮部8における圧縮処理は、例えば、可逆圧縮方法であるMMR(Modified Modified Reed)方式、MR(Modified Reed)方式に基づいて行われる。
制御部108は、圧縮部7から出力された符号化コード(符号化された画像データ)と領域分離信号圧縮部8から出力された領域分離信号コード(圧縮された領域分離信号)とを一旦記憶装置107に保存し、ファイリングデータとして管理する。そして、制御部108は、コピー出力動作が指示された場合、記憶装置107から上記の符号化コードおよび当該符号化コードに対応する領域分離信号コードを読み出し、復号部9、領域分離信号復号部10にそれぞれ引き渡す。
なお、制御部108は、上記符号化コードの保存アドレスまたはデータ名と、領域分離信号コードの保存アドレスとを対応付けて管理テーブルに記入する。つまり、制御部108は、当該管理テーブルを用いて、符号化コードおよび領域分離信号コードの読み出しまたは書き込みの制御を行っている。
復号部9は、上記符号化コードに対して復号化処理を施すことによって、上記符号化コードをRGBの画像データに伸張する。また、領域分離信号復号部10は、上記領域分離信号コードに対して復号化処理を施す。復号化した領域分離信号は、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、中間調生成部18に引き渡される。そして、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、中間調生成部18においては、画像領域の種類に応じて画像処理内容の切替えが行われる。
画質調整部11は、復号部9から送られてくるRGBの画像データについて、下地の検出を行って下地除去補正を行う。さらに、画質調整部11は、ユーザによって操作パネル(不図示)から入力される設定情報に基づいて、RGBのバランス(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさ、鮮やかさの調整を行う。
さらに、画質調整部11は、シングルカラーモードが選択されている場合、RGBの画像データを、RGBの補色となるCMYの画像データに変換する処理を行う。ここで、シングルカラーモードにおいてのRGBの画像データからCMYの画像データへの変換処理は、下記の式1を用いることによって実行される。なお、式1における係数r1〜r3は〔表1〕に基づいて定められる。例えば、利用者がシングルカラーモードにおいて所望の色としてシアンを選択している場合、〔表1〕の「Cyan」の欄に属するr1〜r3の値が参照され、r1=1,r2=0,r3=0が選択されることになる。
つまり、フルカラーモードの場合の画質調整部11からの出力は、図8に示されるように、RGBの画像データとなるところ、シングルカラーモードが選択されている場合の画質調整部11からの出力は、図9(a)に示されるように、CMYの画像データとなる。なお、2色カラーモードが選択されている場合の画質調整部11からの出力は、図9(b)に示されるように、RGBの画像データとなる。なお、図9(a)は、コピーモード且つシングルカラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものであり、図9(b)は、コピーモード且つ2色カラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものである。
また、画質調整部11にて実行される鮮やかさの調整は、式1のマトリクスのr1〜r3およびa1〜a3の各値を変更した上で当該マトリクスを用いることによって実現可能である。それゆえ、上記の鮮やかさの調整と、シングルカラーモードにおける画像データの変換処理(RGBからCMYへの変換)とについては、マトリクスを共用でき、画像処理回路を共用できる。よって、本参考例では、上記の鮮やかさの調整と、シングルカラーモードにおける画像データの変換処理とが、同じ処理部(画質調整部11)で行われるのである。
2色化処理部12は、2色カラーモードが選択されている場合、図9(b)に示すように、画質調整部11から出力されたRGBの画像データをCMYの画像データに変換する処理を行うブロックである。なお、2色カラーモードにおいてのRGBの画像データからCMYの画像データへの変換処理は、例えば、特開2007−28336号公報に記載されている〔実施例1〕または〔実施例2〕の手法にて実現できる。
また、2色化処理部12は、フルカラーモードが選択されている場合、図8に示されるように、画質調整部11から出力されたRGBの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま色補正部13へ引き渡す(スルーする)。さらに、2色化処理部12は、シングルカラーモードが選択されている場合、図9(a)に示すように、画質調整部11から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま色補正部13へ引き渡す(スルーする)。
色補正部13は、フルカラーモードが選択されている場合、2色化処理部12から出力されるRGBの画像データをCMYの画像データに変換する色補正処理を行うと共に、当該画像データに対して色再現性を高める処理を施すブロックである。なお、上記の色補正処理は、入力値(RGB)と出力値(CMY)とを対応付けたLUT(ルックアップテーブル)を作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
また、色補正部13は、シングルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、図9(a)(b)に示されるように、2色化処理部12から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま黒生成/下色除去部14へ引き渡す(スルーする)。
黒生成/下色除去部14は、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、色補正部13から出力されたCMYの画像データから黒(K)の画像データを生成する黒生成を行う一方、元のCMYの画像データから黒(K)の画像データを差し引いて新たなCMYの画像データを生成する処理を行うブロックである。これにより、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、図8および図9(b)に示されるように、CMYの画像データは黒生成/下色除去部14によってCMYKの4色の画像データに変換される。
また、黒生成/下色除去部14は、シングルカラーモードが選択されている場合、図9(a)に示されるように、色補正部13から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部15へ引き渡す(スルーする)。
なお、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、黒生成/下色除去部14の出力、および、黒生成/下色除去部14よりも後段の各ブロックの入出力は、図8のように、CMYKの画像データとなる。しかし、シングルカラーモードが選択されている場合、黒生成/下色除去部14の出力、および、黒生成/下色除去部14よりも後段の各ブロックの入出力は、図8とは異なり、CMYの画像データとなる。
空間フィルタ部15は、黒生成/下色除去部14より出力されるCMYKまたはCMYの画像データに対して、領域分離信号(領域識別信号)を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行っている。つまり、空間フィルタ部15では、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
変倍部16は、操作パネル(不図示)を介して利用者によって入力される変倍コマンド(印刷画像の倍率を示した情報)に基づいて、画像の拡大や縮小処理を行うブロックである。
出力階調補正部17は、変倍部16から出力された画像データに対して、用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理を行うブロックである。中間調生成部18は、誤差拡散法やディザ法を用いて、プリント部103において画像を印刷するために必要な階調再現処理(中間調生成処理)を実行するものである。
そして、中間調生成部18から出力されるCMYKまたはCMYの画像データはプリント部103に引き渡され、プリント部103は、当該画像データの画像を記録媒体(例えば紙等)上に印刷する。
(1−2)プレビュー表示時
つぎに、コピーモードにて印刷対象画像のプレビューを表示する場合に画像処理装置102の各ブロックにて実行される処理の内容を図10に基づいて説明する。図10は、図8の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、コピーモード且つフルカラーモードにてプレビュー表示を行う際の画像データの流れを示した図である。
なお、A/D変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9、画質調整部11、2色化処理部12の処理については、印刷処理時と同じであるため、以下ではその説明を省略する。
領域分離信号復号部10は、図10に示すように、プレビュー表示時において、復号化した領域分離信号を空間フィルタ部15および出力階調補正部17に引き渡す。
色補正部13は、フルカラーモードにおいて、RGBの画像データを入力する。なお、RGBの画像データは、スキャナ(画像入力装置101)の色空間に適合しているデータである。そして、色補正部13は、このRGBの画像データを画像表示装置104の色空間に適合するR’G’B’の画像データへ変換する処理を行う。
つまり、色補正部13は、スキャナの画像読取特性に適合したRGBの画像データを表示装置の表示特性に適合したR’G’B’の画像データに変換する処理を行っているのである。なお、RGBの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理も、入力値(RGB)と出力値(R’G’B’)とを対応付けたLUTを作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
そして、本参考例では、フルカラーモードにおいて、印刷処理時のRGBの画像データからCMYKの画像データへの変換処理と、プレビュー表示時のRGBの画像データからR’G’B’ の画像データへの変換処理とについて、画像処理回路を共用している。
ここで、図10は、図8と同様、フルカラーモードが選択されている場合の画像形成装置100を示したものであり、色補正部13は、フルカラーモードにおいて、RGBの画像データを入力するようになっている。しかし、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、図11(a)(b)に示すように、色補正部13はCMYの画像データを入力するようになっている。なお、図11(a)は、コピーモード且つシングルカラーモードにてプレビュー表示処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものであり、図11(b)は、コピーモード且つ2色カラーモードにてプレビュー表示処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものである。
そして、色補正部13は、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、CMYの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理を行う。つまり、色補正部13は、印刷処理の印刷特性に適合したCMYの画像データを表示装置の表示特性に適合したR’G’B’の画像データに変換する処理を行っているのである。なお、CMYの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理も、入力値(CMY)と出力値(R’G’B’)とを対応付けたLUTを作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
黒生成/下色除去部14は、図10および図11に示すように、シングルカラーモード,2色カラーモード,フルカラーモードのいずれのモードであっても、色補正部13から出力されたR’G’B’の画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部15へ引き渡す(スルーする)。
空間フィルタ部15は、黒生成/下色除去部14より出力されたR’G’B’の画像データに対して、領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行っている。つまり、空間フィルタ部15では、印刷処理時と同様、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
変倍部16は、空間フィルタ部15から出力されたR’G’B’の画像データからなる画像の画素数を画像表示装置104の画素数に変換する間引き処理(画素数を減少する処理)を行う。画像形成装置100の操作パネルに備えられる画像表示装置104は、印刷を行う画像データの解像度と比較すると低解像度であり、通常、極めて小型のディスプレイである。それゆえ、プレビュー表示時においては、画像データを間引く必要がある。また、変倍部16では、画像形成装置100に備えられる操作パネル(不図示)より入力される変倍コマンド(表示倍率を示す情報、例えば2〜4倍等の固定倍率)に基づいて画像の拡大や縮小処理がなされる。
出力階調補正部17は、変倍部16から出力されてきた画像データに対して、領域分離信号を基に出力γ補正処理を行っている。より具体的に説明すると、出力階調補正部17は、領域分離信号を基に、画像領域に応じて異なるガンマ曲線を選択し、画像領域毎に出力γ補正処理の内容を異ならせている。例えば、文字以外の領域に対しては、画像表示装置104の表示特性に応じたガンマ曲線が選択され、文字領域に対しては、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線が選択される。ここで、図12(a)は、画像表示装置104の表示特性に応じたガンマ曲線である。また、図12(b)の実線で示される曲線は文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線である。なお、図12(b)の破線は、画像表示装置104の表示特性に応じたガンマ曲線であり、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線と比較するために図示したものである。
なお、本参考例では、出力階調補正部17は、領域分離信号に基づいてガンマ曲線の選択を行っているが、領域分離信号による選択を行わないで図12(a)のガンマ曲線のみを用いて出力階調補正を行うようにしても良い。
そして、中間調生成部18は、出力階調補正部17から出力されたR’G’B’の画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の画像表示装置104へ引き渡す(スルーする)。これにより、画像表示装置104は、R’G’B’の画像データに基づいて、コピー対象となる画像のプレビューを表示できる。
なお、出力階調補正部17において実行されている出力γ補正処理は、画質調整部11にて実行されてもよい。
(1−3)各ブロックの動作/非動作について
以上のように、フルカラーモードの印刷時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12は動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図8参照)。これに対し、フルカラーモードのプレビュー表示時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12と黒生成/下色除去部14と中間調生成部18とは動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図10参照)。
また、2色カラーモードの印刷時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、色補正部13は動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図9(b)参照)。これに対し、2色カラーモードのプレビュー表示時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、黒生成/下色除去部14と中間調生成部18とが動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図11(b)参照)。
さらに、シングルカラーモードの印刷時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12と色補正部13と黒生成/下色除去部14とが動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図9(a)参照)。これに対し、シングルカラーモードのプレビュー表示時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12と黒生成/下色除去部14と中間調生成部18とが動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図11(a)参照)。
(1−4)処理手順について
つぎに、コピーモード且つフルカラーモードが選択されている場合の処理手順の一例を図13に基づいて説明する。図13は、コピーモード且つフルカラーモードが選択されている場合の画像形成装置の処理手順の一例を示したフローチャートである。
画像形成装置100は、コピーモードが選択され、スタートキーが押されると(S101にてYES)、原稿をスキャンすることによって(S102)、RGBのアナログ信号を生成する。なお、S101のスタートキーを押す前において、利用者は、プレビュー表示の要否を示す設定情報を入力することにより、画像形成装置100に対してプレビュー表示の有無を設定しているものとする。
S102の後、画像形成装置100は、RGBのアナログ信号をRGBの画像データ(デジタルデータ)に変換し(S103)、上記画像データに対してシェーディング補正を施し(S104)、シェーディング補正後のRGBの画像データに対して入力γ補正処理を施す(S105)。S105の後、画像形成装置100は、RGBの画像データに基づいて原稿種別判定処理および領域分離処理を行い(S106)、さらに、RGBの画像データを記憶装置107に保存する(S107)。
S107の後、画像形成装置100は、「プレビュー表示有」が設定されているか否かを判定し(S108)、「プレビュー表示有り」が設定されていない場合はS109〜S116を実行し、「プレビュー表示有」が設定されている場合はS117〜S123を実行することになる。以下では、まずS109〜S116について説明し、その後、S117〜S123について説明する。
「プレビュー表示有」が設定されていない場合(S108においてNO)、画像形成装置100は、RGBの画像データを記憶装置107から読み出し、下地除去補正や鮮やかさの調整等の画質調整処理を行う(S109)。その後、画像形成装置100は、スキャナの特性に応じたRGBの画像データを、プリンタの特性に応じたCMYの画像データに変換し(S110)、さらに、CMYの画像データをCMYKの画像データに変換する(S111)。その後、画像形成装置100は、領域分離処理の結果を基にCMYKの画像データに対して空間フィルタ処理を行い(S112)、空間フィルタ処理後のCMYKの画像データに対して変倍処理を施す(S113)。S113の後、画像形成装置100は、CMYKの画像データに対して出力γ補正処理および階調再現処理を行い(S114,S115)、当該画像データの画像を用紙に印刷し(S116)、処理を終了する。
S108において「プレビュー表示有」が設定されていると判定された場合(S108においてYES)、画像形成装置100は、RGBの画像データを記憶装置107から読み出し、S109の画質調整処理と同じ画質調整処理を行う(S117)。その後、画像形成装置100は、スキャナの特性に応じたRGBの画像データを、表示装置の特性に応じたR’G’B’の画像データに変換する(S118)。S118の後、画像形成装置100は、領域分離処理の結果を基にR’G’B’の画像データに対して空間フィルタ処理を行い(S119)、R’G’B’の画像データがディスプレイの解像度およびサイズに適合するものになるように当該R’G’B’の画像データに対して間引き処理を行う(S120)。S120の後、画像形成装置100は、領域分離処理の結果を基に、R’G’B’の画像データに対して出力γ補正処理を行う(S121)。S121の後、画像形成装置100は、R’G’B’の画像データに基づいてプレビュー表示を行う(S122)。そして、S122の後、プリント許可を示すコマンドが利用者から入力されると(S123にてYES)、画像形成装置100は、記憶装置107に記憶されているRGBの画像データを再度読み出し、この画像データに基づいてS119〜S116の処理を実行して印刷を行う。これに対し、S122の後、プリント取消を示すコマンドが利用者から入力されると(S123にてNO)、画像形成装置100は処理を終了する。
(2)ファクシミリ送信モード
(2−1)送信処理時
図14は、図8の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、ファクシミリ送信モードにて送信処理を行う際の画像データの流れを示した図である。なお、A/D変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9の処理については、コピーモードの場合と同じであるため、以下ではその説明を省略する。
領域分離信号復号部10は、ファクシミリ送信モードでは、記憶装置107から領域分離信号コードを読み出して復号化し、復号化した領域分離信号を空間フィルタ部15へ送信する。
画質調整部11は、復号部9から出力されたRGBの画像データをKの画像データ(グレーの濃淡を示す値)に変換する。なお、この変換は、所定のマトリクス係数や下記の式2を用いることによって行われる。
輝度値(Kの画像データの値)=0.299r+0.587g+0.114b 式2
rは赤の画像データの値(濃度値)であり、gは緑の画像データの値であり、bは青の画像データの値である。
2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14は、画質調整部11から出力されたKの画像データ(信号)に対して何も処理を行わず、このKの画像データをそのまま後段の空間フィルタ部15へ引き渡す(スルーする)。
空間フィルタ部15は、Kの画像データに対して、領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理,平滑化処理等)を行っている。変倍部16は、送信解像度に応じてKの画像データに対して変倍処理を行う。出力階調補正部17は、変倍部16から出力されたKの画像データに対して出力γ補正処理(用紙等の記録媒体に出力するためのγ補正)を行う。中間調生成部18は、例えば誤差拡散法によって、Kの画像データを2値化画像データに変換する。そして、2値化画像データは、不図示の回転処理部によって必要に応じて回転処理がなされ、不図示の圧縮/伸張処理部によって所定の形式で圧縮されて、不図示のメモリに格納される。
その後、送信装置(例えば、モデム)106は、相手先との送信手続きを行い送信可能な状態を確保すると、上記メモリに格納されている2値化画像データを所定の形式で圧縮された状態で読み出し、圧縮形式の変更など必要な処理を施し、通信回線を介して当該2値化画像データを相手先に順次送信する。
(2−2)プレビュー表示時
図15は、図1の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、ファクシミリ送信モードにてプレビュー表示処理を行う際の画像データの流れを示した図である。なお、ファクシミリ送信モードにおけるプレビュー表示とは、ファクシミリ送信前において当該ファクシミリ送信する画像のプレビュー表示を行う処理を意味する。
プレビュー表示時において、A/D変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9、領域分離信号復号部10、画質調整部11、空間フィルタ部15の処理は、ファクシミリの送信処理時と同じであるため、その説明を省略する。また、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14での処理は、ファクシミリの送信処理時と同じように、スルーされる。
但し、プレビュー表示時においては、送信処理時と異なり、図15に示すように、画質調整部11から画像表示装置104に渡って各画素においてKの画像データを3つ送信するようにしている(全て同一値)。これは、フルカラー仕様である画像表示装置104が1画素に対して3つの値(画像データ)を必要とするからである。
変倍部16は、空間フィルタ部15から出力されたKの画像データからなる画像の画素数が画像表示装置104の表示サイズの画素数に適合するように、Kの画像データに対して間引き処理を行う。また、変倍部16では、画像形成装置100に備えられる操作パネル(不図示)より入力される変倍コマンド(表示倍率を示す情報、例えば2〜4倍等の固定倍率)に基づいて画像の拡大や縮小処理がなされる。
出力階調補正部17は、変倍部16から出力されたKの画像データに対して、画像表示装置104の表示特性に応じたγ補正を行う。そして、中間調生成部18は、出力階調補正部17から出力されたKの画像データに対して何も処理を行わず、当該Kの画像データをそのまま後段の画像表示装置104へ引き渡す(スルーする)。これにより、画像表示装置104は、Kの画像データに基づいて、ファックス送信の対象となる画像のプレビューを表示できる。
また、ファクシミリ送信モードのプレビュー表示処理時では、画質調整部11において、RGBの画像データが3つのKの画像データに変換される形態となっている。しかし、このような形態に限定されるものではなく、例えば、出力階調補正部17まではRGBの画像データをKの画像データに変換することなく画像処理を行い、出力階調補正部17から出力されたRGBの画像データをブラウザによってKの画像データに変換するような形態であってもよい。
(2−3)各ブロックの動作/非動作について
以上のように、ファクシミリ送信モードの送信処理時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14は動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図14参照)。これに対し、ファクシミリ送信モードのプレビュー表示時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、中間調生成部18は動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図15参照)。
(2−4)処理手順
つぎに、ファクシミリ送信モードにおける処理手順の一例を説明する。画像形成装置100において「プレビュー表示有り」の設定がされていない状態で、利用者によってファックス送信コマンドが入力された場合、図14に示されるように画像データが処理され、当該画像データが外部装置へ送信されることになる。
これに対し、画像形成装置100において「プレビュー表示有り」の設定がされている状態で、利用者によってファックス送信コマンドが入力された場合、図15に示されるように画像データが処理されることによって、当該画像データが記憶装置107に保存され、且つ、当該画像データの画像のプレビューが画像表示装置104に表示される。そして、プレビューが表示されている状態において送信許可を示すコマンドが利用者から入力されると、記憶装置107の画像データが読み出され、読み出された画像データは図14に示されるように復号部9〜中間調生成部18によって処理され、送信装置106によって外部装置に送信される。
(3)ファクシミリ受信モード
(3−1)印刷処理時
図16は、図8の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、ファクシミリ受信モードにて印刷処理を行う際の画像データの流れを示した図である。
ファクシミリを受信する場合、受信装置105が、通信手続きを行いながら相手先から送信されてくるKの画像データ(1ビット)を受信する。そして、受信装置105にて受信されたKの画像データは、圧縮/伸張処理部(不図示)にて伸張処理が施され、回転処
理部(不図示)にて必要に応じて回転処理が施され、解像度変換部(不図示)にて必要に応じて解像度変換処理が行なわれる。その後、当該画像データは、一旦、記憶装置107に保存される。
さらに、記憶装置107に書き込まれた画像データは、制御部108によって画像処理装置102の復号部9に引き渡される。復号部9、画質調整部11、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、変倍部16、出力階調補正部17および中間調生成部18は、記憶装置107から送られてきた画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段のプリント部103へ引き渡す(スルーする)。プリント部103は、中間調生成部18より送られてきたKの画像データに基づいて記録媒体(例えば紙等)上に画像を形成する。なお、ファクシミリ受信モードにて印刷処理を行う場合、上記のように画像処理を行わないので、記憶装置107に格納されている画像データを直接プリント部103に出力するようにしても良い。
(3−2)プレビュー表示時
図17は、図8の画像形成装置100と同じ画像形成装置100を示すブロック図であり、ファクシミリ受信モードにてプレビュー表示処理を行う際の画像データの流れを示した図である。なお、ファクシミリ受信モードにおけるプレビュー表示とは、ファクシミリにて画像データを受信した場合、当該画像データの画像を印刷する前に印刷される画像のプレビュー表示を行う処理を意味する。
ファクシミリ受信モードにおけるプレビュー表示時においても、ファクシミリ受信モードにおける印刷処理時と同様、記憶装置107に書き込まれた画像データは、制御部108によって画像処理装置102の復号部9に引き渡される。復号部9は、記憶装置107から送られてきた画像データに対して何も処理を行わず、不図示のビット数変換処理部に当該画像データを引き渡す(スルーする)。そして、ビット数変換処理部は、復号部9から受け取った画像データのビット数を変換し(例えば1ビットから8ビットへ変換)、ビット数変換された画像データを後段の画質調整部11へ引き渡す。つまり、図示はしていないものの、図17において復号部9と画質調整部11との間にビット数変換処理部が備えられていることになる。
画質調整部11は、図17に示すように、画素毎に、1つのKの画像データを入力すると、このKの画像データを3つ生成して出力している(全て同一値)。これは、フルカラー仕様である画像表示装置104が1画素に対して3つの値を必要とするからである。
その後、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14は、画質調整部11から送られてきたKの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部15へ引き渡す(スルーする)。空間フィルタ部15は、Kの画像データに対してデジタルフィルタを用いてぼかし処理等を行う。
変倍部16は、空間フィルタ部15から出力されたKの画像データからなる画像の画素数が画像表示装置104の表示サイズの画素数に適合するように、Kの画像データに対して間引き処理を行う。また、変倍部16では、画像形成装置100に備えられる操作パネル(不図示)より入力される変倍コマンド(表示倍率を示す情報、例えば2〜4倍等の固定倍率)に基づいて画像の拡大や縮小処理がなされる。
出力階調補正部17は、変倍部16から出力されたKの画像データに対して、画像表示装置104の表示特性に応じた出力γ補正処理を行う。そして、中間調生成部18は、出力階調補正部17から出力されたKの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の画像表示装置104へ引き渡す(スルーする)。これにより、画像表示装置104は、Kの画像データに基づいて、ファックス受信された画像のプレビューを表示できる。
(3−3)各ブロックの動作/非動作について
以上のように、ファクシミリ受信モードの印刷処理時では、画質調整部11〜中間調生成部18は動作しない(図16参照)。これに対し、ファクシミリ受信モードのプレビュー表示時では、画質調整部11〜中間調生成部18のうち、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、中間調生成部18は動作しないが、それ以外のブロックは全て動作することになる(図17参照)。
(3−4)処理手順
つぎに、ファクシミリ受信モードの処理手順の一例を説明する。画像形成装置100においてファクシミリによって画像データが受信された場合、受信された画像データは一旦記憶装置107に書き込まれる。ここで、画像データが記憶装置107に書き込まれてから画像の印刷が行われるまでにはタイムラグがあるが、このタイムラグ中に利用者から「プレビューコマンド」が入力された場合、上記画像データは図17に示されるような流れで処理され、当該画像データの画像のプレビューが画像表示装置104に表示される。また、画像の印刷が行われる際は、図16に示されるような流れで処理され、当該画像データの画像がプリント部103にて印刷されることになる。
(4)イメージ送信モード
(4−1)送信処理時
イメージ送信モードの送信処理時にて画像形成装置100を動作させる場合、画像入力装置101、A/D変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9の処理内容は、コピーモードの場合と同じである。なお、領域分離信号復号部10は空間フィルタ部15および出力階調補正部17に対して領域分離信号を供給している。
そして、画質調整部11にて下色除去やカラーバランス調整が行われ、色補正部13において、一般に普及している表示装置の表示特性に適合したR”G”B”の画像データ(例えば、sRGBデータ)に変換され、空間フィルタ部15にて領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理,平滑化処理)が行われている。変倍部16にて画像の拡大や縮小処理が行われる。また、出力階調補正部17では、例えば、文字領域に対しては図12(b)のガンマ曲線を用いた補正が行われ、文字以外の領域に対しては図12(a)のガンマ曲線を用いた補正が行われる。なお、2色化処理部12、黒生成/下色除去部14は、入力される画像データに対して処理を行わず、この画像データをそのまま後段のブロックにスルーする。したがって、出力階調補正部17から出力されるのはR”G”B”の画像データである。
さらに、出力階調補正部17から出力されるR”G”B”の画像データは、図示しないフォーマット変換処理部にてPDFファイル等の画像ファイルに変換される。そして、イメージ送信モードのscan to e-mailモードにおいて、当該画像ファイルは図示しないメール処理部(ジョブ装置)にて電子メールに添付され、当該電子メールがネットワークを介して相手先に送信されることになる。また、イメージ送信モードのscan to ftpモードにおいて当該画像ファイルは所定のフォルダに送信され、イメージ送信モードのscan to usbモードにおいて当該画像ファイルは所定のUSBメモリに送信される。
(4−2)プレビュー表示時
イメージ送信モードのプレビュー表示時にて画像形成装置100を動作させる場合、画像入力装置101、A/D変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9、領域分離信号復号部10、画質調整部11、2色化処理部12の処理内容は、イメージ送信モードの送信時と共通である。
そして、イメージ送信モードのプレビュー表示時において、色補正部13は、RGBの画像データを画像表示装置104の色空間に適合するR’G’B’の画像データへ変換する処理を行う。
その後、送信時と同様、空間フィルタ部15にて領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理,平滑化処理)が行われている。変倍部16にて画像表示装置104のサイズに適合するように間引き処理が行われる。また、出力階調補正部17では、例えば、文字領域に対しては図12(b)のガンマ曲線を用いた補正が行われ、文字以外の領域に対しては図12(a)のガンマ曲線を用いた補正が行われる。
そして、出力階調補正部17から出力されるR’G’B’の画像データは画像表示装置104に供給され、画像表示装置104はR’G’B’の画像データに基づいてプレビュー表示を行う。
(5)変形例
図8に示した画像形成装置100では、圧縮画像データ(符号化コード)と領域分離信号コードとを対応付けて記憶装置107に格納している。しかし、図18に示す画像形成装置100aのように、画像入力装置101にて画像データを読み取った後、領域分離処理および原稿種別判別処理を行う前に、読み取った画像データを符号化して一旦記憶装置107に格納しておき、記憶装置107から読み出して復号化した画像データについて原稿種別判別処理や領域分離処理を施すように構成しても良い。
また、図8に示した画像形成装置100において、コピーモード・プリントモード・ファクシミリ送信モード・ファクシミリ受信モード・イメージ送信モード等を選択中に画像ファイリング処理を実行可能としてもよい。このファイリング処理とは、コピーモード等の選択中において、画像入力装置101にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データに基づいて画像ファイル(JPEG、TIFFファイル等)を作成し、この画像ファイルを記憶装置107に保存する処理である。
ここで、画像ファイリング処理では、画像入力装置101にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データは画像処理装置102にて画像ファイル(JPEG、TIFFファイル等)に変換され、その後、不図示のファイリング処理部に送られ、このファイリング処理部が上記画像ファイルを記憶装置107に保存するようになっている。
また、各モード(コピーモード・プリントモード・ファクシミリ送信モード等)の選択中においてプレビューを行う場合、ファイリング処理の実行の有無に拘わらず、画像入力装置101にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データは画像処理装置102にて処理され、その後、画像表示装置104に送られるようになっている。さらに、各モードの選択中においてプレビューを行う場合、画像ファイリング処理の実行の有無に拘わらず、画像処理装置102にて実行される画像処理の内容は同一である。例えば、コピーモードのプレビュー表示時、画像ファイリング処理の実行の有無に関係なく、画像処理装置102の処理内容は図10に示すものとなる。また、ファクシミリ送信モードのプレビュー表示時、画像ファイリング処理の実行の有無に関係なく、画像処理装置102の処理内容は図15に示すものとなる。
(6)本参考例の画像処理装置の利点について
本参考例の画像処理装置102は、コピーモード、プリントモードにおいて、印刷を行うプリント部(印刷装置)103に対して画像データを供給し、上記印刷の実行前に画像表示装置104にプレビューを表示させるために上記画像データを画像表示装置104に供給するものである。
そして、画像処理装置102は、プリント部103に供給される画像データに対して実行される第1画像処理と、画像表示装置104に供給される画像データに対して実行され且つ第1画像処理とは異なる第2画像処理とを、両画像処理に共通の回路領域を用いて実行する第1画像処理部を含んでいる。ここで、第1画像処理部の一例としては、コピーモード且つフルカラーモードにおける色補正部13が挙げられる。この色補正部13においては、RGBからCMYへの変換処理(第1画像処理)と、RGBからR’G’B’への変換処理(第2画像処理)とを共通の回路領域にて行っているからである。
これにより、印刷処理等用の画像処理のみならず、印刷処理前のプレビュー用の画像処理を行う画像処理装置であっても、画像処理回路の回路規模を抑制できるという効果を奏する。
また、本参考例では、コピーモード且つフルカラーモードの印刷時、色補正部13は、スキャナにて読み取られ且つスキャナの特性に応じた加法混色用の画像データ(RGB)を、プリント部103の特性に応じた減法混色用の画像データ(CMY)に変換する処理を行っている。これに対し、コピーモード且つフルカラーモードのプレビュー時、色補正部13は、スキャナにて読み取られ且つスキャナの特性に応じた加法混色用の画像データ(RGB)を、画像表示装置104の特性に応じた加法混色用の画像データ(R’G’B’)に変換する処理を行っている。つまり、プレビュー表示時、スキャナの特性に応じた加法混色用の画像データを画像表示装置104の特性に応じた加法混色用の画像データに直接変換している。したがって、本参考例の画像処理装置102によれば、コピーモード且つフルカラーモードのプレビュー表示時、RGBの画像データからR’G’B’の画像データへの1回の非線形変換を行っているものの、特開平9−135316号公報の構成のように複数回の非線形変換を行うことがないため、変換誤差の蓄積を抑制でき、色再現性の低下を抑制できる。なお、特開平9−135316号公報では、RGBのデータからCMYのデータへの変換、CMYのデータからCMYKのデータへの変換、CMYKのデータからCMYのデータへの変換、CMYのデータからRGBのデータへ変換の計4回の変換が行われているため、変換誤差が蓄積され、色再現性が低下してしまう。
また、本参考例では、コピーモード且つシングルカラーモードのプレビュー時、または、コピーモード且つ2色カラーモードのプレビュー時、上記非線形変換を行っているものの、非線形変換の回数は2回のみであるため、計4回の非線形変換を行っている特開平9−135316号公報の構成よりも色再現性の低下を抑制できる。
さらに、本参考例では、コピーモード且つフルカラーモードの印刷時、黒生成/下色除去部14においては、CMYの画像データをCMYKの画像データに変換する処理が行われる一方、コピーモード且つフルカラーモードのプレビュー表示時、黒生成/下色除去部14においては、R’G’B’に対して処理を施さずにそのまま出力している。これにより、CMYからCMYKに変換する処理(黒生成/下色除去処理)を行う必要がある印刷用の画像データと、黒生成/下色除去処理を行う必要の無いプレビュー用の画像データとについて、画像処理回路内での画像データの経路を共通にでき、回路構成を簡略化できる。
なお、本参考例の画像処理装置102においては、原稿種別自動判別部5の判別結果に基づく画像処理,領域分離処理部6の処理結果に基づく画像処理,下地除去処理を行うことが可能であり、これら処理の効果は画像表示装置104に表示されるプレビュー画像にも反映される。