JP5127229B2 - 二重機能性合成ガス変換の使用によるフィッシャートロプシュ設備からのco2放出の制御 - Google Patents

二重機能性合成ガス変換の使用によるフィッシャートロプシュ設備からのco2放出の制御 Download PDF

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Description

本発明は、合成ガス変換法からのCO放出の低減に関する。詳細には、本発明は、合成ガス変換法からのCO放出を低減するための多段フィッシャートロプシュ反応系の使用に関する。
天然ガス資源を、燃焼性液体燃料を含めた、より価値ある生成物へ変換することは、これらの天然ガス資源をより効率的に使用するために望ましい。天然ガスをより価値のある生成物に変換するには、一般に合成ガス生成を必要とする。合成ガス生成は、大部分メタンである天然ガスを、一酸化炭素と水素の混合物である合成のガス又は合成ガスへ変換することを伴う。合成ガスは、燃焼性液体燃料、メタノール、酢酸、ジメチルエーテル、オキソアルコール、及びイソシアナートを含む広範囲の生成物を製造するための供給原料として使用することができる。
遠隔天然ガス資源を、合成ガスを用いる従来の輸送燃料及び潤滑剤に変換するには主として2つの手法がある。天然ガスは合成ガスに変換した後、フィッシャートロプシュ法を行うことができ、又は、天然ガスは合成ガスに変換した後、メタノール合成を行うことができ、これに続いてメタノールガス化法(MTG)を行ってメタノールを高芳香族性ガソリンへ変換する。合成ガス生成はこれらのプロセス中最もコストのかかるステップである。これらのプロセスの重要な特徴は、望ましい生成物の形成を最適化し、合成ガス形成ステップの問題を回避するために、望ましいH/CO比率で合成ガスを製造することである。
合成ガスは3種類の主要な化学反応から生成することができる。第1の反応はメタンの蒸気改質を含む。このプロセスから形成される一酸化炭素に対する水素の比率は、典型的に約3.0である。合成ガス生成の第2のプロセスは、メタンの乾燥改質又は二酸化炭素とメタンの間の反応が係わる。この方法の魅力的な特徴は、二酸化炭素が合成ガスに変換されることであるが、この方法には急速な炭素堆積の問題がある。炭素の堆積又はコークス形成反応は合成ガスを生成する反応とは別の反応であり、合成ガス形成反応器の後に起きる。しかし、乾燥改質におけるメタンの反応は、緩慢過ぎて、変換率を高くするためには長い滞留時間が必要であり、これらの長い滞留時間はコークスの形成を招く。このプロセスから形成される一酸化炭素に対する水素の比率は、典型的に約1.0である。合成ガス生成の第3のプロセスは酸素を用いるメタンの部分酸化が係わる。このプロセスから形成される一酸化炭素に対する水素の比率は、典型的に約2.0である。しかし、産業的な実施では、炭素の形成を制御するために典型的にいくらかの量の蒸気が部分酸化改質器に加えられ、蒸気の添加はH/CO比率を2.0より大きく増加させる傾向がある。
合成ガスの使用プロセスにおいて理想的に望ましいH/CO比率を超える比率の合成ガスを製造し、次いで過剰の水素を除去して比率を望ましい値に調節することが可能である。しかし、H除去プロセスは高価なH分離系を用い、使用によって汚染され、性能が劣化し易い。
フィッシャートロプシュ法及びMTG法の両方とも利点と欠点を有する。例えば、フィッシャートロプシュ法は高パラフィン性生成物を形成する利点を有する。高パラフィン性生成物は、それらが優れた燃焼及び潤滑特性を示すので望ましい。不幸にも、フィッシャートロプシュ法の欠点は、フィッシャートロプシュ法が天然ガス資源を販売可能な生成物に変換する間に比較的大量のCOを放出することである。MTG法の利点は、MTG法が高芳香族性ガソリン及びLPG画分(例えばプロパン及びブタン)を製造することである。しかし、MTG法によって製造された高芳香族性ガソリンは一般に従来のガソリンエンジンに使用するのに適しているが、高芳香族性MTGガソリンは、貯蔵の際に固体を形成する結晶化温度の低いジュレン及び他のポリメチル芳香族を形成し易い。さらに、MTG法はフィッシャートロプシュ法よりも高価であり、MTG法によって製造された生成物は、潤滑剤、ジーゼルエンジン燃料、又はジェットタービン燃料に使用することができない。
多段フィッシャートロプシュ反応器は様々な目的のために使用されてきた。例えば、SyntroleumのBeerの米国特許第6,169,120号明細書は、中間水の除去を用いる2段フィッシャートロプシュ法を開示する。しかし、Beerの方法は、空気から製造されたかなりの量の窒素を含む合成ガスの処理に使用されることを意図している。
MobilのHaagらの米国特許第4,279,830号明細書は、H:CO比が約0.5〜約1.0の範囲に留まるように合成ガス組成物を維持するのに使用される第2ゼオライト含有触媒を開示する。Haagは、この組成物範囲はFe系フィッシャートロプシュ触媒に適しているが、Co系触媒には適していないと説明している。また、Haagは、選択されたプロセス条件の範囲内で運転すれば、フィッシャートロプシュ運転からの全流出物の品質を向上する改善されたプロセスが提供されるとも説明する。
ExxonのKimらの米国特許第4,624,968号明細書は、特定の触媒を使用してオレフィン合成及び次いで変換を行う、2段フィッシャートロプシュ運転を開示する。
Reema International Corp.のClarkらの国際公開第WO/0063141号は、直列に配置された多段フィッシャートロプシュ反応器段を含む炭化水素合成のためのフィッシャートロプシュ法を開示する。Clarkの方法は、フィッシャートロプシュ反応器段あたり非常に低い一酸化炭素変換を提供し、反応器段の間に水の中間除去を用いる。一実施形態において、系は鉄系触媒を用いる。また、COはフィッシャートロプシュ反応器段の最終反応器から合成ガス反応器へ再循環される。
ExxonのLongの欧州特許第0679620A2号は、非移相触媒の存在する第1段の中で、HとCOの反応によって達成される高変換炭化水素合成を開示する。この方法は、液体生成物を分離し、残るガス流を移相触媒の存在下で反応させることをさらに含む。
さらに、様々な文献に二重機能性合成ガス変換触媒を用いるCOの炭化水素系生成物への変換が記載されてきた。例えば、「二酸化炭素の水素化のためのCuZnCr酸化物/[HY]ゼオライトから作られた複合触媒の開発(Development of Composite Catalyst Made of CuZnCr Oxide/[HY]Zeolite for Hydrogenation of Carbon Dioxide)」Fujiwara M、Kiefer R、Ando H、Souma Y、Applied Catalysis A、General V121M.1 113−24(1/5/95)、「複合触媒上のCOからの炭化水素合成(Hydrocarbon Synthesis From CO Over Composite Catalysts)」Souma Y、Kieffer R、Fujiwara M、Ando H、Xu Q、4th International Carbon Dioxide Utilization Conference(Kyoto Japan 9/7〜11/97)Studies in Surface Science and Catalysis V114 327〜32(1998)、「CuZnCr/ゼオライト複合触媒上の二酸化炭素の水素化:炭化水素合成におけるアルケンの反応挙動の効果(Hydrogenation of Carbon Dioxide Over Cu−Zn−Cr/Zeolite Composite Catalysts:The Effects of Reaction Behavior of Alkenes on Hydrocarbon Synthesis)」Fujiwara M、Ando H、Tanaka M、Souma Y、Applied Catalysis A、General V130N.1 105〜16(9/14/95)、「複合触媒上のメタノールによる二酸化炭素のC〜C炭化水素への水素化(Hydrogenation of Carbon Dioxide to C−C Hydrocarbons by a Methanol on Composite Catalysts)」Inui T、Kitagawa K、Takeguchi T、Hagiwara T、Makino Y、Applied Catalysis A:General V94 N.1 31〜44(1/27/93)、「炭化水素のベンゼン画分の調製−特定のゼオライト及び金属酸化物構成成分を含む触媒の使用を含む(Preparation of Benzene Fractions of Hydrocatbons−Includes Using Catalysts Containing Specified Zeolite and Metal Oxide Constituent)」KG Ione and VM Mysov、Ru2089533、は全て二重機能性合成ガス変換触媒を用いるCOの炭化水素系生成物への変換を開示する。
したがって、多段フィッシャートロプシュ反応器の使用は様々な目的のために知られているが、現在までに、選択された触媒を使用してCO放出を低減する多段反応器系を用いることは誰も示唆しなかった。結果として、所望の炭化水素系生成物を製造しながら、合成ガス変換法からCO放出を低減する方法が必要である。
本発明は、多段フィッシャートロプシュ反応系の使用による、合成ガス変換法からのCO放出を低減する方法を提供することによって、上記の目的を満足する。多段フィッシャートロプシュ反応系の使用によって、本発明はコストのかかるCO分離プロセスを必要としない。
フィッシャートロプシュ反応器を用いる合成ガス変換のための本発明による方法は、第1の合成ガスを形成し、少なくとも約2体積%のCOを含む第1の合成ガスの少なくとも一部をフィッシャートロプシュ反応器中で反応させて、第1の炭化水素系生成物と、少なくとも約2体積%のCOを含む第2の合成ガスとを形成することを含む。次に、この方法は、第2の合成ガスを水素含有流と混合して、少なくとも約1.0のH:(CO+CO)のモル比を有する調節された合成ガスを提供することを含む。この方法は、調節された合成ガスの少なくとも一部を二重機能性合成ガス変換反応器中で反応させて、第2の炭化水素系生成物と、調節された合成ガス中に存在した量よりも少量のCOを含む第3の合成ガスとを形成することをさらに含む。
他の実施形態において、この方法は、第1の合成ガスを形成し、第1の合成ガスの少なくとも一部を含み少なくとも約2体積%のCOを含む混合された合成ガスの少なくとも一部をフィッシャートロプシュ反応器中で反応させて、第1の炭化水素系生成物と、少なくとも約2体積%のCOを含む第2の合成ガスとを形成することを含む。次に、この方法は、第2の合成ガスを水素含有流と混合して、H:(CO+CO)のモル比を少なくとも約1.0に調節した合成ガスを提供することを含む。この方法は、調節された合成ガスの少なくとも一部を二重機能性合成ガス変換反応器中で反応させて、第2の炭化水素系生成物と、調節された合成ガス中に存在した量よりも少量のCOを含む第3の合成ガスとを形成することをさらに含む。最終的に、この方法は、第3の合成ガスの少なくとも一部と第1の合成ガスの少なくとも一部とを混合して混合された合成ガスを形成することを含む。
本発明のさらに他の態様によれば、ガスの液化設備は第1の合成ガスを形成する合成ガス生成器と、第1の合成ガスの少なくとも一部を含み少なくとも約2体積%のCOを含む混合された合成ガスの少なくとも一部を反応させて、第1の炭化水素系生成物と、少なくとも約2体積%のCOとを含む第2の合成ガスを形成するフィッシャートロプシュ反応器とを含む。また、設備は、水素含有流を供給する水素源を含み、第2の合成ガスと混合して調節された合成ガスを形成する。また、設備は、調節された合成ガスの少なくとも一部を反応させて、第2の炭化水素系生成物と、調節された合成ガス中に存在した量よりも少量のCOを含む第3の合成ガスとを形成する二重機能性合成ガス変換反応器を含む。
本発明のこの方法は、多段反応器を使用することによって、CH含有ガスからCOを分離するためのCO圧縮、液化、又は固化を制限されずに含む、コストのかかるCO分離プロセスを使用することなく、合成ガス変換法から生成されるCO放出を実質上最小化するという、重要な利点を実現する。
本発明において、合成ガス変換法からのCO放出は、多段フィッシャートロプシュ反応系を用いることによって低減される。多段フィッシャートロプシュ反応系の結果形成されたCOの少ない合成ガスは系中で再循環され、それによって系からのCO放出を低減する。さらに詳細には、第1の合成ガスはフィッシャートロプシュ反応器中で反応し、第2の合成ガスを含む第1の生成物を形成する。第1の生成物を分離し、第2の合成ガスを水素含有流と混合して調節された合成ガスを提供し、その少なくとも一部は二重機能性合成ガス変換反応器中で反応して、調節された合成ガス中に存在した量よりも少量のCOを含む第3の合成ガスを含む第2生成物を形成する。次いで、第3の合成ガスの少なくとも一部はフィッシャートロプシュ反応器へ再循環されることが好ましい。第3の合成ガスは第1の合成ガスと混合され、フィッシャートロプシュ反応器中で反応する。結果として、この方法によって生成されるCOの量は、顕著に低減される。
第2の合成ガスと水素含有流を含む調節された合成ガスは、二重機能性合成ガス変換反応器中でインシチューに(in situに)形成することができる。その場合、第2の合成ガスと水素含有流の両方は二重機能性合成ガス変換反応器に直接供給されるであろう。
本発明によれば、第3の合成ガスは、調節された合成ガス中に存在した量よりも少量のCOを含み、調節された合成ガスは第3の合成ガスよりも多量のCOの総量を有することを意味する。したがって、第3の合成ガス中のCOのパーセント濃度は調節された合成ガス中のCOのパーセント濃度よりも高くなることができるが、第3の合成ガスは低減されたCO総量を含む。
フィッシャートロプシュ反応を実施するための触媒及び条件は当業者に周知であり、例えば、その全体を参照して本願に組み込んでいる欧州特許第0921184A1号に記述される。従来のフィッシャートロプシュ法の概要図は図1に示される。
このプロセスにおいて、CH、O、HOを含む原料流10は合成ガス生成器12に入る。合成ガス生成器12はCO、H、COを含む合成ガスを生成する。合成ガス流14は合成ガス生成器12を出てフィッシャートロプシュ反応器16へ入る。生成物流17はフィッシャートロプシュ反応器16を出て分離器18に入る。分離器18は合成ガスをC5+液体を含む炭化水素系流21と未反応ガス流19とに分離する。分離器18は1個又は複数の分離ゾーンを表す生成物分離の一般的な表現であり、そのいくつかはフィッシャートロプシュ反応器の内部とすることができ、そのいくつかはフィッシャートロプシュ反応器の外部とすることができる。
分離器18を出る未反応ガス流19は、2つの追加の流れに分割することができる。第1ガス流はCO、H、COを含む過剰の未反応ガスから構成することができる。この流れは出口流32でプロセスを流出し、燃料として使用される。やはりCO、H、COを含む第2流は、フィッシャートロプシュ炭化水素反応器16に入る前に再循環して合成ガス生成器12を流出する合成ガス流14と混合し、混合合成ガス流15を生成することができる。
フィッシャートロプシュ法はフィッシャートロプシュ法中に起きる反応の化学量論を考察することによって理解することができる。例えば、フィッシャートロプシュ法中に、典型的に3種類の基本反応の少なくとも1種から合成ガス(すなわちCOと水素を含む混合物)が生成される。典型的なフィッシャートロプシュ反応生成物は、一般に式nCHで表されるパラフィン及びオレフィンを含む。この式はモノオレフィン生成物を正確に定義するが、C5+パラフィン生成物は概略的に定義する。nの値(すなわち、生成物の平均炭素数)は温度、圧力、空間速度、触媒の種類、及び合成ガス組成物を含むが制限しない反応条件によって決定される。フィッシャートロプシュ反応の所望の正味合成ガス化学量論は、生成物の平均炭素数(n)に依存せず、約2.0であり、次の反応式で決定される。
nCO+2nH→nHO+C2n+2
式中、C2n+2は例えば、オレフィン及びパラフィンなどの典型的なフィッシャートロプシュ反応生成物を表す。
メタンから合成ガスを生成する3種類の一般的な反応は以下の通りである。
(1)メタンの蒸気改質:CH+HO→CO+3H
(2)乾燥改質、又はCOとメタンの間の反応、
CH+CO→2CO+2H
(3)酸素を用いる部分的酸化
Figure 0005127229
上記の一般的な反応は、合成ガスを製造するために使用される基本的な反応であるが、上記反応によって製造される一酸化炭素に対する水素の比率が、所望のフィッシャートロプシュ変換比率2.0にとって常に十分であるとは限らない。例えば、蒸気改質反応において、得られる一酸化炭素に対する水素の比率は3.0であり、これは、フィッシャートロプシュ変換で望ましい一酸化炭素に対する水素の比率2.0よりも高い。同様に、乾燥改質反応において、得られる一酸化炭素に対する水素の比率は1.0であり、これは、フィッシャートロプシュ変換で望ましい一酸化炭素に対する水素の比率2.0よりも低い。さらに、フィッシャートロプシュ変換に望ましい比率よりも低い一酸化炭素に対する水素の比率を示すことに加えて、上記乾燥改質反応も急速な炭素堆積に伴う問題を抱える。最終的に、上記部分酸化反応は一酸化炭素に対する水素の比率2.0を提供するので、部分酸化反応はフィッシャートロプシュ変換にとって好ましい反応である。
商業的な実施において、部分酸化改質器に加えられる蒸気の量は、炭素形成を制御することができる。同様に、ある量のCOは原料中に許容することができる。したがって、部分酸化はフィッシャートロプシュ変換にとって好ましい反応であるが、上記反応の全てが酸化改質器中にある程度起きることができる。
部分酸化の間、反応は完全に選択的ではないので、COが形成する。すなわち、反応中のある量のメタンは酸素と反応し、完全な燃焼によってCOを形成する。メタンの酸素との反応によるCOの形成は、一般に以下の反応によって表される。
CH+O→CO+2H、及び
CH+2O→CO+2HO。
さらに、コークス化を制御するために改質器に添加される蒸気、又はフィッシャートロプシュ反応の間に生成される蒸気は、以下の一般反応式に表される水ガス移相反応でCOと反応してCOを形成することができる。
CO+HO→CO+H
したがって、フィッシャートロプシュ法によってメタンを輸送燃料及び潤滑剤に変換する間に、かなり多量のCOが必ず形成される。フィッシャートロプシュ法の間に生成したCOは、フィッシャートロプシュ設備を流出するテールガスとしてフィッシャートロプシュ/ガス液化(GTL)プロセスを出る。フィッシャートロプシュ/GTLプロセスを出るテールガスは、フィッシャートロプシュ法で消費されずに残るあらゆるガスを含む。
上記の式は一般的な化学量論式を表し、フィッシャートロプシュ反応の動力学又は選択性のための最適な合成ガス組成物を反映しない。さらに、フィッシャートロプシュ触媒の性質に応じて、フィッシャートロプシュ設備への原材料を調製するのに約2.0以外の合成ガス比率、典型的に約2.0未満の合成ガス比率が用いられる。しかし、フィッシャートロプシュ設備は、典型的に約2.0の炭素に対する水素の比率を示すので、制限のある反応物、典型的にHは最初に消費される。次いで、過剰の反応物、典型的にCOはフィッシャートロプシュ設備に再循環されてさらに変換を行う。未使用反応物を再循環することによって、炭素に対する水素の比率が約2.0以外の合成ガス組成物が典型的に生成される。
反応を制御するために、フィッシャートロプシュ法は合成ガス中のCO変換を約100%未満で運転する。典型的に、フィッシャートロプシュ法はサイクル毎に約40%〜約70%の変換で運転される。空気ではなくO(典型的に約99.5%の純度)を用いるフィッシャートロプシュ法において、未反応合成ガスはフィッシャートロプシュ法へ再循環される。
経済性及び運転効率の点から、好ましいフィッシャートロプシュ法はスラリー床式反応器を用いる。また、実施上の観点から、スラリー床ユニットに用いる最も通常の触媒はコバルトを含む。コバルトは水ガス移相反応、或いはそれらの逆反応を進めない。これらのユニットにおいてのCOは殆どの部分、不活性ガスである。COがフィッシャートロプシュ反応器へ再循環されると、COの濃度は増加する。COの濃度増加は、CO及びHを含むが制限されない反応性合成ガス成分の濃度を効果的に減少させる。結果として、反応速度を実質上低下させることができる。
反応性成分の低下した分圧を補償するために、フィッシャートロプシュ反応器の圧力を増加することができる。再循環の間に、最初の合成ガス中の、典型的に約5体積%であるが常に少なくとも約2体積%である少量のCOは、より高い値、例えば約40体積%などに増加させることができる。商業的な実施において、COに富む再循環ガスの一部は典型的に合成ガス生成器に再循環され、そこで乾燥改質反応が促進され、合成ガス中のH:COの比率は望ましいレベルまで低減する。しかし、合成ガス生成器中で消費できる量よりもはるかに多くのCOが生成される。結果として、過剰のCOに富む再循環ガスはプロセスから追い出され、低エネルギー含有燃料として使用される。この低エネルギー含有燃料の使用は、合成ガス変換法からのCO放出の主な原因である。
本発明の方法において、最初に二重機能性合成ガス変換反応器中の副生成物の未反応ガス(すなわち、第1のフィッシャートロプシュ反応器から生成される第2の合成ガス)を添加した水素と反応させて、フィッシャートロプシュ反応器から生成された第2の合成ガスに比べCO含有量の低い第3の合成ガスを生成することによって、CO放出が低減される。二重機能性合成ガス変換反応器に入る前、又は間、又は後の少なくともいずれかに、添加された水素は副生成物の未反応ガス(すなわち、第2の合成ガス)と混合する。
第3の合成ガスの一部は、さらにCO放出を低減する追加のプロセスのためにフィッシャートロプシュ反応器に再循環できることが好ましい。すなわち、第3の合成ガスの少なくとも一部は、フィッシャートロプシュ反応器に入る前、又は間、又は後の少なくともいずれかに再循環して第1の合成ガスと混合し、混合された合成ガスを生成することができる。
また、フィッシャートロプシュ及び二重機能性合成ガス変換反応器によって形成された炭化水素系生成物を組み合わせて、混合された炭化水素系生成物を形成することができる。炭化水素系生成物を混合して混合された炭化水素系生成物を得ることによって、本発明はさらに他の蒸留及び/又は品質向上の必要性を実質上最小化し又は省略することができる。結果として、本発明は、従来の炭化水素生成物合成よりもコストがかからず、より効率的である。二重機能性合成ガス変換反応器からの生成物は芳香族に富むので、それらはフィッシャートロプシュ反応器からの生成物よりもナフサ改質器からの生成物に類似している。
炭化水素系生成物は、例えば、その開示の全体を参照して本願に組み込んでいるPerry’s Chemical Engineer’s Handbook、Seventh Edition(1997)、Section 18に記載されたものを含んで、ミキサー、混合機、振動機、及び攪拌機を含むが制限されない任意の適切な手段を用いて混合することができる。混合は、当業者に既知の様々な方法で行うことができる。例えば、混合は生成物を通常の蒸留ユニット又は分離器に送ることによって行うことができる。
第2の合成ガスと混合された水素は、この方法中任意の数の源から回収することができる。例えば、適切な源は、合成ガス、C〜C10ナフサ改質、C10+含有原材料の水素化プロセスからの未反応水素、合成ガス変換ユニットからの未反応ガス流、生成物の品質向上に用いられる水素処理機/水素分解機に伴うガス流、芳香族生成物を作るために用いられるナフサ改質器に伴うガス流、メタンの蒸気改質、その組合せ等を含むが制限されない。水素源としてのメタンの蒸気改質については、C10+生成物の品質向上のための水素を生成するために水素処理機/水素分解機を介して蒸気改質反応器が必要であろう。水素は、吸着、吸収、低温分離、メンブレン分離、その組合せ等を含むが制限されない任意の数の従来の水素回収プロセスを用いて回収することができる。水素を合成ガス又はテールガスから回収するには1種又は複数の回収プロセスが必要であろうが、ナフサ改質器又はC3+生成物品質向上器からの副生成ガスは、測定できる量のCO又はCOを含まず、したがって重炭化水素(C6+)の濃縮を除いていかなる回収プロセスも必要としないであろう。さらに、回収された水素を使用することが好ましいが、回収された水素を代替の源から得た水素で置換する及び/又は補充することも可能である。COは蒸気改質の副生成物である。このH含有蒸気は、他の源からのCOと反応するので、反応の前にそこからCO(又はCO)を除去することは重要ではない。C10+生成物の品質向上に意図されたHの部分からCO及びCOの除去が必要であるならば、この回収されたCO及びCOを他のCO源と一緒に反応させることができる。
メンブレン分離器は作製と運転が高価であり、したがって、メンブレン分離器を必要としない経路は資本コストが低く、好ましい。したがって、それらのプロセスは水素に富むガス流を得るためにメンブレン分離を必要としないので、本発明の好ましい実施形態は部分酸化を含む合成ガス形成に依存する。さらに、水素を副生成物として生成するナフサ改質などの品質向上プロセスステップから水素に富むガス流を誘導することは、水素を回収するためのメンブレン分離器の使用を必要としない。これらのプロセスにおいて、むしろ、重炭化水素(C6+)単独の濃縮が水素の回収を可能にするであろう。
フィッシャートロプシュ反応器は、スラリー床反応器、固定床反応器、流動床反応器、その組合せ等を含むが制限されない任意の適切な反応器とすることができる。好ましい実施形態において、フィッシャートロプシュ反応器はコバルト触媒を用いるスラリー床反応器である。さらに、好ましい実施形態において、プロセス条件及び触媒は、水ガス移相反応がある程度まで進まないように選択される。
本発明の二重機能性合成ガス反応器は、例えば、Zn、Cr、Cuなど、メタノール合成の可能な少なくとも1種の元素、及び、例えば、実質上全てのメタノールを炭化水素系生成物に直ちに変換するゼオライト(例えば、ZSM−5)などの酸性成分を含む変換触媒を用いる反応器を含む。ZSM−5は、例えば、国際ゼオライト協会の構造委員会(Structure Commission of the International Zeolite Association)によって定義されるMFI構造を有するゼオライトである。したがって、本発明の二重機能性反応器はメタノールを合成し、次いでそれを炭化水素系生成物に変換する。
CO放出の最小化に加えて、本発明は、合成ガスを価値ある炭化水素系生成物へ変換することを改善する追加の利点も提供する。本発明の方法において使用される合成ガスは、CH、石炭、炭化水素系生成物、その組合せ等を含むが制限されない様々な適切な源から得ることができる。上記源から誘導される合成ガスは合成ガス生成器を用いて得ることができる。
さらに、フィッシャートロプシュ反応器から生成された合成ガスの全てを二重機能性合成ガス変換反応器で処理する必要のないことを理解すべきである。COはゆっくり蓄積され、COの妥当な濃度は、例えば、約60モル%未満などを許容することができるので、望ましいCO変換を達成するには、合成ガスの一部のみを第2反応器で処理すればよい。結果として、二重機能性合成ガス変換反応器のサイズは比較的小さくすることができる。
或る環境下において、フィッシャートロプシュ反応器からの合成ガスを処理し、次いでCOに乏しい合成ガスを第1反応器へ再循環することは望ましくない。また、驚くべきことに、フィッシャートロプシュ反応器からの未反応合成ガスの一部を二重機能性合成ガス変換反応器への原料として用いることによって、CO放出をも低減できることが発見された。
水は合成ガス生成器、フィッシャートロプシュ反応器及び二重機能性合成ガス変換反応器の自然な生成物である。したがって、水を反応器から除去し反応器で生成される生成物から分離することが好ましい。水が除去されなければ、水は、COを追加のCOへ変換することのできる望ましくない逆の水ガス移相反応を進めることがある。
フィッシャートロプシュ反応器へ再循環されたCOは有用な目的を満たすことを認識すべきである。すなわち、フィッシャートロプシュ反応器へ再循環されたCOは、例えば、H及びCOなどの反応性合成ガス成分の希釈剤として働く。不活性COは運転の間に生成した熱を放散する働きをし、プロセス制御を改善することができる。COは二重機能性合成ガス変換反応器によって消費されるので、他の不活性ガス成分は再循環ガス中に蓄積される。これらの不活性成分は、メタン、N、Ar、及び他の不活性ガス元素を含むことができる。メタン成分は、合成ガス生成器中の未変換メタン及びフィッシャートロプシュ反応器中で行われるメタン形成から生成することができる。N、Ar、及び他の不活性ガス元素は、空気分離ユニットから生成することができ、又は元の天然ガス原料から得ることもできる。通常、COは最も豊富な不活性ガス成分である。しかし、COが除去されるとき、本発明の方法によれば、他の不活性ガス成分の濃度は増加することができる。これらの他の不活性ガス成分は、除去されたCOの替りとしてフィッシャートロプシュ反応器中に放出された熱の管理を改善する働きをすることができる。結果として、再循環されたガス中の炭素(一酸化炭素として)の多くを処理することができる。炭素(一酸化炭素として)の処理を増加させると、二重機能性合成ガス変換反応器における生成物へのCOの直接変換のように、全体の炭素の効率が改善される。炭素効率は、方法における原料メタンに対するC3+生成物の比率と定義される。しかし、他の不活性ガス成分の濃度が増加するので、結局、他の用途に用いられる系から他の不活性ガス成分をパージし、それによってメタンに富むガスを生成する必要があるであろう。通常の運転において、パージされたガスはCOに富み、熱値が低く、その使用は制限される。しかし、本発明によれば、パージされたガスはCOに乏しく、他のガス、典型的にメタンに富み、したがって、その熱値と用途を増加させる。
ガス再循環運転において、二重機能性合成ガス変換反応器がCOを他の生成物へ変換するように、フィッシャートロプシュ反応器への混合された合成ガスの組成物は変化させることができる。一般に、他の不活性ガス成分の濃度は増加するが、反応性合成ガス成分の濃度は本質的に一定に留まる。得られた混合合成ガスは、合成ガス生成器から生成された新鮮な混合ガスと、分離器から再循環された再循環合成ガスの混合物である。次の表は、約99.5%の純度レベルを有する酸素源から合成ガスを生成するプロセスについて、合成ガス組成物の典型的な範囲を提供する。
Figure 0005127229
CO放出を制御するために、二重機能性合成ガス変換反応器における運転条件は概略以下の通りである。
Figure 0005127229
COをメタノールへ最初に変換する二重機能性合成ガス変換触媒は、例えば、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、トリウム、ロジウム、オスミウム、その修飾物、その組合せ等の金属又は酸化物を含むが制限されない。
二重機能性合成ガス変換触媒は、メタノールを炭化水素系生成物に変換する酸性成分、典型的に1種又は複数のゼオライト及び/又は非ゼオライトモルキュラシーブを含む。さらに、適切な二重機能性合成ガス変換触媒は強い固体酸を含むことができる。比較的酸性のあるゼオライトはより多く芳香族を生成する傾向があるが、比較的非酸性のものはより多くイソパラフィンを形成する傾向がある。
二重機能性合成ガス変換触媒が遷移金属成分に加えてゼオライトを含む例において、ゼオライトの特性は反応の生成物の性質を決定する。ゼオライトが酸性になると、水素移動が起きる。水素移動はいくらかのより高い分子量の炭化水素フラグメントを芳香族に変換する。この反応から生成した水素は、分子状Hとしてガス相中に放出されず、代りにより低い分子量のオレフィンに移る。次いで、より低分子量のオレフィンは価値のより低いLPGへ変換される。さらに、芳香族からの水素はCOをメタンへ還元することができる。したがって、酸性触媒を用いる二重機能性合成ガス変換法からの生成物は、芳香族に富むガソリン及び軽ガスを含む。より価値の低い軽ガスの生成は、より価値の高いガソリン又は石油化学級芳香族の生成を妨げる。
しかし、ゼオライトの酸性が低下すると、水素移動は減少し、炭化水素は芳香族に変換されずにジェット及びジーゼルの範囲に成長を続ける。また、水素移動が低減されるので、軽ガス生成も減少する。以前の研究は、ゼオライトの酸性が低下するならば、ガス生成及び生成物の芳香族は減少し、非常に高い割合のイソパラフィンが生成することを示した。
二重機能性合成ガス変換反応器に用いられる水素は、本質的に炭化水素、不活性ガス、窒素、及び軽アルコールなどの不純物を必ずしも含まなくてもよいが、>50%の水素を含むべきである。硫黄によって容易に被毒するフィッシャートロプシュ触媒とは異なり、二重機能性合成ガス変換触媒はいくらか許容性がある。
本発明による合成ガス変換法の好ましい実施形態は図2に示される。この実施形態において、CH、O、HOを含む原料流10は合成ガス生成器12に入る。合成ガス生成器12は水と第1の合成ガスを生成する。水は合成ガス生成器12を水流13として流出し、第1の合成ガスは合成ガス生成器12を第1の合成ガス流14として流出する。第1の合成ガス流14は、第1のフィッシャートロプシュ反応器16に入る。フィッシャートロプシュ炭化水素合成反応は第1のフィッシャートロプシュ反応器16中で行われ、第1の炭化水素系生成物と未反応合成ガス(すなわち、第2の合成ガス)を生成する。
第1の炭化水素系生成物及び第2の合成ガスは第1の生成物流17としてフィッシャートロプシュ反応器16を出る。第1の生成物流17は第1の分離器18に入り、そこで第1の生成物流17は水、未反応ガス、及び炭化水素系生成物流に分離される。水は水流19として第1の分離器18を出る。未反応ガスは未反応ガス流28として分離器18を流出し、炭化水素系生成物はC5+液体を含む炭化水素系生成物から構成される生成物流20として分離器18を出る。
生成物流20は第2の分離器21に入り、そこで炭化水素系生成物は、H:Cの比率が約2.0に近いC〜C生成物、ナフサ、及びH:Cの比率が約2.0に近いC10+含有生成物に分離される。C〜C生成物はC〜C生成物流23として第2の分離器21を出る。ナフサはナフサ流22として第2の分離器21を出る。C10+含有生成物はC10+含有生成物流24として第2の分離器21を出る。ナフサ流22はナフサ改質器25に入り、そこで、H:Cの比率が約2.0未満のC〜C10生成物が生成される。H:Cの比率が約2.0以下のC〜C10生成物は生成物流26として改質器25を出る。ナフサ改質の間に水素が生成される。水素は水素再循環流27としてナフサ改質器25を出る。水素再循環流27は、二重機能性合成ガス変換反応器30に入る前に、第1の分離器18によって生成した未反応ガス流28の一部と混合し、それによって、混合されたガス流29(すなわち、調節された合成ガス)を生成する。
混合ガス流29は二重機能性合成ガス変換反応器30に入り、そこで第3の合成ガス及び第2の炭化水素系生成物が生成される。第3の合成ガス及び第2の炭化水素系生成物は第2生成物流31として二重機能性合成ガス変換反応器30を出る。次いで、第2生成物流31は第1の分離器18へ導かれる。ナフサ改質の間に生成された再循環水素に混合されることに加え、未反応ガス流28の一部はプロセスを出て燃料として使用される。この未反応ガス流28の部分は、過剰のCO、H、COを含み、過剰ガス流32としてプロセスを出る。第2生成物流31中の第3の合成ガスの少なくとも一部は、第1の合成ガス流14と混合されるために流れ35として導かれ、混合された合成ガス流15を生成する。さらに、未反応ガス流28の他の部分は合成ガス再循環流33として再循環される。合成ガス再循環流33は原料ガス流10と混合し、混合された原料ガス流11を生成し、合成ガス生成器12に入る。また、合成ガス再循環流33の一部は、混合された合成ガス流15と混合する流れ34として導くことができ、混合された合成ガス流36を生成して、フィッシャートロプシュ反応器16に導入される。
図2に示した実施形態は、単一フィッシャートロプシュ反応器と単一二重機能性合成ガス変換反応器を含むが、本発明の実施形態は追加のフィッシャートロプシュ反応器及び/又は二重機能性合成ガス変換反応器を含むことができる。例えば、さらにCO放出を低減するために、追加の反応器及び/又は変換反応器を含むことは望ましいことであろう。
以下の実施例の最初の運転において、第1の合成ガスがフィッシャートロプシュ反応器に供給される。第2の合成ガスはフィッシャートロプシュ反応器から回収され、二重機能性合成ガス変換反応器に供給される。第3の合成ガスは二重機能性合成ガス変換反応器から回収される。この第3の合成ガスは、次いで第1の合成ガスと混合して、フィッシャートロプシュ反応器に供給される混合合成ガスを形成することができる。
「第1の合成ガス」は合成ガス生成器からの合成ガス生成物を表す。「混合合成ガス」は、第1の合成ガスと第3の合成ガスを含む合成ガスを組み合わせることによって作られる合成ガスを表す。「第2の合成ガス」は、未反応合成ガスを含むフィッシャートロプシュ反応器からの合成ガス生成物を表す。「調節された合成ガス」は、H:(CO+CO)モル比が約1.0を超え、好ましくは約1.25〜約3.0とするために水素を添加した後の第2の合成ガス含有流を表す。「第3の合成ガス」は、未反応の調節された合成ガスを含む二重機能性合成ガス変換ユニットからの合成ガス生成物を表す。
この実施例において、合成ガス生成器中の部分酸化を含む反応によって第1の合成ガスはメタンから形成される。第1の合成ガス形成に使用される酸素は、約99.5体積%の純度を有する。合成ガス生成器からの第1の合成ガスは約5体積%のCOを含む。合成ガス生成器中で生成された水は他の成分から分離され、廃棄される。第1の合成ガスは第3の合成ガス並びにフィッシャートロプシュ反応器からの未反応ガスと混合することができ、混合合成ガスを形成する。混合合成ガスは、約10体積%のCOを含む。混合合成ガスは、フィッシャートロプシュ反応器中でスラリー床中のコバルト含有触媒を用いて処理される。フィッシャートロプシュ反応器からの生成物中に含まれる第2の合成ガスは、不活性物を含むC3−及びより低分子量の化学種に基づいて表すとき、混合ガス中に存在するよりも高いCO含有量を有する。
フィッシャートロプシュ反応器からのガス及び液体生成物は、API分離器、蒸留カラム、及び他の標準的な装置からなる分離複合機に送られる。スラリー床反応器で、流出物は、2つ又はそれ以上の流れとして反応器を離れ、少なくとも1つの流れは蒸気であり、他の1つの流れは液体である。フィッシャートロプシュ反応器を離れる蒸気流は第2の合成ガスを含む。分離複合機によって生成される流れは、水、炭化水素系生成物、未処理合成ガスを含む。分離複合機はフィッシャートロプシュ及び二重機能性合成ガス変換反応器からの生成物の両方に必要であるので、単一分離複合機は両方の反応器用に用いることができる。
第3の合成ガスの一部は合成ガス生成器からの第1の合成ガスと混合され、混合合成ガス流を生成し、次いでこれは分離器からの未反応合成ガスの一部と混合し、混合合成ガスを形成することができる。次いで、混合合成ガスはフィッシャートロプシュ反応器中で処理される。
第2の合成ガスを含む分離器からの合成ガスの一部は、第3の合成ガスのいくらかと一緒に、プロセスで後に生成されるHと混合され、H:(CO+CO)比が約1.6の調節された合成ガスを生成する。次いで、合成ガスは二重機能性合成ガス変換反応器中で処理される。二重機能性合成ガス変換反応器からの生成物中に含まれる第3の合成ガスは、CO、H、COに基づいて表すとき、二重機能性合成ガス変換反応器への合成ガス供給に存在した量よりも低いCO含有量を有する。二重機能性合成ガス変換反応器中のCO変換は約40%であり、変換の間使用される温度と圧力はそれぞれ約400℃及び約60気圧である。
二重機能性合成ガス変換反応器からの流出物は分離複合機へ送られる。分離複合機からの炭化水素系生成物は、さらにC5−生成物、C〜C10含有生成物、及びC10+含有生成物に分離される。C10+含有生成物は、H:Cのモル比が約2.0又はそれ以上のジーゼル燃料を含むが制限されない生成物に変換される。C〜C10含有生成物は改質されて、H:Cのモル比が約2.0未満の芳香族生成物及びHを生成する。Hは二重機能性合成ガス変換反応器に再循環され、それはCOの変換に使用される。
本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、本願は、添付請求項の精神及び範囲から逸脱することなく当業者が行うことのできる様々な変更と置換を包含するものである。
従来のフィッシャートロプシュ法の概要図である。 本発明によるフィッシャートロプシュ法の好ましい実施形態の概要図である。

Claims (20)

  1. (a)第1の合成ガスを形成すること、
    (b)少なくとも2体積%のCOを含む第1の合成ガスの少なくとも一部をフィッシャートロプシュ反応器中で反応させて、第1の炭化水素系生成物と、少なくとも2体積%のCOを含む第2の合成ガスとを形成すること、
    (c)第2の合成ガスを水素含有流と混合して、少なくとも1.0のH:(CO+CO)のモル比を有する調節された合成ガスを提供すること、
    (d)調節された合成ガスの少なくとも一部を二重機能性合成ガス変換反応器中で反応させて、第2の炭化水素系生成物と、調節された合成ガス中に存在した量よりも少量のCOを含む第3の合成ガスとを形成すること、及び
    (e)フィッシャートロプシュ反応器内での使用のために第1の合成ガスと混合するように、第3の合成ガスの少なくとも一部を再循環すること
    を含む、フィッシャートロプシュ反応器を用いる合成ガスの変換のための方法。
  2. 前記第3の合成ガスの少なくとも一部がその方法において燃料として使用される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記フィッシャートロプシュ反応器が、スラリー床反応器、固定床反応器、流動床反応器及びその組合せからなる群から選択される反応器である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記フィッシャートロプシュ反応器が、コバルトを含むフィッシャートロプシュ触媒を含むスラリー床反応器である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記二重機能性合成ガス変換反応器が、銅、クロム、アルミナ、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、トリウム、ロジウム、オスミウム、及びその組合せからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む、触媒を含む請求項1に記載の方法。
  6. 前記触媒がゼオライトを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ゼオライトがMFI構造を有する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記調節された合成ガスが、1.25〜3.0のH:(CO+CO)のモル比を有する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記二重機能性合成ガス変換反応器が、300℃〜500℃の温度及び25気圧〜100気圧の圧力を含む条件下で運転される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記温度が375℃〜425℃であり、前記圧力が35気圧〜75気圧である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記二重機能性合成ガス変換反応器中のCO変換が20%〜80%である、請求項1に記載の方法。
  12. 第2の合成ガスと混合された前記水素含有流が、C〜C10ナフサ改質、C10+含有原料の水素化処理からの未反応水素、合成ガス、及びその組合せからなる群から選択される源から得られる、請求項1に記載の方法。
  13. 吸着、吸収、低温分離、膜分離、及びその組合せからなる群から選択される回収プロセスを用いることによって、水素含有流に使用するための水素の回収をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記水素含有流が、二重機能性合成ガス変換反応器に入る前、又は間、又は後の少なくともいずれかに第2の合成ガスと混合する、請求項1に記載の方法。
  15. フィッシャートロプシュ反応器を用いる合成ガスの変換方法であって、
    (a)第1の合成ガスを形成すること、
    (b)第1の合成ガスの少なくとも一部を含み少なくとも2体積%のCOを含む混合された合成ガスの少なくとも一部をフィッシャートロプシュ反応器中で反応させて、第1の炭化水素系生成物と、少なくとも2体積%のCOを含む第2の合成ガスとを形成すること、
    (c)第2の合成ガスを水素含有流と混合して、少なくとも1.0のH:(CO+CO)のモル比を有する調節された合成ガスを提供すること、
    (d)調節された合成ガスの少なくとも一部を二重機能性合成ガス変換反応器中で反応させて、第2の炭化水素系生成物と、調節された合成ガス中に存在した量よりも少量のCOを含む第3の合成ガスとを形成すること、及び
    (e)第3の合成ガスの少なくとも一部と第1の合成ガスの少なくとも一部とを混合して混合された合成ガスを形成することを含む、上記方法。
  16. 前記混合合成ガスが15体積%以下のCO含有量を有する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記CO含有量が10体積%以下である、請求項16に記載の方法。
  18. (a)少なくとも2体積%のCOを含む第1の合成ガスの少なくとも一部を反応させて、第1の炭化水素系生成物と、少なくとも2体積%のCOを含む第2の合成ガスとを形成するフィッシャートロプシュ反応器と、
    (b)第2の合成ガスと混合して調節された合成ガスを形成する水素含有流を供給する水素源と、
    (c)調節された合成ガスの少なくとも一部を反応させて、第2の炭化水素系生成物と、調節された合成ガス中に存在した量よりも少量のCOを含む第3の合成ガスとを形成する二重機能性合成ガス変換反応器と、
    (d)フィッシャートロプシュ反応器内での使用のために第1の合成ガスと混合するように、第3の合成ガスの少なくとも一部を再循環するための手段と
    を含む、ガスの液化設備。
  19. 前記フィッシャートロプシュ反応器が、スラリー床反応器、固定床反応器、流動床反応器、及びその組合せからなる群から選択される反応器である、請求項18に記載の設備。
  20. 前記フィッシャートロプシュ反応器が、コバルトを含むフィッシャートロプシュ触媒を含むスラリー床反応器である、請求項18に記載の設備。
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