本発明のウエハプローバ用ウエハ保持体は、例えば図1及び図2に示すように、表面にチャックトップ導体層2を有するチャックトップ1と、チャックトップ1のウエハ載置面1aと反対側の裏面側に設けた加熱体3とを備え、チャックトップ1はその裏面の外周部を支持体4で支持されると共に、その裏面の中心部を含む内周部を少なくとも1つの支持棒5によって部分的に支持されている。尚、図1はチャックトップ1の裏面の中心部に1つの支持棒5を配置した例であり、図2は支持体4に対して同心円状に複数の支持棒5を配置した例である。
上記支持体4はチャックトップ1の裏面外周部を支持するものであり、これによりチャックトップ1と支持体4との接触面積を小さくすることができると同時に、チャックトップ1と支持体4の間に空隙6を形成することができる。このような空隙6を形成することにより、チャックトップ1と支持体4の間は大部分が空気層となり、効率的な断熱構造とすることができる。空隙6の形状には特に制約はなく、チャックトップ1で発生した熱あるいは冷気が支持体4に伝わる量を極力抑える形状とすればよい。
また、上記チャックトップ1は、プロービングにおいてウエハを100〜200℃の温度に加熱する場合が多いため、加熱体3を備えている。このため、加熱体3の熱が支持体4に伝わることを防止できなければ、支持体4の下部に設けられた駆動系に熱が伝わり、各部品の熱膨張差によって機械精度にズレを生じ、チャックトップ1のウエハ載置面1aの平面度並びに平行度を著しく劣化させる原因となる。しかし、本発明のチャックトップ1では、加熱体3が支持体4と接触しないように空隙6内に収納した断熱構造であることから、熱の伝わり方を大幅に低減できるため、平面度並びに平行度を著しく劣化させることはない。更に、中空構造であることから、円柱状の支持体に比べ軽量化を図ることができる。
次に、上記支持体と支持棒の配置関係を、チャックトップの裏面側からみた図3〜図7により具体的に説明する。まず、図3の場合、1つの支持棒5aがチャックトップの裏面の中心部、即ち支持体4の中心部にのみ配置されている。このように、少なくとも支持体4の中心部に支持棒5aを配置することで、チャックトップにプローブカードが押し付けられた際に、チャックトップの変形を抑えることができる。この両者の熱膨張係数の関係は、支持棒5aの熱膨張係数α1が、チャックトップの裏面外周部を支持する支持体4の熱膨張係数α4以下であることが必要である。
即ち、加熱体によりチャックトップを200℃に昇温する際、支持体及び支持棒ともに加熱体からの熱を受けて熱膨張する。加熱体は、ウエハ載置面の反対側、即ちチャックトップ裏面側に備えられているため、昇温時のチャックトップは自身の温度分布によって中央部が凹状に変形する。更に、支持体の底部は、自身の温度分布によって中央部が凸状に変形する。この時、支持棒の熱膨張係数が支持体の熱膨張係数より大きいと、支持体や支持棒はチャックトップに対して動かないようにネジ止め等により固定されているため、支持体と支持棒の熱膨張係数差により支持棒がチャックトップ中心部近傍を押し上げることになり、これによってチャックトップが変形や割れを発生しやすくなるからである。
また、図4では、チャックトップの裏面の中心部を含む内周部に、具体的には支持体4の中心部の周囲に、複数の支持棒5bが支持体4に対して同心円状に均等に配置されている。プロービング時の加圧の力を均等に支持するため、同心円上に配置する複数の支持棒5bは均等配置が好ましい。この場合、支持棒5bの熱膨張係数α2は、上記図3の場合と同様の理由により、支持体4の熱膨張係数α4以下とする必要がある。
更に、図5の場合は、チャックトップ裏面の中心部に1つの支持棒5aが配置されると共に、支持体4に対して1つの同心円状に複数の支持棒5cが配置されている。これらの支持棒5a、5c及び支持体4の熱膨張係数αの関係は、中心部に配置された支持棒5aの熱膨張係数α1、同心円状に配置された支持棒5cの熱膨張係数α3、及び支持体4の熱膨張係数α4が、α1≦α2≦α4であることが好ましい。
また、図6の場合、支持体4に対して2つの同心円状に支持棒5b、5cが複数配置されている。この場合、各々の支持棒及び支持体の熱膨張係数αの関係は、同心円状に配置された内側の支持棒5bの熱膨張係数α2、同心円状に配置された外側の支持棒5cの熱膨張係数α3、及び支持体の熱膨張係数α4が、α2≦α3≦α4であることが好ましい。
更に、図7の場合、チャックトップの中心部に配置される支持棒5aと共に、支持体4に対して2つの同心円状に複数の支持棒5b、5cが配置されている。この場合、これら支持棒及び支持体の熱膨張係数αの関係は、中心部に配置された支持棒5aの熱膨張係数α1、同心円状に配置された内側の支持棒5bの熱膨張係数α2、同心円状に配置された外側の支持棒5cの熱膨張係数α3、及び支持体4の熱膨張係数α4が、α1≦α2≦α3≦α4であることが好ましい。
尚、上記支持体と各支持棒の熱膨張係数の関係は、α1=α2=α3=α4であってもよいが、チャックトップを200℃に昇温する際、上記したチャックトップ自身の変形や支持体底部の変形によって割れないためには、チャックトップ中心部を支持する支持棒の熱膨張係数は他の支持棒や支持体の熱膨張係数に比べて小さい方が好ましい。
特に、上記支持体と各支持棒の熱膨張係数の関係は、α1<α2<α3<α4であることが好ましい。この場合、更にα1〜α4の熱膨張係数差が7.5ppm/K以下であると、200℃での支持棒及び支持体の熱膨張係数差による伸びの差を30μm以下とすることができるため好ましい。特にα1〜α4の熱膨張係数差が5×10−6/K以下であると、200℃での支持棒及び支持体の熱膨張係数差による伸びの差を20μm以下とすることができるので更に好ましい。
逆に、上記支持体と各支持棒の熱膨張係数の関係がα1>α2>α3>α4の場合、200℃でチャックトップは自身の温度分布により中央部が凹状に変形するのに加え、中心部近傍の支持棒の熱膨張による伸びが、外周部近傍の支持棒や支持体の伸びよりも大きいため、チャックトップ中心部が突き上げられることにより、チャックトップが変形や割れを発生しやすくなるため好ましくない。
上記支持棒の数は、多いほどプロービング時の押圧に対して強く、チャックトップの変形を小さくできるので好ましい。しかし、支持棒の数が多くなると、昇温時にはチャックトップの熱が多数の支持棒に伝わり易く、断熱効果が得られなくなる。即ち、無制限に支持棒の数を増やすと、支持体底部や、更には支持体底部に備えられている駆動系に熱が伝わり易くなり、かえってチャックトップの平面度を低下させる。また、加熱体及び冷却モジュールには支持棒の回避穴を設ける必要があるため、支持棒の数が多いと回避穴を多数設けこととなる。その結果、発熱パターンや冷却モジュールの流路面積が小さくなり、昇温時及び冷却時の均熱性の悪化や、昇温速度や冷却速度の低下を招き、スループットを低下させることになるため好ましくない。
従って、支持棒の適度な配置としては、チャックトップの直径が300mm程度の場合、支持体の中心部及び同心円状に1〜2周程度であることが好ましい。例えば、図5の場合、チャックトップ中心部を支持する支持棒5aと、支持体4に対して同心円状にチャックトップを支持する複数の支持棒5bとを、均等に配置している。
上記支持棒の大きさとしては、特に制約はないが、外径が5〜20mmであることが好ましい。外径が5mm未満では支持の効果が十分でなく、支持棒が変形しやすくなる。また、外径が20mmを超えると、接触面積が大きくなり、断熱効果が得られない。また、冷却モジュールを備える場合、冷却モジュールに支持棒との接触回避のための回避穴を設ける必要があるが、この回避穴が大きくなるうえ、穴径が不十分で冷却モジュールが支持棒と接触すると、冷却モジュールから支持棒に熱の流出が起こり、冷却能力を損なうため好ましくない。
また、支持棒の形状としては、特に制約はないが、円柱、三角柱、四角柱などの柱状体が一般的である。支持棒を固定する方法としては、特に制約はないが、活性金属によるロウ付けや、ガラス付け、ネジ止め等が挙げられる。これらの中では、ネジ止めが特に好ましい。ネジ止めの場合、脱着が容易となるうえ、固定時に熱処理を行わないため、支持体や支持棒の熱による変形を抑えることができるためである。また、支持棒の形状を筒状体とすれば、その内側にネジを貫通させることで無駄な加工を施すことなく固定ができるため特に好ましい。
支持棒は支持体と一体になっていても良いが、両者は分離していた方が好ましい。支持棒と支持体を分離した別体のものとすることにより、接触界面を増やすことで断熱効果を高めることができるため、下部の駆動装置への熱の伝達を遮断することができ、長期的に精度の良いプロービングを行うことができる。
チャックトップと支持体及び支持棒とは、ネジで固定することもできる。この場合、ネジの熱膨張係数は支持体及び支持棒の熱膨張係数以上であることが好ましい。ネジの熱膨張係数が支持体及び支持棒の熱膨張係数より小さい場合、昇温したときにネジの熱膨張による伸びよりも支持体や支持棒の伸びの方が大きくなり、ネジがチャックトップの雌ネジ部を引き抜く方向に力が働くため、平面度を悪化させたり、チャックトップの雌ネジ部のネジ山を破壊したりすることもあり、最悪チャックトップの破損に至ることもある。
また、ネジの熱膨張係数は支持体及び支持棒の熱膨張係数以上であり、且つその熱膨張係数差は5×10−6/K以下であることが望ましい。ネジの支持体や支持棒との熱膨張係数差が5×10−6/Kよりも大きいと、昇温時にネジがシャックトップの雌ネジ部を突き上げる方向に力が働き、平面度を悪化させる。室温時にチャックトップの反り及び平行度が30μm以下で良好であっても、200℃でのプロービング時に反り及び平行度が30μm以上となり好ましくない。更には、雌ネジ部を破損させてしまう可能性もある。
逆に、冷却時には、ネジがチャックトップの雌ネジ部を引き抜く方向に力が働き、室温時にチャックトップの反り及び平行度が30μm以下で良好であっても、−60℃でのプロービング時に反り及び平行度が30μm以上となり好ましくない。更にはチャックトップの雌ネジ部のネジ山を破壊することもあり、最悪チャックトップの破損に至ることもある。このように、ネジの支持体及び支持棒との熱膨張係数差が5×10−6/K以下であれば、プロービングを行う温度範囲全域において反り及び平行度ともに30μm以下とすることができる。
また、チャックトップと支持体及び支持棒を固定するネジの熱膨張係数は、チャックトップの熱膨張係数と同等であることが好ましく、熱膨張係数差が±5×10−6以下であると更に好ましい。ネジの膨張係数がチャックトップより大きすぎると、昇温時にネジが膨張してチャックトップ雌ネジ部より大きくなり、雌ネジ部を破損することがある。逆にチャックトップの熱膨張係数が大きすぎると、冷却時にネジに対して雌ネジ部が小さく収縮するため、雌ネジ部を破損することがある。ネジとチャックトップの熱膨張係数差が±5×10−6以下であれば、プロービングを行う温度範囲全域において、チャックトップの雌ネジ部を破損させることはなく良好である。
上記支持体のヤング率は、200GPa以上であることが好ましい。支持体のヤング率が200GPa未満である場合には、支持体底部の厚みを薄くできないため、空隙の容積を十分確保できず、断熱効果が期待できない。また、冷却モジュールを搭載する場合、そのスペースの確保が難しくなる。より好ましいヤング率は300GPa以上であり、300GPa以上のヤング率を有する材料を用いれば、支持体の変形も大幅に低減することができるため、支持体の小型化及び軽量化を図ることができる。
また、支持体の熱伝導率は、40W/mK以下であることが好ましい。支持体の熱伝導率が40W/mKを超えると、チャックトップに加えられた熱が容易に支持体に伝わり、駆動系の位置精度に影響を及ぼすため好ましくない。近年ではプロービング時の温度として150〜200℃という高温が要求されるため、支持体の熱伝導率は10W/mK以下であることが更に好ましく、5W/mK以下が特に好ましい。この程度の熱伝導率になると、支持体から駆動系への熱の伝達量が大幅に低下する。
これらの条件を満たす具体的な支持体の材質としては、ムライト、アルミナ、ムライトとアルミナの複合体(ムライト−アルミナ複合体)が好ましい。ムライトは熱伝導率が小さく断熱効果が大きい点が好ましく、アルミナはヤング率が大きく、剛性が高い点で好ましい。ムライト−アルミナ複合体は熱伝導率がアルミナより小さく、且つヤング率がムライトより大きいため、総合的に好ましい。
更に、上記支持棒のヤング率は、100GPa以上であることが好ましい。支持棒のヤング率が100GPa未満である場合には、所望の効果を得るために多数の支持棒を配置する必要があるが、支持棒を多数配置すると冷却モジュールの回避穴を増やす必要があり、冷却能力を損なうことになるため好ましくない。また、より好ましい支持棒のヤング率は、200GPa以上である。
支持棒の熱伝導率も、支持体同様40W/mK以下であることが好ましい。支持棒の熱伝導率が40W/mKを超えると、チャックトップに加えられた熱が容易に支持棒に伝わり、駆動系の位置精度に影響を及ぼすため好ましくない。近年ではプロービング時の温度として150〜200℃という高温が要求されるため、支持棒の熱伝導率は10W/mK以下であることが更に好ましく、5W/mK以下であることが特に好ましい。この程度の熱伝導率になると、支持棒から駆動系への熱の伝達量が大幅に低下する。
支持棒の材質としては、支持体より熱膨張係数が小さいものが好ましいため、支持体がムライト、アルミナ、ムライト−アルミナ複合体の場合、窒化珪素やコージライト、あるいは、コバールや42アロイ、石英ガラスであることが好ましい。窒化珪素は熱膨張係数が小さく剛性が高い点が好ましく、コージライトや石英ガラスは特に熱膨張係数が小さい点が好ましい。
上記支持体においては、円筒部の肉厚は20mm以下であることが好ましい。円筒部の肉厚が20mmを超えると、チャックトップから支持体への熱伝達量が大きくなるため好ましくない。ただし、円筒部の肉厚が1mm未満になると、ウエハを検査する際に、ウエハに押し当てるプローブカードの圧力により、支持体の円筒部が変形したり、最悪の場合は破損したりするため好ましくない。円筒部の最も好ましい肉厚は10〜15mmである。尚、円筒部のうちチャックトップと接触する部分の肉厚は、支持体の強度と断熱性とのバランスの点で2〜5mmが好ましい。
また、支持体の円筒部の高さは、10mm以上であることが好ましい。高さが10mm未満であると、ウエハ検査時にプローブカードからの圧力がチャックトップに加わり、更に支持体にまで伝わる結果、支持体の底部に撓みを生じ、このためチャックトップの平面度を悪化させるため好ましくない。
更に、支持体の底部の厚みは、10mm以上であることが好ましい。支持体底部の厚みが10mm未満であると、ウエハ検査時にプローブカードからの圧力がチャックトップに加わり、更に支持体にまで伝わるため、支持体の底部に撓みを生じる。また、チャックトップの熱が支持体の底部まで容易に伝わり、支持体に熱膨張による反りを生じるため、チャックトップの平面度及び平行度を劣化させるため好ましくない。尚、支持体の底部の厚みが35mm以下であれば、小型化でき好適である。
また、上記支持体は有底円筒状であることが好ましいが、その円筒部と底部が一体ではなく、分離した構造とすることも可能である。この場合、分離された円筒部と底部は互いに界面を有するため、この界面が熱抵抗層となって、チャックトップから支持体に伝わる熱が一旦遮断され、底部の温度が上昇しにくくなるため好ましい。
支持体のチャックトップを支持する支持面には、断熱構造を設けることが好ましい。この断熱構造としては、支持体の円筒部表面に切り欠き溝などを設け、チャックトップとの接触面積を小さくすることで、断熱構造を形成することができる。チャックトップの裏面に切り欠き溝などを形成して、断熱構造とすることも可能であるが、この場合はチャックトップのヤング率が250GPa以上であることが必要である。チャックトップにはプローブカードの圧力が加わるため、切り欠き溝が存在すると、ヤング率が小さい材料では変形量が大きくなり、ウエハの破損やチャックトップ自身の破損を招くからである。
支持体のチャックトップ支持面に設ける断熱構造の具体例としては、図8(a)に示すように支持体4の外周部のチャックトップ支持面に同心円状の溝7aを形成するか、図8(b)に示すように放射線状の溝7bを形成することが好ましい。また、支持体の外周部のチャックトップ支持面に、多数の突起を形成してもよい。これらの溝や突起の形状には特に制約はないが、いずれの場合も対称な形状にする必要がある。形状が対称でない場合は、チャックトップに掛かる圧力を均一に分散することができなくなり、チャックトップの変形や破損に影響するため好ましくない。
また、上記断熱構造の別の形態として、図8(c)に示すように、チャックトップと支持体4の円筒部との間に、複数の柱状部材7cを設置することができる。柱状部材7cの数と配置は、支持体4の外周部と同心円状の均等配置か又はそれに類似した配置で、8個以上あることが好ましい。特に近年ではウエハの大きさが8〜12インチと大型化しているため、これよりも少ない数では柱状部材間の距離が長くなり、プローブカードのピンをチャックトップに載置されているウエハに押し当てたとき柱状部材間で撓みが発生しやすくなる。
このように支持体とチャックトップの間に複数の柱状部材を設ける場合、柱状部材がない場合に比べて、両者の接触面積が同一であれば、チャックトップと柱状部材の間及び柱状部材と支持体の間に2つの界面を形成でき、その界面が熱抵抗層となることで熱抵抗層を2倍に増加できるため、チャックトップで発生した熱を効果的に断熱することが可能となる。柱状部材の形状は、円柱状であっても良いし、三角柱状、四角柱状、更には多角形状であっても良く、その形状に対しては特に制約はない。
上記断熱構造に使用する柱状部材は、熱伝導率が30W/mK以下であることが好ましい。熱伝導率が30W/mKより高い場合、断熱効果が低下するため好ましくない。柱状部材の熱膨張係数は、支持体と同程度であることが好ましい。支持体より大きい場合は、チャックトップ内周部を支持する支持棒との熱膨張係数差により、昇温時にチャックトップの平面度を悪化させるため好ましくない。柱状部材と支持体との熱膨張係数差は、5ppm以下が特に好ましい。
柱状部材の材質としては、窒化珪素、ムライト、ムライト−アルミナ複合体、ステアタイト、コージライト、ステンレス、ガラス(繊維)、ポリイミドやエポキシ、フェノール等の耐熱樹脂、又はこれらの複合体を使用することができる。昇温時や冷却時におけるチャックトップの平面度変化(反り)を抑えるためには、支持体と熱膨張係数ができるだけ近い材質であることが好ましい。
支持体とチャックトップ若しくは柱状部材との接触部分の表面粗さは、Raで0.1μm以上であることが好ましい。表面粗さがRaで0.1μm未満である場合、支持体とチャックトップ若しくは柱状部材との接触面積が増加すると共に、両者の間の隙間が相対に小さくなり、Raが0.1μm以上の場合に比較して熱の伝達量が大きくなるため好ましくない。また、表面粗さの上限は、特に制限はないが、Raが5μm以上では、その表面を処理するためのコストが高くなることがある。尚、表面粗さをRaで0.1μm以上にするための手法としては、研磨加工やサンドブラスト等を用い、その研磨条件やブラスト条件を適切化して、Raで0.1μm以上の表面粗さを得ることができる。
また、支持体の底部の表面粗さは、Raで0.1μm以上であることが好ましい。支持体の底部の表面粗さが粗いことによって、駆動系への熱の伝達量も小さくすることができる。また、支持体の底部と円筒部が分離できる場合、その接触部の表面粗さは、Raで少なくとも片方が0.1μm以上であることが好ましい。これより小さい表面粗さでは、円筒部から底部への熱の遮断効果が小さいくなる。
柱状部材の支持体との接触面、更にはチャックトップとの接触面についても、表面粗さがRaで0.1μm以上であることが好ましい。柱状部材についても、同様に表面粗さを大きくすることで、支持体への熱の伝わりを小さくすることができる。以上のように、各部材間に界面を形成し、且つその界面の表面粗さをRaで0.1μm以上とすることによって、支持体底部への熱の伝達量を低減することができるため、均熱性が向上すると共に、結果的に加熱体への電力供給量も低減することができる。
支持体の円筒部の外周面と支持体のチャックトップとの接触面との直角度、及び支持体の円筒部の外周面と柱状部材のチャックトップとの接触面との直角度は、測定長100mmに換算して、いずれも10mm以下であることが好ましい。これらの直角度が10mmを超えると、チャックトップから加わった圧力が支持体の円筒部に加わる際に、円筒部自身の変形が発生しやすくなるため好ましくない。
支持体の表面には、金属層が形成されていることが好ましい。チャックトップを加熱するための加熱体、プローバの駆動部、更には周囲の機器等から発生する電場や電磁波が、ウエハの検査時にノイズとなって影響を及ぼすが、支持体に金属層を形成すれば、この電磁波を遮断することができるため好ましい。金属層を形成する方法としては、特に制約はないが、例えば、銀や金、ニッケル、銅等の金属粉末にガラスフリットを添加した導体ペーストを、はけ等で塗布して焼き付けても良い。
また、アルミニウムやニッケル等の金属を溶射して、金属層を形成することもできる。また、表面にメッキで金属層を形成することも可能である。更に、これらの手法を組み合わせることも可能である。例えば、導体ペーストを塗布して焼き付けた後、ニッケル等の金属をメッキしても良いし、あるいは溶射後に金属をメッキしても良い。これらの手法のうち、メッキは密着強度が強く、信頼性が高いため好ましく、溶射は比較的低コストで金属膜を形成することができるため好ましい。
また、上記金属層としては、支持体の表面の少なくとも一部に、導体を具備することでもよい。導体の材質については、特に制約はないが、ステンレス、ニッケル、アルミニウム等を挙げることができる。導体を具備する方法としては、例えば、上記材質の金属箔を支持体の外径よりも大きい寸法でリング形状に成形し、これを支持体の側面に取り付けることができる。また、支持体の底面に、金属箔あるいは金属板を取り付けてもよく、これを側面に取り付けた金属箔と接続することでより、電磁波を遮断する効果(ガード効果)を高めることができる。また、支持体内部の空隙内に金属箔あるいは金属板を取り付けても良く、これを側面及び底面に取り付けた金属箔と接続することでよりガード効果を高めることができる。
このような導体を具備する手法を採用することによって、メッキや導体ペーストを塗布する場合に比較して、比較的安価にガード効果を得ることができるため好ましい。尚、導体を具備する場合、金属箔や金属板と支持体との固定方法に関しては、特に制約はないが、例えば金属ネジを用いて、金属箔や金属板を支持体に取り付けることができる。また、支持体の底面と側面の金属箔や金属板は、一体化することが好ましい。
本発明のウエハ保持体におけるチャックトップの材質は、金属−セラミックス複合体、セラミックス、あるいは金属が好ましい。金属−セラミックス複合体としては、比較的熱伝導率が高く、ウエハを加熱した際に均熱性が得られやすいアルミニウム−炭化珪素複合体、シリコン−炭化珪素複合体、又はアルミニウム−シリコン−炭化珪素複合体のいずれかであることが好ましい。これらのうちシリコン−炭化珪素複合体はヤング率が高く、熱伝導率も高いため特に好ましい。
これらの金属−セラミックス複合体は導電性を有するため、金属−セラミックス複合体のチャックトップに加熱体を形成する手法としては、例えば、ウエハ載置面の反対側の面(裏面)に、溶射やスクリーン印刷等によって絶縁層を形成し、その上に導体層をスクリーン印刷するか、あるいは蒸着等によって導体層を所定のパターンに形成することで、加熱体とすることができる。
また、ステンレス、ニッケル、銀、モリブデン、タングステン、クロム及びこれらの合金等の金属箔を、エッチングにより所定のパターンに形成して加熱体とすることができる。この手法においては、金属−セラミックス複合体のチャックトップとの絶縁を上記と同様の手法によって形成することもできるが、例えば、絶縁性のシートをチャックトップと加熱体の間に挿入することができる。この場合、上記の手法に比べ非常に安価に、しかも容易に絶縁層を形成することができるため好ましい。この場合にシートとして使用できる樹脂としては、耐熱性の観点から、マイカ、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。この中でも特にマイカは、耐熱性、電気絶縁性に優れ、加工し易く、しかも安価であるため特に好ましい。
また、チャックトップの材質としてのセラミックスは、上記のように絶縁層を形成する必要がないため、比較的利用しやすい。この場合の加熱体の形成方法としては、上記と同様の手法を選択することができる。セラミックスの中でも、特にアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、ムライト、アルミナ−ムライト複合体が好ましい。これらの材料はヤング率が比較的高いため、プローブカードの押し当てによる変形が小さいからである。これらのうち、アルミナに関しては、比較的コストも安く、また高温における電気的特性も優れているため、最も優れている。
また、チャックトップの材質として、金属を適用することも可能である。この場合、特にヤング率の高いタングステンやモリブデン、及びこれらの合金を使用することも可能である。具体的な合金としては、タングステンと銅の合金、モリブデンと銅の合金が挙げられる。これらの合金は、タングステンやモリブデンに銅を含浸させて作製することができる。これらの金属に対しても、上記金属−セラミックス複合体と同様に導電体であるため、上記の手法をそのまま適用して加熱体を形成することができる。
チャックトップには、ウエハの検査時にプローブカードから多数のピンがウエハに押し付けられるため、その圧力がチャックトップにも影響を及ぼし、少なからずチャックトップにも撓みが生じる。その際、チャックトップに3.1MPaの荷重を加えたときに、その撓み量は30μm以下であることが好ましい。このときの撓み量が30μmを超えると、プローブカードのピンをウエハに均一に押し当てることができず、ウエハの検査ができなくなる。この圧力を加えた場合の撓み量としては、更に好ましくは10μm以下である。
チャックトップのヤング率は、250GPa以上であることが好ましい。ヤング率が250GPa未満であると、プロービング時にチャックトップに加わる荷重によりチャックトップに撓みが発生するので、チャックトップのウエハ載置面の平面度や平行度が著しく低下する。このため、プローブピンの接触不良が発生して正確な検査ができず、更にはウエハの破損を招くこともある。従って、チャックトップのヤング率は、250GPa以上が好ましく、300GPa以上が更に好ましい。
また、チャックトップの熱伝導率は、15W/mK以上であることが好ましい。熱伝導率が15W/mK未満である場合、チャックトップ上に載置するウエハの温度分布が悪くなり好ましくない。チャックトップの熱伝導率が15W/mK以上であれば、プロービングに支障の無い程度の均熱性を得ることができる。
チャックトップの厚みは、8mm以上であることが好ましい。厚みが8mm未満であると、プロービング時にチャックトップに加わる荷重によりチャックトップに撓みを生じ、チャックトップ上面の平面度や平行度が著しく劣化することにより、プロービングの接触不良により正確な検査ができず、更にはウエハの破損を招くこともある。このため、チャックトップの厚みは、8mm以上が好ましく、10mm以上が更に好ましい。
チャックトップの反りが30μm以上であると、プロービング時のプローバの針が片あたりを起こし、特性を評価できなかったり、接触不良により誤って不良判定をしたりすることで、歩留まりを必要以上に悪く評価してしまうため好ましくない。また、チャックトップ導体層の表面と支持体の底部裏面との平行度が30μm以上であっても、同様に接触不良を生じるため好ましくない。室温時にチャックトップの反り及び平行度が30μm以下であっても、200℃でのプロービング時に30μm以上となる場合も同様に好ましくない。−70℃でのプロービング時においても同様である。即ち、プロービングを行う温度範囲全域において、反り及び平行度ともに30μm以下であることが好ましい。
チャックトップのウエハ載置面には、チャックトップ導体層を形成する。チャックトップ導体層を形成する目的としては、半導体製造で通常使用される腐食性のガス、酸、アルカリの薬液、有機溶剤、水等からチャックトップを保護すること、及びチャックトップに載置するウエハとの間でチャックトップより下部からの電磁ノイズを遮断してアースに落とすことなどの役割がある。
チャックトップ導体層の形成方法としては、特に制約はなく、導体ペーストをスクリーン印刷によって塗布した後焼成するか、あるいは蒸着やスパッタ等の手法、あるいは溶射やメッキ等の手法が挙げられる。特に溶射法とメッキ法は、導体層を形成する際に熱処理を伴わないため、チャックトップ自体に熱処理による反りが発生せず、またコストが比較的安価であるため好ましい。特にチャックトップ上に溶射膜を形成し、その上にメッキ膜を形成することが好ましい。溶射膜は、セラミックスや金属−セラミックス複合体との密着性がメッキ膜より優れているからである。その理由は、溶射される材料、例えばアルミニウムやニッケル等は、溶射時に若干の酸化物や窒化物あるいは酸窒化物を形成し、これらの化合物がチャックトップの表面層と反応して強固に密着することによる。
しかし、溶射膜には上記の化合物が含まれるため、膜の導電率が低くなる。これに対してメッキ膜は、ほぼ純粋な金属を形成することができるため、チャックトップとの密着強度は溶射膜ほど高くはない代わりに、導電性に優れた導体層を形成することができる。そこで、下地に溶射膜を形成し、その上にメッキ膜を形成すると、溶射膜が金属であることからメッキ膜は溶射膜に対して良好な密着強度を有し、更には良好な電気伝導性も付与することができるため、特に好ましい。
更に、チャックトップ導体層の表面粗さは、Raで0.5μm以下であることが好ましい。表面粗さが0.5μmを超えると、発熱量の大きな素子の測定をする場合、プロービング時に素子自身の発熱により発生する熱をチャックトップから放熱することができず、素子自身が昇温されて熱破壊してしまうことがある。表面粗さがRaで0.02μm以下であると、一層効率よく放熱できるため更に好ましい。
チャックトップを加熱する加熱体としては、図9に示すように、抵抗発熱体3aをマイカ等の絶縁体3bで挟み込んだ加熱体3が、構造として簡便であるため好ましい。抵抗発熱体は、金属材料を使用することができ、例えば、ニッケル、ステンレス、銀、タングステン、モリブデン、クロム、又はこれらの金属の合金を用いることができる。これらの金属の中では、ステンレスとニクロムが好ましい。ステンレス及びニクロムは、抵抗発熱体の形状に加工する際に、例えばエッチング等の手法により、金属箔を所定の回路パターンに比較的に精度良く形成することができる。また、安価であり、耐酸化性を有するので、使用温度が高温であっても長期間の使用に耐えることができる利点がある。
また、抵抗発熱体を挟み込む絶縁体としては、耐熱性を有する絶縁体であれば特に制約はない。例えば、上記のマイカのほか、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。このような絶縁性の樹脂で抵抗発熱体を挟み込む場合、抵抗発熱体で発生した熱をよりスムースにチャックトップに伝えるために、樹脂中にフィラーを分散させることができる。フィラーの役割は樹脂の熱伝導性を高めることにあり、その材質は樹脂との反応性がなければ特に制約はなく、例えば、窒化硼素、窒化アルミニウム、アルミナ、シリカ等を挙げることができる。
チャックトップと加熱体との間にも、電磁波を遮断(シールド)するための金属層を形成することが好ましい。この電磁シールド電極層は、加熱体等で発生した電磁波や電場等のウエハのプロービングに影響を与えるノイズを遮断する役割がある。これらのノイズは通常の電気特性の測定には大きな影響は与えないが、特にウエハの高周波特性を測定する場合に顕著に影響するものである。この電磁シールド電極層は、例えば金属箔を加熱体とチャックトップとの間に挿入することができるが、チャックトップ及び加熱体とは絶縁されている必要がある。この場合、使用する金属箔としては特に制約はないが、加熱体が200℃程度の温度になるため、ステンレス、ニッケル、アルミニウム等の箔が好ましい。
チャックトップと電磁シールド電極層との間の絶縁層の役割は、チャックトップが絶縁体である場合にはチャックトップ導体層との間、またチャックトップが導体である場合にはチャックトップ自身と電磁シールド層との間に、電気回路上コンデンサが形成され、このコンデンサ成分がウエハのプロービング時にノイズとして影響することがあるため、電磁シールド層とチャックトップとの間に絶縁層を形成することで上記ノイズを低減することができる。
更に、チャックトップと電磁シールド電極層との間に、絶縁層を介してガード電極層を備えることが好ましい。ガード電極層は、前記支持体に形成される金属層と接続することで、ウエハの高周波特性を測定するときに影響するノイズを更に低減することができる。即ち、加熱体を含む支持体全体を導体で覆うことで、高周波におけるウエハ特性測定時のノイズの影響を小さくすることができる。更に、ガード電極層を支持体に設けた金属層に接続することにより、ノイズの影響を一層小さくすることができる。
また、有底円筒状の支持体の円筒部には、加熱体に給電するための電極や電磁シールド電極を挿通するための貫通孔が形成されていることが好ましい。この場合、貫通孔の形成位置としては、支持体の円筒部の中心部付近が特に好ましい。形成される貫通孔が外周面に近い場合、ブローブカードの圧力による影響で、円筒部で支える支持体の強度が低下し、貫通孔近傍で支持体が変形するため好ましくない。
上記の絶縁層で絶縁された加熱体、電磁シールド電極層及びガード電極層は、チャックトップの裏面に押さえ板によりにネジ等で固定することが好ましい。その場合、押さえ板とチャックトップの熱膨張係数の差が5×10−6/K以下であることが望ましい。押さえ板とチャックトップの熱膨張係数差が5×10−6/K以下であれば、プロービングを行う温度範囲全域において、上記したチャックトップの反り及びチャックトップ導体層の表面と支持体の底部裏面との平行度ともに30μm以下とすることができる。
押さえ板がチャックトップに比べて5×10−6/Kを超える熱膨張係数差を有する場合には、100〜200℃の昇温時に、バイメタル効果により押さえ板がチャックトップより大きくなるため、チャックトップに中央部が凹状になるように応力がかかり、室温時に反り及び平行度が30μm以下であっても、200℃でのプロービング時に反り及び平行度が30μm以上となる。更に、チャックトップの中心部に支持棒を配置している場合には、支持棒が更にチャックトップを突き上げるため、ひどい場合はチャックトップを破損させ、プロービングが継続できなくなることもある。
逆に、押さえ板がチャックトップに比べて5×10−6/Kよりも小さい熱膨張係数差を有する場合には、押さえ板がチャックトップより小さくなるため、チャックトップに中央部が凸状になるような応力がかかり、室温時に上記反り及び平行度が30μm以下であっても、−60℃でのプロービング時において反り及び平行度が30μm以上となってしまう。
本発明のウエハ保持体は、図10に示すように、チャックトップ1のウエハ載置面2aの反対側である裏面側に、冷却モジュール8を具備することができる。冷却モジュールは、チャックトップを冷却する必要が生じた際に、その熱を奪うことでチャックトップを急速に冷却することができる。また、チャックトップを加熱する際は、冷却モジュールをチャックトップから離間させることで、効率よく昇温することができるため、冷却モジュールは可動式であることが好ましい。
冷却モジュールを可動式にする手法としては、エアシリンダー等の昇降手段を用いることができる。また、可動式の冷却モジュールを用いることで、チャックトップの冷却速度を大幅に向上させ、スループットを増加させることができるため好ましい。また、可動式の冷却モジュールでは、冷却モジュールにプロービング時にプローブカードの圧力が全くかからず、圧力による冷却モジュールの変形がないため好ましい。
また、チャックトップの冷却速度を優先する場合は、冷却モジュールをチャックトップに固定しても良い。固定の形態としては、チャックトップの裏面に抵抗発熱体を絶縁体で挟み込んだ構造の加熱体を設置し、その下面に冷却モジュールを固定することができる。別の固定の形態としては、チャックトップの裏面に直接冷却モジュールを設置し、その下面に抵抗発熱体を絶縁体で挟み込んだ構造の加熱体を固定する方法がある。この時、チャックトップの裏面と冷却モジュールの間に、変形能と耐熱性を有し、且つ熱伝導率の高いシリコーン樹脂等の軟性材を挿入することもできる。この軟性材を備えることで、チャックトップと冷却モジュールの間で互いの平面度や反りを緩和できるうえ、接触面積をより広くすることができるため、冷却モジュールが本来備える冷却能力を発揮することができる。
上記いずれの固定形態においても、固定方法については特に制約はないが、例えば、ネジ止めやクランプといった機械的な手法で固定することができる。特にネジ止めでチャックトップと冷却モジュール及び加熱体を固定する場合、ネジの個数を3個以上、更には6個以上とすることで、相互の密着性が高まり、チャックトップの冷却能力がより向上するため好ましい。
チャックトップの裏面に直接冷却モジュールを設置し、その下面に抵抗発熱体を絶縁体で挟み込んだ構造の加熱体を固定する方法の場合、加熱体を押さえ板でチャックトップにネジ等により固定することができる。このとき、押さえ板の熱膨張係数が冷却モジュールの熱膨張係数以下であることが望ましい。押さえ板の熱膨張係数が冷却モジュールの熱膨張係数よりも大きいと、200℃に昇温したとき、冷却モジュールと押さえ板のバイメタル効果により中央部が凹状に反り、この影響でチャックトップに中央部を凹状に反らせる力が強く働き、チャックトップの平面度を悪化させてしまう。
また、押さえ板と冷却モジュールの熱膨張係数が同じ場合には、冷却モジュールの下側に加熱体があることから、200℃に昇温したとき、やはり中央部が凹状に反ることになる。その結果、上記と同様にチャックトップの平面度を悪化させてしまう。尚、上記と同様に、室温時にチャックトップの反り及び平行度が30μm以下と良好であっても、200℃でのプロービング時に反り及び平行度が30μm以上となると好ましくない。
冷却時も同様であり、押さえ板の熱膨張係数が冷却モジュールの熱膨張係数よりも大きいと、バイメタル効果により中央部が凸状に反り、この影響でチャックトップに中央部を凸状に反らせる力が強く働き、チャックトップの平面度を悪化させてしまう。その結果、室温時にチャックトップの反り及び平行度が30μm以下で良好であっても、−60℃でのプロービング時において平行度が30μm以上となり上記と同様に好ましくない。
このように、押さえ板の熱膨張係数を冷却モジュールの熱膨張係数よりも小さくすることで、冷却モジュールと押さえ板のバイメタルを防止でき、200℃の昇温時及び−70℃の冷却時に、チャックトップの平面度を良好に保つことができ、プロービングを行う温度範囲全域において反り及び平行度をともに30μm以下とすることができる。
また、冷却モジュールをチャックトップに固定する場合、通常は冷却モジュールを有底円筒状の支持体の空隙内に収納するが、冷却モジュールを支持体上に搭載し、その上にチャックトップを搭載するような構造にしても良い。いずれの方法においても、チャックトップと冷却モジュールが固定されているため、冷却速度を可動式の場合に比べて速くすることができる。また、冷却モジュールが支持体上に搭載されることで、冷却モジュールのチャックトップとの接触面積が増加し、より素早くチャックトップを冷却することができる。
このようにチャックトップに対して冷却モジュールを固定する場合には、冷却モジュールに冷媒を流さずに昇温することも可能である。この場合、冷却モジュール内に冷媒が流れないため、加熱体で発生した熱が冷媒に奪われて系外に逃げることがなく、より効率的な昇温が可能となる。しかし、この場合であっても、冷却時に冷却モジュールに冷媒を流すことで、効率的にチャックトップを冷却することが可能である。
更に、チャックトップと冷却モジュールを一体化することも可能である。チャックトップと冷却モジュールを一体化させることによって、チャックトップに冷却モジュールを固定した場合に比較して、更に素早くチャックトップを冷却することができる。この場合、一体化する際に使用するチャックトップ及び冷却モジュールの材質としては、特に制約はないが、冷却モジュール内に冷媒を流すための流路を形成する必要があること等から、チャックトップ部と冷却モジュール部との熱膨張係数差は小さい方が好ましく、当然のことながら同材質であることが更に好ましい。
この場合に使用する材質としては、チャックトップの材質として先に説明したセラミックスや、セラミックスと金属の複合体を使用することができる。この場合、チャックトップのウエハ載置面側にはチャックトップ導体層を形成すると共に、その反対側の裏面側には、冷媒を流すための流路を形成し、更にチャックトップと同材質の基板を、例えばロウ付けやガラス付け等の手法で一体化することができる。また当然のことながら、チャックトップに貼り付ける基板側に流路を形成しても良いし、両方の基板に流路を形成しても良い。また、ネジ止めにより一体化することも可能である。
また、一体化されたチャックトップと冷却モジュールの材質として、金属を使用することもできる。金属は、セラミックスやセラミックスと金属の複合体に比較して、加工が容易で且つ安価であるため、冷媒の流路を形成しやすい利点がある。しかし、金属を使用した場合、プロービング時に加わる圧力によって、撓みが発生することがある。その場合には、冷却モジュールと一体化したチャックトップの裏面側に、チャックトップ変形防止用基板を設置することによって、撓みを防止することができる。チャックトップ変形防止用基板としては、ヤング率が250GPa以上の基板が好ましく用いられる。
このチャックトップ変形防止用基板は、支持体の空隙内に収容しても良いし、チャックトップと一体化させて支持体との間に挿入するようにしても良い。このチャックトップ変形防止用基板とチャックトップの一体化は、ネジ止め等の機械的な手法によって固定しても良いし、ロウ付けやガラス付け等の手法によって固定しても良い。尚、このようにチャックトップと冷却モジュールを一体化する場合も、上記したチャックトップに冷却モジュールを固定する場合と同様に、チャックトップを昇温あるいは高温でキープする場合は冷媒を流さず、冷却時に冷媒を流すことによって一層効率的に昇降温できるため好ましい。
また、一体化されたチャックトップと冷却モジュールが金属である形態においては、例えばチャックトップの表面が酸化や変質が発生しやすい場合、または電気導電性が高くない場合に、ウエハ載置面の表面に改めてチャックトップ導体層を形成することができる。この手法に関しては、上記したように、ニッケル等の耐酸化性を有するメッキを施したり、溶射との組み合わせによってチャックトップ導体層を形成し、ウエハ載置面の表面を研磨したりすることで形成することができる。
また、チャックトップが冷却モジュールを具備する構造においても、必要に応じて上記した電磁シールド層やガード電極層の形成が可能である。この場合は、絶縁された加熱体を上記のように金属で覆い、更に絶縁層を介してガード電極層を形成し、ガード電極層とチャックトップとの間に絶縁層を形成する。更に、チャックトップ変形防止用基板によって、一体的にチャックトップに固定すればよい。
冷却モジュールと一体化されたチャックトップの支持体に対する設置方法としては、冷却モジュール部を支持体に形成された空隙内に設置しても良いし、またチャックトップと冷却モジュールとをネジ止めした場合と同様に、冷却モジュール部を支持体上に搭載する構造としても良い。
上記冷却モジュールの材質としては、特に制約はないが、アルミニウムや銅及びその合金は、熱伝導率が比較的高いため、急速にチャックトップの熱を奪うことができるため好ましく用いられる。また、ステンレスやマグネシウム合金、ニッケル、その他の金属材料を使用することもできる。冷却モジュールに耐酸化性を付与するために、ニッケル、金、銀といった耐酸化性を有する金属膜をメッキや溶射等の手法を用いて形成することができる。
また、冷却モジュールの材質として、セラミックスを使用することもできる。この場合の材質としては、特に制約はないが、窒化アルミニウムや炭化珪素は熱伝導率が比較的高く、チャックトップから素早く熱を奪うことができるため好ましい。窒化珪素や酸窒化アルミニウムにおいては、機械的強度が高く、耐久性に優れているため好ましい。また、アルミナやコージェライト、ステアタイト等の酸化物セラミックスは、比較的安価であるため好ましい。
上記した冷却モジュールの材質は、種々選択できるため、用途によって材質を選択すればよい。これらの中では、アルミニウムにニッケルメッキを施したものや、銅にニッケルメッキを施したものが、耐酸化性に優れ、また熱伝導率も高いうえ、価格的にも比較的安価であるため、特に好ましい。
上記冷却モジュールには、冷媒を流すことも可能である。冷媒を流すことによって、加熱体から冷却モジュールに伝達された熱を素早く取り除くことができるため、更に加熱体の冷却速度を向上できるため好ましい。冷却モジュール内に流す冷媒としては、水やフロリナート等が選択でき、特に制約はないが、比熱の大きさ及び価格を考慮すると水が最も好ましい。
冷却モジュールに流路を形成する好適な例としては、2枚のアルミニウム板を用意し、その一方のアルミニウム板に流路を機械加工等によって形成する。そして、耐食性、耐酸化性を向上させるために、ニッケルメッキを全面に施す。残り1枚のアルミニウム板にもニッケルメッキを施し、これら2枚のアルミニウム板を張り合わせる。このとき流路の周囲には、水が漏れないように、例えばO−リング等を挿入し、ネジ止めや溶接によって2枚のアルミニウム板を張り合わせることにより、内部に流路を有する冷却モジュールとすることができる。
あるいは、2枚の銅(無酸素銅)板を用意し、その一方の銅板に流路を機械加工等によって形成した後、この銅板に他方の銅板と冷媒の出入口となるステンレス製パイプとを、同時にロウ付け接合する方法もある。接合した銅板には、耐食性及び耐酸化性を向上させるために、ニッケルメッキを全面に施す。また、別の形態としては、アルミニウム板もしくは銅板等の冷却板に、冷媒を流すパイプを取り付けることで冷却モジュールとすることができる。この場合、パイプの断面形状に近い形状のザグリ溝を冷却板に形成し、パイプを密着させることで更に冷却効率を上げることができる。また、冷却パイプと冷却板の密着性を向上させるために、介在層として熱伝導性の樹脂やセラミックス等を挿入しても良い。
チャックトップの発熱体を加熱して、例えば200℃でプロービングする際には、支持体の底部下面の温度が100℃以下であることが好ましい。100℃を超えると、支持体の下部に配置されたプローバの駆動系に熱が伝わり、熱膨張係数差による歪みを生じるため、プロービング時の位置ずれ、反り、平行度の悪化によるプローブの片あたり等の不具合を生じ、ウエハの正確な評価ができなくなる。また、200℃での昇温測定後に室温測定をする際に、200℃から室温までの冷却に時間を要することとなり、スループットが悪くなる。
本発明のウエハプローバ用ウエハ保持体は、ウエハ等の被処理物を加熱、検査するために好適に用いることができる。例えば、ウエハプローバあるいはハンドラ装置やテスター装置に適用すれば、高剛性、高熱伝導率である特性を特に活かすことができるので好適である。
[実施例1]
直径310mm、厚み15mmのアルミナ基板を用意した。このアルミナ基板の表面に、ウエハを真空チャックするための同心円状の溝と貫通孔を形成し、更にニッケルメッキを施して、表面にチャックトップ導体層及び裏面にガード電極層を形成した。その後、チャックトップ導体層及びガード電極層を研磨加工し、表面粗さをRaで0.02μmに仕上げてウエハ載置面を形成すると共に、全体の反り量を10μmとしてチャックトップとした。
また、上記チャックトップには、電磁シールド電極層としてシリコーン樹脂シートで絶縁したステンレス箔を取り付け、更に抵抗発熱体をシリコーン樹脂シートで挟み込んだ構造の加熱体を裏面に取り付けた。この抵抗発熱体は、ステンレスの箔を所定のパターンでエッチングして形成した。
次に、支持体として、直径310mm、厚み40mmの円柱状のアルミナを準備し、内径295mm、深さ20mmのザグリ加工を施して有底円筒状とした。この支持体の外周側面及び底面にはSUSのガード板を設置し、上記チャックトップのガード電極層と接続した。また、支持体の円筒部内に貫通孔を形成し、抵抗発熱体に給電するための電極を接続した。
更に、支持棒として、下記表1に示すように、SUS、アルミナ、アルミナ−ムライト複合体、コバール、SiC、Si−SiC、窒化珪素、コージライト、石英ガラスからなり、直径15mm、内径10mmの円筒状体を準備し、上記支持体のザグリ深さと同じ20mmの高さに加工した。支持棒に使用した各材料の材質と共に、熱膨張係数α、ヤング率、熱伝導率を、下記表1に示した。
その後、有底円筒状の支持体の内側に、上記表1の各材質の支持棒を下記表2に示すA〜Fの配置となるように取り付けた。この支持体と支持棒の上に、上記のごとく加熱体と電磁シールド電極層を取り付けたチャックトップを搭載し、それぞれウエハプローバ用ウエハ保持体とした。尚、下記表2において、α1は中心部に配置した支持棒の熱膨張係数、α2は内側(小さな直径)の同心円上に配置した支持棒の熱膨張係数、α3は外側(大きな直径)の同心円上に配置した支持棒の熱膨張係数、及びα4は支持体の熱膨張係数である。
下記表2に示す支持棒の配置は、A:支持部なし、B:チャックトップ及び支持体に対して中心部に1箇所配置、C:チャックトップ及び支持体に対して1つの同心円(直径100mm)上に均等に3箇所配置、D:チャックトップ及び支持体に対して中心部に1箇所、及び1つの同心円(直径200mm)上に均等に6箇所配置、E:チャックトップ及び支持体に対して内側の同心円(直径100mm)上に均等に3箇所、及び外側の同心円(直径200mm)上に均等に6箇所配置、F:チャックトップ及び支持体に対して中心部に1箇所、内側の同心円(直径100mm)上に均等に3箇所、及び外側の同心円(直径200mm)上に均等に6箇所配置とした。
これらのウエハプローバ用ウエハ保持体について、加熱体に通電することでウエハを200℃に加熱し、プロービングを実施した結果を下記表3に示した。即ち、初期評価として、ウエハ全面にわたり良好にプロービングできるものを○、割れ等により一部でも不良なものは×とした。更に、この初期評価で不良の物を除き、良好なものについては24時間連続プロービングを実施して、良好なものを○、一部でも不良のものを×とした。
また、200℃昇温時のチャックトップの反り(CT反り)を測定し、20μm以下を◎、30μm以下を○、50μm以下を△とした。更に、100kg/直径20mmの荷重をかけたときのチャックトップの撓み(CT撓み)を測定し、20ミクロン以下を◎、30μm以下を○、50μm以下を△、100μm以上を×とした。加えて、24時間連続プロービング後の支持体底部の温度を測定し、170℃以下のものを△、150℃以下のものを○、130℃以下のものを◎とした。得られた結果を併せて下記表3に示した。
[実施例2]
支持体の材質をムライト−アルミナ複合体とした以外は上記実施例1と同様にして、ウエハプローバ用ウエハ保持体を作製した。これらのウエハプローバ用ウエハ保持体について、上記実施例1と同様にプロービング評価を実施した。得られた結果を下記表4に示した。
[実施例3]
チャックトップの材質をSi−SiCにした以外は上記実施例1と同様にして、ウエハプローバ用ウエハ保持体を作製した。これらのウエハプローバ用ウエハ保持体について、上記実施例1と同様にプロービング評価を実施したところ、上記実施例2と同じ結果が得られた。
上記した実施例1〜3で得られた結果から、チャックトップを支持する支持棒をチャックトップの中心部に配置する配置Bの場合、チャックトップの中心部を支持する支持棒の熱膨張係数α1を、チャクトップ外周部を支持する支持体の熱膨張係数α4以下とすることによって、200℃昇温時のチャックトップの変形を小さくでき、チャックトップの割れや損傷を防ぐことができることが分る。
また、チャックトップを支持する支持棒を、支持体に対して1つの同心円状に配置する配置Cの場合、支持棒及び支持体の熱膨張係数αを、同心円状に配置された支持棒の熱膨張係数α2≦支持体の熱膨張係数α4とすることにより、200℃昇温時のチャックトップ変形を小さくでき、チャックトップの割れや損傷を防ぐことができることが分る。
更に、チャックトップを支持する支持棒を、チャックトップの中心部と共に、更に支持体に対して同心円状に配置する配置Dの場合、各々の支持棒及び支持体の熱膨張係数αを、中心部の支持棒の熱膨張係数α1≦同心円状に配置された支持棒の熱膨張係数α3≦支持体の熱膨張係数α4とすることにより、200℃昇温時のチャックトップ変形を小さくでき、チャックトップの割れや損傷を防ぐことができることが分る。
また、チャックトップを支持する支持棒を、支持体に対して2つの直径の同心円状に配置する配置Eの場合、各々の支持棒及び支持体の熱膨張係数αを、同心円状に配置された内側の支持棒の熱膨張係数α2≦同心円状に配置された外側の支持棒の熱膨張係数α3≦支持体の熱膨張係数α4とすることにより、200℃昇温時のチャックトップ変形を小さくでき、チャックトップの割れや損傷を防ぐことができることが分る。
更に、チャックトップを支持する支持棒を、チャックトップの中心部と共に、支持体に対して2つの直径の同心円状に配置する配置Fの場合、各々の支持棒及び支持体の熱膨張係数αを、中心部の支持棒の熱膨張係数α1≦同心円状に配置された内側の支持棒の熱膨張係数α2≦同心円状に配置された外側の支持棒の熱膨張係数α3≦支持体の熱膨張係数α4とすることにより、200℃昇温時のチャックトップ変形を小さくでき、チャックトップの割れや損傷を防ぐことができることが分る。
また、支持棒と支持体の熱膨張差を5×10−6/℃以下とすることで、更に200℃昇温時のチャックトップ変形を小さくでき好ましいことが分る。更に、ヤング率の高い支持棒を用いた場合には、プロービング時の荷重に対する剛性が高いためチャックトップの変形を小さくすることができ、特にヤング率が200GPa以上であると、プロービング加重時の撓みを小さくできるため好ましいことが分る。
[実施例4]
上記実施例1と同様にしてウエハプローバ用ウエハ保持体を作製したが、チャックトップを下記表5の材質とし、チャックトップの外周部を支持する有底円筒状の支持体及びチャックトップの中心部1箇所を支持する支持棒としてムライト−アルミナ複合体を使用して、それぞれウエハプローバ用ウエハ保持体を作製した。
尚、上記チャックトップには、ウエハ載置面と反対側の裏面に電磁シールド層及びガード電極層としてステンレス箔を取り付け、ガード電極層と電磁シールド層及びガード電極層とチャックトップの間をシリコーン樹脂で絶縁した。また、ガード電極は、支持体の金属層と接続した。更に、抵抗発熱体をシリコーン樹脂シートで挟み込んだ構造の加熱体を、下記表5に示す押さえ板を介して、チャックトップにネジ止めにより取り付けた。この抵抗発熱体は、ステンレスの箔を所定のパターンでエッチングして形成した。絶縁層及び押さえ板の外径は300mmとした。
次に、上記有底円筒状の支持体の上に、上記のごとく押さえ板を介して加熱体などをネジで取り付けたシャックトップを搭載し、ウエハプローバ用ウエハ保持体とした。これらのウエハ保持体を用いて、上記実施例1と同様に200℃でプロービングを行い、上記実施例1と同様に評価した結果を下記表5に示した。
この結果から分るように、押さえ板とチャックトップとの熱膨張係数差が5ppm/K以下であれば、昇温時のチャックトップ変形を小さくすることができ、チャックトップの割れや損傷を防ぐことができ、良好なプロービングを実施することができる。また、押さえ板の熱膨張係数がチャックトップの熱膨張係数よりも小さいと、200℃に昇温した時のチャックトップの反りを抑えることができるため、特に好ましいことが分る。
[実施例5]
上記実施例2と同様に、アルミナのチャックトップと、ムライト−アルミナ複合体からなる有底円筒状の支持体、及びチャックトップの中心部を支持するムライト−アルミナ複合体の支持棒を備えたウエハプローバ用ウエハ保持体を作製した。
上記チャックトップ裏面側には、下記表6に示す材質からなり、内部に冷媒用の流路が形成されている冷却モジュールを搭載し、冷却モジュールの下面に抵抗発熱体を絶縁体で挟み込んだ構造の加熱体を配置して、表6に示す材質の押さえ板を介して冷却モジュールごとネジでチャックトップに固定した。
これらのウエハ保持体を用いて、−60℃〜200℃の温度範囲でプロービングを行った。その際、高温時は冷却モジュールに冷媒を流さず、冷却時にのみチラーで温度管理した冷媒を流すことで冷却させた。上記実施例1と同様に評価した結果を、下記表6に示した。
上記の結果から、押さえ板の熱膨張係数が冷却モジュールの熱膨張係数以下であると、昇温時及び降温時のチャックトップの変形を小さくすることができ、チャックトップの割れや損傷を防ぐことができ、良好なプロービングができることが分る。
[実施例6]
チャックトップと支持体と支持棒をネジで固定した以外は、上記実施例1と同様にしてウエハプローバ用ウエハ保持体を作製した。ただし、支持棒として、下記表7に示すように、アルミナ−ムライト複合体とSUSを使用した。また、ネジは、下記表7に示すように、Al、SUS、Ti、コバールとした。
これらのウエハ保持体を用いて、上記実施例1と同様に200℃でプロービングを行い、上記実施例1と同様に評価した結果を下記表7に示した。この結果から、ネジの熱膨張係数が支持棒の熱膨張係数以上で且つその差が5×10−6/K以下であると、昇温時のチャックトップの変形を小さくすることができ、チャックトップの割れや損傷を防ぐことができ、良好なプロービングができることが分る。