JP5124905B2 - メタジイソプロピルベンゼンの製造方法 - Google Patents

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本発明は、メタジイソプロピルベンゼンの製造方法に関し、詳しくは、液体塩化アルミニウム錯体触媒を用いて、ベンゼンとプロピレンを原料とし、アルキル化反応及びトランスアルキル化反応によりメタジイソプロピルベンゼンを連続的に製造する方法であって、目的物であるメタジイソプロピルベンゼンへの反応を十分に進行させ、メタジイソプロピルベンゼンの不純物であるエチルイソプロピルベンゼン及びトリメチルインダンや触媒活性低下原因物質であるトリメチルインダンやイソプロピルトリメチルインダンの副生量を低水準に制御する製造方法に関する。
液体塩化アルミニウム錯体触媒を用いて、ベンゼンとプロピレンを原料とし、アルキル化反応及びトランスアルキル化反応によりメタジイソプロピルベンゼンを製造する方法は公知である(例えば、特許文献1参照)。
従来の製造方法では、使用する液体塩化アルミニウム錯体触媒は全量アルキル化反応工程に添加するのが通常であったが、アルキル化反応にてその触媒活性が低下し、後工程のトランスアルキル化反応工程においては、すでに触媒活性が低下しているので、トランスアルキル化反応速度が低下し、トランスアルキル化反応工程出口におけるメタジイソプロピルベンゼンの生成量が低下するという問題があった。
この問題を解決する方法として一般的には、
(1)アルキル化反応工程へ添加する触媒量を増加する
(2)トランスアルキル化反応工程に新たに触媒を添加する
(3)トランスアルキル化反応の温度を上げる
といった方法を用いてトランスアルキル化反応速度を上昇させることが考えられる。しかし、(1)、(2)の方法を用いた場合には、触媒の使用量が増加した結果、副反応による不純物が増加や塩化アルミニウムの使用量の増加によるコストの問題等の問題が生じる。一方、反応温度を上げる場合には、副反応による不純物が増加して全体として反応収率が低下するといった新たな問題が出てくる。
ここで、副反応による不純物とは、例えばエチルイソプロピルベンゼン、トリメチルインダンやイソプロピルトリメチルインダンである。
エチルイソプロピルベンゼンはメタジイソプロピルベンゼンと沸点が近接しており、相互を蒸留により分離することが困難である。このため、反応工程におけるエチルイソプロピルベゼンの副生量が多くなると、目的物メタイジソプロピルベンゼンの純度が下がってしまう。
トリメチルインダンは、液体塩化アルミニウム錯体触媒の活性低下原因物質の一つであり、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化工程においてトリメチルインダンの副生量が多いと触媒活性が低下し反応速度が低下するため、トランスアルキル化反応工程におけるメタジイソプロピルベンゼンの生成量が低下してしまう。また、トリメチルインダンはメタジイソプロピルベンゼンと沸点が近接しており、相互を蒸留により分離することが困難である。このため、反応工程におけるトリメチルインダンの副生量が多くなると、目的物メタイジソプロピルベンゼンの純度が下がってしまう。
イソプロピルトリメチルインダンは、液体塩化アルミニウム錯体触媒の活性低下原因物質の一つであり、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化工程においてイソプロピルトリメチルインダンの副生量が多いと触媒活性が低下し反応速度が低下するため、トランスアルキル化反応工程におけるメタジイソプロピルベンゼンの生成量が低下してしまう。
以上の如く、メタジイソプロピルベンゼンの製造に際して、エチルイソプロピルベンゼン、トリメチルインダンやイソプロピルトリメチルインダン等の不純物の副生量を低水準に制御してメタジイソプロピルベンゼンへの反応を十分に進行させることが重要であり、一層の改良が求められていた。
特開平8−325175号公報(第1頁〜第4頁)
かかる状況に鑑み、本発明は、液体塩化アルミニウム錯体触媒を用いて、ベンゼンとプロピレンを原料とし、アルキル化反応及びトランスアルキル化反応によりメタジイソプロピルベンゼンを連続的に製造する方法において、不純物や触媒活性低下原因物質の副生量を低下させてメタジイソプロピルベンゼンへの反応を十分に進行させることができる、メタジイソプロピルベンゼンの製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に係る発明は、 液体塩化アルミニウム錯体触媒を用いてベンゼンとプロピレンとを反応させる方法であって、少なくともアルキル化反応工程、トランスアルキル化反応工程、触媒除去工程、精留工程を有するメタジイソプロピルベンゼンを連続的に製造する方法において、下記のA〜C工程を含むことを特徴とするメタジイソプロピルベンゼンの製造方法に係るものである。
A工程:精留工程における、未反応ベンゼン及びクメン留分をアルキル化反応工程へリサイクルする工程
B工程:精留工程における、パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼン留分をトランスアルキル化反応工程へリサイクルする工程
C工程:液体塩化アルミニウム錯体触媒をアルキル化反応工程とトランスアルキル化反応工程に分割して添加する工程
請求項2に係る発明は、前記C工程において、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程における任意の塩化アルミニウム濃度に対し、下記式(1)、(2)を用いてアルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量(C1)及びトランスアルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量(C2)を算出して添加することを特徴とする請求項1記載のメタジイソプロピルベンゼンの製造方法に係るものである。
X1=A×C1/(P+B+CUM) (1)
X2=A×(C1+C2)/(P+B+CUM+PDC) (2)
(但し、A:錯体触媒中の塩化アルミニウム濃度[重量%]、X1:アルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度[重量%]、X2:トランスアルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度[重量%]、C1:アルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量[kg/H]、C2:トランスアルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量[kg/H]、P:フレッシュプロピレンの供給量[kg/H]、B:フレッシュベンゼンの供給量[kg/H]、CUM:未反応ベンゼン及びクメン留分の供給量[kg/H]、PDC:パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼン留分の供給量[kg/H])
請求項3に係る発明は、前記C工程において、アルキル化反応工程における塩化アルミニウムの濃度とトランスアルキル化反応工程における塩化アルミニウムの濃度が等しくなるように、前記式(1)、(2)によりアルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量を算出して、それぞれの工程へ添加することを特徴とする請求項1又は2記載のメタジイソプロピルベンゼンの製造方法に係るものである。
請求項4に係る発明は、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程の任意の塩化アルミニウム濃度に対し、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量を、前記式(1)、(2)を用いてそれぞれコンピュータに演算させて、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のメタジイソプロピルベンゼンの製造方法に係るものである。
請求項5に係る発明は、前記トランスアルキル化反応工程が、直列に配置された2槽以上の反応器を用いてトランスアルキル化反応を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のメタジイソプロピルベンゼンの製造方法に係るものである。
本発明により、液体塩化アルミニウム錯体触媒を用いて、ベンゼンとプロピレンを原料とし、アルキル化反応及びトランスアルキル化反応によりメタジイソプロピルベンゼンを連続的に製造する方法において、反応工程に添加する全体の液体塩化アルミニウム錯体触媒の量を変化させずに、液体塩化アルミニウム錯体触媒をアルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程に分割して添加し、それぞれの工程における塩化アルミニウムの濃度を任意に制御することにより、副反応による不純物及び触媒活性低下原因物質の生成を低下させ、メタジイソプロピルベンゼンへの反応を十分に進行させることができる、優れた効果を有するメタジイソプロピルベンゼンの製造方法の提供が可能になった。
本発明の態様の一例を示すフロー図を示した図1に基づいて、詳細に説明する。図1に示すように、本発明における、液体塩化アルミニウム錯体触媒を用いてベンゼンとプロピレンとを反応させるメタジイソプロピルベンゼンの製造方法は、少なくともアルキル化反応工程100、トランスアルキル化反応工程200、触媒除去工程300、精留工程400を有する。
触媒1として用いられる液体塩化アルミニウム錯体触媒(以下、「錯体触媒」と記す。)とは、塩化アルミニウム、塩化水素及び芳香族炭化水素からなる均一溶液状の錯体触媒である。ここで、芳香族炭化水素としては、通常ベンゼン、クメン、パラジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン及びメタジイソプロピルベンゼンのうちの一種又は二種以上の混合物が用いられる。塩化アルミニウム1モル当り0.5〜1.0モルの塩化水素と2〜10モルの芳香族炭化水素を撹拌混合することにより均一溶液とすればよい。この場合、調製温度は20〜70℃が好ましい。調製温度が高すぎると触媒活性の低下を招き、逆に低すぎると均一溶液を得るのに長時間を要す。調製時間は特に限定はないが一般に10分から10時間程度である。
本発明は、錯体触媒の存在下、原料であるベンゼン2及びプロピレン3を接触させアルキル化反応を行い、その後トランスアルキル化反応を行う。この際、錯体触媒は、C工程4にてアルキル化反応工程とトランスアルキル化反応工程に分割して添加する。また、後述の精留工程においてメタジイソプロピルベンゼンから分離回収されるベンゼン、クメン、パラジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼンなどをアルキル化反応工程100又はトランスアルキル化反応工程200にリサイクルして供給してもよいが、A工程5として、ベンゼン、クメンなどメタジイソプロピルベンゼンより沸点が低い留分(以下、「リサイクルクメン」と記す。)はアルキル化反応工程100に、B工程6として、パラジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼンなどメタジイソプロピルベンゼンより沸点が高い留分(以下、「リサイクルPDC」と記す。)はトランスアルキル化反応工程200にリサイクルして供給するのが好ましい。
本発明では、任意の塩化アルミニウム濃度に対し、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程への錯体触媒の分割添加量を下記式(1)、(2)を用いてアルキル化反応工程への錯体触媒添加量(C1)及びトランスアルキル化反応工程への錯体触媒添加量(C2)を算出し、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程へ錯体触媒を分割添加する。尚、以下の演算式は、リサイクルクメンをアルキル化反応工程に、リサイクルPDCをトランスアルキル化反応工程にリサイクル供給した場合のものを示している。
X1=A×C1/(P+B+CUM) (1)
X2=A×(C1+C2)/(P+B+CUM+PDC) (2)
(但し、A:錯体触媒中の塩化アルミニウム濃度[重量%]、X1:アルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度[重量%]、X2:トランスアルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度[重量%]、C1:アルキル化反応工程への錯体触媒添加量[kg/H]、C2:トランスアルキル化反応工程への錯体触媒添加量[kg/H]、P:フレッシュプロピレンの供給量[kg/H]、B:フレッシュベンゼンの供給量[kg/H]、CUM:リサイクルクメンの供給量[kg/H]、PDC:リサイクルPDCの供給量[kg/H])

本発明では、アルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度とトランスアルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度は、前記の式(1)、(2)により、それぞれの工程に必要な錯体触媒添加量を算出してC工程4にて分割して添加することにより任意の濃度に制御することができる。アルキル化及びトランスアルキル化の反応条件によって反応組成が変化するため、通常は後述の精留工程からリサイクルされるリサイクルクメンとリサイクルPDCの量は常に一定ではない。このような反応条件の下において、上記のように錯体触媒添加量を制御することにより、副反応による生成物を低下させるような最適の条件を見出すことが可能になったのである。上記の如く、アルキル化反応工程とトランスアルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度を任意の濃度に制御するには、錯体触媒の分割添加量を常に調整する必要があり複雑であるが、上記演算式を用いてコンピュータなどで演算させれば、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程への触媒添加量を算出することが可能であり、錯体触媒の添加量の調整は容易である。
以上のようにして錯体触媒をアルキル化反応工程とトランスアルキル化反応工程に分割添加することで、アルキル化反応での触媒活性低下を抑えられ、活性の高い錯体触媒をトランスアルキル化反応工程に直接添加することができる。その結果、触媒活性低下原因物質であるトリメチルインダンやイソプロピルトリメチルインダンの生成を低水準に制御することができ、十分に高い平衡到達率を実現することができる。また、目的物であるメタジイソプロピルベンゼンと沸点が近く、後述の精留工程でメタジイソプロピルベンゼンとの分離が困難なエチルイソプロピルベンゼンやトリメチルインダンの生成を低水準に制御することができるため、純度の高いメタジイソプロピルベンゼンを得ることができる。
その一つの条件としてアルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度とトランスアルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度が等しくなるよう、錯体触媒をアルキル化反応工程とトランスアルキル化工程に分割添加することにより、触媒活性低下原因物質であるイソプロピルトリメチルインダンの生成を低水準に制御することができ、十分に高い平衡到達率を実現することができることを見出した。又、目的物であるメタジイソプロピルベンゼンと沸点が近く、後述の精留工程でメタジイソプロピルベンゼンとの分離が困難なエチルイソプロピルベンゼンの生成を低水準に制御することができるため、純度の高いメタジイソプロピルベンゼンを得ることができる。
本発明のアルキル化反応は、錯体触媒の存在下、原料であるベンゼン及びプロピレンを接触させればよい。具体的には、反応器内において、錯体触媒を含有するベンゼン溶液中にプロピレンを吹き込めばよい。なお、アルキル化反応の原料としては、反応系外から新規に供給されるフレッシュのベンゼンとプロピレンの他に、リサイクルクメンを供給する。系外から新規に供給されるフレッシュのベンゼンとプロピレンのモル比(ベンゼン/プロピレン)は通常1/2程度である。
アルキル化反応において使用される錯体触媒の量は、反応液中の塩化アルミニウム濃度で通常0.05〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%、更に好ましくは0.15〜0.4重量%である。触媒濃度が低いと反応が遅く、一方該濃度が高すぎると副反応が増え、また塩化アルミニウムの使用量が増加して不経済でもある。アルキル化反応の反応促進のため、助触媒として、塩化アルミニウム1モルに対して0.01〜0.2モルの塩化水素を添加してもよい。反応温度は通常50〜150℃であり、50〜120℃が好ましく、60〜100℃が更に好ましい。低温では反応除熱のための冷却エネルギーが過大に必要となり、高温ではエチルイソプロピルベンゼン、トリメチルインダンやイソプロピルトリメチルインダンなどの副反応生成物が増える。反応圧力は一般に大気圧から10〜50kPaGである。反応時間は、反応条件にもよるが、一般に1〜100分である。
アルキル化反応により得られる反応液中には、目的物であるメタジイソプロピルベンゼン及び原料であるベンゼンの他にクメン、オルトジイソプロピルベンゼン、パラジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼンなどが存在している。ところで、トランスアルキル化反応を十分に行った場合には、これらの化合物は一定の平衡濃度に達することが知られている。平衡状態における各化合物の濃度は、主に反応原料のイソプロピル基のモル数/フェニル基のモル数の比(以下、「P/B」と記す。)や温度によって決まり、たとえば80℃においてP/B=1.55の場合のメタジイソプロピルベンゼンの平衡濃度は約35重量%となる。ところが、アルキル化反応後の反応液は平衡状態に達しない状態にあるのが一般であり、平衡状態に比べ、目的物であるメタジイソプロピルベンゼンの濃度が低く、ベンゼン、パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼン類の濃度が高い。そこで、平衡到達率を上げて反応液組成を平衡状態に近づけ、目的物であるメタジイソプロピルベンゼンの濃度を高めることが必要となる。この目的を達成するため、次工程であるトランスアルキル化反応が行われる。
トランスアルキル化反応の原料は前述の錯体触媒を含んだアルキル化反応液を用い、さらにリサイクルPDCを供給する。トランスアルキル化反応において使用される錯体触媒の量は、反応液中の塩化アルミニウム濃度で通常0.05〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%、更に好ましくは0.15〜0.4重量%である。触媒濃度が低いと反応が遅く、一方該濃度が高すぎると副反応が増え、また塩化アルミニウムの使用量が増加して不経済でもある。なお、トランスアルキル化反応は2槽以上の反応器を用いて行ってよい。この場合、錯体触媒はどの反応槽に添加しても良いが、1槽目の反応器に添加するのが好ましい。反応温度は通常50〜150℃であり、50〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。低温では反応が遅く、高温ではエチルイソプロピルベンゼン、トリメチルインダンやイソプロピルトリメチルインダンなどの副反応生成物が増える。反応圧力は一般に大気圧から10〜50kPaGである。トランスアルキル化反応の反応時間は、反応条件にもよるが一般に50〜300分である。かくして得られるトランスアルキル化反応の反応液は、十分に高い平衡到達率を有するものであり、つまり目的物であるメタジイソプロピルベンゼンの濃度が十分に高く、かつ不都合な不純物であるエチルイソプロピルベンゼンや不純物であり触媒活性低下原因物質であるトリメチルインダンや触媒活性低下原因物質であるイソプロピルトリメチルインダンの濃度を低く維持したものである。
得られたトランスアルキル化反応の反応液から目的物であるメタジイソプロピルベンゼンを取得するには通常の方法が用いられる。たとえば、触媒除去工程にて反応混合物より分液操作により錯体触媒を分離、あるいは反応混合物を水洗浄や苛性洗浄し、錯体触媒を除去する。その後、精留工程にて得られた油層を蒸留し、ベンゼン、クメン、パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼン類などからなる複数の留分から目的物のメタジイソプロピルベンゼン留分を分離することができる。この際、目的物以外の各留分はアルキル化反応あるいはトランスアルキル化反応へリサイクルすることができる。このような方法によって、目的物であるメタジイソプロピルベンゼンを得ることができる。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものでない。
実施例1
本発明の実施の形態の一例を示すフロー図(図1)に示す製造プロセスを用いて反応を実施した。アルキル化反応工程100へ、錯体触媒1、ベンゼン2、プロピレン3の他、A工程5によりリサイクルクメンを連続的にフィードし、トランスアルキル化工程200へ、アルキル化反応工程からの反応液、錯体触媒、B工程によりリサイクルPDCを連続的にフィードした。錯体触媒はアルキル化反応工程100及びトランスアルキル化工程200の各反応槽における塩化アルミニウム濃度が0.22重量%となるよう分割して添加した。トランスアルキル化工程におけるP/B比(プロピレンを加えたイソプロピル基/ベンゼンを加えたフェニル基モル比)1.70、アルキル化反応工程の反応槽温度79℃、トランスアルキル化工程の反応槽温度82℃にて連続反応を行った。その結果、定常状態における反応液中のメタジイソプロピルベンゼン(MDC)濃度34.3重量%、イソプロピルトリメチルインダン(IPTMI)濃度0.22重量%であり、目的物であるMDCの不純物であるエチルイソプロピルベンゼン(EPB)はMDCに対し790重量ppmであり、トリメチルインダン(TMI)はMDCに対し0.11重量%であった。
比較例1
錯体触媒とリサイクルPDCを全量アルキル化反応工程の反応槽へ連続的にフィードして行ったこと以外は実施例1と同様に行った。その結果、定常状態における反応液中のMDC濃度33.6重量%、IPTMI濃度0.27重量%であり、EPBはMDCに対し860重量ppmであり、TMIはMDCに対し0.15重量%であり、実施例より触媒活性低下原因物質であるIPTMI濃度が上がったためにMDC濃度が下がり、またMDCに対する不純物濃度も高くなった。
結果を表1に示す。
Figure 0005124905








本発明の実施の形態の一例を示すフロー図である。
符号の説明
1…触媒、2…原料ベンゼン、3…原料プロピレン、4…C工程、5…A工程、6…B工程、7…メタジイソプロピルベンゼン(MDC)、100…アルキル化反応工程、200…トランスアルキル化工程、300…触媒除去工程、400…精留工程

Claims (5)

  1. 液体塩化アルミニウム錯体触媒を用いてベンゼンとプロピレンとを反応させる方法であって、少なくともアルキル化反応工程、トランスアルキル化反応工程、触媒除去工程、精留工程を有するメタジイソプロピルベンゼンを連続的に製造する方法において、下記のA〜C工程を含み、前記アルキル化反応工程の後に、前記トランスアルキル化反応工程を行い、前記触媒除去工程が、ベンゼンとプロピレンとの反応混合物を水洗浄若しくは苛性洗浄し、錯体触媒を循環再使用することなく除去する工程であることを特徴とするメタジイソプロピルベンゼンの製造方法。
    A工程:精留工程における、未反応ベンゼン及びクメン留分をアルキル化反応工程へリサイクルする工程
    B工程:精留工程における、パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼン留分をトランスアルキル化反応工程へリサイクルする工程
    C工程:液体塩化アルミニウム錯体触媒をアルキル化反応工程とトランスアルキル化反応工程に分割して添加する工程
  2. 前記C工程において、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程における任意の塩化アルミニウム濃度に対し、下記式(1)、(2)を用いてアルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量(C1)及びトランスアルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量(C2)を算出して添加することを特徴とする請求項1記載のメタジイソプロピルベンゼンの製造方法。
    X1=A×C1/(P+B+CUM) (1)
    X2=A×(C1+C2)/(P+B+CUM+PDC) (2)
    (但し、A:錯体触媒中の塩化アルミニウム濃度[重量%]、X1:アルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度[重量%]、X2:トランスアルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度[重量%]、C1:アルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量[kg/H]、C2:トランスアルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量[kg/H]、P:フレッシュプロピレンの供給量[kg/H]、B:フレッシュベンゼンの供給量[kg/H]、CUM:未反応ベンゼン及びクメン留分の供給量[kg/H]、PDC:パラジイソプロピルベンゼン及びトリイソプロピルベンゼン留分の供給量[kg/H])
  3. 前記C工程において、アルキル化反応工程における塩化アルミニウムの濃度とトランスアルキル化反応工程における塩化アルミニウムの濃度が等しくなるように、請求項2記載の式(1)、(2)によりアルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量を算出して、それぞれの工程へ添加することを特徴とする請求項1又は2記載のメタジイソプロピルベンゼンの製造方法。
  4. アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程の任意の塩化アルミニウム濃度に対し、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程への液体塩化アルミニウム錯体触媒添加量を、請求項2記載の式(1)、(2)を用いてそれぞれコンピュータに演算させて、アルキル化反応工程及びトランスアルキル化反応工程における塩化アルミニウム濃度を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のメタジイソプロピルベンゼンの製造方法。
  5. 前記トランスアルキル化反応工程が、直列に配置された2槽以上の反応器を用いてトランスアルキル化反応を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のメタジイソプロピルベンゼンの製造方法。
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