以下に添付図面を参照して、本発明にかかるチェックリンク装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の実施の形態であるチェックリンク装置を示したもの、図3および図4は、図1に示したチェックリンク装置の分解斜視図である。ここで例示するチェックリンク装置は、図5に示すように、四輪自動車の車両本体Bにアーム10を備えるとともに、車両本体Bにおいて前席右側に配置されたドアDに保持部材20を備えている。このドアDは、一側端部を介して車両本体Bに設けた前方ヒンジHにヒンジ結合してあり、上下方向に沿った軸心回りに揺動することが可能である。これにより、ドアDが、車両本体Bに対して開閉可能に配設されている。
アーム10は、略T字状に構成したもので、図3および図4に示すように、基部11およびストッパ部12を有している。このアーム10は、平板状を成す鋼板の外表面全域を合成樹脂材料で被覆して構成してあり、適用する合成樹脂材料としては、加工が容易で、かつ高強度なものが望ましく、例えば、ポリプロピレン、ナイロン、ABS樹脂、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂が好適である。
アーム10の基部11は、アーム10において長さ方向に延在する部分である。この基部11には、一端部にストッパ部12が設けてある一方、他端部にピン孔11aが形成してある。
また、アーム10の基部11には、図3および図4に示すように、ピン孔11aの近傍に位置し、最も厚み(図7において上下方向の長さ)を薄くした初期部11bから、ストッパ部12側に漸次厚みを厚くした後に局部的に厚みを薄くすることによりチェック部11cが設けてある。この基部11は、チェック部11cから、ストッパ部12側に漸次厚みを厚くした後に該ストッパ部12まで所定の厚みで延在している。
アーム10のストッパ部12は、基部11の一端部に構成したブロック状を成す部分である。このストッパ部12には、基部11の他端部側となる部位に当接面12aが設けてある。この当接面12aは、基部11の一端部の外表面に対して略直角を成すように、幅方向および厚さ方向(図7において上下方向)に延在している。
保持部材20は、図1、図2、図3および図4に示すように、第1ケース30と第2ケース40とを対向することにより挿通孔21を形成した状態で固定部材50を介して連結保持して構成したものである。
第1ケース30は、合成樹脂材料から成るもので、図3および図4に示すように、略直方体形状を成す第1ケース本体31を有している。第1ケース本体31は、一端面が開口した箱状に構成してある。この第1ケース本体31の4つの側面部32、33、34、35において2つの対向する側面部32、33には、図1および図2に示すように、それぞれの開口端部に挿通孔21を形成するための凹部32a、33aが設けてある。この凹部32a、33aの深さ(図7において上下方向の長さ)は、アーム10のストッパ部12に設けた当接面12aの厚さ(図7において上下方向の長さ)の1/2よりも浅く構成してある。また、第1ケース本体31の側面部33には、図3および図4に示すように、ブロック面33bが設けてある。ブロック面33bは、側面部33の外表面として構成してあり、その幅(図6において上下方向の長さ)をアーム10のストッパ部12に設けた当接面12aの幅よりも狭く構成してある。
また、第1ケース本体31には、図3および図4に示すように、固定係合部36および嵌合突部37が設けてある。固定係合部36は、第1ケース本体31の他端面において側面部32側となる部位から突設した部分であり、固定係合溝36aを有している。固定係合溝36aは、固定係合部36において幅方向(図6において上下方向)の略中央となる部位から側面部33側に向けて形成した円柱状の窪みである。この固定係合溝36aの奥方(側面部33側)は、内径を小さくする態様で底部36bが設けてある。
嵌合突部37は、第1ケース本体31において、側面部32の外表面から突出する凸部37aと、側面部34の外表面から突出する凸部(第1凸部)37bと、側面部35の外表面から突出する凸部37cとを一体に形成した部分である。これら凸部37a、37b、37cは、同一の突出量h(図6参照)で第1ケース本体31の開口端部までそれぞれ連続するように構成してある。また、嵌合突部37には、第1係合面37dが設けてある。第1係合面37dは、第1ケース本体31の他端面と略平行に延在する部分である。また、凸部37bには、第2係合面37eおよび第3係合面37gが設けてある。第2係合面37eは、第1係合面37dの一端から第1ケース本体31の開口端部に向かうにつれて漸次側面部33側に傾斜延在する部分である。第3係合面37gは、第2係合面37eの延在端部から第1ケース本体31の開口端部に向けてブロック面33bと略平行に延在する部分である。図には明示していないが、凸部37cは、凸部37bと同一形状に構成してあり、この凸部37cにも凸部37bと同様に、第2係合面(図示せず)および第3係合面(図示せず)が設けてある。凸部37cの第2係合面(図示せず)は、第1係合面37dの他端から第1ケース本体31の開口端部に向かうにつれて漸次側面部33側に傾斜延在する部分である。凸部37cの第3係合面(図示せず)は、第2係合面37eの延在端部から第1ケース本体31の開口端部に向けてブロック面33bと略平行に延在する部分である。
第2ケース40は、合成樹脂材料から成るもので、図3および図4に示すように、略直方体形状を成す第2ケース本体41を有している。第2ケース本体41は、一端面が開口した箱状に構成してある。この第2ケース本体41の4つの側面部42、43、44、45において2つの対向する側面部には、図1および図2に示すように、それぞれの開口端部に挿通孔21を形成するための凹部42a、43aが設けてある。この凹部42a、43aの深さ(図7において上下方向の長さ)は、アーム10のストッパ部12に設けた当接面12aの厚さ(図7において上下方向の長さ)の1/2よりも浅く構成してある。また、第2ケース本体41の側面部43には、図3および図4に示すように、ブロック面43bが設けてある。ブロック面43bは、側面部43の外表面として構成してあり、その幅(図6において上下方向の長さ)をアーム10のストッパ部12に設けた当接面12aの幅よりも狭く構成してある。
また、第2ケース本体41には、図3および図4に示すように、固定係合部46および嵌合突部47が設けてある。固定係合部46は、第2ケース本体41の他端面において側面部42側となる部位から突設した部分であり、固定係合溝46aを有している。固定係合溝46aは、固定係合部46において側面部43側に向けて形成した円柱状の窪みである。この固定係合溝46aの奥方(側面部43側)は、内径を小さくする態様で底部46bが設けてある。
嵌合突部47は、第2ケース本体41において、側面部42の外表面から突出する凸部47aと、側面部44の外表面から突出する凸部47bと、側面部45の外表面から突出する凸部(第2凸部)47cとを一体に形成した部分である。これら凸部47a、47b、47cは、同一の突出量h(図6参照)で第2ケース本体41の開口端部までそれぞれ連続するように構成してある。また、嵌合突部47には、第1係合面47dが設けてある。第1係合面47dは、第2ケース本体41の他端面と略平行に延在する部分である。また、凸部47cには、第2係合面47fおよび第3係合面47hが設けてある。第2係合面47fは、第2係合面47dの一端から第2ケース本体41の開口端部に向かうにつれて漸次側面部43側に傾斜延在する部分である。第3係合面47hは、第2係合面47fの延在端部から第2ケース本体41の開口端部に向けてブロック面43bと略平行に延在する部分である。図には明示していないが、凸部47bは、凸部47cと同一形状に構成してあり、この凸部47bにも凸部47cと同様に、第2係合面(図示せず)および第3係合面(図示せず)が設けてある。凸部47bの第2係合面(図示せず)は、第1係合面47dの一端から第2ケース本体41の開口端部に向かうにつれて漸次側面部43側に傾斜延在する部分である。凸部47bの第3係合面(図示せず)は、第2係合面47fの延在端部から第2ケース本体41の開口端部に向けてブロック面43bと略平行に延在する部分である。
ここで、本実施の形態では、図3および図4に示すように、第1ケース30と第2ケース40とを同一形状に構成してある。すなわち、第2ケース40は、第1ケース30を上下反転(図7において上下方向)して適用している。つまり、第1ケース30の凸部37cは、第2ケース40の凸部47cであるとともに、第2ケース40の凸部47bは、第1ケース30の凸部37bである。
また、第1ケース本体31の内部には、図3、図4および図7に示すように、該第1ケース本体31の奥方(他端面側)から順に、弾性体22と摺動体23とが収容してある。弾性体22は、ブロック状を成すもので、その弾性力によって摺動体23を開口側に向けて押圧するものである。この弾性体22は、例えば、合成ゴムによって構成してある(いわゆるゴムスプリング)。摺動体23は、略L字状に構成したもので、平板状を成す第1ベース部23aを介して弾性体22と接触している。この第1ベース部23aには、一端部に平板状を成す第2ベース部23bが連結してある。この第2ベース部23bは、第1ベース部23aの一端部から外方に向けて略直角を成すように、一端部を介して連結してある。また、第1ベース部23aおよび第2ベース部23bは、それぞれの一面に突起部23c、23dを有している。突起部23cは、第1ベース部23aの一面から外方に向けて凸となる部分である。突起部23dは、第2ベース部23bにおいて第1ベース部23aの突起部23c側となる一面から外方に向けて凸となる部分である。この摺動体23は、弾性体22よりも摩擦係数が小さい材料から成るもので、例えば、ポリアセタールなどの合成樹脂材料によって構成してある。
また、第2ケース本体41の内部には、図3、図4および図7に示すように、該第2ケース本体41の奥方(他端面側)から順に、弾性体22と摺動体23とが収容してある。弾性体22は、ブロック状を成すもので、その弾性力によって摺動体23を開口側に向けて押圧するものである。この弾性体22は、例えば、合成ゴムによって構成してある(いわゆるゴムスプリング)。摺動体23は、略L字状に構成したもので、平板状を成す第1ベース部23aを介して弾性体22と接触している。この第1ベース部23aには、一端部に平板状を成す第2ベース部23bが連結してある。この第2ベース部23bは、第1ベース部23aの一端部から外方に向けて略直角を成すように、一端部を介して連結してある。また、第1ベース部23aおよび第2ベース部23bは、それぞれの一面に突起部23c、23dを有している。突起部23cは、第1ベース部23aの一面から外方に向けて凸となる部分である。突起部23dは、第2ベース部23bにおいて第1ベース部23aの突起部23c側となる一面から外方に向けて凸となる部分である。この摺動体23は、弾性体22よりも摩擦係数が小さい材料から成るもので、例えば、ポリアセタールなどの合成樹脂材料によって構成してある。
固定部材50は、第1ケース30における嵌合突部37の突出量と略同一となる板厚を有した平板状を成す鋼板を折り曲げて構成したもので、図3および図4に示すように、第1ケース係合部(固定部)51、第2ケース係合部52、第1連結部(当接部)53および第2連結部54を有している。この固定部材50は、略長方形状を成し、同一平面上に配置される第1ケース係合部51および第2ケース係合部52を、それぞれの一端部から略直角を成すように折り曲げた第1連結部53によって連結してある。一方、この固定部材50は、第1ケース係合部51および第2ケース係合部52を、それぞれの他端部から第1連結部53と略平行となる態様で折り曲げた第2連結部54によって連結してある。これにより、固定部材50は、嵌合孔55を形成し、かつ平面視で略コの字状に構成されている(図6参照)。
嵌合孔55は、固定部材50において、第1ケース係合部51および第2ケース係合部52が縁部を形成する嵌合孔部55aと、第1連結部53が縁部を形成する嵌合孔部55bと、第2連結部54が縁部を形成する嵌合孔部55cとが一体に形成された孔である。また、嵌合孔55の縁部には、第1係合面55dおよび第2係合面55eが設けてある。第1係合面55dは、嵌合孔55において上下方向(図7において上下方向)の中央部よりも上方側の縁面を形成する部分である。この第1係合面55dは、第1ケース30の嵌合突部37に設けた第1係合面37d、凸部37bの第2係合面37e、凸部37bの第3係合面37g、凸部37cの第2係合面(図示せず)、および凸部37cの第3係合面(図示せず)を連続した三次元形状とほぼ同一となるように構成してある。言い換えれば、第1係合面55dは、第1係合面37d、凸部37bの第2係合面37e、凸部37bの第3係合面37g、凸部37cの第2係合面(図示せず)、および凸部37cの第3係合面(図示せず)の全てとほぼ隙間無く接触することが可能となるように構成してある。第2係合面55eは、嵌合孔55において上下方向(図7において上下方向)の中央部よりも下方側の縁面を形成する部分である。この第2係合面55eは、第2ケース40の嵌合突部47に設けた第1係合面47d、凸部47cの第2係合面47f、凸部47cの第3係合面47h、凸部47bの第2係合面(図示せず)、および凸部47bの第3係合面(図示せず)を連続した三次元形状とほぼ同一となるように構成してある。言い換えれば、第2係合面55eは、第1係合面47d、凸部47cの第2係合面47f、凸部47cの第3係合面47h、凸部47bの第2係合面(図示せず)、および凸部47cの第3係合面(図示せず)の全てとほぼ隙間無く接触することが可能となるように構成してある。
第1ケース係合部51は、図3および図4に示すように、ケース係合突部51aを有している。ケース係合突部51aは、第1ケース係合部51において幅方向(図6において上下方向)の略中央となる部位に設けた孔の周縁部分を、第1連結部53側に円筒状に突設した部分である(いわゆるバーリング)。このケース係合突部51aは、第1ケース30における固定係合溝36aの内径よりも小さな外径を有するように形成してある。また、このケース係合突部51aは、その軸心から第1係合面55dまでの上下方向距離(図7において上下方向の長さ)が、第1ケース30における固定係合溝36aの軸心から第1係合面37dまでの上下方向距離(図7において上下方向の長さ)と略同一となる位置に設けてある。図には明示していないが、このケース係合突部51aの内周面には、ねじ溝が形成してある。また、第1ケース係合部51には、図3および図4に示すように、ケース係合片部51bが設けてある。ケース係合片部51bは、第1ケース係合部51において幅方向(図6において上下方向の長さ)の略中央となる部位の上端から、ケース係合突部51aの突出方向と同一方向に向けて略直角を成すように屈曲した部分である。このケース係合片部51bは、第1係合面55dまでの上下方向距離(図7において上下方向の長さ)が、第1ケース30における固定係合部36の先端面から第1係合面37dまでの上下方向距離(図7において上下方向の長さ)よりも僅かに長くなるように構成してある。
第2ケース係合部52は、図3および図4に示すように、ケース係合突部52aを有している。ケース係合突部52aは、第2ケース係合部52において幅方向(図6において上下方向)の略中央となる部位に設けた孔の周縁部分を、第1連結部53側に円筒状に突設した部分である(いわゆるバーリング)。このケース係合突部52aは、第2ケース40における固定係合溝46aの内径よりも小さな外径を有するように形成してある。また、このケース係合突部52aは、その軸心から第2係合面55eまでの上下方向距離(図7において上下方向の長さ)が、第2ケース40における固定係合溝46aの軸心から第1係合面47dまでの上下方向距離(図7において上下方向の長さ)と略同一となる位置に設けてある。図には明示していないが、このケース係合突部52aの内周面には、ねじ溝が形成してある。また、第2ケース係合部52には、図3および図4に示すように、ケース係合片部52bが設けてある。ケース係合片部52bは、第2ケース係合部52において幅方向(図6において上下方向の長さ)の略中央となる部位の下端から、ケース係合突部52aの突出方向と同一方向に向けて略直角を成すように屈曲した部分である。このケース係合片部52bは、第2係合面55eまでの上下方向距離(図7において上下方向の長さ)が、第2ケース40における固定係合部46の先端面から第1係合面47dまでの上下方向距離(図7において上下方向の長さ)よりも僅かに長くなるように構成してある。
第1連結部53および第2連結部54は、図3および図4に示すように、それぞれ嵌合孔55の周縁に沿って延在する部分である。この第1連結部53および第2連結部54には、それぞれ先端部に当接面53a、54aが設けてある。この当接面53a、54aは、それぞれ第1ケース係合部51の外表面と略平行に延在する部分である。また、当接面53a、54aは、第1ケース係合部51におけるケース係合突部51aが突出しない側の外表面までの前後方向距離(図6において左右方向)が、第1ケース30における凸部37aの先端面からブロック面33bまでの前後方向距離(図6において左右方向)と略同一となる位置に設けてある。
上述した保持部材20を構成する場合には、まず、図3および図4に示すように、第1ケース本体31の内部に、奥方(他端面側)から順に、弾性体22と摺動体23を収容し、かつ第2ケース本体41の内部に、奥方(他端面側)から順に、弾性体22と摺動体23を収容する。次に、この第1ケース30と第2ケース40とを、それぞれのブロック面33b、43bをアーム10の当接面12aに向けた状態で、該アーム10における初期部11bの上下面(図7において上下方向の平面)を挟むように互いの開口端部を突き合わせる。このとき、それぞれの摺動体23は、図6に示すように、突起部23dがアーム10における初期部11bの幅方向の端面にそれぞれ対向配置されるとともに、図7に示すように、突起部23cがアーム10における初期部11bの上下面(図7において上下方向の平面)にそれぞれ接触することになる。この状態においては、図1および図2に示すように、第1ケース30の嵌合突部37と、第2ケース40の嵌合突部47とが連続するように配置されることになる。
そして、この状態で、固定部材50の当接面53a、54aをアーム10のストッパ部12に向け、かつケース係合突部51aを第1ケース30の固定係合溝36aと同一軸心上に配置するとともに、ケース係合突部52aを第2ケース40の固定係合溝46aと同一軸心上に配置する。この状態で固定部材50をアーム10のストッパ部12に向けて移動すれば、嵌合孔55にアーム10における基部11の他端部が挿通され、その後、図6に示すように、嵌合孔55に、第1ケース30の嵌合突部37および第2ケース40の嵌合突部47が嵌合することになる。この状態においては、図7に示すように、固定部材50のケース係合突部51a、52aが、第1ケース30および第2ケース40の固定係合溝36a、46aにそれぞれ収容されることになる。また、この状態においては、図7に示すように、固定部材50のケース係合片部51b、52bが、第1ケース30および第2ケース40の固定係合部36、46の先端面にそれぞれ近接対向する態様で配置されることになる。さらに、この状態においては、図6に示すように、固定部材50の当接面53a、54aが、第1ケース30および第2ケース40のブロック面33b、43bと、それぞれ同一平面上に配置されることになる。
上述したように、固定部材50の嵌合孔55に、第1ケース30の嵌合突部37および第2ケース40の嵌合突部47が嵌合すれば、固定部材50を介して第1ケース30と第2ケース40とを連結保持することができる。すなわち、嵌合孔55の第1係合面55dに、第1係合面37d、凸部37bの第2係合面37e、および凸部37cの第2係合面(図示せず)が係合し、かつ第2係合面55eに第1係合面47d、凸部47cの第2係合面47f、および凸部47bの第3係合面(図示せず)が係合することにより、固定部材50に対して第1ケース30と第2ケース40とを、互いの開口端部を突き合わせた状態で連結保持することができる。また、この状態においては、嵌合孔55の第1係合面55dに、凸部37bの第3係合面37g、および凸部37cの第3係合面(図示せず)が係合し、かつ第2係合面55eに凸部47cの第3係合面47h、および凸部47bの第3係合面(図示せず)が係合することにより、固定部材50に対して第1ケース30と第2ケース40とが、アーム10の当接面12a側に移動することを阻止することができる。さらに、この状態においては、図6からも明らかなように、第1連結部53が、側面部34、45の外表面に沿って配置されるとともに、第2連結部54が、側面部35、44の外表面に沿って配置されることになり、固定部材50に対して第1ケース30と第2ケース40とが、幅方向(図6において上下方向)に移動することを阻止することができる。また、この状態においては、図7からも明らかなように、第1ケース係合部51および第2ケース係合部52が、それぞれ側面部32、42の外表面に沿って配置されることになり、固定部材50に対して第1ケース30と第2ケース40とが、アーム10における基部11の他端部側に移動することを阻止することができる。
また、上述した状態では、固定部材50のケース係合突部51a、52aが、第1ケース30および第2ケース40の固定係合溝36a、46aにそれぞれ収容されることになる。すなわち、ケース係合突部51a、52aの外周面が、それぞれ固定係合溝36a、46aの内壁面に係合することにより、固定部材50に対して第1ケース30と第2ケース40とが、上下方向(図7において上下方向)に移動することを阻止することができる。また、この状態においては、固定部材50に対して第1ケース30と第2ケース40とが、幅方向(図6において上下方向)に移動することも阻止することができる。
さらに、上述した状態では、固定部材50のケース係合片部51b、52bが、第1ケース30および第2ケース40の固定係合部36、46の先端部にそれぞれ近接対向する態様で配置されることになる。すなわち、ケース係合片部51b、52bが、それぞれ固定係合部36、46の先端面に係合することにより、固定部材50に対して第1ケース30と第2ケース40とが、上下方向(図7において上下方向)に移動することを阻止することができる。
しかも、上述した状態では、それぞれの摺動体23の突起部23cがアーム10における初期部11bの上下面(図7において上下方向の平面)にそれぞれ接触した状態で、第1ケース30と第2ケース40とが連結保持されることになる。これにより、摺動体23の突起部23cが、弾性体22の弾性力によって、常時アーム10の上下面(図7において上下方向の平面)に向けてそれぞれ押圧されることになる。したがって、保持部材20によってアーム10の基部11を、挿通孔21に挿通した状態で摺動可能に保持することができる。
上述したようにアーム10を摺動可能に保持した保持部材20をドアDに配設する場合には、まず、図1および図2に示すように、ピン孔11aに揺動ピン61を挿通することにより、ブラケット62をアーム10に揺動可能に取り付ける。次に、図5および図7に示すように、第1ケース係合部51と第2ケース係合部52とを上下方向に沿った姿勢で、ドアDの前端面を構成するパネルDPの内面に対向配置する。この状態で保持部材20を、パネルDPに設けた挿通孔DPOにアーム10に取り付けたブラケット62を挿通させるように移動し、ケース係合突部51aの内周面に形成したねじ溝(図示せず)、およびケース係合突部52aの内周面に形成したねじ溝(図示せず)を介して締結部材(図示せず)をパネルDPに締結させれば、保持部材20をパネルDPの内面に取り付けることができる。さらに上述した状態で、図5に示すように、ブラケット62を、車両本体Bにおいて閉成状態にあるドアDのパネルDPに対向する部位に、取付部材(図示せず)を介して取り付ける。これにより、揺動ピン61を介してアーム10を、図5に示すように、ドアDの揺動軸(前方ヒンジH)と平行な軸回りに揺動可能に車両本体Bに保持させることができる。
上記のように構成したチェックリンク装置では、図5(a)に示すように、車両本体Bに対してドアDが閉位置に配置された場合、図6の実線で示すように、ドアDに配設した保持部材20において摺動体23が、それぞれの突起部23cを介してアーム10における初期部11bの上下面に接触することになる。また、この状態では、アーム10は、図5(a)に示すように、車両本体Bの前後方向に沿って延在するように配置されることになる。この図5(a)に示す状態から、図5(b)に示すように、車両本体Bに対してドアDが開方向に揺動操作されると、ドアDに配設した保持部材20が、それぞれの摺動体23の突起部23dを介してアーム10を揺動ピン61の軸心回りに図5において反時計回りに適宜揺動させながら、該アーム10に対して図7においてストッパ部12側に移動することになる。この間、それぞれの摺動体23は、それぞれ弾性体22の弾性力によって突起部23cがアーム10の上下面に摺接することになり、アーム10の上下面形状に応じて弾性体22を適宜弾性変形させながら上下動することになる。
上述した状態から、図5(b)に示すように、さらに車両本体Bに対してドアDが開方向に揺動操作されると、やがてドアDに配設した保持部材20が、それぞれの摺動体23の突起部23dを介してアーム10を揺動ピン61の軸心回りに図5において反時計回りに適宜揺動させながら、図7中の二点鎖線で示すように、やがてアーム10の基部11に設けられたチェック部11cに至ることになる。この状態においては、弾性体22の弾性力、および基部11の厚み(図7において上下方向の長さ)を局部的に薄くした窪み形状により、それぞれの摺動体23がチェック部11cから移動することが規制されることになり、車両本体Bに対してドアDを所望の中間開位置に規制することができる。
上述した状態から、図5(b)に示すように、さらに車両本体Bに対してドアDが開方向に揺動操作されると、やがてドアDに配設した保持部材20が、それぞれの摺動体23の突起部23dを介してアーム10を揺動ピン61の軸心回りに図5において反時計回りに適宜揺動させながら、図7中の二点鎖線で示すように、アーム10のストッパ部12に設けた当接面12aに当接する位置まで移動することになる。この図7中の二点鎖線で示す状態においては、第1ケース30および第2ケース40のブロック面33b、43bと、アーム10のストッパ部12に設けた当接面12aが当接することになり、車両本体Bに対してドアDがさらに開方向に揺動されることを阻止することができることになり、車両本体Bに対するドアDの最大開位置を規定することができる。
しかも、この状態においては、アーム10のストッパ部12に設けた当接面12aに、ブロック面33b、43bと同一平面上に配置した固定部材50の当接面53a、54aも当接することになる。したがって、ドアDに配設した保持部材20と、アーム10のストッパ部12に設けた当接面12aとが当接した場合に、保持部材20に加わる荷重を分散することができる。ここで、固定部材50の当接面53a、54aに加わった荷重は、ドアDの前端面を構成するパネルDPに伝達されることになり、本実施の形態のように、第1ケース30と第2ケース40とを合成樹脂材料によって構成した場合にも、変形などが生ずる事態を防止することができる。
一方、上述した状態から、図5(a)に示すように、車両本体Bに対してドアDが閉方向に揺動操作されると、ドアDに配設した保持部材20が、それぞれの摺動体23の突起部23dを介してアーム10を揺動ピン61の軸心回りに図5において時計回りに適宜揺動させながら、該アーム10に対して図6においてピン孔11a側に移動することになる。この間、それぞれの摺動体23は、それぞれの弾性体22の弾性力によって突起部23cがアーム10の上下面に摺接することになり、アーム10の上下面形状に応じて弾性体22を適宜弾性変形させながら上下動することになる。
上述した状態から、図5(a)に示すように、さらに車両本体Bに対してドアDが閉方向に揺動操作されると、やがてドアDに配設した保持部材20が、それぞれの摺動体23の突起部23dを介してアーム10を揺動ピン61の軸心回りに図5において時計回りに適宜揺動させながら、図7中の二点鎖線で示すように、やがてアーム10の基部11に設けられたチェック部11cに至ることになる。その後、図5(a)に示すように、車両本体Bに対してドアDが閉位置に配置されると、図7の実線で示すように、ドアDに配設した保持部材20においてそれぞれの摺動体23が、再びアーム10の初期部11bに接触することになる。
上記のように構成したチェックリンク装置によれば、固定部材50に形成した嵌合孔55に、第1ケース30に設けた嵌合突部37と第2ケース40に設けた嵌合突部47とを嵌合することにより、第1ケース30と第2ケース40とを連結保持している。このため、板状の固定部材50を第1ケース30および第2ケース40の外表面に沿って配置するだけで、第1ケース30と第2ケース40とを連結保持することができることになり、従来のように固定ピンの挿通孔を必要とすることがなく、固定ピンを挿通することによって連結保持する場合と比較して、第1ケース30および第2ケース40の大型化を抑制することができる。したがって、ドアDの大型化を抑制しながら、第1ケース30および第2ケース40を連結保持することができる。
また、上記のように構成したチェックリンク装置によれば、固定部材50に形成した単一の嵌合孔55に、嵌合突部37と嵌合突部47とを嵌合しているため、これら嵌合突部37と嵌合突部47とをそれぞれ別個の嵌合孔に嵌合する場合と比較して、第1ケース30と第2ケース40とを連結保持する際の組付け作業を容易化することができる。しかも、平板状を成す鋼板によって構成した固定部材50の嵌合孔55に、嵌合突部37と嵌合突部47とを嵌合しているため、嵌合突部37と嵌合突部47とに固定部材50の端面部分で係合することになり、固定部材50の板厚を小さくした場合にも高い剛性を確保することができる。
さらに、上記ように構成したチェックリンク装置によれば、第1ケース30と第2ケース40とを同一形状に構成してある。したがって、保持部材20の構成部品種類を削減することが可能となる。
なお、上述した実施の形態では、保持部材20を、固定部材50に形成した嵌合孔55に、第1ケース30に設けた嵌合突部37と第2ケース40に設けた嵌合突部47とを嵌合して構成しているが、必ずしも固定部材50に嵌合孔55を形成しなくても良い。例えば、固定部材50に凸部を設ける一方、該固定部材50を第1ケース30および第2ケース40の外表面に沿って配置した場合に、固定部材50の凸部と嵌合することのできる溝を第1ケース30と第2ケース40とにそれぞれ形成し、これらの溝と固定部材50の凸部との係合作用によって、第1ケース30と第2ケース40とを連結保持しても良い。この場合、嵌合突部37および嵌合突部47を設ける必要はない。
また、上述した実施の形態では、保持部材20を、固定部材50に形成した嵌合孔55に、第1ケース30に設けた嵌合突部37の凸部37a、37b、37cを全て嵌合して構成しているが、嵌合突部37を凸部37bのみで構成し、これを嵌合孔55に嵌合するように構成しても、第1ケース30と第2ケース40とを連結保持することができる。この場合、嵌合孔55には、凸部37aおよび凸部37cと嵌合する部分を設けなくても良い。また、上述した実施の形態では、保持部材20を、固定部材50に形成した嵌合孔55に、第2ケース40に設けた嵌合突部47の凸部47a、47b、47cの全てを嵌合して構成しているが、嵌合突部47を凸部47cのみで構成し、これを嵌合孔55に嵌合するように構成しても、第1ケース30と第2ケース40とを連結保持することができる。この場合、嵌合孔55には、凸部47aおよび凸部47cと嵌合する部分を設けなくても良い。
さらに、上述した実施の形態では、固定部材50の嵌合孔55に、第1ケース30の嵌合突部37および第2ケース40の嵌合突部47を嵌合した後に、ブラケット62をアーム10に揺動可能に取り付けているが、ブラケット62をアーム10への取り付けを先行して行うことも可能である。つまり、ブラケット62をアーム10に先行して取り付けたとしても、固定部材50の嵌合孔55を、ブラケット62が通過することのできる大きさを有して構成しているため、組付け順序を入れ替えることができる。