JP5123999B2 - 血液の体外循環処理装置の作動方法及びその装置 - Google Patents
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Description
血液透析濾過では、膜を通して取り除かれた血清の一部は無菌置換液と置換され、ダイアライザの上流またはダイアライザの下流のどちらかで体外循環血液流路へ運ばれる。ダイアライザの上流での置換液の供給は前希釈と呼ばれ、ダイアライザの下流での供給は後希釈と呼ばれる。
透析液が真水および濃縮液からオンライン式で生成され、置換液が透析液からオンライン式で生成される血液透析濾過装置は知られている。
本発明は、実施形態を提供するが、ダイアライザもしくはフィルタの下流で流体流路内の圧力を測定することに基づいている。
第1実施形態では、置換液を運ぶ置換液ポンプが停止および/または始動させられる。
本発明者らは、置換液ポンプの停止および/または始動に続く圧力の変化が特徴的な経過
をたどることを見いだした。ダイアライザもしくはフィルタの上流または下流での置換液
の供給は、置換液ポンプの停止または始動に続く圧力変化に基づいて認識される。突然の
圧力上昇および/または圧力低下は、圧力変化の特徴的なパラメータである。
特に高い信頼性レベルで前希釈および後希釈のどちらであるかを認識できる好ましい実施形態では、始動していた置換液ポンプが停止させられ、所定の時間間隔後に再び始動させられ、ダイアライザもしくはフィルタの下流で圧力が測定される。置換液の供給がダイアライザもしくはフィルタの上流または下流のどちらで行われているのかは、先行する圧力上昇からその後の圧力低下への変化または先行する圧力低下からその後の圧力上昇への変化に基づいて認識される。
1つの利点は、体外循環血液流路内に伝搬する圧力パルスが評価されないことにある。その結果、後希釈置換と前希釈置換とを区別できるように振動圧力パルスを発生する置換液ポンプを用意する必要がない。
干渉信号を抑制するために、振動圧力信号は好ましくは低域フィルタを用いて濾過される。
置換液ポンプの停止および始動に続く特徴的なパルス順序は、ダイアライザもしくはフィルタの下流での体外循環血液流路内の振動圧力信号と前希釈または後希釈に起因する圧力上昇または圧力低下に特徴的な上限値および下限値との比較に基づいて発生する可能性がある。
静脈圧を測定するための測定装置は、好ましくは静脈圧力センサおよびその圧力センサの信号出力端に接続された低域フィルタを備えている。
評価装置は、好ましくは圧力上昇および/または圧力低下を検知するための圧力センサの出力信号を所定の上限値および/または下限値と比較するコンパレータを備えている。
検知装置のために必要な構成要素のほとんどは一般に知られている血液処理装置内に既に存在する。例えば、ダイアライザもしくはフィルタの下流で体外循環血液流路内の圧力を測定するためには静脈圧力センサを利用することができる。マイクロプロセッサ制御装置もまた利用できる。その結果として、装置に関する出費は比較的少なくなる。
ダイアライザもしくはフィルタの上流または下流での置換液の供給は、体外循環血液流路内に伝搬し、置換液ポンプに起因する振動圧力信号の比較に基づいた特徴的(又は特質的)な基準信号(又は参照信号)によって認識される。本発明による方法および装置は、振動圧力信号の周波数スペクトルが、前希釈の場合には振動圧力信号がダイアライザを通って伝搬するかどうか、あるいは後希釈の場合にはダイアライザを通らずに伝搬するかどうかことに左右されるという事実に基づいている。同様に、圧力パルスの振幅は前希釈または後希釈の関数として変化する。
公知の血液の体外循環処理装置の場合は、体外循環血液流路内に伝搬する置換液ポンプの振動圧力信号にはさらに例えばダイアライザもしくはフィルタの上流の体外循環血液流路内に配置された血液ポンプに起因する、または例えば濃縮液ポンプ、限外濾過ポンプもしくは平衡チャンバを含む流体流路内に配置された装置に起因する振動圧力信号が重なる。このため、置換液ポンプに起因する振動圧力信号は体外循環血液流路内で測定された圧力から得られる。測定誤差を回避するためには、ダイアライザもしくはフィルタをさらにまた流体流路から分離することもできる。
実際に、フーリエ変換によって2つの評価係数を形成するには、血液ポンプおよび/または置換液ポンプの圧力信号の二次以上の高調波成分の係数を血液ポンプおよび/または置換液ポンプの圧力信号の一次の高調波成分の係数に関して標準化すれば十分であることが証明されている。
第1評価係数と第2評価係数との差が所定の限界値より大きい場合は後希釈が行われていると判定され、第1評価係数と第2評価係数との差が所定の限界値より小さい場合は前希釈が行われていると判定される。
前希釈と後希釈は、透析処理の開始時に置換液ポンプの圧力信号の評価だけで区別することができるが、好ましくは血液ポンプの圧力信号を併用して区別する。
一般に、知られている血液処理装置の一部であるダイアライザもしくはフィルタの下流で体外循環血液流路内の圧力を測定するための測定装置以外の他の機器や装置は必要とされない。
図1は、ダイアライザもしくはフィルタの上流または下流での体外循環血液流路内の置換液の供給を検知するための設備を含む血液透析濾過装置の本質的構成要素の略図である。以下でダイアライザについて記載した場合はフィルタが含まれると理解されたい。
体外循環血液流路5Aは、血液チャンバ3の入口3aに通じている動脈血ライン6とダイアライザ1の血液チャンバ3の出口3bから通じている静脈血ライン7とを含んでいる。気泡を除去するために、動脈血ライン6内には動脈ドリップチャンバ8が配されており、静脈血ライン7内には静脈ドリップチャンバ9が配されている。患者の血液は、動脈血ライン6上に配置されている動脈血液ポンプ10、特別にはローラポンプによってダイアライザの血液チャンバを通って運ばれる。
透析液供給ライン11は、膜14によって第1チャンバ13および第2チャンバ15に分離されている無菌フィルタ16の第1チャンバの入口13aに通じている第1部分11a、およびフィルタ16の第1チャンバ13の出口13bから透析液チャンバ4の入口4aへ通じている第2部分11bを含んでいる。
血液ポンプ10、置換液ポンプ22ならびに閉鎖器具21、25および26は制御ライン10’、22’、21’、25’および26’を介して、それによって所定の処理パラメータを考慮に入れながら個々の構成要素が制御される中央制御装置27と接続されている。
図3Aおよび3Bは、その間は置換液ポンプが停止させられる所定の時間が比較的長い場合における時間の関数としての静脈圧を示している。時間間隔が短い場合は、最大値および/または最小値は極めて近くなる。測定を開始するためには、既に始動していた置換液ポンプが所定の時間間隔にわたり停止させられる。しかし原理的には、最初に所定の時間間隔にわたり停止していた置換液ポンプを始動させることもまた可能である。
上記のホース部分の充填量および時間差が各々分かっている場合は、逆の方法で真の血流量を決定できる。
これにより、透析処理中における圧力パルスの振幅変化によってヘマトクリットの変化を監視できる。
この検知装置には、同様に静脈血ライン7内の圧力を測定するための静脈圧力センサ28が備えられている。評価装置50は、データ転送ライン30を介して圧力センサ28の静脈圧信号を受信する。評価装置50には、静脈圧信号のフーリエ解析を実施するフーリエ解析装置50aが備えられている。
前希釈または後希釈を検知するために伝播関数を正確に知る必要はない。置換液ポンプの圧力信号と血液ポンプの圧力信号との関係が明らかになれば十分である。
2 半透膜
3 血液チャンバ
3a 血液チャンバの入口
3b 血液チャンバの出口
4 透析液チャンバ
4a 透析液チャンバの入口
4b 透析液チャンバの出口
5A 体外循環血液流路
5B 流体流路
6 動脈血ライン
7 静脈血ライン
8 動脈ドリップチャンバ
9 静脈ドリップチャンバ
10 動脈血液ポンプ
11 透析液供給ライン
11a 第1部分
11b 第2部分
12 透析液排出ライン
13 第1チャンバ
13a 第1チャンバの入口
13b 第1チャンバの出口
14 膜
15 第2チャンバ
16 無菌フィルタ
17 置換液ライン
17a〜17d ライン部分
17e、17f ホースクランプ
18a、18b、19a、20a コネクタ
19、20 接続ライン
21 閉鎖器具
22 置換液ポンプ
22a、22b ローラ
25、26 電磁作動型閉鎖器具
27 中央制御装置
28 圧力センサ
29、50 評価装置
29a 低域フィルタ
29b コンパレータ
50a フーリエ解析装置
Claims (4)
- 膜によって第1チャンバおよび第2チャンバに分離されているダイアライザもしくはフィルタの第1チャンバを含む体外循環血液流路、および前記ダイアライザもしくはフィルタの第2チャンバを含む流体流路とを備え、置換液ポンプによって置換液が前記ダイアライザもしくはフィルタの上流または下流に供給される血液の体外循環処理装置からなるフェステル再循環を判定する血液の体外循環処理装置の作動方法であって、
前記置換液ポンプが、停止時には始動され及び/又は作動時には停止されて、前記ダイアライザもしくはフィルタの体外循環血液流路の上流の動脈ラインの圧力が測定されると共に、前記ダイアライザもしくはフィルタの体外循環血液流路の下流の静脈ラインの圧力が測定されこと、及び
前記フェステル再循環を判定するために、始動又は停止それぞれの場合に反復する負または正の動脈圧力パルスのある置換液ポンプの始動又は停止に従って、所定の時間間隔で動脈ラインで測定される動脈圧力信号の積分と、始動又は停止それぞれの場合に反復する負または正の静脈圧力パルスのある置換液ポンプの始動又は停止に従って、所定の時間間隔で静脈ラインで測定される静脈圧力信号の積分との比を求めること
を特徴とする血液の体外循環処理装置の作動方法。 - 前記流路内での圧力は、出力信号が低域フィルタによってフィルタリングされている圧力センサによって測定される請求項1記載の血液の体外循環処理装置の作動方法。
- 膜(2)によって第1チャンバ(3)および第2チャンバ(4)に分離され、ダイアライザ(1)もしくはフィルタの第1チャンバ(3)を含む体外循環血液流路(5A)と、および前記ダイアライザもしくはフィルタの第2チャンバを含む流体流路(5B)と、置換液ポンプ(22)が前記ダイアライザもしくはフィルタの上流または下流の体外循環血液流路に流れるように配されている置換液ライン(17、19、20)と、
フェステル再循環を判定する手段と、を備える血液の体外循環処理装置であって、
前記フェステル再循環を判定する手段は、置換液ポンプの停止及び/又は始動のための制御ユニット(27)、前記ダイアライザもしくはフィルタの上流の前記体外循環血液流路内の動脈ラインの圧力を測定するため、及び前記ダイアライザもしくはフィルタの下流の前記体外循環血液流路内の静脈ラインの圧力を測定するための測定ユニット(28)、及びフェステル再循環を判定するために、置換液ポンプの始動又は停止に従って、それぞれに、反復する負および/または正の動脈圧力パルスのある、動脈ラインで測定される所定の時間間隔における動脈圧力信号の積分と、置換液ポンプの始動又は停止に従って、それぞれに、反復する負および/または正の静脈圧力パルスのある、静脈ラインで測定される所定の時間間隔における静脈圧力信号の積分との比を求めるように設計された評価ユニット(29)とからなることを特徴とする装置。 - 前記ダイアライザ(1)もしくはフィルタの上流及び下流の前記体外循環血液流路内の圧力を測定する測定ユニットは、動脈及び静脈の圧力センサを有してる請求項3記載の装置。
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