本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下、携帯電子機器の典型例として携帯電話端末に本発明を適用して説明する。図1は、本発明を適用した携帯電話端末の基本的な構成を示すブロック図である。図1に示す携帯電話端末100は、制御部(機能動作制御手段)110、センサ部(操作手段)120、表示部130、記憶部(フラッシュメモリなど)140、情報処理機能部150、電話機能部160、キー操作部KEYおよびスピーカ(報知部)SP、さらに、図示しないCDMA通信網に接続して通信を行う通信部COMにより構成されている。さらに、センサ部120は、複数のセンサ素子(例えば、その検知部を機器筐体の外面に設けてあり、指などの物体の接触・近接を検出する接触センサ)を含んだセンサ素子群を、用途に応じてn個、即ち、第1のセンサ素子群G1、第2のセンサ素子群G2および第nのセンサ素子群G3を含み、記憶部140は、保存領域142、外部データ保存領域144から構成されている。制御部110および情報処理機能部150は、CPUなどの演算手段およびソフトウェアモジュールなどから構成させることが好適である。なお、後述するシリアルインターフェース部SI、シリアルインターフェース部SIを介して制御部110に接続されるRFIDモジュールRFIDや赤外線通信部IR、さらにはカメラ220やライト230の他、マイクMIC、ラジオモジュールRM、電源PS、電源コントローラPSCON等が制御部110に接続されるが、ここでは簡略化のため省略する。
図1のブロック図における各ブロックの機能を簡単に説明する。制御部110は、センサ部120によりユーザの指などによる物体の接触を検出し、記憶部140の保存領域142に検出した情報を格納し、情報処理機能部150により格納した情報の処理を制御する。そして、処理結果に応じた情報を表示部130に表示させる。さらに制御部110は、通常の通話機能のための電話機能部160、キー操作部KEYおよびスピーカSPを制御する。なお、表示部130は、サブ表示部ELDおよび図示しないメイン表示部(携帯電話端末100が閉状態にて隠れ、開状態にて露出する位置に設けられる表示部)を含んで構成される。
図2は、センサ素子を筐体に実装した携帯電話端末の斜視図である。携帯電話端末100は、図2に示すような閉状態のほか、ヒンジ部を回動、スライドさせて開状態を形成することも可能であって、タッチセンサ部210は、閉状態においても操作可能な位置に設けられている。図2(a)は携帯電話端末100の外観を示す斜視図である。携帯電話端末100は、タッチセンサ部210(外観上、センサ部120、すなわちセンサ素子群G1、G2を覆う、図6にて後述するパネルPNLが見えている)、カメラ220、およびライト230を備える。図2(b)は、タッチセンサの動作の説明のために、パネルPNLを省略し、センサ素子とサブ表示部ELD周辺のみの配置を表示した携帯電話端末100の斜視図である。図のように、センサ素子L1〜L4およびR1〜R4が、サブ表示部ELDの周囲に沿って並べて配置されている。センサ素子L1〜L4は第1のセンサ素子群G1を構成し、センサ素子R1〜R4は第2のセンサ素子群G2を構成している。第1のセンサ素子群G1と第2のセンサ素子群G2は、離間部SP1、SP2を隔てて並べられている。第1のセンサ素子群G1のレイアウトに対して、第2のセンサ素子群G2は、サブ表示部ELDを挟み、選択候補項目の並べられている方向を中心線とする線対称なレイアウトを持つ。また、本構成ではサブ表示部ELDに有機ELディスプレイを用いたが、例えば液晶表示ディスプレイ等を用いることもできる。また、本構成ではセンサ素子として静電容量式の接触センサを用いたが、薄膜抵抗式の接触センサを用いることもできる。また、メカニカルスイッチを並べて配置するようにしてもよい。
図2の携帯電話端末100において、サブ表示部ELDは、携帯電話端末100の用途に応じた情報を表示する。例えば、携帯電話端末100を音楽プレーヤーとして用いる場合、サブ表示部ELDには演奏できる曲目が表示される。曲名およびアーティスト名の組で1つの項目、即ち、「選択候補項目(選択肢)」となる。ユーザは、タッチセンサ部210を操作してセンサ素子L1〜L4、R1〜R4の静電容量を変化させると、制御部110は、サブ表示部ELDに表示された項目や操作対象領域を移動させて曲目の選択を行う(選択動作制御)。このときタッチセンサ部120は、図2のように、サブ表示部ELDの周囲にセンサ素子を並べる構成とすれば、小型な携帯電子機器の外部筐体における実装部分を大きく占有せずに済み、かつ、ユーザは、サブ表示部ELDの表示を見ながらセンサ素子を操作することができる。
図3は、本発明を適用した携帯電話端末100の詳細な機能ブロック図である。言うまでもないが、図3に示す各種ソフトウエアは、記憶部140に記憶されるプログラムに基づいて、同じく記憶部140上にワークエリアを設けた上で、制御部110が実行することにより動作する。図に示すように、携帯電話端末の諸機能は、ソフトウェアブロックとハードウェアブロックとに分かれる。ソフトウェアブロックは、フラグ記憶部FLGを持つベースアプリBA、サブ表示部表示アプリAP1、ロックセキュリティアプリAP2、その他アプリAP3、およびラジオアプリAP4から構成される。ソフトウェアブロックは、さらに、赤外線通信アプリAPIRおよびRFIDアプリAPRFも含む。これらの各種アプリ(アプリケーションソフトウェア)がハードウェアブロックの各種ハードウェアを制御するときに、赤外線通信ドライバIRD、RFIDドライバRFD、オーディオドライバAUD、ラジオドライバRD、およびプロトコルPRをドライバとして使用する。例えば、オーディオドライバAUD、ラジオドライバRD、およびプロトコルPRは、それぞれ、マイクMIC、スピーカSP、通信部COM、およびラジオモジュールRMを制御する。ソフトウェアブロックは、さらに、ハードウェアの操作状態を監視・検出するキースキャンポートドライバKSPも含み、タッチセンサドライバ関連検出、キー検出、折り畳み式やスライド式などの携帯電話端末の開閉を検出する開閉検出、イヤホン着脱検出などを行う。
ハードウェアブロックは、ダイヤルキーや後述するタクトスイッチSW1〜SW4を含む各種ボタンなどを含むキー操作部KEY、ヒンジ部の動作状況などに基づき開閉を検出する開閉検出デバイスOCD、機器本体付属のマイクMIC、着脱可能なイヤホンEAP、スピーカSP、通信部COM、ラジオモジュールRM、シリアルインターフェース部SI、および切替制御部SWCONから構成される。切替制御部SWCONは、ソフトウェアブロックの該当ブロックからの指示に従って、赤外線通信部IR、RFIDモジュール(無線識別タグ)RFID、タッチセンサモジュールTSM(センサ部120と、発振回路などのセンサ部120を駆動する上で必要な部品一式をモジュール化したもの)のうちのいずれか1つを選択して当該信号をシリアルインターフェース部SIが拾い上げるように選択対象ハードウェア(IR、RFID、TSM)を切り替える。電源PSは、電源コントローラPSCONを介して選択対象ハードウェア(IR、RFID、TSM)に電力を供給する。
図4は、本発明による携帯電話端末100のタッチセンサ機能のより詳細な構成を示すブロック図である。図に示すように、本携帯電話端末100は、タッチセンサドライバブロックTDB、タッチセンサベースアプリブロックTSBA、デバイス層DL、割込ハンドラIH、キューQUE、OSタイマーCLK、各種アプリAP1〜AP3を備える。ここでタッチセンサベースアプリブロックTSBAは、ベースアプリBAおよびタッチセンサドライバ上位アプリケーションプログラムインターフェースAPIを備え、タッチセンサドライバブロックTDBは、タッチセンサドライバTSDおよび結果通知部NTFを備える。また、デバイス層DLは、切替制御部SWCON、切替部SW、シリアルインターフェース部SI、赤外線通信部IR、RFIDモジュールRFIDおよびタッチセンサモジュールTSMを備え、割込ハンドラIHは、シリアル割込み監視部SIMONおよび確認部CNFを備える。
次に、各ブロックの機能を図を参照して説明する。タッチセンサベースアプリブロックTSBAにおいて、ベースアプリBAと、タッチセンサドライバ上位アプリケーションプログラムインターフェースAPIとの間では、タッチセンサを起動するか否かのやり取りが行われる。ベースアプリBAは、サブ表示部用のアプリケーションであるサブ表示部表示アプリAP1、セキュリティ保護用に携帯電話端末100にロックをかけるアプリケーションであるロックセキュリティアプリAP2、その他のアプリケーションAP3のベースとなるアプリケーションであり、ベースアプリBAに前記各アプリからタッチセンサの起動が要求された場合に、タッチセンサドライバ上位アプリケーションプログラムインターフェースAPIにタッチセンサの起動を要求する。なお、サブ表示部とは、各図に示すサブ表示部ELDであって、本実施例における携帯電話端末100において、環状に配置されたセンサ素子群の中央領域に設けられた表示部のことを指す。
起動の要求を受け、タッチセンサドライバ上位アプリケーションプログラムインターフェースAPIは、ベースアプリBA内のアプリケーションの起動を管理するブロック(図示せず)に、タッチセンサの起動が可能か否かの確認を行う。即ち、アプリケーションの選択が実行されていることを示すサブ表示部ELDの点灯、またはFMラジオその他の携帯電話端末100に付属するアプリケーション等の、あらかじめタッチセンサの起動が不可能と設定されたアプリケーションの起動を示すフラグの有無を確認する。その結果、タッチセンサの起動が可能と判断された場合、タッチセンサドライバ上位アプリケーションプログラムインターフェースAPIは、タッチセンサドライバTSDにタッチセンサモジュールTSMの起動を要求する。すなわち、実質的には電源コントローラPSCOMを介した電源PSからタッチセンサモジュールTSMへの電源供給を開始する。
起動が要求されると、タッチセンサドライバTSDは、デバイス層DL内のシリアルインターフェース部SIに要求して、シリアルインターフェース部SIにおけるタッチセンサドライバTSDとのポートを開くように制御する。
その後、タッチセンサドライバTSDは、タッチセンサのセンシング結果の情報を有する信号(以下、接触信号と記す)を、タッチセンサモジュールTSMが有する内部クロックによる20msの周期で、シリアルインターフェース部SIに出力されるように制御する。
接触信号は、上述した各センサ素子L1〜L4およびR1〜R4の8つのセンサ素子それぞれに対応した8ビット信号で出力されている。即ち、各センサ素子が接触を検知したときには、この接触を検知したセンサ素子に対応するビットに、接触検知を表す「フラグ:1」を立てた信号であって、これらのビット列により接触信号が形成される。つまり、接触信号には、「どのセンサ素子」が「接触/非接触のいずれか」を示す情報が含まれる。
割込ハンドラIHにおけるシリアル割込み監視部SIMONは、シリアルインターフェース部SIに出力された接触信号を取り出す。ここで確認部CNFが、シリアルインターフェース部SIにおいてあらかじめ設定された条件に従い、取り出した接触信号のTrue/Falseの確認を行い、True(真)な信号のデータのみをキューQUEに入れる(信号のTrue/Falseの種別については後述する。)。また、シリアル割込み監視部SIMONは、タクトスイッチの押下の発生などのタッチセンサ起動中のシリアルインターフェース部SIの他の割込み事象の監視も行う。
なお、監視部SIMONは、検出した接触が最初の接触であった場合には「プレス」を意味する信号を接触信号の前にキューQUEに入れる(キューイングする)。その後、オペレーションシステムの有するOSタイマーCLKによるクロック45ms周期で接触信号の更新を行い、所定回数接触を検出しなかった場合には「リリース」を意味する信号をキューQUEに入れる。このことにより、接触開始からリリースまでのセンサ素子間での接触検出の移動を監視することができるようになる。なお、「最初の接触」とは、キューQUEにデータのない状態、或いは、直近の入力データが「リリース」である場合に「フラグ:1」を有する信号が発生する事象を指す。これらの処理により、タッチセンサドライバTSDは、「プレス」から「リリース」の区間のセンサ素子の検出状態を知ることができる。
同時に、監視部SIMONは、タッチセンサから出力される接触信号がFalseとなる条件を満たす信号であった場合に、「リリース」を意味する信号を擬似的に生成してキューQUEに入れる。ここでFalse(偽)となる条件としては、「非連続な2つのセンサ素子で接触を検出した場合」、「タッチセンサ起動中に割込みが生じた場合(例えば、メール着信等の通知でサブ表示部ELDの点灯/消灯状態が変更された場合)」、「タッチセンサ起動中にキー押下が発生した場合」、または後述するように「複数のセンサ素子群をまたぐ接触を検出した場合」などが設定される。
また、監視部SIMONは、例えば、センサ素子R2とR3といった隣接する2つのセンサ素子で同時に接触を検出した場合には、単一の素子を検出した場合と同様に、接触を検出した素子に対応するビットにフラグが立った接触信号をキューQUEに入れる。
タッチセンサドライバTSDは、45ms周期でキューQUEから接触信号を読み出し、読み出した接触信号によって、接触を検知した素子を判定する。タッチセンサドライバTSDは、キューQUEから順次に読み出した接触信号により判定した接触の変化、および、検知した素子との位置関係を考慮して、「接触スタートの素子」、「接触の移動方向(右/左回り)の検出」、および「プレスからリリースまでの移動距離」の判定を行う。タッチセンサドライバTSDは、判定された結果を結果通知部NTFに書き込むとともに、ベースアプリBAに結果を更新するように通知する。
接触の移動方向および移動距離の判定は、隣接するセンサ素子の検出および各センサ素子の検出の組合せによって行うが、これには種々の手法(判定ルール)を適用することができる。例えば、ある1つのセンサ素子(例えばR2)から隣接するセンサ素子(この例の場合、R3)へと接触が遷移すると、その方向に、1素子分(サブ表示部における選択候補項目の1項目分)の移動とすると判定する。
前述のように、結果の更新がタッチセンサドライバTSDによってベースアプリBAに通知されると、ベースアプリBAは結果通知部NTFを確認し、結果通知部NTFに通知された情報の内容を、さらに上位のアプリケーションであってタッチセンサ結果を要するアプリケーション(サブ表示部におけるメニュー画面表示のための表示部表示アプリAP1、およびロック制御のためのロックセキュリテイアプリAP2など)に通知する。
図5は、本発明による携帯電話端末100の特にタッチセンサ部210の構成要素の配置を示す平面図である。作図および説明の便宜上、一部の構成要素のみを図示および説明する。本図に示すように、有機EL素子からなるサブ表示部ELDの周囲に沿って円環状のパネルPNLが配されている。パネルPNLは、下部に設けるセンサ素子の感度に影響を与えないように十分に薄くすることが好適である。パネルPNLの下部には、人体の指の接触/近接を検知できる静電容量型の8個のセンサ素子L1〜L4、R1〜R4をほぼ環状に配置してある。左側の4つのセンサ素子L1〜L4で第1のセンサ素子群G1、右側の4つのセンサ素子R1〜R4で第2のセンサ素子群G2をそれぞれ構成している。各センサ素子群内の隣接するセンサ素子の間には、隣接するセンサ素子同士で接触検出機能に干渉しないように、クリアランス(隙間)を設けて配置してある。なお、干渉しないタイプのセンサ素子を用いる場合にはこのクリアランスは不要である。第1のセンサ素子群G1の一端に位置するセンサ素子L4と、第2のセンサ素子群G2の一端に位置するセンサ素子R1との間には、前記クリアランスより大きいクリアランス(例えば、2倍以上の長さ)である離間部SP1を設ける。第1のセンサ素子群G1の他端に位置するセンサ素子L1と、第2のセンサ素子群G2の他端に位置するセンサ素子R4との間にも、離間部SP1と同様に離間部SP2を設ける。このような離間部SP1、SP2によって、第1のセンサ素子群G1と第2のセンサ素子群G2とが別個に機能させる際に、互いに干渉することを防止することができる。
第1のセンサ素子群G1の各センサ素子は円弧状に配置されているが、この円弧の中央、即ち、センサ素子L2およびL3の中間の下部に、タクトスイッチSW1の中心を配置する。同様に、第2のセンサ素子群G2の各センサ素子で形成される円弧の中央、即ち、センサ素子R2およびR3の中間の下部に、タクトスイッチSW2の中心を配置する。また、第1のセンサ素子群G1と第2のセンサ素子群G2との間に設けられた離間部SP1、即ち、センサ素子L4およびR1の中間の下部に、タクトスイッチSW3の中心を配置し、離間部SP2、即ち、センサ素子R4およびL1の中間の下部に、タクトスイッチSW4の中心を配置する(図6参照)。このように、方向性を連想させない位置であるセンサ素子の中間の位置にタクトスイッチを配置することによって、センサ素子上におけるユーザによる指の方向性を持った移動指示操作による方向指示とは直接関係しない操作を行うスイッチであることを、ユーザは容易に把握することができる。また、センサ素子の下方にタクトスイッチを配して機器外面に露出していないため、機器の外観上も露出する操作部の点数を削減でき、複雑な操作を要さない様なスマートな印象となる。なお、タクトスイッチをパネルPNL下部以外の箇所に設ける場合には、機器筐体に別途貫通孔を設ける必要があるが、貫通孔を設ける位置によっては筐体強度の低下が生じ得る。本構成では、パネルPNL、および、センサ素子の下方にタクトスイッチを配することによって、新たな貫通孔を設ける必要がなくなり、筐体強度の低下も防止できる。
ユーザが、例えば、指で順次にセンサ素子L1、L2、L3、L4を円弧状に上方に向かってなぞると、表示部ELDに表示されている選択候補項目(この場合は、音、表示、データ、カメラ)のうち選択対象領域(ここでは図示しないが、反転表示や別のカラーでの強調表示など)として表示されている項目が上方のものに順次変化したり、選択候補項目が上方にスクロールしたりする。そして、所望の選択候補項目が選択対象領域として表示されているときに、ユーザは、パネルPNLおよびセンサ素子L2,L3越しにタクトスイッチSW1を押下して選択決定を行ったり、タクトスイッチSW1〜SW4を押下して表示自体を別画面に変更したりすることができる。即ち、パネルPNLは、タクトスイッチSW1〜SW4を押下するのに十分な可撓性を持ち、あるいはわずかに傾倒可能に機器筐体に取り付けられ、タクトスイッチSW1〜SW4に対する押し子の役も持っている。
図6は、図2および図5に示した携帯電話端末の構成要素、特にタッチセンサ部210の分解斜視図である。図に示すように、端末筐体の外面をなす第1の層には、パネルPNLおよび表示部ELDが配される。第1の層のパネルPNLの下方に位置する第2の層には、センサ素子L1〜L4、R1〜R4が配される。第2の層のセンサ素子L2、L3の間の下方、センサ素子R2、R3の間の下方、センサ素子L4、R1の間の下方、およびセンサ素子R4、L1の間の下方に位置する第3の層には、タクトスイッチSW1〜SW4がそれぞれ配される。
図7は、本発明による携帯電話端末における各センサ素子からの接触検知データの処理を説明する概略ブロック図である。説明の簡易化のため、センサ素子R1〜R4についてのみ示してあるが、センサ素子L1〜L4についても同様である。センサ素子R1〜R4の各々には、高周波が印加されており、一定の浮遊容量の変化を考慮してキャリブレーションし、このときの高周波状態を基準として設定されており、それぞれ、前処理部300(R1用前処理部300a、R2用前処理部300b、R3用前処理部300c、R4用前処理部300d)にて、指の接触などによる静電容量の変化に基づく高周波状態の変動を検出すると、A/D変換器310(R1用A/D変換器310a、R2用A/D変換器310b、R3用A/D変換器310c、R4用A/D変換器310d)へと送信され、接触検出を示すデジタル信号に変換される。デジタル化された信号は制御部320へと送信されてセンサ素子群としてのまとまった信号の集合として、記憶部330に信号の保持する情報を格納する。その後、シリアルインターフェース部、割り込みハンドラにこの信号が送出され、割り込みハンドラにて、タッチセンサドライバが読み取り可能な信号に変換した後、変換後の信号をキューに入れる。なお、制御部320は、記憶部330に格納した情報に基づき、隣接したセンサ素子の2つ以上で接触を検出した時点で方向の検出を行う。
以下、図8および図9は、センサ素子上をユーザがなぞった場合のサブ表示部の応答を説明する図である。図8および図9において、(a)は携帯電話端末に実装したサブ表示部ELDと、その周辺に沿って並べて配置したセンサ素子と、センサ素子の離間部に配置されたタクトスイッチ(操作手段)とを、説明の簡易化のために示した概略図、(b)は時間推移に伴い検知したセンサ素子を示す図、(c)は検知したセンサ素子に応じたサブ表示部ELDの操作対象領域の位置変化を示す図である。これらの図の(a)において、センサ素子、センサ素子群離間部およびタクトスイッチには図2(b)と同様の符号を付している。また(c)のサブ表示部ELDの表示において、TIはサブ表示部が表示する項目リストのタイトル、LS1〜LS4は選択候補項目(例えば、スクロール可能な幾つかの行)を示す。また(c)のサブ表示部において、操作の対象となる状態にある項目は、現在の操作対象領域であることが識別できるように、当該項目にカーソルを配置する、或いは、項目自体を反転表示などで強調表示する。これらの図では、操作対象領域として表示されている項目にはハッチングを施して強調して示している。説明の便宜上、「移動対象」を操作対象領域のみで説明するが、項目自体を移動(スクロール)させる場合も同様の原理でサブ表示部は動作する。
図8(a)において矢印AR1に示す上から下の向きに、例えば指などの接触手段を用いて各センサ素子上を連続的になぞると、制御部は、(b)で示す時間推移で接触を検知する。この場合は、センサ素子R1、R2、R3、R4の順に接触を検知する。このR1からR4までの連続した接触は、隣接したセンサ素子の2つ以上で検知しているため、方向の検出を行い、隣接したセンサ素子を遷移した回数とその方向に応じて、操作対象領域がサブ表示部ELDに表示したリスト上を移動する。この場合は、(c)で示したように、操作対象領域は、初期位置の項目LS1から項目LS4まで下方へ項目を3つ分移動する。なお、操作対象領域は、ハッチングで表してあるが、ハッチングピッチの狭いものが初期位置であり、ハッチングピッチの広いものが移動後の位置である。このように、本構成によれば、ユーザの「下方への指の指示動作」と同じように、サブ表示部の「操作対象領域が下方に移動」するため、ユーザはあたかも自己の指で操作対象領域を自在に移動させているように感じることになる。即ち、ユーザの意図した通りの操作感覚が得られる。
同様に、同図(a)において矢印AR2に示す向きにセンサ素子がなぞられたとすると、(b)で示したように各センサ素子のうちセンサ素子L4、L3、L2、L1がこの順に接触を検知し、この場合、矢印AR1と同じく上から下へ、隣接するセンサ素子を3つ遷移する接触のため、(c)のように下方に向かって項目LS1から項目LS4まで操作対象領域が3つ分移動する。
ここで、センサR4とセンサL1との間(サブ表示部ELDの下方部の領域)に配置されたタクトスイッチSW4(第2操作部)の押下状態に応じて、操作対象領域をサブ表示部ELD上に表示されるリスト上で下方に移動させることも構成上は可能である。すなわち、上述した実施形態によると、センサ素子への検知状態に応じて操作対象領域をサブ表示部ELD上に表示されるリスト上で下方に移動させていたが、同様に、タクトスイッチSW4の押下の回数に応じて、操作対象領域をサブ表示部ELD上に表示されるリスト上でその押下の回数分だけ下方に移動させる、ということも可能である、ということである。
かかる構成にすることにより、ユーザはセンサ素子による操作とタクトスイッチSW4による操作とを、操作する都度、取捨選択することができ、操作性は向上するということができる。
つまり、なぞるだけで操作ができるセンサ素子への操作は、例えば操作対象領域を多くのリスト間内で移動させる等の、広いレンジの操作が要求される操作に対しては、タクトスイッチSW4による操作に比して有効であるといえるが(タクトスイッチSW4による操作では、操作対象領域をリスト間で移動させるためには、リスト1つ分移動させる度に1回押下する必要があるが、センサ素子への操作にはその必要がない)、例えば、操作対象領域をリスト間内で1リスト分だけ移動させる等の、狭いレンジの操作が要求される操作に対しては、押下の回数に応じて操作ができるタクトスイッチSW4による操作の方が、センサ素子による操作に比して有効であるということができる(センサ素子間をなぞってリスト1つ分だけ動かすのは繊細な操作が要求されるため、操作に困難を伴うが、タクトスイッチSW4による操作では、リスト1つ分移動させる度に1回押下するだけでよく、容易である)。したがって、いずれか一方の操作をユーザは取捨選択することができ、操作性は向上する。
図9(a)において矢印AR1に示す下から上の向き(反時計回り方向)にセンサ素子がなぞられたとすると、(b)で示したように各センサ素子のうちセンサ素子R4、R3、R2、R1がこの順に接触を検知し、この場合、下から上へ、隣接するセンサ素子を3つ遷移する接触のため、(c)のように上方に向かって項目LS4から項目LS1まで操作対象領域が3つ分移動する。
同様に、同図(a)において矢印AR2に示す下から上の向き(時計回り方向)にセンサ素子がなぞられたとすると、(b)で示したように各センサ素子のうちセンサ素子L1、L2、L3、L4がこの順に接触を検知し、この場合、矢印AR1と同じく下から上へ、隣接するセンサ素子を3つ遷移する接触のため、(c)のように上方に向かって項目LS4から項目LS1まで操作対象領域が3つ分移動する。
ここで、センサR1とセンサL4との間(サブ表示部ELDの上方部の領域)に配置されたタクトスイッチSW3(第1操作部)の押下状態に応じて、操作対象領域をサブ表示部ELD上に表示されるリスト上で上方に移動させることも構成上は可能である。すなわち、上述した実施形態によると、センサ素子への検知状態に応じて操作対象領域をサブ表示部ELD上に表示されるリスト上で上方に移動させていたが、同様に、タクトスイッチSW3の押下の回数に応じて、操作対象領域をサブ表示部ELD上に表示されるリスト上でその押下の回数分だけ上方に移動させる、ということも可能である。
しかし、本実施形態では敢えてかかる構成は採用せず、タクトスイッチSW3の押下は操作に寄与しない構成とする(タクトスイッチSW3の操作に応じた機能動作の制御を規制する)。なぜならば、このようにサブ表示部ELDに表示された選択候補項目を見ながら、サブ表示部ELDの上方部の領域に配置されたタクトスイッチSW3を用いて操作すると、操作する手がサブ表示部ELDに手がかかってしまうおそれが高く、操作性が低下するという弊害が生じるからである。
ここで補足するが、上記したようなタクトスイッチSW3の押下を操作に寄与させない(操作を規制する)構成は、その操作の内容が、本実施形態のように、操作対象領域をサブ表示部ELDに表示されているリスト間を移動させる、というサブ表示部ELDを見ながらの操作内容であったからこそ、操作する手がサブ表示部ELDにかからず、操作性の低下を抑制することができるという作用効果を主張できるものである。すなわち、その操作内容が、例えば、音量の調整や、曲の選択等のサブ表示部ELDを必ずしも見る必要のない操作内容である場合においては、タクトスイッチSW3の押下操作を規制する必要は特にない。むしろ、タクトスイッチSW4の構成と同じように、センサ素子による操作内容と同様の操作内容を、タクトスイッチSW3の押下に応じて行うことができる構成を採用した方が操作性向上という観点からは好ましい(理由はスイッチSW4で説明した通り、操作の取捨選択ができるから)。したがって、タクトスイッチSW3による操作内容が、必ずしも画面を見る必要のない機能を動作させる場合の操作内容である場合においては、タクトスイッチSW3の操作を特に規制をしないこととする。なお、言うまでもないが、かかるサブ表示部ELDを見ながらの画面を見る必要のない機能は、制御部110により動作制御される一機能を指す。
なお、本実施形態においては、第1のセンサ素子群G1と第2のセンサ素子群G2とをサブ表示部ELDの表示向きに対して左右対称に並べて配置したため、左右対称の操作性を提供することができ、利き手によらない操作性を提供することができ、便利である。また、かかる左右対称の構成および操作性を提供しているがため、例えば左手でサブ表示部ELDの左側に配置された第1のセンサ素子群G1を、そして右手でサブ表示部ELDの右側に配置された第2のセンサ素子群G2を操作することもできる。この場合、操作をする手がサブ表示部ELDを跨って第1のセンサ素子群または第2のセンサ素子群を操作する構成とはならないため、操作する手がサブ表示部ELDにかかって操作しにくくなるといった弊害を抑制することもできる。
図10は、携帯電話端末100の機器筐体を概念的に示す図であり、本図では特に機器筐体のサブ表示部ELDの周囲に配置され、かつ、サブ表示部ELDに表示される表示向きに対して上方部430の領域(ここでは、便宜上、サブ表示部ELDの表示向きに対して上側半分よりも上方部に位置する機器筐体の領域)に配置される操作部を第1操作部410(例えば、タクトスイッチSW3)と、上方部430の領域以外の領域に配置される操作部を第2操作部420(例えば、タクトスイッチSW4)とを概念的に示している。なお、ここでの制御部(機能動作制御手段)110は、第1操作部410および第2操作部420による操作に応じて携帯電話端末100が有する機能の動作(サブ表示部ELDへの表示を伴う機能の動作を含む)を行ったり、第1操作部410や第2操作部420による操作に応じた機能動作の制御を規制したりすることができるものとする。
このように、サブ表示部ELDの周囲の上方部430に第1操作部410を有する場合、第1操作部410を操作する際にサブ表示部ELDに手がかかって操作性が低下しまうおそれが高い。一方、上方部430以外の領域に第2操作部(例えば、タクトスイッチSW4)420を有する場合、第2操作部420を操作しても操作する手がサブ表示部ELDにかかって操作性が低下しまうおそれは少なく、画面を見ながらの操作が好適になされる。そこで、制御部110がサブ表示部ELDへの表示を伴う機能の動作を制御する場合には、第1操作部410による操作に応じた機能動作については規制をかけてやることにより、かかる操作性の低下を抑制している。
例えば、画面を見ながらの機能、例えばサブ表示部ELDに表示されたメニューの選択や画面の明るさ調整等の機能を動作する場合は、サブ表示部ELDに手がかかって操作性が低下しまうおそれがあるため第1操作部410による操作を規制する。しかし、音量の調整や曲の選択等、必ずしも画面見る必要のない機能を動作させる場合は、第1操作部410を操作しても操作性は悪くならないため、特に規制をしない。
第2操作部420は、サブ表示部ELDの周囲で、かつ、表示される表示向きに対して下方部440の領域に配置されることが望ましい。操作性の低下を生ずることがなく、さらに、サブ表示部ELDを見ながらの操作が好適に可能となるからである。ただし、下方部440の領域に限ることなく、例えば機器筐体の側面や裏面に設けてもよく、要は上方部430の領域でなければそれでよい。
また、サブ表示部ELDは、第1操作部410および第2操作部420の操作内容を表示可能に構成されている。図10におけるかかるサブ表示部ELDの表示はかかる構成の一実施例を示すものであり、同図に示されるように、サブ表示部ELDの上方側には、第1操作部410の操作内容を示す「音量大」の文字が表示され、サブ表示部ELDの下方側には、第2操作部420の操作内容を示す「音量小」の文字が表示されている。
本実施例に示されるように、第1操作部410および第2操作部420の操作内容が、音量の調整に係る操作内容等の、必ずしもサブ表示部ELDを見る必要のない操作内容である場合は、このように、サブ表示部ELDにその操作内容を表示させることが好ましい。こうすることにより、ユーザは、第1操作部410および第2操作部420の操作内容を、サブ表示部ELDを基に的確に知ることができ、操作性が向上する。なおこの場合、ユーザが第1操作部410を操作すると、上述したように、操作する手はサブ表示部ELDにかかることとなるが、その操作内容が、音量の調整である場合には、必ずしもその表示内容を確認せずとも操作することは可能であるため、操作性が低下することはない。
ただし、その操作内容が、サブ表示部ELDを見る必要のある操作内容である場合、例えば、前述したような、サブ表示部ELDに表示された選択候補項目から操作の対象となる1の項目を選択するような操作内容である場合はこの限りではない。すなわち、例えば図10における「音量大」と表示されているのと同一の表示位置に、「項目上」という操作内容を示す表示をサブ表示部ELDに表示させたとする。しかし、この場合、ユーザはかかる表示を参照して、項目を上にスクロールさせようと第1操作部410を操作すると、その操作する手がサブ表示部ELDにかかることなり、肝心の選択候補項目が見えなくなる、ないし、見えにくくなることとなる。
従って、ユーザは思うように所望の項目を選択することがしにくくなり、操作性が悪い。したがって、このように、サブ表示部ELDを見る必要のある操作内容が必要である場合には、第1操作部の操作を上述したように規制してやると共に、サブ表示部ELDに、第1操作部の操作内容を表示させない(または消去する)構成とすることとし、ユーザが、第1操作部を操作することにより、その操作する手がサブ表示部ELDにかかってその表示が見えなくなり、操作性が低下するという弊害を除去してやることとする。
なお、第2操作部に対する操作については、上述したようにその操作する手がサブ表示部ELDにかかって操作しにくいという弊害は生じないため、第1操作部の規制状態または非規制状態に関わらず、その操作内容をサブ表示部ELDに表示させる構成とすることが好ましい。なお、ここではサブ表示部ELDを見る必要のある操作内容として、サブ表示部ELDに表示された選択候補項目から操作の対象となる1の項目を選択するような操作内容を例示したが、本発明はこれに限ることなく、例えば、画面の明るさを調整する操作内容等、その他サブ表示部ELDの表示を見る必要のある操作内容であればそれでよい。
また、機器筐体が矩形板状に形成されているときは、サブ表示部ELDは、表示向きが筐体の長手方向と同一となるよう配置されることが望ましい。人は長手方向に携帯電子機器を持つことが多いため、より手に持ちやすい状態において、サブ表示部ELDの表示向きを筐体の長手方向と同一となるよう配置することによって操作性が向上する。
なお、本発明の変形例として以下のような構成も考えられる。つまり、上述した実施形態においては、操作手段による操作内容がサブ表示部ELDの表示を見る必要のある操作内容である場合には、第1操作部410による操作を規制して操作性の低下を抑制するという構成としたが、本変形例では、敢えてこの場合においても第1操作部410の操作を規制しないこととする。しかしこの場合、依然としてその操作する手がサブ表示部ELDにかかり、操作性が低下するという問題は残る。そこで、サブ表示部ELDが見えにくくなる弊害を抑制すべく、携帯電話端末100に備えられたスピーカSP(報知部)により第1操作部の操作内容や操作状況を報知する構成とする。
例えば、第1操作部410による操作の内容が、サブ表示部ELDに表示された選択候補項目から操作の対象となる1の項目を選択するような内容である場合、制御部110は、第1操作部への操作により選択された項目をスピーカSPにより報知するよう制御してやればよい。こうすることにより、ユーザは、サブ表示部ELDに表示された選択候補項目が見えにくくとも、その選択動作を正確に行うことができる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。例えば、実施例では、円環状に設けたセンサ素子レイアウトで説明したが、コ字状に配置されるセンサ素子群を表示部を挟んで対向配置させてもよい。また、センサ素子群は左右の配置の実施例で説明したが、上下2群で構成してもよい。さらに、実施例では、携帯電話端末を挙げて説明してあるが、電話以外の携帯無線端末、PDA(パーソナルデジタルアシスタンス)、携帯ゲーム機、携帯オーディオプレイヤー、携帯ビデオプレイヤー、携帯電子辞書、携帯電子書籍ビューワーなどの携帯電子機器に幅広く本発明を適用することが可能である。また、実施例では、センサ素子として静電容量式の接触センサを挙げたが、前述した薄膜抵抗式、さらには、受光量の変動によって接触を検知する光学方式、表面弾性波の減衰によって接触を検知するSAW方式、誘導電流の発生によって接触を検知する電磁誘導方式のセンサ素子を用いてもよい。また、接触センサのタイプによっては、指以外の専用ペンなどの指示器具を使用するものがあるが、本発明の原理はこのような接触センサを搭載した携帯電子機器にも適用し得るものである。