JP5122316B2 - セメント添加材及びセメント組成物 - Google Patents
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Description
また、本発明は、セメントに対して、上記セメント添加材を内割で50質量%以下含有するセメント組成物を提供するものである。
本発明の焼成物は、水硬率(H.M.)が1.4〜1.6、SO3量が1.0〜2.5質量%、Al2O3/SO3質量比が10以下で、かつ、2CaO・SiO2(以降、C2Sと略す)、2CaO・Al2O3・SiO2(以降、C2ASと略す)及び3CaO・3Al2O3・CaSO4(以降、C4A3・SO3と略す)を必須成分とし、100質量部のC 2 Sに対して、C 2 ASが10〜100質量部及びC 4 A 3 ・SO 3 が1〜10質量部であるものである。
このような化学成分と特定の鉱物を有する焼成物の粉砕物であれば、セメントへの添加量を多くした場合であっても、セメント組成物の強度発現性の低下を小さくすることができる。また、モルタルやコンクリートの乾燥収縮を低減することもできる。
焼成物の水硬率(H.M.)は、セメント組成物の流動性や強度発現性、モルタルやコンクリートの乾燥収縮低減等から1.4〜1.55が好ましく、1.4〜1.5がより好ましい。
なお、水硬率(H.M.)は、焼成物中のCaO、SiO2、Al2O3及びFe2O3含有量から、CaO/(SiO2+Al2O3+Fe2O3)で算出される値である。
焼成物のSO3量は、セメント組成物の流動性や強度発現性、モルタルやコンクリートの乾燥収縮低減等から1.0〜2.0質量%が好ましい。
焼成物のAl2O3/SO3質量比は、セメント組成物の流動性や強度発現性、モルタルやコンクリートの乾燥収縮低減等から3〜9が好ましく、5〜9がより好ましい。
C2S100質量部に対して、C2ASが10質量部未満では、焼成時に焼成温度を上げてもフリーライム量(未反応CaO量)が低下しにくく、焼成が困難になり、また、生成するC2Sも水和活性のないγ型C2Sである可能性が高くなり、セメント組成物の長期強度を大きく低下させることがある。一方、C2ASが100質量部を超えると、高温における融液が増加するため、焼成可能温度が狭まり、またC2Sが少ないため、セメント組成物の初期及び長期強度がともに低下する。
なお、本発明においては、C2ASの好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下が4CaO・Al2O3・Fe2O3(以降、C4AFと略す)であっても良い。焼成物がC4AFを含むことにより、焼成物中のカルシウムアルミネートの生成を抑制することができ、セメント組成物の流動性の低下を防ぐことができる。C4AFが前記範囲を超えて置換されると、焼成の温度範囲が狭くなり、焼成物の製造管理が難しくなる。
カルシウムアルミネートの含有量が、C2S100質量部に対して10質量部を超えると、セメント組成物の長期強度を大きく低下させることがある。また、セメント組成物の水和熱が上昇し、流動性も悪化する。
なお、本発明において、カルシウムアルミネートは、3CaO・Al2O3(以降、C3Aと略す)、12CaO・7Al2O3(以降、C12A7と略す)及びCaO・Al2O3(以降、CAと略す)を意味する。
なお、本発明において、焼成物中のCaO、SiO2、Al2O3、Fe2O3、SO3量やP2O5、アルカリ(Na2O+K2O)量は、「JIS R 5202(ポルトランドセメントの化学分析方法)」に準じて測定される値である。
また、本発明において、各鉱物比の定量は、C2Sは2θ=32.1°付近に現れる(-1 2 1)のX線回折のピーク強度を、C2ASは2θ=31.4°付近に現れる(2 1 1)のX線回折のピーク強度を、C4A3・SO3は2θ=23.6°付近に現れる(4 2 2)のX線回折のピーク強度を、C4AFは2θ=12.2°付近に現れる(0 2 0)のX線回折のピーク強度を、C3Aは2θ=63.9°付近に現れる(10 3 1)のX線回折のピーク強度を、C12A7は2θ=18.1°付近に現れる(2 1 1)のX線回折のピーク強度を、CAは2θ=30.1°付近に現れる(1 2 3)のX線回折のピーク強度を、測定することにより定量可能である。
なお、C2Sのピークに比べて、C4A3・SO3、カルシウムアルミネートやC4AFはピークが小さいため、定量の際には予めサリチル酸メタノール溶液を用いて、ビーライトを溶解させた後、残存した試料を用いて定量するのことが好ましい。
また、本発明においては、焼成物中のフリーライム量は、セメント組成物の水和熱や流動性、強度発現性等から、1.5質量%以下、特に1.0質量%以下であるのが好ましい。
また、一般のポルトランドセメントクリンカー原料、例えば、石灰石、生石灰、消石灰等のCaO原料、珪石、粘土等のSiO2原料、粘土等のAl2O3原料、鉄滓、鉄ケーキ等のFe2O3原料も使用することができる。
用いる装置は特に限定されず、例えばロータリーキルン等を用いることができる。また、ロータリーキルンで焼成する際には、燃料代替廃棄物、例えば廃油、廃タイヤ、廃プラスチック等を使用することができる。
このような焼成により、C2ASとC4A3・SO3が生成し、本発明のような組成の焼成物を得ることができる。
焼成物の粉砕方法は特に制限されず、例えばボールミル等を用い、通常の方法で粉砕すれば良い。焼成物の粉砕物は、ブレーン比表面積が2500〜5000cm2/gであることが、モルタルやコンクリートのブリーディングの低減や、流動性、強度発現性の観点から好ましい。
石膏のブレーン比表面積は、モルタルやコンクリートのブリーディングの低減や、流動性、強度発現性の観点から、2500〜10000cm2/gであることが好ましい。石膏としては、特に制限されず、例えば二水石膏、α型又はβ型半水石膏、無水石膏等が挙げられ、これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
セメント添加材の添加量は、セメントに対して、内割で50質量%以下が好ましく、廃棄物原料の有効活用や、モルタルやコンクリートのブリーディングの低減、流動性や強度発現性の観点から、5〜40質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。セメント添加材の添加量が、セメントに対して、内割で50質量%を越えると、セメント組成物の強度発現性が低下する。
実施例1
1.焼成物の調製
(1)焼成物の製造:
表1に示す化学組成の原料混合物(石灰石及び石炭灰の混合物)に、炭酸カルシウム(試薬)、シリカ(試薬)、アルミナ(試薬)、酸化鉄(試薬)、硫酸カルシウム(試薬)、炭酸ナトリウム(試薬)、炭酸カリウム(試薬)、第2リン酸カルシウム(試薬)を加えて焼成物を製造した。表2に焼成物の化学組成を、表3に焼成物の鉱物組成を示す。
なお、焼成はロータリーキルンを用いて、焼成物1〜4は焼成温度1280〜1350℃で、焼成物5は焼成温度1200℃で行った。
上記各焼成物の粉砕物(ブレーン比表面積3200±50cm2/g)100質量部と二水石膏(ブレーン比表面積4000cm2/g)2質量部(SO3換算)を混合してセメント添加材を製造した。
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)に、上記各セメント添加材を25質量%(内割)添加して、セメント組成物を製造した。
得られたセメント組成物について、モルタルフロー及びモルタル圧縮強さを評価した。結果を表4に示す。
(1)モルタルフロー:
W/C=0.35、S/C=2、セメント組成物に対して(A)1.2質量%のナフタレンスルホン酸系高性能減水剤(商品名「MT150」)を添加したもの、(B)0.65質量%のポリカルボン酸系高性能AE減水剤(商品名「SP8N」)を混合したもの、を5分間混練したモルタルについて、「JIS R 5201−1997」に規定されているフローコーンを用い、「JIS R 5201」に従って、製造直後及び30分後のモルタルフローを測定した。
(2)モルタル圧縮強さ:
3日、7日及び28日後のモルタル圧縮強さを、「JIS R 5201」に従って測
定した。
上記製造したセメント組成物の1部について、乾燥収縮を評価した。結果を表5に示す。
(1)乾燥収縮:
「JIS R 5201」の強さ試験に従ってモルタルを作成し、4cm×4cm×16cmの型枠を用いて成形し、材齢7日まで20℃、R.H.80%の室内で湿空養生し、材齢7日で脱型した後は20℃、R.H.60%の室内で気中養生した。長さ変化は、4cm×4cm×16cmの供試体中心部に設置した埋め込み型ひずみゲージにて測定した。なお、長さ変化(7日基準)は気中養生を開始した時点を基準とし、長さ変化(始発基準)は凝結の始発時間に達した時点を基準とした。
Claims (5)
- 水硬率(H.M.)が1.4〜1.6、SO3量が1.0〜2.5質量%、Al2O3/SO3質量比が10以下で、かつ、2CaO・SiO2、2CaO・Al2O3・SiO2及び3CaO・3Al2O3・CaSO4を必須成分とし、100質量部の2CaO・SiO 2 に対して、2CaO・Al 2 O 3 ・SiO 2 が10〜100質量部及び3CaO・3Al 2 O 3 ・CaSO 4 が1〜10質量部である焼成物を粉砕してなることを特徴とするセメント添加材。
- 石膏をSO3換算で6質量部以下含有する請求項1記載のセメント添加材。
- 上記焼成物が、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる1種以上を原料とする請求項1又は2記載のセメント添加材。
- セメントに対して、請求項1〜3のいずれかに記載のセメント添加材を内割で50質量%以下含有するセメント組成物。
- 石膏を、SO3換算で1.5〜5質量%含有する請求項4記載のセメント組成物。
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