図1は、本発明の実施の一形態である表示装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態の表示装置1は、文字列によって情報を提供するために用いられる。前記情報としては、ニュースの一覧表の一部を構成するニュース項目およびテレビ番組表の一部を構成する番組名などが挙げられる。また前記情報としては、アイコンの近くに配置されるアイコン名なども挙げられる。
表示装置1は、画面を表示する表示手段2と、文字列を含む画面を表示するように表示手段2を制御する制御手段3とを含む。制御手段3は、画面の領域上で、始点および終点を設定するとともに、始点から終点までの移動経路を設定し、移動経路に沿って始点から終点まで、文字列の表示位置を移動させるとともに、文字列の表示位置の移動速度に基づいて、文字列を構成する文字の属性を変更する。
文字列は、1または複数の文字によって構成される。複数の文字によって文字列が構成される場合、各文字は、横方向に並べられてもよく、縦方向に並べられてもよく、あるいは、斜め方向に並べられてもよい。本実施の形態では、各文字は、横方向に並べられる。
文字の属性としては、文字のサイズと、文字の濃度と、文字の線幅とが挙げられる。これらの属性のうちで、いずれか1つだけを変更してもよく、あるいは、いずれか複数を変更してもよい。
図2は、画面の領域5を示す図である。画面の領域5には、座標系が設定される。座標系の原点Oは、画面の領域5を含む仮想平面内に設定される。座標系の座標軸は、X軸およびY軸である。X軸は、原点Oを通り、横方向Xに延びる。Y軸は、原点Oを通り、縦方向Yに延びる。本実施の形態では、画面の領域5は、たとえば矩形であり、座標系の原点Oは、たとえば画面の領域5における左上の頂点に設定される。
画面の領域5上には、始点P1および終点P2が設定され、さらに始点P1から終点P2までの移動経路Rが設定される。移動経路Rは、直線状であってもよく、あるいは、湾曲していてもよい。本実施の形態では、移動経路Rは直線状である。
移動経路R上には、多数の移動点が設定される。多数の移動点は、前記始点P1と、前記終点P2と、始点P1および終点P2の間に配置される複数の途中点Piとを含む。各移動点は、等間隔に配置されてもよく、あるいは、間隔が異なるように配置されてもよい。
文字列の表示位置は、各移動点に離散的に移動する。文字列の表示位置は、最初は始点P1に位置し、最後は終点P2に位置する。文字列の表示位置は、単位時間ごとに、移動点から、この移動点に対して移動方向下流側に1つ隣の移動点に移動する。移動点の間隔を短くすることによって、視認者には、文字列の表示位置が連続的に移動しているように見える。
図3は、表示位置の移動速度を説明するための図である。図3には、第1の移動点Aと第2の移動点Bとを示す。第1の移動点Aは、終点P2を除く任意の移動点である。第2の移動点Bは、第1の移動点Aに対して移動方向下流側に1つ隣の移動点である。
表示位置の移動速度は、横方向Xの成分(以下、「横成分」という)と縦方向Yの成分(以下、「縦成分」という)に分解される。文字列の表示位置は、単位時間で、第1の移動点Aから第2の移動点Bに移動する。この点を踏まえて、移動速度の横成分および移動速度の縦成分を、次のように定義する。移動速度の横成分は、第1の移動点Aから第2の移動点Bまでの横方向Xの変位量dxとする。移動速度の縦成分は、第1の移動点Aから第2の移動点Bまでの縦方向Yの変位量dyとする。
ここで、第1の移動点AをA(x1,y1)とし、第2の移動点BをB(x2,y2)とする。このとき、移動速度の横成分dxおよび移動速度の縦成分dyは、次のようになる。
dx=x2−x1 …(1)
dy=y2−y1 …(2)
また、移動速度の大きさdvは、次のようになる。
dv=(dx2+dy2)1/2 …(3)
図4は、文字列の表示領域6と文字列の表示位置7との位置関係を示す図である。文字列の表示領域6は、文字列を構成する文字の外枠に外接する外接図形8によって囲まれる領域である。外接図形8は、矩形であり、横方向Xに平行な2辺8a,8bと縦方向Yに平行な2辺8c,8dとによって構成される。文字列の表示位置7は、文字列の表示領域6に対して所定の位置に設定される。本実施の形態では、文字列の表示位置7は、文字列の表示領域6における左上の頂点に設定される。
図5は、文字の属性として文字のサイズを変更する例を説明するための図である。図5(1)は文字のサイズを変更していない状態11を示し、図5(2)は文字のサイズを変更した状態12を示す。図6は、サイズ変更テーブル13の例を示す図である。文字のサイズを変更する場合、移動速度の大きさが大きいほど、文字のサイズを大きくする。これによって文字列が読みにくくなることを防ぐことができる。
文字のサイズを変更するにあたっては、移動速度の大きさに関連する量に基づいてサイズ変更率を決定し、このサイズ変更率にて文字のサイズを変更する。サイズ変更率は、「文字の基本サイズ」に対する「変更後の文字のサイズ」の割合である。たとえば、サイズ変更率が120%であれば、変更後の文字のサイズは、文字の基本サイズを120%にしたサイズになる。
サイズ変更率を決定するにあたっては、まず、移動速度の大きさを求める。次に、移動速度の大きさに関連する量C1を求める。移動速度の大きさに関連する量C1は、「文字の基本サイズ」に対する「移動速度の大きさ」の割合である。この後、サイズ変更テーブル13を参照して、サイズ変更率D1を得る。このようにしてサイズ変更率D1を決定する。
ここで、変更率を決定する際、「文字の基本サイズ」に対する「移動速度の大きさ」の割合を用いるのは、ユーザにとっての実効的な移動速度は「文字の基本サイズ」によって異なると考え、「移動速度の大きさ」を「文字の基本サイズ」に対する割合として正規化した値で取り扱うのが適しているためである。
サイズ変更テーブル13では、移動速度の大きさに関連する量C1と、サイズ変更率D1とが対応付けられる。移動速度の大きさに関連する量C1は、複数の数値範囲に分けられ、各数値範囲に1つのサイズ変更率D1がそれぞれ対応付けられる。
一例として述べると、図6に示すように、移動速度の大きさに関連する量C1は、5つの数値範囲16a〜16eに分けられる。第1の数値範囲16aは0%を超え20%未満であり、第2の数値範囲16bは20%以上50%未満であり、第3の数値範囲16cは50%以上80%未満であり、第4の数値範囲16dは80%以上100%未満であり、第5の数値範囲16eは100%以上である。各数値範囲16a〜16eには、サイズ変更率D1として、110%、120%、140%、160%、180%がそれぞれ対応付けられる。このような例では、たとえば、移動速度の大きさに関連する量C1が45%であれば、この45%は第2の数値範囲16bに含まれるので、サイズ変更率D1は120%となる。
本実施の形態では、文字の横方向XのサイズSxと文字の縦方向YのサイズSyとを個別に変更する。具体的には、移動速度の横成分dxが大きいほど、文字の横方向XのサイズSxを大きくするとともに、移動速度の縦成分dyが大きいほど、文字の縦方向YのサイズSyを大きくする。これによって文字列が読み取りにくくなることを効果的に防ぐことができる。文字の横方向XのサイズSxは、文字の幅である。文字の縦方向YのサイズSyは、文字の高さである。
文字の横方向XのサイズSxと文字の縦方向YのサイズSyとを個別に変更する場合、文字が、横長になったり、縦長になったりする。たとえば、移動方向の横成分dxが移動方向の縦成分dyよりも大きい場合は、図5(2)に示すように、文字が横長になる。
図7は、文字の属性として文字の濃度を変更する例を説明するための図である。図7(1)は文字の濃度を変更していない状態21を示し、図7(2)は文字の濃度を変更した状態22を示す。図8は、濃度変更テーブル23の例を示す図である。文字の濃度を変更する場合、移動速度の大きさが大きいほど、文字の濃度と背景の濃度との差が大きくなるように、文字の濃度を変更する。これによって文字列が読みにくくなることを防ぐことができる。
背景とは、画面における文字列の背景である。画面は、文字列と背景とによって構成される。背景の濃度とは、背景となる各画素の濃度値の平均値である。
背景の濃度は、文字の基本濃度よりも高くてもよく、あるいは、文字の基本濃度よりも低くてもよい。ここで、画面が白黒画像の場合を想定する。背景が白色で文字列が黒色であるとき、移動速度の大きさが大きいほど文字は黒くなり、逆に移動速度の大きさが小さいほど文字は白くなる。背景が黒色で文字列が白色であるとき、移動速度の大きさが大きいほど文字は白くなり、逆に移動速度の大きさが小さいほど文字は黒くなる。図7および図8には、文字の基本濃度が背景の濃度よりも高い場合を示す。
文字の濃度を変更するにあたっては、移動速度の大きさに関連する量に基づいて濃度変更率を決定し、この濃度変更率にて文字の濃度を変更する。濃度変更率は、「文字の基本濃度」に対する「変更後の文字の濃度」の割合である。たとえば、濃度変更率が60%であれば、変更後の文字の濃度は、文字の基本濃度を60%にした濃度になる。
濃度変更率を決定するにあたっては、まず、移動速度の大きさを求める。次に、移動速度の大きさに関連する量C2を求める。移動速度の大きさに関連する量C2は、「文字の基本サイズ」に対する「移動速度の大きさ」の割合である。この後、濃度変更テーブル23を参照して、濃度変更率D2を得る。このようにして濃度変更率D2を決定する。
濃度変更テーブル23では、移動速度の大きさに関連する量C2と、濃度変更率D2とが対応付けられる。移動速度の大きさに関連する量C2は、複数の数値範囲に分けられ、各数値範囲に1つの濃度変更率D2がそれぞれ対応付けられる。
一例として述べると、図8に示すように、移動速度の大きさに関連する量C2は、5つの数値範囲26a〜26eに分けられる。第1の数値範囲26aは0%を超え20%未満であり、第2の数値範囲26bは20%以上50%未満であり、第3の数値範囲26cは50%以上80%未満であり、第4の数値範囲26dは80%以上100%未満であり、第5の数値範囲26eは100%以上である。各数値範囲26a〜26eには、濃度変更率D2として、40%、60%、80%、90%、100%がそれぞれ対応付けられる。たとえば、移動速度の大きさに関連する量C2が45%であれば、この45%は第2の数値範囲26bに含まれるので、濃度変更率D2は60%となる。
図9は、文字の属性として文字の線幅を変更する例を説明するための図である。図9(1)は文字の線幅を変更していない状態31を示し、図9(2)は文字の線幅を変更した状態32を示す。図10は、線幅変更テーブル33の例を示す図である。文字の線幅を変更する場合、移動速度の大きさが大きいほど、文字の線幅を大きくする。これによって文字列が読みにくくなることを防ぐことができる。
文字の線幅を変更するにあたっては、移動速度の大きさに関連する量に基づいて線幅変更率を決定し、この線幅変更率にて文字の線幅を変更する。線幅変更率は、「文字の基本線幅」に対する「変更後の文字の線幅」の割合である。たとえば、線幅変更率が110%であれば、変更後の文字の線幅は、文字の基本線幅を110%に太くした線幅になる。
線幅変更率を決定するにあたっては、まず、移動速度の大きさを求める。次に、移動速度の大きさに関連する量C3を求める。移動速度の大きさに関連する量C3は、「文字の基本サイズ」に対する「移動速度の大きさ」の割合である。この後、線幅変更テーブル33を参照して、線幅変更率D3を得る。このようにして線幅変更率D3を決定する。
線幅変更テーブル33では、移動速度の大きさに関連する量C3と、線幅変更率D3とが対応付けられる。移動速度の大きさに関連する量C3は、複数の数値範囲に分けられ、各数値範囲に1つの線幅変更率D3がそれぞれ対応付けられる。
一例として述べると、図10に示すように、移動速度の大きさに関連する量C3は、5つの数値範囲36a〜36eに分けられる。第1の数値範囲36aは0%を超え20%未満であり、第2の数値範囲36bは20%以上50%未満であり、第3の数値範囲36cは50%以上80%未満であり、第4の数値範囲36dは80%以上100%未満であり、第5の数値範囲36eは100%以上である。各数値範囲36a〜36eには、線幅変更率D3として、105%、110%、115%、120%、125%がそれぞれ対応付けられる。たとえば、移動速度の大きさに関連する量C3が45%であれば、この45%は第2の数値範囲36bに含まれるので、線幅変更率D3は110%となる。
図1を再び参照して、表示装置1は、コンピュータによって実現される。表示手段2は、表示部41を有する。制御手段3は、情報を入力するための入力部42と、信号を発生する信号発生部43と、主記憶部44と、補助記憶部45と、制御部46とを有する。
表示部41は、マトリクス表示装置によって実現される。マトリクス表示装置としては、液晶表示装置などが挙げられる。
入力部42は、表示部41に表示すべき文字列を表す文字列情報を制御部46に入力するために用いられる。文字列情報は、文字コードを含む。文字コードは、文字を識別するためのコードを表す。文字列情報は、文字の基本属性をさらに含む。文字の基本属性としては、文字の基本サイズと、文字の基本濃度と、文字の基本線幅とが挙げられる。入力部42は、文字列情報を入力可能な入力装置によって実現される。このような入力装置としては、キーボードおよびマウスが挙げられ、ペン入力装置およびタッチパネルなどの接触式ポインティングデバイスならびに無線通信による非接触式ポインティングデバイスなどが挙げられる。入力部42は、外部装置と通信するための通信装置によって実現されてもよい。この場合、外部装置から文字列情報を受信し、この文字列情報を制御部46に入力することができる。
信号発生部43は、前記信号として、クロック信号および割り込み信号を発生する。クロック信号は、一定の時間間隔で発振する周期的な信号である。割り込み信号は、クロック回数に応じた信号であり、所定のクロック回数ごとに発生される信号である。割り込み信号を発生してから次の割り込み信号を発生するまでの時間は、前記単位時間に相当する。これらの信号は、制御部46に与えられる。
主記憶部44には、情報が一時的に記憶される。この情報としては、入力部42から入力される情報と、後述のプログラム48を実行するために必要なデータとが挙げられる。主記憶部44は、RAM(Random Access Memory)によって実現される。
補助記憶部45には、プログラム48と、このプログラム48を実行するために必要なデータ49が記憶される。プログラム48は、表示プログラムである文字流動表示プログラム51と、文字データを展開するための文字データ展開プログラム52とを含む。データ49は、文字の形状を定義する文字データ53と、サイズ変更テーブル13と、濃度変更テーブル23と、線幅変更テーブル33とを含む。補助記憶部45は、プログラム48およびデータ49を記憶することが可能な記憶装置によって実現される。このような記憶装置としては、ハードディスク装置やフラッシュメモリなどが挙げられる。
制御部46には、入力部42、信号発生部43、主記憶部44および補助記憶部45がそれぞれ接続される。制御部46は、表示装置1の全体を監視して制御するとともに、補助記憶部45に記憶されるプログラム48を実行する。このような制御部46は、中央演算処理装置(Central Processing Unit、略称CPU)を含む。
図11は、画面を形成するためのバッファの構成を説明するための図である。主記憶部44は、文字列が形成される文字列バッファ56と、背景が形成される背景バッファ57と、画面が形成される画面バッファ58とを含む。画面バッファ58には、文字列バッファ56に形成される画像と背景バッファ57に形成される画像とが合成された合成画像が、画面として形成される。表示部41には、この画面が表示される。
図12は、制御部46による表示処理を説明するためのフローチャートである。表示方法に基づく表示処理は、制御部46によって文字流動表示プログラム51が実行されることによって実現される。制御部46には、入力部42から、始点P1および終点P2が入力される。制御部46は、始点P1および終点P2に基づいて、始点P1から終点P2までの移動経路Rを設定して、各移動点を設定する。制御部46には、入力部42から、文字列情報がさらに入力される。制御部46は、この文字列情報を主記憶部44の文字バッファに格納する。また制御部46には、入力部42から、表示位置を移動させるときに変更すべき属性が指定される。
制御部46による表示処理は、入力部42から表示処理開始指令が入力されると、開始される。表示処理を開始すると、まず、ステップs1で、現在の表示位置として、始点P1の座標値を取得し、主記憶部44のメモリに格納する。
次に、ステップs2で、移動速度を初期化する。具体的には、移動速度の横成分および移動速度の縦成分を初期化する。たとえば、移動速度の横成分dxおよび移動速度の縦成分dyには、初期値としてゼロを与え、入力部42から取得した現在の指定点Pn(x,y)と、その直前の指定点Pn−1(x,y)とを用い、直前の指定点Pn−1(x,y)から現在の指定点Pn(x,y)としたときの移動速度の横成分dxおよび縦成分dyは、前述の第1の移動点Aから第2の移動点Bまでの各変位量dx,dyと等価であるため、移動速度の横成分は直前の指定点Pn−1から現在の指定点Pnまでの横方向の変位量dx1とし、移動速度の縦成分は直前の指定点Pn−1から現在の指定点Pnまでの縦方向の変位量d1としたとき、次の式4,式5によって算出される。
dx1=x12−x11 …(4)
dy1=y12−y11 …(5)
次に、ステップs3で、移動速度に基づいて、属性の変更率を算出する。具体的には、移動速度の横成分dxおよび移動速度の縦成分dyに基づいて、属性の変更率を算出する。ここでは、前記変更すべき属性として予め指定された属性について、変更率が算出される。
属性として文字のサイズを変更する場合は、図5および図6で説明したように、サイズ変更テーブル13を参照して、サイズ変更率を算出する。属性として文字の濃度を変更する場合は、図7および図8で説明したように、濃度変更テーブル23を参照して、濃度変更率を算出する。属性として文字の線幅を変更する場合は、図9および図10で説明したように、線幅変更テーブル33を参照して、線幅変更率を算出する。
次に、ステップs4で、文字バッファに格納されている文字情報の文字コードに基づいて、補助記憶部45から文字データを読み出し、さらに補助記憶部45に格納されている文字データ展開プログラムを実行して、文字データを展開して、文字イメージを形成する。このとき、前記変更すべき属性として予め指定された属性について、前記ステップs3で算出した属性の変更率にて変更する。前記変更すべき属性として予め指定されていない属性については、基本属性とする。
次に、ステップs5で、現在の表示位置に文字列を描画する。このとき、文字列バッファ56を初期化して、この文字列バッファ56の現在の表示位置に、前記ステップs4で形成される文字イメージに基づいて新たに文字列を形成する。そして文字列バッファ56に形成される画像と背景バッファ57に形成される画像とを合成し、合成画像を画面として画面バッファ58に形成し、画像バッファ58に形成される画面を表示部41に表示する。
次に、ステップs6で、現在の表示位置の座標値を、元の表示位置として、主記憶部44のメモリに格納する。次に、ステップs7で、信号発生部43から割り込み信号を与えられたか否かを判定する。信号発生部43から割り込み信号を与えられるまで、ステップs7の判定を繰返し実行し、信号発生部43から割り込み信号を与えられると、ステップs8に進む。
ステップs8では、次の移動点があるか否かを判定する。詳しくは、元の表示位置の移動点に対して移動方向下流側に移動点があるか否かを判定する。換言すれば、このステップs8では、表示位置が終点P2に到達したか否かを判定する。次の移動点があれば、ステップs9に進む。
ステップs9では、現在の表示位置として、次の移動点の座標値を取得し、主記憶部44のメモリに格納する。次の移動点は、元の表示位置の移動点に対して移動方向下流側に向かって1つ隣の移動点である。
次に、ステップs10では、現在の表示位置の座標値と元の表示位置の座標値とに基づいて、移動速度を求める。具体的には、図3で説明したように、移動速度の横成分dxおよび移動速度の縦成分dyを算出する。現在の表示位置の座標値は、第2の移動点Bの座標値である。元の表示位置の座標値は、第1の移動点Aの座標値である。この後、ステップs3に戻る。次の移動点の変化がなくなるまで、ステップs3〜ステップs10の処理を繰返し実行して表示を更新し、次の移動点の変化がなくなると、表示の更新を行わない移動点の観測モードを維持し、制御部46によって文字流動表示プログラム51の実行動作が解除されると、流動表示処理が終了する。
本実施の形態では、前記ステップs5で、文字列バッファ56の全体を初期化するけれども、文字列バッファ56における文字列の表示領域だけを初期化するようにしてもよい。この場合、前記ステップs6で、文字列の表示領域のサイズをも主制御部46のメモリに格納し、前記ステップs5では、元の表示位置と文字列の表示領域のサイズとに基づいて、元の表示位置における文字列の表示領域を初期化して、文字列を消去する。
以上のような本実施の形態によれば、文字列の表示位置を移動させることによって、視認者を文字列に注目させることができる。しかも文字列の表示位置の移動速度に基づいて、文字列を構成する文字の属性を変更することによって、文字列を強調するとともに、文字列が読みにくくなることを防ぐことができる。したがって文字列を視認者に確実に読ませることができる。このように文字列を効果的に表示することができる。
図13は、表示処理の他の例を説明するための図である。図13(1)は文字のサイズを変更する例を示し、図13(2)は文字の濃度を変更する例を示し、図13(3)は文字の線幅を変更する例を示す。図13(1)〜図13(3)において、上段は属性を変更していない例を示し、下段は属性を変更した例を示す。前述の表示処理では、文字列を構成する各文字の属性を同一の変更率で変更するのに対し、図13に示す表示処理では、文字列を構成する各文字の属性を、文字列における文字の位置に応じて、異なる変更率で変更する。
このような表示処理は、表示位置の移動方向M1が、文字列を構成する各文字の並ぶ方向M2に対して、大略的に逆方向となる場合に、好適である。このような場合としては、以下の2つの場合が挙げられる。第1の場合は、文字列を構成する各文字が左から右に並べられ、しかも文字列の表示位置が大略的に右から左に移動する場合である。第2の場合は、文字列を構成する各文字が上から下に並べられ、しかも文字列の表示位置が大略的に下から上に移動する場合である。なお、文字列の表示位置を下から上へ移動させる第2の場合は、文字列の表示位置を右から左へ移動させる第1の場合に比べて、文字サイズ、濃度および線幅の各変更率の変更適用率の変化による表示状態はほぼ同一であるため、図13には前記第1の場合だけを示す。
図13(1)に示す例では、先頭に近い左側の文字ほど、サイズ変更率の変更適用率を高くする。これによって先頭に近い左側の文字ほど、サイズが大きくなる。図13(2)に示す例では、先頭に近い左側の文字ほど、濃度変更率の変更適用率を高くする。これによって先頭に近い左側の文字ほど、文字の濃度と背景の濃度との差が大きくなる。図13(3)に示す例では、先頭に近い左側の文字ほど、線幅変更率の変更適用率を高くする。これによって先頭に近い左側の文字ほど、太くなる。このような各例では、先頭に近い左側の文字ほど強調され、これによって視認者には、文字列を先頭側から円滑に読ませることができる。
図14は、文字列における文字の位置と変更適用率との関係を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は文字列における文字の位置を示し、縦軸は変更適用率を示す。変更適用率は、属性の変更率を適用する割合を表す。たとえば、移動速度の大きさに関連する量に基づく属性の変更率が120%で変更適用率が50%であれば、属性の変更率は、(変更率−100%)×変更適用率によって求められるため、(120%−100%)×50%=110%になる。
図14に示す例では、先頭の左端の文字に対しては変更適用率を100%とし、末尾に近い右側の文字ほど変更適用率を低くし、末尾の右端の文字に対しては変更適用率を0%とする。先頭の左端の文字に対しては、変更適用率が100%であるので、属性の変更率をそのまま適用することになる。末尾の右端の文字に対しては、変更適用率が0%であるので、属性の変更率を適用せず、属性を変更しないことになる。
図15は、表示処理のさらに他の例を説明するための図である。図15には、各時刻における文字列を示す。前述の表示処理では、文字列を構成する各文字の属性を同一の時刻に変更するけれども、図15に示す表示処理では、文字列を構成する各文字の属性を、文字列における文字の位置に応じて、異なる時刻に変更する。
このような表示処理は、前記図13に示す表示処理と同様、表示位置の移動方向M1が、文字列を構成する各文字の並ぶ方向M2に対して、大略的に逆方向となる場合に、好適である。図15には、前記第1の場合において、文字列のサイズを変更する例を示す。
図15に示す表示処理では、先頭に近い左側の文字から順次に文字のサイズを変更する。したがって先頭に近い文字から順次に強調することができ、これによって視認者には、文字列を先頭側から円滑に読ませることができる。
図16は、文字列における文字の位置と時間差との関係の一例を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は文字列における文字の位置を示し、縦軸は時間差を示す。時間差は、表示位置の移動を開始する時刻から文字の属性を変更する時刻までの時間差を表す。図16に示す例では、先頭の左端の文字に対しては時間差を第1の値t1とし、末尾に近い右側の文字ほど、時間差を大きくし、末尾の右端の文字に対しては時間差を第2の値tnとする。本実施の形態では、文字列における文字の位置と時間差との関係は比例関係であるが、本発明の他の実施形態では、任意の軌跡を表す関係も採り得る。
図15を再び参照して、表示位置の移動を開始する時刻T(0)では、文字列を構成する全ての文字は、基本サイズとする。時刻T(0)から第1の値t1だけ時間が経過した次の時刻T(1)では、先頭の左端の文字についてサイズを変更する。この後、時刻T(2)、時刻T(3)…と時間が経過するにつれて、先頭に近い文字から順次にサイズを変更していく。
前記図12に示す表示処理では、表示位置が終点P2に到達すると、表示処理を終了するけれども、図15に示す表示処理では、表示位置が終点P2に到達した後も、次のような処理を続ける。時刻T(n)で、表示位置が終点P2に到達すると、時刻T(n)から第1の値t1だけ時間が経過した次の時刻T(n+1)では、先頭の左端の文字についてサイズを元に戻す。この後、時刻T(n+2)、時刻T(n+3)…と時間が経過するにつれて、先頭に近い文字から順次にサイズを元に戻していく。時刻T(N)で、末尾の右端の文字についてサイズを元に戻すと、表示処理を終了する。
図15に示す表示処理では、文字のサイズを変更する例について説明したけれども、文字の濃度を変更する例および文字の線幅を変更する例についても、同様に実行することができ、同様の効果を達成することができる。
図17は、文字列の表示例を示す図である。表示処理では、表示位置を、始点および終点で静止するようにしてもよい。換言すれば、表示位置を始点から移動させる前に、表示位置を始点にして文字列を継続的に表示し、かつ、表示位置を終点まで移動させた後に、表示位置を終点にして文字列を継続的に表示してもよい。この場合、視認者は、仮に移動中の文字列を読み損ねても、その文字列が始点または終点に位置するときに、その文字列に意図的に注目して、その文字列を確実に読むことができる。
このような表示処理は、たとえば、図17に示すように、複数の文字列61を一覧に表示し、これらの文字列61のいずれかを選択的に移動させる場合に、好適である。文字列61を一覧に表示しているときは、文字列61を構成する文字の属性は基本属性であるので、文字列の一覧性を高くすることができる。
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。表示装置1は、画面を表示する表示部41を有する機器であればよい。具体的には、表示装置1は、任意のタイプのパーソナルコンピュータによって実現されてもよい。また表示装置1は、デジタルテレビジョン装置、携帯情報端末装置、PHS( Personal Handyphone System)を含む携帯電話機、固定電話機、ファクシミリ装置、携帯型のゲーム機などによって実現されてもよい。表示部41は、電子ペーパのような表示媒体であってもよい。
前述の実施の形態では、移動速度の縦横成分の比率に応じて文字サイズの縦横比を変更する構成について述べたが、本発明の実施のさらに他の形態では、移動速度の大きさに応じて縦横の文字サイズを同様に変更するようにしてもよい。
また前述の実施の形態では、移動速度の大きさが大きいほど文字の線幅を大きくするように構成されたが、本発明の実施のさらに他の形態では、文字の線幅を移動速度の縦横成分毎に個別に変化させるようにしてもよい。このような文字の線幅に対する縦横成分毎の個別の制御は、たとえばゴシック体であれば縦横成分毎に同様に線幅を変更させ、明朝体であれば線幅の縦成分を横成分に比べて大きく変化するように、線幅の変更を縦横成分毎に個別に行うようにしてもよい。
このように文字列の表示位置7の移動速度の横方向の成分が大きいほど、文字率を構成する各文字の縦方向の線の幅を大きくし、前記移動方向の縦方向の成分が大きいほど、各文字列を構成する各文字の横方向の線の幅を大きくして、各文字の線幅を縦横の速度成分毎に個別に変更するので、文字列の表示位置の移動速度の大きさおよび方向に応じて各文字の線幅が変化し、違和感の少ない明瞭な流動表示を実現して、視認性の向上を図ることができる。
補助記憶部45は、プログラム48およびデータ49を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。このような記録媒体としては、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MD(Mini Disc)、MO(Magneto Optical disc)、IC(Integrated Circuit)カード、光カードなどが挙げられる。
プログラム48およびデータ49は、必ずしも補助記憶部45に格納される必要はない。プログラム48およびデータ49は、主記憶部44に格納されてもよい。図示していないROM(Read Only Memory)に格納されてもよい。ROMとしては、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electronic Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROMなどが挙げられる。ROM方式では、複数のROMにそれぞれ異なるプログラム48およびデータ49を格納しておくことによって、ROMを交換するだけで色々な表示処理を容易に実現することができる。このようなROM方式は、携帯情報端末装置、携帯電話機などに好適である。さらにプログラム48およびデータ49は、通信ネットワークを介して表示装置1に接続される外部装置に記憶されていてもよい。