JP5111353B2 - 無線通信方法、無線通信システム及び無線基地局 - Google Patents

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MIMO(Multiple Input Multiple Output)、MISO(Multiple Input Single Output)等の複数の送信アンテナを用いて無線通信を行う無線通信方法、無線通信システム及び無線基地局に関する。
マルチユーザMIMOシステムまたはマルチユーザMISOシステムでは、複数のアンテナを持つ基地局から複数または単一アンテナを持つ複数の端末局(以下、ユーザと称する。)に対して、同時に同一周波数を用いて複数の異なる信号を多重送信する空間分割多重技術が用いられている。この空間多重された信号を受信側で分離する際に、希望信号を干渉信号や雑音から効率的に分離して受信特性を改善するため、送受信間のチャネルの状態に応じて予め送信される変調信号に対して線形処理を行うプリコーディング技術が提案されている。
マルチユーザMIMOダウンリンクにおける線形プリコーディングは、主に3つの方法に分類できる。一つは、希望信号の電力の最大伝送を行なう方法である(TxMFと表現する。Txは送信、MFはマッチドフィルタを意味している)。二つ目は、干渉信号を最小にする方法であり、ZF(Zero Forcing)規範(TxZFと表現する。)である。三つ目は、前記二つの方法の中間の方法であり、平均自乗誤差を最小化するMMSE(Minimum Mean Square Error)規範(TxWFと表現する。WFはウィナーフィルタを意味している。)である。SNR(Signal to Noise Ratio)が小さいときは、雑音が大きいため、干渉信号が多少大きくなっても希望信号を大きくすることが得策なので、TxMFがTxZFより良い特性を示す。一方、SNRが大きくなると、雑音が小さくなるため、雑音よりも干渉が支配的になり、TxZFにより干渉を存在しなくする方がTxMFより良い特性を示す。
しかし、TxMFもTxZFも、共にトレードオフの関係に有り、干渉と雑音のバランスが偏っている。一方、TxWFはMSE(最小二乗誤差)を最小化する方法であり、雑音と干渉のバランスを最適にする方法であるので、全てのSNR領域において優れた特性を示す。マルチユーザMIMOダウンリンクにおけるZF規範(TxZF)の代表方法は、BD(Block Diagonalization)法(非特許文献1)である。一方、TxWF(MMSE規範)の良く知られた方法としては、SMMSE(Successive MMSE)法(非特許文献2)がある。
他方、マルチユーザMISOのダウンリンクのプリコーディングの代表的な方法としては、RCI(Regularized Channel Inversion)法が知られている(非特許文献3)。RCI法では、各ユーザにおけるSINR(Single to Interference and Noise Ratio;信号対干渉雑音比)を最大化するようにチャネルの正規化パラメータが決定され、これを用いて線形プリコーディング処理で利用される送信ウエイトが決定される。
V. Stankovic and M. Haardt, "Multi-User MIMO Downlink Precoding for users with multiple antennas," in Proceedings of the 12th meeting of the Wireless World Research Forum (WWRF), Toronto, ON, Canada, Nov. 2004. Q. H. Spencer, A. L. Swindlehurst, and M. Haardt, "Zeroforcing methods for downlink spatial multiplexing in Multiuser MIMO channels," IEEE Transactions on Signal Processing, vol. 52, no. 2, pp. 461-471, February 2004. Christian B. Peel, "A Vector-Perturbation Technique for Near-Capacity Multiantenna Multiuser Communication-Part I:Channel Inversion and Regularization," IEEE Trans. Vol. 53, No 1,January 2005.
上記のTxMF、TxZF、TxWFの線形プリコーディングは、それぞれ、希望信号の最大伝送、干渉信号の完全除去、MSE(あるいはSINR)の最小化規範であり、BER(Bit Error Rate)を直接、最適化(最小化)する規範ではない。
上述したように、TxMF、TxZF、TxWFの中では、逐次的に最適解を計算するTxWF規範(MMSE法)によって比較的良好なBER特性を得ることはできる。しかし、TxWF規範には、演算量が膨大になるという課題がある。全てのストリームの状態を考慮に入れて総当り的に最適解を見つけようとすると、変調方法としてBPSK(Binary Phase Shift Keying)が用いられる場合であっても、例えば総ストリーム数が10のときは、総当り数が2の十乗となり、1024の総当り数が必要である。さらに、瞬時瞬時のチャネル行列とストリームの乗算を求める必要があるため、乗算の数は1024×100=102400となり、現実には実装することがほぼ不可能である。
また、RCI法では少ない演算量で良好な特性を得ることができるが、希望信号と干渉信号のコンスタレーション距離が近い場合にはBERが悪化するという課題がある。ここでコンスタレーション(constellation)とは、信号点配置を意味し、信号点の振幅と位相の状態をIQ平面上に表したものである。IQ平面は、同相成分(=I;In-phase)を横軸、直交成分(=Q;Quadrature-Phase)を縦軸とする平面であり、コンスタレーション距離はこのIQ平面上における信号点間距離を意味する。
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、上記の手法に比べて、少ない演算量で、希望信号と干渉信号のコンスタレーション距離が近い場合などにおいても良好なBER特性を得ることができる線形プリコーディングを実現する無線通信方法、無線通信システム及び無線基地局を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、複数のアンテナを具備する基地局と、複数の端末局とが同時に同一周波数で通信を行う無線通信方法であって、前記基地局で行われるものであって、前記各端末局に送信する変調信号に対する線形プリコーディングで用いる送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出過程と、前記端末局における干渉信号の位相を回転させ、当該端末局のコンスタレーションの向きを、当該端末局に対して支配的な干渉ストリームである他の前記端末局のコンスタレーションの向きに合わせるように前記送信ウエイト算出過程で算出された送信ウエイトを修正する送信ウエイト修正過程と、前記送信ウエイト修正過程で修正された送信ウエイトを用いて、送信する変調信号に対して線形プリコーディングを行う線形プリコーディング過程とを含むことを特徴とする無線通信方法である。
ここで、複数の端末局は、複数のアンテナを具備するものであってもよいし、1つのアンテナを具備するものであってもよい。
請求項2記載の発明は、前記送信ウエイト算出過程で、前記端末局における信号対干渉雑音比を最大化するように前記送信ウエイトが算出されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記送信ウエイト算出過程で、マッチドフィルタ又はウィナーフィルタを用いて前記送信ウエイトが算出されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記送信ウエイト算出過程で、SMMSEを用いて前記送信ウエイトが算出されることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記送信ウエイト修正過程で、送信信号の変調方式に応じて複数種類の異なる条件のいずれかを満たすようにして前記端末局における干渉信号の位相を回転させるように前記送信ウエイト算出過程で算出された送信ウエイトを修正することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記送信ウエイト修正過程で、干渉を及ぼす相互関係に従って対象となる前記端末局を順次選択しながら、前記端末局における干渉信号の位相を連鎖的に回転させるように前記送信ウエイト算出過程で算出された送信ウエイトを修正することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記送信ウエイト修正過程で、前記各端末局における希望信号と前記干渉信号との比が小さい順に対象となる前記端末局を選択することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、前記端末局における希望信号に対する前記干渉信号の影響度が所定の条件を満たす小さなものである場合に、前記変調信号の変調方式がより大きな多値数を有する多値変調に変更されることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、複数のアンテナを具備する基地局と、複数の端末局とが同時に同一周波数で通信を行う無線通信システムであって、前記基地局に、前記各端末局に送信する変調信号に対する線形プリコーディングで用いる送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出手段と、前記端末局における干渉信号の位相を回転させ、当該端末局のコンスタレーションの向きを、当該端末局に対して支配的な干渉ストリームである他の前記端末局のコンスタレーションの向きに合わせるように前記送信ウエイト算出手段で算出された送信ウエイトを修正する送信ウエイト修正手段と、前記送信ウエイト修正手段で修正された送信ウエイトを用いて、送信する変調信号に対して線形プリコーディングを行う線形プリコーディング手段とを備えることを特徴とする無線通信システムである。
請求項10記載の発明は、複数のアンテナを具備し、複数の端末局との間で同時に同一周波数で通信を行う基地局であって、前記各端末局に送信する変調信号に対する線形プリコーディングで用いる送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出手段と、前記端末局における干渉信号の位相を回転させ、当該端末局のコンスタレーションの向きを、当該端末局に対して支配的な干渉ストリームである他の前記端末局のコンスタレーションの向きに合わせるように前記送信ウエイト算出手段で算出された送信ウエイトを修正する送信ウエイト修正手段と、前記送信ウエイト修正手段で修正された送信ウエイトを用いて、送信する変調信号に対して線形プリコーディングを行う線形プリコーディング手段とを備えることを特徴とする無線基地局である。
従来のRCI・SMMSE法の線形プリコーディングあるいは送信ビーム形成法では、SINRの絶対値を最大化するだけであったが、本発明によれば、希望信号に対する支配的干渉信号の位相回転を行なうことによって最小信号点間距離を最大化することが可能となり、演算量を増やすことなく、BER特性を改善できる。
以下、図面を参照して本発明による無線通信方法の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、マルチユーザMISOとマルチユーザMIMOの二つの場合に分類して説明を行う。
最初にマルチユーザMISOについて記述する。ここではまず、模式図などを用いた本発明の実施の形態に関する定性的な説明を行い、次に本発明で採用した処理内容についての詳細な説明を行う。上述したように、マルチユーザMISOのダウンリンクのプリコーディングあるいは送信ビームフォーミング(Beam Forming(BF))の代表的な方法として、RCI法が存在する。RCIはSINRを最大化する規範で働くプリコーディング(あるいは送信ビーム形成法)である。RCIは、SINRの絶対値を基準として最適化されているものの、信号点間距離の観点では最適化されていない。本実施の形態は、このRCI規範を用い、RCI規範で求められた線形プリコーディングで利用される送信ウエイトを修正することを特徴とするものであるが、ここで、システムモデルと、RCIの送信ウエイトについて説明する(非特許文献3参照)。
受信信号yは、以下の式で表される。下記の式でHはチャネル行列、xは送信ウエイトが乗算されたあとの送信信号、nは雑音成分を表している。Hの各要素は、分散が1の複素正規分布である。xは、||x||2=1と正規化されている。また、E[nnH]=σ2である。ここで、|| ||はノルムを、Hはエルミート共役(複素共役転置)を、E[ ]は期待値を、σ2は雑音の分散を表している。
Figure 0005111353
RCI法の送信ウエイトの式を以下に示す。ここで、Kはユーザ数、Iは単位行列、ρ=1/σ2と表記する。ρは“正規化されたアンテナ素子ごとのSNR(normalized SNR per antenna)”と定義する。
Figure 0005111353
上述したように、マルチユーザMISOのプリコーディングの従来技術であるRCIは、簡単な演算量で実装可能である。RCIは、SINRを最大にする規範で動作しており、信号点間距離については考慮していない。そのため、SINRは大きくても、干渉信号の重畳によって信号点間の距離が近い場合、BERが劣化する。
これに対して、本実施形態では、RCIを行なった後、各ユーザの受ける干渉信号を考慮に入れて、希望信号と干渉信号との間の信号点間距離を最大化するように送信ウエイトを修正することにより、BER特性を改善することを特徴とする。ここで、信号点間距離は、上述したように、コンスタレーション距離を意味し、IQ平面上での信号点間の距離である。ところでIQ平面上でのコンスタレーション(信号点配置)は変調方式によって異なった形態で表現される。例えばBPSKでは1シンボルが2つの状態をとり、コンスタレーションはI軸上の2信号点で表される。また、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)では1シンボルが4つの状態をとり、コンスタレーションはI軸及びQ軸上の4信号点で表される。また、16QAM(Quadrature amplitude modulation)では1シンボルが16の状態をとり、コンスタレーションはIQ平面の各象限に各4個、合計16個の信号点で表される。このように、各信号点の配置は変調方式によって異なる
本実施の形態では、希望信号と干渉信号との間の信号点間距離を最大化処理を、IQ平面上でのコンスタレーションの形態に着目して簡単化して行うようにしている。具体的には、1シンボルが2値をとる変調方式と、4値以上をとる変調方式との間でコンスタレーションの形態が大きく異なることに基づき、2つに分類した変調方式に応じて2種類の最大化処理を行うようにしている。1つ目は処理としては、1シンボルで2値をとる変調方式に対するものである。この変調方式では、コンスタレーションが1直線上に並ぶ2信号点から表現されることから、希望信号の2信号点が並ぶ直線(例えばI軸)と干渉信号の2信号点が並ぶ直線との関係を、直交関係となるようにすることで(干渉信号の2信号点が並ぶ直線をQ軸に一致させることで)、信号点間距離を最大化することとしている。また、2つ目は処理としては、1シンボルで4値以上をとる変調方式に対するものである。この変調方式では、希望信号と干渉信号の複数の信号点の外形を表す正方形の向きが同相(同じ向き)となるようにすることで、すなわち希望信号を表すIQ平面の各軸と干渉信号を表すIQ平面の各軸とが同相(同じ向き)となるようにすることで、信号点間距離を最大化することとしている。次に、具体的な変調方式とコンスタレーションを例に挙げて、希望信号と干渉信号との間の信号点間距離を最大化処理について説明する。
本実施の形態では、線形プリコーディングとしてRCI法を用いるものである。このRCI法は、SINRの絶対値を大きくするように働くアルゴリズムであり、信号点間距離は考慮していない。RCIの解は複数存在するので、最適な解を選べば良いのではあるが、選択方法の計算量が多いと考えられる。本実施形態では、RCIのプリコーディングウエイト(あるいは送信BFウエイト)、すなわちる線形プリコーディングで用いる送信ウエイトを修正して、信号点間距離を大きくしようとすることを特徴とする。その際のSINR値の変化は極微小である。
各ユーザのコンスタレーションは希望ストリーム(希望信号)と複数の干渉ストリーム(干渉信号)が重畳したものとなっている。図1に、3ユーザ・シングル受信アンテナ・QPSKの時の、あるユーザのコンスタレーションを示す。希望ストリームが実線の正方形で表されており、破線・鎖線の正方形が他の2ユーザからの干渉ストリームを表している。破線の正方形が、支配的な干渉ストリーム、すなわち希望ストリームに対して干渉を及ぼす影響の大きい干渉ストリームであるが、実線の正方形と破線の正方形の向きがお互いにずれているので、最小信号点間距離(ここでは最小信号点間距離を、希望ストリームのコンスタレーションを表すIQ平面のI軸と干渉信号との間の最小距離としている。)は短い。そこで、本実施形態では、破線で示すユーザの対応する送信ウエイトを修正して、破線で示すユーザの正方形の向きを実線で示すユーザの正方形の向きと一致させることにより、最小信号点間距離を大きくしてシンボルが誤る確率を低減させようとする。図2が修正された後のコンスタレーションを示している。修正前に比べ修正後の最小信号点間距離が伸長されていることが分かる。
次に図3に2ユーザ・シングル受信アンテナ・BPSKの時のコンスタレーションを示す。希望ストリーム(実線のコンスタレーション)と干渉ストリーム(破線のコンスタレーション)が、IQ平面の一直線上に重なっている。そのため最小信号点間距離(ここでは最小信号点間距離を、希望ストリームのコンスタレーションを表すIQ平面のQ軸と干渉信号との間の最小距離の2倍としている。)が短い。一方、図4は、図3の干渉ストリームを90度回転させた場合のコンスタレーションを示している。最小信号点間距離が大きくなっている。そのためBER特性は、改善する。
次に、上記の概念を用いて、3ユーザ・シングル受信アンテナ・QPSKの場合に、3ユーザをどのように準最適化していくのかについて図5〜図7を用いて説明する。図5が初期状態の各ユーザ(ユーザ1〜3)のコンスタレーションを模式的に示したものであり、各図においてユーザ1のコンスタレーションを実線で、ユーザ2のコンスタレーションを破線で、ユーザ3のコンスタレーションを鎖線で示している。図6が手順1でユーザ1の送信ウエイトを修正した後の各ユーザのコンスタレーションを模式的に示したものであり、図7が手順2でユーザ2の送信ウエイトを修正した後の各ユーザのコンスタレーションを模式的に示したものである。なお、各図には各ユーザを表す端末局TMと基地局APとを模式的に示している。
まず、図5が各ユーザの初期コンスタレーションを表している。初期状態で用いる送信ウエイトは、RCI規範で求めた送信ウエイトである。実線で示すユーザ1における支配的干渉ストリームは破線で示すユーザ2からの干渉なので、実線で示すストリームに対応する送信ウエイトを修正し、実線で示すストリームを回転させて破線で示すユーザ2のコンスタレーションに向きを合わせる。このことを表しているのが図6である。
次に図7に示されているように、破線で示すユーザ2の支配的干渉ユーザは鎖線で示すユーザ3なので、破線で示すユーザ2の送信ウエイトを修正させて破線で示すストリームを回転させて、鎖線で示すユーザ3のコンスタレーションと合わせる。最後に鎖線で示すユーザ3の修正もしたいところであるが、鎖線で示すストリームを回転させると、破線で示すユーザ2が最適でなくなってしまうため、鎖線で示すユーザ3の修正はしない。別の言い方をすると、チェーンのように順次準最適化をするのであるが、そのチェーンがループを作ることは無い。
チェーンの作り方と、送信ウエイトの修正について、一つの実現方法を具体的に述べる。まず、各ユーザの干渉波と希望信号の比を表した“個々のSIR(individual SIR(Signal1 to Interference Ratio))”の昇順でオーダーリングする。“影響力の強さ”が大きいユーザに合わせて、影響を受ける自ユーザのコンスタレーションを回転させる。もし、影響を受ける自ユーザを回転させる必要が生じた場合、自ユーザが影響を及ぼすユーザも回転させる(波及操作)。波及操作が存在するので、複雑なトポロジーを構築することが可能であり、最適化するユーザ数を増やすことが出来る。もし、自ユーザが影響を及ぼすユーザを連鎖的に繋げてチェーンを作った場合にループが出来たときは、チェーンを作ることを中止する。また、本実施形態では、自ユーザに影響を及ぼすユーザとして最も強い影響を及ぼすユーザ、すなわち第一候補のみを選択するようにしている。
すなわち、本実施形態では、干渉を及ぼす相互関係に従って対象となるユーザを順次選択しながら、ユーザにおける干渉信号の位相を連鎖的に回転させるようにRCI法で算出された送信ウエイトが修正されるようになっている。その際、後述するようにして、各ユーザにおける希望信号と干渉信号との比が小さい順に対象となるユーザが選択される。
次に、チェーンの作り方を、もう少し詳細に説明する。図8は、各ユーザに影響を及ぼすユーザの対応関係を表す対応表の一例を示す。この表において「○」は影響を及ぼすユーザを表している。各行に自ユーザの識別子(この例では番号)をSIR(つまり希望信号電力対一番支配的な干渉ストリーム電力比)の昇順に並べ、各列に各行と同じユーザの識別子を対応させ、自ユーザ(各行)に対して一番干渉の強い干渉ユーザの位置する列にあるセルに「○」を示している。SIRが最も大きいユーザがユーザ10であり、最も小さいユーザがユーザ1であり、また、例えばユーザ1に一番強い干渉を及ぼすユーザがユーザ5であり、ユーザ2に一番強い干渉を及ぼすユーザがユーザ6であり、…、ユーザ9に一番強い干渉を及ぼすユーザがユーザ2であり、ユーザ10に一番強い干渉を及ぼすユーザがユーザ7となっている。
図9は、当該ユーザが影響を及ぼす、もしくは、影響を受けるユーザ群を求める方法を表している。ユーザ群を求める際に二つの操作が必要となる。一つは“バックワード操作”であり、他方は“フォワード操作”である。“バックワード操作”は、矢印で示すように図の左から右に○印を探し、○印のユーザを選択する操作である。この操作により選択されたユーザは、当該ユーザに影響を及ぼすユーザである。一方、“フォワード操作”は、破線の矢印で示す当該ユーザが影響を及ぼすユーザ群を求める操作である。当該ユーザが影響を及ぼすユーザ群は、当該ユーザを上から下に○印を探索し、○印が見つかったユーザを選択するのである。この例では、“個々のSIR”の昇順でオーダーリングされた9番目のユーザが影響を受けるユーザ2を“バックワード操作”により選択し、“フォワード操作”により、9番目のユーザが影響を及ぼすユーザ6と8を選択する。
次にユーザ6とユーザ8に関して、同様にスキャンして、9番目のユーザがユーザ6及びユーザ8を介して影響を及ぼすユーザ群を求める。もし、9番目のユーザが選択されてしまったら、ループが出来たことになるので、9番目に影響を及ぼすユーザは無いものとして、以降の処理を続ける。
図10は、その結果を示している。ここで、図10に示す処理結果は、波及操作を行う場合にはループを作らないようにするとともに、第一候補のみを選択するようにした処理の結果を示している。図10の表では、いずれかのユーザ群に割り当てられたユーザの識別子を○印で囲んで示している。ここでは、ユーザ5がユーザ1とユーザ4に影響を及ぼすユーザであり、ユーザ6がユーザ2とユーザ3に影響を及ぼすユーザであり、ユーザ8がユーザ5に影響を及ぼすユーザであり、ユーザ9がユーザ6とユーザ8に影響を及ぼすユーザであり、ユーザ10がユーザ7に影響を及ぼすユーザであるとして各自ユーザに対応するユーザ群に割り当てられている。ただし、×印で示したユーザは、ループができた場合を示すものである。この場合、干渉ユーザ2は、ユーザ6を介してユーザ9に対して干渉を及ぼす干渉ユーザとなっているので、自ユーザ9に影響を及ぼす干渉ユーザのユーザ群に割り当て不可能な干渉ユーザとなっている。また、干渉ユーザ7は、自ユーザ10から干渉を及ぼされる干渉ユーザとなっているので、自ユーザ10に影響を及ぼす干渉ユーザのユーザ群に割り当て不可能な干渉ユーザとなっている。
図11は、図10に示す結果として得られたチェーントポロジをグラフ(グラフ理論によるグラフ構造)で表している。各ユーザを各ユーザの識別子(数字)を添えた○印(頂点あるいはノード)で示し、各ユーザ間の干渉関係を矢印(エッジ)で示している。このグラフでは、矢印(エッジ)の向きが干渉を及ぼす向きに対応している。また、自ユーザに対する干渉ユーザを1つのみ選択するようにしているので、1つのエッジから複数の矢印が延びる場合は存在するが、1つのエッジに対して複数の矢印が向かう場合は存在しないようになっている。
図12は、BPSK、10ユーザ、10送信アンテナのときの、従来方式の送信ビーム形成法であるCI(Channel Inversion)・RCIと本発明によるBER特性を示している。横軸は先に定義したρ(“正規化されたアンテナ素子ごとのSNR(normalized SNR per antenna)”)であり、縦軸はBERである。この図から分かるように、BER=10-4において5dBのSNRのゲインが得られていることが分かる。また、図13は、BPSK、4ユーザ、4送信アンテナのときの、従来方式の送信ビーム形成法であるCI・RCIと本発明によるBER特性を示している。図12と同じく横軸は先に定義したρであり、縦軸はBERである。この図から分かるように、BER=10-3において5dBのSNRのゲインが得られていることが分かる。
以上の記述は、定性的な模式図を用いた説明であったが、以下では、式を用いて詳細に説明する。マルチユーザMISOのダウンリンクモデルは、図17に示すような、M本の送信アンテナANT1を有する1つの基地局APと、一本の受信アンテナANT2を有するKユーザ(端末局TM)から構成される(M、Kは自然数)。また、図17の基地局APの構成図を図18に、処理フローを図16に示す。
図18は、図17に示す基地局APの構成の一例を示すブロック図である。図18の基地局APは、4本の送受信アンテナANT1を備えている。基地局APは、情報源11と、変調部12と、4個のスイッチ13と、4個の乗算器14と、4個のスイッチ15と、チャネル推定部16と、ウエイト生成部17と、回転行列生成部18とを備えて構成されている。基地局APは、送信時には、図示していない外部の装置から入力された信号などに基づき、情報源11で生成した4系統の信号に基づいて変調部12で変調信号を生成する。次に、4個のスイッチ13を閉じ、変調部12から出力された変調信号に対して、乗算器14によって、ウエイト生成部17で生成された送信ウエイトを乗算する(すなわち線形処理する)ことで、プリコーディングが行われる。そして、プリコーディング処理がなされた変調信号が、アンテナANT1から送信される。
他方、受信時には、4個のスイッチ15が閉じられて、アンテナANT1で受信された信号がチャネル推定部16へ入力される。チャネル推定部16は、受信信号に基づいてチャネル行列を推定してウエイト生成部17と回転行列生成部18へチャネル行列ほかの情報を出力する。回転行列生成部18は、受信信号のコンスタレーションなどから変調方式に応じてRCI法による送信ウエイトを修正するための回転行列を生成する。ウエイト生成部17は、RCI法に基づいて線形プリコーディングで用いられる送信ウエイトを生成するとともに、回転行列生成部18から入力された回転行列を用いて生成した送信ウエイトを修正する。この修正された送信ウエイトが乗算器14へと出力される。
上記の構成において、変調部12は例えば複数のサブキャリアを用いたOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)方式による変調信号を生成するが、各サブキャリアに対しては例えば送受信間のチャネルの状態に対応させて4本の送信ストリーム毎に変調方式を複数種類に切り替えながら変調処理が行われる。複数種類の変調方式としては、例えばBPSK、QPSK、16QAM、64QAMなどを用いることができる。
本実施形態では、最もプリコーディングのアルゴリズムの影響を受け易いK=Mの場合を考慮する。受信信号yは、y=HWs+nと表される。ここで、Hはチャネル行列、Wは送信ウエイト、sは希望信号、nは雑音信号ベクトルを表している。Hの各要素は、平均=0、分散=1の複素正規分布である。瞬間の送信電力を一定にするために、||Ws||=1と正規化される。そしてE||nnH||2=σ2Iである。送信電力対雑音電力(PT/N)はρ=1/σ2となる。上述したとおり、従来のRCI法の送信ウエイトは以下の式で示される。
Figure 0005111353
RCIの送信ウエイトを決める基準は、全チャネルに亘って平均化されたSINRを最大化することである。RCIはSINRの点では最適化されているが、信号点間距離は考慮されていない。式(1)は、平均SINRを最大化する一つの解であり、他の解の中に最小信号点間距離を最大化される送信ウエイトが存在する。しかし、最小信号点間距離を最大化する送信ウエイトを求めるためには、計算量が大きくなるという欠点がある。一方、本実施形態ではRCIと同等の計算量でRCIより特性の良い最小信号点間距離を最大化する送信ウエイトを求めることができる。本実施形態では、RCIでSINRを最大化する送信ウエイトを求めた後に回転対角行列Rを用いて送信ウエイトを修正して、最小信号点間距離を最大化するように干渉信号のコンスタレーションの位相を回転させる。式で表現すると、以下の式となる。ここで、WRCIは式(1)で得られるRCIの送信ウエイト、WRCI-PRが修正された送信ウエイトである。
Figure 0005111353
この時、受信信号rと復号ストリーム信号s^は以下の式で表される。
Figure 0005111353
本実施形態における送信ウエイトの修正処理の基本原理を、図14、図15を用いて説明する。図14は、RCI法を適用した後のユーザのコンスタレーションを示している。図15は、さらに本実施形態が特徴とする修正処理によって、図14のコンスタレーションを回転させた状態を示している。ここで、変調方式としてBPSKを用い、K=3の場合を図示している。図14および図15において、実線が希望信号、破線と鎖線が干渉信号である。
本実施形態では、図15のように、“支配的”なユーザのコンスタレーションを回転させるように送信ウエイトを修正することを特徴とする。本実施形態を用いると、最小信号点間距離、すなわち例えば希望信号点と判定座標軸(例えば希望信号がI軸上で動く場合のQ軸)との最小距離はRCI法に比べて大きくなる。そのため、誤り率特性が改善されることが期待できる。BPSKの場合には、送信ウエイトを制御して希望信号に直交するように“支配的”干渉ユーザの干渉信号を回転させると良い。
以下に、全体のアルゴリズムを詳述する。まず無向グラフG:=(g,V,E)を定義する。ここで、Vはグラフの頂点集合(ユーザに対応)、Eはエッジ集合(“支配的”干渉関係に対応)を表しており、gはエッジ集合Eの元に頂点集合Vの二つの元を対応させる関数を表している。最初の状態では、Eは空集合である。最初に、各ユーザは、“一番支配的”な干渉電力成分の希望信号電力に対する比が大きい順にソートされて、オーダーリングされ、本オーダーに従い以下の過程が実行される。
最初に希望ユーザiに対する干渉の相対値比が一番大きい“一番支配的”な干渉ユーザpとして、(i,p)をEの元e1とする。そして、干渉ユーザpを集合G(i)の一要素に含める。pがe1を除くEの元を構成するVの二つの元の一方である場合、他方のVの元を集合G(i)に含める。そして、集合G(i)の元を構成要素とする別のEの元が存在すれば、Eの他方の構成要素を集合G(i)に加える。もし、G(i)にiが含まれるならば、G(i)を空集合に設定する。付け加えるべき要素が無い場合は、終了し、Gの要素ユーザに対して、以下の回転行列の更新式を実行する。
Figure 0005111353
ここで、図16を参照して、上記の基本原理に基づく図17及び図18に示す基地局APにおける具体的な処理の流れの一例を説明する。まず、基地局APは、端末局TMとの間のチャネルの伝達関数を取得し、RCI法を適用して送信ウェイトを決定する(S101)。すなわち、各ユーザに送信する変調信号に対する線形プリコーディングで用いる送信ウエイトが、ユーザにおけるSINR(信号対干渉雑音比)を最大化するように送信ウエイトが算出される。次に、無向グラフの点から1つの点を選択してユーザ1とする(S102)。次に、ユーザ1に最も干渉を与えるユーザをユーザ2として選択し集合Gに含める(S103)。ここで、ユーザ2が既に無向エッジの要素となっているか、否かを判定し、要素となっていたならユーザ2以外の当該エッジの別の要素を集合Gに含める(S104)。
次に、変調方式が4値以上のQAMかどうかを判定する(S105)。ここで、変調方式が4値以上のQAMであった場合(S105で「Y」の場合)、干渉信号の信号点配置が、希望信号の信号点配置と同相となるようにGの要素である全ユーザの送信ウェイトを制御する(S106)。
他方、変調方式が4値以上のQAMでなかった場合(S105で「N」の場合)、干渉信号の信号点配置が、希望信号の信号点配置と直交するように集合Gの要素である全ユーザの送信ウェイトを制御する(S107)。次に、ユーザ1とユーザ2のエッジを登録する(S108)。すなわち、ステップS106またはS107では、ユーザにおける干渉信号の位相を回転させるようにステップS101で算出された送信ウエイトを修正する処理が行われる。すなわち、ステップS106では、ステップS105での変調方式に関する判定結果に応じて(つまり送信信号の変調方式に応じて)、干渉信号の信号点配置が、希望信号の信号点配置と同相となる、という条件を満たすようにして、当該ユーザにおける干渉信号の位相を回転させるように、ステップS101で算出された送信ウエイトが修正される。また、ステップS107では、ステップS105での変調方式に関する判定結果に応じて(つまり送信信号の変調方式に応じて)、干渉信号の信号点配置が、希望信号の信号点配置と直交する、という条件を満たすようにして、当該ユーザにおける干渉信号の位相を回転させるように、ステップS101で算出された送信ウエイトが修正される。したがって、ステップS105、S106及びS107の処理によって、送信信号の変調方式に応じて複数種類(ここでは2種類)の異なる条件のいずれかを満たすようにしてユーザにおける干渉信号の位相を回転させるように算出された送信ウエイトが修正されることになる。但し、変調方式が予め分かっている場合には、判定する必要は無い。
そして、全ユーザについて実施したか否かを判定し(S109)、実施していなかった場合には(S109で「N」の場合には)、別の始点ユーザをユーザ1とする(S110)。他方、実施していた場合には(S109で「Y」の場合には)、処理を終了する(S111)。
以上のようにして、本実施の形態では、支配的干渉ストリームと希望ストリームの角度関係を最適化するとともに、最適化するユーザの組み合わせを工夫することで、少ない演算量で、希望信号と干渉信号のコンスタレーション距離が近い場合などにおいても良好なBER特性を得ることができる線形プリコーディングを実現することができる。
次にマルチユーザMIMOに対応する本発明の他の実施の形態について記述する。マルチユーザMIMOについては上述したように線形プリコーディングとしてSMMSEが存在する。本実施の形態は、上記マルチユーザMISOの実施の形態で各ユーザの各1本の受信アンテナに対応するRCIの送信ウエイトの修正を、ユーザ毎に複数本の受信アンテナに対応するように行うことで、マルチユーザMIMOにおける線形プリコーディングのウエイトの修正を行うものである。本実施形態によってマルチユーザMIMOにおいてウエイトを修正する線形プリコーディングとしては、例えばSMMSE法を用いることができる。
まず、マルチユーザMISOのRCIを用いたSMMSE法の送信ウエイトの生成方法を説明し、次いで本実施形態による送信ウエイトの修正処理について説明する。
SMMSE法の送信ウエイトに対応する列ベクトルは次のようにして求めることができる。すなわち、複数のアンテナを有する複数のユーザと、アクセスポイントから構成されるマルチユーザMIMOにおいて、希望ユーザの他のアンテナは無視して、各希望ユーザの一本のアンテナ素子と他のユーザの全てのアンテナ素子を考慮に入れて、MU-MISO(Multi User-MISO)のRCI法による線形プリコーディング(あるいは送信BF)を行い、希望ユーザの該アンテナに対応する列ベクトルを求め、それを、該アンテナに対応するSMMSE法のウエイトの対応する列ベクトルとする。全てのユーザ・全てのアンテナ素子に対して以上の操作を行うことにより、SMMSE法の送信ウエイトを求めることが出来る。以下に、式を用いたSMMSE法のウエイトの求め方を示す。
最初にSMMSE法の送信ウエイトは、以下のように分解できる。
Figure 0005111353
ここで、PJはMMSE法で雑音と干渉のバランスを取りながらMUI(Multiple User Interference)を少なくするためのウエイトであり、PSはHPJの各ユーザに対応するブロック対角成分をSVD展開(Singular Value Decomposition;特異値分解)した右特異行列である。このPSの乗算により、各ユーザのブロックはシングルユーザMIMOと見なすことができ、線形復号を用いても、MUIの影響は存在するが最適受信を行なうことが出来る。なお、PSは乗算せずに受信側が線形復号を用いても、BER特性がある程度良い受信を行なうことが出来る。PJ及びPSは以下の式で表される。
Figure 0005111353
PS,kは、以下の式が示すように、HkPJ,kのSVD展開の右特異行列である。
Figure 0005111353
ここで、Hkはk番目のユーザのチャネル行列を示しており、全体のチャネル行列Hは以下の式で表される。
Figure 0005111353
次にPJは以下の式から導出される。最初H~k,rには、次のように定義される。希望ユーザはkであり、他のユーザの全てのアンテナを考慮に入れてマルチユーザMISOにおけるRCI法を適用する。
Figure 0005111353
P ̄k,rの第一列ベクトルをPJ,kのr番目の列ベクトルとする。k,rを振ることにより、以上の方法からSMMSEの送信ウエイトは求められ、かつ、各ユーザは線形復号でも自分自身のCSIR(channel state information at the receiver)を知っていれば、MUIの影響は存在するが、かなり良い特性で復号できる。
以上がマルチユーザMIMOにおける従来のMMSE規範の送信ウエイト作成方法である。このMMSE規範によれば、線形プリコーディングとしては、BERを準最適化することが可能である。
上記のSMMSEの送信ウエイトを用いると、BERの準最適化が可能である。しかし、SMMSEで用いるMMSE規範は、信号の位相を考慮しないので、最小信号点間距離は最大化させることは出来ない。そのため、BERの最適化は行なわれていない。一方、BERの最適化を直接行なう方法は、より良いBER特性を示すが、計算量が非常に多い。これに対して本実施形態では、少しの計算量の増加で、最小信号点間距離を準最大化することができる。
本実施形態は、SMMSE法で得た送信ウエイトの修正を行なって、最小信号点間距離を準最大化することを特徴とする。具体的な復号は、以下で述べる方法で行う。まずユーザのストリームごとに直交するプリアンブルを送信することにより、ユーザが自分のチャネルHkPJ,kPS,k、もしくは、HkPJ,kを推定する。推定チャネルは、MUI(Multi User Interference)が少し残留している当該ユーザのストリームの応答係数である。1ユーザに複数のストリームを伝送する場合には自ユーザのストリーム間の干渉も残る可能性がある。本推定チャネルを用いて線形復号することが可能である。しかし、この応答係数は、MMSE規範なので、SINRの点では最適化されているが、信号の位相は考慮していないため、最小信号点間距離の点では、最適化されていない。そこで、希望信号(その復号結果)に対し、残留干渉成分の支配項の位相回転を既述のマルチユーザMISOの場合と同じ要領で実行することにより、最小信号点間距離の点で、準最適化することが可能である。
次に本発明のさらに他の実施の形態について説明を加える。今までは、変調方式が一定の場合であったが、あるストリームが、条件Cを満たす場合には、変調方式をストリームごとに変化させると、伝送ビット当たりの電力の観点から、より良いBER特性が得られる。条件Cとは、当該ストリームが他のストリームに対して条件Dの意味で、干渉を与えない場合、かつ、他のストリームから条件Dの意味で干渉を受けない場合である。条件Dは二つの条件A,Bから構成される。条件Aとは、“他のストリームからの一番支配的な干渉波の“支配度”が小さい場合、つまり、一番支配的な干渉波が他の干渉波群と比べて十分大きな干渉波では無い”という条件である。他の条件Bとは、一番支配的な干渉波以外の干渉ストリームの大きさが十分に小さいことである。条件Aは、“支配度”が小さいと本発明の方法の効果が発揮できないからであり、条件Bを満たさないと、そもそも、BERが大きく改善効果が小さく見えてしまうからである。条件Cを満たす場合には、BPSKより多値度が大きい多値変調を用いても、全体のBERの劣化に影響を及ぼさないし、かつ、伝送ビット当たりの電力を小さく出来るので、伝送ビット当たりの電力の観点から、より良いBER特性が得られるのである。
すなわち、本実施形態では、ユーザにおける希望信号に対する干渉信号の影響度が所定の条件を満たす小さなものである場合には変調信号の変調方式がより大きな多値数を有する多値変調に変更できるようになっている。
以上のように、従来のRCI・SMMSE法のプリコーディング(あるいは送信ビーム形成)法では、SINRの絶対値を最大化するだけであったが、本発明の方法は希望信号(その復号結果)の支配的干渉信号の位相回転を行なうことにより、最小信号点間距離を最大化することが可能であり、BER特性を改善できる。
なお、本発明によって送信ウエイトの修正対象となる線形プリコーディングとしては、上述したPCIやMMSE規範の線形プリコーディングだけではなく、マッチドフィルタ、ZF(Zero Forcing)規範、ウィナーフィルタを用いる線形プリコーディング、アンテナ選択・MMSE・ZFの線形復号、もしくは、MLD(Maximum Likelihood Detection)を用いる線形プリコーディング、SMMSEを用いる線形プリコーディングなども対象となる。それらの手法において、本発明の方法は希望信号(その復号結果)の支配的干渉信号の位相回転を行なうことにより、最小信号点間距離を最大化することが可能であり、BER特性を改善できる。
すなわち、本発明は、支配的干渉ストリームと希望ストリームの角度関係を最適化するとともに、最適化するユーザの組み合わせを工夫することで、少ない演算量で、希望信号と干渉信号のコンスタレーション距離が近い場合などにおいても良好なBER特性を得ることができる線形プリコーディングを実現することができる。
3ユーザ・シングル受信アンテナ・QPSKの時の、あるユーザのコンスタレーションを示す模式図である。 図1のコンスタレーションに対して本発明の実施の形態による修正を行った後のコンスタレーションを示す模式図である。 2ユーザ・シングル受信アンテナ・BPSKの時のコンスタレーションを示す模式図である。 本実施形態において図3に示す干渉ストリームを90度回転させた場合のコンスタレーションを示す模式図である。 3ユーザ・シングル受信アンテナ・QPSKの場合に、本実施形態によって3ユーザをどのように準最適化していくのかについて、その初期状態の各ユーザのコンスタレーションを示す模式図である。 図5のコンスタレーションに対して、手順1でユーザ1の送信ウエイトを修正した後の各ユーザのコンスタレーションを示す模式図である。 図6のコンスタレーションに対して、手順2でユーザ2の送信ウエイトを修正した後の各ユーザのコンスタレーションを示す模式図である。 各ユーザに影響を及ぼすユーザの対応関係を表す対応表の一例を示す図である。 “フォワード操作”により当該ユーザが影響を及ぼすユーザ群を求める方法を説明するための図である。 図8及び図9に示す対応表に対する処理結果を説明するための図である。 図10に示す結果として得られたチェーントポロジをグラフで表す図である。 BPSK、10ユーザ、10送信アンテナのときの、従来方式の送信ビーム形成法であるCI・RCIと本発明によるBER特性を示す特性図である。 BPSK、4ユーザ、4送信アンテナのときの、従来方式の送信ビーム形成法であるCI・RCIと本発明によるBER特性を示す特性図である。 本実施形態における送信ウエイトの修正処理の基本原理を説明するための図であり、RCI法を適用した後のユーザのコンスタレーションを示す模式図である。 本実施形態が特徴とする修正処理によって、図14のコンスタレーションを回転させた状態を示す模式図である。 図17の基地局APの処理フローを示すフローチャートである。 本発明の実施形態の無線通信システムのシステム構成を示す模式図である。 図17の基地局APの構成を示すブロック図である。
符号の説明
AP 基地局
TM 端末局
ANT1、ANT2 アンテナ
11 情報源
12 変調部
13 スイッチ
14 乗算器
15 スイッチ
16 チャネル推定部
17 ウエイト生成部
18 回転行列生成部

Claims (10)

  1. 複数のアンテナを具備する基地局と、複数の端末局とが同時に同一周波数で通信を行う無線通信方法であって、
    前記基地局で行われるものであって、
    前記各端末局に送信する変調信号に対する線形プリコーディングで用いる送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出過程と、
    前記端末局における干渉信号の位相を回転させ、当該端末局のコンスタレーションの向きを、当該端末局に対して支配的な干渉ストリームである他の前記端末局のコンスタレーションの向きに合わせるように前記送信ウエイト算出過程で算出された送信ウエイトを修正する送信ウエイト修正過程と、
    前記送信ウエイト修正過程で修正された送信ウエイトを用いて、送信する変調信号に対して線形プリコーディングを行う線形プリコーディング過程と
    を含むことを特徴とする無線通信方法。
  2. 前記送信ウエイト算出過程で、前記端末局における信号対干渉雑音比を最大化するように前記送信ウエイトが算出される
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
  3. 前記送信ウエイト算出過程で、マッチドフィルタ又はウィナーフィルタを用いて前記送信ウエイトが算出される
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
  4. 前記送信ウエイト算出過程で、SMMSE(Successive Minimum Mean Squared Error)を用いて前記送信ウエイトが算出される
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。
  5. 前記送信ウエイト修正過程で、送信信号の変調方式に応じて複数種類の異なる条件のいずれかを満たすようにして前記端末局における干渉信号の位相を回転させるように前記送信ウエイト算出過程で算出された送信ウエイトを修正する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線通信方法。
  6. 前記送信ウエイト修正過程で、干渉を及ぼす相互関係に従って対象となる前記端末局を順次選択しながら、前記端末局における干渉信号の位相を連鎖的に回転させるように前記送信ウエイト算出過程で算出された送信ウエイトを修正する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の無線通信方法。
  7. 前記送信ウエイト修正過程で、前記各端末局における希望信号と前記干渉信号との比が小さい順に対象となる前記端末局を選択する
    ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信方法。
  8. 前記端末局における希望信号に対する前記干渉信号の影響度が所定の条件を満たす小さなものである場合に、前記変調信号の変調方式がより大きな多値数を有する多値変調に変更される
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の無線通信方法。
  9. 複数のアンテナを具備する基地局と、複数の端末局とが同時に同一周波数で通信を行う無線通信システムであって、
    前記基地局に、
    前記各端末局に送信する変調信号に対する線形プリコーディングで用いる送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出手段と、
    前記端末局における干渉信号の位相を回転させ、当該端末局のコンスタレーションの向きを、当該端末局に対して支配的な干渉ストリームである他の前記端末局のコンスタレーションの向きに合わせるように前記送信ウエイト算出手段で算出された送信ウエイトを修正する送信ウエイト修正手段と、
    前記送信ウエイト修正手段で修正された送信ウエイトを用いて、送信する変調信号に対して線形プリコーディングを行う線形プリコーディング手段と
    を備えることを特徴とする無線通信システム。
  10. 複数のアンテナを具備し、複数の端末局との間で同時に同一周波数で通信を行う基地局であって、
    前記各端末局に送信する変調信号に対する線形プリコーディングで用いる送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出手段と、
    前記端末局における干渉信号の位相を回転させ、当該端末局のコンスタレーションの向きを、当該端末局に対して支配的な干渉ストリームである他の前記端末局のコンスタレーションの向きに合わせるように前記送信ウエイト算出手段で算出された送信ウエイトを修正する送信ウエイト修正手段と、
    前記送信ウエイト修正手段で修正された送信ウエイトを用いて、送信する変調信号に対して線形プリコーディングを行う線形プリコーディング手段と
    を備えることを特徴とする無線基地局。
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