JP5109838B2 - ラビリンスシールとこれを備える回転機械 - Google Patents
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Description
金属製のラビリンスシール103、104、105は、回転している回転シャフト101に接触すると焼きつきを起こしてしまう。そのため、ラビリンスシール103、104、105が回転シャフト101に決して接触しないように、回転シャフト101とラビリンスシール103、104、105との間に微小の隙間を残すようにラビリンスシール103、104、105を製作していた(例えば、下記特許文献2)。
なお、図6において、符号102はインペラを示し、符号107はケーシングを示し、符号108はパージガス導入孔を示し、符号109は、パージガスと機内ガスとの混合ガスの排出孔を示し、符号110半径流ラビリンスを示し、符号111〜113はOリングを示す。
なお、図7において、符号207はパッキンを示し、符号209は回転シャフトを示し、符号211はスリーブを示し、符号213はナットを示す。
前記回転シャフトを囲む内周面を有し、該内周面にラビリンス構造が形成されているシール部材と、
前記シール部材の外周面を囲んで支持するリング状部材を備え、
前記シール部材は、それぞれ前記内周面の略半周部分を有する第1分割部と第2分割部とに分割されており、
前記リング状部材は、前記回転シャフトを囲む前記シール部材の前記外周面に対し、前記回転シャフトの軸方向から取付可能となっている、ことを特徴とするラビリンスシールが提供される。
また、前記リング状部材は、前記回転シャフトを囲む前記シール部材の前記外周面に対し、前記回転シャフトの軸方向から取付可能となっているので、分割された第1分割部と第2分割部を合わせた状態に保持するようにリング状部材がシール部材の外周面を半径方向に支持できるとともに、回転シャフトに半径方向寸法がより大きい部分(インペラなど)が結合されていても、リング状部材の開口を当該部分よりも大きい寸法にすることで、当該部分を回転シャフトから取り外すことなく、リング状部材を回転シャフトの軸方向から当該部分に通してシール部材に取り付けることができる。
さらに、シール部材は、カーボンで形成されているので、旋盤等を用いた通常行われる機械加工で製作することができる。
シール部材9は、回転シャフト5を囲む内周面13を有し、該内周面13にラビリンス構造が形成されている。ラビリンス構造は、軸方向に複数の凹部13a(図1の例では3つの凹部13a)が形成された構造である。なお、各凹部13aは、回転方向に1周するように延びている。また、シール部材9は、カーボン(例えば、グラファイト)で形成されている。また、シール部材9は、図3に示すように、それぞれ内周面13の半周部分を有する第1分割部9aと第2分割部9bとに分割されている。
リング状部材11は、シール部材9の外周面15を囲んで支持する。即ち、リング状部材11の内周面11cが外周面15に接触して外周面15を支持する。また、リング状部材11は、回転シャフト5を囲むシール部材9の外周面15に、回転シャフト5の軸方向から取付可能となっている。なお、図1では、リング状部材11を、シール部材9の外周面15に取り付けた後、環状の第2の静止側部材7’を図1の左側から軸方向に回転シャフト5に通すことで、静止側部材7と第2の静止側部材7’とでリング状部材11を軸方向に挟持する。この状態で、シール部材9は、静止側部材7とリング状部材11とに挟持される。なお、静止側部材7と第2の静止側部材7’とはボルトなど(図示せず)の結合手段で結合してよい。また、代わりに、リング状部材11をボルトなど(図示せず)の結合手段で静止側部材7に結合してもよい。
また、ラビリンスシール3は、シール部材9の外周面15を囲んで支持するリング状部材11を備える、リング状部材11は、回転シャフト5を囲むシール部材9の外周面15に対し、回転シャフト5の軸方向から取付可能となっているので、分割された第1分割部9aと第2分割部9bを合わせた状態に保持するようにリング状部材11がシール部材9の外周面15を半径方向に支持できる。また、回転シャフト5に半径方向寸法がより大きい部分(インペラなど)が結合されていても、リング状部材11の開口11dを当該部分よりも大きい寸法にすることで、当該部分を回転シャフト5から取り外すことなく、リング状部材11を回転シャフト5の軸方向から当該部分に通してシール部材9に取り付けることができる。
さらに、シール部材9はカーボンで形成されているので、シール部材9は回転している回転シャフト5と接触しても焼きつかない。即ち、シール部材9を小型化した場合に、シール部材9を回転シャフト5に決して接触しないように、ラビリンスシール3を製作して取り付けなくてもよく、シール部材9が回転シャフト5に接触することで摩耗して自然に適切な寸法となるようにすることができる。これにより、大型、中型の回転機械だけでなく小型、超小型の回転機械においても焼きつきを起こすことなく微小隙間を確保して適切にシールできる。
また、リング状部材11の内周部11aは、回転シャフト5の軸方向の一方を向く環状の段差面11bを有し、シール部材9の外周部17は、前記軸方向の他方を向く環状の段差面19を有し、リング状部材11の段差面11bとシール部材9の段差面19とが、前記軸方向に接触して係合するようになっているので、シール部材9の段差面19がリング状部材11の段差面11bと係合する方向に、シール部材9が衝撃などにより位置ずれすることを防止できる。
図5は、上述の実施形態によるラビリンスシール3をターボチャージャに適用した場合を示す概略図である。ターボチャージャは、エンジンの排ガスにより回転駆動されるタービンインペラ21と、タービンインペラ21と一体的に回転するコンプレッサインペラ23と、一端部にタービンインペラ21が結合され他端部にコンプレッサインペラ23が結合される回転シャフト5とを有する。コンプレッサインペラ23の回転により圧縮空気がエンジンに供給される。
なお、図5において、回転シャフト5は、軸受ハウジング25に取り付けられた軸受け27により半径方向に支持される。また、タービンインペラ21を内部に収容するタービンハウジング29は、軸受ハウジング25にボルト等(図示せず)により結合され、コンプレッサインペラ23を内部に収容するコンプレッサハウジング31も軸受ハウジング25にボルト等(図示せず)により結合されている。また、
コンプレッサインペラ23側のラビリンスシール3において、リング状部材11は、軸方向に2つの静止側部材7、7’に挟持されることで、これら静止側部材7、7’に固定される。図5では、当該2つの静止側部材7、7’は、それぞれ軸受ハウジング25と環状のシールプレート35である。なお、シールプレート35は、軸方向にコンプレッサハウジング31と軸受ハウジング25とに挟持されることで、これらに固定されている。
具体的には、図5のタービンインペラ21側のラビリンスシール3は、次のように取り付けることができる。まず、図5において、タービンハウジング29とシールプレート33を取り外した状態にする。次に、シール部材9を構成する第1分割部9aと第2分割部9bを、それぞれ半径方向から回転シャフト5に取り付けるとともに、第1分割部9aと第2分割部9bを互いに合わせて、内部に回転シャフト5が貫通するシール部材9とする。次に、リング状部材11を、軸方向からタービンインペラ21に通してシール部材9の外周面15に取り付け配置する。その後、環状のシールプレート33をタービンインペラ21に通して、シールプレート33と軸受ハウジング25との間にリング状部材11を挟んだ状態にする。次いで、タービンハウジング29と軸受ハウジング25との間にシールプレート33を挟んだ状態にし、この状態でタービンハウジング29と軸受ハウジング25とをボルトなどの結合手段により結合させる。図5のコンプレッサインペラ23側のラビリンスシール3の取り付けも同様に行える。
なお、上記において、第1分割部9aと第2分割部9bをそれぞれ半径方向から回転シャフト5に取り付ける時に、第1分割部9aまたは第2分割部9bが軸受ハウジング25(の段差)に引っかからないように、リング状部材11の外径を、インペラ23(または21)の外径に、シール部材9の外径を加えた大きさ以上にする。
Claims (4)
- 回転する回転シャフトと該回転シャフトを囲む静止側部材との間を通して流体が前記回転シャフトの軸方向に移動することを抑制するラビリンスシールであって、
前記回転シャフトを囲む内周面を有し、該内周面にラビリンス構造が形成されているシール部材と、
前記シール部材の外周面を囲んで支持するリング状部材を備え、
前記シール部材は、それぞれ前記内周面の略半周部分を有する第1分割部と第2分割部とに分割されており、
前記リング状部材は、前記回転シャフトを囲む前記シール部材の前記外周面に対し、前記回転シャフトの軸方向から取付可能となっており、
前記回転シャフトは、インペラが結合されるものであり、
前記リング状部材の中央部の開口は、前記インペラ外径より大きく前記インペラが通過できる寸法となっている、ことを特徴とするラビリンスシール。 - 前記シール部材は、カーボンで形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のラビリンスシール。
- 前記リング状部材の内周部は、回転シャフトの軸方向の一方を向く段差面を有し、
前記シール部材の外周部は、前記軸方向の他方を向く段差面を有し、
前記リング状部材の前記段差面と前記シール部材の前記段差面とが、前記軸方向に係合するようになっている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のラビリンスシール。 - 回転する回転シャフトと該回転シャフトを囲む静止側部材とを有する回転機械であって、請求項1、2または3に記載のラビリンスシールを備える、ことを特徴とする回転機械。
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