JP5107131B2 - テストケース生成装置およびその生成方法、ならびにテストケース生成のためのプログラム - Google Patents
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Description
Harold W. Thimbleby: "The directed Chinese Postman Problem", In Software - Practice and Experience (SPE), Volume 33, pp.1081-1096, 2003. Harold Abelson and Gerald Jay Sussman with Julie Sussman: "Structure and Interpretation of Computer Programs", MIT Press, 1996.
複数の状態間の第1遷移を表す第1の状態遷移系の入力を受け付ける第1の入力受付手段と、
複数の状態を定義域とし、前記状態をある値域内の値へ写像する写像関数の入力を受け付ける第2の入力受付手段と、
前記第1の状態遷移系に含まれる前記複数の状態を、前記写像関数によりそれぞれ写像して複数の写像値を取得し、取得された複数の写像値に基づいて前記複数の状態をグループ化するグループ化手段と、
2つの前記グループにおいて一方のグループに含まれる状態から他方のグループに含まれる状態への前記第1遷移が少なくとも1つ存在するときは前記一方のグループから前記他方のグループへの第2遷移を設定することにより、複数の前記グループ間の第2遷移を表す第2の状態遷移系を生成する状態遷移系生成手段と、
前記第2の状態遷移系の前記第2遷移を網羅する遷移パスを生成する遷移パス生成手段と、
生成された遷移パスに含まれる第2遷移を遷移順に特定し、特定された第2遷移の各々について、前記特定された第2遷移に対応する第1遷移の中から、1つ前に特定された第2遷移について選択された第1遷移の遷移先に対し遷移元が一致する第1遷移を順次選択することにより、前記生成された遷移パスを前記第1の状態遷移系上の遷移パスに変換する遷移パス変換部と、
変換された遷移パスを、前記第1の状態遷移系をテストするためのテストケースとして出力する出力手段と、
を備える。
複数の状態間の第1遷移を表す第1の状態遷移系の入力を受け付ける第1の入力受付ステップと、
複数の状態を定義域とし、前記状態をある値域内の値へ写像する写像関数の入力を受け付ける第2の入力受付ステップと、
前記第1の状態遷移系に含まれる前記複数の状態を、前記写像関数によりそれぞれ写像して複数の写像値を取得し、取得された複数の写像値に基づいて前記複数の状態をグループ化するグループ化ステップと、
2つの前記グループにおいて一方のグループに含まれる状態から他方のグループに含まれる状態への前記第1遷移が少なくとも1つ存在するときは前記一方のグループから前記他方のグループへの第2遷移を設定することにより、複数の前記グループ間の第2遷移を表す第2の状態遷移系を生成する状態遷移系生成ステップと、
前記第2の状態遷移系の前記第2遷移を網羅する遷移パスを生成する遷移パス生成ステップと、
生成された遷移パスに含まれる第2遷移を遷移順に特定し、特定された第2遷移の各々について、前記特定された第2遷移に対応する第1遷移の中から、1つ前に特定された第2遷移について選択された第1遷移の遷移先に対し遷移元が一致する第1遷移を順次選択することにより、前記生成された遷移パスを前記第1の状態遷移系上の遷移パスに変換する遷移パス変換ステップと、
変換された遷移パスを、前記第1の状態遷移系をテストするためのテストケースとして出力する出力ステップと、
を備える。
複数のタスクが存在する情報システムで、タスクの実行状態を制御するモニタ機能を考える。図2に示すように、モニタ上の各タスクは、実行(RUN)状態と実行可能(RDY)状態とスリープ(WAI)状態の三つの状態を有する。
この状態遷移系(図3、表1と表2)で記述されるタスク制御モニタの動作を確認するには、システムの初期状態から各タスクの遷移に対応するAPI関数を順番に呼び出して、遷移先の状態に対応したタスクの切り替えが起きることを確認すれば良い。たとえば、初期状態s0からタスク1が(sleep 1)を呼ぶとタスク2が実行中となり、次にタスク2が(sleep 2)を呼ぶとタスク2が実行中となり、次にタスク3が(yield 3)を呼ぶとタスク3が実行可能となり、という風な手順で動作を確認する。この確認手順は状態遷移系の上の状態s0から出発して状態s5へ至る遷移パスt0→t5→t18に対応する。
ここでシステムの全ての遷移を網羅するテストは、一般にシステムの規模が大きくなるとテストケースのサイズが指数関数的に増大するため現実的でない。実行可能なテストとするため、一定のテスト基準を与えてテストケースのサイズを減らす必要が生ずる。たとえば、例題のタスク制御モニタは16の状態を有するが、これらの状態はタスク識別子の番号の並び替えにより一致する状態を含む。たとえば状態s0と状態s2はタスク識別子の順番を並び替えると一致するが、状態s0と状態s1はタスク識別子の順番を変えても一致しない状態であるなどの区別が考えられる。一定のテスト基準の例として「タスク識別子の番号を並び変えて一致する状態を等価な状態と見なし、等価でない状態間の遷移のみを動作確認する」などが考えられる。
ここで状態遷移系と剰余状態遷移系について説明する。
状態遷移系:F = <S, T, s0>
状態集合:S
遷移集合:T ⊆ S×S
初期状態:s0 ∈ S
剰余状態遷移系:F/〜 = <S/〜,T/〜,[s0]>
剰余状態:S/〜 = { [s] | s ∈ S }
剰余遷移:T/〜 = { ([s],[s’]) | (s,s’) ∈ T }
同値クラス: [s] = { s’ ∈ S | equiv(s,s’) = true }
遷移元の状態: dst: T → S
遷移先の状態: src: T → S
状態遷移系から剰余遷移系を計算するには状態間の同値関係を定義する必要がある。状態間の同値関係equiv(s,s’)は、同値関係の定義として反射律、対称律、推移律を満たす必要がある。なおBは真または偽を表すブルーム値(真偽値)の集合を表す。s,s’が同値のとき、equiv(s,s)は真を返す。
同値関係 equiv: S×S → B
反射律:∀s∈S. equiv(s,s)
対称律:∀s∈S.∀s’∈S. equiv(s,s’) ⇒ equiv(s’,s)
推移律:∀s∈S.∀s’∈S. equiv(s,s’)∧equiv(s’,s’’) ⇒ equiv(s,s’’)
一般に二つの状態から真偽値を返す関数は必ずしも上記の同値関係の公理を満たさない。剰余遷移系の生成において利用者に同値関係を二状態の述語関数として書かせると同値関係とならない述語関数を記述する可能性があり望ましくない。
状態写像 map: S → V
同値関係 equiv(s,s’) = equal?(map(s), map(s’))
テスト基準から決まるタスク識別子の入れ替えで一致する状態を同一視する状態写像22の事例を以下に示す。なお、この写像例は公知のプログラミング言語Scheme(非特許文献2)の書式で記述している。
写像例:
(define (len s)
(map (lambda (v) (length (getval s v))) '(RUN RDY WAI)))
作用例:
s = ((RUN (1)) (RDY (2 3)) (WAI ())) のとき (len s) => (1 2 0)
s = ((RUN ()) (RDY ()) (WAI (1 2 3))) のとき (len s) => (0 0 3)
入力:状態遷移系F、同値関係equiv
出力:剰余状態遷移系F/〜
変数:
SMAP: S → P(S)
TMAP: S×S → P(T)
REPL: S → S
ステップ1:状態の同値分割(図6のフローチャートの符号B11)
事前:SMAPが空
事後:SMAPが状態の同値分割結果
SMAP ← φ
for each s ∈ S do
if ∃s' ∈ KEYS(SMAP). equiv(s,s') then
SMAP(s') ← SMAP(s')∪{s}
else
SMAP(s) ← {s}
end if
end do
ステップ2:代表状態の決定(図6のフローチャートの符号B12)
事前:SMAPが状態の同値分割
事後:REPLが代表状態の検索表
REPL ← φ
for each s ∈KEYS(SMAP) do
for each s' ∈ SMAP(s) do
REPL(s') ← s
end do
end do
ステップ3:遷移の同値分割(図6のフローチャートの符号B13)
事前:TMAPが空、REPLが代表状態の対応表
事後:TMAPが遷移の同値分割結果
for each t ∈ T do
key ← (REPL(src(t)),REPL(dst(t)))
if ∃t' ∈ KEYS(TMAP). key=t' do
TMAP(t') ← TMAP(t')∪{t}
else
TMAP(key) ← {t}
end if
end do
ステップ4:結果出力(図6のフローチャートの符号B14)
状態分割SMAPからS/〜、遷移分割TMAPからT/〜を決め、
剰余遷移系F/〜=<S/〜, T/〜, [s0]>を出力して停止
状態同値関係定義部11において状態の同値クラスへの分割が済めば各状態SIDに対して代表状態[SID]が定まる(図11の表4の一番左の列)。剰余遷移系の状態となる状態クラスは代表状態の識別子でラベルする。
SMAP(s0) = {s0,s2,s4,s10,s14,s15}
SMAP(s1) = {s1,s3,s6,s7,s9,s13}
SMAP(s5) = {s5,s8,s11}
SMAP(s12) = {s12}
REPL(s0) = s0
REPL(s1) = s1
REPL(s2) = s0
... 中略
REPL(s14) = s0
REPL(s15) = s0
TMAP((s0,s0)) = {t1,t3,t8,t34,t39,t41}
TMAP((s0,s1)) = {t0,t2,t7,t33,t38,t40}
... 中略
TMAP((s5,s5)) = {t18,t28,t32}
遷移パス生成部13は、剰余状態遷移系24(図4)の遷移を網羅するパス25(代表状態または代表遷移イベントで表現された代表遷移パス25)を求める。これにはたとえば公知のアルゴリズム(非特許文献1)を用いることができる。ここでテストとして実行可能な遷移パスは初期状態s0から始まる連続な遷移パスである。連続な遷移パスとは遷移系列の中で、現在の遷移の遷移先の状態と、次の遷移の遷移元の状態とが一致することを意味する。剰余状態遷移系の上で連続な代表遷移パス25をそのまま状態遷移系の上の遷移パスと見なすと、連続な遷移パスになるとは限らない。したがって、剰余状態遷移系24を網羅する最短の代表遷移パス25を生成した後、これが元の状態遷移系上で連続したパスにならないときは、この代表遷移パス25を手がかりに連続な遷移パスに変換する必要がある。このパス変換の手順を以下に示す。またこの変換手順に対応する処理の流れを図7のフローチャートに示す。この処理は遷移パス変換部14により行われる。なおこの処理は、元の状態遷移系上で代表遷移パス25が連続したパスにならないと遷移パス変換部14が判断したときのみ行うようにしてもよいし、代表遷移パス25が元の状態遷移系上で連続したパスになるか否かの判断を行うことなく、常に行うようにすることも可能である。
遷移選択 SELECT: T/〜 × S → P(T)
機能: 遷移クラス[t]の中で状態sを始点とする遷移を選択する。
詳細: SELECT([t],s) = { t’ ∈ [t] | src(t’) = s }
状態選択 SOURCE: T/〜 → P(S)
機能: 遷移クラス[t]に含まれる遷移の始点を列挙する。
詳細: SOURCE([t]) = { src(t’) ∈ S | t’ ∈ [t] }
パス生成 SHORTP: S × P(S) → [T]
機能: 状態sから状態集合dstsへ至るパスの中で最短のパスを選択する
詳細: SHORTP(s,dsts) = DIJKSTRA(s,s’)
ただしDIJKSTRAは公知の最短パス計算手順(例:ダイクストラ法)とし
状態s’∈dstsはパス長|DIJKSTRA(s,s’')|が状態s''∈dstsの中で最小とする
入力:開始状態s0、代表遷移列tin=([t0],[t1],...)
出力:遷移列tout=(t0’,t1’,...)
手順:
ステップ1:初期化(図7のフローチャートのC11)
s ← 開始状態s0
todo ← 代表遷移列tin
tout ← 空列
ステップ2:遷移選択(図7のフローチャートのC12、C13)
next ← SELECT(todoの先頭, s)
if 集合nextが空 then
ステップ3:選択による連結不可(図7のフローチャートのC15)
dsts ← SOURCE(todoの先頭)
path ← SHORTP(s,dsts)
s ← パスpathの最後の状態
tout ← tout + path
else
ステップ4:選択による連結可能(図7のフローチャートのC14)
t ← 遷移集合nextから一つ遷移を選択
s ← dst(t)
todo ← todoの末尾
tout ← tout + t
end if
ステップ5:終了判定(図7のフローチャートのC16)
if リストtodoが空 then
(ステップ6)へ
else
(ステップ2)へ
end if
ステップ6:結果出力
遷移パスtoutを出力して停止
剰余状態遷移系24(図4)の遷移を網羅するパスを公知のアルゴリズム(非特許文献1)を用いて遷移パス生成部13により求めると図14の表7に示す遷移系列(代表遷移パス25)が得られる。この遷移系列は剰余状態遷移系24(図4)の上では連結したパスとなるが、元の状態遷移系(図3)の上では連結したパスとなるとは限らない。その場合、そのままでは実行可能なテストケースとならない。
12:剰余状態遷移系生成部
13:遷移パス生成部
14:遷移パス変換部
21:状態遷移系
22:状態抽象化写像
23:状態同値関係
24:剰余状態遷移系
25:代表遷移パス
26:遷移パス
Claims (7)
- 複数の状態間の第1遷移を表す第1の状態遷移系の入力を受け付ける第1の入力受付手段と、
複数の状態を定義域とし、前記状態をある値域内の値へ写像する写像関数の入力を受け付ける第2の入力受付手段と、
前記第1の状態遷移系に含まれる前記複数の状態を、前記写像関数によりそれぞれ写像して複数の写像値を取得し、取得された複数の写像値に基づいて前記複数の状態をグループ化するグループ化手段と、
2つの前記グループにおいて一方のグループに含まれる状態から他方のグループに含まれる状態への前記第1遷移が少なくとも1つ存在するときは前記一方のグループから前記他方のグループへの第2遷移を設定することにより、複数の前記グループ間の第2遷移を表す第2の状態遷移系を生成する状態遷移系生成手段と、
前記第2の状態遷移系の前記第2遷移を網羅する遷移パスを生成する遷移パス生成手段と、
生成された遷移パスに含まれる第2遷移を遷移順に特定し、特定された第2遷移の各々について、前記特定された第2遷移に対応する第1遷移の中から、1つ前に特定された第2遷移について選択された第1遷移の遷移先に対し遷移元が一致する第1遷移を順次選択することにより、前記生成された遷移パスを前記第1の状態遷移系上の遷移パスに変換する遷移パス変換部と、
変換された遷移パスを、前記第1の状態遷移系をテストするためのテストケースとして出力する出力手段と、
を備えたテストケース生成装置。 - 前記遷移パス変換部は、選択するべき第1遷移が存在しない第2遷移について、その遷移先のグループに含まれる状態のいずれかに対し、前記1つ前に特定された第2遷移について選択された前記第1遷移の遷移先からのパスを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のテストケース生成装置。 - 前記遷移パス変換部は、前記パスとして、最短パスを生成することを特徴とする請求項2に記載のテストケース生成装置。
- 複数の状態間の第1遷移を表す第1の状態遷移系の入力を受け付ける第1の入力受付ステップと、
複数の状態を定義域とし、前記状態をある値域内の値へ写像する写像関数の入力を受け付ける第2の入力受付ステップと、
前記第1の状態遷移系に含まれる前記複数の状態を、前記写像関数によりそれぞれ写像して複数の写像値を取得し、取得された複数の写像値に基づいて前記複数の状態をグループ化するグループ化ステップと、
2つの前記グループにおいて一方のグループに含まれる状態から他方のグループに含まれる状態への前記第1遷移が少なくとも1つ存在するときは前記一方のグループから前記他方のグループへの第2遷移を設定することにより、複数の前記グループ間の第2遷移を表す第2の状態遷移系を生成する状態遷移系生成ステップと、
前記第2の状態遷移系の前記第2遷移を網羅する遷移パスを生成する遷移パス生成ステップと、
生成された遷移パスに含まれる第2遷移を遷移順に特定し、特定された第2遷移の各々について、前記特定された第2遷移に対応する第1遷移の中から、1つ前に特定された第2遷移について選択された第1遷移の遷移先に対し遷移元が一致する第1遷移を順次選択することにより、前記生成された遷移パスを前記第1の状態遷移系上の遷移パスに変換する遷移パス変換ステップと、
変換された遷移パスを、前記第1の状態遷移系をテストするためのテストケースとして出力する出力ステップと、
を備えたテストケース生成方法。 - 前記遷移パス変換ステップは、選択するべき第1遷移が存在しない第2遷移について、その遷移先のグループに含まれる状態のいずれかに対し、前記1つ前に特定された第2遷移について選択された前記第1遷移の遷移先からのパスを生成する
ことを特徴とする請求項4に記載のテストケース生成方法。 - 前記遷移パス変換ステップは、前記パスとして、最短パスを生成することを特徴とする請求項5に記載のテストケース生成方法。
- 請求項4ないし6のいずれか一項に記載の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
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