JP5104152B2 - 有機el装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
ここで、白色有機EL素子の高効率化及び白色発光の調節を目的として、隣り合う2つの発光層の間に正孔及び電子の少なくとも一方の移動の移動を規制する中間層を設ける方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。このように2つの発光層の間に中間層を配置することで発光密度を均一化し、RGB発光のバランスが調節された白色発光を実現している。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかる有機EL装置は、基板上に、第1の電極と、前記第1の電極上に設けられた正孔輸送層と、前記正孔輸送層上に設けられた保護層と、前記保護層上に設けられた第1の発光層と、前記第1の発光層上に設けられた中間層と、前記中間層上に設けられた第2の発光層と、前記第2の発光層上に設けられた第3の発光層と、を備え、前記保護層は、正孔輸送性を有する第1の材料と、電子輸送性および正孔輸送性を有する第2の材料とを含み、前記中間層は、前記第1の材料および前記第2の材料により形成されており、重量比で、前記保護層における前記第1の材料の含有量は、前記第2の材料の含有量よりも大きいことを特徴とする。
なお、正孔輸送層から発光層に向かう正孔は、保護層が正孔輸送性を有していることから、発光層に向けて輸送される。したがって、正孔輸送層から発光層に向かう正孔の輸送性は維持される。また、第2材料が電子輸送性を有することで、保護層と隣接する発光層との界面において滞留する電子の一部を保護層内に移動させて正孔と再結合させることができる。これにより、保護層と隣接する発光層との界面において電子が過剰に滞留することを抑制できる。
この発明では、隣り合う2つの発光層間に中間層を設けて正孔及び電子の再結合により生成した励起子が発光層間を移動しにくくすることで、各発光層における発光輝度を調整できる。ここで、あらかじめ中間層により複数の発光層それぞれにおける発光輝度を調整していた場合であっても、正孔輸送層と発光層との間に保護層を配置することで、調整された各発光層における発光輝度を変更することなく有機EL装置全体の長寿命化が図れる。
この発明では、中間層が保護層と同一材料を用いて形成されることで、製造が容易になる。
この発明では、保護層を形成する第2材料としてアセン系材料を用いることで、この励起状態に対する耐性も改善することができる。すなわち、保護層内でも赤色発光層から侵入した電子と正孔が再結合し励起状態を形成する。そのため、保護層を形成する第2材料としてアセン系材料を用いることで、有機EL素子のさらなる長寿命化を図ることができる。
この発明では、第2材料の含有量を10重量%以上90重量%以下とすることで、保護層における電子と正孔との再結合による劣化の抑制と、正孔輸送性の維持とが図れる。
この発明では、保護層の層厚を1nm以上とすることで正孔輸送層の劣化を十分に抑制できると共に、100nm以下とすることで発光層に向かう正孔の輸送性を維持できる。
この発明では、上述と同様に、中間層の劣化を抑制して有機EL装置全体の長寿命化が図れる。
以下、本発明における有機EL装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。ここで、図1は有機EL装置を示す概略構成図、図2は図1の等価回路図、図3は画素領域における構成を示す概略断面図、図4は有機機能層を示す概略断面図である。
TFT素子24は、ゲートが走査線13に接続されて、ソースがデータ線12に接続され、ドレインがTFT素子25及び保持容量26に接続されている。また、TFT素子24は、走査線13を介して走査線駆動回路17から供給された走査信号に応じて、データ線12を介してデータ線駆動回路16から供給されたデータ信号を保持容量26に供給する構成となっている。
TFT素子25は、ゲートがTFT素子24のドレインに接続され、ソースが電源線14に接続され、ドレインが陽極層21に接続されている。そして、TFT素子25は、保持容量26で保持されたデータ信号に応じてオン・オフ状態が決定され、電源線14を介して供給される駆動電流を陽極層21に供給する構成となっている。
データ線12、走査線13及び電源線14は、実表示領域15内において格子状に配置されている。そして、データ線12はデータ線駆動回路16に接続され、走査線13は走査線駆動回路17に接続されている。
基板2は、図3に示すように、例えばガラスなどの透光性材料で構成された基板本体31と、基板本体31上に積層されたゲート絶縁膜32、第1及び第2層間絶縁膜33、34、陽極層21、有機機能層23、陰極層22及び陰極保護膜35とを備えている。また、基板2は、基板本体31上に形成された半導体層36と、ゲート絶縁膜32上に形成されたゲート電極37と、第1層間絶縁膜33上に形成されたソース電極38及びドレイン電極39とを備えている。
第1層間絶縁膜33は、例えばSiO2などの絶縁材料で形成されており、ゲート絶縁膜32上に形成されたゲート電極37を被覆している。
第2層間絶縁膜34は、アクリル系やポリイミド系などの耐熱性絶縁性樹脂材料で形成されており、第1層間絶縁膜33上に形成されたソース電極38及びドレイン電極39を被覆すると共に、上面を平坦化している。また、第2層間絶縁膜34上には、各画素領域11を区画する隔壁40が設けられている。
有機機能層23は、図4に示すように、陽極層21上に順に積層された正孔注入層41、正孔輸送層42、保護層43、赤色発光層(発光層)44、中間層45、青色発光層(発光層)46、緑色発光層(発光層)47及び電子輸送層48を備えている。
正孔輸送層42は、正孔注入層41から注入された正孔を赤色発光層44に向けて輸送する機能を有している。ここで、正孔輸送層42を構成する正孔輸送材料としては、例えばHT320(出光興産株式会社製)などが挙げられる。
第1材料としては、α−NPD(α−ナフチルジアミン)などのアミン系化合物材料が挙げられる。ここで、アミン系化合物材料とは、トリフェニルアミン構造を有し、アルキル基がベンゼン環の形状を有する化合物材料を示す。
また、第2材料としては、ADN(9、10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)などのアセン系化合物材料が挙げられる。ここで、アセン系化合物材料とは、ポリアセン、具体的にはアントラセンやテトラセン、ペンタセンなどの誘導体を示す。
ここで、第1材料の第1及び第2材料に対する混合比は、例えば50重量%であって10重量%以上90重量%以下の範囲内となっている。また、保護層43の膜厚は、例えば5nmであって1nm以上100nm以下の範囲内となっている。
電子輸送層48は、陰極層22から供給された電子を緑色発光層47に向けて輸送する機能を有している。ここで、電子輸送層48を構成する電子輸送材料としては、例えばAlq3(トリス(8−キノリノール)アルミニウム))などが挙げられる。
陰極保護膜35は、図3に示すように、例えばシリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン窒酸化物などのシリコン化合物のような無機化合物で形成されており、製造工程において陰極層22が腐食することを防止する。
ソース電極38は、電源線14に接続されている。また、ドレイン電極39は、TFT素子24のドレイン及び保持容量26に接続されている。これら半導体層36、ゲート電極37、ソース電極38及びドレイン電極39により、TFT素子25が形成される。
カラーフィルタ層53は、画素領域11に対応して配置されており、例えばアクリルなどで形成されて各画素領域11の表示色に対応する色材を含有している。
遮光層54は、各画素領域11の縁部に対応して配置されており、各画素領域11を縁取っている。
なお、基板本体52の内面側に凹部を設け、この凹部に水や酸素を吸収するゲッター剤(例えば、CaO、BaOなど)を配置してもよい。
また、赤色発光層44に到達した電子は、保護層43との界面において滞留する。そして、滞留する電子の一部が、保護層43内に移動する。一方、保護層43内には、正孔輸送層42から正孔が供給される。そして、保護層43内において電子と正孔が再結合する。このとき、保護層43に正孔輸送性材料であるα−NPDより電子耐性に優れ、かつ電子と正孔の再結合により生ずる励起子に対する耐性が高いADNが混合されているため、保護層43が劣化しにくくなる。これにより、正孔輸送層42において電子及び正孔の再結合による劣化が抑制される。
以上のような構成の有機EL装置1は、例えば図5に示すような携帯電話機(電子機器)100の表示部101として用いられる。この携帯電話機100は、表示部101、複数の操作ボタン102、受話口103、送話口104及び上記表示部101を有する本体部を備えている。
このとき、保護層43が正孔輸送性を有していることから、正孔輸送層42から赤色発光層44に向かう正孔の輸送性が維持される。また、第2材料が電子輸送性を有することで、保護層42と赤色発光層44との界面において滞留する電子の一部を保護層42内に移動させて正孔と再結合させ、保護層42と赤色発光層44との界面において電子が過剰に滞留することを抑制できる。
また、赤色発光層44と青色発光層46との間に中間層45を配置することで、赤色発光層44、青色発光層46及び緑色発光層47それぞれにおける発光輝度を調整できる。
そして、保護層43と中間層45とを同一材料で形成することで、有機EL装置1の製造工程を簡略化できる。
また、保護層43の層厚を5nmとすることで、正孔輸送層42の劣化を十分に抑制できると共に、赤色発光層44に対する正孔の輸送性を維持できる。
ここで、実施例1〜3及び比較例1それぞれにおける有機EL装置は、正孔注入層の層厚を20nm、正孔輸送層の層厚を20nm、赤色発光層の層厚を5nm、中間層の層厚を5nm、青色発光層の層厚を15nm、緑色発光層の層厚を15nm、電子輸送層の層厚を20nm、陰極層を構成するLiF膜の膜厚を1nm、陰極層を構成するAl膜の膜厚を150nmとしている。また、実施例1、2における保護層の層厚は5nm、実施例3における保護層の層厚は10nmとなっている。
そして、実施例1の保護層における第1材料であるα−NPDと第2材料であるADNとの混合比は重量比で50:50、実施例2、3の保護層におけるα−NPDとADNとの混合比は重量比で70:30となっている。また、実施例1〜3及び比較例の中間層におけるα−NPDとADNとの混合比は重量比で50:50となっている。
なお、表1において、発光効率の測定時における電流密度は、10mA/cm2となっている。そして、有機EL素子の寿命は、輝度が80%まで低下したときまでの時間を測定している。このとき、有機EL素子における電流密度は、100mA/cm2となっている。また、発光効率と有機EL素子の寿命とは、それぞれ比較例1における測定値を基準とした値を示している。
例えば、保護層の層厚は、1nm以上100nm以下に限られない。
また、保護層は、α−NPDとADNとを混合した構成となっているが、他のアミン系化合物材料とアセン系化合物材料とを混合した構成など、他の正孔輸送性材料と正孔輸送性と電子輸送性をもつ材料とを混合した構成としてもよい。
そして、保護層におけるADNの含有量は、10重量%以上90重量%以下に限られない。
そして、赤色発光層と青色発光層との間に中間層を配置しているが、他の隣り合う2つの発光層の間に中間層を配置してもよく、中間層を配置しなくてもよい。
そして、有機機能層は、陽極層側から赤色発光層、青色発光及び緑色発光層の順に積層した構成となっているが、例えば赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層の順など、他の順番で積層してもよい。また、有機機能層は、赤色、青色及び緑色の光を発光する発光層を組み合わせた構成となっているが、他の波長の光を発光する発光層を複数組み合わせた構成としてもよい。
そして、有機EL装置は、基板の上面側から光を射出するトップエミッション構造となっているが、基板の下面側から光を射出するボトムエミッション構造であってもよい。
Claims (5)
- 基板上に、
第1の電極と、
前記第1の電極上に設けられた正孔輸送層と、
前記正孔輸送層上に設けられた保護層と、
前記保護層上に設けられた第1の発光層と、
前記第1の発光層上に設けられた中間層と、
前記中間層上に設けられた第2の発光層と、
前記第2の発光層上に設けられた第3の発光層と、を備え、
前記保護層は、正孔輸送性を有する第1の材料と、電子輸送性および正孔輸送性を有する第2の材料とを含み、
前記中間層は、前記第1の材料および前記第2の材料により形成されており、
重量比で、前記保護層における前記第1の材料の含有量は、前記第2の材料の含有量よりも大きいことを特徴とする有機EL装置。 - 前記中間層が、正孔輸送性及び電子輸送性を有すると共に、最低非占有分子軌道のエネルギー準位が前記第1の発光層および前記第2の発光層よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
- 前記第1の材料が、アミン系化合物材料であり、
前記第2の材料が、アセン系化合物材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。 - 前記保護層の層厚が、1nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機EL装置。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の有機EL装置を備えることを特徴とする電子機器。
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