JP5102221B2 - 過分極カルボン酸塩の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機アミン及びアミノ化合物の過分極カルボン酸塩を製造するための動的核分極方法並びに該方法で使用するための組成物に関する。
磁気共鳴(MR)イメージング(MRI)は、非侵襲的に、かつ患者及び医療従事者を有害なおそれのある放射線(例えば、X線)に暴露することなく患者の身体又はその一部の画像を得ることができるため、医師にとって特に魅力的なイメージング技法である。高画質の画像が得られるので、MRIは軟組織及び器官の好適なイメージング技法であり、正常組織と病的組織(例えば、腫瘍及び病巣)との識別を可能にする。
MRIは、MR造影剤を使用しても使用しなくても実施できる。しかし、コントラスト増強MRIでは、通常ははるかに微小な組織変化の検出が可能となり、したがってそれは例えば微小な腫瘍や転移のような初期組織変化を検出するための強力なツールとなる。
MRIでは、数種類の造影剤が使用されてきた。水溶性の常磁性金属キレート剤(例えば、Omniscan(商標)(GE Healthcare社)のようなガドリニウムキレート剤)は、広く使用されているMR造影剤である。これらは、低分子量であるため、血管系に投与した場合に細胞外スペース(即ち、血液及び間質組織)中に急速に分布する。これらはまた、比較的速やかに体外に排出される。
他方、血液プールMR造影剤(例えば、超常磁性酸化鉄粒子)は、長時間にわたって血管系内に保持される。これらは、肝臓内のコントラストを高めるばかりでなく、毛細血管の透過性異常(例えば、腫瘍血管形成の結果として生じる腫瘍内の「漏出性」毛細血管壁)を検出するためにも極めて有用であることが判明している。
上述の造影剤が優れた性質を有することは明白であるが、使用時に全く危険を伴わないわけではない。常磁性金属キレートは通常高い安定性定数を有するものの、投与後に体内で毒性金属イオンを放出するおそれがある。さらに、これらの種類の造影剤は低い特異性を示す。
国際公開第99/35508号には、高T剤の過分極溶液をMRI造影剤として使用する患者のMR検査方法が開示されている。「過分極」という用語は、高T剤中に存在するNMR活性核(即ち、非ゼロ核スピンを有する核、好ましくは13C−又は15N−核)の核分極を、室温及び1Tで見出されるレベル(熱分極)を超えるレベルにまで増強させることを意味する。NMR活性核の核分極を増強させると、これらの核の励起核スピン状態と基底核スピン状態との母集団差は顕著に増加し、それによりMR信号強度は100倍以上に増幅される。13C及び/又は15Nが濃縮された過分極高T剤を使用する場合、13C及び/又は15Nの天然存在度は無視できるほどに低いのでバックグラウンド信号からの干渉はほとんど存在せず、したがって画像コントラストは有利に高くなる。通常のMRI造影剤とこれらの過分極高T剤との主な相違点は、前者ではコントラストの差が体内の水プロトンの緩和時間に影響を及ぼすことで誘起されるのに対し、後者の種類の薬剤は得られる信号がもっぱら薬剤に由来しているので非放射性トレーサーと見なし得ることである。
国際公開第99/35508号には、MR造影剤として使用可能な各種の高T剤が開示されている。かかる高T剤としては、酢酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩又はグルコン酸塩、グルコースやフルクトースのような糖、尿素、アミド、グルタミン酸やグリシンやシステインやアスパラギン酸のようなアミノ酸、ヌクレオチド、アスコルビン酸のようなビタミン、ペニシリン誘導体及びスルホンアミドのような非内因性及び内因性化合物が挙げられる。さらに、クエン酸回路のような代謝サイクル中の中間体(例えば、フマル酸及びピルビン酸)は代謝活性のMRイメージング用の好ましい造影剤であることが述べられている。
ヒト及びヒト以外の動物の体内における代謝過程で役割を果たす過分極MR造影剤は、インビボMR検査で組織の代謝状態に関する情報を得るために使用できるので(即ち、代謝活性のインビボイメージングのために有用であるので)大いに興味がある。組織の代謝状態に関する情報は、例えば、健常組織と罹患組織とを識別するために使用できよう。
ピルビン酸塩はクエン酸回路中で役割を果たす化合物であり、過分極13C−ピルビン酸塩から過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩及び過分極13C−アラニンへの転化はヒトの体内における代謝過程のインビボMR研究のために使用できる。過分極13C−ピルビン酸塩は、例えば、国際公開第2006/011810号に詳述されているようなインビボ腫瘍イメージングのため、及び国際公開第2006/054903号に詳述されているようなMRイメージングによって心筋組織の生存度を評価するためのMR造影剤として使用できる。
過分極造影剤の信号は、緩和によって、さらには(患者の身体への投与後には)希釈によっても減衰することを強調しておかなければならない。したがって、生物学的液体(例えば、血液)中における造影剤のT値は十分に長く、薬剤が高度に過分極した状態で患者の体内の標的部位に分布することを可能にするものでなければならない。造影剤が高いT値を有することとは別に、高い分極レベルを達成することも極めて重要でありかつ好ましい。
国際公開第99/35508号にはいくつかの過分極技法が開示されており、その1つが、不対電子を含む化合物である分極剤(又はいわゆるDNP剤)によって試料中のMR活性核の分極を行う動的核分極(DNP)技法である。DNPプロセス中には、通常はマイクロ波放射の形態でエネルギーが供給され、これがまずDNP剤を励起する。基底状態への崩壊に際して、DNP剤の不対電子から試料のNMR活性核への分極の移動が起こる。一般に、DNPプロセスでは中程度の又は高い磁場及び非常に低い温度が使用されており、例えば、液体ヘリウム及び約1T以上の磁場中でDNPプロセスが実施される。別法として、中程度の磁場及び十分な分極増強が達成される任意の温度を使用することもできる。DNP技法は、例えば、国際公開第98/58272号及び同第01/96895号に記載されており、これらの開示内容はいずれも援用によって本明細書の内容の一部をなしている。
DNP剤はDNPプロセスにおいて決定的な役割を果たしており、その選択は達成できる分極レベルに大きな影響を与える。各種のDNP剤(国際公開第99/35508号では「OMRI造影剤」と呼ばれている)が知られている。国際公開第99/35508号、同第88/10419号、同第90/00904号、同第91/12024号、同第93/02711号、同第98/39277号及び同第96/39367号に記載されているような酸素系、硫黄系又は炭素系の安定なトリチルラジカルをDNP剤として使用したところ、各種の物質中に高い分極レベルが得られた。
また、DNPプロセス中におけるDNP剤から試料のNMR活性核への分極の移動のためには、DNP剤及び試料が緊密に接触している必要があることも判明している。さらに、冷却/凍結時にDNP剤/試料混合物の結晶化を防止することも重要である。冷却/凍結時に結晶化する試料中の分極レベルは低いこと、或いは熱分極(即ち、動的核分極プロセス開始前の室温における試料の自然分極)のレベルを超える増強さえ得られないことが判明している。さらに、DNP剤/試料/ガラス形成剤混合物は冷却/凍結時に非晶質固体(「ガラス」)を形成するので、冷却/凍結時に結晶化する試料中の分極レベルはガラス形成剤の添加によって向上させ得ることも判明している。
好適なガラス形成剤は、例えば、グリセロール、プロパンジオール又はグリコールである。しかし、ガラス形成剤の添加は通常は必要最小限に抑えられる。これの添加は試料を「希釈」し、MRIで過分極試料を造影剤として使用する場合のようなある種の用途にとっては不利となるからである。このような場合、過分極試料は高い濃度で患者に投与する必要がある。即ち、DNPプロセスでは高度に濃縮した試料を使用しなければならない。これに関連して述べれば、試料を含む凍結組成物(即ち、DNP剤、試料並びに必要ならばガラス形成剤及び/又は溶媒)の質量はできるだけ小さく保つことが重要である。例えば造影剤として使用するため、DNPプロセス後の固体過分極組成物を液体状態に移行させるのに溶解を用いるならば、大きい質量は溶解プロセスの効率に悪い影響を及ぼすからである。さらに、分極試料を造影剤として使用することが想定されていれば、ガラス形成剤を添加した場合、造影剤を患者に投与する前にこれらの化合物を除去する必要が生じることもある。ガラス形成剤を添加することのもう1つの欠点は、水性キャリヤー中における分極試料の溶解度の低下がしばしば観察されることである。水性キャリヤーは、造影剤として使用することが想定されている過分極試料にとって好ましい溶解媒質である。
かなり多数の代謝活性化合物はカルボン酸塩(即ち、カルボン酸の塩)である。その例は、ピルビン酸塩、乳酸塩、重炭酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、イソクエン酸塩、α−ケトグルタル酸塩及びオキサロ酢酸塩である。これらの化合物はナトリウム塩の形態で容易に(商業的に)入手でき、その大部分は水に溶解しかつDNP剤と混合してDNPプロセス用の組成物を調製することができる。しかし、冷却/凍結時には、これらの混合物は結晶化することがある。これは、ガラス形成剤を添加しなければ、分極カルボン酸塩を代謝活性のMRイメージング用のMR造影剤として使用するには低すぎる分極レベルをもたらす。上述の化合物の一部(例えば、ピルビン酸塩及び乳酸塩)は、酸の形態で分極させることができる。これらの酸は冷却/凍結時に結晶化せず、したがってガラス形成剤の添加が不要だからである。欠点は、DNP剤がこれらの酸中において安定かつ混和可能でなければならないことであり、このような基準は好適なDNP剤の範囲をかなり狭くする。さらに、溶解段階中又はそれ以後において、遊離酸をカルボン酸塩に転化させるために塩基を使用しなければならない。これはまた、強い酸及び塩基に耐え得る消耗品(容器、びん、チューブなど)を必要とする。
国際公開第99/35508号パンフレット 国際公開第2006/054903号パンフレット 国際公開第98/58272号パンフレット 国際公開第01/96895号パンフレット 国際公開第88/10419号パンフレット 国際公開第90/00904号パンフレット 国際公開第91/12024号パンフレット 国際公開第93/02711号パンフレット 国際公開第98/39277号パンフレット 国際公開第96/39367号パンフレット 国際公開第2005/024440号パンフレット 英国特許出願公開第2252245号公報 国際公開第03/089656号パンフレット 国際公開第2006/011809号パンフレット 国際公開第2006/011811号パンフレット
発明者らはこのたび、ガラス形成剤の添加なしにカルボン酸塩を分極させるための方法を見出した。有機アミン及びアミノ化合物のカルボン酸塩は、冷却/凍結時に結晶化しないので、分極させるべき混合物へのガラス形成剤の添加なしに動的核分極を受けることができると判明した。有機アミン及びアミノ化合物との塩の形態でカルボン酸塩を使用することの利点は、分極させるべき混合物にガラス形成剤を添加しなくて済み、したがって分極化合物の「希釈」及び分極試料からのガラス形成剤の除去がもはや問題でないことである。かくして、DNPプロセスではるかに高い濃度のカルボン酸塩を使用できる。カルボン酸塩の直接分極のもう1つの利点は、遊離カルボン酸を分極させる間接経路及び上記段落に概述したこの経路のすべての欠点を回避できることである。この結果、DNP剤がもはや酸中で安定である必要はなくなるので、一層広範囲のDNP剤の使用が可能となる。
かくして一態様から見れば、本発明は、有機アミン又はアミノ化合物の固体過分極カルボン酸塩の製造方法であって、有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩及びDNP剤を含む組成物を調製する段階、並びに該組成物に関して動的核分極を実施する段階を含んでなる方法を提供する。
「カルボン酸塩」という用語は、動的核分極によって過分極させるべき単数の分子状実在物又は複数の分子状実在物(例えば、異種カルボン酸塩の混合物)を意味する。
「過分極」及び「分極」という用語は以後は互換的に使用され、過度の核分極レベルを意味する。好ましくは、「過分極」及び「分極」という用語は0.1%を超え、さらに好ましくは1%を超え、最も好ましくは10%を超える核分極レベルを意味する。
分極レベルは、例えば、過分極試料中のNMR活性核の固体状態NMR測定によって決定できる。例えば、過分極試料中のNMR活性核が13Cであれば、前記試料の固体状態13C−NMRが獲得される。固体状態13C−NMR測定は、好ましくは小さいフリップ角を用いる単パルス獲得NMRシーケンスからなる。過分極試料の信号強度を動的核分極プロセス前の試料の分極レベルと比較する。次いで、DNP前後における試料の信号強度の比から分極レベルを計算する。
同様に、溶解した過分極試料に関する分極レベルは、過分極試料中のNMR活性核の液体状態NMR測定によって決定できる。この場合にも、溶解した過分極試料の信号強度を動的核分極プロセス前の溶解試料の分極レベルと比較する。次いで、DNP前後における試料の信号強度の比から分極レベルを計算する。
「有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩」という用語は、カルボン酸と有機アミン又はアミノ化合物との塩、好ましくはpH中性塩を意味する。本発明の文脈中でのカルボン酸塩は、例えば炭酸、酢酸、パルミチン酸、オレイン酸、ピルビン酸又は乳酸のようなモノカルボン酸の塩であり得る。別の実施形態では、カルボン酸塩は、例えばマレイン酸、フマル酸、コハク酸、マロン酸又はクエン酸のようなジカルボン酸又はポリカルボン酸の塩であり得る。カルボン酸塩がジカルボン酸又はポリカルボン酸の塩である場合には、塩は一カルボン酸塩、二カルボン酸塩又は多カルボン酸塩であり得る。例えば、トリカルボン酸であるクエン酸の場合、カルボン酸塩は、2つの遊離カルボキシル基を有する(一)クエン酸塩、1つの遊離カルボキシル基を有する二クエン酸塩、又は遊離カルボキシル基をもたない三クエン酸塩であり得る。本発明の方法で使用するカルボン酸塩がジカルボン酸又はポリカルボン酸のカルボン酸塩である場合、カルボン酸塩は遊離カルボキシル基をもたないことが好ましい。
好ましいカルボン酸塩は、薬物候補品(好ましくは、例えば2000Da未満の小分子)又は数種の薬物候補品の混合物である。過分極した薬物候補品は、例えばある種のレセプターに対する結合親和性を測定するためのNMRアッセイ或いは酵素アッセイで使用できる。かかるアッセイは国際公開第2003/089656号及び同第2004/051300号に記載されており、これらは好ましくは液体状態NMR分光法の使用に基づいている。これは、薬物候補品を含む過分極固体組成物を、好ましくは溶解又は融解することで分極後に液化しなければならないことを意味している。カルボン酸塩は、同位体濃縮されていてもされていなくてもよい。
別の好ましい実施形態では、カルボン酸塩はMR造影剤であり、過分極カルボン酸塩はMRイメージング及び/又は化学シフトイメージングでの造影剤として使用することが想定されている。この場合、好ましいカルボン酸塩は内因性カルボン酸塩であり、さらに好ましくはヒト又はヒト以外の動物の体内における代謝過程で役割を果たす内因性カルボン酸塩である。これに関連して好ましいカルボン酸塩は、リンゴ酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、重炭酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、オキサロコハク酸塩、α−ケトグルタル酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩及びイソクエン酸塩である。最も好ましいカルボン酸塩は、酢酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩及びピルビン酸塩である。
ヒト又はヒト以外の動物の体内における代謝過程で役割を果たす内因性カルボン酸塩を本発明の方法で使用する場合には、これらの過分極カルボン酸塩はヒト又はヒト以外の動物の体内における代謝活性のインビボ分子MRイメージング及び/又は化学シフトイメージング用のMR造影剤として使用される。これらのカルボン酸塩のうち、ヒト又はヒト以外の動物の体内への移入及びそれに続くイメージングのために十分な長さの時間にわたって分極が維持されるように緩徐な縦緩和を示す分極核を含むものが好ましい。好ましいカルボン酸塩は、0.01〜5Tの磁場強度及び20〜40℃の範囲内の温度で10秒を超え、好ましくは30秒を超え、さらに一段と好ましくは60秒を超える縦緩和時間定数(T)を有する核を含んでいる。
一般に、インビボ分子MRイメージング及び/又は化学シフトイメージング用の造影剤として使用することが想定されるカルボン酸塩は、好ましくは同位体濃縮されたカルボン酸塩である。同位体濃縮は、さらに好ましくは非ゼロスピン核(MR活性核)、好適には15N(有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩のカルボン酸部分に存在する場合)及び/又は13C、さらに好ましくは13Cの同位体濃縮である。同位体濃縮は、カルボン酸塩中の1以上の部位の選択的濃縮又はすべての部位の一様濃縮を含み得る。濃縮は、例えば、化学合成又は生物学的標識で達成できるが、いずれの方法も当技術分野で公知であり、同位体濃縮すべき特定のカルボン酸塩に応じて適当な方法を選択すればよい。
MR造影剤として使用することが想定されているカルボン酸塩の好ましい実施形態は、好ましくは10%以上、さらに好適には25%以上、さらに好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上の濃縮度で、分子のただ1つの位置について同位体濃縮されたカルボン酸塩である。理想的には、濃縮度は100%である。
同位体濃縮のための最適位置は、MR活性核の緩和時間に依存する。好ましくは、カルボン酸塩は長いT緩和時間を有する位置について同位体濃縮される。カルボキシル−C原子、カルボニル−C原子又は第四級C原子の位置で濃縮された13C−濃縮カルボン酸塩が好ましく使用される。
MR造影剤として使用するための特に好ましいカルボン酸塩は、13C−ピルビン酸塩、13C−酢酸塩、13C−乳酸塩、13C−重炭酸塩、13C−3−ヒドロキシ酪酸塩、13C−フマル酸塩及び13C−炭酸塩であり、13C−ピルビン酸塩が最も好ましい。13C−ピルビン酸塩を同位体濃縮する位置は、C1位置(13−ピルビン酸塩)、C2位置(13−ピルビン酸塩)、C3位置(13−ピルビン酸塩)、C1及びC2位置(131,2−ピルビン酸塩)、C1及びC3位置(131,3−ピルビン酸塩)、C2及びC3位置(132,3−ピルビン酸塩)又はC1、C2及びC3位置(131,2,3−ピルビン酸塩)であり得る。C1位置は、13C同位体濃縮のために好ましい位置である。
別の好ましい実施形態では、本発明の方法のカルボン酸塩は固体状態NMR分光法で使用される。この場合、過分極固体カルボン酸塩は、静的又はマジック角スピニング固体状態NMR分光法で分析できる。この実施形態では、特定の性質を有するカルボン酸塩に限定されないカルボン酸塩並びにカルボン酸基を有する任意サイズ及びタイプの分子が本発明の方法におけるカルボン酸塩として使用できる。
前述の通り、「有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩」という用語は、カルボン酸と有機アミン又はアミノ化合物との塩を意味する。本発明の文脈におけるアミンは、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンであり得る。窒素原子の位置にある自由電子対のため、アミンはカルボン酸と反応してカルボン酸陰イオン及び第四級アンモニウム陽イオンを含む塩を生成できる。本発明の文脈におけるアミノ化合物は、非置換アミノ基(即ち、−NH)又は置換アミノ基(即ち、−NHR又は−NR(式中、RはHとは別の任意の残基を意味する。))であり得るアミノ基を含む有機化合物である。アミノ化合物は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基又はスルホン酸基のような他の官能基を含み得る。本発明の文脈では、選択されたカルボン酸と容易に塩を生成するが、他の望ましくない副生物は生成しないアミノ化合物を選択すべきである。好ましいアミノ化合物は、アミン、アミノアルコール(即ち、ヒドロキシル基を含むアミノ化合物)及びアミノスルホン酸であり、最も好ましいアミノ化合物はアミノアルコールである。
本発明の方法において好ましい有機アミン又はアミノ化合物は、低分子量の小分子である。アミン又はアミノ化合物の分子量が小さいほど、分極を受けるべき組成物中における有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩の濃度は高くなる。有機アミン及びアミノ化合物は、好ましくは30〜300g/mol、さらに好ましくは30〜200g/mol、最も好ましくは30〜160g/molの分子量を有する。好適な低分子量有機アミンは、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、イミダゾール及びエチレンジアミンである。好適な低分子量アミノ化合物は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノプロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(TRIS)、リシン、N−メチル−D−グルカミン及びN−(2−アセトアミド)−2−アミノメタンスルホン酸である。これらの化合物のうち、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノプロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、N−メチル−D−グルカミン及びトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(TRIS)が好ましい。
過分極カルボン酸塩をMR造影剤として使用することが想定されていれば、過分極カルボン酸塩は比較的高い濃度で患者に投与する必要があるので、分極させるべき組成物中に高濃度のカルボン酸塩が存在することが重要である。さらに、分極させるべき組成物の質量をできるだけ小さく保つと同時に、組成物中に高濃度のカルボン酸塩を存在させることが有利である。これもまた、低分子量のアミン又はアミノ化合物を選択することで達成できる。分極させるべき組成物の質量を小さく保つことができれば、(例えば、過分極カルボン酸塩を液体NMR又はMRイメージングで使用する場合に)分極後の過分極組成物の溶解は一層効率的に実施できる。
MR造影剤として使用される過分極カルボン酸塩に関しては、生理学的に許容できる有機アミン又はアミノ化合物を選択することが好ましい。かかる化合物は、患者への投与前に(例えば、別の生理学的に許容できる陽イオンとの交換により)過分極カルボン酸塩から除去することが必ずしも必要ないからである。このような場合には、生理学的に許容できるアミノ化合物が好ましく、さらに好ましい実施形態では、生理学的に許容できるアミノアルコール、アミノカルボン酸又はアミノスルホン酸が使用され、最も好ましくは生理学的に許容できるアミノアルコールが使用される。
好ましいアミノアルコールは、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(TRIS)及びN−メチル−D−グルカミン(メグルミン)である。いずれも公知の生理学的に許容できる化合物である。メグルミンは数種のX線及びMR造影剤のイオン性製剤中で陽イオンとして使用される一方、TRISはヒト又はヒト以外の動物に使用又は適用すべき治療薬及び診断薬の液体配合物中で緩衝剤として使用される。
好ましいアミノスルホン酸は、ヒドロキシル基を含むもの、好ましくはN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、さらに好ましくはN−トリス(ヒドロキシメチル)−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、1,4−ピペラジン−ビス−エタンスルホン酸(PIPES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシメチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)及び3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)である。
本発明の方法の好ましい実施形態では、有機アミン又はアミノ化合物のpH中性カルボン酸塩が使用される。かかるpH中性カルボン酸塩を得るためには、有機アミン又はアミノ化合物を、カルボン酸中に存在するすべてのカルボキシル基がカルボン酸塩に転化するようなモル比(即ち、有機アミン又はアミノ化合物のpH中性カルボン酸塩を与えるモル比)でカルボン酸と化合させる。例えば、ピルビン酸をアミノアルコールTRISと反応させる場合、ピルビン酸とTRISとの1:1モル比はおよそpH5のTRIS−ピルベートを与える。したがって、pH中性のTRIS−ピルベートを得るためにはわずかに過剰のTRISを使用しなければならない。
本発明の方法で使用する有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩を得るためには、例えば、有機アミン又はアミノ化合物をカルボン酸に添加することで有機アミン又はアミノ化合物をカルボン酸と化合させる。これは、カルボン酸を含む反応器に有機アミン又はアミノ化合物をゆっくりと添加することで達成できる。化合物の適正な混合を確実にするために反応混合物を撹拌してもよく、また反応器を冷却してもよい。別の実施形態では、有機アミン又はアミノ化合物及びカルボン酸をDNP剤の溶液(好ましくは、DNP剤の水溶液)に添加することができる。さらに、カルボン酸及び/又は有機アミン又はアミノ化合物を溶媒(例えば、水)に溶解してもよい。しかし、溶媒の量は最小限に抑えるべきである。2つの容器からの溶液をT継手に流して確実に混合することで、溶解したカルボン酸及び有機アミン又はアミノ化合物を混合することもできる。必要ならば、溶液を容器から管路又はチューブを通してT継手にポンプ輸送するための手段を使用してもよい。さらに別の実施形態では、カルボン酸の塩(例えば、ナトリウム塩)を水のような溶媒に溶解し、有機アミン又はアミノ化合物の第四級アンモニウム塩を装填したイオン交換カラムに通すことができる。この方法は、同位体標識したカルボン酸塩を本発明の方法で使用する場合に一層好都合であり得る。多くの場合、これらのナトリウム塩は容易かつ商業的に入手できるのに対し、遊離カルボン酸はそうでないからである。さらに、発熱及び化合物の長時間接触が回避されるので、望ましくない副生物の生成が大幅に低減する。溶媒の量を最小限に抑えるためには、カルボン酸塩の製造後、当技術分野で公知の方法によって溶媒を所望の体積まで蒸発させればよい。
好ましい実施形態では、分極させるべき組成物は液体組成物、さらに好ましくは溶解組成物(即ち、有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩及びDNP剤を溶媒又は溶媒混合物に溶解した溶液)である。以後、「溶媒」という用語は溶媒及び溶媒混合物を意味する。溶媒は、カルボン酸塩及びDNP剤が前記溶媒中に可溶であるように選択される。さらに、過分極カルボン酸塩をMR造影剤として使用するのであれば、溶媒は好ましくは製薬学的に許容される水性キャリヤー(例えば、緩衝液又は食塩水或いはさらに好ましくは水)のような生理学的に許容できる溶媒である。好ましい実施形態では、溶媒は溶解組成物を得るために必要な最小限に抑えられる。
本発明の方法で分極させるべき組成物はさらに、DNP法において不可欠なDNP剤を含んでいる。分極させるべきカルボン酸塩中に高い分極レベルを達成するためには、DNP剤は(溶解)カルボン酸塩中で安定かつ可溶でなければならない。これに関連して述べれば、安定なトリチルラジカルが好ましいDNP剤であり、かかる安定な酸素系、硫黄系又は炭素系トリチルラジカルは、例えば、国際公開第99/35508号、同第88/10419号、同第90/00904号、同第91/12024号、同第93/02711号、同第96/39367号、同第98/39277号及び同第2006/011811号に記載されている。
DNP剤の最適選択はいくつかの観点に依存する。前述の通り、カルボン酸塩中に最適の分極レベルを得るためには、DNP剤及びカルボン酸塩は緊密に接触していなければならない。したがって、好ましい実施形態では、DNP剤は(溶解)カルボン酸塩中に可溶である。分極させるべきカルボン酸塩が親油性(親水性)化合物であれば、DNP剤も親油性(親水性)であるべきである。DNP剤がトリチルラジカルであれば、前記トリチルラジカルの親油性又は親水性は、適当な親油性又は親水性残基を選択することによって決定できる。さらに、DNP剤はカルボン酸塩の存在下で安定でなければならない。したがって、カルボン酸塩が反応性基を含むならば、これらの反応性基に対して比較的安定なDNP剤を使用すべきである。上記の説明から、DNP剤の選択が試料の化学的性質に大きく依存することは明らかである。
本発明に係る方法の好ましい実施形態では、カルボン酸塩はピルビン酸塩、さらに好ましくは13C−ピルビン酸塩、最も好ましくは13−ピルビン酸塩であり、有機アミン又はアミノ化合物はTRIS又はメグルミンである。この場合、DNP剤は好ましくは下記式(1)のトリチルラジカルである。
式中、
Mは水素又は1当量の陽イオンを表し、
R1は同一又は相異なるものであって、直鎖又は枝分れC〜C−アルキル基、C〜C−ヒドロキシアルキル基或いは−(CH)−X−R2基(式中、nは1、2又は3であり、XはO又はSであり、R2は直鎖又は枝分れC〜C−アルキル基である。)を表す。
好ましい実施形態では、Mは水素又は1当量の生理学的に許容できる陽イオンを表す。「生理学的に許容できる陽イオン」という用語は、ヒト又はヒト以外の動物の生体が許容できる陽イオンを意味する。好ましくは、Mは水素又はアルカリ陽イオン、アンモニウムイオン又は有機アミンイオン(例えば、メグルミン)を表す。最も好ましくは、Mは水素又はナトリウムを表す。
さらに他の好ましい実施形態では、R1は同一であり、さらに好ましくは直鎖又は枝分れC〜C−アルキル基(最も好ましくはメチル、エチル又はイソプロピル)或いはC〜C−ヒドロキシアルキル基(最も好ましくはヒドロキシメチル又はヒドロキシエチル)である。
さらに他の好ましい実施形態では、R1は同一又は相異なるもの、好ましくは同一であり、−CH−OCH、−CH−OC、−CH−CH−OCH、−CH−SCH、−CH−SC又は−CH−CH−SCH、最も好ましくは−CH−CH−OCHを表す。
かかるトリチルラジカルは、国際公開第88/10419号、同第90/00904号、同第91/12024号、同第93/02711号、同第96/39367号、同第98/39277号及び同第2006/011811号に詳述されているようにして合成できる。
有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩及びDNP剤を含む組成物は、(必要ならば溶媒(好ましくは水)に溶解した)カルボン酸塩及びDNP剤を合わせて均質な混合物を形成することで得られる。別の実施形態では、DNP剤を溶媒(好ましくは水)に溶解し、この溶液にカルボン酸及び有機アミン又はアミノ化合物を好ましくは交互に添加してカルボン酸塩をインサイチュで生成させる。化合物の緊密な混合は、当技術分野で公知のいくつかの手段(例えば、撹拌、渦動又は音波処理)によって促進できる。
好ましい実施形態では、本発明の方法で使用する組成物は、さらに常磁性金属イオンを含んでいる。分極させるべき組成物中における常磁性金属イオンの存在は、カルボン酸塩中の分極レベルを増大させるので好ましい。
本発明の方法で使用する組成物中に含まれる常磁性金属イオンは、原子番号58〜70のランタニド金属或いは原子番号21〜29、42又は44の遷移金属の常磁性金属イオンである。本発明の方法では、単一金属又は異種金属の常磁性金属イオンを使用できる。好ましくは、単一金属の常磁性金属イオンが使用される。好適な常磁性金属イオンには、例えば、Cr3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Nd3+、Sm3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+及びYb3+がある。好ましい実施形態では、常磁性金属イオンはCr3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Gd3+及びTb3+からなる群から選択され、さらに好ましい実施形態では、Cr3+、Mn2+、Fe3+及びGd3+からなる群から選択される。
好適には、常磁性金属イオンはキレート化形態又はそれの塩の形態で使用される。
分極させるべきカルボン酸塩が固体状態NMRを受けることが想定されていれば、常磁性金属イオンは好ましくはそれの塩の形態で使用される。好適な塩は、例えば、CrCl、MnCl、FeCl、FeCl、GdCl又は常磁性金属カルボン酸塩(好ましくは分極させるべきものであるカルボン酸塩)である。したがって、分極させるべきカルボン酸塩が酢酸塩であれば、常磁性金属イオンは好ましくは常磁性金属酢酸塩(例えば、Fe(III)酢酸塩)である。同様に、分極させるべきカルボン酸塩がピルビン酸塩であれば、常磁性金属イオンは好ましくは常磁性金属ピルビン酸塩(例えば、Gd(III)ピルビン酸塩)である。カルボン酸塩中又はカルボン酸塩の溶液中に可溶である塩を選択するのが有利である。別の実施形態では、常磁性金属イオンはキレート化形態で添加できる。
液体状態NMRのため、或いはヒト又は動物の生体内で造影剤として使用するためには、本発明の方法で得られる固体過分極カルボン酸塩を溶解又は融解して溶液又は液体にしなければならない。しかし、かかる溶液又は液体中の遊離常磁性金属イオンは試料中の分極核のT緩和時間を劇的に短縮する。即ち、分極の自然減衰を促進し、それによってカルボン酸塩が高いMR信号強度を与える時間を短縮する。他方、分極させるべきカルボン酸塩をヒト又は動物の生体内で造影剤として使用することが想定されていれば、遊離常磁性金属イオン(最終の注射剤から除去されない場合)はしばしば生理学的に許容されないか又は許容されにくく、したがって望ましくない効果(例えば、毒性効果)を及ぼす。
常磁性金属イオンの上述の効果を解消するためには、常磁性金属イオンをキレート化形態で使用すればよい。その利点は、上述のようなT短縮を回避するため、液体過分極カルボン酸塩からの常磁性キレートの除去をこのような高い時間的プレッシャーの下で実施しなくて済むことである。遊離カルボン酸を分極させる代わりに本発明の方法に係る有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩を使用すれば、キレート化剤中に通常存在する窒素原子及びカルボキシル基のプロトン付加のためにその大部分が遊離カルボン酸中で安定でないかなり広範囲の常磁性キレートを使用することも可能となる。
上述の効果はさらに、常磁性金属イオンをその塩の形態で使用し、過分極カルボン酸塩を溶解又は融解した後に常磁性金属イオンを速やかに除去することでも解消できる。常磁性金属イオンの除去方法は本明細書で後述される。
別の実施形態では、上述の効果は、常磁性金属イオンをその塩の形態で使用し、溶解媒質にキレート化剤を添加して遊離常磁性金属イオンを速やかに錯体化することで解消できる。この場合、溶解媒質中に可溶かつ安定であり、しかも遊離常磁性金属イオンと安定な錯体を速やかに形成するキレート化剤を選択すべきである。
上述の通り、本発明の方法では常磁性金属イオンをキレート化形態で使用できる。本明細書中で「常磁性キレート」はさらに、キレート化形態の常磁性金属イオン(即ち、常磁性金属イオンとキレート化剤との錯体)を意味する。
このような目的のためには各種のキレート化剤が知られている。一般に、N、O、P又はSのようなヘテロ原子をしばしば含む環状及び非環状キレート化剤が使用でき、環状キレート化剤が好ましいものである。好適な非環状キレート化剤は、例えば、DTPA及びそれの化合物(例えば、DTPA−BMA、DTPA−BP、DTPA−BMEA、EOB−DTPA、BOPTA及びMS−325)、EDTA及びそれの化合物(例えば、EDTA−BMA)、DPDP、PLED、HPTA、アミド及びジアミド(例えば、TOGDA)、クリプタンド並びにスルホネートである。好適な環状キレート化剤は、例えば、PCTA−[12]、PCTP−[12]、PCTP−[13]、DOTA、DO3A及びこれらの化合物(例えば、HP−DO3A及びDO3Aブトリオール)である。DOTA、DO3A及びこれらの化合物が好ましい環状キレート化剤である。これらのキレート化剤は当技術分野で公知であり、当業者であればこれらのキレート化剤及びその製法に関する広範な文献を見出すことができる。
別の実施形態では、比較的不活性な化学的実在物であるキレート化剤(例えば、フラーレン又はゼオライト)が使用される。かかるキレート化剤は常磁性金属イオンをかご又はカプセルに封入するものであり、分極させるべきカルボン酸塩が反応性の高いキレート化剤(例えば、前の段落で述べたようなもの)と反応し得る反応性官能基を含む場合に好ましい。
本発明の方法では、常磁性キレートは、単量体常磁性キレート(即ち、キレート化剤及び単一の常磁性金属イオンからなる化学的実在物)又は多量体常磁性キレート(即ち、2以上のサブユニットからなる化学的実在物であって、各サブユニットがキレート化剤及び単一の常磁性金属イオンからなるもの)であり得る。三量体常磁性キレートの例は1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチルフェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオンであり、これはトリアジントリオンコア及び前記コアに結合された3つのサブユニットからなる常磁性キレートであって、各サブユニットが常磁性金属イオンとしてGd3+を含みかつキレート化剤としてDO3Aを含むものである。この三量体常磁性キレートの合成法は、本明細書の実施例部分に記載されている。
上述のDNP剤の場合と同じく、分極させるべきカルボン酸塩は常磁性金属イオンと緊密に接触していなければならない。以下、特記しない限り、「常磁性金属イオン」という用語は塩の形態の常磁性金属イオン及び常磁性キレートの形態の常磁性金属イオンの両方について使用される。カルボン酸塩が溶液状態(即ち、水のような溶媒に溶解された状態)にあるならば、溶解したカルボン酸塩中に可溶な常磁性金属イオンを使用することが好ましい。したがって、DNP剤の場合と同じく、常磁性金属イオン及びカルボン酸塩は好ましくは均質な混合物を形成する。分極させるべきカルボン酸塩が親油性(親水性)化合物であれば、常磁性キレートも親油性(親水性)であるべきである。常磁性キレートの親油性又は親水性は、例えば、適当な親油性又は親水性残基を含むキレート化剤を選択することによって決定できる。さらに、錯体の解離(脱キレート化)は遊離常磁性金属イオンを生じるので、常磁性キレートはカルボン酸塩の存在下で安定であることが好ましい。前述の通り、固体過分極カルボン酸塩を液化した後に遊離常磁性金属イオンを速やかに除去しなければ、常磁性金属イオンは分極の減衰に、したがって液化過分極カルボン酸塩中の分極レベルに有害な影響を及ぼす。分極させるべきカルボン酸塩が反応性基を含むならば、これらの反応性基に対して比較的安定な常磁性金属イオンを使用すべきである。上記の説明から、常磁性金属イオンの選択がカルボン酸塩の化学的性質及びそれの最終用途(固体NMR、液体NMR又は造影剤)に大きく依存することは明らかである。
本発明のもう1つの態様は、液体過分極カルボン酸塩の製造方法であって、有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩、DNP剤及び任意には常磁性金属イオンを含む組成物を調製する段階、該組成物に関して動的核分極を実施する段階、該組成物を液化する段階、並びに任意には液化組成物からDNP剤を除去する段階を含んでなる方法である。
本発明に係る方法を実施するためには、第1の段階は、有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩、DNP剤及び任意には常磁性金属イオンを含む組成物を調製することである。
本発明の方法で使用するカルボン酸塩が溶液状態(例えば、溶媒(好ましくは水性キャリヤー又は水)に溶解した状態)であれば、溶解カルボン酸塩を選択されたDNP剤(好ましくはトリチルラジカル)及び任意には常磁性金属イオンと合わせることで、化合物が緊密に接触した組成物を形成する。さらに好ましくは、選択されたDNP剤及び常磁性金属イオンは溶解カルボン酸塩中に可溶である。緊密な混合は、当技術分野で公知のいくつかの手段(例えば、撹拌、渦動又は音波処理)によってさらに促進できる。別の実施形態では、溶媒(好ましくは水)中におけるDNP剤の溶液を調製し、カルボン酸及び有機アミン又はアミノ化合物を交互に添加して有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩をインサイチュで生成させる。任意には、DNP剤及びカルボン酸塩を含む溶液に常磁性金属イオンを添加して溶解する。さらに別の実施形態では、常磁性金属イオンの溶液(好ましくは水溶液)を調製し、カルボン酸及び有機アミン又はアミノ化合物を交互に添加して有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩をインサイチュで生成させる。次いで、常磁性金属イオン及びカルボン酸塩を含む溶液にDNP剤を添加して溶解する。さらに別の実施形態では、DNP剤及び常磁性金属イオンを溶媒(好ましくは水)に同時又は順次に溶解し、カルボン酸及び有機アミン又はアミノ化合物を交互に添加して有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩をインサイチュで生成させる。
DNP剤としてトリチルラジカルを使用するならば、かかるトリチルラジカルの好適な濃度は組成物中において5〜25mM、好ましくは10〜20mMである。組成物に常磁性金属イオンを添加するならば、かかる常磁性金属イオンの好適な濃度は組成物中において0.1〜6mM(金属イオン)であり、0.5〜4mMの濃度が好ましい。
組成物を調製した後、前記組成物は冷却/凍結される。冷却/凍結は、当技術分野で公知の方法(例えば、液体窒素中で組成物を凍結させること)によって達成できるが、単に組成物をDNP分極装置内に配置するだけでも液体ヘリウムによって組成物は凍結する。
冷却/凍結前に組成物をガス抜きすることができる。ガス抜きは、組成物中にヘリウムガスを(例えば、2〜15分間にわたり)吹き込むことで達成できるが、他の公知常用方法で行ってもよい。
DNP技法は、例えば、国際公開第98/58272号及び同第01/96895号に記載されており、これらの開示内容はいずれも援用によって本明細書の内容の一部をなしている。一般に、DNPプロセスでは中程度の又は高い磁場及び非常に低い温度が使用されており、例えば、液体ヘリウム及び約1T以上の磁場中でDNPプロセスが実施される。別法として、中程度の磁場及び十分な分極増強が達成される任意の温度を使用することもできる。好ましい実施形態では、DNPプロセスは液体ヘリウム及び約1T以上の磁場中で実施される。好適な分極ユニット(=分極装置)は、例えば、国際公開第02/37132号に記載されている。好ましい実施形態では、分極ユニットは低温保持装置(クライオスタット)及び分極手段(例えば、超伝導磁石のような磁場発生手段に取り囲まれた中央のボア内に設置され、導波路によってマイクロ波源に連結されたマイクロ波チャンバー)を含んでいる。ボアは、垂直方向に、少なくとも磁場強度が試料核の分極を引き起こすのに十分な程度(例えば、1〜25T)に高くなっている超伝導磁石付近の領域Pの高さまで延在している。試料(=分極させるべき組成物)用のボアは、好ましくは密封可能であり、低圧(例えば、1ミリバール以下の程度の圧力)まで減圧できる。着脱自在の輸送管のような試料導入手段をボアの内部に収容することができ、この管はボアの頂部から領域Pに位置するマイクロ波チャンバー内の位置まで挿入することができる。領域Pは、液体ヘリウムにより分極が起こるのに十分な低温(好ましくは0.1〜100K、さらに好ましくは0.5〜10K、最も好ましくは1〜5K程度の温度)に冷却されている。試料導入手段は、好ましくは、その上端が、ボア内部の部分減圧状態を保持するのに好適な任意の手段により密封可能である。試料保持カップのような試料保持容器を、試料導入手段の下端の内側に着脱自在に取り付けることができる。試料保持容器は、好ましくは、比熱容量が低くかつ低温特性に優れた軽量材料(例えば、KelF(ポリクロロトリフルオロエチレン)又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン))で作られている。試料容器は、2以上の試料を保持できるように設計することができる。
試料は試料保持容器内に挿入され、液体ヘリウム中に浸漬され、好ましくは周波数約94GHz及び出力200mWでマイクロ波の照射を受ける。分極のレベルは、分極させるべき試料に応じ、例えばマイクロ波照射中に試料の固体NMR信号を獲得することでモニターできる。一般に、NMR信号と時間との関係を示すグラフ中に飽和曲線が得られる。したがって、最適の分極レベルに到達した時点を決定することが可能である。
分極カルボン酸塩をMR造影剤として使用することが想定されていれば、カルボン酸塩を含む組成物は、DNPプロセス後に適当な溶媒又は溶媒混合物(例えば、水、緩衝液又は食塩水のような生理学的に許容できかつ製薬学的に許容される水性キャリヤー)に溶解すること或いは融解することにより、固体過分極状態から液体過分極状態(即ち、液化状態)に移される。溶解が好ましく、溶解方法及びそのために適した装置は国際公開第02/37132号に記載されている。融解方法及び融解のために適した装置は、例えば、国際公開第02/36005号に記載されている。
好ましい実施形態では、有機アミン又はアミノ化合物の過分極カルボン酸塩を含む固体組成物は水又は水性緩衝液に溶解される。さらに好ましい実施形態では、カルボン酸塩は、TRIS、TRICIN又はアミノスルホン酸(例えば、ACES、PIPES、BES、MOPS、HEPES、TES又はHEPPS)のような緩衝剤化合物(上述の緩衝剤化合物のすべてが本発明の定義範囲内の有機アミノ化合物である)のカルボン酸塩であり、固体組成物を水に溶解すればカルボン酸塩の緩衝溶液が得られる。
次の段階では、DNP剤及び任意に存在する常磁性金属イオンを液化組成物から除去できる。過分極カルボン酸塩をMR造影剤として或いはヒト又は動物の生体内における他の用途のために使用することが想定されていれば、DNP剤(好ましくはトリチルラジカル)及び常磁性金属イオンを液化組成物から除去するのが好ましい。
トリチルラジカル及び常磁性金属イオンを部分的に、実質的に又は完全に除去するために有用な方法は、当技術分野で公知である。一般に、適用できる方法はトリチルラジカル及び常磁性金属イオンの性質に依存する。固体過分極組成物を溶解すると、トリチルラジカル及び/又は常磁性金属イオンが沈殿する場合があり、その場合には濾過により液体から容易に除去することができる。沈殿が生じなければ、トリチルラジカル及び常磁性金属イオンは、クロマトグラフィー分離技法、例えば、逆相クロマトグラフィー又はイオン交換クロマトグラフィーのような液相クロマトグラフィー、(固相)抽出、或いは当技術分野で公知の他のクロマトグラフィー分離方法によって除去することができる。一般に、液体カルボン酸塩中の分極はT緩和によって減衰するので、トリチルラジカル及び常磁性金属イオンの両方を一段階で除去できる方法を使用することが好ましい。望ましくない化合物が液体カルボン酸塩から速やかかつ効率的に除去されるほど、カルボン酸塩中に保持される分極レベルは高くなる。したがって、カルボン酸塩、トリチルラジカル及び常磁性金属イオンを緊密に接触させるという観点からばかりでなく、速やかな除去の観点からも、同様な化学的性質を有する(例えば、共に親油性又は親水性の化合物である)トリチルラジカル及び常磁性金属イオンを選択するのが有利である。例えば、親油性のトリチルラジカル及び親油性の常磁性キレートを使用すれば、単一のクロマトグラフィーカラム上での逆相液体クロマトグラフィーによって両化合物を除去することができる。
(例えば、常磁性金属塩の使用のために)液化組成物中に遊離常磁性金属イオンが存在すれば、これらのイオンは好ましくは陽イオン交換カラム又はO.Vigneau et al.(Anal.Chim.Acta 435(1),2001,75−82)によって開示されているようなイオン性インプリント樹脂を使用することで除去される。別の使用可能な方法は、A.Sorin et al.(J.Membrane Science 267(1−2),2005,41−49)によって開示されているような、帯電有機膜上への遊離常磁性金属イオンの選択的錯体化によるナノ濾過である。さらに、S.Donald et al.(J.Inorg.Biochem.56(3),1994,167−171)によって開示されたものに類似するアフィニティクロマトグラフィーによっても遊離常磁性金属イオンを液化組成物から除去できる。
トリチルラジカルは特徴的なUV/可視吸収スペクトルを有するので、それの除去後に液体組成物中におけるトリチルラジカルの有無を確認する方法としてUV/可視吸光測定を使用することが可能である。定量的な結果(即ち、液体組成物中に存在するトリチルラジカルの濃度)を得るために、液体組成物の試料による特定波長の吸収から試料中の対応するトリチルラジカル濃度が得られる様に分光計を校正すればよい。トリチルラジカルの除去は、液体過分極カルボン酸塩が、ヒト又はヒト以外の動物の身体のインビボMRイメージング用の造影剤として使用される場合に特に好ましい。
常磁性金属イオン(分極させる組成物中に存在していた場合)及び/又はトリチルラジカルの除去後、残留常磁性金属イオン及び/又はトリチルラジカルの有無について液体試料を検査することができる。
キレートが(強い)発色団を含むならば、常磁性キレートの有無を確認するための方法として蛍光又はUV/可視吸収測定を使用できる。キレート中に電気活性部分が存在するならば、常磁性キレートの有無を確認するための別の方法は電気化学的検出である。
組成物中に常磁性金属塩を使用した場合には、液体組成物からのそれの除去後に遊離常磁性金属イオンの有無を確認するために蛍光測定を使用できる。例えば、Gd3+塩を使用する場合には、高い特異性をもって遊離Gd3+を検出するための方法として、励起波長275nmでの蛍光及び314nmでの発光のモニタリングを使用できる。さらに、測色剤PAR(4−(2−ピリジルアゾ)レソルシノール)との錯体化後、530〜550nmでの可視吸光度によって遊離Gd3+を検出できる。他の常磁性金属イオンに適する他の測色剤は当技術分野で公知であり、同様にして使用できる。
本発明に係る方法の好ましい実施形態では、組成物は13C−ピルビン酸塩(好ましくはTRIS又はメグルミンの13−ピルビン酸塩)、トリチルラジカル(好ましくは式(1)のトリチルラジカル)、及び常磁性金属イオンとしてGd3+を含む常磁性キレート或いはGdCl又はGdピルビン酸塩のようなGd3+塩を含んでいる。好ましくは、Gdキレート又はGd塩を溶媒(好ましくは水)に溶解し、前記溶液に13−ピルビン酸塩及びTRIS又はメグルミンを好ましくは交互に添加することで組成物が調製される。次の段階では、式(1)のトリチルラジカルが溶液に添加され、こうして得られた組成物が冷却/凍結される。動的核分極の後、固体過分極組成物は水性キャリヤー(好ましくは水)に溶解される。
常磁性金属イオンとしてGd3+塩を使用した場合には、溶解13C−ピルビン酸塩からGd3+イオンをできるだけ速やかに除去することが重要である。好適な方法は、陽イオン交換カラム又はO.Vigneau et al.(Anal.Chim.Acta 435(1),2001,75−82)によって開示されているようなイオン性インプリント樹脂の使用による除去である。別の使用可能な方法は、A.Sorin et al.(J.Membrane Science 267(1−2),2005,41−49)によって開示されているような、帯電有機膜上への遊離Gd3+の選択的錯体化によるナノ濾過である。さらに、S.Donald et al.(J.Inorg.Biochem.56(3),1994,167−171)によって開示されているようなアフィニティクロマトグラフィーによっても遊離Gd3+を除去できる。別の実施形態では、溶解媒質は、遊離Gd3+イオンを錯体化できる1種以上の化合物(例えば、EDTA、DTPA又はそれの化合物(例えば、DTPA−BMA)のようなキレート化剤)を含んでいる。こうして得られたGdキレートは、次の段落に記載するようにして溶解13C−ピルビン酸塩から除去できる。
常磁性金属イオンとしてGdキレートを使用し、かつ式(1)のトリチルラジカルを使用した場合には、キレートは逆相液体クロマトグラフィーを用いて除去でき、これは式(1)のトリチルラジカルの同時除去も可能にする。
精製した溶解カルボン酸塩中に残留する遊離Gd3+、Gdキレート及び式(1)のトリチルラジカルの有無を確認するために好適な方法は本明細書(原文)22/23頁に記載されている。
本発明の方法に従って製造される液体過分極13C−ピルビン酸塩は、「通常の」MR造影剤(即ち、解剖学的イメージングに関して優れたコントラスト増強を与えるもの)として使用できる。本発明の方法に従って製造される液体過分極13C−ピルビン酸塩のさらなる利点は、ピルビン酸塩が内因性化合物であって、高濃度で存在した場合にも人体が十分に許容し得るということである。クエン酸回路中の前駆体として、ピルビン酸塩は人体内において代謝上重要な役割を果たしている。ピルビン酸塩は様々な化合物に転化される。即ち、それのアミノ基転移はアラニンを生じ、酸化的脱炭酸によってピルビン酸塩はアセチル−CoA及び重炭酸塩に転化され、ピルビン酸塩の還元は乳酸を生じ、それのカルボキシル化はオキサロ酢酸塩を生じる。
さらに、過分極13C−ピルビン酸塩から過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩(13−ピルビン酸塩、131,2−ピルビン酸塩又は131,2,3−ピルビン酸塩の場合のみ)及び過分極13C−アラニンへの転化は、人体内の代謝過程のインビボMR研究に使用できる。37℃のヒト全血液中における13C−ピルビン酸塩のT緩和時間は約42秒であるが、過分極13C−ピルビン酸塩から過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩及び過分極13C−アラニンへの転化は速く、出発化合物である13C−ピルビン酸塩及びそれの代謝産物からの信号検出は十分に可能であることが判明している。アラニン、重炭酸塩及び乳酸塩の量は、研究対象である組織の代謝状態に依存する。過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩及び過分極13C−アラニンのMR信号強度は、これらの化合物の量及び検出時における分極の残存率に関係しているので、過分極13C−ピルビン酸塩から過分極13C−乳酸塩、過分極13C−重炭酸塩及び過分極13C−アラニンへの転化をモニターすることにより、非侵襲的なMRイメージングを用いたヒト又はヒト以外の動物の体内における代謝過程をインビボで調べることが可能である。
様々なピルビン酸代謝産物に由来するMR信号振幅は、組織の種類に応じて異なることが判明している。アラニン、乳酸塩、重炭酸塩及びピルビン酸塩によって形成される特有の代謝ピークパターンは、検査対象である組織の代謝状態に関するフィンガープリントとして使用でき、したがって健常組織と腫瘍組織との識別が可能になる。これにより、本発明に係る組成物はインビボMR腫瘍イメージングのための優れた薬剤となる。腫瘍イメージングのためのピルビン酸塩の使用は、国際公開第2006/011810号に詳述されている。
さらに、心臓イメージングのための過分極13C−ピルビン酸塩の使用は、国際公開第2006/054903号に記載されている。
本発明の別の態様は、有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩、DNP剤、好ましくはトリチルラジカル、及び任意には常磁性金属イオンを含んでなる組成物である。好ましい実施形態では、本組成物は有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩、DNP剤、好ましくはトリチルラジカル、及び常磁性金属イオンを含んでなる。
本発明のさらに別の態様は、有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩、DNP剤、好ましくはトリチルラジカル、及び任意には常磁性金属イオンを含んでなる、動的核分極で使用するための組成物である。好ましい実施形態では、本組成物は有機アミン又はアミノ化合物のカルボン酸塩、DNP剤、好ましくはトリチルラジカル、及び常磁性金属イオンを含んでなる、動的核分極で使用するためのものである。
本発明のさらに別の態様は、有機アミン又はアミノ化合物の過分極カルボン酸塩を含んでなる組成物であって、動的核分極によって得られる組成物である。
本発明のさらに別の態様は、有機アミン又はアミノ化合物の過分極カルボン酸塩を含んでなる、MR造影剤として使用するための組成物であって、動的核分極によって得られる組成物である。
本発明のさらに別の態様は、有機アミン又はアミノ化合物の過分極カルボン酸塩、DNP剤、好ましくはトリチルラジカル、及び任意には常磁性金属イオンを含んでなる組成物であって、動的核分極によって得られる組成物である。好ましい実施形態では、本組成物は有機アミン又はアミノ化合物の過分極カルボン酸塩、DNP剤、好ましくはトリチルラジカル、及び常磁性金属イオンを含んでなる、動的核分極によって得られるものである。
例1 13 −ピルビン酸ナトリウム、トリチルラジカル及び水を含む組成物の動的核分極(比較例)
128.3mgの13−ピルビン酸ナトリウムを244.1mgの水に溶解した。国際公開第98/39277号の実施例7に記載されているようにして製造したトリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエチル)ベンゾ[1,2−d:4,5d’]−ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩を添加することで、トリチルラジカルが15.2mMの組成物を得た。組成物を試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.950GHz)を照射して組成物を分極させた。2.5時間後、分極を停止した。
固体状態分極を固体状態13C−NMRで測定した。固体状態13C−NMR測定は、小さいフリップ角を用いる単パルス獲得NMRシーケンスからなっていた。動的核分極試料の信号強度を、熱分極試料(即ち、動的核分極プロセス開始前の室温における試料の自然分極)と比較した。熱分極試料の信号強度と動的核分極試料の信号強度との比から分極を計算した。その結果、組成物の固体状態分極は組成物の熱分解と同一であり、これは組成物中に存在する13C核の核スピン分極がDNP分極によって増強できないことを意味していた。
例2 13 −ピルビン酸ナトリウム、トリチルラジカル、ガラス形成剤及び水を含む組成物の動的核分極(比較例)
128.3mgの13−ピルビン酸ナトリウムを244.1mgの水に溶解し、309.3mgのグリセロールを添加して全体積を540μlにした。例1のトリチルラジカル11.2mgを添加してトリチルラジカルが15.2mMの組成物を得た。組成物は14.6%(w/w)のピルビン酸塩を含んでいたが、これは得ることができる最も濃縮されたピルビン酸ナトリウム混合物である。組成物のアリコート102.4μlを試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.950GHz)を照射して組成物を分極させた。2.5時間後、分極を停止し、固体組成物を1リットル当たり100mgのEDTAを含む水に溶解した。
液体状態分極を400MHzでの液体状態13C−NMRで測定したところ、9.6%であった。したがって、ガラス形成剤を添加すれば、組成物中に存在する13C核の核スピン分極をDNP分極によって増強することができた。
例3 TRIS− 13 −ピルベート、トリチルラジカル及び水を含む組成物の動的核分極
78.4mg(0.65mmol)のTRISを51.3mgの水中の64.3mg(純度90%、0.65mmol)の13−ピルビン酸と混合して体積160μlの透明な溶液とした。例1のトリチルラジカルを添加してトリチルラジカルが15.2mMの組成物を得た。組成物は30%(w/w)のピルビン酸塩を含んでいた。組成物のアリコート136.6mgを試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.950GHz)を照射して組成物を分極させた。2.5時間後、分極を停止し、固体組成物を1リットル当たり100mgのEDTAを含む水に溶解した。
液体状態分極を400MHzでの液体状態13C−NMRで測定したところ、10.5%であった。したがって、TRIS−13−ピルベートを製造すれば、組成物中に存在する13C核の核スピン分極をDNP分極によって例2の組成物とほぼ同じレベルまで増強することができた。しかし、例3の組成物は2倍を超える量のピルビン酸塩を含んでいる。もしピルビン酸塩をMR造影剤として使用するつもりであれば、添加されたガラス形成剤を患者への投与前に除去しなくて済む。
例4 1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(10)のGdキレートの製造
4a)2−メチル−4−ニトロフェニルイソシアネート(1)の製造
2−メチル−4−ニトロアニリン(35.0g、230mmol)を酢酸エチル(400ml)に溶解し、0℃に冷却した。ホスゲン(180ml、トルエン中20%)を30分間にわたり滴下したところ、直ちに白色の塩が沈殿した。最後の添加後、温度をゆっくりと室温に上昇させ、次いで反応混合物を還流させた(約100℃)。2時間30分の還流後、200mlの溶媒を留去してから温度を80℃に低下させ、ホスゲン(140ml、トルエン中20%)を滴下した。最後の添加後、反応溶液を3時間還流し、室温まで放冷し、濃縮乾固した。褐色/黄色の物質をジエチルエーテル(250ml)に溶解し、濾過し、濃縮して淡褐色の粉末(36g、88%)を得た。
4b)1,3,5−トリス(4−ニトロ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(2)の製造
250mlフラスコ内の2−メチル−4−ニトロフェニルイソシアネート(36.0g)にDMSO(50ml)を添加し、プラスチッククリップで所定の位置に保持したガラス栓でフラスコを密封した。直ちにフラスコを85℃に加熱した油浴内に降下させ、暗褐色の反応溶液を16時間30分加熱した。油浴を取り除き、反応溶液を室温まで放冷してから水(800ml)中に注ぎ込み、音波処理し、沈殿を濾別した。濾過ケークをエタノール(500ml)に添加して4時間還流し、次いで室温まで放冷し、生成物を濾別してオフホワイトの粉末(28.1g、78%)を得た。
4c)1,3,5−トリス(4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(3)の製造
1,3,5−トリス(4−ニトロ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(2.86g、5.4mmol)をTHF(70ml)に溶解した。HCl(4.5ml、6M)、水(18ml)及びPd/C(0.6g、10%)を添加した。反応器を排気し、3回のサイクルでアルゴンを満たした後、Parr水素添加装置上で水素添加した(60psi)。2時間後、膜ポンプで過剰の水素を排気し、Pd/C(10%)を濾別した。透明な反応溶液をTHFが残留しなくなるまで濃縮し、NaHCO(約3.7g)でpHを7に調整した。水性相を酢酸エチル(3×100ml)で抽出し、合わせた有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して褐色の粉末を得た。粗生成物をメタノールから再結晶することで、生成物をオフホワイトの粉末(1.9g、80%)として得た。
4d)1,3,5−トリス(4−ホルムアミド−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(4)の製造
氷冷した500ml丸底フラスコにギ酸(175ml)を入れた。無水酢酸(15ml、0.16モル)を添加し、黄色の溶液をアルゴン下において0℃で1時間撹拌した。この溶液にトリアミン(8.7g、0.020モル)を添加し、氷浴を取り除いた。アルゴン下において室温で30分間撹拌した後、HPLCは反応の完了を示した。溶媒を真空中で除去し、褐色の粘着性残留物をHO中に懸濁して濾別した。次に、HOで十分に洗浄することですべての酸を確実に除去した。生成物は淡褐色の固体(10.2g、99%)であった。
4e)1,3,5−トリス(N−ホルミル−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(5)の製造
すべてのガラス器具はオーブン内で注意深く乾燥し、DMFは4Åモレキュラーシーブ上で乾燥した。500ml丸底フラスコ内で、(10.2g、0.0193モル)のDMF溶液(115ml)にLi(MeSi)N(116ml、0.116モル、ヘキサン中1M)を添加した。淡褐色の溶液から赤れんが色のスラリーに変わった反応混合物をアルゴン下で1時間撹拌した。ヨウ化メチル(12.2ml、0.196モル)を添加し、反応混合物を2時間又はHPLCでメチル化の完了が示されるまで撹拌した。次に、回転蒸発器でヘキサンを除去し、激しく撹拌しながら残留物をNaHPO溶液(1300ml、100mM)中に注ぎ込んだ。生成したの沈殿を淡色の固体(6.7g、60%)として濾別した。
4f)1,3,5−トリス(N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(6)の製造
ジオキサン(52ml)、HCl(52ml、6M)及び(6.5g、11mmol)を250ml丸底フラスコ内で混合して淡色のスラリーを得た。反応混合物をアルゴン下で30分間加熱還流した。黄色になった溶液を室温まで放冷し、次に回転蒸発器で溶媒を除去した。次いで、橙色の残留物を500mlのHOに溶解し、激しく撹拌しながらNaHCO溶液(飽和)で中和した。生成した沈殿を濾別し、HOで数回洗浄して淡色の固体(4.7g、84%)を得た。
4g)1,3,5−トリス(N−クロロアセチル−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(7)の製造
100ml丸底フラスコ内で、(4.6g、9.5mmol)をDMA(15ml)に溶解し、クロロアセチルクロリド(2.6ml、33mmol)を撹拌しながら0℃で添加した。反応混合物をアルゴン下において室温で30分間又はHPLCがクロロアセチル化の完了を示すまで撹拌した。次に、機械的に激しく撹拌しながら、水(500ml)を入れた大形ビーカー内にスラリーを注ぎ込んだ。生成した沈殿を濾別し、0.3mbarの真空中で乾燥した(6.3g)。淡色の固体を70mlのアセトニトリルに溶解し、機械的に激しく撹拌しながら500mlのHO中に注ぎ込んだ。生成した沈殿を濾別し、デシケーター内に放置して乾燥した(6.1g、89%)。
4h)1,3,5−トリス(N−(DO3A−t−ブチルエステル−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(8)の製造
50ml丸底フラスコ内で、(0.50g、0.70mmol)をDO3A−t−ブチルエステル(2.5g、4.2mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(910μl、5.2mmol)及びアセトニトリル(15ml)と共に懸濁した。音波処理後、LC/MSがカップリングの完了を示すまで、反応混合物をアルゴン下において75℃で撹拌した。次に、回転蒸発器で溶媒を除去し、粗生成物(2.9g)を次の反応で使用した。
4i)1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオン(9)の製造
の粗生成物(1.9g)をTFA(130ml)及びCHCl(130ml)に溶解し、アルゴン下において50℃で撹拌した。溶液を1時間又はLC/MSが脱保護の完了を示すまで撹拌した。次に、回転蒸発器で溶媒を除去し、残留物を真空中で1晩乾燥した。次に、粗生成物(2.4g)を最終段階で使用した。
4j)1,3,5−トリス(N−(DO3A−アセトアミド)−N−メチル−4−アミノ−2−メチル−フェニル)−[1,3,5]トリアジナン−2,4,6−トリオンのガドリニウムキレート(10)の製造
の粗生成物(2.4g)を水に溶解し、撹拌しながらGd(OAc)(1.4g、4.2mmol)を添加した。次に、真空(0.3mbar)を加え、LC/MSで反応を連続的に監視した。錯体化の完了が検出されたならば、溶媒を真空中で除去した。次に、3.1gの組成物を分取用HPLCで精製した(410mg、から42%)。
例5 トリチルラジカルであるトリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(メトキシエチル)ベンゾ[1,2−4,5’]−ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩の合成
国際公開第98/39277号の実施例7に従って合成したトリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエチル)ベンゾ[1,2−4,5’]−ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩10g(70mmol)をアルゴン雰囲気下で280mlのジメチルアセトアミド中に懸濁した。水素化ナトリウム(2.75g)、次いでヨウ化メチル(5.2ml)を添加し、わずかに発熱性の反応を34℃の水浴中で1時間(60分間)進行させた。水素化ナトリウム及びヨウ化メチルの添加は、それぞれ同量の化合物を用いて2回繰り返した。最後の添加後、混合物を室温で68時間撹拌し、次いで500mlの水中に注ぎ込んだ。40mlの1M NaOH(水溶液)を用いてpHをpH>13に調整し、混合物を周囲温度で15時間撹拌することで生成したメチルエステルを加水分解した。次に、50mlの2M HCl(水溶液)を用いて混合物を約2のpHに酸性化し、酢酸エチル(500ml及び2×200ml)で3回抽出した。合わせた有機相をNaSO上で乾燥し、次いで蒸発乾固させた。水(200ml)を残留物に添加し、0.1M NaOH(水溶液)を用いてpHを注意深く7に調整したが、この過程中に残留物は徐々に溶解した。中和後、水溶液を凍結乾燥した。
例6 13 −ピルビン酸、トリチルラジカル、Gdキレート及び水を含む組成物の動的核分極(比較例)
例5のトリチルラジカルを13−ピルビン酸に溶解することで、トリチルラジカルが18.9mMの組成物43mgを調製した。例4のGdキレートを添加することで、例4のGdキレートが0.63mM(即ち、Gd3+が1.89mM)の組成物を得た。組成物を均質になるまで混合し、試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.950GHz)を照射して組成物を分極させた。2時間後、分極を停止し、国際公開第02/37132号記載の溶解装置を用いて組成物を水酸化ナトリウム及びTRISの水溶液に溶解することで、40mM TRIS緩衝液中に約78mMの総ピルビン酸塩濃度を有する過分極13−ピルビン酸ナトリウムの中性溶液を得た。
液体状態分極を400MHzでの液体状態13C−NMRで測定したところ、44.7%であった。
例7 TRIS− 13 −ピルベート、トリチルラジカル、Gdキレート及び水を含む組成物の動的核分極
例4のGdキレートの10mM水溶液11.7mgを水で希釈して総重量40.1mgにした。この溶液に79.0mg(0.65mmol)のTRIS及び57.6mg(純度90%、0.65mmol)の13−ピルビン酸を添加した。体積160μlの透明な溶液が得られるまで混合物を撹拌した。例1のトリチルラジカル3.47mgを溶液に溶解することで、トリチルラジカルが15mMの組成物を得た。組成物は29%(w/w)のピルビン酸塩を含み、例4のGdキレートが0.7mM(即ち、Gd3+が2.1mM)であった。組成物のアリコート137.4mgを試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.950GHz)を照射して組成物を分極させた。2.5時間後、分極を停止し、固体組成物を1リットル当たり100mgのEDTAを含む水に溶解した。
液体状態分極を400MHzでの液体状態13C−NMRで測定したところ、36.9%であった。36.9%の液体状態分極が得られた。したがって、ピルビン酸ではなくTRIS−ピルベートを分極させれば、組成物中に存在する13C核の核スピン分極をDNP分極によってピルビン酸中で得られる分極の約4/5にまで増強することができた。しかし、純ピルビン酸中の高酸性条件が回避でき、しかもピルビン酸がGdキレート及び/又はトリチルラジカルと反応して組成物中に望ましくない副生物を生成することがもはや問題にならないので、分極させるべき組成物中に一層広範囲のGdキレート及びトリチルラジカルを使用することができる。
例8 TRIS− 13 −D −フマレート、トリチルラジカル及び水を含む組成物の動的核分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカルであるトリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩を、17μlの水に溶解した0.21mmolの13−D−フマル酸及び0.24mmolのTRISの混合物に溶解することで、トリチルラジカルが10mMの組成物を調製した。渦動、軽加熱及び超音波の組合せによって組成物を均質になるまで混合し、試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.890GHz)を照射して組成物を分極させた。3時間後、分極を停止した。
例1に記載したようにして実施した固体状態13C−NMRで固体状態分極を測定したところ、220(積分値/mmol−13C)であった。
例9 TRIS− 13 −D −フマレート、トリチルラジカル、Gdキレート及び水を含む組成物の動的核分極
別の実験では、国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカルであるトリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩を、17μlの水に溶解した0.21mmolの13−D−フマル酸及び0.24mmolのTRISの混合物に溶解することで、トリチルラジカルが10mMの組成物を調製した。さらに、例4のGdキレートを添加することでGdキレートが0.7mM(即ち、Gd3+が2.1mM)の組成物を得た。渦動、軽加熱及び超音波の組合せによって組成物を均質になるまで混合し、試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.890GHz)を照射して組成物を分極させた。3時間後、分極を停止した。
例1bに記載したようにして実施した固体状態13C−NMRで固体状態分極を測定したところ、630(積分値/mmol−13C)であった。
例10a 過分極TRIS− 13 −フマレートの溶液の製造
国際公開第02/37132号記載の溶解装置を用いて例8の分極固体組成物を水酸化ナトリウムの水溶液に溶解することで、40mM TRIS緩衝液中に約40mMの総フマル酸塩濃度を有する過分極TRIS−13−フマレートの中性溶液を得た。
液体状態分極を400MHzでの液体状態13C−NMRで測定したところ、9%であった。
例10b 過分極TRIS− 13 −フマレートの溶液の製造
国際公開第02/37132号記載の溶解装置を用いて例9の分極固体組成物を水酸化ナトリウムの水溶液に溶解することで、40mM TRIS緩衝液中に約40mMの総フマル酸塩濃度を有する過分極TRIS−13−フマレートの中性溶液を得た。
液体状態分極を400MHzでの液体状態13C−NMRで測定したところ、23%であった。
例11 TRIS− 13 −アセテート、トリチルラジカル及び水を含む組成物の動的核分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカルであるトリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩を、0.199mmolのTRIS−13−アセテート及び13μlの水の混合物に溶解することで、トリチルラジカルが10mMの組成物を調製した。渦動、軽加熱及び超音波の組合せによって組成物を均質になるまで混合し、試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.890GHz)を照射して組成物を分極させた。3時間後、分極を停止した。
例1に記載したようにして実施した固体状態13C−NMRで固体状態分極を測定したところ、195(積分値/mmol−13C)であった。
例12 TRIS− 13 −アセテート、トリチルラジカル、Gdキレート及び水を含む組成物の動的核分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカルであるトリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩を、0.199mmolのTRIS−13−アセテート及び13μlの水の混合物に溶解することで、トリチルラジカルが10mMの組成物を調製した。さらに、例4のGdキレートを添加することでGdキレートが0.2mM(即ち、Gd3+が0.6mM)の組成物を得た。渦動、軽加熱及び超音波の組合せによって組成物を均質になるまで混合し、試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.890GHz)を照射して組成物を分極させた。3時間後、分極を停止した。
例1に記載したようにして実施した固体状態13C−NMRで固体状態分極を測定したところ、450(積分値/mmol−13C)であった。
例13 TRIS− 13 −グルタメート、トリチルラジカル、Gdキレート及び水を含む組成物の動的核分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカルであるトリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩を、0.06mmolの13−グルタミン酸、74μmolのTRIS及び7μlの水の混合物に溶解することで、トリチルラジカルが16mMの組成物を調製した。さらに、例4のGdキレートを添加することでGdキレートが0.3mM(即ち、Gd3+が0.9mM)の組成物を得た。渦動、軽加熱及び超音波の組合せによって組成物を均質になるまで混合し、試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.890GHz)を照射して組成物を分極させた。3時間後、分極を停止し、国際公開第02/37132号記載の溶解装置を用いて組成物を水溶液に溶解することで、約10mMの総濃度を有する過分極TRIS−13C−グルタメートの中性溶液を得た。
液体状態分極を400MHzでの液体状態13C−NMRで測定したところ、25%であった。
例14 TRIS− 13 −アスパルテート、トリチルラジカル、Gdキレート及び水を含む組成物の動的核分極
国際公開第97/09633号の実施例29に従って合成したトリチルラジカルであるトリス(8−カルボキシ−2,2,6,6−テトラ(ヒドロキシエトキシ)メチルベンゾ[1,2−d:4,5−d’]−ビス−(1,3)ジチオール−4−イル)メチルナトリウム塩を、0.058mmolの13−アスパラギン酸、72μmolのTRIS及び7μlの水の混合物に溶解することで、トリチルラジカルが16mMの組成物を調製した。さらに、例4のGdキレートを添加することでGdキレートが0.3mM(即ち、Gd3+が0.9mM)の組成物を得た。渦動、軽加熱及び超音波の組合せによって組成物を均質になるまで混合し、試料カップに入れ、DNP分極装置内に挿入した。DNP条件下、3.35Tの磁場中において1.2Kでマイクロ波(93.890GHz)を照射して組成物を分極させた。3時間後、分極を停止し、国際公開第02/37132号記載の溶解装置を用いて組成物を水溶液に溶解することで、約10mMの総濃度を有する過分極TRIS−13C−アスパルテートの中性溶液を得た。
液体状態分極を400MHzでの液体状態13C−NMRで測定したところ、16%であった。

Claims (14)

  1. カルボン酸と有機アミン又はアミノ化合物過分極カルボン酸塩、DNP剤及び任意には常磁性金属イオンを含んでなる組成物であって、前記カルボン酸のカルボン酸塩が内因性であって 13 C−濃縮されており、前記有機アミン又はアミノ化合物が分子量30〜300g/molの生理学的に許容できるアミノアルコールである、組成物
  2. 動的核分極で得られる、請求項1記載の組成物。
  3. 前記カルボン酸塩がト又はヒト以外の動物の体内における代謝過程で役割を果た、請求項1又は請求項記載の組成物。
  4. 前記カルボン酸塩がルボキシル−C原子、カルボニル−C原子又は第四級C原子の位置 13C−濃縮されている、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の組成物。
  5. 前記DNP剤が安定な酸素系、硫黄系又は炭素系トリチルラジカルである、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の組成物。
  6. 前記トリチルラジカルが次の式(1)のラジカルである、請求項記載の組成物。
    (式中、
    Mは水素又は1当量の陽イオンを表し、
    R1は同一又は相異なるものであって、直鎖又は枝分れC1〜C6−アルキル基、C1〜C6−ヒドロキシアルキル基或いは−(CH2)n−X−R2基(式中、nは1、2又は3であり、XはO又はSであり、R2は直鎖又は枝分れC1〜C4−アルキル基である。)を表す。)
  7. 当該組成物が常磁性金属イオンを含む、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の組成物。
  8. 前記常磁性イオンが、原子番号58〜70のランタニド金属或いは原子番号21〜29、42又は44の遷移金属の常磁性金属イオンである、請求項7記載の組成物。
  9. 前記常磁性金属イオンが前記カルボン酸塩中に可溶である、請求項7又は請求項8記載の組成物。
  10. 前記常磁性金属イオンが溶媒又は溶媒混合物に溶解したカルボン酸塩中に可溶である、請求項9記載の組成物
  11. 前記カルボン酸と有機アミン又はアミノ化合物とのカルボン酸塩がTRIS− 13 1 −ピルビン酸塩である、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の組成物。
  12. MR造影剤として使用するための請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の組成物。
  13. カルボン酸と有機アミン又はアミノ化合物の固体過分極の製造方法であって、前記カルボン酸が内因性カルボン酸であって 13 C−濃縮されており、前記有機アミン又はアミノ化合物が分子量30〜300g/molの生理学的に許容できるアミノアルコールであり、当該方法が、前記カルボン酸塩、DNP剤、及び任意には常磁性金属イオンを含む組成物を調製する段階、並びに該組成物に対して動的核分極を実施する段階を含んでなる方法。
  14. カルボン酸と有機アミン又はアミノ化合物の液体過分極の製造方法であって、前記カルボン酸が内因性カルボン酸であって 13 C−濃縮されており、前記有機アミン又はアミノ化合物が分子量30〜300g/molの生理学的に許容できるアミノアルコールであり、当該方法が、前記カルボン酸塩、DNP剤、及び任意には常磁性金属イオンを含む組成物を調製する段階、該組成物に対して動的核分極を実施する段階、解によって該組成物を液化する段階含んでなる方法。
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