JP5100447B2 - バネ - Google Patents

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Description

本発明はバネに関する。
一般的に「バネ」は金属などの素材の弾性を利用し、衝撃や振動を緩和する目的のため用いられる。バネは、弾性限変形を越える変形(引張り及び圧縮)がなされると塑性化し、バネとしての機能を果たさなくなる。そこで、弾性限変形をできるだけ大きくすることが要望されている。
しかし、弾性限変形を大きくすると、バネの全長が長くなり、圧縮時に座屈しやすくなる場合がある。そこで、座屈を防止又は抑制するために、バネガイドを設ける構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2007−192286号公報
しかし、座屈が防止又は抑制されても、弾性限変形を大きくすると、前述したように、バネの全長が長くなり所望する長さのバネが得られなくなったり、所望するバネ定数等が得られなくなったりする場合がある。このため、従来は複数種類のバネを組み合わせなければ、所望の仕様(バネ長やバネ定数)を実現することができない場合があった。つまり、対応可能な仕様の範囲が狭かった。
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、一つのバネで、座屈を防止又は抑制しつつ弾性限変形を大きくすることができ、しかも、対応可能な仕様を従来よりも拡大することが目的である。
請求項1に記載のバネは、板厚方向に間隔をあけて配列された複数の金属板と、隣接する前記金属板の板厚方向と直交する方向の一端部同士又は他端部同士を互い違いに連結する連結部と、を有するバネ部と、前記金属板と前記金属板との間に挟まれ、前記バネ部に前記板厚方向と直交する方向に力が作用すると、前記金属板が板厚方向と直交する方向に伸長又は圧縮するように、前記金属板の板厚方向の座屈を防止又は抑制するゴム部材と、を備えることを特徴としている。
請求項1に記載のバネでは、バネ部は間隔をあけて複数の金属板が板厚方向に配列されると共に、隣接する金属板板厚方向と直交する方向の一端部同士又は他端部同士が連結部によって互い違いに連結されている。そして、このバネ部に板厚方向と直交する方向に力(圧縮及び引張り)を作用させることで、バネ部を構成する金属板が板厚方向と直交する方向に伸縮しバネ性が発揮される。
なお、バネ部の金属板のヤング率と軸力方向(伸縮方向)と直交する断面積との積(EA)を、各金属板の合計の部材長さ(L)で除した値(EA/L)で、バネ定数が決定される。また、各金属板の合計の部材長さL(金属板板厚方向と直交する方向の伸縮方向の長さ×弾性部数)によって弾性限変形が決定される。つまり、金属板の数を増やすことで、バネ(バネ部)の全長(軸力(伸縮)方向の長さ)を長くすることなく、弾性限変形を大きくすることができる。よって、バネ全長とバネ定数と弾性限変形(あるいは許容力)とが各々別々に調整可能とされる。これにより、対応可能な仕様を従来よりも拡大することができる。
また、バネ(バネ部)に力(圧縮及び引張り)が作用すると、金属板ゴム部材によって、金属板の座屈が防止又は抑制される。よって、例えば、バネ定数を小さくするためバネ部の金属板の断面積を小さくしても、金属板の座屈が防止又は抑制される。
したがって、従来は複数種類のバネを組み合わせなければ実現できないような仕様であっても、一つのバネで、座屈を防止又は抑制しつつ弾性限変形を大きくすることができ、しかも、バネ全長とバネ定数と弾性限変形(あるいは許容力)とを各々別々に調整が可能であるので、対応可能な仕様を従来よりも拡大することができる。
また、板厚方向に間隔をあけて配列されると共に隣接する金属板の一端部同士又は他端部同士が互い違いに連結部で連結され、隣接する金属板の間にゴム部材が挟まれた構成であるので、例えば、金属板と連結部とが別部材構成である場合、ゴム部材を間に挟んで金属板を積層して、隣接する金属板の一端部同士又は他端部同士を連結部で接合することで製造が可能である。また、金属板と連結部との接合部分を所定幅の直線状とすることができる等、金属板と連結部との接合が容易である。つまり、本構成とすることで、バネの製造が容易とされる。
請求項2に記載のバネは、請求項1に記載の構成において、前記金属板には、板厚方向に貫通する孔が形成されていることを特徴としている。
請求項2に記載のバネでは、金属板に孔をあけることで、バネ定数などを調整することができる。
請求項3に記載のバネは、軸方向と直交する方向に間隔をあけて環状に配列された複数の金属棒と、隣接する前記金属棒の軸方向の一端部同士又は他端部同士を互い違いに連結する連結部と、を有するバネ部と、内筒と外筒とで構成されると共に環状に配列された前記金属棒が前記内筒と前記外筒との間に挿入され、前記バネ部に軸方向に力が作用すると、前記金属棒が前記内筒又は前記外筒に当接し、前記金属棒の座屈を防止又は抑制する筒部材と、を備えることを特徴としている。
請求項3に記載のバネでは、バネ部は、金属棒が周方向に間隔をあけて環状に配列されると共に隣接する金属棒の一端部同士又は他端部同士が互い違いに連結部で連結された構成とされている。
このように、金属棒を環状に配列することで、軸力(圧縮及び引張り)方向と直交する方向の幅を大きくすることなく、多数の金属棒(弾性部)を有する構成が可能とされ、これにより、弾性限変形をより大きくすることができる。
なお、バネ部の金属棒のヤング率と軸力方向(伸縮方向)と直交する断面積との積(EA)を、各金属棒の合計の部材長さ(L)で除した値(EA/L)で、バネ定数が決定される。また、各金属棒の合計の部材長さL(金属棒の伸縮方向の長さ×弾性部数)によって弾性限変形が決定される。つまり、金属棒の数を増やすことで、バネ(バネ部)の全長(軸力(伸縮)方向の長さ)を長くすることなく、弾性限変形を大きくすることができる。よって、バネ全長とバネ定数と弾性限変形(あるいは許容力)とが各々別々に調整可能とされる。これにより、対応可能な仕様を従来よりも拡大することができる。
請求項4に記載のバネは、請求項3に記載の構成において、前記筒部は、前記内筒と前記外筒との間に設けられ、前記金属棒部材の周方向の変形を拘束する拘束部材を備えることを特徴としている。
請求項4に記載のバネでは、筒部の内筒と外筒との間に金属棒部材の周方向の変形を拘束する拘束部材を備えているので、バネ部(金属棒)の座屈がより確実に防止又は抑制される。
以上、説明したように請求項1に記載のバネによれば、従来は複数種類のバネを組み合わせなければ実現できないような仕様であっても、一つのバネで、座屈を防止又は抑制しつつ弾性限変形を大きくすることができ、しかも、バネ全長とバネ定数と弾性限変形(あるいは許容力)とを各々別々に調整が可能であるので、対応可能な仕様を従来よりも拡大することができる、という優れた効果を有する。
請求項2に記載のバネによれば、金属板に孔をあけることで、バネ定数などを調整することができる、という優れた効果を有する。
請求項3に記載のバネによれば、軸力(圧縮及び引張り)方向と直交する方向の幅を大きくすることなく、弾性限変形を大きくすることができる、という優れた効果を有する。
請求項4に記載のバネによれば、バネ部(金属棒)の座屈を、より確実に防止又は抑制することができる、という優れた効果を有する。
以下、本発明の第一実施形態について、図1と図2とを用いて説明する。なお、図1は、多段式バネ100を示す全体斜視図である。図2(A)は、図1に示す多段式バネ100を矢印A方向に見た後面図であり、図2(B)は図1に示す多段式バネ100の側面図である。また、各図におけるY方向が軸力(圧縮及び引張り)方向である。
図1と図2に示すように、第一実施形態の多段式バネ100は、軸力が作用する方向、すなわち、引張り及び圧縮される方向(Y方向)を長手方向とする略直方体とされている。多段式バネ100は、金属板110が間隔をあけて配列されたバネ部102と、バネ部102の金属板110間に挟まれたゴム部材130と、バネ部102に軸力(引張り及び圧縮)を入力(作用)させるための入力部160、161と、が主要な構成部品とされている。
バネ部102は、軸力(圧縮及び引張り)が作用する方向(Y方向)と直交する方向(Z方向)に間隔をあけて金属板110が配列されると共に隣接する各金属板110の一端部110A同士又は他端部110B同士が互い違いに(交互に)接続板120で接合された構成とされている。換言すると、隣接する配列方向一方側の金属板110とは一端部110A同士が接続板120で連結されると共に配列方向他方側の金属板110とは他端部110B同士が接続板120連結された構成とされている。
ゴム部材130は、各金属板110の間に挟まれている。換言すると、平面視略長方形状の複数枚の金属板110を、ゴム部材130を挟んで積層し、隣接する金属板110の一端部110A同士又は他端部110B同士を互い違いに(交互に)接続板120で接合して連結した折返し構造とされている。
なお、金属板110の板厚方向が積層(配列)方向(Z方向)とされ、金属板110の長さ方向がY方向とされると共に引張り及び圧縮される方向(軸力が作用する方向)とされ、金属板110の幅方向がX方向(Y方向とZ方向とに直交する方向)とされている。
積層方向(Z方向)の両外側に配置された金属板110Hと金属板110Lは、他の金属板110よりも、他端部側が長く形成さている。そして、これら金属板110Hと金属板110Lとの他端部110HA,100LA同士が、他の金属板110の他端部110Bを跨いで、入力部160を構成する接続板122(入力部160)で接合され、連結されている。
また、積層方向(Z方向)の中間部分の金属板110Mと金属板110Nの間は、他の金属板間よりも大きく、他端部110MB,110NB同士が、接続板120MNで接続されている。
なお本実施形態においては、接続板120、122は、各金属板110の一端部110Aと他端部110Bの側面(積層方向(Z方向)側面)に接合されている。
入力部160は、前述した接続板122、棒部162、リング部166で構成されている。一方、入力部161は、棒部164とリング部167で構成されている。
接続板122の中央部分には、引張り及び圧縮方向(Y方向)を長手方向として配設された棒部162が取り付けられている。また、接続板120MNの中央部分には、引張り及び圧縮方向(Y方向)を長手方向として配設された入力部161の棒部164が取り付けられている。なお、入力部161の棒部164は、ゴム部材130MNの中に埋設されている。また、各棒部162、164の先端部分には、X方向に貫通する略円形の孔167、169が形成されたリング部166、168が設けられている。
なお、金属板110と接続板120、122との接合方法は特に限定されない。例えば、ボルトとナットで接合してもよいし、溶接で接合してもよい。或いは、金属板110と接続板120、122とが別部材構成でなく、一体となって成形されていてもよい。
同様に、棒部162、164と接続板120MN,122との接合方法も限定されない。例えば、ボルトとナットで接合されていてもよいし、溶接で接合してもよい。また、棒部162、164と接続板120MN,122とが一体となって成形されていてもよい。
また、金属板110、接続板120、122、棒部162、164の材質は特に限定されない。例えば、高張力鋼又は超高張力鋼であってもよい。更に、接続板120、122、棒部162、164の材質は、バネ性を有しない材質であってもよい。
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
多段式バネ100は、入力部160、161を介して、Y方向に引張り及び圧縮し、バネ部102の各金属板110がY方向に伸縮(弾性変形)されることで、バネ性を発揮する。このとき、引張り時においては、積層方向両外側の金属板110H、110Lは伸長される(引っ張られる)が、その他の金属板110は圧縮される。一方、圧縮時においては、積層方向両外側の金属板110H、110Lは圧縮されるが、その他の金属板110は引っ張られる(伸長される)。
なお、バネ部102を構成する各金属板110のヤング率と伸縮方向と直交する断面積(板厚×幅)との積(EA)を、金属板110の合計の部材長さ(L)で除した値(EA/L)で、バネ定数が決定される。なお、一枚の金属板110の伸縮方向の長さをlとし、枚数をN枚、とすると、合計の部材長さLは、L=l×Nとされる。
また、各金属板110の合計の部材長さL(金属板110の伸縮方向(Y方向)の長さ(l)×金属板110の枚数(N))が弾性限変形を決定する。つまり、金属板110の枚数を増やすことで、多段式バネ100(バネ部102)の全長を長くすることなく、弾性限変形を大きくすることができる。
よって、バネ全長とバネ定数と弾性限変形(あるいは許容力)とが各々別々に調整可能とされる。これにより、対応可能な仕様を従来よりも拡大することができる。
また、金属板110の圧縮及び引張り方向(Y方向)と直交する方向(Z方向(積層方向、板厚方向))への変形(折れ曲り)が、各金属板110に挟まれたゴム部材130によって、防止又は抑制され、その結果、バネ部102(金属板110)の座屈が防止又は抑制される。よって、例えば、バネ定数を小さくするため金属板110の板厚(断面を薄くしても(断面積を小さくして)も、バネ部102(金属板110)の座屈が防止又は抑制される。
したがって、従来は複数種類のバネを組み合わせなければ実現できないような仕様であっても、本実施形態の多段式バネ110は、一つで、座屈を防止又は抑制しつつ弾性限変形を大きくすることができ、しかも、バネ全長とバネ定数と弾性限変形(あるいは許容力)とを各々別々に調整が可能であるので、対応可能な仕様を従来よりも拡大することができる。
なお、図1に想像線で示すように、金属板110に孔180をあけ、バネ定数などを調整してもよい。また、図1では、孔180は略四角形状とされているが、これに限定されない。どのような形状であってもよい。例えば、円形であってもよいし三角状であってもよい。
また、バネ部102の金属板110の間には挟まれたゴム部材130は、圧縮及び引張りに伴い金属板110間の間隔が若干変化しても追従するので、バネ部102の圧縮及び引張りを妨げない。
また、複数枚の金属板110を、ゴム部材130を挟んで積層し、隣接する金属板110の一端部110A同士又は他端部110B同士を互い違いに(交互に)接続板120で接合して連結した折返し構造とされているので、製造が容易である。
また、本実施形態のように、隣接する金属板110の一端部110A同士又は他端部110B同士を、別部材の接合板120で接合する構成する場合、ゴム部材120を間に挟んで金属板110を積層して、隣接する金属板110の一端部110A同士又は他端部110B同士を接続板120、122で接合することで製造が可能である。また、接合部分を所定幅(接合板120の板厚)の直線状とすることができるので、接合が容易である(バネ部102の製造が容易である)。
つぎに、本発明の第二実施形態について、図3と図4とを用いて説明する。なお、図3は、多段式バネ200を示す全体斜視図である。図4(A)は、図3に示す多段式バネ200を矢印A方向に見た後面図であり、図4(B)は図1に示す多段式バネ200の側面図である。また、各図におけるY方向が軸力(圧縮及び引張り)方向である。なお、第一実施形態と同一の部材には、同一の符号を記し、重複する説明は省略する。
図3と図4に示すように、第二実施形態の多段式バネ200は、軸力が作用する方向、すなわち、引張り及び圧縮される方向(Y方向)を長手方向とする略円柱形状とされている(正確にはX方向中央部分が膨らんだ形状(鼓形状)とされている)。多段式バネ200は、金属板210が間隔をあけて配列されたバネ部202と、バネ部202の金属板210間に挟まれたゴム部材230と、バネ部202に軸力(引張り及び圧縮)を入力(作用)させるための入力部260、161と、が主要な構成部品とされている。
バネ部202は、軸力(圧縮及び引張り)が作用する方向(Y方向)と直交する方向(Z方向)に間隔をあけて金属板210が配列されると共に隣接する各金属板210の一端部210A同士又は他端部210B同士が互い違いに(交互に)接続板220で接合された構成とされている。換言すると、隣接する配列方向一方側の金属板210とは一端部110A同士が接続板220で連結されると共に配列方向他方側の金属板210とは他端部110B同士が接続板220連結された構成とされている
ゴム部材230は、各金属板210の間に挟まれている。換言すると、平面視略長方形状の複数枚の金属板210を、ゴム部材130を挟んで積層し、隣接する金属板210の一端部210A同士又は他端部210B同士を互い違いに(交互に)接続板220で接合して連結した折返し構造とされている。
ここで、バネ部202の平面視略長方形状の複数枚の金属板220の幅は、積層方向の両外側に配設された金属板220H,220Lが最も幅狭で、中央側ほど徐々に幅広とされている。つまり、板厚は同じであるが断面形状(幅)が異なる金属板210を組合わせて構成されている。なお、ゴム部材230及び接続板230もこれに合わせた幅とされている。これにより前述したように、多段式バネ200は、全体が引張り及び圧縮される方向(矢印F方向)を長手方向(軸方向)とする略円柱形状とされている(正確にはX方向中央部分が膨らんだ形状(鼓形状)とされている)。
なお、第一実施形態と同様に、積層方向(Z方向)の両外側に配置された金属板210Hと金属板210Lは、他の金属板210よりも、他端部側が長く形成さている。そして、これら金属板210Hと金属板210Lとの他端部210HA,210LA同士が、他の金属板210の他端部210Bを跨いで、入力部260を構成する接続板222で接合され連結されている。なお、接続板222はX方向中央部分が膨らんだ形状(鼓形状)とされている。
なお、本実施形態においては、第一実施形態と異なり、接続板220、222は、金属板210の一端部210Aと他端部210Bの端面(引張り及び圧縮方向(Y方向)端面)に接合されている。
また、積層方向の中間部分の金属板210Mと金属板210Nの間は、他の金属板間よりも大きく、他端部210MB,210NB同士が、接続板220MNで接続されている。
入力部260は、前述した接続板222、棒部162、リング部166で構成されている。一方、入力部161は、第一実施形態と同様に、棒部164とリング部167で構成されている。そして、入力部161の棒部164が前述した接続板220MNに取り付けられている。また、棒部164は金属板210Mと金属板210Nの間のゴム部材230MNに埋設されている。
なお、第一実施形態と同様に、金属板210と接続板220、222との接合方法は特に限定されない。例えば、ボルトとナットで接合してもよいし、溶接で接合してもよい。或いは、金属板210と接続板220、222とが別部材構成でなく、一体となって成形されていてもよい。
同様に、棒部162、164と接続板220MN,222との接合方法も限定されない。例えば、ボルトとナットで接合されていてもよいし、溶接で接合してもよい。また、棒部162、164と接続板220MN,222とが一体となって成形されていてもよい。
また、金属板210、接続板220、222、棒部162、164の材質は特に限定されない。例えば、高張力鋼又は超高張力鋼であってもよい。更に、接続板220、222、棒部162、164の材質は、バネ性を有しない材質であってもよ
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する
第一実施形態と同様の作用及び効果を果たすが、バネ部202は、異なる断面積(幅)の金属板210を組み合わせているので、対応可能な仕様を従来よりも更に拡大することができる。なお、第一実施形態と同様に、金属板210に孔(図1参照)をあけ、バネ定数などを調整してもよい。
なお、第一実施形態及び第二実施形態では、金属板110、120の板厚は全て同じであったがこれに限定されない。異なる板厚の金属板を用いた構成の多段バネであってもよい(図示省略)。
つぎに、本発明の第三実施形態について、図5〜図8を用いて説明する。なお、図5は、多段式バネ300を示す一部切欠き分解斜視図である。図6は、図5に示す多段式バネ300の筒部380を想像線として図示した分解斜視図である。図7は図5に示す多段式バネ300のA−A線に沿った(軸方向(F方向)と直交する)断面図である。図8はバネ部302の展開図である。また、各図におけるF方向(軸方向)が軸力(圧縮及び引張り)方向であり、F方向を軸心とする周方向がE方向である。
図5〜図7に示すように、多段式バネ300は、軸力が作用する方向、すなわち、引張り及び圧縮される方向(F方向)を長手方向(軸方向)とする略円柱状とされている。なお、前述したように、略円柱の軸方方向(F方向)が引張り及び圧縮される方向であり、周方向がE方向とされる。
多段式バネ300は、環状のバネ部302と、このバネ部302が挿入される筒部380と、バネ部302に軸力を入力するための入力部360、370と、が主要な構成部品とされている。
図5〜図8に示すように、バネ部302は、金属棒部310が周方向(E方向)に間隔をあけて環状に配列されると共に隣接する金属棒部310の一端部310A同士又は他端部310B同士が互い違いに(交互に)連結部320で連結された構成とされている。換言すると、隣接する周方向(配列方向)一方側の金属棒部310とは一端部310A同士が連結部320で連結されると共に周方向(配列方向)他方側の金属棒部310とは他端部310B同士が連結部320で連結された構造とされている。
図5〜図7に示すように、筒部380は、軸方向(F方向)の両端側が開口された内筒384と、この内筒384の外側に設けられた外筒382と、で構成され、前述した環状のバネ部310が内筒384と外筒382との間に挿入されている。
図6と図8とに示すように、前述したように多段式バネ300は、バネ部302に軸力を入力するための入力部360、370を備えている。入力部360、370は、F方向を長手方向とする棒部362、372と円盤状の蓋部364、374とで構成されている。
そして、一方の入力部360の棒部362は連結部310Kと連結部310Lとに取り付けられている。同様に、他方の入力部370の棒部372は連結部310Mと連結部310Nとに取り付けられている。なお、図8に示すように、各棒部362及び各棒部372は対角線上に配設されていると共に、棒部362と棒部372とが交互に略90度ごとに配設されている。
図6と図8とに示すように、棒部362、372のそれぞれの端部に円盤状の蓋部364、374が接続されている。そして、この蓋部364、374が筒部380のF方向両側の開口部分を塞ぐ構成とされている。なお、蓋部364、374の上面には円形状の孔367、377が形成された凸部366、376が設けられている。
なお、本実施形態では、バネ部302(金属棒部310と連結部320と)は、一本の中実の金属製の棒を曲げることによって形成されている。しかし、曲げ加工の場合、曲げ部分の強度が、他の部分よりも弱くなる。また、場合によっては、曲げ部分の強度が不足する場合がある。よって、図12(A)に示す第一変形例のバネ部303のように、曲げ部分(U字の底部分)に補強部材315を設けることで(はめ込むことで)、曲げ部分の強度を向上させることが望ましい。
また、図12(B)に示す第二変形例のバネ部305のように、別部材構成とされた金属棒部311と連結部321とが、溶接やボルト締め等で接合された構成であってもよい。なお、このような構成の場合は、曲げ加工よりも強度が向上される。しかし、同様に、第一変形例(図12(A))と同様に、U字の底部分に補強部材315を設けて、強度をより向上させてもよい。
また、金属棒部310(及び連結部320)、棒部362、372の材質は特に限定されない。例えば、高張力鋼鈑であってもよい。更に、棒部362、372の材質は、バネ性を有しない材質であってもよい。また、前述した図12(B)に示す変形例の場合のように、金属棒部311と連結部321とが別部材構成とされている場合は、連結部321の材質はバネ性を有しない材質であってもよい。
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
第一実施形態及び第二実施形態と同様に、本実施形態の多段式バネ300も、入力部360、370を介して、F方向に引張り及び圧縮し、バネ部302の各金属棒部310がY方向に伸縮(弾性変形)されることで、バネ性を発揮する。このとき、引張り時においては、各金属棒部310は圧縮される。一方、圧縮時においては、各金属棒部310は引張られる(伸長される)。
また、各金属棒部310のヤング率と断面積(「太さ」)との積(EA)を、金属棒310の合計の部材長さ(L)で除した値(EA/L)で、バネ定数が決定される。なお、一本の金属棒310の伸縮方向(F方向)の長さlとし、本数をN枚、とすると、合計の部材長さLは、L=l×Nとされる。
また、各金属棒部310の合計の部材長さL(金属棒部310の伸縮方向(F方向)の長さ×金属棒部310の本数)が弾性限変形を決定する。つまり、金属棒部310の本数を増やすことで、多段式バネ300(バネ部300)の全長を長くすることなく、弾性限変形を大きくすることができる。よって、バネ全長とバネ定数と弾性限変形(あるいは許容力)とが各々別々に調整可能とされる。これにより、対応可能な仕様を従来よりも拡大することができる。
また、各金属棒部310は筒部380の内筒382と外筒384との間に挿入されているので、金属棒部310の圧縮方向及び引張り(F方向)と直交する径方向外側又は内側への変形(折れ曲り)が、防止又は抑制され、その結果、金属棒部310の座屈が防止又は抑制される。よって、例えば、バネ定数を小さくするため金属棒部310の断面積を小さくしても(細くしても)、座屈が防止又は抑制される。
したがって、従来は複数種類のバネを組み合わせなければ実現できないような仕様であっても、本実施形態の多段式バネ300は、一つで、座屈を防止又は抑制しつつ弾性限変形を大きくすることができ、しかも、バネ全長とバネ定数と弾性限変形(あるいは許容力)とを各々別々に調整が可能であるので、対応可能な仕様を従来よりも拡大することができる。
また、金属棒部310(バネ部302)を環状とすることで、圧縮及び引張り方向と直交する方向の幅を大きくすることなく、多数の金属棒310を有する構成が可能とされる。これにより、弾性限変形を大きくすることができる。
つぎに、本実施形態の筒部の変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一の部材には、同一の符号を記し、重複する説明は省略する。
まず、第一変形例の筒部480について、図9を用いて説明する。なお、図9は図7に示すA−A線の沿った(F方向と直交する)断面図である。
筒部480の内筒484には、径方向外側に延出するリブ488が形成されている。リブ488は、各金属棒部310及び棒部362、372の間に設けられている。なお、リブ488は軸方向(F方向)の全域に渡って形成されていてもよいし、一部にのみ形成されていてもよい。
つぎに本変形例の作用及び効果について説明する。
金属棒部310の周方向への変形(折れ曲り)が、リブ484に当接することによって、防止又は抑制され、その結果、金属棒部310の座屈がより確実に防止又は抑制される。
つぎに、第二変形例の筒部580について、図10を用いて説明する。なお、図10(A)は図7に示すA−Aに沿った(F方向と直交する)断面図であり、図10(B)はバネ部302と支持部590との展開図である。
筒部580の内筒584と外筒582との間に、支持部590が設けている。支持部590は、各金属棒部310及び棒部362、372が挿通される貫通孔592が形成されたリング部593を有している。リング部593は、周方向に沿って配設された連結部596によって互いに連結されている。また、径方向に延びる連結部594によって内筒584と外筒582とに接続されている。
なお、本実施形態においては、支持部590は、軸方向(F方向)の一部領域に一箇所のみ設けられている(図10(B)参照)。しかし、複数箇所に支持部が設けられた構成であってもよい。或いは、軸方向(F方向)の全域に渡って円筒状のリング部が設けられた構成であってもよい。
つぎに本変形例の作用及び効果について説明する。
金属棒部310は支持部590のリング部593の貫通孔592に拘束されているので、金属棒部310の周方向及び径方向への変形(折れ曲り)が、防止又は抑制され、その結果、金属棒部310の座屈がより確実に防止又は抑制される。
つぎに、第三変形例の筒部680について、図11を用いて説明する。なお、図11は図7に示すA−A線に沿った(F方向と直交する)断面図である。
筒部680の内筒584と外筒582との間には、樹脂等からなる支持部690が設けられている。支持部690は、各金属棒部310及び棒部362、372が挿通される貫通孔692が形成されている。
なお、本実施形態においては、支持部690は、軸方向(F方向)の全領域に渡って設けられた構成とされている。しかし、軸方向(F方向)の一部領域にのみ設けられていてもよい。
つぎに本変形例の作用及び効果について説明する。
金属棒部310は、支持部690の貫通孔692に拘束されているので、金属棒部310の周方向及び径方向への変形(折れ曲り)が防止又は抑制され、その結果、金属棒部310の座屈がより確実に防止又は抑制される。
なお、本実施形態では、変形例も含め、金属棒部310は、中実の丸棒、すなわち、円柱状とされていたが、これに限定されない。例えば、三角柱状、四角柱状であってもよい。また、中実でなく中空であってもよい(例えば、円筒状であってもよい)。
また、金属棒部310の太さ(断面積)は全て同じであったがこれに限定されない。異なる太さ(断面積)の金属棒を用いる構成であってもよい。
なお、上記実施形態において、金属板110、210、金属棒部310(弾性部)の数は、特に限定されないが、金属板110、210、金属棒310(弾性部)は、4つ以上の偶数個で構成されていることが望ましい。
また、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、弾性部は板状や棒状(或いは筒状)以外の形状であってもよい。また、弾性部の材質は、金属以外の材質であってもよい。
本発明の第一実施形態に係る多段式バネを示す全体斜視図である。 (A)は、図1に示す多段式バネを矢印A方向に見た後面図であり、(B)は図1に示す多段式バネの側面図である。 本発明の第二実施形態に係る多段式バネを示す全体斜視図である。 (A)は、図3に示す多段式バネを矢印A方向に見た後面図であり、(B)は図1に示す多段式バネ側面図である。 本発明の第三実施形態に係る多段式バネを示す一部切欠き分解斜視図である。 図5に示す多段式バネの筒部を想像線として図示した分解斜視図である。 図5に示す多段式バネのA−A線の(軸方向と直交する)断面図である。 図5に示す多段式バネのバネ部の展開図である。 本発明の第三実施形態に係る多段式バネの筒部の第一変形例を示す(図7に示すA−A線に沿ったF方向と直交する)断面図である。 本発明の第三実施形態に係る多段式バネの筒部の第二変形例を示す、(A)は(図7に示すA−Aに沿ったF方向と直交する)断面図であり、(B)はバネ部と支持部の展開図である。 本発明の第三実施形態に係る多段式バネの筒部の第三変形例を示す(図7に示すA−A線に沿ったF方向と直交する)断面図である。 (A)は本発明の第三実施形態に係る多段式バネのバネ部の第一変形例の要部を示す図であり、(B)は第二変形例の要部を示す図である。
符号の説明
100 多段式バネ(バネ)
102 バネ部
110 金属板(弾性部)
120 接続板(連結部)
130 ゴム部材(当接部)
200 多段式バネ(バネ)
202 バネ部
210 金属板(弾性部)
220 接続板(連結部)
230 ゴム部材(当接部)
300 多段式バネ(バネ)
302 バネ部
303 バネ部
305 バネ部
310 金属棒部(弾性部、金属棒)
320 連結部
380 筒部(当接部、筒部材)
382 外筒
384 内筒
400 多段式バネ(バネ)
402 バネ部
410 金属棒部(弾性部、金属棒)
420 連結部
480 筒部(当接部、筒部材)
482 外筒
484 内筒
488 リブ(拘束部材)
500 多段式バネ(バネ)
502 バネ部
410 金属棒部(弾性部、金属棒)
520 連結部
580 筒部(当接部、筒部材)
582 外筒
584 内筒
590 支持部(拘束部材)
600 多段式バネ(バネ)
602 バネ部
610 金属棒部(弾性部、金属棒)
620 連結部
680 筒部(当接部、筒部材)
682 外筒
684 内筒
690 支持部(拘束部材)

Claims (4)

  1. 板厚方向に間隔をあけて配列された複数の金属板と、隣接する前記金属板の板厚方向と直交する方向の一端部同士又は他端部同士を互い違いに連結する連結部と、を有するバネ部と、
    前記金属板と前記金属板との間に挟まれ、前記バネ部に前記板厚方向と直交する方向に力が作用すると、前記金属板が板厚方向と直交する方向に伸長又は圧縮するように、前記金属板の板厚方向の座屈を防止又は抑制するゴム部材と、
    を備えること特徴とするバネ。
  2. 前記金属板には、板厚方向に貫通する孔が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のバネ。
  3. 軸方向と直交する方向に間隔をあけて環状に配列された複数の金属棒と、隣接する前記金属棒の軸方向の一端部同士又は他端部同士を互い違いに連結する連結部と、を有するバネ部と、
    内筒と外筒とで構成されると共に環状に配列された前記金属棒が前記内筒と前記外筒との間に挿入され、前記バネ部に軸方向に力が作用すると、前記金属棒が前記内筒又は前記外筒に当接し、前記金属棒の座屈を防止又は抑制する筒部材と、
    を備えることを特徴とするバネ。
  4. 前記筒部材には、前記内筒と前記外筒との間に設けられ、前記金属棒部材の周方向の変形を拘束する拘束部材を備えることを特徴とする請求項3に記載のバネ。
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