JP5099310B2 - フラーレン細線の製造方法 - Google Patents

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本発明は、フラーレン細線の製造方法に関するものである。
従来より、本発明者らによって、液−液界面析出法による各種のフラーレン分子からなるフラーレン細線の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1,2)。このフラーレン細線は、ガス吸着剤、触媒担持材料、電極材料などに有用な新しい機能性材料としての利用が期待される。
特開2003−1600号公報 特開2005−112776号公報
しかしながら、上記機能性材料として利用するためには、いまだ解決すべき課題が残されている。すなわち、上記特許文献1,2に記載されているような液−液界面析出法によるフラーレン細線の製造方法では、フラーレン細線を必ずしも再現性よく、しかも高い歩留まりで得ることができなかった。そのため、安価で安定してフラーレン細線を供給できる製造方法の確立が望まれていた。
そこで、本発明は、以上の通りの背景から、フラーレン細線を再現性よく、かつ高い歩留まりで製造することができるフラーレン細線の製造方法を提供することを課題としている。
本発明は、前記の課題を解決するものとして、第1には、フラーレン分子からなるフラーレン細線の製造方法であって、乾燥雰囲気下で、(A)フラーレン分子を第1溶媒に溶解し、0〜25℃の温度とし、脱水したフラーレン溶液に、前記第1溶媒よりもフラーレン分子の溶解能が低く、0〜25℃の温度とし、脱水した第2溶媒を添加する工程、(B)フラーレン溶液と第2溶媒との間に液−液界面を形成させる工程、(C)この液−液界面を形成したフラーレン溶液と第2溶媒との混合溶液を0〜25℃の温度で維持して、フラーレン細線を析出させる工程、を含むことを特徴とする。
第2には、フラーレン分子からなるフラーレン細線の製造方法であって、乾燥雰囲気下で、(A)フラーレン分子を第1溶媒に溶解し、0〜25℃の温度とし、脱水したフラーレン溶液に、前記第1溶媒よりもフラーレン分子の溶解能が低く、0〜25℃の温度とし、脱水した第2溶媒を添加する工程、(B)フラーレン溶液と第2溶媒との間に液−液界面を形成させる工程、(C)液−液界面を形成したフラーレン溶液と第2溶媒との混合溶液に超音波照射する工程、(D)この混合溶液を0〜25℃の温度で維持して、フラーレン細線を析出させる工程、を含むことを特徴とする。
上記発明によれば、ガス吸着剤、触媒担持材料、電極材料などの機能性材料として有用なフラーレン細線を再現性よく、かつ高い歩留まりで製造することができる。これによって、フラーレン細線の生産コストを下げることが可能となり、より安価に安定してフラーレン細線を供給することができる。
本発明は前記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明におけるフラーレン分子からなるフラーレン細線は、フラーレン分子が整然と配列してその成長軸方向に最密充填されて構成されている。このとき、「細線」とは、一般にウィスカー、ナノウィスカー、ナノファイバー、ワイヤ、ナノロッド等と呼ばれるものを含み、さらには中空構造を持つチューブと呼ばれるものも含んでいる。
本発明におけるフラーレン分子は、C60フラーレン、C70やC82等の高次のフラーレン、あるいはこれらフラーレンの誘導体、金属内包フラーレン等を例示することができる。ラーレン誘導体としては、各種のフラーレン(C60、C70、C82など)に各種の官能基を結合したもの、金属内包フラーレンとしては、それらフラーレン誘導体に各種の金属を内包させたものであってよい。具体的には、C60、C70、C82を初めとするフラーレンに、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリール基、アシル基、アセチル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン基、シアノ基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホニル基、アシル基などの置換基を1つ以上有するもの、あるいは、それらがさらに、遷移金属や希土類金属を内包するものが例示される。
本発明は、上記フラーレン分子からなるフラーレン細線を製造するに際して、乾燥雰囲気下で、以下の工程を含むこととしている。すなわち、
(A)フラーレン分子を第1溶媒に溶解したフラーレン溶液に、前記第1溶媒よりもフラーレン分子の溶解能の低い第2溶媒を添加する工程。
(B)フラーレン溶液と第2溶媒との間に液−液界面を形成させる工程。
(C)フラーレン細線を析出させる工程。
本発明の製造方法で何よりも特徴的なのは、乾燥雰囲気下で上記(A)〜(C)の工程をおこなうことである。ここで、乾燥雰囲気下とは、例えば露点温度が0℃以下であるような乾燥状態であり、好ましくは露点温度が−60〜0℃、より好ましくは−35℃〜−20℃程度の乾燥状態である。そして、本発明では、例えば、所定の大きさの容器を準備し、ローターリーポンプ等でその容器内を真空に排気してガス置換することによって容器内を乾燥雰囲気にし、その容器内で上記の各工程を実施することが考慮される。このときに置換されるガスとしては、乾燥窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス、乾燥空気等を例示することができるがこれらに限定されるものではない。このように所定の大きさの容器内を乾燥雰囲気にして各工程を実施するために、後述するように、真空排気できる金属製のグローブボックスを用いることが考慮される。
本発明では、上記(A)工程において、0〜25℃の温度のフラーレン溶液に0〜25℃の温度の第2溶媒を添加することが好ましいが、より好ましくは5℃以上10℃未満の温度のフラーレン溶液に5℃以上10℃未満の温度の第2溶媒を添加する。例えば、0〜25℃の範囲内で平衡温度に到達させたフラーレン溶液に、同じく0〜25℃の範囲内で平衡温度に到達させた第2溶媒を添加するようにする。フラーレン溶液および第2溶媒の
温度が25℃を超える場合には、フラーレン細線を再現性よく高い歩留まりで再現できない場合があるので好ましくない。第2溶媒の温度はフラーレン溶液の温度と同程度(誤差プラスマイナス1℃)にして、フラーレン溶液に第2溶媒を添加することが好ましい。これによってより一層効果的に再現性よくフラーレン細線を製造することができる。
フラーレン分子を溶解する第1溶媒としては、フラーレン分子を溶解させることができる良溶媒であればよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ペンタン、ピリジン等を例示することができる。溶解させるフラーレン分子がC60フラーレンの場合には、第1溶媒としてピリジンが好適である。
このとき、フラーレン溶液は、飽和溶液であっても、未飽和溶液であってもよいが、とくに飽和溶液を用いることが好ましい。飽和溶液を用いた場合には、フラーレン細線が効率的に析出される。なお、第1溶媒には、フラーレン細線の析出を妨げないものであれば、フラーレン分子の溶解能を高めるための添加剤を加えてもよい。
第2溶媒としては、フラーレン分子を溶解する第1溶媒とは異なる種類の溶媒系でフラーレン分子の溶解能が小さい貧溶媒であればよい。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、およびペンタノール等のアルコール系溶媒、及びエチレングリコール等の多価アルコールが例示される。さらに、第2溶媒には、フラーレン細線の析出を促進する第2溶媒以外の物質を助剤として添加してもよい。例えば、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素の水酸化物、アルコキシド、その他の有機・無機化合物などを単独もしくは複数種添加してもよい。これらを添加することによってフラーレン細線の成長を促進させることができる。なお、本発明において、C60フラーレンを用いたときの好ましい溶媒の組み合わせは、第1溶媒としてピリジン、第2溶媒としてイソプロピルアルコールを例示することができる。
上記(B)工程では、フラーレン溶液と第2溶媒との間に液−液界面を形成させている。このような液−液界面の形成は、例えば、フラーレン溶液を入れた容器の壁面に第2溶媒を伝わせて添加する方法(壁法)、あるいはフラーレン溶液を入れた容器に第2溶媒を静かに滴下する方法(滴下法)により実現することができる。
液−液界面は、第1溶媒と第2溶媒とが永久に分離するように形成させる必要はなく、例えば、液−液界面を形成させた後の混合溶液に超音波照射し、両溶媒を相互に拡散させてもよい。この方法によっても、より効果的にフラーレン細線を再現性よく、かつ高い歩留まりで製造することができる。
次いで、上記(C)工程では、液−液界面を形成させた後、この液−液界面を形成したフラーレン溶液と第2溶媒との混合溶液を好ましくは0〜25℃、より好ましくは5℃以上10℃未満に保ち、この液−液界面を利用してフラーレン溶液からフラーレン細線を析出させている。混合溶液の温度が25℃を超える場合には、フラーレン細線を再現性よく高い歩留まりで再現できない場合があるので好ましくない。この混合溶液を1日〜1ヶ月以上静置することで、例えば直径が5nm〜100μm、アスペクト比(長さ/直径)が2以上のフラーレン細線を得ることができる。また、静置される間に、析出したフラーレン細線の内部が選択溶解されて中空構造を持ったフラーレン細線を得ることも可能である。
なお、液−液界面を形成させた後の混合溶液に超音波照射した場合には、超音波照射した後の混合溶液を0〜25℃に保ちフラーレン細線を析出させるようにしてもよい。
本発明では、上記フラーレン溶液、第2溶媒あるいはそれらの混合溶液を0〜25℃の温度にするために、上述した金属製のグローブボックス内に図1に示すようような−5〜25℃の温度に制御された冷却板を設置し、その冷却板の上に上記フラーレン溶液、第2溶媒あるいはそれらの混合溶液を入れた容器を載置することで、液温を所定の温度にすることができる。
図1の冷却板は、例えば、熱伝導に優れたシート体と不凍液等の冷媒を循環させる冷却パイプとから構成され、冷却パイプはシート体の下面側に蛇行させるように張り巡らして配設される。これによってシート体が温度ムラなく効果的に冷却され、冷却板全体として一定の温度を維持できるようになる。冷却板の大きさは、グローブボックスの大きさに応じて任意の大きさにすることができるが、例えば、後述する実施例では横約55cm×縦約50cmのシート体と、内経約8mm、外径約10mmの断面丸型の冷却パイプを用いている。シート体やパイプの材質としては、熱伝導に優れたものであれば特に限定されるものではなく、例えば、黄銅、銅、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属材料やガラスや樹脂等の非金属材料であってもよい。なかでもシート体の材質としては、耐食性に優れるステンレス鋼が好ましく、好適にはオーステナイトステンレス鋼(SUS304相当のもの)である。冷却パイプの材質としては、銅が好適である。
図2は、本発明のフラーレン細線の製造に用いた冷却板装備グローブボックスの一例を模式的に示したものである。この図によれば、グローブボックス内に冷却板が設置されており、フラーレン細線の製造のために用いる各種溶媒、溶液を入れた容器を冷却板上に載置して所定の温度にし、グローブボックス内での各種の作業を手袋を介しておこなうようにしている。なお、グローブボックス内の様子はガラス窓より観察できるようになっている。冷却板は上述した図1のようなシート体と冷却パイプで構成されており、冷却パイプはシンフレックスチューブを介してグローブボックスの壁面に備え付けられた継ぎ手を経て、グローブボックスの外部に設置されている冷媒循環装置の冷媒供給口に接続されている。そして、冷媒循環装置から送りだされた冷媒は、グローブボックス内の冷却パイプ内部を通ってシート体を冷却し、再び、グローブボックス外に輸送されて、冷媒循環装置に戻る。冷媒の温度は、任意に設定することができるが、−5℃から25℃の間が好ましく、さらには5℃から10℃の間が好ましい。グローブボックスには、実験器具や試薬をグローブボックス内に導入できるパスボックスが備えられている。パスボックスはグローブボックスと同様に真空に排気することが可能であり、ガス置換できる構造となっている。グローブボックスおよびパスボックス内は真空ポンプにより真空引きされ、グローブボックス内の雰囲気ガスは毎分20mL程度の流量の不活性ガスでガス置換される。グローブボックスおよびパスボックスには、圧力計、不活性ガスの流量を制御するためのバルブ、流出する雰囲気ガスの流量を測定するためのガス流量計および雰囲気ガス中の露点温度を検知するための露点センサと露点温度を表示する露点モニタが備えられており、グローブボックス内が所定の露点温度になるように制御し、乾燥雰囲気状態を実現している。また、グローブボックス内での作業や観察しやすくするためにグローブボックス内には蛍光灯が設けられている。
以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって本発明が限定されることはない。
<実施例>
冷却板装備グローブボックス内でのC60フラーレンチューブの合成
図2に示した冷却板装備グローブボックス内でC60フラーレン細線を合成した。グローブボックスは、アズワン株式会社製 SGV−80V型を用いた。
有機合成用脱水ピリジン(和光純薬工業株式会社製)と脱水イソプロピルアルコール(脱水IPA、和光純薬工業株式会社製)の入ったガラスビンを、真空排気後窒素置換したグローブボックス中の冷却板(7℃)の上に置き、一定温度になるまで、放置した。窒素置換した上記グローブボックスの露点は−35℃〜−20℃の範囲にあり、以下の合成実験は、グローブボックス内の雰囲気を毎分20mLの流量の乾燥窒素ガスで置換しつつおこなった。グローブボックス外の室温は、エアコンによって約23℃に保った。
グローブボックス中において、透明ガラスビンを用いて、脱水ピリジンにC60(純度99.95%, MTR Co.製)を超音波照射によって溶解・飽和させた。このガラスビンに、波長302nmの紫外線を紫外線照射装置(UVP社製Model UVM−57)によって24時間照射した。この照射によって、溶液の色が赤紫色から茶褐色に変化した。この溶液を、同グローブボックス中で桐山ロートを用いて吸引ろ過してC60飽和ピリジン溶液を得た。この溶液を10mL容量のガラスバイアルビン4本に1mLずつメスピペットを用いて分取した。これらの10mLガラスビンは、同グローブボックスの冷却板上に置いて平衡温度(約7℃)に到達させた。さらに、同10mLガラスビンにピペットを用いて上記の脱水イソプロピルアルコール(約7℃)を9mL静かに加えて、下層がC60飽和ピリジン溶液、上層が脱水イソプロピルアルコールとなるように、C60飽和ピリジン−脱水イソプロピルアルコールの液−液界面を形成した。
上記の液−液界面を形成した4本のガラスビンの内の2本(1)、2))は、そのまま冷却板上(約5℃)に静置した。他の2本のガラスビン(3)、4))は、センチストークス粘度液(ジメチルポリシロキサン、型番SN−1、株式会社ハギテック製)を媒体として、超音波洗浄器水中で1分間超音波照射し界面を乱して手で振り混ぜた後、さらに、1分間超音波照射して両溶媒を相互に拡散させたのち、冷却板上に静置した。超音波照射時の粘度液の温度は約19℃であった。
図3(a)はガラスビン1)、(b)はガラスビン2)の様子を示し、図4(a)はガラスビン3)、(b)はガラスビン4)の様子を示している。いずれのガラスビンも上記の界面形成日から29日経過後の様子を示している。どのガラスビン中においても、矢印で示したように黄褐色を呈するC60分子から成るフラーレンチューブが生成していることが分かる。なお、ガラスビン1)とガラスビン2)を比較すると、ガラスビン2)の方がC60フラーレンチューブの生成量がより多く、ガラスビン3)とガラスビン4)を比較すると、ガラスビン4)の方がC60フラーレンチューブの生成量がより多くなっており、その生成量に若干の差が生じている。これは、液−液界面の形成時点において、C60フラーレンチューブの成長起点となる種結晶の生成量に差が生じたことを示唆する。
以上のように、乾燥雰囲気下ではいずれのガラスビン中においてもフラーレンチューブが確実に生成される。したがって、フラーレンチューブを再現性よく、かつ高い歩留まりで得ることができることが確認された。
上記の方法によって合成したC60フラーレンチューブをスライドガラス上に採取して乾燥させ、光学顕微鏡で観察した。その結果を図5に示す。
図6(a)は、C60粉末(純度99.95%, MTR Co.製)のラマンスペクトルであり、図6(b)は図5中の矢印で示したC60フラーレンチューブのラマンスペクトルである。図5(b)では、スライドガラスに由来するピーク(SiO)が観察されている。図6の(a)と(b)のスペクトルから明らかなように、図5の光学顕微鏡のフラーレンチューブはC60からできており、しかも、このC60フラーレンチューブのC60分子同士はファン・デル・ワールス結合によって結合していることが分かる。
<比較例>
大気中でのC60フラーレンチューブの合成実験
大気中において、以下の実験を、室温約27℃、湿度約65%において行った。
100mL容量のガラスバイアルビンを用いて、C60粉末(99.5%純度、MTR
Co.社製)をピリジン(特級、和光純薬株式会社製)に過剰に加えて超音波照射による攪拌によって飽和溶液を作り、これに302nmの紫外線を21時間照射した。この結果生じた沈殿を桐山ロート(目皿直径21mm)でろ過して、C60飽和ピリジン溶液を得た。この溶液を10mL容量のガラスバイアルビン300本に各1mL分取した。次に、これらのガラスビンをステンレス製の試験管立に50本ずつ収めて、ステンレス製試験管立ごとステンレスバット中の水に浸して冷却した。このステンレスバット中の水の温度は、投げ込み式冷却器とスクリュー式攪拌器によってによっ7℃に保った。次に、同じステンレスバット水中で冷却したイソプロピルアルコール(特級、和光純薬工業株式会社製)各9mLを、上記の7℃に保ったC60飽和ピリジン溶液中にピペットを用いて静かに加えて、C60飽和ピリジン−イソプロピルアルコールの液−液界面を形成した後、このガラスビンを超音波洗浄器で氷水を媒体として、超音波を1分間照射し、手で振り混ぜて、さらに1分間超音波を照射して溶媒を相互に拡散させた。この作業を試験管立ての全ての残りのガラスビン49本に対して同様におこなった。さらに、水切りを経て、この試験管立に収納された50本のC60飽和ピリジン−イソプロピルアルコール溶液が入ったガラスビンをインキュベータ(SANYO MIR−153)内に10℃で30日間保管した。他の250本についても同様に合成作業をおこない10℃で30日間保管した。
このようにして、合成時点から10℃で30日間保管した300本のガラスビンを目視で検査したところ、81本にC60フラーレンチューブの生成が認められ、C60フラーレンチューブ生成における見かけの歩留まりは27%であった。
以上より、水分の存在をできるだけ抑えた乾燥雰囲気下でのグローブボックス内で合成方法は、水分が存在する大気中で合成した方法に比べて、フラーレンチューブを再現性良く、高い歩留まりで合成できることが確認された。
特に超音波による界面の擾乱を与えなくても、C60飽和ピリジン溶液にイソプロピルアルコールを重層させて液−液界面を形成し静置する方法によっても、再現性良くフラーレンチューブが合成できることが判明した。
冷却板の平面図である。 フラーレン細線の製造に用いる冷却板装備グローブボックスの模式図である。 実施例において、液−液界面形成後、超音波を照射せずに合成したC60フラーレンチューブの観察結果である。(a)はガラスビン1)の様子を示しており、(b)はガラスビン2)の様子を示す。 実施例において、液−液界面形成後、超音波を照射して合成したC60フラーレンチューブの観察結果である。(a)はガラスビン3)の様子を示しており、(b)はガラスビン4)の様子を示す。 実施例で合成したC60フラーレンチューブの観察結果である。 (a)C60粉末と(b)合成したC60フラーレンチューブのラマンスペクトルである。

Claims (2)

  1. フラーレン分子からなるフラーレン細線の製造方法であって、乾燥雰囲気下で、
    (A)フラーレン分子を第1溶媒に溶解し、0〜25℃の温度とし、脱水したフラーレン溶液に、前記第1溶媒よりもフラーレン分子の溶解能が低く、0〜25℃の温度とし、脱水した第2溶媒を添加する工程、
    (B)フラーレン溶液と第2溶媒との間に液−液界面を形成させる工程、
    (C)この液−液界面を形成したフラーレン溶液と第2溶媒との混合溶液を0〜25℃の温度で維持して、フラーレン細線を析出させる工程、
    を含むことを特徴とするフラーレン細線の製造方法。
  2. フラーレン分子からなるフラーレン細線の製造方法であって、乾燥雰囲気下で、
    (A)フラーレン分子を第1溶媒に溶解し、0〜25℃の温度とし、脱水したフラーレン溶液に、前記第1溶媒よりもフラーレン分子の溶解能が低く、0〜25℃の温度とし、脱水した第2溶媒を添加する工程、
    (B)フラーレン溶液と第2溶媒との間に液−液界面を形成させる工程、
    (C)液−液界面を形成したフラーレン溶液と第2溶媒との混合溶液に超音波照射する工程、
    (D)この混合溶液を0〜25℃の温度で維持して、フラーレン細線を析出させる工程、を含むことを特徴とするフラーレン細線の製造方法。
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