JP5098184B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、像担持体上に形成されたトナー像を移動体上に転写し、さらに、移動体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写および定着することにより、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置に関する。
従来より、帯電させた感光体の表面を露光して潜像を形成し、その潜像を現像してトナー像を形成し、そのトナー像を直接に、あるいは中間転写体を介在させて、最終的に記録媒体上に転写する電子写真方式を採用した画像形成装置が知られている。特に、中間転写体を備えた画像形成装置は、多色のトナーを使ってカラー画像を形成するカラープリンタとして多用されている。まず、中間転写体を備えた画像形成装置による基本的な画像形成方法について説明する。
図1は、中間転写体を備えた画像形成装置の主要部を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置には、感光体101、帯電器102、露光器103、現像器104、一次転写器105、および中間転写ベルト106などが備えられている。感光体101は、矢印A方向に回転しており、中間転写ベルト106は、矢印B方向に巡回走行している。実際には、感光体101、帯電器102、露光器103、現像器104、および一次転写器105で構成される画像形成ユニット100が、使用される複数色のトナーそれぞれに対応して1つずつ備えられており、それら複数の画像形成ユニットが中間転写ベルト106の巡回経路に沿って並べられている。ここでは、巡回経路の上流側から順に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒4色のトナーそれぞれに対応する画像形成ユニットが並べて配置されているものとして、図1では、それら複数色のうちの1色(マゼンタ)の画像形成ユニット100のみを示して説明する。
画像の形成にあたっては、まず、帯電器102によって感光体101の表面が帯電される。通常は、マイナスに帯電されたトナーが用いられることが多く、感光体101の表面はマイナスに帯電されることが一般的である。
続いて、露光器103によって画像に基づいた光Lが照射されて照射位置が除電されることにより、帯電された感光体101の表面に静電潜像が形成される。現像器104は、トナーを含む現像剤が内部に収納された収納部1042と、表面に現像剤を担持して回転することにより感光体101上の静電潜像にトナーを飛翔させる現像ロール1041とで構成されており、現像器104によって静電潜像が現像され、感光体101の表面にマゼンタのトナー像200Mが形成される。感光体101の表面に形成されたトナー像200Mは、感光体101の回転に伴って、感光体101と一次転写器105とが接触する転写位置Pにまで到達する。
また、図1に示す画像形成ユニット100で形成されたマゼンタのトナー像200Mが転写位置Pに到達するタイミングに合わせて、中間転写ベルト106の巡回経路の上流側に配置されたイエローの画像形成ユニット(図示しない)で形成されたイエローのトナー像200Yが中間転写ベルト106によって転写位置Pに搬送されてくる。
一次転写器105には、転写バイアス電圧が印加されており、転写位置Pには、感光体101上に形成されたトナー像200Mが一次転写器105側に引き付けられる向きの電界が生じている。例えば、マイナスに帯電されたトナーが使用される場合には、一次転写器105には、感光体101表面の電位よりも高い電位を付与する転写バイアス電圧が印加される。その結果、感光体101上のマゼンタのトナー像200Mが一次転写器105に引き付けられ、さらに、中間転写ベルト106が感光体101に所定の圧力で押し付けられることによって、マゼンタのトナー像200Mが中間転写ベルト106上のイエローのトナー像200Yの上に重ねて転写される。
以下、同様にして、中間転写ベルト106上に、シアンのトナー像、および黒のトナー像が順に重ねて転写され、4色のトナー像が重ね合わされた多色トナー像が形成される。多色トナー像は、中間転写ベルト106の巡回経路の下流に配置された二次転写器(図示しない)および定着器(図示しない)に搬送され、記録用紙上に転写されて定着される。
以上のようにして、記録用紙上にカラー画像が形成される。
ここで、画像形成装置を構成している各種要素には、その製造工程においてカーボンファイバーなどといった導電性異物が付着していることが多く、画像形成装置を組み立てる工程や、収納部1042を交換する際などに、それらの要素に付着していた導電性異物300が中間転写ベルト106上に落下してしまう。また、導電性異物300は、収納部1042内に収容された現像剤にも混入している。
収納部1042内に混入していたり、中間転写ベルト106上に付着した導電性異物300は、感光体101の回転や中間転写ベルト106の移動に伴って転写位置Pにまで到達する。転写位置Pには、転写バイアス電圧の印加による電界が生じているため、導電性異物300がクーロン力によって起立し、さらに、中間転写ベルト106が感光体101に押し付けられることによって、導電性異物300が感光体101に突き刺さってしまう。この状態で感光体101が帯電器102で帯電されると、感光体101に突き刺さった導電性異物300が帯電器102と接触して急激な電圧降下を招き、感光体101の帯電不良が生じて、画像形成装置で形成される画像に黒筋や白筋などといった画像欠陥が発生してしまうという問題がある。
この問題を解決する方法として、特許文献1には、現像器内に、現像剤に混入した導電性異物を分離する分離除去装置を備える技術について記載されている。この技術によると、感光体の回転に伴って導電性異物が転写位置に搬送されてくる不具合を軽減することができる。
特開2002−66376号公報
しかし、特許文献1に記載された技術では、中間転写ベルトによって転写位置に搬送されてくる導電性異物を除去することができない。特に、図1に示すように、感光体が中間転写ベルトの上に配置された画像形成装置では、トナーカートリッジや感光体などといった消耗品を交換する際や、画像形成装置を搬送する際などに振り落とされた導電性異物が中間転写ベルト上に溜まってしまうことが多く、上述した画像欠陥が生じやすいという問題がある。
尚、このような問題は、中間転写ベルトが備えられた画像形成装置だけではなく、感光体上に形成されたトナー像を、所定の巡回経路に沿って移動する移動体上に転写する画像形成装置に一般的に生じる問題である。
本発明は、上記事情に鑑み、導電性異物に起因する画像欠陥が軽減された画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、所定の巡回経路に沿って巡回走行される移動体と、
巡回経路上の所定の転写位置で移動体と接触する、表面にトナー像を担持して回転する像担持体と、
像担持体の表面に帯電トナーによってトナー像を形成する画像形成部と、
電界を生じさせることにより、像担持体の表面に形成されたトナー像を移動体に転写する転写器と、
像担持体に対して巡回経路における上流側に並んで移動体に対向した、転写器によって生じる電界の向きと同じ向きの電界を生じさせることにより移動体上の不要物を電気的に引き付けるクリーニング部材とを備えたことを特徴とする。
本発明の画像形成装置によると、巡回経路における転写位置の上流側で、転写器によって生じる電界の向きと同じ向きの電界によって移動体上の不要物が電気的に除去されるため、像担持体上に形成されたトナー像や、移動体の巡回走行に伴って転写位置に搬送されてくるトナー像などを崩すことなく導電性の不要物を除去することができ、画像欠陥を軽減することができる。また、クリーニング部材が像担持体に並べて配置されることによって、不要物が転写位置に搬送される前に確実に不要物を除去することができる。
また、本発明の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、粘着性を有する面を備え、その面が移動体と対向したものであることが好ましい。
粘着性を有する面が移動体と対向することによって、電気的に引き付けられた不要物がその面に付着するため、不要物が転写位置に搬送されてしまう不具合を確実に防止することができる。
また、本発明の画像形成装置において、上記クリーニング部材は、移動体との間に100μm以上かつ500μm以下の距離を空けて対向したものであることが好適である。
本発明の好適な形態の画像形成装置によると、移動体上の不要物をクリーニング部材に確実に引き付けることができるとともに、移動体によって搬送されてクリーニング部材の近くを通過するトナー像を、クリーニング部材に引き付けられた不要物によって崩してしまう不具合を回避することができる。
また、本発明の画像形成装置において、「上記転写器は、移動体を挟んだ像担持体の反対側に帯電部材を備え、帯電部材に所定の電位が付与されることによって電界を生じさせるものであり、
上記クリーニング部材は、帯電部材との間に、絶対値で200V以上相違した電位を有するものである」という形態は好ましい。
クリーニング部材が帯電部材との間に絶対値で200V以上相違した電位を有することによって、導電性異物が大きなクーロン力でクリーニング部材に引き付けられ、導電性異物が確実に除去される。
本発明によれば、導電性異物に起因する画像欠陥が軽減された画像形成装置を提供することができる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図2は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置の主要部を示す概略構成図である。
図2に示す画像形成装置1は、静電潜像を形成しトナーで現像してトナー像を形成し、そのトナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することによりその記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置である。具体的には、この画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、および黒(K)の各色毎に画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを並列的に配置してなるタンデム型のプリンタであり、単色の画像をプリントすることができるほか、かかる4色のトナー像からなるフルカラーの画像をプリントすることができる。尚、これら4つの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kはほぼ同様の構成を有しているため、図2では、基本的にはY,M,C,Kの符号を省略してまとめて説明し、各色の要素について個別に説明するときにのみ、その色の符号Y,M,C,Kを付して説明する。
各画像形成ユニット10には、それぞれ、感光体11、帯電器12、露光器13、現像器14、一次転写器15,および感光体クリーナ16が備えられている。感光体11は、本発明にいう像担持体の一例にあたり、帯電器12、露光器13、および現像器14を合わせたものは、本発明にいう画像形成部の一例にあたり、一次転写器15は、本発明にいう転写器の一例に相当する。
また、画像形成装置1には、各画像形成ユニット10に共通の、制御部20、中間転写ベルト30、駆動ロール31、従属ロール32、中間転写ベルトクリーナ33、ステアリングロール34、二次転写器36、および転写クリーナ37が備えられている。中間転写ベルト30は、本発明にいう移動体の一例に相当する。
感光体11は、矢印A方向に回転されており、中間転写ベルト30は、矢印B方向に巡回走行されている。各画像形成ユニット10の、中間転写ベルト30の巡回経路における上流側には、本発明にいうクリーニング部材の一例に相当し、中間転写ベルト30上に付着した導電性異物を除去するための除去部材17が配置されている。除去部材17については、後で詳しく説明する。
この画像形成装置1の画像形成における基本動作について説明する。
まず、画像を形成するための準備として、各色用の感光体11が回転駆動され、感光体11の表面に、帯電器12によって所定の電荷が付与される。
続いて、画像読取装置(図示しない)で原稿画像が読み取られ、Y,M,C,K4色の色分解データが生成される。各色の色分解データは、対応する色の画像形成ユニット10の露光部13に送られる。
画像形成のための準備が終了すると、まず、イエローの画像形成ユニット10Yによるトナー像形成が開始される。イエローの露光部13Yにより、感光体11Y表面にイエローの色分解画像に相当するレーザ光が照射されて静電的な潜像(静電潜像)が形成される。その静電潜像は、現像器14Yによって循環供給される現像剤に含まれたイエローのトナーで現像されて、感光体11Y上にイエローのトナー像が形成される。
感光体11Y上にイエローのトナー像が形成されると、一次転写器15Yによって、感光体11Y上に形成されたイエローのトナー像が中間転写ベルト30上に転写される。
また、感光体11Y上のトナー像が中間転写ベルト30上に転写されると、感光体クリーナ16Yによって、感光体11Y上に残留する残留トナーが掻き取られて除去される。
中間転写ベルト30は、駆動ロール31および従属ロール32によって矢印B方向に巡回移動されるとともに、ステアリングロール34によって幅方向の位置ずれが補正される。この中間転写ベルト30上に転写されたイエローのトナー像が次の色であるマゼンタの画像形成ユニット10Mの一次転写器15Mに到達するタイミングに合わせて、マゼンタのトナー像が一次転写器15Mに到達するように、マゼンタの画像形成ユニット10Mによるトナー像形成が行われる。こうして形成されたマゼンタのトナー像は、一次転写器15Mによって中間転写ベルト30上のイエローのトナー像の上に重ねて転写される。
続いて、シアンおよび黒の画像形成ユニット10C、10Kによるトナー像形成が上記と同様のタイミングで行われ、一次転写器15C、15Kにおいて中間転写ベルト30のイエローおよびマゼンタのトナー像の上に順次重ねて転写される。
こうして、中間転写ベルト30上に転写された多色トナー像は、二次転写器36により記録用紙40上に二次転写され、多色トナー像は記録用紙40とともに矢印C方向に搬送され、定着器38により記録用紙40上に定着されることによりカラー画像が形成される。二次転写器36上に残留する残留トナーは転写体クリーナ37によって除去され、転写後の中間転写ベルト30上に残留する残留トナーは中間転写ベルトクリーナ33によって除去されて、次の画像形成に向けての準備がなされる。
基本的には、以上のようにして記録用紙上に画像が形成される。
続いて、除去部材17による導電性異物の除去と、制御部20による制御について詳しく説明する。
図3は、画像形成ユニット10、除去部材17、および制御部20の概略構成図であり、図4は、除去部材17による導電性異物の除去方法を説明するための図である。
尚、4つの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、および除去部材17Y,17M,17C,17Kはほぼ同様の構成を有しているため、図3、および図4では、それら画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、および除去部材17Y,17M,17C,17Kを代表して、マゼンタの画像形成ユニット10M、および除去部材17Mについて説明する。また、以下では、画像形成に使用されるトナーはマイナスに帯電されているものとして説明する。
図3に示すように、除去部材17Mは、中間転写ベルト30の巡回経路における、感光体11Mと中間転写ベルト30とが接触する転写位置Pの上流側に、中間転写ベルト30との間に所定の距離d(本実施形態においては、500μm程度)を空けて配置されている。除去部材17Mは、導電性を有する金属板17aと、中間転写ベルト30と対向する側の面に形成された導電性の粘着層17bとで構成されている。
また、帯電器12M、現像器14M、一次転写器15M、および除去部材17Mには、バイアス電圧を印加する帯電電源52、現像バイアス電源53、転写バイアス電源51、および除去バイアス電源54がそれぞれ備えられており、制御部20は、それら帯電電源52、現像バイアス電源53、転写バイアス電源51、および除去バイアス電源54による印加電圧を制御することによって、帯電器12M、現像器14M、一次転写器15M、および除去部材17Mの動作を制御している。
トナー像が形成される際には、感光体11Mが矢印A方向に回転されて、中間転写ベルト30が矢印B方向に巡回走行されるとともに、帯電電源52によって帯電器12Mに帯電電圧が印加され、現像バイアス電源53によって現像器14Mに現像バイアス電圧が印加され、転写バイアス電源51によって一次転写器15Mに転写バイアス電圧が印加され、除去バイアス電源54によって除去部材17Mに除去バイアス電圧が印加される。
帯電器12Mに帯電電圧が印加されると、感光体11Mの表面に所定の電荷が付与される(例えば、感光体11M表面の電位:−700V)。
続いて、露光器13Mから感光体11Mにレーザ光が照射されて、感光体11M表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、感光体11Mの回転に伴って、現像器14Mと感光体11Mとの間の現像位置に搬送される。
現像バイアス電圧が印加されることにより、現像器14Mには、感光体11M表面の電位よりも低い電位が付与されている(例えば、現像器14M表面の電位:−1000V)。現像器14Mでは、内部に収納された現像剤中のトナーがマイナスに帯電されており、現像バイアス電圧の印加により現像位置に生じた、感光体11M側から現像器14M側に向かう電界によって、トナーが感光体11M側に引き付けられて静電潜像に付着し、感光体11M上にマゼンタのトナー像が形成される。
感光体11M上に形成されたマゼンタのトナー像は、感光体11Mの回転に伴って転写位置Pに移動される。尚、マゼンタのトナー像が転写位置Pに移動されるタイミングで、上流側のイエローの画像形成ユニット10Yによって形成されたイエローのトナー像も転写位置Pに搬送されてくる。
一次転写器15Mには、転写バイアス電圧が印加されることによって、感光体11M表面の電位よりも高い電位が付与されており(例えば、一次転写器15M表面の電位:−200V)、転写位置Pには、一次転写器15M側から感光体11M側に向かう電界が生じている。また、除去部材17Mには、除去バイアス電圧が印加されることによって、一次転写器15Mの電位よりも低い電位が付与されており(例えば、除去部材17Mの電位:−400V)、除去部材17Mと一次転写器15Mとの間には、転写位置Pに生じている電界と同じ向きの電界が生じている。このため、中間転写ベルト30上のイエローのトナー像は、一次転写器15M側に引き付けられた状態で除去部材17Mの下を通過し、転写位置Pに搬送されてくる。
感光体11M上に形成されたマゼンタのトナー像は、転写位置Pに生じている電界によって一次転写器15Mに引き付けられ、中間転写ベルト30によって転写位置Pに搬送されてきたイエローのトナー像に、感光体11M上のマゼンタのトナー像が重ねて転写される。
また、トナー像が中間転写ベルト30上に転写された後の感光体11M上には、転写されずに残ってしまった残留トナーが付着している。残留トナーは、感光体11Mの回転に伴って感光体クリーナ16Mに供給され、感光体クリーナ16Mによって掻き取られる。
画像形成装置1では、以上のように各種バイアス電圧が印加されることによって、画像の形成が行われている。
ここで、感光体11やトナーカートリッジ(図示しない)等を交換する際などに、図4に示すように、画像形成装置1を作製する工程で生成された導電性異物70が中間転写ベルト30上に振り落とされ、中間転写ベルト30上に導電性異物70が付着してしまう。この導電性異物70が中間転写ベルト30によって転写位置Pに搬送されてしまうと、転写バイアス電圧の印加によって導電性異物70が起立し、さらに、中間転写ベルト30が感光体11Mに押し付けられることによって、導電性異物70が感光体11Mに突き刺さる恐れがある。本実施形態の画像形成装置1では、以下説明するように、除去部材17によって導電性異物が除去されることにより、このような導電性異物に起因する画像欠陥などといった不具合が回避される。
中間転写ベルト30上に付着した導電性異物70は、トナー像と同様に、中間転写ベルト30の移動に伴って除去部材17Mの近傍に搬送されてくる。除去部材17Mと一次転写器15Mとの間には、転写位置Pに生じている電界と同じ方向の電界が生じており、マイナスに帯電されたトナー像は、転写位置Pにおける転写方向(矢印D方向)と同じ矢印C方向に引き付けられることによって、乱されることなく除去部材17Mの下を通過する。一方、導電性異物70は、除去部材17Mと一次転写器15Mとの間の電界によって導電性異物70内で静電誘導が生じ、除去部材17Mに近い側にはプラス電荷が集まり、一次転写器15Mに近い側にはマイナス電荷が集まることによって、除去部材17Mおよび一次転写器15M双方に引き付けられて起立する。その結果、プラス電荷が集まった側が除去部材17Mに近づくため、導電性異物70がクーロン力によって強く除去部材17Mに引き付けられて粘着層17bに付着する。本実施形態においては、除去部材17Mと中間転写ベルト30との間の距離dは500μmであり、除去部材17Mと一次転写器15Mとの間には、200Vの電位差が生じているため(除去部材17Mの電位:−400V、一次転写器15Mの電位:−200V)、導電性異物70に電界の影響が確実に与えられ、導電性異物70が除去部材17Mによって確実に除去される。また、除去部材17Mと中間転写ベルト30との間の距離dが導電性異物70の長さ(通常、130μm程度)と比べて十分に長く空けられているため、導電性異物70が起立した状態で除去部材17Mの粘着層17bに付着させることができるとともに、除去部材17Mに付着した導電性異物70によって、除去部材17Mの下を通過するトナー像を乱してしまう不具合を回避することができる。
以上のように、本発明の画像形成装置によると、トナー像を乱すことなく、中間転写ベルト上に付着した導電性異物を確実に除去することができ、画像欠陥などといった不具合を回避することができる。
ここで、上記では、本発明にいう移動体として中間転写ベルトを利用する例について説明したが、本発明にいう移動体は、ドラムなどであってもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
従来から用いられているタンデム型の画像形成装置に、図3に示すような除去部材17を配置したものを利用した。この除去部材17としては、中間転写ベルト30の巡回走行方向の幅10mm、厚み1mmのアルミ板(金属板17a)に、導電性の粘着テープ(粘着層17b)を貼り付けたものを採用した。尚、現像剤に含まれるトナーは負帯電トナーを用いた。
この画像形成装置において、感光体11表面の電位を−700Vに設定するとともに、感光体11と一次転写器15との間に+500Vの電位差を生じさせる転写バイアス電圧を一次転写器15に印加した(すなわち、一次転写器15表面の電位:−200V)。
上述した画像形成装置において、除去バイアス電圧、および除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dを以下のように変えた実施例、および除去部材の配置位置を変えた比較例を用意した。
(実施例1)
図3に示すように、除去部材17を、中間転写ベルト30の巡回経路における転写位置Pの上流側に感光体11と並べて配置し、除去部材17と一次転写器15との間に絶対値で100Vの電位差を生じさせる除去バイアス電圧を除去部材17に印加する(すなわち、除去部材17表面の電位:−300V)。さらに、除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dを以下のように変える。
実施例1a:除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dを100μm空けて除去部材17を配置する。
実施例1b:距離dを200μm空けて除去部材17を配置する。
実施例1c:距離dを300μm空けて除去部材17を配置する。
実施例1d:距離dを400μm空けて除去部材17を配置する。
実施例1e:距離dを500μm空けて除去部材17を配置する。
実施例1f:距離dを600μm空けて除去部材17を配置する。
実施例1g:距離dを700μm空けて除去部材17を配置する。
(実施例2)
除去部材17と一次転写器15との間に絶対値で200Vの電位差を生じさせる除去バイアス電圧を除去部材17に印加し(すなわち、除去部材17表面の電位:−400V)、実施例1と同様にして、除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dを100μmから700μmまで順次に変えた7つの実施例2a〜実施例2gを用意する。
(実施例3)
除去部材17と一次転写器15との間に絶対値で300Vの電位差を生じさせる除去バイアス電圧を除去部材17に印加し(すなわち、除去部材17表面の電位:−500V)、実施例1と同様にして、除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dを100μmから700μmまで順次に変えた7つの実施例3a〜実施例3gを用意する。
(実施例4)
除去部材17と一次転写器15との間に絶対値で400Vの電位差を生じさせる除去バイアス電圧を除去部材17に印加し(すなわち、除去部材17表面の電位:−600V)、実施例1と同様にして、除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dを100μmから700μmまで順次に変えた7つの実施例4a〜実施例4gを用意する。
(実施例5)
除去部材17と一次転写器15との間に絶対値で500Vの電位差を生じさせる除去バイアス電圧を除去部材17に印加し(すなわち、除去部材17表面の電位:−700V)、実施例1と同様にして、除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dを100μmから700μmまで順次に変えた7つの実施例5a〜実施例5gを用意する。
(比較例)
除去部材17を、中間転写ベルト30の巡回経路における中間転写ベルトクリーナ33の上流側に、除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dを100μm空けて配置する。尚、除去部材17の、中間転写ベルト30を挟んだ反対側には、一次転写器15と同様の構成を有する除去用転写器を配置し、除去部材17と除去用転写器との間に絶対値で500Vの電位差を生じさせる除去バイアス電圧を除去部材17に印加する(除去用転写器の電位:−200V、除去部材17表面の電位:−700V)。この比較例は、実施例5aにおいて、除去部材17を感光体11と並べて配置せずに、除去部材17を画像形成過程における最上流側に1つだけ配置したものである。
(評価方法)
中間転写ベルト30上にカーボンファイバー(東レ株式会社製:MLD300)を1mgのせ、A3サイズのコピー用紙に白黒のハーフトーン画像を連続して10枚プリントする。このプリント画像を目視で評価した。評価基準は、以下の通りである。
○:プリント画像中に、黒点や白点などといった画像欠陥が全くない。
△:実用上は問題がない程度だが、数個の画像欠陥が確認できた。
×:見た目に違和感を感じる程度に、数十個の画像欠陥が確認できた。
次に、これらの実施例および比較例に対する評価結果について説明する。
(評価結果)
表1には、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、および比較例と、それらに対する評価結果が示されている。
Figure 0005098184
除去部材17と一次転写器15との間の電位差が100Vである実施例1では、除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dを200μm以上離すと、10枚目のプリント画像に数個の黒点が確認された。これは、除去バイアス電圧の印加によって生じるクーロン力が弱く、導電性異物70の一部が除去部材17によって除去されずに中間転写ベルト30上に残ってしまったためであると考えられる。除去部材17と一次転写器15との間の電位差が200V以上である実施例2から実施例5では、距離dが500μm以下であれば画像欠陥が確認されず、除去部材17と一次転写器15との間の電位差は200V以上であることが好ましいことが確認された。
また、実施例2から実施例5においても、除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dを500μmよりも大きくすると、プリント画像上に数個の黒点が確認された。これは、除去部材17と中間転写ベルト30との間が離れすぎていて、除去部材17によって導電性異物70を引き付ける力が及びにくいためであると考えられる。実施例2から実施例5において、距離dが500μm以下である場合には画像欠陥は全く生じてないことから、除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dは500μm以下であることが好ましいことが確認された。
尚、実施例1から実施例5において、除去部材17と一次転写器15との間の電位差が200Vよりも小さい場合、および除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dが500μmよりも大きい場合には、プリント画像上に数個の黒点が確認されたが、実用上問題のない程度であると判定された。
比較例では、10枚目のプリント画像上に、0.1〜0.3mmの黒点が30個程度確認された。これは、目視で画像欠陥を確実に認識できるものであり、実用上、問題ありと判定された。この比較例においては、除去部材17と中間転写ベルト30との間の距離dが100μmであり、除去部材17と除去用転写器との間の電位差が500Vであるため、中間転写ベルト30上に付着した導電性異物を確実に除去できるはずである。しかし、画像形成における最上流側で導電性異物が除去されても、画像形成中に画像形成装置が振動して中間転写ベルト30上に導電性異物が振り落とされ、画像欠陥が生じたと考えられる。したがって、本発明のように、除去部材17が感光体11に並べて配置されることが好ましいことが確認された。
以上の結果から、本発明の有用性が確認できた。
従来の画像形成装置の主要部を示す概略構成図である。 本発明の一実施形態が適用された画像形成装置の主要部を示す概略構成図である。 画像形成ユニット、除去部材、および制御部の概略構成図である。 除去部材による導電性異物の除去方法を説明するための図である。
符号の説明
1 画像形成装置
10Y,10M,10C,10K,100 画像形成ユニット
11Y,11M,11C,11K,101 感光体
12Y,12M,12C,12K,102 帯電器
13Y,13M,13C,13K,103 露光器
14Y,14M,14C,14K,104 現像器
15Y,15M,15C,15K,105 一次転写器
16Y,16M,16C,16K 感光体クリーナ
17Y,17M,17C,17K 除去部材
20 制御部
30,106 中間転写ベルト
31 駆動ロール
32 従属ロール
33 中間転写ベルトクリーナ
34 ステアリングロール
36 二次転写器
37 転写体クリーナ
38 定着器

Claims (4)

  1. 所定の巡回経路に沿って巡回走行される移動体と、
    前記移動体に沿って並んで配置された、該移動体上にトナー像を順次重ねて形成する複数の画像形成ユニットとを備え、
    前記複数の画像形成ユニットのそれぞれが、
    前記巡回経路上の所定の転写位置で前記移動体と接触する、表面にトナー像を担持して回転する像担持体と、
    前記像担持体の表面に帯電トナーによってトナー像を形成する画像形成部と、
    前記転写位置で前記像担持体との間に前記移動体を挟んで設けられた転写器であって、該移動体の該転写位置における部分に対し、該移動体のうちこの転写器に向く転写器側面から、該像担持体に向く像担持体側面へと向かう電界を生じさせることにより、前記像担持体の表面に形成されたトナー像を前記移動体に転写する転写器と、
    前記像担持体が属する画像形成ユニットの前記巡回経路における上流側に並んだ画像形成ユニットよりも下流側で、かつ、前記像担持体に対して上流側に並んで前記移動体に対向したクリーニング部材であって、該移動体の、このクリーニング部材と対向する部分に対し、前記転写器側面から前記像担持体側面へと向かう電界を生じさせることにより該移動体上の不要物を電気的に引き付けるクリーニング部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記クリーニング部材は、粘着性を有する面を備え、その面が前記移動体と対向したものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記クリーニング部材は、前記移動体との間に100μm以上かつ500μm以下の距離を空けて対向したものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. 前記クリーニング部材は、前記転写器との間に、絶対値で200V以上相違した電位を有するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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