JP5093749B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
従来より、反応ガス(燃料ガス及び酸化ガス)の供給を受けて発電を行う燃料電池を備えた燃料電池システムが提案され、実用化されている。かかる燃料電池システムには、水素タンク等の燃料供給源から供給される燃料ガスを燃料電池へと流すための燃料供給流路を形成する配管が設けられている。そして、この配管(燃料供給流路)には、燃料供給源からの燃料ガスの供給圧力を一定の値まで低減させる調圧弁(レギュレータ)が設けられるのが一般的である。
また、現在においては、燃料ガスの供給状態(供給量・供給圧力等)を変化させる開閉弁を配管(燃料供給流路)に設けることにより、システムの運転状態に応じて燃料ガスの供給状態を変化させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−302563号公報
ところで、前記した特許文献1に記載されたような燃料電池システムにおいては、開閉弁の構造的な特徴により、開弁時及び閉弁時に配管に振動が発生することが知られており、開弁時に発生する振動と閉弁時に発生する振動とが重ね合わせられて増幅することによりノイズ(騒音)が発生するという問題があった。このようなノイズは、特に間欠運転時等に顕在化して利用者に不快感を与える場合がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、燃料供給流路を形成する配管と、この配管に設けられた開閉弁と、を備える燃料電池システムにおいて、開閉弁の開閉動作に起因する振動の増幅を抑制することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る第一の燃料電池システムは、燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを燃料電池へと流すための燃料供給流路を形成する配管と、燃料供給流路の上流側におけるガス状態を調整して下流側に供給する開閉弁と、この開閉弁の開閉動作を制御する制御手段と、を備える燃料電池システムであって、制御手段は、開閉弁上流側における配管の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、開閉弁の開放時から閉鎖時までの所要時間を設定するものである。
また、本発明に係る第二の燃料電池システムは、燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを燃料電池へと流すための燃料供給流路を形成する配管と、燃料供給流路の上流側におけるガス状態を調整して下流側に供給する開閉弁と、この開閉弁の開閉動作を制御する制御手段と、を備える燃料電池システムであって、制御手段は、開閉弁上流側における配管の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、開閉弁の閉鎖時から開放時までの所要時間を設定するものである。
かかる構成を採用すると、開閉弁上流側における配管の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、開閉弁の開放時から閉鎖時まで(又は閉鎖時から開放時まで)の所要時間を設定することができる。例えば、開弁時に発生する振動と閉弁時に発生する振動とが重ね合わせられて開閉弁上流側における配管の振動が増幅することを抑制するように、開閉弁の開放時から閉鎖時まで(又は閉鎖時から開放時まで)の所要時間を従来の所要時間よりも長くすることができる。従って、間欠運転時等におけるノイズの発生を抑制することが可能となる。なお、「ガス状態」とは、流量、圧力、温度、モル濃度等で表されるガスの状態を意味し、特にガス流量及びガス圧力の少なくとも一方を含むものとする。
前記燃料電池システムにおいて、開閉弁下流側における配管の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、開閉弁の開放時から閉鎖時まで(又は閉鎖時から開放時まで)の所要時間を設定する制御手段を採用することもできる。
かかる構成を採用すると、開閉弁下流側における配管の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、開閉弁の開放時から閉鎖時まで(又は閉鎖時から開放時まで)の所要時間を設定することができる。従って、間欠運転時等におけるノイズの発生を抑制することが可能となる。
また、前記燃料電池システムにおいて、開閉弁自体の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、開閉弁の開放時から閉鎖時まで(又は閉鎖時から開放時まで)の所要時間を設定する制御手段を採用することもできる。
かかる構成を採用すると、開閉弁自体の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、開閉弁の開放時から閉鎖時まで(又は閉鎖時から開放時まで)の所要時間を設定することができる。
また、前記燃料電池システムにおいて、開閉弁の開放時に発生した振動と逆の振動を開閉弁の閉鎖時に発生させるように(又は開閉弁の閉鎖時に発生した振動と逆の振動を開閉弁の開放時に発生させるように)、開閉弁の開放時から閉鎖時まで(又は閉鎖時から開放時まで)の所要時間を設定する制御手段を採用することもできる。
かかる構成を採用すると、開弁時に発生する振動と閉弁時に発生する振動とを重ね合わせて振動を減衰させる(ないし打ち消す)ことができるので、ノイズの発生を効果的に抑制することが可能となる。
また、前記燃料電池システムにおいて、配管又は開閉弁の振動レベルを検出する振動センサを備えることができる。かかる場合に、振動センサで検出した振動レベルに基づいて、開閉弁の開放時から閉鎖時まで(又は閉鎖時から開放時まで)の所要時間を設定する制御手段を採用することができる。
かかる構成を採用すると、振動センサで検出した振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、開閉弁の開閉時間のフィードバック制御を実現させることができる。
また、前記燃料電池システムの配管を所定の移動体に固定する場合には、移動体の配管固定部近傍に振動センサを配置することが好ましい。
かかる構成を採用すると、配管が円筒状となっていて振動センサを取り付け難い場合や、配管に取り付けた振動センサが振動し易いために配管の振動を検出し難い場合に、適切に対処することが可能となる。
また、前記燃料電池システムにおいて、開閉弁上流側の配管にサージタンク(調圧槽)を設けることもできる。
かかる構成を採用すると、開閉弁上流側の配管の振動レベルを所定の基準レベル以下にするために開閉弁の開放時から閉鎖時まで(又は閉鎖時から開放時まで)の所要時間を長くすることにより、開閉弁上流側の配管内におけるガスの脈動が大きくなった場合においても、サージタンクによりその脈動を抑制することができる。従って、ガスの脈動に起因する振動を抑制することが可能となる。
また、前記燃料電池システムにおいて、開閉弁としてインジェクタを採用することができる。
インジェクタとは、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス状態(ガス流量やガス圧力)を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。所定の制御部がインジェクタの弁体を駆動して燃料ガスの噴射時期や噴射時間を制御することにより、燃料ガスの流量や圧力を制御することが可能となる。
本発明によれば、燃料供給流路を形成する配管と、この配管に設けられた開閉弁と、を備える燃料電池システムにおいて、開閉弁の開閉動作に起因する振動の増幅を抑制することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1について説明する。
まず、図1〜図5を用いて、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1の構成について説明する。本実施形態に係る燃料電池システム1は、図1に示すように、反応ガス(酸化ガス及び燃料ガス)の供給を受けて電力を発生する燃料電池10を備えるとともに、燃料電池10に酸化ガスとしての空気を供給する酸化ガス配管系2、燃料電池10に燃料ガスとしての水素ガスを供給する水素ガス配管系3、システム全体を統合制御する制御装置4等を備えている。本実施形態に係る燃料電池システム1は、図2に示すように、燃料電池車両100に搭載されて車載発電システムとして機能する。
燃料電池10は、反応ガスの供給を受けて発電する単電池を所要数積層して構成したスタック構造を有している。燃料電池10により発生した電力は、PCU(Power Control Unit)11に供給される。PCU11は、燃料電池10とトラクションモータ12との間に配置されるインバータやDC−DCコンバータ等を備えている。
酸化ガス配管系2は、加湿器20により加湿された酸化ガス(空気)を燃料電池10に供給する空気供給流路21と、燃料電池10から排出された酸化オフガスを加湿器20に導く空気排出流路22と、加湿器21から外部に酸化オフガスを導くための排気流路23と、を備えている。空気供給流路21には、大気中の酸化ガスを取り込んで加湿器20に圧送するコンプレッサ24が設けられている。
水素ガス配管系3は、高圧の水素ガスを貯留した燃料供給源としての水素タンク30と、水素タンク30の水素ガスを燃料電池10に供給するための燃料供給流路としての水素供給流路31と、燃料電池10から排出された水素オフガスを水素供給流路31に戻すための循環流路32と、を備えている。なお、水素タンク30に代えて、炭化水素系の燃料から水素リッチな改質ガスを生成する改質器と、この改質器で生成した改質ガスを高圧状態にして蓄圧する高圧ガスタンクと、を燃料供給源として採用することもできる。また、水素吸蔵合金を有するタンクを燃料供給源として採用してもよい。
水素供給流路31には、水素タンク30からの水素ガスの供給を遮断又は許容する遮断弁33と、水素ガスの圧力を調整するレギュレータ34と、インジェクタ35と、が設けられている。また、インジェクタ35の下流側であって水素供給流路31と循環流路32との合流部A1の上流側には、水素供給流路31内の水素ガスの圧力を検出する二次側圧力センサ41が設けられている。また、水素供給流路31を形成する配管31a(図2及び図3)のインジェクタ35の上流側近傍には、配管31aの振動レベル(加速度)を検出する振動センサ42が設けられている。振動センサ42で検出された配管31aの振動レベルは制御装置4に伝送され、後述する振動抑制制御に用いられる。
本実施形態においては、図2に示すように、燃料電池車両100の前方に燃料電池10を、燃料電池車両100の後方に水素タンク30を、各々配置するとともに、燃料電池車両100の車台110の下部に水素供給流路31を形成する配管31aを固定している。配管31aは、車台110の2箇所の配管固定部111、112に固定されており、配管31aのインジェクタ35上流側近傍には、振動センサ42が取り付けられている。
レギュレータ34は、その上流側圧力(一次圧)を、予め設定した二次圧に調圧する装置である。本実施形態においては、一次圧を減圧する機械式の減圧弁をレギュレータ34として採用している。機械式の減圧弁の構成としては、背圧室と調圧室とがダイアフラムを隔てて形成された筺体を有し、背圧室内の背圧により調圧室内で一次圧を所定の圧力に減圧して二次圧とする公知の構成を採用することができる。本実施形態においては、図1に示すように、インジェクタ35の上流側にレギュレータ34を2個配置することにより、インジェクタ35の上流側圧力を効果的に低減させることができる。このため、インジェクタ35の機械的構造(弁体、筺体、流路、駆動装置等)の設計自由度を高めることができる。また、インジェクタ35の上流側圧力を低減させることができるので、インジェクタ35の上流側圧力と下流側圧力との差圧の増大に起因してインジェクタ35の弁体が移動し難くなることを抑制することができる。従って、インジェクタ35の下流側圧力の可変調圧幅を広げることができるとともに、インジェクタ35の応答性の低下を抑制することができる。
インジェクタ35は、図3に示すように、弁体52を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座50から離隔させることによりガス流量やガス圧を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。本実施形態においては、図1に示すように、水素供給流路31と循環流路32との合流部A1より上流側にインジェクタ35を配置している。また、図1に破線で示すように、燃料供給源として複数の水素タンク30を採用する場合には、各水素タンク30から供給される水素ガスが合流する部分(水素ガス合流部A2)よりも下流側にインジェクタ35を配置するようにする。
インジェクタ35は、図3に示すように、水素ガス等の気体燃料を噴射する噴射孔を有する弁座50を備えるとともに、その気体燃料を噴射孔まで供給案内するノズルボディ51と、ノズルボディ51に対して軸線方向(気体流れ方向)に移動可能に収容保持され噴射孔を開閉する弁体52と、を備えている。本実施形態においては、インジェクタ35の弁体52は電磁駆動装置であるソレノイド53により駆動され、このソレノイド53に給電されるパルス状励磁電流のオン・オフにより、噴射孔の開口面積を2段階又は多段階に切り替えることができるようになっている。制御装置4から出力される制御信号によってインジェクタ35のガス噴射時間及びガス噴射時期が制御されることにより、水素ガスの流量及び圧力が高精度に制御される。インジェクタ35は、弁(弁座50及び弁体52)を電磁駆動力で直接開閉駆動するものであり、その駆動周期が高応答の領域まで制御可能であるため、高い応答性を有する。
インジェクタ35には、弁体52の後方への移動を規制するストッパ54が設けられている。このため、インジェクタ35の噴射孔が開放される開弁時においては、弁座50から離隔した弁体52がストッパ54に当接するため、インジェクタ35自体及びインジェクタ35上流側・下流側の配管31aに振動が発生する。また、インジェクタ35の噴射孔が閉鎖される閉弁時においても、弁体52が弁座50に当接するため、インジェクタ35自体及びインジェクタ35上流側・下流側の配管31aに振動が発生する。本実施形態においては、このようなインジェクタ35の開閉動作に起因する振動の増幅を抑制するために、インジェクタの開放時から閉鎖時まで(又は閉鎖時から開放時まで)の所要時間を調整している。振動抑制制御の詳細については後述する。
インジェクタ35は、その下流に要求されるガス流量を供給するために、インジェクタ35のガス流路に設けられた弁の開口面積(開度)及び開放時間の少なくとも一方を変更することにより、下流側(燃料電池10側)に供給されるガス流量(又は水素モル濃度)を調整する。なお、インジェクタ35の弁の開閉によりガス流量が調整されるとともに、インジェクタ35下流に供給されるガス圧力がインジェクタ35上流のガス圧力より減圧されるため、インジェクタ35を調圧弁(減圧弁、レギュレータ)と解釈することもできる。また、本実施形態では、ガス要求に応じて所定の圧力範囲の中で要求圧力に一致するようにインジェクタ35の上流ガス圧の調圧量(減圧量)を変化させることが可能な可変調圧弁と解釈することもできる。
循環流路32には、気液分離器36及び排気排水弁37を介して、排出流路38が接続されている。気液分離器36は、水素オフガスから水分を回収するものである。排気排水弁37は、制御装置4からの指令によって作動することにより、気液分離器36で回収した水分と、循環流路32内の不純物を含む水素オフガス(燃料オフガス)と、を外部に排出(パージ)するものである。また、循環流路32には、循環流路32内の水素オフガスを加圧して水素供給流路31側へ送り出す水素ポンプ39が設けられている。なお、排気排水弁37及び排出流路38を介して排出される水素オフガスは、希釈器40で排気流路23内の酸化オフガスと合流して希釈されるようになっている。
制御装置4は、車両に設けられた加速操作部材(アクセル等)の操作量を検出し、加速要求値(例えばトラクションモータ12等の負荷装置からの要求発電量)等の制御情報を受けて、システム内の各種機器の動作を制御する。なお、負荷装置とは、トラクションモータ12のほかに、燃料電池10を作動させるために必要な補機装置(例えばコンプレッサ24、水素ポンプ39、冷却ポンプのモータ等)、車両の走行に関与する各種装置(変速機、車輪制御装置、操舵装置、懸架装置等)で使用されるアクチュエータ、乗員空間の空調装置(エアコン)、照明、オーディオ等を含む電力消費装置を総称したものである。
制御装置4は、図示していないコンピュータシステムによって構成されている。かかるコンピュータシステムは、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力インタフェース及びディスプレイ等を備えるものであり、ROMに記録された各種制御プログラムをCPUが読み込んで実行することにより、各種制御動作が実現されるようになっている。
具体的には、制御装置4は、燃料電池10の運転状態に基づいて、燃料電池10で消費される水素ガスの量(以下「水素消費量」という)を算出するとともに、インジェクタ35下流位置における水素ガスの目標圧力値(燃料電池10への目標ガス供給圧)を算出する。また、制御装置4は、算出した目標圧力値と、二次側圧力センサ41で検出したインジェクタ35下流位置の検出圧力値と、の偏差に基づいてフィードバック補正流量を算出し、水素消費量とフィードバック補正流量とを加算することにより、インジェクタ35の噴射流量を算出する。そして、制御装置4は、インジェクタ35の噴射流量を実現させるための制御信号を送出することにより、インジェクタ35のガス噴射時間及びガス噴射時期を制御して、燃料電池10に供給される水素ガスの流量及び圧力を調整する。このように、制御装置4は、二次側圧力センサ41で検出したインジェクタ35下流位置の検出圧力値を参照して、インジェクタ35を制御している。
また、制御装置4は、振動センサ42を用いて、インジェクタ35上流側の配管31aの振動レベル(加速度)を検出し、検出した振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、インジェクタ35の開放時から閉鎖時までの所要時間τ及びインジェクタ35の閉鎖時から開放時までの所要時間τrestを設定する。すなわち、制御装置4は、検出した配管31aの振動レベルに基づいて、インジェクタ35の開閉動作のフィードバック制御を行う。
図4(A)は従来のインジェクタの開閉動作を示すタイムチャートであり、図4(B)は従来のインジェクタの開閉動作に起因するインジェクタ上流側配管の振動レベル(加速度G)を示すタイムチャートである。一方、図5(A)は本実施形態におけるインジェクタ35の開閉動作を示すタイムチャートであり、図5(B)は本実施形態におけるインジェクタ35の開閉動作に起因するインジェクタ35上流側配管31aの振動レベル(加速度G)を示すタイムチャートである。
従来のシステムにおいては、図4(A)に示すようにインジェクタの開放時から閉鎖時までの所要時間τが比較的短かったため、インジェクタの開弁時に発生する振動とインジェクタの閉弁時に発生する振動とが重ね合わせられて、図4(B)に示すように配管の振動レベル(加速度G)が所定の基準レベル(基準値G0)を超え、ノイズ(騒音)が発生していた。これに対し、本実施形態においては、図5(A)に示すようにインジェクタ35の開放時から閉鎖時までの所要時間τを比較的長く設定しているため、インジェクタ35の開弁時に発生する振動とインジェクタ35の閉弁時に発生する振動とが重なり合うことを抑制することができる。また、本実施形態においては、図5(A)に示すように、インジェクタ35の閉鎖時から開放時までの所要時間τrestをも比較的長く設定しているため、インジェクタ35の閉弁時に発生する振動とインジェクタ35の開弁時に発生する振動とが重なり合うことをも抑制することができる。これにより、図5(B)に示すように配管31aの振動レベル(加速度G)を所定の基準レベル(基準値G0)以下に抑えることができ、ノイズの発生を効果的に抑制することができる。
以上説明した実施形態に係る燃料電池システム1においては、インジェクタ35上流側における配管31aの振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、インジェクタ35の開放時から閉鎖時までの所要時間τ(及びインジェクタ35の閉鎖時から開放時までの所要時間τrest)を設定することができる。具体的には、インジェクタ35の開弁時に発生する振動と閉弁時に発生する振動とが重ね合わせられてインジェクタ35上流側における配管31aの振動が増幅することを抑制するように、インジェクタ35の開放時から閉鎖時までの所要時間τ(及びインジェクタの閉鎖時から開放時までの所要時間τrest)を従来の所要時間よりも長くすることができる。従って、間欠運転時等におけるノイズの発生を抑制することが可能となる。
なお、以上の実施形態においては、水素供給流路31を形成する配管31aに振動センサ42を取り付けた例を示したが、図2に示した燃料電池車両100の配管固定部111(112)の近傍に振動センサ42を固定することもできる。このようにすると、配管31aが円筒状となっていて振動センサ42を取り付け難い場合や、配管31aに取り付けた振動センサ42が振動し易いために配管31aの振動を検出し難い場合に、適切に対処することが可能となる。
また、以上の実施形態においては、インジェクタ35上流側の配管31aの振動レベルを所定の基準レベル以下にするためにインジェクタ35の開放時から閉鎖時までの所要時間τを比較的長く設定しているが、このようにすると、インジェクタ35上流側の配管31a内におけるガスの脈動が大きくなる場合がある。このようなガスの脈動を抑制するために、インジェクタ35上流側の配管31aに、サージタンク(調圧槽)を設けることもできる。このようにすると、サージタンクにより配管31a内におけるガスの脈動を抑制することができるので、ガスの脈動に起因する振動を抑制することが可能となる。また、サージタンク自体が振動抑制機能を有するため、図5(B)のタイムチャートに破線で示すように、インジェクタ35上流側の配管31aの振動レベルを低減させることもできる。
また、以上の実施形態においては、インジェクタ35「上流側」の配管31aに振動センサ42を取り付け、インジェクタ35「上流側」の配管31aの振動レベルを所定の基準レベル以下にするようにインジェクタ35の開閉時間を制御した例を示したが、インジェクタ「下流側」の配管31aに振動センサを取り付け、インジェクタ35「下流側」の配管31aの振動レベルを所定の基準レベル以下にするようにインジェクタ35の開閉時間を制御することもできる。また、インジェクタ35自体に振動センサを取り付け、インジェクタ35自体の振動レベルを所定の基準レベル以下にするようにインジェクタ35の開閉時間を制御するようにしてもよい。
また、以上の実施形態においては、インジェクタ35の開弁時に発生する振動と閉弁時に発生する振動との重ね合わせを抑制するように、インジェクタ35の開閉時間を制御した例を示したが、インジェクタ35の開弁時に発生した振動と逆の振動をインジェクタ35の閉弁時に発生させるように(又はインジェクタ35の閉弁時に発生した振動と逆の振動をインジェクタ35の開弁時に発生させるように)、インジェクタ35の開閉時間を制御することもできる。このようにすると、開弁時に発生する振動と閉弁時に発生する振動とを重ね合わせて振動を減衰させる(ないし打ち消す)ことができるので、ノイズの発生を効果的に抑制することが可能となる。
また、以上の実施形態においては、本発明に係る燃料電池システムを燃料電池車両に搭載した例を示したが、燃料電池車両以外の各種移動体(ロボット、船舶、航空機等)に本発明に係る燃料電池システムを搭載することもできる。また、本発明に係る燃料電池システムを、建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムに適用してもよい。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池システムを燃料電池車両に搭載した状態を示す説明図である。 図1に示した燃料電池システムのインジェクタの内部構造を示す説明図である。 (A)は従来のインジェクタの開閉動作を示すタイムチャートであり、(B)は従来のインジェクタ上流側配管における振動レベルの時間履歴を示すタイムチャートである。 (A)は図1に示した燃料電池システムのインジェクタの開閉動作を示すタイムチャートであり、(B)は図1に示した燃料電池システムのインジェクタ上流側配管における振動レベルの時間履歴を示すタイムチャートである。
符号の説明
1…燃料電池システム、4…制御装置(制御手段)、10…燃料電池、30…水素タンク(燃料供給源)、31…水素供給流路(燃料供給流路)、31a…配管、32…振動センサ、35…インジェクタ(開閉弁)、100…燃料電池車両(移動体)、111・112…配管固定部。

Claims (12)

  1. 燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを前記燃料電池へと流すための燃料供給流路を形成する配管と、前記燃料供給流路の上流側におけるガス状態を調整して下流側に供給する開閉弁と、この開閉弁の開閉動作を制御する制御手段と、を備える燃料電池システムであって、
    前記制御手段は、前記開閉弁上流側の前記配管の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、前記開閉弁の開放時から閉鎖時までの所要時間を設定するものである、
    燃料電池システム。
  2. 前記制御手段は、前記開閉弁下流側の前記配管の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、前記開閉弁の開放時から閉鎖時までの所要時間を設定するものである、
    請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記制御手段は、前記開閉弁自体の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、前記開閉弁の開放時から閉鎖時までの所要時間を設定するものである、
    請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記配管又は前記開閉弁の振動レベルを検出する振動センサを備え、
    前記制御手段は、前記振動センサで検出した振動レベルに基づいて、前記開閉弁の開放時から閉鎖時までの所要時間を設定するものである、
    請求項1からの何れか一項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記配管は、所定の移動体に固定されるものであり、
    前記振動センサは、前記移動体の配管固定部近傍に配置されるものである、
    請求項に記載の燃料電池システム。
  6. 燃料電池と、燃料供給源から供給される燃料ガスを前記燃料電池へと流すための燃料供給流路を形成する配管と、前記燃料供給流路の上流側におけるガス状態を調整して下流側に供給する開閉弁と、この開閉弁の開閉動作を制御する制御手段と、を備える燃料電池システムであって、
    前記制御手段は、前記開閉弁上流側の前記配管の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、前記開閉弁の閉鎖時から開放時までの所要時間を設定するものである、
    燃料電池システム。
  7. 前記制御手段は、前記開閉弁下流側の前記配管の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、前記開閉弁の閉鎖時から開放時までの所要時間を設定するものである、
    請求項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記制御手段は、前記開閉弁自体の振動レベルが所定の基準レベル以下になるように、前記開閉弁の閉鎖時から開放時までの所要時間を設定するものである、
    請求項6又は7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記配管又は前記開閉弁の振動レベルを検出する振動センサを備え、
    前記制御手段は、前記振動センサで検出した振動レベルに基づいて、前記開閉弁の閉鎖時から開放時までの所要時間を設定するものである、
    請求項6から8の何れか一項に記載の燃料電池システム。
  10. 前記配管は、所定の移動体に固定されるものであり、
    前記振動センサは、前記移動体の配管固定部近傍に配置されるものである、
    請求項に記載の燃料電池システム。
  11. 前記開閉弁上流側の配管にサージタンクが設けられてなる、
    請求項1から10の何れか一項に記載の燃料電池システム。
  12. 前記開閉弁は、インジェクタである、
    請求項1から11の何れか一項に記載の燃料電池システム。
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