JP5090261B2 - 光モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換機能を備えるとともに光ファイバコネクタとの接続構造に特徴を有する光モジュールに関するものである。
近年、インターネットに代表される情報通信技術の発達や、情報処理装置の処理速度の飛躍的向上などに伴って、画像等の大容量データを送受信するニーズが高まりつつある。かかる大容量データを情報通信設備を通じて自由にやり取りするためには10Gbps以上の情報伝達速度が望ましく、そのような高速通信環境を実現しうる技術として光通信技術に大きな期待が寄せられている。一方、機器内の配線基板間での接続や、配線基板内のLSIチップ間での接続など、比較的短い距離における信号伝達に関しても近年高速化が望まれている。このため、従来一般的であった金属ケーブルや金属配線から、光ファイバや光導波路を用いた光伝送への移行が理想的であると考えられている。
信号伝達経路として光ファイバ等を用いた光伝送では、通常、光信号を電気信号に変換する光素子や、電気信号を光信号に変換する光素子が使用される。そして、このような光素子と光ファイバとを接続する構造としては、例えばガイドピン及びクランプスプリングを利用した手法が従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置は、光素子やLSIチップを収容した平板状のパッケージ(光コネクタ接続用部品)と、多心光ファイバの先端に設けられた平板状の光ファイバコネクタとを備えている。光ファイバコネクタはパッケージの上面に積層して配置される。パッケージ及び光ファイバコネクタには、位置合わせ用のガイドピン穴がそれぞれ形成されている。そして、各々のガイドピン穴にガイドピンを嵌入し、かつ、クランプスプリングで締結することにより、パッケージ及び光ファイバコネクタが配線基板に対して垂直方向に着脱可能に固定されるようになっている。また、この状態では光素子と光ファイバコネクタとが光学的に結合される。
これとは別に、いわゆるMTコネクタのプラグ(フェルール)と同様の構造物内に光路直角変換光導波路を設けた光コネクタ接続用部品が提案されている(非特許文献1、図13参照)。配線基板301上には光素子302がバンプを介してフェースアップで実装されており、光コネクタ接続用部品303はその光素子302の上面側に接着剤304等により固定されている。このような部品303の先端面には、多心光ファイバ305の先端に設けられたMTコネクタ用プラグ306が当接して配置される。そして、MTコネクタ専用のクランプスプリング307で締結することにより、MTコネクタ用プラグ306及び光コネクタ接続用部品303が配線基板301に対して水平方向に着脱可能に固定されるようになっている。
特開2003−207694号公報(図1等) 第5回電子SI研究成果報告会(平成16年2月26日) 講演要旨集 第86頁下欄
しかしながら、特許文献1記載の従来技術におけるパッケージ(光コネクタ接続用部品)は平板状であるため、MTコネクタに代表される一般的な市販の光ファイバコネクタのプラグに対して通常の方法で接続できず、汎用性に乏しいという欠点がある。それゆえ、かかるパッケージと光ファイバとの接続を実現するためには、同パッケージの寸法及び形状に合わせて専用のプラグを別途作製する必要がある。しかも、専用の光ファイバコネクタプラグをパッケージに固定するためには、同じく専用のクランプスプリングや専用のガイドピンについても別途作製する必要がある。つまり、汎用の部品をうまく利用して接続を図ることができず、低コスト化に不向きであるという欠点がある。
また、非特許文献1記載の従来技術の場合、図13に示されるように、光素子302が光コネクタ接続用部品303側ではなく配線基板301側に設けられている。そのため、光コネクタ接続用部品303を固定する際に光素子302と多心光ファイバ305との光軸合わせを行うことが難しい。よって、構造的に高い光結合効率を達成できず、光の伝送ロスが大きくなりやすいという欠点がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、専用の部品を用いなくても市販の光ファイバコネクタのプラグと接続可能なため汎用性及びコスト性に優れるとともに、高い効率で光ファイバと光結合することができる光モジュールを提供することにある
上記の課題を解決するための第1の手段としては、光ファイバコネクタのプラグに対し、ガイドピンを用いて結合可能なモジュール本体と、前記モジュール本体に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる光素子とを備える光モジュールであって、前記モジュール本体は、基板主面と、前記基板主面の反対側に位置する基板裏面と、前記基板主面及び前記基板裏面に対して垂直な側端面とを有し、前記プラグに使用される樹脂材料よりも高放熱性のセラミック材料からなる複数の絶縁層及び複数の導体層を備える多層セラミック配線基板を主体として構成され、前記多層セラミック配線基板には光素子駆動用の半導体集積回路素子及び光信号増幅用の半導体集積回路素子のうちの少なくともいずれかが実装され、前記多層セラミック配線基板の前記基板裏面には、光モジュール搭載用配線基板との電気的接続を図るための複数の電気接続端子が設けられ、前記多層セラミック配線基板の前記側端面側には前記光素子が実装され、前記複数の導体層を利用して前記光素子と前記半導体集積回路素子と前記複数の電気接続端子とが電気的に接続されているとともに、前記側端面には充填凹部が開口形成され、前記充填凹部内には前記多層セラミック配線基板よりも加工性のよい材料からなる充填材が充填され、前記充填材には前記ガイドピンを挿入可能なガイドピン穴の少なくとも一部を構成する精密加工穴が形成され、前記側端面にはマイクロレンズアレイが焦点距離調整用の四角枠状のスペーサを介して取り付けられ、前記光素子が前記四角枠状のスペーサの内側領域に配置されていることを特徴とする光モジュールがある。なお、前記ガイドピン及び前記精密加工穴は、前記光素子の両側に配置されていてもよい。前記光素子、前記ガイドピン及び前記精密加工穴は、前記側端面の方向から見て、同一の前記四角枠状スペーサの内側領域に配置されていてもよい。
従って、上記手段によると、ガイドピンの挿入によりプラグとモジュール本体とを機械的に結合する際に、併せて光ファイバと光素子とが光軸合わせされる。このため、比較的簡単な方法であるにもかかわらず、光ファイバと光素子とを高い効率で光結合することができる
上記の課題を解決するための第2の手段としては、光ファイバコネクタのプラグに対し、当該コネクタ専用のガイドピンと、当該コネクタ専用のクランプスプリングとを用いて、プラグ−ガイドピン−プラグ結合方式で結合可能な形状及び寸法のモジュール本体と、前記モジュール本体に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる光素子とを備えることを特徴とする光モジュールがある。なお、前記手段におけるモジュール本体は、光ファイバコネクタのプラグに対し、当該コネクタ専用のガイドピンと、当該コネクタ専用のクランプスプリングとを用いて、クランプスプリング締結方式で結合可能な形状及び寸法を有するものであってもよい。
従って、上記手段によると、ガイドピンの挿入によりプラグとモジュール本体とを機械的に結合する際に、併せて光ファイバと光素子とが光軸合わせされる。このため、比較的簡単な方法であるにもかかわらず、光ファイバと光素子とを高い効率で光結合することができる。また、上記形状及び寸法に設定されたモジュール本体であれば、市販の光ファイバコネクタ専用のガイドピン及び当該光ファイバコネクタ専用のクランプスプリングをそのまま利用して、当該光ファイバコネクタ専用のプラグとの接続を図ることが可能である。ゆえに、汎用性及びコスト性に優れた光モジュールを実現することができる。
なお「光ファイバコネクタ」とは、光ファイバ同士を接続する際に用いられる部品であって、その具体例としては、光ファイバMTコネクタ等がある。また「光ファイバMTコネクタ」とは、1993年に制定され1998年に改正されたJIS C 5981で規定するF12型多心光ファイバコネクタのことを指す。この規格番号は、JIS C 5982に基づき、クランプスプリング締結構造及びガイドピンで整列されるプラグ(接栓)−ガイドピン−プラグ結合方式のコネクタについて規定したものである。なお、JIS C 5981に対応する同等の国際規格としては、1994年に改正されたIEC 60874−16がある。
光モジュールを構成するモジュール本体は、光ファイバMTコネクタのプラグに対し、当該MTコネクタ専用のガイドピンと、当該MTコネクタ専用のクランプスプリングとを用いて結合可能な形状及び寸法を有している。つまり、前記モジュール本体は、基本的には光ファイバMTコネクタのプラグ(フェルールと呼ばれることもある。)と略同じ形状及び略同じ寸法を有していることがよい。より具体的にいうと、前記モジュール本体は、光ファイバMTコネクタのプラグと同様に略直方体状に形成されることがよい。ここで、光ファイバMTコネクタのプラグにおいては、ガイドピン挿入方向(便宜上X軸方向とする。)に沿った寸法が8.0mmと規定されている。また、光ファイバの整列方向(便宜上Y軸方向とする。)に沿った寸法が6.4mm〜7.0mmと規定され、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(便宜上Z軸方向とする。)に沿った寸法が2.5mm〜3.0mmと規定されている。MTコネクタ専用のクランプスプリングを用いて締結を図るためには、特にX軸方向の寸法が重要になる。これを鑑みると、前記モジュール本体のX軸方向の寸法、言い換えるとモジュール本体の先端面から後端面までの寸法は、8.0mm±0.3mmに設定されることがよく、とりわけ8.0mm±0.1mmに設定されることがよい。その理由は、光ファイバMTコネクタのプラグのX軸方向に沿った寸法の許容値は、JIS C 5981において8.0mm±0.1mmと規定されているからである。なお、前記モジュール本体のY軸方向の寸法は、例えば、6.0mm〜10.0mmに設定されることがよく、とりわけ6.4mm〜7.0mmに設定されることがよい。前記モジュール本体のZ軸方向の寸法は、例えば、2.0mm〜5.0mmに設定されることがよく、とりわけ2.5mm〜3.5mmに設定されることがよい。
MTコネクタ専用のガイドピンとは、プラグのガイドピン穴に挿入することによって2つのプラグの光軸を合わせる部品のことをいう。かかるガイドピンはステンレスにより形成されるとともに、その長さは10.8mm以上、直径は約0.7mmであると規定されている。また、MTコネクタ専用のクランプスプリングとは、2つのプラグに押圧力を印加し、結合する結合用部品のことをいう。かかるクランプスプリングは、ステンレスのような弾性金属材料により形成されるとともに、一対の挟持部間の自由長さが15.7mm以下であると規定されている。
前記モジュール本体は先端面と後端面とを有している。モジュール本体の先端面はプラグ側の先端面に対向して配置され、そこにはガイドピンを挿入可能なガイドピン穴が2つ離間して開口形成されている。一方、モジュール本体の後端面は、先端面とは反対側に位置するとともに、クランプスプリングによりプラグ側に押圧されるようになっている。この位置にガイドピン穴を設けたのは以下の理由による。即ち、プラグ側ガイドピン穴はプラグ先端面(即ち光ファイバ先端露出面)に開口形成されており、モジュール本体側ガイドピン穴はそれに対向する面に配置する必要があるからである。なお、モジュール本体側ガイドピン穴は、各プラグ側ガイドピン穴のある位置に対応させて形成されることがよい。ここでJIS C 5981において、プラグ側ガイドピン穴の内径は7.0mm±0.001mmと規定され、プラグ側ガイドピン穴のピッチは4.6mm±0.003mmと規定されている。従って、確実な光軸合わせを実現するためには、モジュール本体側ガイドピン穴の内径を7.0mm±0.001mmに設定し、モジュール本体側ガイドピン穴のピッチを4.6mm±0.003mmに設定することが好ましい。
上記光モジュールは、ガイドピンの挿入によりプラグとモジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる光素子(発光素子や受光素子など)を備えている。ここで発光素子とは発光部を有する光素子のことを指し、その具体例としては、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)、半導体レーザダイオード(Laser Diode ;LD)、面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser;VCSEL)等がある。発光素子は、入力した電気信号を光信号に変換した後、その光信号を所定部位に向けて発光部から出射する機能を備えている。一方、受光素子とは受光部を有する光素子のことを指し、その具体例としては、pinフォトダイオード(pin Photo Diode;pin PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)等がある。受光素子は、光信号を受光部にて入射し、その入射した光信号を電気信号に変換して出力する機能を有している。前記光素子に使用する好適な材料としては、例えば、Si、Ge、InGaAs、GaAsP、GaAlAsなどを挙げることができる。
この場合、光素子は、光モジュールの外表面から露出しないように光モジュール内部に設けられていることが好ましい。光素子が光モジュールの外表面にて露出する構成に比べて、上記構成であると光素子を確実に保護でき、信頼性向上にも寄与しうるからである。
モジュール本体には、光素子のほかに、例えば、光素子駆動用の半導体集積回路素子及び光信号増幅用の半導体集積回路素子のうちの少なくともいずれかが設けられていてもよい。即ち、光素子が発光素子である場合、モジュール本体には、発光素子と発光素子駆動用の半導体集積回路素子(いわゆるドライバIC)とが設けられていてもよい。また、光素子が受光素子である場合、モジュール本体には、受光素子と光信号増幅用の半導体集積回路素子(いわゆるレシーバIC)とが設けられていてもよい。このような構成であると、例えば光モジュールの外部に半導体集積回路素子を設けてそれと光素子とを電気的に接続する場合に比べて、導通距離を短くすることができ、動作速度が速くなる。勿論、発光素子及び受光素子の両方を有する光モジュールの場合、モジュール本体には光素子駆動用の半導体集積回路素子及び光信号増幅用の半導体集積回路素子の両方が設けられていてもよい。
この場合、光素子駆動用や光信号増幅用の半導体集積回路素子は、光モジュールの外表面から露出しないように光モジュール内部に設けられていることが好ましい。当該半導体集積回路素子が光モジュールの外表面にて露出する構成に比べて、上記構成であると半導体集積回路素子を確実に保護でき、信頼性向上にも寄与しうるからである。
さらにモジュール本体には、光素子や半導体集積回路素子以外の電子部品や素子が設けられていてもよい。前記電子部品の具体例としては、チップトランジスタ、チップダイオード、チップ抵抗、チップコンデンサ、チップコイルなどを挙げることができる。これらの電子部品は、能動部品であっても受動部品であってもよい。前記素子の具体例としては、薄膜トランジスタ、薄膜ダイオード、薄膜抵抗、薄膜コンデンサ、薄膜コイルなどを挙げることができる。これらの素子は、能動素子であっても受動素子であってもよい。この場合、チップコンデンサや薄膜コンデンサを設けておくことにより、低抵抗化及び低インダクタンス化を図ることができるため、光モジュールの高性能化を実現しやすくなる。
前記モジュール本体は、プラグに使用される樹脂材料よりも高放熱性の材料(つまり熱伝導率が高い材料)を主体として構成されていることが好ましい。その理由を以下に述べる。光素子を動作させると熱が発生するが、プラグに使用される樹脂材料は一般に放熱性があまり高くないため、その熱を外部に効率よく放散できず、このことが動作の不安定化の原因となる。これに対して、高放熱性材料を主体として構成されたモジュール本体であれば、熱を外部に効率よく放散でき、安定した動作を得ることが可能となるからである。プラグに使用される樹脂材料よりも高放熱性の材料の好適例としては、金属やセラミックなどの無機材料を挙げることができる。
前記モジュール本体は、基板状に形成されたセラミック(即ちセラミック基板)を主体として構成されていることが好ましい。このようなものを主体として構成されたモジュール本体であれば、熱を外部に効率よく放散できるからである。この場合において好適なセラミック基板の具体例としては、アルミナ基板、ベリリア基板、ムライト基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板、窒化ほう素基板、炭化珪素基板などがある。ここに列挙したものは特に放熱性に優れている。
前記モジュール本体は、セラミック配線基板を主体として構成されていることがより好ましく、多層セラミック配線基板を主体として構成されていることが特に好ましい。このような配線基板は導体層及び絶縁層を備えているため、その導体層を利用して光素子と他の部品との電気的な接続を容易に図ることができる。
セラミック基板は、基板主面と、基板主面の反対側に位置する基板裏面と、基板主面に対して垂直な複数の側端面とを有している。そして、複数の側端面のうちの1つには、ガイドピン穴の少なくとも一部を構成する穴が開口形成される。より好ましくは、セラミック基板の基板主面に対して垂直な側端面に充填凹部を開口形成し、充填凹部内にセラミック基板よりも加工性のよい材料からなる充填材を充填し、充填材にガイドピン穴の少なくとも一部を構成する精密加工穴を形成することが好ましい。このような構成であると、ガイドピン穴が精密加工穴であるため、光ファイバと光素子との光軸合わせをより正確に行うことが可能となり、光結合効率を確実に向上することができる。また、セラミックは、放熱性や寸法安定性に優れるという利点を有する反面、硬質であって加工性に劣るという欠点を有する。このため、セラミック基板を直接加工して精密加工穴を設けることは困難であり、コスト高にもつながる。それに対して、易加工性材料からなる充填材に精密穴加工を施して形成された精密加工穴は、比較的容易にかつ低コストで得ることができる。なお、精密加工穴を形成する具体的手法としては、ドリル加工、パンチ加工、レーザ加工などがあるが、コスト性などを考慮すると精密ドリルを使用したドリル加工が最も好ましい。
また、前記充填材としては、セラミック基板よりも硬度が低くて加工性のよい樹脂材料、金属材料、ガラス材料などを選択することがよく、中でも特に樹脂材料を選択することが好ましい。樹脂材料はセラミック材料に比べて一般的に硬度が低いため、加工に要する労力やコストが少なくて済むからである。また、樹脂材料はセラミック材料に比べて一般的に安価であるため、低コスト化にも向くからである。
前記光素子及び前記半導体集積回路素子は、セラミック基板における同じ面側に配置されていてもよく、異なる面側に配置されていてもよい。後者の構成を採用する場合には、例えば、光素子をセラミック基板の側端面側に配置し、半導体集積回路素子をセラミック基板の基板主面側に配置することがよい。この構成によると、光素子における発光面または受光面がX軸方向を向くため、特に光路変換を行わなくても光ファイバとの光結合を図ることが可能となる。なお、異なる面側に配置された光素子及び半導体集積回路素子間を導通するために、例えば、フレキシブル基板を利用してもよい。
また、モジュール本体において先端面及び後端面以外の面上、例えば上端面上には、金属体が設けられていてもよい。このような金属体があると、放熱性がいっそう向上するため、光素子や半導体集積回路素子の熱を外部に効率よく放散することができる。よって、光モジュールの動作安定化を達成しやすくなる。また、高機能の半導体集積回路素子の使用が可能となるので、光モジュールの性能向上も達成しやすくなる。さらに、光素子や半導体集積回路素子が外部の電磁波からシールドされ、結果として光モジュールの動作安定化が図られる。前記金属体の材料としては、銅、銅合金、鉄、ニッケル、鉄−ニッケル合金、アルミニウムなどが挙げられる。金属体はこのような材料を用いて、例えば、板状、箔状、層状に形成される。また、前記金属体は、光モジュールが搭載されるべき基板側と接続されるバンプであってもよい。このような放熱用バンプがあると、光素子や半導体集積回路素子の熱を上記基板側に効率よく放散することができる。
モジュール本体において先端面及び後端面以外の面上、例えば下端面上には、複数の電気接続端子が設けられていることがよい。この構成によると、光モジュールが搭載されるべき基板側との電気的接続を容易に図ることができる。電気接続端子の形態は特に限定されず、例えばバンプ、パッド、リードなどが挙げられる。
光モジュールには、集光機能を有する部品であるマイクロレンズアレイが設けられていてもよい。マイクロレンズアレイがあると、光が集められることによって光の伝送ロスが小さくなる。また、マイクロレンズアレイを採用した場合、焦点距離の調整のためのスペーサ部材をさらに設けてもよい。
なお、上記の別の課題を解決する手段としては、光ファイバコネクタのプラグに対し、前記プラグにおけるファイバ先端露出面と自身の先端面とを突き合わせた状態で、当該コネクタ専用のガイドピンを用いて結合可能なモジュール本体と、前記モジュール本体に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる光素子とを備えることを特徴とする光モジュール、がある。また、さらに別の手段としては、モジュール本体に光素子を設けた光モジュールと光ファイバコネクタのプラグとの結合構造であって、前記プラグにおけるファイバ先端露出面と前記光モジュールの先端面とを突き合わせた状態で、前記プラグ及び前記光モジュールにガイドピンを挿入することにより、前記プラグと前記光モジュールとが結合されかつ光軸合わせされたことを特徴とする、光モジュールと光ファイバコネクタのプラグとの結合構造、がある。これらの手段において、プラグと光モジュールとの結合時に、プラグの上面と光モジュールの上面とが略面一となることが好ましく、これによれば全体の低背化を図ることができる。また、これらの手段において、プラグと光モジュールとが、前記ガイドピンのみならず光ファイバコネクタのクランプスプリングも用いて結合されていてもよい。
上記の別の課題を解決するための手段としては、光ファイバMTコネクタのプラグに対し、ガイドピンを用いて結合可能な形状及び寸法を有する光モジュールに使用されるセラミック基板であって、基板主面及びその基板主面に対して垂直な側端面を備えるとともに、前記側端面に充填凹部が開口形成され、前記充填凹部内に基板材料よりも加工性のよい材料からなる充填材が充填され、前記充填材に前記ガイドピン穴である精密加工穴が形成されていることを特徴とする光モジュール用セラミック基板、がある。
上記手段の光モジュール用セラミック基板は、放熱性、寸法安定性、コスト性に優れることに加え、精密加工穴を側端面に備えている。よって、このセラミック基板を用いれば、上記の優れた光モジュールを容易に実現することができる。
前記光モジュール用セラミック基板は、例えば、側端面にて開口する充填凹部を有するセラミック未焼結体を用意する工程と、前記セラミック未焼結体を焼成してセラミック焼結体とする工程と、前記セラミック焼結体における前記充填凹部内に充填材を充填する工程と、前記充填材を穴加工してガイドピン穴の少なくとも一部を構成する穴を開口形成する工程と、を経て製造することが可能である。そして、この製造方法によれば、未焼結の段階で穴加工を行っているので、比較的簡単にかつ安価にガイドピン穴を形成することができる。
より詳しくは、前記光モジュール用セラミック基板は、複数枚のグリーンシートを用意するとともに、側端面付近に切欠部を形成する工程と、前記複数枚のグリーンシートを積層して未焼結のセラミック積層体を作製するとともに、前記切欠部を重ね合わせることにより側端面にて開口する充填凹部を形成する工程と、前記未焼結のセラミック積層体を焼成してセラミック焼結体とする工程と、前記セラミック焼結体における前記充填凹部内に充填材を充填する工程と、前記充填材を穴加工してガイドピン穴の少なくとも一部を構成する精密加工穴を開口形成する工程と、を経て製造することが好適である。
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図7に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の光モジュール41をプリント配線基板11上に搭載してMTコネクタ用プラグ21を接続した状態を示す概略正面図である。図2は、プリント配線基板11、光モジュール41、MTコネクタ用プラグ21、多心光ファイバ26、ガイドピン31及びクランプスプリング36を示す分解正面図である。図3は、MTコネクタ用プラグ21に光モジュール41を接続した状態を示す概略正面図である。図4は、モジュール本体42を構成する光モジュール用セラミック基板51を示す斜視図である。図5は、光モジュール41の平面図である。図6は図5のA−A線における断面図である。図7は図5のB−B線における断面図である。
図1等に示されるように、光モジュール搭載用のプリント配線基板11は、複数の絶縁層15及び複数の導体層(図示略)を有するいわゆる多層板であって、表面12及び裏面13を有している。プリント配線基板11の表面12には図示しない複数のパッドが形成されており、それらのパッド上には2個の光モジュール41がバンプ接続されている。図1において右側に位置する光モジュール41は、電気信号を光信号に変換する発光側光モジュールであって、図1において左側に位置する光モジュール41は、光信号を電気信号に変換する受光側光モジュールである。なお、プリント配線基板11の表面12には、光モジュール41のほかにICチップ16等が同じくバンプ接続されている。
図2,図3,図5,図6,図7に示されるように、本実施形態の光モジュール41は、セラミック基板51、フレキシブル基板76、リッド72(金属体)、マイクロレンズアレイ73、スペーサ74からなるモジュール本体42を備えている。この光モジュール41は略直方体状であって、各部分の寸法がMTコネクタ用プラグ21と略同じになるように設計されている。具体的にいうと、光モジュール41のX軸方向(図6では左右方向)の寸法は8.0mmに設定されている。光モジュール41のY軸方向(図5では上下方向)の寸法は7.0mmに設定されている。光モジュール41のZ軸方向(図5,図6では左右方向)の寸法は3.0mmに設定されている。
図4,図6,図7に示されるように、モジュール本体42の主要部をなすセラミック基板51は、複数層のセラミック絶縁層52と複数層の導体層57とを有する多層アルミナ配線基板である。このセラミック基板51内には、異なる層の導体層57同士を導通させるスルーホール導体58が形成されている。セラミック基板51の上端面55(基板主面)側及び下端面56側には、それぞれキャビティ59が形成されている。下端面56側のキャビティ59内にはキャパシタ83が収容されている。一方の光モジュール41については、セラミック基板51の上端面55側のキャビティ59内に、ドライバIC82が収容されている。他方の光モジュール41については、セラミック基板51の上端面55側のキャビティ59内に、レシーバICが収容されている。なお、キャビティ59内にできる空隙は、例えばシリコーン樹脂84等により埋められていてもよい。また、放熱性を高めるために、前記空隙はサーマルグリースにより埋められていてもよい。
セラミック基板51の上端面にはポリイミド樹脂からなるフレキシブル基板76が接着され、さらにその上には洋白からなるリッド72が接着されている。このリッド72は厚さ約0.5mmの金属板であって、光モジュール41の上端面の面積にほぼ匹敵する面積を有している。フレキシブル基板76の片側面には、前記ドライバIC82及びVCSEL81(光素子)がバンプ接続されている。これらはフレキシブル基板76が有する配線パターンを介して電気的に接続されている。フレキシブル基板76の一部は、側端面53から張り出しているとともに、側端面53に沿わせるようにして直角に折り曲げられている。従って、VCSEL81はセラミック基板51の側端面53上に配置され、その発光面は光モジュール41のX軸方向を向いた状態となっている。一方、ドライバIC82は、セラミック基板51の上端面55側のキャビティ59内にあるため、実質的にフレキシブル基板76の上端面55上に配置されていると把握できる。
セラミック基板51の側端面53側には、透明な材料からなる平板のマイクロレンズアレイ73が、四角枠状のスペーサ74を介して取り付けられている。スペーサ74は、例えば、はんだ耐熱性を有する樹脂材料や金属材料等により形成される。前記VCSEL81は複数個の(本実施形態では12個の)発光部を有しており、それらに対応してマイクロレンズアレイ73には複数のマイクロレンズが設けられている。なお、発光部及びマイクロレンズは、いずれも光モジュール41のY軸方向に沿って一直線状に配置されている。
図2〜図7に示されるように、本実施形態のセラミック基板51の側端面53には、断面矩形状の充填凹部61が2つ開口形成されている。そして、それらの充填凹部61内には、セラミック基板51よりも加工性のよい樹脂材料からなる充填材63が充填されている。この充填材63には断面円形状の精密加工穴62が形成されている。精密加工穴62は2つであって、いずれもセラミック基板51の側端面53にて開口している。精密加工穴62は、MTコネクタ用プラグ21における2つのプラグ側ガイドピン穴22の位置に対応して形成されている。従って、これら精密加工穴62のピッチは、プラグ側ガイドピン穴22のピッチと等しく、4.6mm±0.003mmに設定されている。これら精密加工穴62の内径は、MTコネクタ用プラグ21の内径と等しく、7.0mm±0.001mmに設定されている。また、フレキシブル基板76において前記精密加工穴62に対応した位置には、内径7.0mm±0.001mmかつピッチが4.6mm±0.003mmに設定された透孔70が形成されている。マイクロレンズアレイ73において各精密加工穴62に対応した位置には、内径7.0mm±0.001mmかつピッチが4.6mm±0.003mmに設定された透孔85が形成されている。
モジュール本体42において精密加工穴62及び透孔70,85は互いに連通しており、結果としてモジュール本体側ガイドピン穴80を構成している。即ち、本実施形態のモジュール本体42は、先端面43にて開口するモジュール本体側ガイドピン穴80を2つ備えたものとなっている。モジュール本体側ガイドピン穴80の深さは、本実施形態では約3.0mmである。
図3に示されるように、MTコネクタ用プラグ21の先端面23、即ち多心光ファイバ26の先端が露出している面と、モジュール本体42の先端面43とは、平行でありかつ互いに突き合わされている。そしてこの状態で、ガイドピン31の一端をプラグ側ガイドピン穴22に挿入固定し、かつ、ガイドピン31の他端をモジュール本体側ガイドピン穴80に挿入固定することにより、MTコネクタ用プラグ21と光モジュール41とが機械的に結合されている。そして、このような結合時には、MTコネクタ用プラグ21が保持する多心光ファイバ26と、光モジュール41のVCSEL81とが光軸合わせされる。なお、本実施形態において具体的には、JIS C 5981に規定するガイドピン「CNF125A−21」(直径0.699mm)が使用されている。そしてさらに、MTコネクタ用プラグ21及び光モジュール41は、JIS C 5981に規定するMTコネクタ用クランプスプリング36を用いて挟持固定されている。より詳細にいうと、前記MTコネクタ用クランプスプリング36は、互いに突き合わされた状態のMTコネクタ用プラグ21及び光モジュール41を、一対の挟持部37によって挟持する。その結果、MTコネクタ用プラグ21の後端面及び光モジュール41の後端面44に押圧力が印加され、両者の確実な結合が図られる。
図3,図6,図7等に示されるように、セラミック基板51の下端面56には、複数の電気接続端子としての複数のはんだバンプ75がアレイ状に設けられている。そして、これらのはんだバンプ75を介して、光モジュール41がプリント配線基板11の表面12に電気的に接続されている。
このように構成された装置の一般的な動作について簡単に述べておく。
発光素子を有する光モジュール41に対してはプリント配線基板11側から電力が供給され、この電力供給によりVCSEL81及びドライバIC82が動作可能な状態となる。プリント配線基板11側から入力された電気信号は、まずドライバIC82に入力される。すると、ドライバIC82はフレキシブル基板76の配線パターンを介してVCSEL81に所定の電気信号を出力する。VCSEL81は入力した電気信号を光信号(レーザ光)に変換した後、その光信号を多心光ファイバ26の先端面に向けて出射する。出射された光信号は、透明または半透明なフレキシブル基板76を通過した後、マイクロレンズアレイ73のマイクロレンズを通過する際に集光される。そして、集光された光は、MTコネクタ用プラグ21が保持する多心光ファイバ26の各コア内に入射し、受光側光モジュール41に向かって進むようになっている。
次に、光モジュール41の製造方法について説明する。
まず以下の手順によりセラミック基板51を作製する。アルミナ粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤などを均一に混合・混練してなる原料スラリーを作製し、この原料スラリーを用いてドクターブレード装置によるシート成形を行って、所定厚みのグリーンシートを複数枚形成する。グリーンシートにおける所定部分にはパンチ加工を施してスルーホール用孔を形成し、そこにスルーホール導体用の金属ペースト(例えばタングステンペースト)を充填する。このとき同時に、グリーンシートの側端面にて開口する切欠部を形成しておく。この切欠部は後に充填凹部61の一部を構成するものである。また、グリーンシートの表面に金属ペーストを印刷することにより、後に導体層となる印刷層を形成する。そして、これら複数枚のグリーンシートを積層する。その際には切欠部同士が重なり合うように配置する。そして、所定圧力でプレスして各グリーンシートを一体化し、未焼結のグリーンシート積層体とする。次に、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、さらにアルミナが焼結しうる加熱温度(例えば1650℃〜1950℃)にて焼成工程を行う。これにより、未焼結のグリーンシート積層体を焼結させてセラミック基板51とするとともに、側端面53にて開口する充填凹部61を形成する。
次に、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(JER社製「エピコート807」)80重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(JER社製「エピコート152」)20重量部に対し、硬化剤(四国化成工業社製「2P4MZ−CN」)5重量部、シランカップリング剤(信越化学社製「KBM−403」)で処理したシリカフィラー(龍森製「TSS−6」)200重量部、消泡剤(サンノプコ社製「ベレノールS−4」)を混合する。この混合物を3本ロールにて混練し、充填凹部61を埋めるための充填材63とする。即ち、本実施形態の充填材63は、熱硬化性樹脂中に無機フィラーを含んだものである。そして、この充填材63を従来公知の手法(例えば印刷法)により充填凹部61内に充填し、120℃,1時間の条件で加熱することにより、充填材63を半硬化させる。ここで、充填材63を完全に硬化させないのは、次工程での穴加工をよりいっそう容易に行うためである。
続いて、精密ドリルを用いた精密穴加工を行って、半硬化状態の前記充填材63に精密加工穴62を形成する。このような穴加工法によれば、光軸合わせの際の正確な基準となるガイドピン穴80を容易にかつ確実に得ることができる。なお、樹脂材料に対する穴加工であるため、加工に要する労力やコストを低減することができ、ひいては光モジュール41の低コスト化を図ることができる。ここで、セラミック基板51を表面研磨装置にセットして、側端面53を研磨することにより、充填凹部61の開口部から突出している余剰の充填材63を除去してもよい。
次に、前記セラミック基板51を150℃,5時間の条件で加熱する本硬化処理を行って、充填材63を完全に硬化させる。さらに、周知の手法により仕上げ加工を行って、精密加工穴62の穴径を0.700mmとなるように微調整する。このときの加工に要求される精度は、具体的には±0.001mmである。以上の結果、光モジュール用セラミック基板51が完成する。完成したセラミック基板51については、さらに従来周知の手法によりはんだバンプ75が設けられる。
次に、前記セラミック基板51に他の部品を取り付けて光モジュール41を製造する手順について述べる。この場合、フレキシブル基板76を用意するとともに、片側面にあらかじめVCSEL81及びドライバIC82を実装しておく。そして、セラミック基板51、フレキシブル基板76、スペーサ74及びマイクロレンズアレイ73の順序で配置し、精密加工穴62及び透孔70,85にガイドピン31を挿通させる。その結果、セラミック基板51に対してフレキシブル基板76やマイクロレンズアレイ73が位置合わせされた状態で固定される。次に、フレキシブル基板76を直角に折り曲げて、その折り曲げた部分をセラミック基板51の上端面55に異方性導電性フィルムで接着する。さらにその上にリッド72を銀エポキシ接着剤で接着する。また、フレキシブル基板76側の導体とセラミック基板51側の導体とを、導電性ペースト、導電性フィルム、はんだ付け等の手段により電気的に接続することも可能である。その結果、図2に示されるような、ガイドピン31付き光モジュール41が得られる。この後、前記光モジュール41をプリント配線基板11の表面12上にはんだ付けする。なお、セラミック基板51のみをプリント配線基板11の表面12上にはんだ付けした後で、ガイドピン31によるフレキシブル基板76、スペーサ74及びマイクロレンズアレイ73の取り付けを行ってもよい。
さらに、プリント配線基板11上に実装されたガイドピン31付き光モジュール41と、MTコネクタ用プラグ21とを接続する手順について述べる。ここでは、多心光ファイバ26と一体化されたMTコネクタ用プラグ21を使用する。このMTコネクタ用プラグ21の先端面23を、光モジュール41の先端面43に対向して配置し、ガイドピン31の突出端をプラグ側ガイドピン穴22内に挿入する。そして、MTコネクタ用プラグ21を光モジュール41側に近づけていき、MTコネクタ用プラグ21の先端面23と光モジュール41の先端面43とを突き当てるようにする。次に、MTコネクタ用プラグ21及び光モジュール41の上方からMTコネクタ用クランプスプリング36を装着し、両者を挟持固定する。このようにすれば、MTコネクタ用クランプスプリング36の押圧力がMTコネクタ用プラグ21及び光モジュール41に常時加わることにより、両者が確実に結合された状態となる。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)即ち、MTコネクタ用ガイドピン31の挿入によりMTコネクタ用プラグ21とモジュール本体42とを機械的に結合する際に、併せて多心光ファイバ26と光素子とが光軸合わせされる。このため、比較的簡単な方法であるにもかかわらず、多心光ファイバ26と光素子とを高い効率で光結合することができる。また、MTコネクタ用プラグ21と略同じ形状及び寸法に設定されたモジュール本体42を用いているため、MTコネクタ専用のガイドピン31及びMTコネクタ専用のクランプスプリング36をそのまま利用して、MTコネクタ用プラグ21との接続を図ることが可能である。ゆえに、汎用性及びコスト性に優れた光モジュール41を実現することができる。
(2)本実施形態では、モジュール本体42には、光素子のほかに光素子駆動用または光信号増幅用の半導体集積回路素子が設けられている。よって、導通距離を短くすることができ、動作速度が速くなる。
(3)本実施形態では、VCSEL81等の光素子やドライバIC82等の半導体集積回路素子が、光モジュール41の外表面から露出しないように設けられている。換言すると、光素子や半導体集積回路素子は光モジュール41内に埋設されている。ゆえに、光素子や半導体集積回路素子が光モジュール41の外表面にて露出する構成に比べて、光素子や半導体集積回路素子を確実に保護でき、信頼性向上にも寄与することができる。
(4)本実施形態においては、光モジュール41に光素子のみならず半導体集積回路素子も設けているためトータルでの発熱量が多い。これに加え、光素子及び半導体集積回路素子を光モジュール41内に埋設しているため、そもそも内部に熱が溜まりやすい構造となっている。しかしながら、放熱性に優れたセラミック基板51を主体として光モジュール41を構成し、かつ、リッド72を設けたことにより、熱が外部に効率よく放散される。また、上記はんだバンプ75のうちの一部のものは放熱用はんだバンプであるため、それらを介して熱が光モジュール41外に効率よく放散される。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の光モジュール141を図8,図9に基づいて詳細に説明する。図8は、本実施形態の光モジュール141の平面図である。図9は図8のC−C線における断面図である。ここでは第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、共通する部分については同じ部材番号を付す代わりに説明を省略する。
図8,図9に示されるように、この光モジュール141では、VCSEL81及びドライバIC82の支持体であったフレキシブル基板76が省略され、VCSEL81及びドライバIC82がセラミック基板51に直接接合されている。より詳細には、ドライバIC82がセラミック基板51の上端面55側のキャビティ59底面に接合され、VCSEL81がセラミック基板51の側端面53に接合されている。ドライバIC82は、スルーホール導体58または導体層57に電気的に接続されている。VCSEL81は、例えばボンディングワイヤ91を介して導体層57に電気的に接続されている。
そして、上記構造の光モジュール141であっても、基本的に第1実施形態と同様の作用効果を奏する。しかも、この構造であると、フレキシブル基板76の省略により、部品点数も少なくなり、低コスト化を達成しやすくなる。また、セラミック基板51とリッド72との間での熱伝導性がよくなるため、放熱性のさらなる向上が期待できるようになる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の光モジュール241を図10,図11に基づいて詳細に説明する。図10は、本実施形態の光モジュール241の平面図である。図11は図10のD−D線における断面図である。ここでは第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、共通する部分については同じ部材番号を付す代わりに説明を省略する。
図10,図11に示されるように、この光モジュール241においても、VCSEL81及びドライバIC82の支持体であったフレキシブル基板76が省略され、VCSEL81及びドライバIC82がセラミック基板51に直接接合されている。より詳細には、ドライバIC82がセラミック基板51の上端面55側のキャビティ59底面に接合されている。また、VCSEL81がセラミック基板51における肉薄張出部244の上面に接合されている。ドライバIC82及びVCSEL81は、スルーホール導体58または導体層57に電気的に接続されている。つまり、本実施形態では、VCSEL81がX軸方向ではなくZ軸方向(図11の上方向)を向いている。
肉薄張出部244の上側にあるスペースには、断面略L字状のスペーサ245が設けられ、そのスペーサ245の上には45°光路変換ミラー246付きのマイクロレンズアレイ247が設けられている。このマイクロレンズアレイ247には、Z軸方向に沿ってガイドピン穴251が形成されている。同様に、セラミック基板51の肉薄張出部244にガイドピン穴252が形成されている。そして、これらのガイドピン穴251,252にガイドピン31を挿通させることにより、VCSEL81とマイクロレンズアレイ247との光軸合わせが図られている。
そして、本実施形態によれば、汎用性及びコスト性に優れ、高い効率で多心光ファイバ26と光結合可能な光モジュール241を提供することができる。しかも、この構造であると、ドライバIC82及びVCSEL81を同じ向きで実装すればよいことから、部品実装を効率よく簡単に行うことができる。また、フレキシブル基板76の省略によりセラミック基板51とリッド72との間での熱伝導性がよくなるため、放熱性のさらなる向上が期待できるようになる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の光モジュール261を図12に基づいて詳細に説明する。図12は、本実施形態の光モジュール241の平面図である。ここでは第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、共通する部分については同じ部材番号を付す代わりに説明を省略する。
図12に示されるように、この光モジュール261は、いわば送受信用光モジュールであることから異なる2種類の光素子を備えており、具体的にはVCSEL81及びフォトダイオード271を1個ずつ備えている。それゆえ、この光モジュール261は、ドライバIC82ばかりでなくレシーバIC272(光信号増幅用の半導体集積回路素子)も備えている。ドライバIC82及びVCSEL81は、フレキシブル基板76の配線パターンを介して電気的に接続されている。レシーバIC272及びフォトダイオード271も、フレキシブル基板76における別の配線パターンを介して電気的に接続されている。セラミック基板51の上端面55側には、ドライバIC82を配置するためのキャビティ59と、レシーバIC272を配置するためのキャビティ59とが別個に形成されている。これらのキャビティ59の内面には導体めっき層が形成されている。また、これらキャビティ59同士は仕切壁273により隔てられている。そして、これらの構成により、送信側の構成であるドライバIC82と、受信側の構成であるレシーバIC272とが電磁的に分離されている。また、VCSEL81とフォトダイオード271との間には、基板の表面に導体めっきを施したシールド部材262が配設されている。そして、このようなシールド部材262の介在により、送信側の構成であるVCSEL81と、受信側の構成であるフォトダイオード271とが電磁的に分離されている。前記シールド部材262は、スペーサ74の表面に導体めっきを施したものであってもよい。
そして、本実施形態によれば、汎用性及びコスト性に優れ、高い効率で多心光ファイバ26と光結合可能であって、しかも付加価値の高い光モジュール261を提供することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限度において、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
・例えば、第1〜第3実施形態において使用していたスペーサ74,245を省略してもよく、この場合にはさらに部品点数を低減することができる。
・また、第3実施形態では、セラミック基板51、マイクロレンズアレイ247及びリッド72をガイドピン31により位置合わせ固定していたが、ガイドピン31を用いずに接着等の手法により位置合わせ固定してもよい。
・第1〜第4実施形態では、リッド72をモジュール本体42の上端面のみに設けていたが、これを複数の面に設けるようにしてもよい。
・第1〜第4実施形態では、充填凹部61の内壁面に特に凹凸が存在せず内径もほぼ一定であったが、深さ位置によって内径を変えること等により凹凸を設けてもよい。この構成によると、充填凹部61の内壁面と充填材63との接触面積が大きくなり、充填材63の密着性が向上する。ゆえに、熱応力集中による隙間の発生やクラックの発生を回避でき、信頼性に優れたものとなる。
・第1実施形態では、精密加工穴62を形成するにあたり、充填材63の充填→充填材63の半硬化(120℃)→穴加工→表面研磨→充填材63の本硬化(150℃)というプロセスを採用したが、これとは別のプロセスを採用しても勿論よい。例えば、充填材63の充填→充填材63の半硬化(120℃)→表面研磨→充填材63の本硬化(150℃)→穴加工というプロセスであってもよい。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)光ファイバMTコネクタのプラグに対し、当該MTコネクタ専用のガイドピンと、当該MTコネクタ専用のクランプスプリングとを用いて結合可能な形状及び寸法のモジュール本体と、前記モジュール本体の外表面から露出しないように前記光モジュール内部に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる光素子とを備えることを特徴とする光モジュール。
(2)光ファイバMTコネクタのプラグに対し、当該MTコネクタ専用のガイドピンと、当該MTコネクタ専用のクランプスプリングとを用いて結合可能な形状及び寸法であって、側端面にガイドピン穴が開口形成されたモジュール本体と、前記モジュール本体に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる光素子とを備え、前記ガイドピン穴に前記ガイドピンが挿入固定され、前記ガイドピンの一部が前記モジュール本体から突出していることを特徴とする、ガイドピン付き光モジュール。
(3)光ファイバコネクタのプラグに対し、当該コネクタ専用のガイドピンと、当該コネクタ専用のクランプスプリングとを用いて、クランプスプリング締結方式で結合可能な形状及び寸法のモジュール本体と、前記モジュール本体に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる光素子とを備えることを特徴とする光モジュール。
(4)光ファイバコネクタのプラグに対し、前記プラグにおける光ファイバ先端露出面と自身の先端面とを突き合わせた状態で、当該コネクタ専用のガイドピンを用いて結合可能なモジュール本体と、前記モジュール本体に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる発光素子と、前記モジュール本体に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる受光素子とを備えることを特徴とする光モジュール。
(5)光ファイバコネクタのプラグに対し、前記プラグにおける光ファイバ先端露出面と自身の先端面とを突き合わせた状態で、当該コネクタ専用のガイドピンを用いて結合可能なモジュール本体と、前記モジュール本体に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる発光素子と、前記モジュール本体に設けられ、前記発光素子と電気的に接続される発光素子駆動用半導体集積回路素子と、前記モジュール本体に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる受光素子と、前記モジュール本体に設けられ、前記受光素子と電気的に接続される光信号増幅用半導体集積回路素子とを備えることを特徴とする光モジュール。
本発明を具体化した第1実施形態の光モジュールをプリント配線基板上に搭載してMTコネクタ用プラグを接続した状態を示す概略正面図。 プリント配線基板、光モジュール、MTコネクタ用プラグ、多心光ファイバ、ガイドピン及びクランプスプリングを示す分解正面図。 MTコネクタ用プラグに光モジュールを接続した状態を示す概略正面図。 モジュール本体を構成する光モジュール用セラミック基板を示す斜視図。 光モジュールの平面図。 図5のA−A線における断面図。 図5のB−B線における断面図。 第2実施形態の光モジュールの平面図。 図8のC−C線における断面図。 第3実施形態の光モジュールの平面図。 図10のD−D線における断面図。 第4実施形態の光モジュールの平面図。 従来技術を説明するための概略図。
符号の説明
21…プラグ
31…ガイドピン
36…クランプスプリング
41,141,241,261…光モジュール
42…モジュール本体
43…(光モジュールの)先端面
44…(光モジュールの)後端面
51…セラミック基板
53…側端面
55…基板主面としての上端面
61…充填凹部
62…精密加工穴
63…充填材
72…金属体としてのリッド
75…電気接続端子としてのはんだバンプ
80…ガイドピン穴
81…光素子としてのVCSEL
82…半導体集積回路素子としてのドライバIC
271…光素子としてのフォトダイオード
272…半導体集積回路素子としてのレシーバIC

Claims (2)

  1. 光ファイバコネクタのプラグに対し、ガイドピンを用いて結合可能なモジュール本体と、前記モジュール本体に設けられ、前記ガイドピンの挿入により前記プラグと前記モジュール本体とを結合したときに光軸合わせされる面発光タイプまたは面受光タイプの光素子とを備える光モジュールであって、
    前記モジュール本体は、基板主面と、前記基板主面の反対側に位置する基板裏面と、前記基板主面及び前記基板裏面に対して垂直な側端面とを有し、前記プラグに使用される樹脂材料よりも高放熱性のセラミック材料からなる複数の絶縁層及び複数の導体層を備える多層セラミック配線基板を主体として構成され、前記多層セラミック配線基板には光素子駆動用の半導体集積回路素子及び光信号増幅用の半導体集積回路素子のうちの少なくともいずれかが実装され、前記多層セラミック配線基板の前記基板裏面には、光モジュール搭載用配線基板との電気的接続を図るための複数の電気接続端子が設けられ、前記多層セラミック配線基板の前記側端面側には前記光素子が実装され、前記複数の導体層を利用して前記光素子と前記半導体集積回路素子と前記複数の電気接続端子とが電気的に接続されているとともに、
    前記側端面には充填凹部が開口形成され、前記充填凹部内には前記多層セラミック配線基板よりも加工性のよい材料からなる充填材が充填され、前記充填材には前記ガイドピンを挿入可能なガイドピン穴の少なくとも一部を構成する精密加工穴が形成され、
    前記側端面側には焦点距離調整用の四角枠状スペーサ及びマイクロレンズアレイがこの順序で配置されかつ前記マイクロレンズアレイが前記四角枠状スペーサを介して取り付けられ、前記光素子が前記四角枠状スペーサの内側領域に配置されている
    ことを特徴とする光モジュール。
  2. 前記ガイドピン及び前記精密加工穴は、前記光素子の両側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
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