JP5087964B2 - ワイヤレス表面弾性波センサ - Google Patents

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Description

本発明は、ワイヤレスで応力や温度を検出するセンサ技術に係わり、より具体的には、表面弾性波の伝搬特性の変化を利用したワイヤレス表面弾性波センサに関するものである。
自動車における足回りの軸力を廉価なセンサによって検知することができれば、新たな車輌制御の実現につながる可能性があるため、廉価で小型、省電力なセンサの要望が潜在的にあるものと考えられる。しかし、そのような候補センサが見当たらない現状にある。また、ハーネスのないワイヤレスのセンサの有用性には計り知れないものがある。
一方、表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)を応用し、ワイヤレスでの個体識別およびセンシングを行う個体情報検出装置が従来から知られており、この種の個体情報検出装置は、測定対象物に取り付けられた表面弾性波素子及びアンテナ手段を備えた応答器と、この応答器に対して駆動信号を送信すると共に、当該応答器からの応答信号を受信する問い合わせ器とからなる。
このような個体情報検出装置の応答器に表面弾性波素子が用いられるのは、電力を必要としないために、応答器をバッテリーレスで使用することができるからである。
このようにバッテリーレスで駆動されるものとしては、非接触ICカードに代表されるRFID(Radio Frequency Identification) があるが、これと比較しても、電力供給時の接近が不要であることから、広い領域をカバーする個体識別及びセンシングデバイスとして期待されている。
以下に、表面弾性波素子を用いて測定対象物の個体情報を識別する基本原理について説明する。
図14は、応答器を構成する従来の表面弾性波素子11の一例を示すものであって、図に示す表面弾性波素子11は、櫛歯電極構造をなす送受信電極12と複数の反射器13とを圧電基板14の上に形成することにより構成されている。
上記送受信電極12は、一対の櫛歯電極12a、12bを対向させ、一方の電極間に他方の電極が位置するように互い違いに入り組んだ状態に配置されている。このような電極配置構造は、一般に、IDT(Interdigital Transducers) 構造と称されている。
また、各反射器13は何れについても送受信電極12から距離的に異なる位置に形成されている。
送受信電極12の入出力端子15a、15bに交流電圧を加えると、圧電基板14上に表面弾性波が励起されることが知られている。この表面弾性波は、圧電基板14の表面を伝搬し、伝搬路上に反射器13があると表面弾性波の反射が生じる。
つまり、反射器13がある場合は、反射信号が得られ、反射器13がない場合は反射信号が得られない。そこで、反射がある場合とない場合とでそれぞれデジタル信号として、1、0を割り当てて符号化することによって、数〜数十ビットのIDとして活用することができる。なお、上記図14は、「11011001」のIDデータが得られる例を示したものである。
一方、表面弾性波を用いた測定対象物のセンシングに関しては、送受信電極12で励起された信号(表面弾性波)が反射器13で反射されて、再び送受信電極12に戻ってくるときに、外部環境の変化に伴って信号が変化することを利用している。測定対象物の状態変化は、位相、周波数、遅延時間といった表面弾性波の伝搬特性の変化という形で抽出することができる。
なお、以上のような個体識別メカニズムを利用して個体情報を検出する装置に関しての先行技術文献としては、例えば特許文献1がある。一方、温度に関するワイヤレスのセンシング技術に関しては、特許文献2がある。
また、ワイヤレスではなく、有線での表面弾性波素子の応用としては、遅延素子として応用や、このような遅延素子のセンサへの応用がある。
すなわち、図15に示すように、圧電基板に、上記したIDTを2箇所に設けて、IDT間に表面弾性波を伝搬させるものであって、遅延時間をコントロールするために、IDT間に磁歪を有する膜を設けて磁場を印加することによって、表面弾性波の伝搬速度を変化させることが試みられている。いわゆるチューナブルな遅延素子である(非特許文献1参照)。
また、センサとしての応用としては、水素をセンシングするものがあり、この場合には、Pd膜が圧電基板上のIDT間に設けられている(非特許文献2参照)。
さらに、温度センサとしての応用も試みられており、伝搬経路上に有機薄膜を設けることにより、温度センサの高感度化が図れるとしている(特許文献3参照)。
また、伝搬経路上に磁歪を有する膜を設けることにより、磁界のセンシングに使うという提案もある(非特許文献3参照)。
特開2004−191334号公報 特開2004−279397号公報 特開平05−34210号公報 D.W.Forester,C.Vitoria,D.C.Webb and K.L.Davis,"Varible Delay Lines Using Magnetostrictive Metallic−Glass Films Overlays",J.Appl.Phys.49(3),March 1978,pp.1794−1796. A.D’Amico and E.Verona,"SAW Sensors"Sensors and Actuators,17(1989),pp.55−66. S.M.Hanna,"Magnetic Field Sensors Based on SAW Propagation in Magnetic Films",IEEE Transactions on Ultrasonics,Ferroslectrics and Control,Vol.UFFC−34,No.2,March 1987,pp191−194.
しかしながら、従来技術としては、ワイヤレスとしての技術ではないものの、上記したように磁歪を有する膜を利用し、磁界を印加することにより、遅延素子の遅延時間を変える技術や、磁界検知技術が知られているが、圧電基板に働く応力を検知する試みはなかった。
本発明は、従来の技術における上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、対象部位にかかる応力やそれによる歪をワイヤレスで検出することができ、しかも廉価で小型、省電力なセンサを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対して、圧電基板に働く応力を表面弾性波(SAW)の伝搬特性の変化として検知することに着目し、鋭意検討を重ねた結果、表面弾性波の伝搬特性の変化を増感して検知するために、圧電基板上に磁歪を有する膜を形成し、磁歪膜による、いわゆるΔE効果を利用することによって上記目的達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、本発明のワイヤレス表面弾性波センサは、圧電基板と櫛歯電極を有する表面弾性波素子とアンテナ手段を備えた応答器と、上記応答器に対して駆動信号を発信すると共に、当該応答器からの応答信号を受信する問い合わせ器から成るものであって、上記圧電基板に働く応力を当該圧電基板上に設けた磁歪膜による表面弾性波の伝搬特性の変化に基づいてワイヤレスで検出するセンサであって、上記磁歪膜が表面弾性波の伝搬方向と一致する辺を有する略矩形状をなしていると共に、上記櫛歯電極から離間しており、矩形磁歪膜における櫛歯電極側端部からの反射波に対応するエコーと、この矩形磁歪膜における反櫛歯電極側端部からの反射波に対応するエコーとの時間差に基づいて圧電基板に働く応力を検出することを特徴としている。
本発明によれば、センサを応答器と問い合わせ器から成るものとし、応答器には圧電基板と櫛歯電極を有する表面弾性波素子と、アンテナ手段を備えると共に、圧電基板上に磁歪膜を設けたことから、圧電基板に応力が働くと、磁歪膜にも応力が作用し、磁化の分布が応力によって変わるので、磁歪効果によって弾性率が変わり、これにより表面弾性波の伝搬特性が変化するため、これを検知することによって圧電基板に働く応力をワイヤレスで検出することができ、廉価で小型、省電力なセンサを実現することができる。
以下、本発明のワイヤレス表面弾性波センサの実施の形態について、図面を参照して詳細かつ具体的に説明する。
すなわち、図1は、本発明のワイヤレス表面弾性波センサの応答部の構成を示すものであって、図1(a)はその平面図、図1(b)は、図1(a)のB−B線についての縦断面図である。
図において、符号1は圧電基板であって、当該圧電基板1上の図中左側表面には、櫛歯電極(IDT)2を備え、当該櫛歯電極2の一方がアンテナ手段としてのアンテナ3に接続されていると共に、他方が接地されている。そして、上記圧電基板1上の図中右側表面には、磁歪膜4が設けてある。
圧電基板1としては、レーリー波を発生する基板、例えばニオブ酸リチウム単結晶の128°回転Yカット基板を用いることができる。
なお、これ以外にものとしては、水晶、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、ランガサイト等を適切にカットした基板を使用してもよい。さらに、他の圧電材料としては、ZnO等の圧電性薄膜をガラス、シリコン単結晶、GaAs等の基板に形成して使用することも可能である。
また、圧電基板1として、例えばLiTaOの42°カット基板を用いることによって、SH波を発生させることができる。
上記したレーリー波は、水面の波のように圧電基板1の表面に対して垂直方向の変位を伴うのに対して、SH波はこのような垂直変位のない横波的な波(シェヤウェーヴ)であって、減衰が少なく、応力センサとしてはより好適なものとなる。
送受信電極である櫛歯電極2で励起される表面弾性波の波長をλとすると、櫛歯電極2の電極ピッチはλ/2、電極幅はλ/4、対数は30対、電極厚みはλ/50とされるが、特にこれに限定さることはなく、表面弾性波の励起効率を勘案して決定することができる。
また、櫛歯電極2の構成材料は、アルミニウムとすることができるが、これ以外に銅、チタン、クロム、金等が適用可能であり、さらにこれらの材料を積層化、あるいは合金化することも可能である。
上述のように、櫛歯電極2の片側は接地され、他の片側はアンテナ3に接続されており、電波の受信、櫛歯電極2での表面弾性波の励起、圧電基板1上での伝搬、反射波の伝搬がなされ、櫛歯電極2での電圧信号が発生し、そして電波が送信される。
磁歪膜4は、例えば、NiやFe−Ga合金、Fe−Co合金から成るものであって、矩形状に形成されており、その図中の上下辺が表面弾性波の伝搬方向に平行となるように配置されている。特に、磁歪を大きなものとする観点からは、Gaの原子百分率が16〜21%のFe−Ga合金や、Coの原子百分率が40〜70%のFe−Co合金を適用することが望ましい。
さらに、磁歪膜4としては、磁気異方性を有し、特にその磁化容易方向が表面波の伝播方向及び張力又は圧縮力の印加方向に対して略垂直であることが望ましく、これによって、密着性が向上し、応力検出の再現性が改善されるという効果が得られる。
上記磁歪膜4の厚さとしては、λ/10未満にすることが望ましい。すなわち、厚すぎると減衰が大きく適切でない一方、薄すぎると伝搬特性の変更効率が確保しにくくなる。なお、磁歪膜4と圧電基板1とは密着していることが必要である。
また、磁歪膜4は、スパッタリングによって成膜することができる。特に、上記したように当該磁歪膜4に磁気異方性を付与する観点から、磁場中のスパッタリングによって成膜することが望ましい。また、磁場の影響下では密着性の向上が図れることも期待できる。なお、マグネトロンスパッタにて成膜する場合には、圧電基板にも磁場が漏れており、実質的に磁場下での膜作製となっているため、上記観点より望ましい。
図1(a)中には、表面弾性波の磁歪膜4の端面での反射波R1、R2を模式的に示している。表面弾性波は、磁歪膜4の端面において反射される。
図2は、反射エコーの強度を縦軸に、時間軸を横軸として示したグラフであって、反射エコーR1とR2との時間差は、表面弾性波が磁歪膜4の部分を伝搬するのに要する時間である。
圧電基板1に応力が作用して、その結果として、磁歪膜4にも応力が作用すると、磁歪膜4においては、磁歪が正の場合には、磁化が引張応力方向に向く(磁歪の逆効果による)ので、磁化分布が変わり、その結果として、弾性率が変わり(ΔE効果)、その帰結として、表面弾性波の速度が変わることになる。したがって、伝搬に要する時間が変わることになる。
したがって、反射エコーの時間差を、圧電基板1に働く応力に対して、予め校正しておけば、時間差から、圧電基板に働く応力(歪)が計測できることになる。
さて、磁歪を有する膜に関する従来技術の一つであるチューナブル遅延線素子においては、表面弾性波の伝搬速度を磁界を印加することによって変えるものであり、膜に磁界が印加されると、磁化が磁界の方向に向けられるから、これによって磁化分布が変わる。磁化分布が変わると、膜は磁歪を有するので、膜の弾性率が変わり、伝搬する表面弾性波の速度が変わることになる。
また、遅延線による磁界センサにおいても、計測原理は、チューナブル遅延素子と同じである。
これに対し、本発明においては、膜4が磁歪を有するので、圧電基板1の膜4への応力作用により、磁歪膜4の磁化分布が変更される。
表面弾性波の伝搬特性の変化については同じであるが、本発明は、応力による効果である点において、磁界による効果である従来技術と相違するものであり、表面弾性波分野において、磁歪膜の応力効果を利用したセンサ技術は知られていない。
図3は、本発明のワイヤレス表面弾性波センサの実施形態の他の例を示すものであって、図1に示した形態例と比べて、反射帯5を設けている点において相違する。
このような反射帯5の材料としては、櫛歯電極2と同じ材料を用いればよく、大きさとしても、図に示しているように、櫛歯電極2の寸法と同程度の大きさでよい。また、厚さについても櫛歯電極と同程度でよいが、反射効率の点から適切な厚さを採用することが望ましい。
図3に示したセンサの場合には、磁歪膜4の両端面からの2つの反射エコーと、反射帯5からの反射エコーの都合3つのエコーが得られる。
そして、3つのエコーの時間差から、演算によって圧電基板1に作用する応力(歪)の大きさと共に、圧電基板1の温度も求めることができる。
図4は、本発明のワイヤレス表面弾性波センサの実施形態のさらに他の例を示すものであって、この形態に係る表面弾性波センサにおいては、表面弾性波が伝搬するトラックを2つ備えている。
図4に示したワイヤレス表面弾性波センサの応答器において、一方のトラックは図3とまったく同じであり、もう一方のトラックは、磁歪膜4が配設されていないことにおいて相違する。
この場合には、反射エコーは、第1の反射帯5からの反射エコーR5と、第2の反射帯6からの反射エコーR6を加えて、図5に示すように都合4つの反射エコーとなり、4つのエコーを使うことによって、それらの時間差から、演算により、圧電基板1に働いている応力(歪)と、圧電基板1の温度とを検出することができ、求めたい未知量に対する答えが2通り得られることから、図3に示したセンサの場合に比べてより高精度に求めることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されることはない。
(実施例1)
図6に示すように、LiNbOの単結晶からなる20mm×40mm、厚さ0.5mmの圧電基板1に、2つの櫛歯電極の構成において、これら櫛歯電極2の間に、磁歪膜4として、4.0mm×3.0mm、厚さ3.0μmのNi膜(磁歪は負)をスパッタリングにより形成した。なお、櫛歯電極2の相対向する距離は3mm、2つの櫛歯電極2の間の距離は7.0mmとした。
次に、上記圧電基板1を樹脂製の薄板に接着し、薄板に引張応力を印加することにより応力を印加した。このとき、当該応力の大きさを、樹脂製薄板に歪ゲージを接着することにより求めた。
そして、樹脂製薄板に種々の引張応力を印加して、2つの櫛歯電極間の表面弾性波(レーリー波)の伝搬時間τを計測した。引張応力の変化に対する伝搬時間の変化Δτをプロットした結果を図7に示す。
図7に示すように、Ni膜(磁歪膜4)がない場合に較べて、Ni膜を形成することによって、約2倍という大幅な感度増大が得られることが確認された。
なお、図7において、横軸は引張応力を歪で表示しており、縦軸は伝搬時間τの変化率Δτを示している。
(実施例2)
磁歪膜4として、Niの代わりに、Fe−17%Ga膜(Fe83Ga17、磁歪は正)を0.5μmの厚さにスパッタリングしたこと以外は、上記実施例1と同様の操作を繰り返し、同様に引張応力の変化に対する伝搬時間の変化を調査した。その結果、伝搬時間の変化率Δτは、図7とほぼ同様な傾向を示すことが確認された。
(実施例3)
図1に示したような構造を有する応答器を試作し、ワイヤレスでの実験を行った。応答器の主要部分は、実施例2と同じとした。
その結果、エコーの時間差に基づいて、応答器である圧電基板1の接着されている場所での歪が計測できていることが確認できた。このとき、無線通信の周波数は100MHz付近を使用し、出力1mW、応答器と問合せ器との間の距離は1mとした。
上記したように、本発明のワイヤレス表面弾性波センサを用いることによって、ハーネスなしで測定対象物の応力(歪)をセンシングでき、ハーネスを用いては測定不可能であった回転物の応力測定も可能となる。また、バッテリーを用いることなく、応力や歪を検出することができる点においても優れている。
(実施例4)
図6に示すように、櫛歯電極(IDT)2を両サイドに備えた表面弾性波センサを試作した。
このとき、圧電基板1には8mm×10mmのLiTaO(42°Y−Xカット)を用い、表面弾性波の伝播方向をX方向(基板の長手方向)とすると共に、櫛歯電極2としては、Au(金)を用い、ピッチ10μm、交差幅3mm、伝搬距離4mmとなるようにフォトリソグラフィにより作製した。
次に、ターゲットとして正の磁歪を有するFe−Ga合金を使用し、スパッタ装置のチャンバー内をロータリーポンプとターボポンプを用いて2×10−4Paの真空状態としてから、マグネトロンスパッタ法によって、スパッタ出力300W、アルゴン圧1.0Pa、基板−ターゲット間距離6mmの条件のもとに、上記圧電基板1の表面弾性波伝搬経路上における櫛歯電極間に、Fe80Ga20から成り、4.0mm×3.0mmの大きさの磁性膜4を0.50μmの厚さに作製した。
なお、このとき、基板温度を室温とし、スパッタガスとしてArを用いると共に、上記磁歪膜4に磁気異方性を持たせるために、図8に示すように永久磁石を配置し、伝搬方向と直角方向に150Oeの磁場を印加した状態でスパッタした。
成膜された磁歪膜4について、その組成をEPMA法(X線マイクロアナライザー)で分析し、その断面をSEM(走査型電子顕微鏡)によって観察すると共に、膜性状をX線回折によって調査した。
また、10mm×10mmのマスクを用いて、同様の条件のもとにFe80Ga20を別途成膜した試料について、その磁気異方性をVSM(振動試料型磁力計)により調査した。
その結果、EPMAやX線回折では、磁場中成膜による成分や構造上の差違を明確に見出すことはできなかったが、SEMによる断面観察では、図9に示すように、基板上に磁歪膜がしっかりと密着していることが確認された。
また、図10は、同一条件で別途成膜した上記Fe80Ga20試料についての磁化特性を示すものであって、図から明らかなように磁気異方性を備えていることが確認された。なお、飽和磁歪の大きさについて、上記試料を用いて測定した結果、約200ppmであった。
次に、磁歪膜4を成膜して成る上記表面弾性波センサを用いて、応力による遅延時間を測定した。
すなわち、ガラスエポキシの上に約1μmの厚さの銅箔を備えたプリント基板を使用し、ビニールテープでマスキングした状態でエッチングを施すことによって、入出力信号が取出せるようなプリント回路を形成した。
次いで、銅テープにより上記表面弾性波センサの櫛歯電極2とプリント基板の回路との間を配線し、それぞれの結合部に電気的な導通をよくするためにドータイト(高機能導電性接着剤:銀のフィラー入りアクリル樹脂、常温乾燥タイプ)を塗布したのち、プリント基板の銅部分に、測定機器と接続するためのコネクタを半田付けによって接続した。
そして、図11(a)に示すように、片持ち梁の要領で上記プリント基板の一端側を固定すると共に、他端(自由端)側の端縁から5mmの位置に力を印加し、基板1に発生する応力を圧電基板1に磁歪膜4と平行になるように貼り付けた歪ゲージによって計測した。なお、遅延時間は、図11(b)のブロック図に示すように、CH1とCH2の正弦波の位相差Δtをデジタルオシロスコープによって測定した。
この結果を次の実施例5の結果と共に図12に示す。なお、図12の横軸は応力を表す歪を示しており、縦軸は遅延時間を位相変化で角度表示したものを示している。
図から明らかなように、引張の場合には遅延する一方、圧縮の場合には速まっており、そのレベルは基板のみの場合に比べて約3倍程度まで増大することが確認された。なお、遅延する場合には位相変化は負であり、速まる場合には正である。
(実施例5)
ターゲットとして正の磁歪を有するFe−Co合金を使用し、圧電基板1の上にFe50Co50から成る磁歪膜4を0.89μmの厚さに成膜したこと以外は、上記実施例4と同様の操作を繰り返して、本例の表面弾性波センサを得た。
そして、上記同様に、応力による遅延時間を測定した。その結果は、図12に併せて示すように、基板のみの場合と比較して、遅延の程度が大幅に増加することが判明した。
また、同様の条件のもとに、10mm×10mmのマスクを用いて別途成膜したFe50Co50試料について、同様の方法によって磁化特性を測定した結果は、図13に示すとおりであって、上記実施例4と同様に、磁気異方性を備えていることが確認された。
なお、飽和磁歪の大きさについては、約75ppmであった
上記実施例4及び5に示したように、SH波を用いることによって良好な表面弾性波歪センサとすることができる。また、磁場中において磁歪膜を作製することにより、再現性の良い遅延特性を有するセンサとすることができることが確認された。
(a)本発明のワイヤレス表面弾性波センサにおける応答器の形態例を示す平面図である。(b)図1(a)のB−B線における縦断面図である。 図1に示した応答器によって得られる反射エコーの時間的変化を示すグラフである。 本発明のワイヤレス表面弾性波センサにおける応答器の他の形態例を示す平面図である。 本発明のワイヤレス表面弾性波センサにおける応答器のさらに他の形態例を示す平面図である。 図4に示した応答器によって得られる反射エコーの時間的変化を示すグラフである。 実施例1に用いた応答器の構造を示す平面図である。 引張応力に対する表面弾性波の伝搬時間の変化率の関係を磁歪膜のある場合とない場合とで比較して示すグラフである。 磁場中で成膜する要領を示す説明図である。 実施例4において磁場中成膜したFe80Ga20膜断面の電子顕微鏡写真である。 実施例4において磁場中成膜したFe80Ga20膜の磁化特性の測定結果を示すグラフである。 応力による遅延時間の変化を測定する装置及び方法を示す説明図である。 実施例4及び5によって得られた表面弾性波センサにおける遅延時間の応力依存性を測定した結果を示すグラフである。 実施例5において磁場中成膜したFe50Co50膜の磁化特性の測定結果を示すグラフである。 従来の個体識別用表面弾性波素子の一例を示す説明図である。 非特許文献1に記載された従来の遅延素子の構造を示す説明図である。
符号の説明
1 圧電基板
2 櫛歯電極
3 アンテナ(アンテナ手段)
4 磁歪膜
5,6 反射帯

Claims (5)

  1. 圧電基板と櫛歯電極を有する表面弾性波素子とアンテナ手段を備えた応答器と、
    上記応答器に対して駆動信号を発信すると共に、当該応答器からの応答信号を受信する問い合わせ器から成り、上記圧電基板に働く応力を当該圧電基板上に設けた磁歪膜による表面弾性波の伝搬特性の変化に基づいてワイヤレスで検出するセンサであって、
    上記磁歪膜が表面弾性波の伝搬方向と一致する辺を有する略矩形状をなし、上記櫛歯電極から離間しており、
    上記矩形磁歪膜における櫛歯電極側端部からの反射波に対応するエコーと、当該矩形磁歪膜における反櫛歯電極側端部からの反射波に対応するエコーとの時間差に基づいて圧電基板に働く応力を検出することを特徴とするワイヤレス表面弾性波センサ。
  2. 上記磁歪膜がFe−Ga合金又はFe−Co合金から成ることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス表面弾性波センサ。
  3. 上記磁歪膜の組成がFe1−xGa(x=0.16〜0.21)又はFe1−xCo(x=0.4〜0.7)であることを特徴とする請求項に記載のワイヤレス表面弾性波センサ。
  4. 上記磁歪膜が磁気異方性を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つの項に記載のワイヤレス表面弾性波センサ。
  5. 上記磁歪膜の磁化容易方向が表面波の伝播方向及び張力又は圧縮力の印加方向に対して略垂直であることを特徴とする請求項に記載のワイヤレス表面弾性波センサ。
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