しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、不特定多数の人による犯罪については考慮されておらず、建物の内部に保管された資産における犯罪に対するリスクの高さを評価することができない、という問題点があった。
また、上記特許文献2に開示されている技術では、建物の内部に保管された資産における犯罪に対するリスクの高さを静的に評価することはできるものの、当該リスクの高さを、建物内部に不審者が侵入したか否かにかかわらず、リアルタイムで動的に評価することができない、という問題点があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、建物の内部に保管された資産における犯罪に対するリスクの高さを、建物内部に不審者が侵入したか否かにかかわらず、リアルタイムで動的に評価することができる犯罪リスク評価装置及び犯罪リスク評価プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の犯罪リスク評価装置は、評価対象とする資産が保管された建物の建設位置を示す位置情報を入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された位置情報により示される建設位置における所定期間当たりの犯罪発生確率を、所定地域内における過去の犯罪発生状況を示す犯罪状況情報に基づいて導出する犯罪発生確率導出手段と、前記建物の内部に侵入した不審者を検出する検出手段と、前記検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記建物全体の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における犯罪に対する脆弱性の高さを示す第1の脆弱レベル値をリアルタイムで連続的に導出し、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記建物の内部における当該不審者の検出位置から前記保管位置に至る侵入経路の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における前記不審者による犯罪に対する脆弱性の高さを示す第2の脆弱レベル値をリアルタイムで連続的に導出する脆弱レベル値導出手段と、前記検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記犯罪発生確率及び前記第1の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する犯罪によるリスクの高さを示す第1の犯罪リスク評価値をリアルタイムで連続的に導出し、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記犯罪発生確率及び前記第2の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する前記不審者による犯罪によるリスクの高さを示す第2の犯罪リスク評価値をリアルタイムで連続的に導出する犯罪リスク評価値導出手段と、前記検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記第1の犯罪リスク評価値に関する情報をリアルタイムで連続的に表示すると共に、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記第2の犯罪リスク評価値に関する情報をリアルタイムで連続的に表示する表示手段と、を備えている。
請求項1記載の犯罪リスク評価装置によれば、入力手段によって評価対象とする資産が保管された建物の建設位置を示す位置情報が入力される。なお、上記位置情報には、上記建設位置を示す住所情報の他、当該建設位置を示す緯度及び経度の各情報が含まれる。また、上記入力手段による位置情報の入力は、キーボード、ポインティング・デバイス、タッチ・パネル、タブレット等の入力装置を介した入力の他、ローカル・エリア・ネットワーク、インターネット、イントラネット等の通信回線を介した外部装置からの入力が含まれる。また、上記資産には、犯罪の発生によって被害を被る、個人情報、顧客情報等の情報資産や、人、物、財物等の財産としての価値を有する全てのものが含まれる。
ここで、本発明では、犯罪発生確率導出手段により、前記入力手段によって入力された位置情報により示される建設位置における所定期間当たりの犯罪発生確率が、所定地域内における過去の犯罪発生状況を示す犯罪状況情報に基づいて導出される。
また、本発明では、脆弱レベル値導出手段により、前記建物の内部に侵入した不審者を検出する検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記建物全体の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における犯罪に対する脆弱性の高さを示す第1の脆弱レベル値がリアルタイムで連続的に導出される一方、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記建物の内部における当該不審者の検出位置から前記保管位置に至る侵入経路の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における前記不審者による犯罪に対する脆弱性の高さを示す第2の脆弱レベル値がリアルタイムで連続的に導出される。
さらに、本発明では、犯罪リスク評価値導出手段により、前記検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記犯罪発生確率及び前記第1の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する犯罪によるリスクの高さを示す第1の犯罪リスク評価値がリアルタイムで連続的に導出される一方、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記犯罪発生確率及び前記第2の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する前記不審者による犯罪によるリスクの高さを示す第2の犯罪リスク評価値がリアルタイムで連続的に導出される。
そして、本発明では、表示手段により、前記検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記第1の犯罪リスク評価値に関する情報がリアルタイムで連続的に表示されると共に、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記第2の犯罪リスク評価値に関する情報がリアルタイムで連続的に表示される。なお、上記表示手段による表示には、ディスプレイ装置等による可視表示、画像形成装置等による永久可視表示、音声合成装置等による可聴表示が含まれる。
このように、請求項1記載の犯罪リスク評価装置によれば、評価対象とする資産が保管された建物の建設位置を示す位置情報を入力し、入力した位置情報により示される建設位置における所定期間当たりの犯罪発生確率を、所定地域内における過去の犯罪発生状況を示す犯罪状況情報に基づいて導出した後、前記建物の内部に侵入した不審者を検出する検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記建物全体の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における犯罪に対する脆弱性の高さを示す第1の脆弱レベル値を導出し、前記犯罪発生確率及び前記第1の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する犯罪によるリスクの高さを示す第1の犯罪リスク評価値をリアルタイムで連続的に導出する一方、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記建物の内部における当該不審者の検出位置から前記保管位置に至る侵入経路の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における前記不審者による犯罪に対する脆弱性の高さを示す第2の脆弱レベル値を導出し、前記犯罪発生確率及び前記第2の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する前記不審者による犯罪によるリスクの高さを示す第2の犯罪リスク評価値をリアルタイムで連続的に導出し、前記第1の犯罪リスク評価値に関する情報及び前記第2の犯罪リスク評価値に関する情報を表示手段によりリアルタイムで連続的に表示しているので、建物の内部に保管された資産における犯罪に対するリスクの高さを、建物内部に不審者が侵入したか否かにかかわらず、リアルタイムで動的に評価することができる。
さらに、本発明は、前記犯罪リスク評価値導出手段が、Tを前記建物の内部に不審者が存在しないことを実際に確認した時刻を0(零)とした経過時間とし、N’を前記所定期間当たりの前記建物の敷地における犯罪発生頻度とし、F(t)をその時点の前記第1の脆弱レベル値とし、Fi(T)を第i警戒線と第(i+1)警戒線の間で不審者を確認した時点の前記第2の脆弱レベル値とし、A(T)をその時点の前記資産の価値としたとき、次の演算式によって第1の犯罪リスク評価値L1及び第2の犯罪リスク評価値L2をリアルタイムで連続的に導出する。
これにより、犯罪リスク評価値を的確に導出することができる。
なお、本発明における前記所定地域は、東京都とすることが好ましい。これによって、犯罪発生確率を、大都市部、田園地帯、沿岸部、山間部等の種々の地域特性を加味したものとして演算することができ、東京都以外の地域における建設位置の犯罪リスクを評価する場合でも、高精度に評価することができる。
また、本発明は、請求項2に記載の発明のように、犯罪の発生に相関が高い地域特性を示すものとして予め定められた複数のパラメータのうちの1つ又は複数を組み合わせて得られたパラメータを説明変数とし、前記犯罪状況情報を被説明変数とした回帰分析によって、前記犯罪状況情報によって示される犯罪状況に最もよく回帰することのできるものとして導出された回帰式が予め記憶された記憶手段を更に備え、前記犯罪発生確率導出手段が、前記回帰式を前記記憶手段から読み出し、当該回帰式を用いて前記犯罪発生確率を導出するものとしてもよい。これにより、犯罪発生確率を高精度なものとして導出することができ、この結果として、犯罪リスクを、より高精度に評価することができる。なお、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)等の半導体記憶素子、スマート・メディア(SmartMedia(登録商標))、フレキシブル・ディスク等の可搬記録媒体やハードディスク等の固定記録媒体、或いはネットワークに接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置が含まれる。
特に、請求項2記載の発明は、請求項3に記載の発明のように、前記回帰式における説明変数を、前記建設位置から最寄駅までの距離を前記建設位置が含まれる予め定められた区分エリア内の事業所数で除算して得られた第1の値と、前記区分エリア内の人口を前記区分エリア内の従業者数で除算して得られた第2の値と、の2つの値とすることが好ましい。これによって、犯罪リスクの評価を、より高精度に行うことができる。
ここで、本請求項3に記載の発明の原理について説明する。
本発明の発明者らは、まず、犯罪の発生に相関が高い地域特性を示すパラメータとして、町丁目別の人口、世帯数、事業所数、従業者数、最寄駅までの距離、最寄駅の乗降客数、面積、道路率、空地率、及び可住地面積の10種類のパラメータが存在するものと仮定した。
次に、発明者らは、東京都における町丁目別の1年間の犯罪発生件数を示すデータ(以下、「犯罪状況情報」という。)を用いて、町丁目別の犯罪発生件数を可住地面積で除算することによって町丁目別の犯罪発生密度Nを求め、当該犯罪発生密度Nを被説明変数とし、上記10種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わせて得られた2つのパラメータX,Yを説明変数とした回帰分析を行った。
この結果、回帰式を次の(1)式とし、当該回帰式によって犯罪発生密度Nを最もよく回帰することのできるパラメータXとして上記最寄駅までの距離を上記事業所数で除算して得られた第1の値(以下、「非匿名レベル値」ともいう。)が、パラメータYとして上記人口を上記従業者数で除算して得られた第2の値(以下、「監視レベル値」ともいう。)が、各々見出された。なお、(1)式におけるa,b,c,dは回帰係数である。
N=10a−bX−cY+d (1)
次に、上記回帰分析の具体的な手順について説明する。
まず、犯罪発生密度Nの上位m個をとり、上記10種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わせて得られたパラメータX及びパラメータYの各値を用いて、回帰分析において広く一般的に用いられている次の(2)式に回帰する、回帰係数a,b,cの値を算出する。なお、ここで、回帰データ数mを連続的に変化させ、各回帰データ数mについて回帰係数a,b,cを求める。
N=10a−bX−cY (2)
図19には、これによって得られた回帰データ数mと回帰係数a,b,cの各値の関係を示すグラフの一例が示されている。
次に、回帰係数a,b,cの全ての値が正値となる回帰データ数mを抽出する。なお、図19に示す例では、回帰データ数mが20から30までの間の回帰係数a,b,cが示されているが、この回帰データ数mの範囲内では、全ての回帰係数a,b,cの値が正値となるため、全ての回帰データ数mが抽出されることになる。
次に、抽出した各回帰データ数mについて、対応する回帰係数a,b,cと、上記10種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わせて得られたパラメータX及びパラメータYとを用いて、回帰誤差(「犯罪発生密度の実データ」−「(2)式によって得られる回帰値」)を算出し、回帰誤差が正値となるデータ数が全データ数の所定割合(ここでは、0.2%)となるように回帰式に回帰係数dを加えた上記(1)式を、犯罪発生確率を示す回帰式とする。なお、上記回帰係数dは、犯罪発生密度Nの分布における最大値付近のバラツキによる悪影響を回避するためのものであり、上記所定割合として0.2%を適用したのは、地震による建物に対する予想最大損失率を示すPML(Probable Maximum Loss)にて適用されている値に由来するものである。
次に、回帰データ数m毎で、かつ上記10種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わせて得られたパラメータX及びパラメータY毎の犯罪発生密度の推定誤差(「犯罪発生密度の実データ」−「(1)式によって得られる犯罪発生密度(推定値)」)の確率分布を示すグラフを作成する。なお、図20に、当該グラフの一例を示す。
そして、作成した各グラフにおける確率分布の形状を比較し、推定誤差が負値となる部分の零軸との間の面積(図20における斜線部分の面積)が最小となるものを最良の回帰式として選択する。
以上によって選択された回帰式におけるパラメータXが非匿名レベル値であり、パラメータYが監視レベル値であった。
なお、次の(3)式は、以上の手順により導出された、犯罪の種類として建物への侵入を伴う窃盗を適用した場合の回帰式の一例である。
N=100.421−0.0230X−0.126Y+0.476 (3)
図21には、(3)式による回帰結果が示されている。同図からも明らかなように、当該犯罪種別の犯罪発生密度と非匿名レベル値及び監視レベル値とは高い相関を示すと共に、(3)式によって当該犯罪種別の犯罪発生密度を高精度に算出することができる。
一方、次の(4)式は、以上の手順により導出された、犯罪の種類として建物への侵入を伴わない窃盗で、かつ自動車、オートバイ、自転車に関するものを除く窃盗を適用した場合の回帰式の一例である。
N=101.62−0.0320X−0.576Y+6.87 (4)
図22には、(4)式による回帰結果が示されている。同図からも明らかなように、当該犯罪種別の犯罪発生密度と非匿名レベル値及び監視レベル値とは高い相関を示すと共に、(4)式によって当該犯罪種別の犯罪発生密度を高精度に算出することができる。
なお、請求項3記載の発明は、請求項4に記載の発明のように、前記区分エリアを町丁目とすることが好ましい。これにより、犯罪発生確率を町丁目単位で導出することができる。
ところで、犯罪は、その種類に応じて発生する地域に偏りがあるものである。
そこで、本発明の前記犯罪発生確率導出手段は、請求項5に記載の発明のように、犯罪を予め定められた種類別に分類した各分類グループ別に前記犯罪発生確率を導出することが好ましい。これにより、犯罪発生確率を、より高精度なものとして導出することができ、この結果として、犯罪リスクを、より高精度に評価することができる。
特に、請求項5記載の発明は、請求項6に記載の発明のように、前記予め定められた種類に、粗暴犯、建物への侵入を伴う窃盗、及び建物への侵入を伴わない窃盗の3種類を含めることが好ましい。これにより、これらの犯罪の種類別に、高精度な犯罪発生確率を導出することができる。
また、本発明は、請求項7に記載の発明のように、前記脆弱レベル値導出手段が、前記資産の保管位置を中心位置とした複数段階の警戒線を想定し、前記検出手段によって不審者が検出された位置に対応する警戒線を基準として前記第2の脆弱レベル値を導出するものとしてもよい。これにより、より高精度に第2の脆弱レベル値を導出することができる結果、より高精度に犯罪リスクを評価することができる。
特に、請求項7に記載の発明は、請求項8に記載の発明のように、前記警戒線が、前記建物の敷地内に至る境界線である第1警戒線と、前記建物の内部に至る境界線である第2警戒線と、前記資産が存在する部屋の室内に至る境界線である第3警戒線と、前記資産自身に至る境界線である第4警戒線と、の4つの警戒線の少なくとも1つを含むものとしてもよい。これにより、含めた警戒線を加味したものとして第2の脆弱レベル値を導出することができる。
また、請求項7又は請求項8に記載の発明は、請求項9に記載の発明のように、前記防犯に関する予め定められた条件が、各警戒線毎に構成されるものであり、前記脆弱レベル値導出手段が、前記第2の脆弱レベル値を、対応する警戒線に対応して構成される条件において、何れか1つが成立するのみで犯罪が成立する複数の条件については当該複数の条件に対する各充足レベルのうちの最高値を適用し、全てが成立した場合のみ犯罪が成立する複数の条件については当該複数の条件に対する各充足レベルを乗算して得られた値を適用したものとして導出するものとしてもよい。これにより、第2の脆弱レベル値を、より的確に導出することができる。
一方、上記目的を達成するために、請求項10記載の犯罪リスク評価プログラムは、評価対象とする資産が保管された建物の建設位置を示す位置情報を入力する入力ステップと、前記入力ステップによって入力された位置情報により示される建設位置における所定期間当たりの犯罪発生確率を、所定地域内における過去の犯罪発生状況を示す犯罪状況情報に基づいて導出する犯罪発生確率導出ステップと、前記建物の内部に侵入した不審者を検出する検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記建物全体の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における犯罪に対する脆弱性の高さを示す第1の脆弱レベル値をリアルタイムで連続的に導出し、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記建物の内部における当該不審者の検出位置から前記保管位置に至る侵入経路の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における前記不審者による犯罪に対する脆弱性の高さを示す第2の脆弱レベル値をリアルタイムで連続的に導出する脆弱レベル値導出ステップと、前記検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記犯罪発生確率及び前記第1の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する犯罪によるリスクの高さを示す第1の犯罪リスク評価値をリアルタイムで連続的に導出し、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記犯罪発生確率及び前記第2の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する前記不審者による犯罪によるリスクの高さを示す第2の犯罪リスク評価値をリアルタイムで連続的に導出する犯罪リスク評価値導出ステップと、前記検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記第1の犯罪リスク評価値に関する情報を表示手段によりリアルタイムで連続的に表示すると共に、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記第2の犯罪リスク評価値に関する情報を前記表示手段によりリアルタイムで連続的に表示する表示ステップと、をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記犯罪リスク評価値導出ステップは、Tを前記建物の内部に不審者が存在しないことを実際に確認した時刻を0(零)とした経過時間とし、N’を前記所定期間当たりの前記建物の敷地における犯罪発生頻度とし、F(t)をその時点の前記第1の脆弱レベル値とし、Fi(T)を第i警戒線と第(i+1)警戒線の間で不審者を確認した時点の前記第2の脆弱レベル値とし、A(T)をその時点の前記資産の価値としたとき、請求項1に係る演算式によって第1の犯罪リスク評価値L1及び第2の犯罪リスク評価値L2をリアルタイムで連続的に導出するものである。
従って、請求項10記載の犯罪リスク評価プログラムによれば、コンピュータに対して請求項1記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1記載の発明と同様に、建物の内部に保管された資産における犯罪に対するリスクの高さを、建物内部に不審者が侵入したか否かにかかわらず、リアルタイムで動的に評価することができる、という効果が得られる。
本発明によれば、評価対象とする資産が保管された建物の建設位置を示す位置情報を入力し、入力した位置情報により示される建設位置における所定期間当たりの犯罪発生確率を、所定地域内における過去の犯罪発生状況を示す犯罪状況情報に基づいて導出した後、前記建物の内部に侵入した不審者を検出する検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記建物全体の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における犯罪に対する脆弱性の高さを示す第1の脆弱レベル値を導出し、前記犯罪発生確率及び前記第1の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する犯罪によるリスクの高さを示す第1の犯罪リスク評価値をリアルタイムで連続的に導出する一方、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記建物の内部における当該不審者の検出位置から前記保管位置に至る侵入経路の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における前記不審者による犯罪に対する脆弱性の高さを示す第2の脆弱レベル値を導出し、前記犯罪発生確率及び前記第2の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する前記不審者による犯罪によるリスクの高さを示す第2の犯罪リスク評価値をリアルタイムで連続的に導出し、前記第1の犯罪リスク評価値に関する情報及び前記第2の犯罪リスク評価値に関する情報を表示手段によりリアルタイムで連続的に表示しているので、建物の内部に保管された資産における犯罪に対するリスクの高さを、建物内部に不審者が侵入したか否かにかかわらず、リアルタイムで動的に評価することができる、という効果が得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明が適用された犯罪リスク評価装置10の構成を説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10は、本装置の全体的な動作を制御する制御部12と、ユーザからの各種情報等の入力に使用するキーボード14及びマウス16と、本装置による処理結果や各種メニュー画面、メッセージ等を表示するディスプレイ18と、を含んで構成されている。すなわち、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10は、汎用のパーソナル・コンピュータにより構成されている。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10の電気系の要部構成を説明する。
同図に示すように、犯罪リスク評価装置10は、犯罪リスク評価装置10全体の動作を司るCPU(中央処理装置)22と、CPU22による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM24と、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM26と、各種情報を記憶するために用いられる記憶手段として機能するハードディスク28と、前述のキーボード14、マウス16、及びディスプレイ18と、外部に接続された装置等との間の各種情報の授受を司る外部インタフェース(I/F)30と、を備えており、これら各部はシステムバスBUSにより電気的に相互に接続されている。なお、外部インタフェース30には後述する各種センサ等が接続されている。
従って、CPU22は、RAM24、ROM26、及びハードディスク28に対するアクセス、キーボード14及びマウス16を介した各種情報の取得、ディスプレイ18に対する各種情報の表示、及び外部インタフェース30を介した各種センサによるセンシング状態の把握等を各々行うことができる。
図3には、犯罪リスク評価装置10に備えられたハードディスク28の主な記憶内容が模式的に示されている。同図に示すように、ハードディスク28には、各種データベースを記憶するためのデータベース領域DTと、各種処理を行うためのプログラムを記憶するためのプログラム領域PGとが設けられている。
また、データベース領域DTには、後述する侵入位置脆弱レベル導出処理プログラムや犯罪リスク評価処理プログラムの実行時に用いられるパラメータデータベースDT1、フォールトツリーデータベースDT2、脆弱レベル値データベースDT3、及び危険度関連情報データベースDT4が予め記憶されている。
本実施の形態に係るパラメータデータベースDT1は、図4に示すように、日本全国の町丁目が記憶されると共に、各町丁目に対応する前述した非匿名レベル値X及び監視レベル値Yが町丁目別に記憶されて構成されている。なお、本実施の形態に係るパラメータデータベースDT1では、非匿名レベル値Xにおいて適用する最寄駅までの距離として、対応する町丁目の中心位置から最寄駅までの距離を適用している。
ところで、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10では、フォールトツリー分析(Fault Tree Analysis)の手法を利用して評価対象とする建物の評価対象とする資産が保管された位置における脆弱性の高さを示す脆弱レベル値を導出し、これを適用して当該資産に対する犯罪リスクの評価を行っている。
フォールトツリーデータベースDT2は、この際の脆弱レベル値を導出する際に用いるものであり、一例として図5に模式的に示すように、建築物に対する犯罪に関係する予め定められた条件が、全てが成立した場合のみ犯罪が成立する複数の条件についてはAND結合子で結合し、何れか1つが成立するのみで犯罪が成立する複数の条件についてはOR結合子で結合した状態で、ツリー状の構造となるものとして構成されている。
なお、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10では、評価対象とする資産の保管位置を中心位置とした複数段階の警戒線を想定し、各警戒線を基準として脆弱レベル値を導出することができるものとされている。ここで、犯罪リスク評価装置10では、一例として図6に示すように、当該警戒線として、評価対象とする建物の敷地内に至る境界線である第1警戒線と、評価対象とする建物の建物内に至る境界線である第2警戒線と、犯罪の対象物(資産)が存在する部屋の室内に至る境界線である第3警戒線と、当該対象物自身に至る境界線である第4警戒線と、の4種類の警戒線を適用している。従って、本実施の形態に係るフォールトツリーデータベースDT2は、上記建築物に対する犯罪に関係する予め定められた条件が上記4種類の警戒線の各段階別にツリー状となるものとして構成されている。
図5に示したフォールトツリーデータベースDT2は、評価対象とする建物が図6に示したものである場合に対応するものであるが、このデータベースでは、例えば、第1警戒線内に不審者が侵入することのできる侵入可能部位として門M01、扉T01、及び柵S01の3箇所があり、これら3箇所に対応する犯罪に関する条件として、「門M01を通過」、「扉T01を通過」、及び「柵S01を通過」の3つの条件が存在し、これらの条件のうちの何れか1つの条件でも成立すれば不審者が第1警戒線内に侵入することができるので、これら3つの条件はOR結合子で結合されている。また、図6に示す建物の場合、第1警戒線内に不審者が侵入する、という条件と、扉T02を通過する、という条件の全てが成立した場合に第2警戒線内に不審者が侵入できるので、これら2つの条件はAND結合子で結合されている。更に、図6に示す建物の場合、第2警戒線内に不審者が侵入する、という条件と、扉T03を通過する、という条件(以下、「第1条件群」という。)の全てが成立した場合に第3警戒線内に不審者が侵入できるので、これら2つの条件もまたAND結合子で結合されている。
一方、図6に示す建物の場合、第1警戒線内に存在する不審者が第3警戒線内に侵入するためには、第1警戒線内に不審者が侵入する、という条件と、扉T04を通過する、という条件(以下、「第2条件群」という。)の全てが成立した場合や、第1警戒線内に不審者が侵入する、という条件と、窓W01を通過する、という条件(以下、「第3条件群」という。)の全てが成立した場合にも、第2警戒線内を通過することなく第3警戒線内に不審者が侵入できるので、これらの各々2つずつの条件もまた各々AND結合子で結合されている。
ここで、以上の第1条件群、第2条件群、及び第3条件群の何れかの条件群が1つでも成立した場合には不審者が第3警戒線内に侵入することができるため、これらの3つの条件群はOR結合子で結合されている。
一方、第3警戒線に侵入した不審者は、扉T05を通過することにより第4警戒線内に侵入することができるため、第3警戒線内に侵入する、という条件と、扉T05を通過する、という条件は、AND結合子で結合されている。
一方、本実施の形態に係る脆弱レベル値データベースDT3は、図7に示すように、上記4種類の警戒線の各々毎で、かつ対応する警戒線上に設けられている扉、門、柵等といった侵入可能部位毎に、対応する部位の脆弱性の高さ(通過しやすさ)を特定することのできる項目と、当該項目が成立した場合の当該部位の脆弱性の高さを示す脆弱レベル値とが記憶されたものとして構成されている。例えば、第3警戒線上に設けられた扉に関して、「常駐の警備員がいない」という項目が成立する場合には当該項目に関する脆弱レベル値として‘1.0’が適用されることになる。なお、本実施の形態に係る脆弱レベル値データベースDT3では、各項目の脆弱レベル値として、0以上1以下の範囲内の値で、かつ上記脆弱性の高さが高くなるほど大きくなる値を適用している。
また、本実施の形態に係る危険度関連情報データベースDT4は、図8に示すように、後述する犯罪リスク評価値の予め定められた複数段階(本実施の形態では、5段階)の範囲毎に、ランク、危険レベル、状況、及び対策が記憶されたものとして構成されている。
上記ランクは、犯罪リスク評価値が対応する犯罪リスク評価値の範囲内となっている場合の危険の度合を示す情報であり、本実施の形態に係る危険度関連情報データベースDT4では、0以上4以下の範囲の度合で、かつ危険の度合が大きくなるほど大きな値を適用している。
また、上記危険レベルは、犯罪リスク評価値が対応する犯罪リスク評価値の範囲内となっている場合の危険のレベルを端的な言葉で表現した情報であり、本実施の形態に係る危険度関連情報データベースDT4では、危険のレベル(危険の度合)が上がるに従って、「安全」、「やや危険」、「危険」、「かなり危険」、「非常に危険」の5種類の表現が適用されている。
また、上記状況は、犯罪リスク評価値が対応する犯罪リスク評価値の範囲内となっている場合に予測される不審者の状況を示す情報であり、さらに、上記対策は、犯罪リスク評価値が対応する犯罪リスク評価値の範囲内となっている場合に適用すべき対策を示す情報である。
例えば、犯罪リスク評価値が0以上0.25未満である場合、ランクは‘危険度0’で、危険レベルは‘安全’であり、予測される状況は‘不審者が存在する可能性が低い。または、ターゲット(資産)に近づくのが難しい。」’であり、その際の対策は‘不要’である。また、例えば、犯罪リスク評価値が0.5以上0.75未満である場合、ランクは‘危険度2’で、危険レベルは‘危険’であり、予測される状況は‘不審者がターゲットの直前の警戒線に迫っている可能性が高い。」’であり、その際の対策は‘ターゲットの周囲に警報を発報。警備員が直前の警戒線に直行して守備する。’である。
ところで、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10では、次の表1に示される罪種・手口の分類に基づき、Aグループ(建物への侵入を伴う窃盗)、Bグループ(建物への侵入を伴わない窃盗で、かつ自動車を対象とした窃盗)、B’グループ(建物への侵入を伴わない窃盗で、かつオートバイ及び自転車を対象とした窃盗)、Cグループ(建物への侵入を伴わない窃盗で、かつ自動車、オートバイ、自転車を対象とした窃盗を除く窃盗)、及びDグループ(粗暴犯)の5種類のジャンル(分類グループ)別に犯罪発生確率を算出し、適用するものとして構成されている。なお、表1では、当該5種類の犯罪のジャンルと警戒線との関係の一例も示されている。
そして、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10では、犯罪のジャンル別の犯罪発生確率を算出する回帰式(一例として、(3)式及び(4)式の回帰式)が、前述した回帰分析の手順に従って予め導出され、ハードディスク28の所定領域に記憶されている。
ところで、本実施の形態に係る評価対象とする建物には、評価対象とする資産に至る経路上に存在する所定の侵入可能部位に対して各種センサが設けられている。また、本実施の形態では、当該建物に対する予め定められた正規の入場者に対して所定のID(Identification)情報が記憶されたICタグが発行されると共に、所定の侵入可能部位の近傍に対して当該ICタグの記憶情報を読み取るためのタグリーダ及び人の存在を検出する人感センサを有する入場検出装置が設けられる。
図6には、以上の各種センサ、入場検出装置の評価対象とする建物への設置状態の一例が示されている。同図に示す例では、正規の入場者に対してICタグ60が発行され、門M01の近傍に入場検出装置62が設置されている。また、各扉に対して当該扉をこじ開けたことを検出する扉用こじ開けセンサ64が設けられ、窓W01に対して当該窓を破壊したことを検出する窓破壊センサ68が設けられ、更に、柵S01に対して当該柵を強制的に通過したことを検出する振動センサ80が設けられている。
そして、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10には、これらのセンサ及び入場検出装置が外部インタフェース30を介して電気的に接続されており、犯罪リスク評価装置10は、各センサ及び入場検出装置による検出結果を示す情報を取得することができる。
また、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10は、接続されている各センサ及び入場検出装置の設置位置を認識することができるものとされており、各センサ及び入場検出装置の位置から不審者の位置を特定することができる。
次に、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10の作用を説明する。
まず、図9を参照して、評価対象とする建物(以下、「評価対象建物」という。)の評価対象とする資産(以下、「評価対象資産」という。)に至る通過可能部位毎の脆弱レベル値を導出する侵入位置脆弱レベル導出処理を実行する際の犯罪リスク評価装置10の作用を説明する。なお、図9は、ユーザによりキーボード14、マウス16の操作によって当該侵入位置脆弱レベル導出処理の実行指示が入力された際にCPU22により実行される侵入位置脆弱レベル導出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはハードディスク28のプログラム領域PGに予め記憶されている。
まず、同図のステップ100では、ハードディスク28から脆弱レベル値データベースDT3を読み出し、当該データベースの記憶内容に基づいて、予め定められたフォーマットとされた対応項目入力画面を構成してディスプレイ18により表示し、次のステップ102にて所定情報の入力待ちを行う。
図10には、本実施の形態に係る対応項目入力画面の表示状態が示されている。同図に示すように、当該画面では、警戒線の種類毎で、かつ対応する警戒線上に設けられている扉、門、柵等といった侵入可能部位毎に、対応する部位の脆弱性の高さ(通過しやすさ)を特定することのできる項目が、ユーザによって指定された際にチェック・マークが付される矩形枠と共に表示される。同図に示すような対応項目入力画面がディスプレイ18に表示されると、ユーザは、評価対象建物に該当する項目の表示領域か、又は当該項目に対応する矩形枠をマウス16にてポインティング指定した後、当該画面の最下部に表示されている「終了」ボタンをマウス16にてポインティング指定する。これに応じて、上記ステップ102が肯定判定となってステップ104に移行する。
ステップ104では、対応項目入力画面上でユーザによって指定された項目に基づいて、評価対象建物の通過可能部位毎の脆弱レベル値を演算する。なお、ここでは、当該演算を次のように行う。
まず、ユーザによって指定された全ての項目に対応する脆弱レベル値を、読み出した脆弱レベル値データベースDT3から特定する。
次に、ハードディスク28からフォールトツリーデータベースDT2を読み出し、特定した各項目に対応する脆弱レベル値を、対応する門、扉等の通過可能部位に割り当て、割り当てた脆弱レベル値の合計値を通過可能部位毎に演算する。
この演算により、評価対象建物が図6に示されるものであり、フォールトツリーデータベースDT2が図5に示されるものである場合には、一例として図11に模式的に示すように通過可能部位毎の脆弱レベル値が導出される。図11に示す例では、例えば、第1警戒線上に存在する扉T01の脆弱レベル値として‘0.5’が、第2警戒線上に存在する扉T02の脆弱レベル値として‘1.0’が、各々導出されたことが示されている。
次のステップ106では、上記ステップ104の処理によって導出された通過可能部位毎の脆弱レベル値をハードディスク28の所定領域に記憶し、その後に本侵入位置脆弱レベル導出処理プログラムを終了する。
次に、図12を参照して、犯罪リスクの評価を行う犯罪リスク評価処理を実行する際の犯罪リスク評価装置10の作用を説明する。なお、図12は、ユーザによりキーボード14、マウス16の操作によって犯罪リスク評価処理の実行指示が入力された際にCPU22により実行される犯罪リスク評価処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムもハードディスク28のプログラム領域PGに予め記憶されている。
まず、同図のステップ200では、ユーザに対して評価条件を入力させるための評価条件入力画面をディスプレイ18に表示し、次のステップ202にて所定情報の入力待ちを行う。
図13には、本実施の形態に係る評価条件入力画面の表示状態が示されている。同図に示すように、当該評価条件入力画面では、評価対象とする犯罪の種別(ジャンル)を入力するための矩形枠が表示される。また、当該評価条件入力画面では、評価対象建物の建設位置、アセット、及び敷地面積の各項目を入力するための矩形枠が表示される。なお、上記アセットは、犯罪の発生によって被害を被る、個人情報、顧客情報等の情報資産を含め、人、物、財物等の財産(評価対象資産)の価値を示すものであり、第4警戒線に存在するものについて入力する。同図に示すような評価条件入力画面がディスプレイ18に表示されると、ユーザは、これらの各項目をキーボード14及びマウス16を用いて入力した後、当該画面の最下部に表示されている「終了」ボタンをマウス16にてポインティング指定する。これに応じて、上記ステップ202が肯定判定となってステップ204に移行する。
ステップ204では、評価条件入力画面上でユーザによって入力された建設位置、犯罪種別の各情報に基づいて犯罪発生確率(件数/(ha・年))を演算する。なお、ここでは、当該演算を次のように行う。
まず、ユーザによって入力された建設位置に対応する非匿名レベル値X及び監視レベル値YをパラメータデータベースDT1から読み出すと共に、ユーザによって指定された犯罪の種別に対応する犯罪発生確率の回帰式をハードディスク28から読み出す。
そして、読み出した回帰式に対して、読み出した非匿名レベル値X及び監視レベル値Yを代入することによって犯罪発生確率を算出する。これにより、評価対象建物が建設されている位置における、指定した犯罪種別に対応する犯罪発生確率を得ることができる。
次のステップ206では、ハードディスク28からフォールトツリーデータベースDT2と、上記侵入位置脆弱レベル導出処理プログラムによって記憶された通過可能部位毎の脆弱レベル値を読み出す。
次のステップ208では、評価対象建物の外部、すなわち第1警戒線の外側から評価対象資産の保管位置に至る全ての警戒線内の脆弱レベル値の最大値を第1の脆弱レベル値として導出し、次のステップ210では、不審者の侵入を検出するために評価対象建物に設けられた何れかのセンサ又は入場検出装置により不審者の侵入が検出されたか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ212に移行する。
ステップ212では、Tを評価対象建物の内部に不審者が存在しないことを実際に確認した時刻を0(零)とした経過時間とし、N’を所定期間当たり(本実施の形態では、1時間当たり)の評価対象建物の敷地における犯罪発生頻度とし、F(t)を上記第1の脆弱レベル値とし、A(T)を評価対象資産の価値として、次の(5)式により第1の犯罪リスク評価値L1を導出し、その後にステップ218に移行する。
なお、犯罪発生密度N’(件数/時間)は、次の(6)式により導出することができる。ここで、Nは上記ステップ204の処理によって得られた犯罪発生確率であり、Sは敷地面積(ha)である。
一方、上記ステップ210の処理において肯定判定となった場合はステップ214に移行し、上記ステップ210の処理において不審者を検出したセンサ又は入場検出装置の位置に応じて特定される不審者の位置から、評価対象とする資産の保管位置に至る全ての警戒線内の脆弱レベル値の最大値を第2の脆弱レベル値として導出し、次のステップ216では、Fi(T)を上記第2の脆弱レベル値として、次の(7)式により第2の犯罪リスク評価値L2を導出し、その後にステップ218に移行する。
なお、上記ステップ208の処理による第1の脆弱レベル値F(t)の導出、及び上記ステップ214の処理による第2の脆弱レベル値Fi(T)の導出は以下のように行う。
まず、上記ステップ206の処理によって読み出した通過可能部位毎の脆弱レベル値を用いて、第1の脆弱レベル値F(t)を導出する場合は、評価対象建物の外部(第1警戒線の外側)から評価対象資産の保管位置に至る全ての警戒線における脆弱レベル値を、第2の脆弱レベル値Fi(T)を導出する場合は、検出された不審者の位置から評価対象とする資産の保管位置に至る全ての警戒線における脆弱レベル値を、各々、OR結合子で結合された複数の条件については、各条件に対応する脆弱レベル値の最大値を適用すると共に、AND結合子で結合された複数の条件については、各条件に対応する脆弱レベル値を乗算して適用することにより導出する。すなわち、何れか1つが成立するのみで犯罪が成立する複数の条件については当該複数の条件に対する各充足レベルのうちの最高値を適用し、全てが成立した場合のみ犯罪が成立する複数の条件については当該複数の条件に対する各充足レベルを乗算して得られた値を適用している。
例えば、第2の脆弱レベル値Fi(T)を導出する場合には、一例として図14に示されるように、検出された不審者の位置に対応する警戒線(同図に示す例では、第2警戒線)と、評価対象資産の保管位置を基準として当該警戒線より外側に位置する警戒線(同図に示す例では、第1警戒線)を基準位置(同図に示す例では、‘★’が付された位置)として、当該基準位置における脆弱レベル値として最大値である‘1.0’を適用し、当該基準位置から評価対象資産の保管位置に至る全ての警戒線における脆弱レベル値を導出する。このため、一例として図14に示される‘×’が付された部分の脆弱レベル値や結合子は、この処理において用いられることはない。
なお、図14に示されるフォールトツリーにおいて、第2警戒線の下流側(外側)に接続された第1警戒線が処理の対象外とされているのは、当該第2警戒線の脆弱レベル値を最大値である‘1.0’とするために、それより下流側に接続された警戒線については、脆弱レベル値を導出する上で意味を持たないためである。
この処理により、一例として図15に示されるように、各警戒線内の脆弱レベル値の最大値が導出される。同図に示す例では、第3警戒線内における脆弱レベル値として‘0.5’が、第4警戒線内における脆弱レベル値として‘0.25’が各々導出されたことが示されている。
そして、以上の各通過可能部位と各警戒線内の脆弱レベル値の最大値の導出により、一例として図15に示されるように、第4警戒線内に至る最も弱い侵入経路(最も脆弱レベル値が高い経路であり、以下、「最弱経路」という。)を特定することができる。
なお、第1の脆弱レベル値F(t)は、不審者が第1警戒線の外側に存在するものとして上記第2の脆弱レベル値Fi(T)と同様の処理により導出することができる。
一方、上記(5)式及び(7)式により各犯罪リスク評価値L1,L2を演算するために適用されている経過時間Tは、評価対象建物の内部に不審者が存在しないことを実際に確認した時刻を0(零)とした経過時間であるが、この際の評価対象建物の内部に不審者が存在しないことの実際の確認方法としては、警備担当者等が評価対象建物を巡回して不審者が存在しないことを確認する方法や、評価対象建物の各所に監視カメラを設けておき、当該監視カメラによる撮影画像を警備担当者等が目視にて確認する方法等、実際に評価対象建物に不審者が存在しないことを確認するあらゆる方法を適用することができる。
そして、本実施の形態に係る犯罪リスク評価装置10では、CPU22により、(5)式及び(7)式における積分部分の値(以下、「積分値」という。)がハードディスク28の所定領域に記憶される一方、上記のように評価対象建物の内部に不審者が存在しないことが実際に確認される度に、ユーザによる指示入力に応じて当該積分値がクリアされる。
ステップ218では、ハードディスク28から危険度関連情報データベースDT4を読み出し、当該データベースの情報と、演算した第1の犯罪リスク評価値L1または第2の犯罪リスク評価値L2とを用いて、予め定められたフォーマットとされた評価結果画面を構成してディスプレイ18により表示する。
図16には、上記ステップ218の処理によりディスプレイ18に表示される評価結果画面の表示状態が示されている。同図に示すように、当該画面では、演算した犯罪リスク評価値が属する範囲に対応するランク(危険度)が表示されると共に、当該範囲に対応する状況及び対策が表示される。従って、当該評価結果画面を参照することにより、ユーザは、その時点における評価対象資産に対する犯罪による危険の度合いや、その状況及び対策を、容易かつリアルタイムで把握することができる。
次のステップ220では、本犯罪リスク評価処理プログラムを終了するタイミングが到来したか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ208に戻る一方、肯定判定となった時点で本犯罪リスク評価処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る犯罪リスク評価処理プログラムでは、上記犯罪リスク評価処理プログラムを終了するタイミングとして、ユーザにより当該終了を指示する指示入力が行われたタイミングを適用しているが、これに限らず、例えば、予め定められた時刻となったタイミング等、他のタイミングを適用することができることは言うまでもない。
図17には、本実施の形態に係る犯罪リスク評価処理プログラムにおいて導出される犯罪リスク評価値の時間経過に伴う推移の一例が示されている。
図17(a)に示されるように、ユーザによって上記積分値がクリアされない場合には、評価対象建物の内部における不審者の有無にかかわらず、犯罪リスク評価値が時間の経過に伴って除々に増加していく結果、危険度が除々に増加していく。従って、当該危険度の増加に伴い、一例として図16に示した評価結果画面により表示される対策のレベルが増加していくため、犯罪に対するリスクが高まっていることに対する注意を喚起することができる。これに対し、ユーザによって上記積分値が比較的短期間(一例として、毎日)の間にクリアされる場合には、その都度、犯罪リスク評価値もクリアされるため、不要な注意の喚起を回避することができる。
一方、評価対象建物の内部に不審者が検出(顕在化)された場合、一例として図17(b)及び図17(c)に示されるように、犯罪リスク評価値が一気に上昇するため、評価結果画面においても、それまでより著しく高いレベルの対策が表示される結果、犯罪に対するリスクが非常に高まっていることに対する注意を、より高いレベルで喚起することができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、評価対象とする資産が保管された建物の建設位置を示す位置情報を入力し、入力した位置情報により示される建設位置における所定期間当たりの犯罪発生確率を、所定地域内における過去の犯罪発生状況を示す犯罪状況情報に基づいて導出した後、前記建物の内部に侵入した不審者を検出する検出手段によって不審者が検出されていない場合に、前記建物全体の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における犯罪に対する脆弱性の高さを示す第1の脆弱レベル値を導出し、前記犯罪発生確率及び前記第1の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する犯罪によるリスクの高さを示す第1の犯罪リスク評価値をリアルタイムで連続的に導出する一方、前記検出手段によって不審者が検出された場合に、前記建物の内部における当該不審者の検出位置から前記保管位置に至る侵入経路の防犯に関する予め定められた条件に基づいて、前記資産の保管位置に至る侵入経路における前記不審者による犯罪に対する脆弱性の高さを示す第2の脆弱レベル値を導出し、前記犯罪発生確率及び前記第2の脆弱レベル値に基づいて、前記資産に対する前記不審者による犯罪によるリスクの高さを示す第2の犯罪リスク評価値をリアルタイムで連続的に導出し、前記第1の犯罪リスク評価値に関する情報及び前記第2の犯罪リスク評価値に関する情報を表示手段によりリアルタイムで連続的に表示しているので、建物の内部に保管された資産における犯罪に対するリスクの高さを、建物内部に不審者が侵入したか否かにかかわらず、リアルタイムで動的に評価することができる。
また、本実施の形態では、犯罪の発生に相関が高い地域特性を示すものとして予め定められた複数のパラメータのうちの1つ又は複数を組み合わせて得られたパラメータを説明変数とし、前記犯罪状況情報を被説明変数とした回帰分析によって、前記犯罪状況情報によって示される犯罪状況に最もよく回帰することのできるものとして導出された回帰式を記憶手段によって予め記憶しておき、前記回帰式を前記記憶手段から読み出し、当該回帰式を用いて前記犯罪発生確率を導出しているので、犯罪発生確率を高精度なものとして導出することができ、この結果として、犯罪リスクを、より高精度に評価することができる。
特に、本実施の形態では、前記回帰式における説明変数を、前記建設位置から最寄駅までの距離を前記建設位置が含まれる予め定められた区分エリア内の事業所数で除算して得られた第1の値と、前記区分エリア内の人口を前記区分エリア内の従業者数で除算して得られた第2の値と、の2つの値としているので、犯罪リスクの評価を、より高精度に行うことができる。
また、本実施の形態では、前記区分エリアを町丁目としているので、犯罪発生確率を町丁目単位で導出することができる。
また、本実施の形態では、犯罪を予め定められた種類別に分類した各分類グループ別に前記犯罪発生確率を導出しているので、犯罪発生確率を、より高精度なものとして導出することができ、この結果として、犯罪リスクを、より高精度に評価することができる。
特に、本実施の形態では、前記予め定められた種類に、粗暴犯、建物への侵入を伴う窃盗、及び建物への侵入を伴わない窃盗の3種類を含めているので、これらの犯罪の種類別に、高精度な犯罪発生確率を導出することができる。
また、本実施の形態では、前記資産の保管位置を中心位置とした複数段階の警戒線を想定し、前記検出手段によって不審者が検出された位置に対応する警戒線を基準として前記第2の脆弱レベル値を導出しているので、より高精度に第2の脆弱レベル値を導出することができる結果、より高精度に犯罪リスクを評価することができる。
特に、本実施の形態では、前記警戒線が、前記建物の敷地内に至る境界線である第1警戒線と、前記建物の内部に至る境界線である第2警戒線と、前記資産が存在する部屋の室内に至る境界線である第3警戒線と、前記資産自身に至る境界線である第4警戒線と、の4つの警戒線を含んでいるので、これらの警戒線を加味したものとして第2の脆弱レベル値を導出することができる。
また、本実施の形態では、前記防犯に関する予め定められた条件が、各警戒線毎に構成されるものであり、前記第2の脆弱レベル値を、対応する警戒線に対応して構成される条件において、何れか1つが成立するのみで犯罪が成立する複数の条件については当該複数の条件に対する各充足レベルのうちの最高値を適用し、全てが成立した場合のみ犯罪が成立する複数の条件については当該複数の条件に対する各充足レベルを乗算して得られた値を適用したものとして導出しているので、第2の脆弱レベル値を、より的確に導出することができる。
さらに、本実施の形態では、上記(5)式及び(7)式によって第1の犯罪リスク評価値L1及び第2の犯罪リスク評価値L2をリアルタイムで連続的に導出しているので、犯罪リスク評価値を的確に導出することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
例えば、上記実施の形態では、各種データベースDT1〜DT4が予め記憶されたハードディスク28を内蔵した単体のパーソナル・コンピュータによって本発明を実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、当該ハードディスク28を内蔵しないパーソナル・コンピュータに、各データベースDT1〜DT4が予め記憶された記憶媒体又は記憶装置が設けられた外部装置を、通信回線を介してネットワーク接続することにより、パーソナル・コンピュータと外部装置とによって本発明を実現する形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、評価対象資産が1つのみの場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、評価対象資産が複数存在する形態とすることもできる。この場合、(5)式及び(7)式を、各評価対象資産について導出するものとして適用することになる。この場合、複数の資産について犯罪に対するリスクの高さを評価することができるため、上記実施の形態に比較して、利便性を向上させることができる。
また、上記実施の形態では、一人の不審者のみに対応する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の不審者に対応する形態とすることもできる。この場合、(5)式及び(7)式を、最も評価対象資産に近い位置に存在する不審者について導出するものとして適用することになる。この場合、複数の不審者について犯罪に対するリスクの高さを評価することができるため、上記実施の形態に比較して、利便性を向上させることができる。
また、上記実施の形態では、評価対象資産の価値を、予めユーザによって評価条件入力画面上で入力されたものを固定的に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、評価対象資産の価値の変動に応じて、犯罪リスク評価値を演算する際の最新の価値を適用する形態とすることもできる。この場合の上記最新の価値の取得形態としては、ユーザにより各種入力手段を介して入力させる形態の他、評価対象資産の価値を予測等によりリアルタイムで自動的に取得する形態等を例示することができる。この場合、上記実施の形態に比較して、より的確に犯罪リスク評価値を導出することができる。
また、上記実施の形態では、犯罪リスク評価処理プログラムによる導出結果等を、ディスプレイ18を用いた表示によって提示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図示しないプリンタ等を用いた印刷や、図示しないスピーカ等を用いた音声によって提示する形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、扉、窓等の各侵入可能部位における脆弱レベル値の導出を脆弱レベル値データベースDT3の登録情報に基づいて行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として、本出願人による特開2006−92311号公報に記載の技術と同様に、これらの脆弱レベル値についても各警戒線内の脆弱レベル値の最大値と同様にフォールトツリー分析を利用して導出する形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、(5)式及び(7)式により犯罪リスク評価値を算出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、当該(5)式及び(7)式を変形したもの等、他の演算式を適用して犯罪リスク評価値を算出する形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、評価対象とする資産の保管位置が固定されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、当該資産に対して、当該資産の位置を検知することのできる位置検知手段(一例として、GPS(Global Positioning System)信号を受信して解析することにより現在位置を検出するGPS受信機等)を設けておき、当該位置検知手段によって検知された位置が評価対象とする資産が保管されている位置であるものとすることにより、評価対象とする資産の位置を動的に適用する形態とすることもできる。この場合、当該資産の位置を自動的に設定することができるので、利便性を向上させることができる。
また、上記実施の形態では、評価対象建物の評価対象資産に至る通過可能部位毎の脆弱レベル値を事前に導出しておき、これを適用して第1の脆弱レベル値を導出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記通過可能部位に対して当該通過可能部位の脆弱性の高さ(通過しやすさ)を特定することのできる物理量を検出するセンサを設けておき、当該センサによる検出結果に基づいてリアルタイムで連続的に上記脆弱レベル値を導出し、これを適用して第1の脆弱レベル値をリアルタイムで連続的に導出する形態とすることもできる。なお、この場合の上記センサとしては、扉の開閉や施錠状態を検出するセンサ、従業員や警備員の有無を検出するためのカメラ、照明器による照度を検出するためのセンサ等を例示することができる。この場合、第1の脆弱レベル値を実際の状況に応じたものとすることができるので、より高精度にリスクの高さを評価することができる。
その他、上記実施の形態で説明した犯罪リスク評価装置10の構成(図1〜図3参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、上記実施の形態で示した侵入位置脆弱レベル導出処理プログラム及び犯罪リスク評価処理プログラムの処理の流れ(図9,図12参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、上記実施の形態で示した対応項目入力画面、評価条件入力画面、及び評価結果画面の構成(図10,図13,図16参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。例えば、第1の犯罪リスク評価値L1及び第2の犯罪リスク評価値L2を時系列順に逐次記憶しておき、これを用いて、図17に示した時間経過に伴う犯罪リスク評価値の変化を示すグラフを評価結果画面として表示する形態とすることもできる。また、一例として図18に示すように、評価対象建物の平面図に対し、不審者の位置と、当該不審者による評価対象資産の保管位置に至る最弱経路を評価結果画面として表示する形態とすることもできる。
更に、上記実施の形態で示した各種データベースの構成(図4,図5,図7,図8参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。