JP5076913B2 - 書類管理システム - Google Patents

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本発明は、RFIDタグを使った書類、郵便書留などの管理に関するものであり、RFIDタグが貼られた書類、郵便書留などを孤立状態または複数積層状態のいずれの状態においても確実に非接触でデータの読み書きをする書類管理システムに関する。
現在、特許文献1のように、個人情報が記載された各種申込書、企業内の稟議書、保管期限を有する書類、医療カルテなどの書類に、直接または間接的にRFIDタグを貼り付けてコンピューター管理することが一般的になりつつある。従来、これらの書類の管理では紛失、混入などの問題を抱えており、その改善策の一つがRFIDタグによる管理であり、RFIDタグが持つトレーサビリティの能力を利用して対象書類の追跡が可能となった。
以下に公知文献を記す。
特開2001−114405号公報
しかし、現状では、13.56MHzの周波数を使ったISO15693規格の一般的なRFIDタグを書類に貼り付けた場合、RFIDタグに対するデータの読み取りは一枚一枚行っており、複数積層した状態での一括読み取りは後述の問題から行っていないのが現状である。すなわち、前記RFIDタグは、例えば1〜5mmの間隔で50枚、100枚といった複数積層状態でのデータの読み取りができない。その要因としてはRFIDタグ同士の重なりにある。RFIDタグ同士が接近した状態で置かれるとそのアンテナ同士が電磁結合することで共振周波数がずれてしまい、共振作用によって電力を供給されて稼動しているRFIDタグのICチップにおいて、その影響を強く受けたRFIDタグのICチップでは電力供給が得られなく稼動できない状態になってしまう。よって、外部の読み取り装置からの問い合わせに対して答えられない状況となっている。
このため、アンテナコイルのアンテナデザインを一枚一枚異なる形状にすることで、アンテナ同士の電磁結合を抑え共振周波数のずれを最小にして前述の問題を解決した商品もあるが、画一的なアンテナ形状ではないため生産性に問題がありコストを下げることできず、またアンテナデザインの自由度が下がってしまう小型化には向かないという欠点もある。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、RFIDタグの貼られた書類などを1〜5mmの間隔で50枚、100枚といった複数積層した状態でも安定してデータの読み書きができ、また画一的なアンテナ形状のRFIDタグが利用でき、かつアンテナコイルの小型化も可能な技術を提供することにある。
本発明は、この課題を解決するために、ICチップとアンテナコイル部を備えるRFIDタグが書類包に貼られており、前記RFIDタグが装置アンテナと非接触で電磁誘導で結合することで読み取り装置とデータ通信を行う書類管理システムであって、前記書類包の一辺を書類設置面に突き当てて設置し、前記書類設置面に軸が平行なコイル形状の前記装置アンテナを前記書類設置面の下に設置し、前記書類包の前記一辺付近に、前記アンテナコイル部を設置し、前記アンテナコイル部を、前記一辺から遠い側から前記一辺側まで30%以上90%以下の範囲で、磁性材料層の間に金属薄膜層が設置された層構成の相互干渉抑制部で覆い、前記書類包を前記書類設置面上に複数密着して配置し、前記書類包に貼り付けた前記RFIDタグの間隔を1mm以下にし、隣接する前記書類包のRFIDタグのアンテナコイルの開口面に垂直な軸同士が重なり合うようにしたことを特徴とする書類管理システムである。
本発明は以上の構成により、RFIDタグの貼られた書類などを1〜5mmの間隔で50枚、100枚といった複数積層した状態でも安定してデータの読み書きができる効果があり、また画一的なアンテナ形状のRFIDタグが利用でき、かつアンテナコイルの小型化も実現できる効果がある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に本発明の一実施例である書類管理システムの外観斜視図を示し、図2は、本発明の機能を説明するために図1の一部分を抜き出して描いた透視図である。図1に示すように、書類または書類が入ったフォルダから成る書類包1が積層され、書類包1には、アンテナコイル5を有するRFIDタグ4が貼られている。この書類包1は、図1および図2に示すように、書類設置面3aに書類包み1の一辺を突き当てて、書類包1を書類設置面3aに垂直に立てて置く。その書類1又は書類1が入ったホルダに貼られたRFIDタグ4のアンテナコイル5の開口面に垂直な方向の軸を左右方向を向かせ、そのアンテナコイル5の軸と平行に左右方向を向く軸、すなわちコイルの軸が書類設置面3aに平行な装置アンテナ3を、書類設置面3aの下に多巻き型長方形コイル形状に設置する。この装置アンテナ3は書類設置面3aを有する書類設置台の中に設置して隠しても良い。その装置アンテナ3にリーダーライター装置2を電気接続し、リーダーライター装置2が、装置アンテナ3とそれに非接触なRFIDタグ4のアンテナコイル5との電磁誘導による電磁結合7を利用して、積層状態にある書類包1のRFIDタグ情報を読み込むようにしたシステムである。
図2に示すように、書類包1の下部に書類包1の下辺の長さ程度の長さの長方形のアンテナコイル5を有するRFIDタグ4が貼り付けられ、RFIDタグ4のアンテナコイル5の上部には後述する相互干渉抑制部6が貼り付けられている。リーダーライター装置2には装置アンテナ3が接続されており、装置アンテナ3は、図2に示す様に、図2の、書類設置面3aの下に設置され、軸が書類設置面3a方向を向いた多巻き型コイルから成る。この多巻き型コイルは、図2のように、書類設置面3aの奥行き方向に平行な長辺と、書類設置面3aに垂直方向の短辺を持つ長方形のコイルである。図2に示すように、書類包1に設置するRFIDタグ4のアンテナコイル5は、書類設置面3aの下の装置アンテナ3に近づけて強く電磁結合7させるために書類包1の下部に設置する。すなわち、書類設置面3aに突き当てる書類包1の一辺側のアンテナコイル5を装置アンテナ3のコイルの長辺に平行に近接させて設置し、そのアンテナコイル5と装置アンテナ3の電磁誘導の電磁結合7により、そのRFIDタグ4とリーダーライター装置2とデータ通信をおこなう。
装置アンテナ3の上の書類設置面3aに書類包1を置く構造にすることで、書類包1の自重(重力)を利用し、RFIDタグ4のアンテナコイル5が装置アンテナ3に近接する位置に自然の配置されるようにする。また、RFIDタグ4のアンテナコイル5は、書類設置面3aの下の長方形の多巻き型コイル状の装置アンテナ3の上辺と平行する長さを長くするために、書類包み1の下辺の長さ程度の長さを有して図2の奥行き方向に長く、上下方向には短い長方形状に形成する。なお、図には示さないが、書類包1と書類設置面3aと装置アンテナ3との相対的位置関係を同じにして全体を回転させて配向させた構造にしても良い。例えば、装置アンテナ3及び書類設置面3aを書類包1の後方に立てて置き
、ただし、書類設置面3aの下側を手前に引き出し、書類設置面3aの上側を奥に引っ込めて書類設置面3aを垂直方向から傾けて書類包1の一辺を突き当てて置き、その書類包1の下側の他の辺を、書類設置面3aに垂直な支え板で、手前が持ち上がり奥が下がった滑り台状の支え板に当てて下から支える構成にしても良い。
図3は、RFIDタグ4の平面図であり、図4は、図3のA部分の断面図である。また図5は、RFIDタグ4を貼った書類包1の群を、図3のA部の軸方向から観察した断面図である。図3から図5のように、RFIDタグ4は、基材9と、その上面にアルミニウム、銅などの金属薄膜をエッチング処理して形成したアンテナコイル5を有し、そのアンテナコイル5にはICチップ8が異方性導電接着剤で加熱加圧して実装されている。基材9の裏面には、そのRFIDタグ4を書類包1に接着するための接着層14が設けられている。そして、アンテナコイル5の、書類設置面3aに突き当てた書類包1の一辺から遠い側、すなわち書類包1の上方側の部分から書類設置面3a側までのコイルの開口面の面積の半分を覆うように相互干渉抑制部6を貼り付ける。
相互干渉抑制部6は、基材9とアンテナコイル5の上面に接着層13により、基材9側から順に、磁性材料層12、金属薄膜層11、磁性材料層10の順に貼り付けられた、磁性材料層12と10の間に金属薄膜層11が接着層13で接着されて設置された多層構成の構造体である。
従来、RFIDタグ4が貼り付けられた書類包1が重ねられると、隣接する書類包1のアンテナコイル5の開口面に垂直な軸同士が重なり合って、アンテナコイル5同士が強く電磁結合21することでRFIDタグ4のアンテナコイル5の共振周波数がずれてしまう。そのため、RFIDタグ4を装置アンテナ3の発生する電磁界に共振させることで装置アンテナ3から電力を供給されて稼動しているRFIDタグ4に電力が供給されず、そのようにアンテナコイル5の共振周波数がずれたRFIDタグ4ではICチップ8が稼動できない状態になってしまう。
次に、本発明の課題の解決手段である相互干渉抑制部6の作用について説明する。金属薄膜層11は、隣接するアンテナコイル5同士の電磁結合21を発生する磁界を遮断する層であり、この層によってRFIDタグ4のアンテナコイル5の共振周波数がずれることが抑えられる。
RFIDタグ4のアンテナコイル5に、そのアンテナコイル5を跨ぐようにして金属板等が密着して置かれると、コイル電流が流れた場合、金属板に渦電流が発生し、この渦電流により生じる反磁界によってアンテナコイル5内に流れる磁界電流は著しく減衰される。一方、装置アンテナ3から、装置アンテナ3の磁界変動が装置アンテナ3とアンテナコイル5との電磁結合7によりアンテナコイル5に電流を誘導する。金属薄膜層11よりも内側の磁性材料層12は、装置アンテナ3からの誘導電流が隣接する金属薄膜層11に渦電流を発生させて誘導電流が減衰されることを防ぐ効果がある。金属薄膜層11に接着層13を介して設置した最外層の磁性材料層10は、RFIDタグ4が積層されて置かれた時、隣のRFIDタグ4のアンテナコイル5と隣接する位置関係にあり、隣のRFIDタグ4のアンテナコイル5の電流が、このRFIDタグの金属薄膜層11により渦電流を発生して減衰することを防ぎ、隣のRFIDタグ4のアンテナコイル5の電流の減衰を軽減することを防ぐ効果がある。
相互干渉抑制部6の内部の金属薄膜層11によって磁界が遮断されているため、図3に示すように装置アンテナ3が発生する磁界はRFIDタグ4のアンテナコイル5と、金属薄膜層11の無い領域20の範囲でのみ電磁結合する。図2に示すように、装置アンテナ3とアンテナコイル5の電磁結合7はこの領域20で行われるが、その両アンテナの電磁
結合7に必要な領域の多くが領域20に含まれるので、両アンテナの電磁結合7はさほど抑制されない。一方、書類包1を隔てて隣接するRFIDタグ4のアンテナコイル5同士の電磁結合21は、アンテナコイル5の、金属薄膜層11の無い領域20の範囲でしか電磁結合されないので、隣接するアンテナコイル5同士の電磁結合21が弱まる。そのため、隣接するアンテナコイル5同士の電磁結合21による共振周波数のずれが抑えられる。ここで、図1の相互干渉抑制部6の長さLを変え、
電磁結合7の強さ > 電磁結合21の強さの関係になるよう調整することで、隣接する書類包1のRFIDタグ4のアンテナコイル5の開口面に垂直な軸同士が重なり合うように書類包1が重なっても、装置アンテナ3とアンテナコイル5の電磁結合7を強くでき安定してデータの読み取りができる効果が得られる。
本発明の実験では、RFIDタグ4のアンテナコイル5を60mm×20mmの寸法にし、ISO15693規格のICチップ8が実装されているICインレットに、多層構造のシート状にした相互干渉抑制部6を、アンテナコイル5の短辺の半分を超える長さL=15mmの位置まで貼り付けた。このRFIDタグ4を、書類包1とした100μmのPETシートをに貼り、この書類包1に貼り付けたRFIDタグ4の間隔を1mm以下にして、しかも、隣接する書類包1のRFIDタグ4のアンテナコイル5の開口面に垂直な軸同士が重なり合うようにして、RFIDタグ4のデータのリーダーライター装置2による読み取り実験を行った。その結果、安定したデータの読み取りが確認できた。
前述の実験は本発明の一例であり、RFIDタグ4のアンテナコイル5の形状、装置アンテナ3の形状および磁力出力、書類包1に貼り付けたRFIDタグ4の間隔など条件は様々であるが、相互干渉抑制部6がRFIDタグ4のアンテナコイル5の幅方向で、すなわち、コイルの短辺の方向で、書類設置面3aに突き当てた書類包1の一辺から遠い側の書類包1の上方側の部分から書類設置面3a側までの、アンテナコイル5の開口面の面積の30%以上90%以下の範囲の開口面を覆っていればその効果が得られる。
書類包1に貼り付けたRFIDタグ4の間隔を例えば3mmと固定した場合、RFIDタグ4のアンテナコイル5を小型化すると、アンテナコイル5の縦横の寸法に対して相対的に、書類包1のRFIDタグ4の間隔が広くなる。この場合は、通常サイズのアンテナコイル5の場合と比較すると、隣接する書類包1のRFIDタグ4のアンテナコイル5同士の電磁結合21が弱くなる。そのため、アンテナコイル5を小型化することで、隣接するアンテナコイル5同士の電磁結合21による共振周波数のずれを更に抑えることができる効果がある。このため、アンテナコイル5を小型化できる効果がある。
本発明の一実施例の書類管理システムの外観を示す斜視図である。 図1の書類包みとRFIDタグと、書類設置面の下部の装置アンテナの透視図である。 本発明のRFIDタグの外観を透視した平面図である。 図3の仮想線A部分のRFIDタグの断面図である。 書類包に貼り付けたRFIDタグを重ねた状態を側面から(図3の仮想線Aの方向から)観察した断面図である。
符号の説明
1・・・書類包
2・・・リーダーライター装置
3・・・装置アンテナ
3a・・・書類設置面
4・・・RFIDタグ
5・・・アンテナコイル
6・・・相互干渉抑制部
7・・・電磁結合
8・・・ICチップ
9・・・基材
10・・・磁性材料層
11・・・金属薄膜層
12・・・磁性材料層
13・・・接着層
14・・・接着層
20・・・領域
21・・・電磁結合
L・・・相互干渉抑制部のアンテナコイルの短辺に重なる長さ

Claims (1)

  1. ICチップとアンテナコイル部を備えるRFIDタグが書類包に貼られており、前記RFIDタグが装置アンテナと非接触で電磁誘導で結合することで読み取り装置とデータ通信を行う書類管理システムであって、前記書類包の一辺を書類設置面に突き当てて設置し、前記書類設置面に軸が平行なコイル形状の前記装置アンテナを前記書類設置面の下に設置し、前記書類包の前記一辺付近に、前記アンテナコイル部を設置し、前記アンテナコイル部を、前記一辺から遠い側から前記一辺側まで30%以上90%以下の範囲で、磁性材料層の間に金属薄膜層が設置された層構成の相互干渉抑制部で覆い、前記書類包を前記書類設置面上に複数密着して配置し、前記書類包に貼り付けた前記RFIDタグの間隔を1mm以下にし、隣接する前記書類包のRFIDタグのアンテナコイルの開口面に垂直な軸同士が重なり合うようにしたことを特徴とする書類管理システム。
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