JP5076062B2 - 湿式亜鉛製錬残渣の処理方法及び処理装置 - Google Patents

湿式亜鉛製錬残渣の処理方法及び処理装置 Download PDF

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Description

本発明は,亜鉛の湿式亜鉛製錬により発生する残渣の処理方法及び処理装置に関する。
一般に,鉱石から亜鉛を取出す方法として湿式亜鉛製錬が実施されている。湿式亜鉛製錬では,まず,亜鉛精鉱を酸化焙焼した焼鉱を硫酸酸性の浸出液で可溶性の亜鉛を浸出する。その際に,不溶性のジンクフェライト(ZnFe)を主成分とする残渣が発生するので,この残渣から亜鉛を浸出するために,亜硫酸ガス雰囲気下で加圧浸出(以下,2次浸出と称する)を行う。
2次浸出で発生する残渣は,硫酸鉛,シリカ等を主成分としており,鉱石中に含まれるスズ,アンチモン等も含まれる。この残渣は鉛を含んでいるため,鉛製錬工程に供給され,有価金属が回収される。次いで,残渣を乾燥した後,電気炉等で還元して粗鉛にする。さらに,この粗鉛を酸化,溶離等の手法でスズ,アンチモンを除去した後,アノードを鋳造し,電解精製を経て電気鉛を生産する。
ところが,上述した残渣は鉛の品位が低く,鉛原料としてそのまま使用すると非経済的である。特に,残渣に含まれるシリカは,電気炉で還元する際に,溶融電力を上昇させてしまう。また,スズ,アンチモンは,粗鉛の精製工程で,精製時間の延長,精製コストの上昇,鉛の回収率の低下等の原因になる。このため,事前に残渣からこれらシリカ,スズ及びアンチモンを除去しておくことが望ましい。
特許文献1には,鉛及びシリカの比重差を利用し,湿式亜鉛製錬で発生する残渣を鉛とシリカに分離する処理方法が開示されている。上記特許文献1では,湿式亜鉛製錬で発生する残渣に水を加えてパルプにしてから,このパルプを自然沈降,遠心分離又は湿式サイクロンによる遠心処理を行っている。鉛は比重が大きく,結晶性の高い硫酸鉛であるため,沈降速度が速い。これに対し,シリカは非結晶のコロイド状になっているため沈降速度が遅い。即ち,上記特許文献1では,この沈降速度の差を利用し,パルプ中に沈殿物として含まれる鉛をシリカから分離している。
特開平11−124636号公報
しかしながら,上記特許文献1に記載の処理方法では,湿式亜鉛製錬で発生する残渣を鉛とシリカに分離することは可能であるが,鉛をシリカ以外のスズ及びアンチモンから効果的に分離することが困難である。
また,鉛とシリカの分離についても,条件によっては十分な分離ができない恐れがある。例えば,残渣の粒径及びパルプ濃度等の条件が変化すると鉛及びシリカの沈降速度も変化するため,安定した分離挙動を得ることが難しい。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり,湿式亜鉛製錬で発生する残渣中に含まれる鉛を,従来よりも効果的にシリカ,スズ及びアンチモンから分離し,シリカ,スズ及びアンチモンの各品位が鉛の品位よりも相対的に低く,精製コストの低減化された経済的な鉛の沈殿物を得ることが可能な湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法及び処理装置を提供することをその目的とする。
本発明者らが,遠心分離を用いた従来の湿式亜鉛製錬の残渣の処理技術について,効果的な分離を実現するために種々検討した結果,湿式亜鉛製錬で発生する残渣に水を加えてパルプにしてから遠心分離した際の鉛,シリカ,スズ及びアンチモンの各分離率と,沈殿物全体の分離率との関係が,各元素毎に異なっていることが分かった。即ち,遠心分離による沈殿物の分離率の変化に対して,各元素の分離率の挙動が一定でなく,所定の範囲では,シリカ,スズ及びアンチモンの分離率は,鉛の分離率よりも相対的に非常に低くなっていることが分かった。
本発明は,かかる知見に基づいてなされたものである。即ち,本発明によれば,湿式亜鉛製錬で発生する残渣に水を加えてパルプにしてから遠心分離を行う湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法であって,前記遠心分離による分離率の調整が重力加速度と前記パルプの流量を調整することにより行われ,600〜2400Gの重力加速度で遠心分離を行うことにより前記分離率を50〜90質量%とすることによって,シリカ,スズ及びアンチモンの各品位が鉛の品位よりも相対的に低い沈殿物を得ることを特徴とする,湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法が提供される。
上記湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法において,前記分離率が55〜75質量%になるようにすると鉛のロス率が低く,鉛とシリカ,スズ及びアンチモンとの分離性が高くなるため都合がよい。
上記湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法において,連続式スクリュー排出型遠心分離機を用いて遠心分離を行うようにしてもよい。
また,本発明によれば,上記湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法に用いられる湿式亜鉛製錬の残渣の処理装置であって,前記パルプを貯留するタンクと,前記パルプを遠心分離し,前記パルプが含有する鉛を沈殿物として,シリカ,スズ及びアンチモンが含まれる懸濁液から分離する連続式スクリュー排出型遠心分離機と,前記タンクに貯留された前記パルプを前記連続式スクリュー排出型遠心分離機に定量供給するポンプと,を有することを特徴とする,湿式亜鉛製錬の残渣の処理装置が提供される。
本発明によれば,湿式亜鉛製錬で発生する残渣に水を加えてパルプにしてから遠心分離を行い,パルプ中の鉛を沈殿物としてシリカ,スズ及びアンチモンを含む懸濁液から分離する際に,遠心分離による分離率を所定の範囲とすることによって,シリカ,スズ及びアンチモンの各品位が鉛の品位よりも相対的に低い沈殿物を得ることができる。この沈殿物は,鉛の原料として,精製する際の精製時間,精製コストが従来よりも低く,鉛の回収率が高いため,非常に経済的である。
以下,図面を参照しながら,本発明の好適な実施形態について説明をする。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は,本発明の実施の形態に係る残渣の処理装置1の構成図である。処理装置1は,湿式亜鉛製錬で発生する残渣に水を加えて得られるパルプを,沈降しないように撹拌しながら貯留する撹拌機付タンク2と,該撹拌機付タンク2にポンプ4を介して配管5で接続された連続式スクリュー排出型遠心分離機としてのスクリューデカンタ3とを備えている。ポンプ4は,パルプ流量を調整可能であり,所定のパルプ流量でスクリューデカンタ3にパルプを定量供給するように構成されている。
スクリューデカンタ3は,撹拌機付タンク2からポンプ4により定量供給されたパルプを遠心分離し,このパルプが含有する全固形物のうちの一部を沈殿物として分離させるように構成されている。本実施の形態では,鉛,シリカ,スズ及びアンチモンを含有するパルプを遠心分離することによって,沈降速度が速い鉛をより多く沈殿させ,鉛の品位が高い沈殿物を得るようになっている。スクリューデカンタ3には,遠心分離により得られた沈殿物を貯留するリパルプタンク10が配管11を介して接続されている。また,スクリューデカンタ3には,遠心分離後に沈殿物と分離させた懸濁液を貯留するクッションタンク12が配管13を介して接続されている。
リパルプタンク10は,沈殿物に水を加え,再度パルプにしてから貯留するように構成されている。リパルプタンク10には,貯留したパルプをねじ機構によって圧縮し,鉛濃縮物と濾液に固液分離するフィルタープレス15が配管16で接続されている。フィルタープレス15は,固液分離によって得た濾液をリパルプタンク10に戻すように,リパルプタンク10と配管17で接続されている。また,フィルタープレス15には,固液分離によって得た鉛濃縮物を外部に排出する排出管18が設けられている。
クッションタンク12には,貯留した懸濁液をねじ機構によって圧縮し,シリカ,スズ及びアンチモン等と濾液とに固液分離するフィルタープレス20が配管21で接続されている。フィルタープレス20は,撹拌機付タンク2と配管22で接続され,固液分離によって得た濾液を撹拌機付タンク2に戻して銅製錬の溶剤として使用できるようになっている。また,フィルタープレス20には,固液分離によって得たシリカ,スズ及びアンチモン等を外部に排出する排出管23が設けられている。
次に,本発明の実施の形態を実施するのに用いるスクリューデカンタ3の構成について詳述する。図2は,スクリューデカンタ3を側面から視た構成図である。図2に示すように,スクリューデカンタ3は,略円筒形状の中空のボール30と,その内部に設けたスクリューコンベア31とが,水平方向の回転軸を中心に同軸に回転するようになっている。ボール30及びスクリューコンベア31はいずれも,スクリューデカンタ3の前端側が縮径された円錐形状になっており,後端側は径が一定の円筒形状になっている。ボール30の内周面とスクリューコンベア31の外周面との間には,軸方向に沿って環状の内部空間35が形成されている。この内部空間35は,スクリューデカンタ3の後端側の円筒形状の部分では,ボール30の回転によりパルプを沈殿物P及び懸濁液Sに遠心分離する遠心分離部36になっており,前端側の円錐形状の部分では,遠心分離した沈殿物Pに随伴する懸濁液Sを脱液する脱液部37になっている。
ボール30,スクリューコンベア31は共に,その前端が支持体39上の軸受40で回転可能に支持され,且つその後端が支持体39上の軸受41で回転可能に支持されている。ボール30,スクリューコンベア31の前端には,各々,ボール側プーリ45,スクリュー側プーリ46が設けられている。これらのボール側プーリ45,スクリュー側プーリ46とモータ50のシャフトとには伝動ベルト51が巻掛けられている。これにより,モータ50の回転駆動力が伝動ベルト51を介してボール側プーリ45,スクリュー側プーリ46に伝達され,ボール30,スクリューコンベア31を同一方向に回転できるようになっている。なお,ボール30,スクリューコンベア31の前端には,スクリューコンベア31の回転速度をボール30の回転速度よりも小さく設定することが可能なギアボックス等の減速装置55が設けられている。
スクリューコンベア31の内部には,給液管65が軸方向に貫通して配設されている。スクリューデカンタ3の後端側にある給液管65の一端には,パルプが供給される給液口66が設けられている。スクリューデカンタ3の前端側にある給液管65の他端は径方向に複数分岐し,吐出口67を介して内部空間35に連通している。本実施の形態では,スクリューデカンタ3の給液口66には,一端が図1に示すポンプ4に接続された配管5の他端が接続されている。
スクリューコンベア31の外周面にはスクリュー羽根70が螺旋状に設けられており,後端側の遠心分離部36においてボール30の回転によりパルプから遠心分離した沈殿物Pを,前端側の脱液部37に搬送するようになっている。ボール30の前端側には,脱液部37に搬送されて脱液された沈殿物Pをボール30の外部に排出する排出孔75が設けられている。ボール30の外側には,排出孔75を覆うケーシング76が支持体39を貫通して設けられている。ケーシング76の下部には,排出孔75を介してボール30からケーシング76内に排出された沈殿物Pをスクリューデカンタ3の外部に排出する排出口77が設けられている。本実施の形態では,スクリューデカンタ3の排出口77から排出された沈殿物Pは,水を加えて再度パルプにされてから,図1に示すリパルプタンク10に貯留されるようになっている。
ボール30の内部には,内部空間35の遠心分離部36よりさらに後端側に,遠心分離した懸濁液Sがオーバーフローして進行する排液室80が設けられている。排液室80内には,懸濁液Sを排液口85からボール30の外部に排液する例えばポンプ式のインペラー81が設けられている。本実施の形態では,スクリューデカンタ3の排液口85には,一端が図1に示すクッションタンク12に接続された配管13の他端が接続されている。
以上のように構成された処理装置1を用いて実施する本発明の実施の形態に係る湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法を図1及び図2を用いて説明する。
まず,図1に示す処理装置1を用いて処理する残渣について説明する。処理装置1で処理する残渣は,亜鉛の湿式亜鉛製錬において,2次浸出で発生する残渣であり,例えば,以下のようにして得ることができる。亜鉛製錬の原料となる亜鉛含有量が50質量%前後の硫化亜鉛精鉱を焙焼炉で空気を吹込んで酸化焙焼した焼鉱を,硫酸酸性の浸出液で亜鉛を浸出(即ち,1次浸出)する。この際に,発生する不溶性のジンクフェライト(ZnFe)を主成分とする残渣から亜鉛を浸出するように,亜硫酸ガス雰囲気下でこの残渣を加圧浸出(即ち,2次浸出)する。この2次浸出によって,硫酸鉛,シリカ,スズ及びアンチモンを含有する残渣が発生する。
次に,上述のようにして2次浸出で発生した残渣を,図1に示す処理装置1で処理する手順を説明する。2次浸出で発生した残渣に水を添加し,パルプにする。本実施の形態では,この際のパルプ濃度を300〜500g/lにすると,鉛のロス率が低く,鉛とシリカ,スズ及びアンチモンとの分離性が高くなるため都合がよい。また,pH,温度等は特に調整していない。
上記パルプを,図1の点線矢印で示すように撹拌機付タンク2に供給する。撹拌機付タンク2では,供給されたパルプを沈降しないように撹拌しながら貯留する。撹拌機付タンク2に貯留したパルプは,ポンプ4によって圧送され,配管5経由でスクリューデカンタ3に定量供給される。
パルプが定量供給されるスクリューデカンタ3のボール30及びスクリューコンベア31は,モータ50によって同一方向に各々所定の回転速度で回転させておく。なお,スクリューコンベア31の回転速度は,減速装置55を用いてボール30の回転速度よりも小さくなるように設定する。
配管5から給液口66を介してスクリューデカンタ3に定量供給されたパルプは,図2の実線矢印で示すように,給液管65内をスクリューデカンタ3の前端側に軸方向に沿って進行する。そして,吐出口67から内部空間35内に吐出される。吐出されたパルプは,ボール30の回転によって遠心分離部36で沈殿物P及び懸濁液Sに遠心分離される。ボール30の回転による遠心分離によって沈殿した沈殿物Pには,鉛の沈殿物を主体として,シリカ,スズ及びアンチモンの沈殿物も含まれている。一方,遠心分離によって分離された懸濁液Sは,沈殿しなかった鉛,シリカ,スズ及びアンチモン等の固形物と液体を含んでいる。
本実施の形態では,上述した遠心分離を行う際に,パルプが含有する全固形物に対して沈殿物P(全体)の分離率が50〜90質量%になるように調整する。この分離率の調整は,ボール30の回転速度(即ち,重力加速度)及びパルプ流量(即ち,滞留時間)を調整することによって行っている。なお,沈殿物Pの分離率とは,パルプが含有する全固形物の質量に対して,遠心分離により沈殿した沈殿物Pの質量の比率を意味する。本実施の形態では,パルプに600〜2400Gの重力加速度が加わるようにボール30の回転速度を調整すると共に,沈殿物Pがスクリューデカンタ3内に滞留する時間が30〜60secになるようにポンプ4でパルプ流量を制御することによって,沈殿物Pの分離率が50〜90質量%になるように設定している。なお,本実施の形態では,沈殿物Pの分離率の値は,パルプが含有する全固形物の質量と,スクリューデカンタ3の排出口77から排出される沈殿物Pの質量とを,各々実際に乾量で測定することによって算出している。
遠心分離で沈殿した沈殿物Pは,ボール30の回転による遠心力でボール30の円錐形状の内面に付着する。付着した沈殿物Pは,回転するスクリューコンベア31のスクリュー羽根70によって掻出されながらスクリューデカンタ3の前端側に搬送される。スクリュー羽根70によって沈殿物Pが搬送される際には,遠心分離部36から随伴する懸濁液Sが,沈殿物Pが脱液部37を前端側に進行するに従い,次第に脱液される。その結果,ボール30の前端側の排出孔75には,沈殿物Pだけが搬送される。そして,排出孔75に到達した沈殿物Pは,排出孔75からケーシング76内に排出される。さらに,ケーシング76内から排出口77を介してスクリューデカンタ3から排出される。
排出口77から排出された沈殿物Pには,水が加えられ,再度パルプにされてから,配管11経由でリパルプタンク10に貯留される。リパルプタンク10に貯留されたパルプは,配管16経由でフィルタープレス15に供給され,ねじ機構を利用した圧縮によって鉛濃縮物と濾液に固液分離される。固液分離によって得られた濾液は,フィルタープレス15から配管17経由でリパルプタンク10に戻される。一方,鉛濃縮物は,排出管18から外部に排出され,回収される。
一方,スクリューデカンタ3の遠心分離部36の懸濁液Sは,オーバーフローしてスクリューデカンタ3の後端側に進行し,排液室80に進入する。そして排液室80内の懸濁液Sは,インペラー81によって排液口85からボール30の外部に排液される。
排液口85から排液された懸濁液Sは,配管13経由でクッションタンク12に貯留される。クッションタンク12に貯留された懸濁液Sは,配管21経由でフィルタープレス20に供給され,ねじ機構を利用した圧縮によってシリカ,スズ及びアンチモン等と濾液に固液分離される。固液分離によって得られた濾液は,フィルタープレス20から配管22経由で撹拌機付タンク2に戻される。一方,シリカ,スズ及びアンチモン等は,排出管23から外部に排出され,回収される。
以上の実施の形態によれば,湿式亜鉛製錬で発生する残渣に水を加えてパルプにしてから遠心分離する際に,沈殿物Pの分離率が50〜90質量%になるように設定したことによって,鉛の分離率をシリカ,スズ及びアンチモンの各分離率よりも大きくすることができる。これにより,シリカ,スズ及びアンチモンの各品位が鉛の品位よりも相対的に低い沈殿物を得ることができ,鉛原料として用いる場合に,精製時間及び精製コストの低い経済的な沈殿物を得ることが可能になる。なお,鉛の分離率は,パルプが含有する全ての鉛の質量に対して,沈殿した鉛沈殿物の質量の比率を意味し,鉛の沈殿率と同義である。シリカ,スズ及びアンチモンの沈殿率についても同様である。
また,遠心分離機として連続式スクリュー排出型遠心分離機であるスクリューデカンタ3を用いたことによって,多量のパルプを連続的に処理することが可能になりバッチ式で処理する場合よりも経済的且つ効率的である。さらに,ボール30の回転速度を調整することによって,パルプを遠心分離する際の重力加速度を容易に変更できるため,沈殿物Pの分離率の調整が容易化される。本実施の形態では,重力加速度が600〜2400Gになるようにボール30の回転速度を調整することによって,沈殿物Pの分離率を50〜90質量%に設定することができている。
本発明の第2の実施の形態として,上述した第1の実施の形態の遠心分離を行う際に,遠心分離による沈殿物Pの分離率の値を,鉛の分離率とシリカ,スズ及びアンチモンの分離率との比が全て最小になる60質量%程度に近い値に設定してもよい。これにより,遠心分離によってパルプが含有する鉛を沈殿物としてシリカ,スズ及びアンチモンを含む懸濁液から分離する際に,より高い分離効果を得ることが可能になる。さらに,沈殿物Pの分離率を60質量%程度に近い値に設定すると共に,できるだけ大きな値に設定することによって,鉛原料として用いる場合に精製時間及び精製コストが低い上に,さらに,鉛の品位が高く回収率の向上した沈殿物Pを効率的に得ることが可能になる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上述した実施形態においては,パルプを遠心分離する遠心分離機として連続式スクリュー排出型遠心分離機(即ち,スクリューデカンタ)を用いる場合について説明したが,連続式スクリュー排出型遠心分離機以外の遠心分離機が用いられてもよい。
以下に,本発明を検証した実施例を説明する。
湿式亜鉛製錬の2次浸出で発生した残渣に水を添加し,パルプ濃度が485g/l(乾量)のパルプにして,撹拌しながら撹拌機付タンクに保持した。ポンプを用いて撹拌機付タンクのパルプを,パルプ流量が2500l/hになるようにして,スクリューデカンタに定量供給した。スクリューデカンタは,遠心分離の重力加速度が500Gになるように,ボールの回転速度を予め設定した。この条件で,スクリューデカンタから排出された沈殿物の質量と,パルプが含有する全固形物の質量を測定し,その質量比率を算出したところ,(沈殿物の質量)/(全固形物の質量)×100=54.3%であった。
上述した初期状態から,パルプ流量(即ち,滞留時間)及びスクリューデカンタのボールの回転速度(即ち,重力加速度)を調整し,パルプが含有する全固形物に対しての全沈殿物の質量比率(以下,沈殿物の分離率と称する)を種々変更した場合についての鉛(Pb),シリカ(SiO),スズ(Sn)及びアンチモン(Sb)の各沈殿率(即ち,各分離率)の結果を表1に示す。また,表2は,表1のデータを,横軸を沈殿物の分離率,縦軸を各元素の沈殿率とする座標上にプロットしたグラフである。表2では,各データについて鉛,シリカ,スズ及びアンチモンの沈殿率を各々,四角形,ひし形,三角形及び丸で示した。なお,表1,2において,沈殿物の分離率が100%であるデータは,実測値ではなく参照用に記載したデータである。
Figure 0005076062
Figure 0005076062
表1,2に示すように,参照用データを除く全データのうちで,沈殿物の分離率の値が本発明の特許請求の範囲に記載した50〜90%の範囲に入っている各データ(即ち,データ番号1〜6,8〜14,16〜19,21〜29のデータ)は,鉛の沈殿率とシリカ,スズ及びアンチモンの各沈殿率との差が十分に大きく,鉛をシリカ,スズ及びアンチモンから効果的に分離することが可能になっていた。また,遠心分離を行う際の重力加速度の値が本発明の特許請求の範囲に記載した600〜2400Gに入っている各データ(即ち,データ番号1,2,5,6,8〜11,13,14,16〜18,21〜23,25,26のデータ)は,いずれも沈殿物の分離率が50〜90質量%に設定できている。
Figure 0005076062
Figure 0005076062
表3は,各元素と鉛の沈殿率の差をより明確化するように,表1に示すシリカ,スズ及びアンチモンの沈殿率と,鉛の沈殿率の比を示したものである。表4は,表3に示す各データを,表1に示す鉛の沈殿率と共に,横軸を沈殿物の分離率,縦軸を各元素と鉛の沈殿率の比とする座標上にプロットしたグラフである。表4では,シリカ,スズ及びアンチモンの(鉛の沈殿率に対する)沈殿率の比を各々,ひし形,三角形及び丸で示した。また,参考用に鉛の沈殿率も四角形で示した。なお,表3,4において,沈殿物の分離率が100%であるデータは,実測値ではなく参照用に記載したデータである。
表3,4に示すように,各元素と鉛の沈殿率の比(即ち,(各元素の沈殿率)/(鉛の沈殿率))は,その値が小さいほど鉛との分離度合いが大きいことを示している。表4に示すように,沈殿物の分離率が60質量%程度である場合に各元素と鉛の沈殿率の比が最小になっており,鉛とシリカ,スズ及びアンチモンとが最も分離されていた。
以下に,本発明を検証した実施例を説明する。
湿式亜鉛製錬の2次浸出で発生した残渣に水を添加し,パルプにして,撹拌しながら撹拌機付タンクに保持した。ポンプを用いて撹拌機付タンクのパルプをスクリューデカンタに定量供給しながら,供給されたパルプをスクリューデカンタでボールの回転により遠心分離した。遠心分離を行う際には,スクリューデカンタに供給されるパルプ流量と,パルプに加えられる重力加速度とを種々変更して行った。その際の種々のパルプ流量及び重力加速度について,パルプが含有する全固形物と,沈殿物として沈殿する固形物との質量比率(以下,沈殿物の分離率と称する)の結果を表5に示す。表6は,表5のデータを,横軸をパルプ流量,縦軸を沈殿物の分離率とする座標上にプロットしたグラフである。表6では,重力加速度が500,1000及び1500Gであるデータを各々,ひし形,四角形及び三角形で示した。
Figure 0005076062
Figure 0005076062
表5,6に示すように,遠心分離を行う際に,重力加速度の値が本発明の特許請求の範囲に記載した600〜2400Gの範囲に入っているようにボール30の回転速度を調整することによって,沈殿物の分離率を50〜90質量%に設定できた。その結果,シリカ,スズ及びアンチモンから従来よりも効果的に分離された鉛を含有する沈殿物を得ることができた。
本発明は,湿式亜鉛製錬で発生する残渣から亜鉛を回収する際に有用である。
本発明の実施の形態に係る残渣の処理装置1の構成図である。 本発明の実施の形態を実施するのに用いるスクリューデカンタ3を側面から視た構成図である。
符号の説明
1 湿式亜鉛製錬で発生する残渣の処理装置
2 撹拌機付タンク
3 スクリューデカンタ
4 ポンプ
5,11,13,16,17,21,22 配管
10 リパルプタンク
12 クッションタンク
15,20 フィルタープレス
18,23 排出管
30 ボール
31 スクリューコンベア
35 内部空間
36 遠心分離部
37 脱液部
39 支持体
40,41 軸受
45 ボール側プーリ
46 スクリュー側プーリ
50 モータ
51 伝動ベルト
55 減速装置
65 給液管
66 給液口
67 吐出口
70 スクリュー羽根
75 排出孔
76 ケーシング
77 排出口
80 排液室
81 インペラー
85 排液口
P 沈殿物
S 懸濁物

Claims (3)

  1. 湿式亜鉛製錬で発生する残渣に水を加えてパルプにしてから遠心分離を行う湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法であって,
    前記遠心分離による分離率の調整が重力加速度と前記パルプの流量を調整することにより行われ,
    600〜2400Gの重力加速度で遠心分離を行うことにより前記分離率を50〜90質量%とすることによって,シリカ,スズ及びアンチモンの各品位が鉛の品位よりも相対的に低い沈殿物を得ることを特徴とする,湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法。
  2. 連続式スクリュー排出型遠心分離機を用いて遠心分離を行うことを特徴とする,請求項1に記載の湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法。
  3. 請求項1に記載の湿式亜鉛製錬の残渣の処理方法に用いられる湿式亜鉛製錬の残渣の処理装置であって,
    前記パルプを貯留するタンクと,
    前記パルプを遠心分離し,前記パルプが含有する鉛を沈殿物として,シリカ,スズ及びアンチモンが含まれる懸濁液から分離する連続式スクリュー排出型遠心分離機と,
    前記タンクに貯留された前記パルプを前記連続式スクリュー排出型遠心分離機に定量供給するポンプと,を有することを特徴とする,湿式亜鉛製錬の残渣の処理装置。
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