JP5075654B2 - 炭素繊維製造装置および炭素繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
耐炎化炉にて、空気などの酸化性気体中、200〜300℃の温度で前駆体繊維束(前駆体繊維の単繊維を多数束ねたもの)を耐炎化処理して耐炎化繊維束を得る耐炎化工程。
炭素化炉にて、不活性雰囲気中、300〜2000℃の温度で耐炎化繊維束を炭素化処理して炭素繊維束を得る炭素化工程。
しかし、前駆体繊維束の耐炎化処理を長時間続けた場合、耐炎化炉内を循環する熱風中のシリコン系油剤に由来する揮発性珪素が高濃度となり、該揮発性珪素が珪素化合物などの粒子状物となって耐炎化炉内に蓄積する。そして、該珪素化合物などの粒子状物や前記前駆体繊維束のケバなどに由来する異物が耐炎化繊維に付着して、耐炎化繊維を汚染する恐れがある。また、耐炎化工程においては、前駆体繊維束の酸化反応によって、耐炎化炉内でシアン化合物、アンモニア、一酸化炭素、タール分などの各種化合物(以下「炉内ガス」と省略する。)が発生し、耐炎化炉周辺の環境を汚染する恐れがある。
そのため、耐炎化炉内を循環する熱風を少しずつ排出しながら、新鮮な外気を耐炎化炉内に少しずつ給気して、熱風中の揮発性珪素や炉内ガス濃度を低減することが通常行われている。
ところが、温度の低い外気を耐炎化炉に給気した場合、耐炎化炉内の熱風に温度斑が生じて、前駆体繊維束の発火や糸切れが引き起こされるなど、耐炎化処理を安定して行えない恐れがある。前駆体繊維束の発火や糸切れが引き起こされると、最終製造物である炭素繊維束の品質が低下することになる。したがって、外気を加熱してから耐炎化炉に給気することが望まれる。
熱風を循環させて前駆体繊維束を耐炎化処理する耐炎化炉と、
該耐炎化炉で耐炎化処理された耐炎化繊維を炭素化処理する炭素化炉と、
前記耐炎化炉または前記炭素化炉から送出された排出ガスと外気との間で熱交換を行う熱交換器と、
該熱交換器から送出された加熱された外気を前記耐炎化炉に給気する加熱外気給気路とを有する炭素繊維製造装置であって、
該加熱外気給気路を流れる加熱外気の温度を検出する温度検出手段と、
該加熱外気給気路を流れる加熱外気の温度を調整する温度調整手段と、
を備えることを特徴とする炭素繊維製造装置。
(2)前記加熱外気給気路を流れる加熱外気の風量を検出する風量検出手段と、
前記加熱外気給気路を流れる加熱外気の風量を調整する風量調整手段と、
を備えることを特徴とする(1)に記載の炭素繊維製造装置。
(3)熱風加熱手段で加熱された熱風を循環させて前駆体繊維束を耐炎化処理する耐炎化工程と、
該耐炎化処理により得られた耐炎化繊維を炭素化処理する炭素化工程と、
前記耐炎化工程または前記炭素化工程から送出された排出ガスと外気との間で熱交換を行う熱交換工程と、
該熱交換工程で加熱された加熱外気を前記耐炎化工程に給気する加熱外気給気工程と、
を有する炭素繊維の製造方法であって、
該加熱外気を温度調整してから前記耐炎化工程に給気することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
(4)前記加熱外気を風量調整してから前記耐炎化工程に給気することを特徴とする(3)に記載の炭素繊維の製造方法。
(5)前記耐炎化工程に給気される前記加熱外気の有する熱量が、前記熱風加熱手段によって熱風に加えられる熱量の70%以下であることを特徴とする(3)に記載の炭素繊維の製造方法。
熱処理室2と側壁12aを隔てた一方側には、上方流路7と下方流路8とを連通する熱風循環路9が設けられている。熱風循環路9には熱風加熱手段5および加熱外気給気口10が設けられている。
耐炎化炉1内の熱風流路は、上方流路7、下方流路8、熱風循環路9により形成され、熱風は図1中の矢印Hに示すように循環する。
熱風加熱手段5は、熱風を前駆体繊維束Fの耐炎化に必要な温度まで加熱するために設けられている。熱風加熱手段5としては、耐炎化炉1内の熱風を200〜300℃程度に加熱できるものであればよく、例えばガスヒーター、電気ヒーター、熱媒ヒーターなどが挙げられる。
ファン6は、矢印Hに示すように熱風を循環させるために設けられている。ファン6としては、熱風を所望の風速にすることのできるものであればよい。
また、制御手段14には、必要に応じて、入力装置、表示装置などの周辺装置(不図示)が接続される。該入力装置としては、ディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボードなどの入力デバイスが挙げられ、該表示装置としては、CRT、液晶表示装置などが挙げられる。
なお、図1の炭素繊維製造装置には、耐炎化炉1の後段に、耐炎化炉1で得られた耐炎化繊維束を導入して炭素化処理を施すための炭素化炉(不図示)が備えられる。該炭素化炉としては、公知の炭素化炉が用いられる。
熱風排出口11には、耐炎化炉1から送出された排出ガスを系外に排出するための流路として、排出ガス流路20が接続されている。排出ガス流路20には、第一熱交換器21、排出ガス処理装置23、第二熱交換器26が連通されている。
第一熱交換器21は、後段の排出ガス処理装置23から送出された高温の排出ガスと、排出ガス流路20を流れる排出ガスとの間で熱交換されるように構成されている。第一熱交換器21としては、チューブ式熱交換器、多管式熱交換器、プレート式熱交換器などが挙げられる。
排出ガス処理装置23は、排出ガス流路20を流れてきた排出ガスを燃焼させ、該排出ガスに含まれるシアン、アンモニア、一酸化炭素、タール分などを分解処理する装置であり、具体的には、燃料供給口25から供給される排出ガス燃焼用の燃料と、送風機24により送り込まれる前記排出ガス燃焼用の外気とを混合・燃焼させた高熱部に、排出ガス流路20を流れてきた前記排出ガスを接触させることにより、排出ガスに含まれる炉内ガスを分解処理するように構成されている。
送風機24は、排出ガス燃焼用の外気を排出ガス処理装置23に供給するために設けられている。送風機24としては特に限定されず、設置場所、排出ガスの温度及び風量などを考慮し、適宜選定される。なお、燃焼用外気取出口22は、前記排出ガス処理装置の仕様等により、排出ガス流路20に設けられてもよく、燃焼用外気取出口22を設けないで、外気を送風機24にて直接供給してもよい。
燃料供給口25から供給される前記燃料としては、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)などの気体燃料、または灯油、軽油などの液体燃料を用いることができる。
第二熱交換器26は、外気給気路31から送入される外気と、排出ガス流路20から送入される排出ガスとの間で熱交換を行い、第二熱交換器26で加熱した外気を加熱外気給気路32に流すように構成されている。第二熱交換器26としては、チューブ式熱交換器、多管式熱交換器、プレート式熱交換器などが挙げられる。
温度調整手段は、一方端が外気給気路31に接続され、他方端が加熱外気給気路32に接続される外気バイパス路33と、外気バイパス路33に設けられた自動弁34とで構成されている。外気バイパス路33は、加熱されていない外気を、第二熱交換器26をバイパスして、加熱外気給気路32を流れる加熱外気に混合させるために設けられている。また、自動弁34は、外気バイパス路33を流れる外気の風量を調整するために設けられている。自動弁34としては、例えば電気制御式の二方弁が挙げられる。
温度検出手段35は、加熱外気給気路32に設けられており、その位置は外気バイパス路33が接続されている位置より耐炎化炉1に近い側である。温度検出手段35としては、熱電対、測温抵抗体などが挙げられる。
自動弁34は、温度検出手段35に電気的に接続されており、加熱外気給気路32を流れる加熱外気が所望の温度になるように、温度検出手段35からの温度検出信号に基づいて、外気バイパス路33を流れる外気の風量を調整するように構成されている。これら外気バイパス路33、自動弁34、温度検出手段35の働きにより、風量調整された外気を、加熱外気給気路32を流れる加熱外気に混合することで、加熱外気を所望の温度に調整することができる。
図1の実施形態例において、風量検出手段36は、外気バイパス路合流部より耐炎化炉1に近い側の加熱外気給気路32に設けられている。風量検出手段36は、送風機30および自動弁38に電気的に接続され、送風機30および自動弁38を制御可能に構成されている。風量検出手段36としては、各種風速計、ピトー管、差圧流量計、超音波流量計、渦流量計などが挙げられる。
送風機30は風量調整手段であり、風量検出手段36からの風量検出信号に基づいて、加熱外気給気路32内に送り込む外気の風量を調整する。送風機30としては、インバーター制御ファンなどが挙げられる。
自動弁38も風量調整手段であり、外気バイパス路合流部より耐炎化炉1に近い側の加熱外気給気路32に設けられている。自動弁38は、風量検出手段36からの風量検出信号に基づいて、加熱外気給気路32内を流れる加熱外気の風量を調整する。自動弁38としては、例えば電気制御式の二方弁が挙げられる。
なお、この実施形態例では、風量調整手段として、送風機30および自動弁38を備える炭素繊維製造装置を例示したが、送風機30、自動弁38のどちらか一方のみによる風量調整であってもよい。
本発明の耐炎化処理方法は、熱風加熱手段5で加熱された熱風を耐炎化炉1内に循環させ、該熱風を、熱処理室2内を走行する前駆体繊維束Fに吹き付けることにより、前駆体繊維束Fを耐炎化処理する耐炎化工程と、該耐炎化処理により得られた耐炎化繊維を不図示の炭素化炉で炭素化処理する炭素化工程と、前記耐炎化工程で送出された排出ガスと外気との間で熱交換を行う熱交換工程と、該熱交換工程で加熱された加熱外気を前記耐炎化工程を行う耐炎化炉1に給気する加熱外気給気工程とを有しており、該加熱外気を温度調整してから前記耐炎化工程を行う耐炎化炉1に給気する。
熱交換に利用される排出ガスとしては、図1を参照して説明を行う都合上、耐炎化工程からの排出ガスを利用して熱交換を行うこととして説明するが、本発明では、炭素化工程で得られる排出ガスを、前記熱交換工程の排出ガスとして利用してもよい。
耐炎化工程において、熱風加熱手段5で加熱された熱風は、ファン6によって上方流路7から熱風吹出し口3を通過し、熱処理室2内へと送られる。そして、該熱風が、熱処理室2を連続して走行する前駆体繊維束Fに鉛直方向から吹き付けられることで、前駆体繊維束Fは酸化反応を生じ、すなわち耐炎化処理されて耐炎化繊維束となる。
次いで、熱風は、熱処理室2から熱風吸気口4を通過して下方流路8へ送られ、下方流路から熱風循環路9に配設される熱風加熱手段5へと戻される。熱風加熱手段5で再び加熱された熱風は、再び熱処理室2へと送られ、連続して走行する前駆体繊維束Fに耐炎化処理を施す。このようにして、熱風の循環による前駆体繊維束Fに対する連続した耐炎化処理が行われる。
耐炎化工程で前駆体繊維束Fに吹き付けられる熱風(酸化性気体)としては、空気などの含酸素気体などが挙げられる。工業的には空気が好ましい。
熱風の加熱温度は、通常、200〜300℃である。また、前駆体繊維束Fに吹き付けられる熱風の風速は、0.2〜1.5m/秒の範囲であることが多いが、この範囲に限定されることなく、前駆体繊維束Fの張力および投入ピッチなどを考慮して適宜決定される。
前駆体繊維束Fを耐炎化処理して得られた耐炎化繊維束は、次いで、不図示の炭素化炉に導入され、窒素などの不活性雰囲気中で、300〜2000℃の温度で炭素化処理されることで、炭素繊維束となる。
炭素化炉としては公知のものが用いられる。炭素化処理は、単数の炭素化炉で行ってもよく、複数台の耐炎化炉を用い、耐炎化処理を同時および/または段階的に行ってもよい。
表面処理された炭素繊維束には、さらに、必要に応じてサイジング剤が付与される。サイジング剤には、炭素繊維束の取り扱い性や、樹脂との親和性を向上させる働きがある。サイジング剤の種類としては、所望の特性を得ることができれば特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂を主成分としたサイジング剤が挙げられる。
耐炎化炉1から排出され、排出ガス流路20を流れる排出ガスは、まず、第一熱交換器21に送入され、排出ガス処理装置23から送出された高温の排出ガスと熱交換を行って昇温された後、排出ガス処理装置23に送入される。また、第一熱交換器21に設けられ、燃焼用外気取出口22より取り出された燃焼用外気は、送風機24により排出ガス処理装置23に送入される。このように、第一熱交換器21であらかじめ加熱された燃焼用外気および昇温された排出ガスを、排出ガス処理装置23に送入することで、後述の排出ガス処理装置23での排出ガスに含まれる炉内ガスをより円滑に分解処理することができる。
次いで、排出ガス処理装置23に送入された燃焼用外気を、燃料供給口25から送り込まれた燃料と混合・燃焼させ、前記燃焼により発生した高熱部に、耐炎化炉1からの排出ガスを接触させることにより、排出ガスに含まれる炉内ガスが分解処理される。
送風機30から外気給気路31を流れる前記外気は、その一部が第二熱交換器26に送入され、他の一部が外気給気路31から分岐された外気バイパス路33に導かれる。
第二熱交換器26に送入された外気は、前述の通り、排出ガス流路20から送入された排出ガスとの間での熱交換を行い、加熱された外気(加熱外気)となる。該加熱外気は、第二熱交換器26から送出され、加熱外気給気路32を流れて耐炎化炉1に向かう。
まず、加熱外気給気路32を流れる加熱外気の温度が温度検出手段35で検出される。次いで、温度検出信号が温度検出手段35から自動弁34に送られる。自動弁34は、前記温度検出信号に基づいて、外気バイパス路33を流れる外気の風量を調整する。この風量調整された外気を、加熱外気給気路32を流れる加熱外気に合流させることで、加熱外気を所望の温度に調整することができる。このように、温度調整された加熱外気を耐炎化炉1に給気することで、耐炎化炉1内を循環する熱風に温度斑を生ずることなく、熱風中の揮発性珪素や炉内ガス濃度を低減することができる。したがって、耐炎化繊維束の汚染を低減でき、かつ前駆体繊維束の発火や糸切れも低減されるため、安定した耐炎化処理を行うことができる。
このように、送風機30および自動弁38による加熱外気の風量調整を行うことで、前記温度調整手段による温度調整に合わせ、調整耐炎化炉1への加熱外気の給気をより適切に行うことができる。
また、送風機37を備えることで、例えば、前駆体繊維束Fの酸化反応が急激に進行し、前駆体繊維束Fからの過大な発熱が生じた場合でも、送風機37からの外気の風量を増加させ、加熱外気の温度を下げて耐炎化炉1に給気することで、耐炎化炉1内の熱風の温度を制御可能な範囲に維持することができる。これにより、可燃性の炉内ガスの発火を抑制することができる。なお、この場合、送風機37は、制御手段14から送られる風量制御信号に基づいて制御される。
これら風量調整手段による加熱外気の風量調整は、炭素繊維製造装置の運転中に常に稼動していてもよく、必要に応じて稼動させてもよく、加熱外気の温度や耐炎化炉1内の温度などを鑑みて適宜決定される。
ここで、本発明における加熱外気の熱量とは、加熱外気の給気によって、熱風加熱手段5によって熱風に加えられる熱量(加熱負荷量)が軽減される量のことをいい、本発明では電力(単位:kW)で表される。熱風加熱手段5によって熱風に加えられる熱量とは、熱風加熱手段5による熱風の加熱に要する加熱負荷の量のことをいい、本発明では熱風加熱手段5が消費する電力(単位:kW)で表される。
この実施例では、図2に示すように、第1耐炎化炉1a、第2耐炎化炉1b、第3耐炎化炉1cを備え、加熱外気を第1耐炎化炉1a、第2耐炎化炉1bに給気できるように構成された耐炎化炉を使用した。なお、第1耐炎化炉1a、第2耐炎化炉1b、第3耐炎化炉1cは、以下の3つの炉内温度に設定された。また、第一熱交換器21および第二熱交換器26はプレート式を、排出ガス処理装置23の燃料はLNGを用いた。また、前駆体繊維束Fとしては、単繊維数12000本のPAN系繊維を用いた。
第1耐炎化炉:炉内の熱風温度240℃。
第2耐炎化炉:炉内の熱風温度246℃。
第3耐炎化炉:炉内の熱風温度258℃。
耐炎化炉から排出ガスが送出される前に、あらかじめ排出ガス処理装置23を800℃程度に昇温し、安定状態とした。次いで、熱風加熱手段5による各耐炎化炉の昇温を開始し、これと同時に、外気を外気バイパス路33に流すことによる温度制御と、自動弁38による風量制御を行い、第1耐炎化炉1aへの加熱外気の給気と前駆体繊維束Fの導入とを開始し、耐炎化処理を実施した。なお、実施例1における耐炎化炉1aに給気される加熱外気の風量・温度・熱量、ヒーター負荷量(熱風加熱手段5による加熱負荷量)などは表1に示すとおりであった。
給気される加熱外気の温度を400℃にした以外は、実施例1と同様にして前駆体繊維束Fへの耐炎化処理を実施した。なお、実施例2における耐炎化炉1aに給気される加熱外気の風量・温度・熱量、ヒーター負荷量(熱風加熱手段5による加熱負荷量)などは表1に示すとおりであった。
(実施例3)
加熱外気を第2耐炎化炉1bに給気するように設定した以外は、実施例1と同様にして前駆体繊維束Fへの耐炎化処理を実施した。なお、実施例3における耐炎化炉1bに給気された加熱外気の風量・温度・熱量、ヒーター負荷量(熱風加熱手段5による加熱負荷量)などは表1に示すとおりであった。
(実施例4)
給気される加熱外気の温度を400℃にした以外は、実施例3と同様にして前駆体繊維束Fへの耐炎化処理を実施した。なお、実施例4における耐炎化炉1bに給気された加熱外気の風量・温度・熱量、ヒーター負荷量(熱風加熱手段5による加熱負荷量)などは表1に示すとおりであった。
(比較例1)
外気を外気バイパス路33に流すことによる温度制御を行わなかった以外は、実施例4と同様にして前駆体繊維束Fへの耐炎化処理を実施した。なお、比較例1における耐炎化炉1bに給気された加熱外気の風量・温度・熱量、ヒーター負荷量(熱風加熱手段5による加熱負荷量)などは表1に示すとおりであった。
実施例1は2日間、実施例2〜4は3日間の連続運転を行った。また、実施例1〜4は、加熱外気を給気した耐炎化炉1aまたは耐炎化炉1b内の熱風の温度変動が約±2℃であり、熱風の温度制御が可能な状態を維持でき、前駆体繊維束Fの糸切れもなく、終始安定した耐炎化処理が行えた。
一方、比較例1は、加熱外気の温度の振れが大であり、この温度変動の影響で、耐炎化炉1b内の熱風の温度変動が±4℃を超えることがあり、運転開始から4時間後に運転を中止した。
2 熱処理室
5 熱風加熱手段
7 上方流路
8 下方流路
9 熱風循環路
10 加熱外気給気口
11 熱風排出口
12 側壁
13 温度検出手段
14 制御手段
20 排出ガス流路
21 第一熱交換器
22 燃焼用外気取出口
23 排出ガス処理装置
24、30、37 送風機
26 第二熱交換器
31 外気給気路
32 加熱外気給気路
33 外気バイパス路
34、38 自動弁
35 温度検出手段
36 風量検出手段
F 前駆体繊維束
Claims (5)
- 熱風を循環させて前駆体繊維束を耐炎化処理する耐炎化炉と、
該耐炎化炉で耐炎化処理された耐炎化繊維を炭素化処理する炭素化炉と、
前記耐炎化炉または前記炭素化炉から送出された排出ガスと外気との間で熱交換を行う熱交換器と、
該熱交換器から送出された加熱された外気を前記耐炎化炉に給気する加熱外気給気路と、
を有する炭素繊維製造装置であって、
該加熱外気給気路を流れる加熱外気の温度を検出する温度検出手段と、
該加熱外気給気路を流れる加熱外気の温度を調整する温度調整手段と、
を備えることを特徴とする炭素繊維製造装置。 - 前記加熱外気給気路を流れる加熱外気の風量を検出する風量検出手段と、
前記加熱外気給気路を流れる加熱外気の風量を調整する風量調整手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維製造装置。 - 熱風加熱手段で加熱された熱風を循環させて前駆体繊維束を耐炎化処理する耐炎化工程と、
該耐炎化処理により得られた耐炎化繊維を炭素化処理する炭素化工程と、
前記耐炎化工程または前記炭素化工程から送出された排出ガスと外気との間で熱交換を行う熱交換工程と、
該熱交換工程で加熱された加熱外気を前記耐炎化工程に給気する加熱外気給気工程と、
を有する炭素繊維の製造方法であって、
該加熱外気を温度調整してから前記耐炎化工程に給気することを特徴とする炭素繊維の製造方法。 - 前記加熱外気を風量調整してから前記耐炎化工程に給気することを特徴とする請求項3に記載の炭素繊維の製造方法。
- 前記耐炎化工程に給気される前記加熱外気の有する熱量が、前記熱風加熱手段によって熱風に加えられる熱量の70%以下であることを特徴とする請求項3に記載の炭素繊維の製造方法。
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