JP5074923B2 - 血栓塞栓性疾患の予防方法 - Google Patents

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Description

本発明は、脳梗塞(脳卒中)または心筋梗塞などの血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の予防方法であって、そのような予防を必要としている哺乳動物に、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩を投与することによる方法に関する。
血栓塞栓性疾患、すなわち凝血塊による血管の閉塞は、多くの成人に影響を与え、死の原因となり得る。瞬時に生じる血管の閉塞のほとんどは、血栓として知られている血管内凝血塊の形成によって発生し、最終的にはそれらが形成された箇所で動脈を閉塞させることになる。このような閉塞は、血栓性閉塞として知られている。あるいは、凝血塊の小さな断片(塞栓)が凝血塊の本体から遊離し、循環系を通って、凝血塊本体の箇所から離れた組織内に停留する場合がある。これらの塞栓は、その後補集され、正常な血液循環を妨げる重篤な合併症を引き起こす可能性がある。体内のどこかで形成され、血流を通じて運ばれる凝血塊によって生じるこのような閉塞は、塞栓性閉塞として知られている。脳梗塞(脳卒中)、心筋梗塞(心臓発作)および腎梗塞や肺梗塞は、血栓塞栓性の事象が発生した結果であるとして広く知られている。血管の閉塞は、動脈壁における二次破壊や漏出をも引き起こし、引き続き出血(動脈出血)も引き起こす可能性がある。血管の一次破壊は、血栓や塞栓性閉塞がなくても、たとえば、動脈瘤のある部位(動脈血管壁の弱い領域)で発生する。原発性脳出血の例としては、頭蓋内出血やくも膜下出血などが挙げられる。
フィブリンは、比較的不溶性の高いネットワークを構成する、凝血塊の主要なタンパク質成分である。血中に高濃度で存在する可溶性フィブリノーゲンがトロンビンの作用によって不溶性フィブリンに変換されたときに、凝血塊は形成される。フィブリンマトリクスが崩壊すると凝血塊が溶解するため、タンパク質分解酵素、特にフィブリン分解酵素が、血管閉塞を溶解させるために用いられてきた。
さらに、哺乳動物の血液には、血栓溶解に重要な役割を果たすプラスミノーゲン系と呼ばれる線溶系が含有されている。線溶系は、プラスミノーゲン活性化因子(PA)の作用によって、活性酵素プラスミンに変換されるプラスミノーゲンを含有しており、このプラスミンがフィブリンを可溶性分解産物に消化する。組織型(t−PA)およびウロキナーゼ型(u−PA)と呼ばれる2種類の生理学的プラスミノーゲン活性化因子が同定されている。
プラスミノーゲン活性化の阻害は、t−PAとの安定した不活性複合体を形成するプラスミノーゲン活性化因子阻害剤(PAI−1)によって達成される。凝血塊反応性PAI−1のほとんどが血栓内に蓄積し、当初はフィブリン溶解に抵抗を示す。PAI−1レベルの上昇は、全体的に抗フィブリン溶解能を増強させるので、たとえば心筋梗塞や深部静脈血栓症などの重要な血栓発症危険因子となる。
PAI−1が機能的に安定するのは、ビトロネクチン(VN)、すなわち過剰なプラズマグリコプロテインとの複合体に限定される。さらに、VNは、フィブリンに結合するPAI−1で極めて重要な役割を果たす。PAI−1と同様に、高分子量のキニノゲン(HK)もVNに結合し、VNの近位結合部位への結合に際し、PAI−1と競合する。したがって、キニノゲン(HK)は、PAI−1−VN複合体の形成を阻害する、またはこの複合体を引き離し、それにより、PAI活性を漸次低下させる。実際に研究により、キニノゲン(HK)が血液凝固作用よりむしろ抗血栓作用を有することが実証されており、キニノゲン(HK)欠損患者は、血栓症にかかるリスクが高い。Chavakis,T.ら、“A Novel Antithrombotic Role for High Molecular Weight Kininogen as Inhibitor of Plasminogen Activator Inhibitor−1 Function”、Journal of Biological Chemistry、277、36、32677−32682(2002)を参照されたい。
血栓性、塞栓性および/または出血性疾患を予防することのできる作用物質は、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患のリスクが高い患者にとってきわめて有益である。
[[4−(1,4,5,6−テトラヒドロ−4−メチル−6−オキソ−3−ピリダジニル)フェニル]ヒドラゾノ]プロパンジニトリルの(−)鏡像体であるレボシメンダンとその製造法が、EP 565546 B1に開示されている。レボシメンダンは、心臓不全の治療に効能がある。レボシメンダンは、心筋における収縮性タンパクのカルシウム感受性を高めることによって、心臓の収縮性を高める。レボシメンダンは、以下の式によって表される。
Figure 0005074923
ヒトにおけるレボシメンダンの血行動態効果は、Sundberg,S.ら、Am.J.Cardiol.、1995;75:1061−1066およびLilleberg、J.ら、J.Cardiovasc.Pharmacol.、26(Suppl.1)、S63−S69、1995に記載されている。静注および経口投与後のヒトにおけるレボシメンダンの薬物動態については、Sandell、E.−P.ら、J.Cardiovasc.Pharmacol.、26(Suppl.1)、S57−S62、1995に記載がある。心不全患者におけるレボシメンダンの有益な効果は、臨床研究で確認されている。
最近になって、レボシメンダンは、投与後のヒトに存在する活性代謝産物(R)−N−[4−(1,4,5,6−テトラヒドロ−4−メチル−6−オキソ−3−ピリダジニル)フェニル]アセトアミド(II)を有することが明らかとなった。(II)の効果は、レボシメンダンと同様である。心筋内の収縮性タンパク質のカルシウム感受性を高めることを目的とした(II)の使用が、国際公開第99/66932号パンフレットに記載されている。
急性心筋梗塞の治療における血栓溶解剤とレボシメンダンの併用については、国際公開第03/063870号パンフレットに記載がある。ただし、レボシメンダンは抗血栓効果を有する、あるいはレボシメンダンは血栓性、塞栓性および/または出血性疾患のリスクを低減させるという記載はなされていない。
目下、レボシメンダンとその活性代謝産物(II)が、塩感受性ラットモデルにおける脳卒中に伴う脳障害、行動障害および致死の発生率やその障害部位の体積を著しく減少させるということが明らかとなっている。さらに、レボシメンダンは、ラット組織におけるキニノゲン濃度を10倍も高めるということが突き止められた。
これらの結果は、レボシメンダンとその代謝産物(II)が、おそらくはキニノゲン介在効果によって、脳梗塞(脳卒中)などの哺乳動物における血栓性、塞栓性および/または出血性疾患のリスクを低減させることができるということを示唆している。したがって、レボシメンダンおよびその代謝産物(II)は、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の予防に効果があり、特に血栓性、塞栓性および/または出血性の事象を、そのような事象発生リスクの高いヒトなどの哺乳動物において低下させるという点で効果的である。
このように、本発明は、哺乳動物における血栓、塞栓および/または出血性疾患の予防方法であって、このような予防法を必要としている哺乳動物に、有効量のレボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩を投与することを含む方法を提供する。
本発明はまた、血栓性、塞栓性および/または出血性事象のリスクが高い哺乳動物におけるこれら事象発生リスクを低減する方法であって、それを必要としている哺乳動物に、有効量のレボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩を、投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、血管の血栓性または塞栓性閉塞のリスクが高い哺乳動物においてこのような閉塞のリスクを低減させる方法であって、それを必要としている哺乳動物に、有効量のレボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の予防のための医薬の製造における、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩の使用を提供する。
本発明はさらに、血栓性、塞栓性および/または出血性事象のリスクの高い哺乳動物におけるこれらの事象リスクを低減するための医薬の製造における、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩の使用も提供する。
本発明はさらに、血管の出血もしくは血栓性または塞栓性閉塞のリスクが高い哺乳動物におけるこのようなリスクを低減するための医薬の製造における、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩の使用も提供する。
本発明はさらに、出血または血栓や塞栓の形成を防止するための医薬の製造における、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩の使用も提供する。
最後に、本発明は、脳卒中を予防するための医薬の製造における、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩の使用も提供する。
本明細書に記載の「血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の予防」という用語は、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の罹患率または再発率を低減することを意味している。同様に、「脳卒中の予防」という用語も、脳卒中の罹患率または再発率を低減することを意味している。
本明細書に記載の「血栓性および/または塞栓性疾患」という用語は、血栓や塞栓により血管が閉塞もしくは部分的に閉塞した結果生じる、急性または慢性の病理学的状態または病態を意味する。同様に、「血栓性または塞栓性閉塞」という用語は、血栓または塞栓による血管の閉塞または部分的閉塞を意味する。血栓性および塞栓性疾患の例としては、脳梗塞(脳卒中)、一過性虚血性発作および血管性痴呆などの脳血栓性および脳塞栓性疾患、心筋梗塞、急性冠不全症候群、不安定性狭心症および虚血性突然死などの心臓血栓性および塞栓性疾患、さらに肺梗塞または腎梗塞、末梢血管障害および深部静脈血管血栓などが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本明細書に記載の「出血性疾患」という用語は、損傷を受けた血管からの出血に起因する急性または慢性の病理学的状態または病態を意味する。出血性疾患の例としては、脳内出血(ICH)、くも膜下出血(SAH)および脳出血性脳卒中などといった脳の出血が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明の好ましい1つの実施態様は、脳血栓性、脳塞栓性および/または出血性疾患、特に脳梗塞(脳卒中)、一過性虚血性発作(TIA)、脳内出血(ICH)、くも膜下出血(SAH)または血管性痴呆を予防するための方法である。
本発明のもう1つの実施態様によれば、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくは薬学的に許容され得る任意の塩を、心臓の血栓性、塞栓性および/または出血性疾患、特に心筋梗塞、急性冠不全症候群および不安定性狭心症の予防に使用する。
本発明のもう1つの実施態様によれば、心房細動や他の心臓不整脈の抑制とは別に、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩を、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の予防に使用する。本発明のもう1つの実施態様によれば、治療の対象となる患者は、心房細動またはその他の心臓不整脈を発症している患者と発症していない患者とである。
本発明のもう1つの実施態様によれば、上昇した血圧の降下とは別に、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩を、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の予防に使用する。本発明のもう1つの実施態様によれば、治療の対象となる患者は、高血圧症を発症している患者と発症していない患者とである。
本発明のもう1つの実施態様によれば、心筋虚血の抑制とは別に、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩を、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の予防に使用する。本発明のもう1つの実施態様によれば、治療の対象となる患者は、心筋虚血を発症している患者または心筋虚血を発症していない患者である。
血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の高いリスクと結びつけられる条件としては、初期血栓性、塞栓性および/または出血性事象;骨折やその他のけが;長期間安静状態;足の慢性深部静脈機能不全;糖尿病;高血中脂質;アテローム性動脈硬化;心内膜炎;上皮性悪性腫瘍;妊娠;および心臓インタベンション、経皮冠動脈インタベンション、血管形成および人工弁などの外科手術の術後期が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明による方法は、好ましくは凝血塊形成の抑制および/または凝血塊のフィブリン溶解を誘発することによって、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患を予防するのに効果的である、一定量のレボシメンダンまたはその代謝産物(II)もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩を対象に投与することに関する。特定の理論に結び付けないまでも、少なくとも部分的にレボシメンダンがキニノゲンの発現および/または分泌能を亢進することによって、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患を予防すると考えられる。レボシメンダンが、止血バランスに影響を与えずに、すなわち血小板の凝集や血液凝固を有意に阻害することなく、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患を予防することが好ましい。
レボシメンダンまたはその活性代謝産物(II)の投与は、たとえば経口または直腸などの経腸的、静脈注射などの非経口的、経皮的または経粘膜的なものが可能である。
被検者に投与されるレボシメンダンまたはその活性代謝産物(II)の有効量は、治療または予防する病態、投与経路、患者の年齢、体重および病状によって異なる。ヒトにおけるレボシメンダンまたはその活性代謝産物(II)の経口日用量は、一般に約0.05〜約10mgの範囲である。ヒトにおける血栓性、塞栓性および/または出血性疾患を長期的に予防するためには、比較的少ない経口用量、たとえば経口日用量が約0.05〜約5mg、好ましくは約0.1〜約4mg、より好ましくは約0.2〜約3mgが一般的に好ましい。
レボシメンダンは、約0.01〜約5μg/kg/分、より一般的には約0.02〜約3μg/kg/分までの注入速度を用いて静脈内注入によって投与可能である。活性代謝産物(II)は、約0.001〜約1μg/kg/分、好ましくは約0.005〜約0.5μg/kg/分の注入速度を用いて静脈内に投与可能である。
本発明の活性成分は、患者の必要性に応じて、1日1回または1日数回、またはたとえば1週間に1回または2週間に1回など定期的に投与してもよい。
血栓性、塞栓性および/または出血性疾患を予防するためには、経口投与が特に好ましい。特に好ましい活性成分は、レボシメンダンまたはその薬学的に許容され得る塩である。
レボシメンダンまたはその活性代謝産物(II)は、当該技術分野で知られている原理を用いた、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の予防に好適な剤形に処方される。それ自体または好ましくは好適な製剤賦形剤との組み合わせで、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、座薬、乳剤、懸濁液または溶液の剤形で、製剤における活性化合物の含有量が、0.1〜100%/重量として、患者に投与される。組成物に好適な成分を選択するのは、当技術分野の一般的知識を有する当業者の所定の作業である。好適な担体、溶剤、ゲル形成成分、分散液形成成分、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、湿潤性化合物、放出制御成分および本技術分野で一般に使用されているほかの成分を使用してもよいことは、明らかである。
本発明の1つの実施態様によれば、剤形は、好ましくは、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の予防、特には血管の出血または血栓性または塞栓性の閉塞の予防において医薬を使用するためのパッケージ記載取扱説明書と共に、単独の活性剤としてのレボシメンダンまたはその活性代謝産物(II)を含有する。
本発明のもうひとつの実施態様によれば、剤形には、血栓性、塞栓性および/または出血性疾患の予防に有効な任意の他の活性成分と共に、レボシメンダンまたはその代謝産物(II)が含まれる。
錠剤としての剤形における経口投与では、好適な担体および賦形剤として、たとえば、ラクトース、コーンスターチ、ステアリン酸マグネシウム、リン酸カルシウムおよびタルクなどがあげられる。カプセルとしての剤形における経口投与では、有効な担体および賦形剤として、たとえば、ラクトース、コーンスターチ、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクがあげられる。放出制御経口投与組成には、放出制御成分を使用できる。代表的放出制御成分には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸またはそれらの混合物などの親水性ゲル形成ポリマー、硬化大豆油または硬化ヒマシ油(Cutina HRという商標名で販売)、綿実油(SterotexまたはLubritabという商標名で販売)またはそれらの混合物などの植物性固形油などの植物性油脂、たとえば、トリステアリン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル(Compritolという商標名で販売)およびグリセリルパルミトステアリン酸エステルなどの、飽和脂肪酸のトリグリセリド類またはそれらの混合物などの脂肪酸エステルがあげられる。
錠剤は、活性成分を担体および賦形剤と混合し、粉末混合物を圧縮して錠剤に成型することで製造できる。カプセルは、活性成分を担体および賦形剤と混合し、たとえば硬ゼラチンカプセルなどのカプセルにその粉末混合物を封入することで製造できる。通常、錠剤またはカプセルには、約0.05〜10mg、より一般的には約0.2〜4mgのレボシメンダンまたはその活性代謝産物(II)が含まれる。
注射用または注入用剤形などの静脈内投与に好適な製剤には、レボシメンダンまたはその活性代謝産物(II)の滅菌等張液およびビヒクル、好ましくは水溶液が含まれる。通常、静脈内注入液には、約0.01〜0.1mg/mlのレボシメンダンまたはその活性代謝産物(II)が含まれる。
レボシメンダンまたはその活性代謝産物(II)の塩は、既知の方法によって製造してもよい。薬学的に許容され得る塩は、活性薬剤として有効ではあるが、好ましい塩は、アルカリまたはアルカリ性土類金属による塩である。
製剤例
実施例1.経口カプセル
硬ゼラチンカプセル サイズ3
レボシメンダン 2.0mg
ラクトース 198mg
レボシメンダンをラクトースと混合し、硬ゼラチンカプセルにその粉末混合物を封入することで、カプセルとしての剤形の医薬製剤を製造した。
実施例2.静脈注入用原液
(a)レボシメンダン 2.5mg/ml
(b)Kollidon PF12 10mg/ml
(c)クエン酸 2mg/ml
(d)無水エタノール 添加(ad)1ml(785mg)
クエン酸、Kollidon PF121およびレボシメンダンを、攪拌しながら滅菌調剤容器内で無水エタノールに溶解することで、原液を製造した。生成されたバルク溶液を滅菌フィルタ(0.22μm)で濾過した。次に、8mlと10mlの注射液瓶に、滅菌フィルタで濾過した溶液を無菌状態で充填し(5mlと10mlの充填量)、ゴム製の栓で封をした。
使用前に、静脈内注入用原液を水性ビヒクルで希釈した。通常、原液は、レボシメンダンの量が一般に約0.001〜1.0mg/ml、好ましくは約0.01〜0.1mg/mlの範囲内であるような、水性静脈注入液が得られるように、5%のブドウ糖溶液または0.9%のNaCl溶液などの、水性等張性ビヒクルで希釈する。
実験
実験1.塩分感受性ラットモデルにおける死亡率に対する効果
Dahl塩分感受性ラットの初期段階死亡率に対するレボシメンダンの効果について調査研究した。塩分の多い食餌のDahl塩分感受性ラットは高血圧症を発症し、死亡率が上昇した。高血圧症の初期段階では、死亡にいたった原因は、ほぼ完全に脳卒中と突然死にある。Qu,P.ら、Hypertens.Res.,2000;23:613−623を参照されたい。
6週齢の雄Dahl塩分感受性ラット(SS/JrHsd)に対し、次の食餌と投薬計画を7週間にわたって適用した。1)塩分の多い食餌のDahl SS対照、2)塩分の多い食餌+高用量のレボシメンダン(飲料水中に10mg/lのレボシメンダン)のDahl SSラット、3)塩分の多い食餌+低用量のレボシメンダン(飲料水中に1mg/lのレボシメンダン)のDahl SSラット、および4)塩分の少ない食餌のDahl SS対照。塩分の多い食餌は、市販の塩分の少ない食餌にNaClを添加することによって調製した。
初期生存率試験結果を、カプラン−マイヤープロットとして図1に示す。塩分の多い食餌では38%(9/24)のラットだけが、7週間のフォローアップ調査期間生存していた。低用量レボシメンダン群(n=12)におけるラットはいずれも死にいたることはなく、12匹からなる高用量レボシメンダン群のラットのうち3匹だけが死亡した。したがって、レボシメンダンは、塩分感受性ラットの初期段階死亡率を大幅に低下させ、脳卒中関連の死亡率に対してレボシメンダンが有益な効果があることを示唆している。
実験2.塩分感受性ラットモデルにおける脳卒中発症率に対する効果
磁気共鳴映像法(MRI)および行動試験(ニューロスコアおよび機能観察総合評価法(FOB))を用いて、Dahl塩分感受性ラット脳卒中モデルにおける脳卒中発症率に対するレボシメンダンの効果を調査研究した。
Dahl SSラットは、3種類の治療群に分類した。すなわち、塩分の多い食餌+ビヒクル(n=20)、塩分の多い食餌+レボシメンダン1mg/kg/日(n=20)および通常塩分の食餌の対照(n=4)である。塩分の多い食餌は、市販の塩分の少ない食餌に、約7%のNaClを含有させたものである。塩分の多い食餌を6週齢から与え始め、本調査研究が終了するまで7週間継続した。レボシメンダンは、飲料水により(飲料水中に2mg/lのレボシメンダン)投与した。レボシメンダンの投与は、塩分の多い食餌を与え始めた時期と同時に開始し、本調査研究が終了するまで継続した。飲料水および食餌の消費量、さらには実験動物の体重および全体的健康状態を観察した。第2〜8週のあいだ、1週間に1回の頻度でMRIを実施した。FOBおよび7ポイントニューロスコア試験を、第1〜3週のあいだは週1回、第4〜8週のあいだは週2回それぞれ実施した。
死亡率
対照用食餌を与えた実験動物はすべて、本調査研究が終了するまで生存していた。レボシメンダン群のうち、死亡したのはわずか1匹(5%)で、ビヒクル投与群の死亡率は、本調査研究の終了時には、70%に達した。
インビボMRI
4.7T水平磁石(Magnex Scientific Ltd.)に接続したVarian Inovaコンソールを用いた拡散およびT2−ウエート付けMRIを、ハロセン麻酔をかけたラットに対して、1週間に1回行った。T2ウエート付け映像法および定量的拡散映像法を用いて、病変部の大きさを測定し、Dahl SSラットにおける信憑性のある虚血性病変部の特徴づけを行った。典型的な病変部は不均一で、異なるMRI特徴を有するいくつかの異なる領域からなる。実際には、異常が検出されたすべてのラットにおいて、T2ウエート付け映像法で高血圧症が認められた。これは、虚血組織に通例認められる浮腫性組織として解釈され、一般には、血流血管の閉塞後〜12〜24時間内に検出される。さらに、虚血性疾患の実験動物の大部分で、高血圧病変領域内の局部的シグナルボイド領域が認められた。本調査研究で使用した高磁場(4.7T)では、任意の鉄磁石物質が磁場の均質性を局部的に崩壊させ、T2ウエート付け映像法における信号の破壊を生じさせる。血中のヘモグロビンには鉄(Fe)が含まれているので、これは、出血に関する特徴的なMRIの特色である。このように、本調査研究で検出された病変部のほとんどすべてが、出血に関連するとして特徴付けることができる。
ビヒクル処置動物は、レボシメンダン治療群と比較して、脳卒中の発症率が高く、脳卒中の病変部の体積も大きかった。本調査研究6週目に、ビヒクル処置動物の50%より多くに、T2ウエート付けMRIに顕著な変化が認められ、一方、同時期におけるレボシメンダン治療群には、変化は認められなかった。最終MRI測定では、検出可能なT2ウエート付けMRIの変化は、レボシメンダン治療動物で10%、ビヒクル処置動物で85%であった(表1)。略語:LS、レボシメンダン
Figure 0005074923
エクソビボMRI
エクソビボ映像法用に、死後の脳を頭蓋骨から剥離し、4%のホルマリンに48時間浸漬し、その後0.1M PBS内に保管した。脳をペルフルオロポリエーテル内に組み込み、SMISコンソールに接続した9.4T磁石(オックスフォード)でMRIを実施した。異常な強度とシグナルボイド領域との解釈は、インビボ試験に関して記載した解釈にしたがう。エクソビボ試験では、重大な浮腫や破壊された組織構造が認められる成熟病変部しか検出できない。インビボで検出可能であるような、初期T2コントラストは、エクソビボ試験では目で確認することができない。エクソビボ試験における知見は、虚血性病変部の大部分が出血にかかわりがあるという見解を裏付けている。エクソビボMRIはさらに、ビヒクル処置動物が、レボシメンダン治療群と比較して、脳卒中の発症率が高く、脳卒中病変部の体積が大きいことも明らかにした(表2)。略語:LS、レボシメンダン。
Figure 0005074923
行動試験
第1〜3週のあいだには1週間に1回、第4〜8週のあいだには1週間に2回、機能観察総合評価法(FOB)およびニューロスコア試験をそれぞれ実施した。
a)ニューロスコア試験
7ポイントニューロスコア試験を、運動および行動における欠陥を評価するために使用した(Zausingerら、Brain Res.863:94−105、2000から改変)。ラットの治療状況を知らされていない治験担当医によって、神経系の試験が行われた。7ポイントスケールは、下記のとおりであった。
等級6:尾部を持って静かに持ち上げたときに、両前肢が床方向に正常に伸びる。
等級5:尾部を持って静かに持ち上げたときに、前肢のどちらかが一貫して屈曲しており、その程度は、軽度の手首屈曲および肩の内転から、手首および肘の完全屈曲ならびに内転している肩の完全屈曲まで変化する。
等級4:横方向のどちらか一方に押したときの抵抗が、一貫して弱い。
等級3:尾部を持って引っ張ったり、持ち上げたりすると、左右どちらかの方向に回転する。
等級2:尾部を持って引っ張ると、左右どちらかの方向に回転する。
等級1:左右どちらかの方向に自発的に回転する。
等級0:自発的動作が認められない。
結果:
対照群の動物および、レボシメンダン投与群の動物のスコアは、全試験を通じて最大であったが、ビヒクル処置群のスコアは試験の第5週目から低下し始めた。
b)FOB
標準化された手順にしたがって、全ラットを観察した。これらの手順では、ホームケージ内の解放された領域で動作しているラットの観察および、全操作試験でのラットの観察を行った。測定法は下記のとおりである。
(1)ホームケージ内測定
体位、呼吸、発声および眼瞼閉鎖状態。
(2)把持観察
持ち上げたときの反応、ハンドリング、流涙、流ぜん、立毛、そのほか(被毛、噛み跡、爪の欠損、痩せ、など)。
(3)新しい環境/広いフィールド行動
飼育(rearing)I(ラットが前足を使用しない)の数、飼育II(ラットが壁に寄りかかっている)の数、慢性的な無意識な動作、緊張性の無意識な動作、歩行、活動、常同動作の発生、異常行動、排便回数および排尿回数。
(4)刺激反応
接近反応、接触反応、眼瞼反射、耳介反射、音声反射および尾部つまみ反応。
(5)神経および筋肉測定
腹部の状態、四肢の状態および握力強度。
(6)直腸体温
(7)そのほかのデータ
目の色、気道粘液分泌および末梢血液循環(耳介、つま先、尾部および鼻)。
結果
レボシメンダンは、FOB試験で観察された脳卒中に関連する行動上の欠陥を大幅に低減し、発症を遅らせることが明らかとなった。
要するに、本実験では、予防のために治療を開始した場合、Dahl SSラットにおいて脳卒中にかかわる死亡率、脳の病変の発症と病変部の体積および行動障害を、レボシメンダンが低減する、および/または発症を遅らせることが実証された。
実験3.キニノゲン発現に対する効果
方法
8日間、ラットに水道水中に混入させた20mg/lのレボシメンダンを経口投与し、対照群のラットには、水道水だけを与えた。心臓を液体窒素で凍結し、−80℃で保管した。心臓の組織を、一晩、氷上で凍結乾燥させ、9Mの尿素、20mMのTris−HCl pH7.4、50mMのKCL、3mMのEDTA pH7.5、0.5%のIPG緩衝液 3〜10NL、5mM PMSF、1%DTTおよびベンゾアーゼ100単位からなる溶解緩衝液内で、室温で10分間、インキュベートした。次に、タンパク質溶液を15秒間ずつ2回、超音波で分解し、14000rpmで5分間遠心分離した。上清を回収し、バイオラッド(BioRad)社のタンパク質検定キットに基づいて、タンパク質の量を測定した。40μgのタンパク質溶液を、7Mの尿素、2Mのチオ尿素、2mMのTBP、0.5%のIPG緩衝液 3〜10NL、4%のCHAPSおよび0.2%のBFBからなる、350μlの再水和緩衝液内で、室温で30分間、インキュベートした後、14000rpmで5分間、遠心分離した。
350μlの上清を、18cm、pH3〜10NLのIPGストリップ(アマシャム ファルマシア バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech))上に載せ、これらストリップをストリップホルダー内に置いた。600μlのパラフィノイルを各ストリップの上に適用した後、これらのストリップを、下記の計画にしたがって、IPGphor電気泳動ユニット上で泳動させた。
0V 7時間
20V 7時間
100V 5時間
500V 1時間
1000V 1時間
3000V 1時間
8000V 5.5時間
対象としたストリップを、6Mの尿素、50mMのTris−HCl、pH8.8、2%のSDS、30%のグリセロール、2%のDTT、2.5%のヨードアセトアミドおよび0.2%のBFBからなる緩衝液で、室温で2×10分間平衡化した。次に、これらのストリップを11%のSDS−PAGEに付し、0.75%のアガロースで被覆した後に、4℃、100Vで、4時間電気泳動させた。アマシャム ファルマシア バイオテク社から市販されているキット(PlusOne)にしたがって、銀染色法によりSDS−PAGEゲルを染色した。染色後、画像濃度計(校正済み濃度計GS−710、バイオラッド社)でゲルをスキャンした。銀染色ゲルをPD−QUEST(6.2)2−DEソフトウェア(BIO−RAD)により解析した。タンパク質のスポット検出およびゲルの修飾後、レボシメンダン投与治療ラット心臓の3個のレプリカ培養物および、対照の3個のレプリカ培養物からなる、6個のゲルから適合セットを構成した。レボシメンダン標本を対照標本と比較することによって、ゲル分析を行った。比較差タンパク質発現の閾値として、O.D.における2倍の差を用いた。
PD−QUEST分析に基づき、染色されたタンパク質スポットをゲルから切り取り、銀で染色されたゲルのスライスをー20℃で保管した。ゲル内消化手順(Rosefeld,J.ら、Anal.Biochem.、203:173−179、1992)にしたがって、質量フィンガープリント法のためのタンパク質消化を実施した。消化させる前に、タンパク質を還元およびアルキル化した。0.04μg/μlの濃度の2μlの修飾済みトリプシン溶液(Sequencing Grade Modified trypsin、ポルシン、プロメガ)で、タンパク質を消化した。
標本はすべて、逆相ピペットチップC18(ZipTip、ミリポア)を用いて調製した。50%のアセトニトリルおよび0.1%のトリフルオロ酢酸で希釈した、シアノー4−ヒドロキシ桂皮酸で、標本3μlを溶出させ、同標本をMALDI−TOF標本プレート上にアプライした。標本は、TOF質量スペクトロメーター(Voyager−DE PRO)内で分析した。質量分析は陽イオン化モードで完結させ、飛行時間形親質量演算の質量範囲は、500〜3500MHzで変化した。Expsy Molecular BiologyサーバーPeptIdentで、MS−適合プログラムによって、取得したペプチドの質量を分析した。
結果
2−DEゲル上で、レボシメンダン/対照のラットの心臓抽出物を分析し、銀染色分析に基づいて、全体として、約1500スポットを取得した。スイスプロット識別番号P08934 鎖1:分子量68.9kDaのキニノゲン−Rattus noversicus pI6.22に適合するタンパク質で、10倍のプロテイン発現の亢進が認められた。
レボシメンダンにより治療していない、塩分の多い食餌のDahl塩分感受性ラット(Dahl HS)および塩分の少ない食餌群のDahl塩分感受性ラット(Dahl LS)の生存率(%)と比較した、2種類の用量のレボシメンダンで治療された、塩分の多い食餌群におけるDahl塩分感受性ラット(Dahl HS+レボ1およびDahl HS+レボ10)の生存率(%)を示す。

Claims (2)

  1. 血小板の凝集または血液凝固を有意に阻害することなく、脳梗塞(脳卒中)を予防するための医薬の製造における、レボシメンダンまたはその代謝産物(R)−N−[4−(1,4,5,6−テトラヒドロ−4−メチル−6−オキソ−3−ピリダジニル)フェニル]アセトアミド(II)、もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩の使用。
  2. 血小板の凝集または血液凝固を有意に阻害することなく、脳梗塞(脳卒中)のリスクを低減するための医薬の製造における、レボシメンダンまたはその代謝産物(R)−N−[4−(1,4,5,6−テトラヒドロ−4−メチル−6−オキソ−3−ピリダジニル)フェニル]アセトアミド(II)、もしくはそれらの薬学的に許容され得る任意の塩の使用。
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