JP5074815B2 - 物流用板材 - Google Patents
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Description
しかし、ベニヤ板は、繰返し使用で、ささくれて木屑が発生することや、森林の枯渇の問題からベニヤ板自体の供給が困難となるという問題がある。
これらの問題から、ベニヤ板に替わるものとして緩衝用途でプラスチック製発泡板や、プラスチック製中空構造板が広く使用されているが、重量物を積載する場合や、少し曲げて使いたい場合には、摩擦係数が小さいと、積載物が滑ってしまう場合があり、これらの使用条件が重なると、以下のような理由で使用できない。
すなわち、プラスチック製軟質発泡板は、柔軟性はあるが、圧縮強度に乏しく、大きな衝撃を受ける可能性のある用途や、或いは重量物等の緩衝材には不向きである。
また、プラスチック製硬質(低倍率)発泡板は、圧縮強度は高いが、柔軟性に乏しく、かつ、重いので実使用上の問題がある。
また、ツインコーンの芯材のみからなるツインコーン中間体は、圧縮強度が強く、柔軟性もあるが、物を載せた際に滑りやすく、また、埃が中空錐台状の凸部内面に入り、掃除がし難いという問題があった。
以上、パレット等に載置して使用される板材であって、比較的大きな衝撃や、重量物に適した軽量のプラスチック材料からなる物流用板材は、未だ開発されていない。
すなわち、本発明は、
(1)熱可塑性樹脂シートに突設された中空円錐台状の凸部同士を突き合せた状態で熱融着してなる芯材の両面に、熱可塑性樹脂シートからなる表面材を貼り合わせた中空構造板の両方の表面材又はその表面層を、軟質樹脂で形成してなる物流用板材であって、
前記芯材が曲げ弾性率500〜3000Mpaのポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなり、前記表面材又は表面層が、曲げ弾性率250Mpa以下のポリオレフィン系軟質樹脂からなり、かつ、
前記芯材の中空円錐台状の凸部が、下底部直径3〜16mm、上底部直径1.5〜4mm、高さ3〜13mm、隣接する円錐台状凸部の隙間間隔10mm以下、シート厚さ0.1〜1.0mm、円錐台状凸部のテーパー角度が60〜80度である、
ことを特徴とする物流用板材、
(2)物流用板材のJIS Z 0403−1に準拠した荷重速度10mm/分での平板圧縮試験による、平面圧縮強度が300〜3000kN/m2である前記(1)に記載の物流用板材、
(3)物流用板材の表面材又は表面層の動摩擦係数がJIS K 7125に準拠した摩擦係数試験方法において、0.40以上である前記(1)又は(2)に記載の物流用板材、(4)側部端面開口部をシールしてなる前記(1)〜(3)のいずれかに記載の物流用板材、
を提供するものである。
本発明における物流用板材とは、工場の製造ライン内、、段積み、製品倉庫、配送基地、ストックヤード、販売店、ユーザー等の積載、輸送等に緩衝等の目的で使用される板材をいう。
本発明の物流用板材に用い得る芯材は、熱可塑性樹脂シートに多数突設された中空錐台状の凸部同士を突き合せた状態で熱融着されたものであって、本出願人によるWO2003/080326号パンフレットに開示された中空構造板の製造方法によって製造することができ、ツインコーンの商品名で市販されている中空構造板の中間体である。
本発明において、中空錘台状とは、中空円錐台状又は中空角錐台状をいい、これらのいずれであってもよい。
以下に、本発明の物流用板材の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本実施形態における物流用板材を示す概略断面図である。
中空突起体シート1の剛性を高める目的で、フィラーを副材料として配合しても良い。
副材料は、特に限定されるものではないが、コスト面、成形性、取り扱い性等とのバランスを考慮すると、タルク、炭酸カルシウム等が好ましい。フィラーの添加量が増加すると、コスト高、比重の増大につながるので、これらのバランスを考慮すると、添加量は総重量に対してタルクの場合は5〜30質量%、炭酸カルシウムの場合は20質量%程度以下とするのが好ましい。
さらに、前記フィラーの他に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、抗菌剤、難燃剤、光安定剤、滑剤等を必要に応じて添加もしてもよい。
図2(a)に示す中空突起体シート1aは、複数の凸部13が中空突起体シートベース面の一方の面に規則的に設けられ、下底側が開口した中空円錐台状をなすものであって、この実施の形態においては、本体部12の長手方向に沿って所定の間隔ごとに凸部13を一列に設けて凸部列14を構成し、このような凸部列14を中空突起体シートベース面12の幅方向に所定の間隔ごとに複数列設けて構成している。凸部の形状は、中空角錐台状(図示省略)であってもよい。以下、中空円錐台状の凸部のものにより説明する。
各凹部15は、内面が先端(最深部)から根元(開口端部)にかけて次第に直径が増大するテーパー面の円錐形状の空間に形成されている。各凹部15は、同一形状、大きさに形成されている。
また、各凸部13の下底部直径は3〜16mm、上底部直径1.5〜4mm、隣接する円錐台状凸部の隙間間隔は10mm以下、凸部の高さは3〜13mmとする。隣接する円錐台状凸部の隙間間隔は、10mm以上となると、耐圧性が不足しやすくなる。凸部の高さが3〜13mmであれば、芯材の中空突起体シートとして、耐圧性を有し、かつ、繰返しの使用においても、変形、へたりが少ない。
本発明の物流用板材としての芯材は、上記の中空突起体シート1a、1bを2枚同時に成形し、凸部13を熱融着して製造され、前述の如く芯材1は、例えば、WO2003/080326号パンフレットに記載の製造方法により得ることができる。なお、その寸法形状は、全体厚みは、基本的には一方の中空突起体シートの2倍ものが用いられる。
2枚の中空突起体シートは、必ずしも同一寸法あるいは、同一材質のものを用いる必要はなく、異なる寸法、異なる材質のものを組合せてもよい。しかし、物流用板材として、平面性を要求される場合は、2枚の中空突起体シートに、同一寸法あるいは、同一材質のものを用いると、厚み方向の中立軸に対して、対称になって、反りが生ずることが少ないので、好ましい。
平面圧縮強度が300〜3000kN/m2の範囲であれば、通常の物流用板材としての耐圧性を備え、繰返し使用後においても、クリープ等によるへたり(厚み減少)も少ない。
芯材の片側のシートの構成
(材質)ポリプロピレン系樹脂
(突起形状)中空円錐台
(配置)千鳥格子
(先端部径)φ2mm
(基部径)φ6mm
(凸部の隙間間隔 D)2mm
(突起の山高さ)6mm
(シート厚さ)[シート部]0.75mm
[突起もしくはその近傍における最薄部]0.45mm
(先端部間の最短距離に対する基部間の最短距離の比) 距離C:距離D=3:1
(平面圧縮強度)約2300kN/m2
(目付け)750g/m2
(厚み)12mm
(目付け)1500g/m2
本発明に用いられる、軟質樹脂としては、曲げ弾性率が250Mpa以下、さらに好ましくは、150〜30Mpaの範囲のものが好ましい。
軟質樹脂としては、ポリエチレン(超低密度ポリエチレン、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレンなど)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのオレフィン系共重合体を挙げることができる。
芯材にポリオレフィン系の樹脂を用い、表面材全体に軟質樹脂を用いる場合の軟質樹脂としては、特にポリオレフィン系軟質樹脂を用いることが好ましく、プロピレン・エチレン共重合体であって、例えば、株式会社プライムポリマーより「ポリオレフィン系軟質樹脂プライムTPO」として市販されているものを挙げることができる。
表面層のみに軟質樹脂を使用する場合は、直接芯材に軟質樹脂を貼り合わせてもよいし、芯材に熱可塑性樹脂シートからなる表面材を貼り合わせた後、その上層に表面層としての軟質樹脂をラミネートするか、表面材の熱可塑性樹脂と軟質樹脂とを複層で共押出ししてもよい。
例えば、パレット表面の滑り止め加工などが施されていれば、パレット表面と接する面は、必ずしも軟質樹脂で形成されていなくてもよい。
本発明の物流用板材において、両面の表面材又はそれらの表面層を軟質樹脂で形成した場合には、パレット、物流用板材、積載物品の全体が相互に滑りにくくなって、輸送時の積荷の安定を図ることができる。
動摩擦係数が0.40以上であれば、物流用板材上に積載した物品(荷物)が滑らない状態で輸送できる。
また、端面の厚みに応じた専用のシール部材を接着、嵌着などし、脱落しないようにしてもよい。
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー製、E601、ポリプロピレンブロックコポリマー、MI=0.5g/10分、曲げ弾性率 1,300Mpa)90質量%に、タルク含有率70質量%のマスターバッチ(竹原化学工業製、MAX2070T)のフィラーを10質量%添加し、ドライブレンドしたものを主原料とした。
前記原料を平行に配置された2台の溶融押出機に供給し、各々のTダイより幅1360mm、厚み1.0mmの溶融樹脂シート状で押出し、真空チャンバ内に回転可能に配置された上下一対のエンボスローラの各周面に溶融樹脂シートを真空吸着させ、エンボスローラを回転させることにより、エンボスローラに突設されたピン形状に応じて樹脂シートに規則的に配置された多数の筒状突起体を有するシート状物を得、両エンボスローラの接線位置で、中空突起体の先端部分を熱融着して一体化し、目付け1500g/m2の芯材を得た。なお得られた芯材は、芯材の突起は、中空円錐台状であって、突起の配置が千鳥格子状、中空円錐台の先端部径がφ2mm、基部径がφ6mm、凸部の隙間間隔が2mm、円錐台の高さが6mmであり、シート部の厚さが0.75mm、突起もしくはその近傍における最薄部が0.45mm、突起先端部間の最短距離に対する基部間の最短距離の比が3:1のものである。
さらに、この芯材の表裏両面に、株式会社プライムポリマー製ポリオレフィン系軟質樹脂〔商品名;プライムTPO、グレード名;R110E(曲げ弾性率 58Mpa)〕をシート状に押出して、表面材の厚み0.5mm、目付け500g/m2の軟質樹脂シートを熱融着により芯材の表裏両面に貼り合わせた全体厚みが13mm、目付け2500g/m2の物流用板材を得た。
この物流用板材の動摩擦係数を、JIS K 7125「プラスチックフィルム及びシート−摩擦係数試験方法」に準拠してn=3で測定した平均動摩擦係数は0.46であった。
1100×1100mmの木製パレット上に、本実施例1の物流用板材を載置し、その上の一個の重量が18kgで、梱包後の底面の大きさが24cm×24cmで高さが32cmの金属製18L缶を16個並べ、一パレット当たりの重量を288kgとし、全体をストレッチフィルムでラップ梱包した。
この梱包体のフォークリフトによる運搬テストとして、500mの横移動及び、段積み、降ろしテストを行ったが、パレットからの梱包物のずれ等の問題はなく安定した運搬、積み上げ、積み下ろしが可能であることが確認された。
実施例1において、同一の芯材の両面に実施例1の軟質樹脂に代えて、芯材と同一のポリプロピレン系樹脂を用いた他は同様にして、表面材の厚み0.5mm、目付け500g/m2のポリプロピレン系樹脂シートを熱融着により芯材の表裏両面に貼り合わせた全体厚みが13mm、目付け2500g/m2の物流用板材を得た。
この比較例1の物流用板材の動摩擦係数を、実施例1と同様に測定したところ平均動摩擦係数は0.29であった。
実施例1同様に梱包体のフォークリフトによる運搬テストを行ったが、横移動において、物流用板材と積載物との間で滑りが生じ、積載した荷物が全体に傾き、段積みするには不安定な状態となった。
比較例1において、両表面材を用いることなく、実施例1の芯材のみによる場合における物流用板材としての性能を測定した。
実施例1と同様の測定方法による平均動摩擦係数は0.33であった。
また、実施例1同様に梱包体のフォークリフトによる運搬テストを行ったが、横移動において、物流用板材と積載物との間で滑りが生じ、積載した荷物が全体に傾き、段積みするには不安定な状態となった。
なお、この芯材のみによる板材を物流用板材として使用する場合には、中空凸状部の内面側の凹部に埃などが沈積し易いという欠点も有しており、物流用板材としては、不適当であった。
1a、1b 中空突起体シート
2、2a、2b 表面材
10 物流用板材
12 中空突起体シートベース面
13 下底側が開口した中空円錐台状凸部(凸部)
14 凸部列
15 開口部
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂シートに突設された中空円錐台状の凸部同士を突き合せた状態で熱融着してなる芯材の両面に、熱可塑性樹脂シートからなる表面材を貼り合わせた中空構造板の両方の表面材又はその表面層を、軟質樹脂で形成してなる物流用板材であって、
前記芯材が曲げ弾性率500〜3000Mpaのポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなり、前記表面材又は表面層が、曲げ弾性率250Mpa以下のポリオレフィン系軟質樹脂からなり、かつ、
前記芯材の中空円錐台状の凸部が、下底部直径3〜16mm、上底部直径1.5〜4mm、高さ3〜13mm、隣接する円錐台状凸部の隙間間隔10mm以下、シート厚さ0.1〜1.0mm、円錐台状凸部のテーパー角度が60〜80度である、
ことを特徴とする物流用板材。 - 物流用板材のJIS Z 0403−1に準拠した荷重速度10mm/分での平板圧縮試験による、平面圧縮強度が300〜3000kN/m2である請求項1に記載の物流用板材。
- 物流用板材の表面材又は表面層の動摩擦係数がJIS K 7125に準拠した摩擦係数試験方法において、0.40以上である請求項1又は2に記載の物流用板材。
- 側部端面開口部をシールしてなる請求項1〜3のいずれかに記載の物流用板材。
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