近年、マルチホップ通信のスループットの向上を目的とした、ネットワーク符号化(NC)技術が注目されている。ネットワーク符号化技術は、マルチホップ中継を行うネットワーク上の中継局において複数の情報系列を線形符号化(代表的な例として、排他的論理和が挙げられる)し、複数のマルチキャスト通信やユニキャスト通信を多重化した上で複数の宛先局に送信し、各宛先局において復号操作を行う。これにより、ネットワーク符号化を用いない場合に比べてスループットの向上を図ることができる。
ネットワーク符号化を用いたマルチホップ無線ネットワークでは、無線通信の同報性とネットワーク符号を活用することにより、スループットの向上を実現する。中継局の役割を果たすノードは、複数の送信局ノードから受信したフレームを線形符号によって符号化し、受信局に中継する。受信局は、他のノードから受信したフレームあるいは自身が保持しているフレームを用いて、符号化されたパケットを同様の線形符号によって復号し、元の情報を得ることができる(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
以下では具体例として、ネットワーク符号化技術が適用できる代表的なマルチホップ無線トポロジである、Alice & Bobトポロジを挙げて、従来の無線によるネットワーク符号化技術を説明する。なお、ネットワーク符号化及び復号には、排他的論理和を用いるものとする。
図16は、Alice & Bobトポロジの構成を示す図である。同図に示す無線マルチホップトポロジにおいて、両端の端末局であるノードN1(node-N1)とノードN2(node-N2)が、互いに中継局であるノードR(node-R)を介して情報のやり取りを行う場合について考える。本トポロジの目的は、ノードN1およびノードN2が、自身の保持する情報を情報フレームとして無線チャネルを用いて送信するとともに、相手方としての端末局から情報フレームを受信することである。なお、単一の周波数チャネルを全ての局で共有することを前提とする。即ち、ある局が情報フレームの送信を行っている間、他の全ての局は同時刻に情報フレームを送信しないものとする。
図17は、ネットワーク符号化を用いない場合のAlice & Bobトポロジにおける通信手順を示す。ネットワーク符号化を用いない場合の通信手順は、以下のようになる。
(1)時刻T1において、ノードN1が情報フレームAをノードRに送信する。ノードRは情報フレームAを受信する。
(2)時刻T2において、ノードRが情報フレームAをノードN2に送信する。ノードN2は情報フレームAを受信する。
(3)時刻T3において、ノードN2が情報フレームBをノードRに送信する。ノードRは情報フレームBを受信する。
(4)時刻T4において、ノードRが情報フレームBをノードN1に送信する。ノードN1は情報フレームBを受信する。
上述のような手順が必要であるため、ノードN1とノードN2が互いに情報をやり取りするためには4つのタイムスロットが必要となる。
一方、図18は、ネットワーク符号化を用いた場合のAlice & Bobトポロジにおける通信手順を示す。ネットワーク符号化を用いた場合の通信手順は、以下のようになる。
(1)時刻T1において、ノードN1が情報フレームAをノードRに送信する。ノードRは情報フレームAを受信する。
(2)時刻T2において、ノードN2が情報フレームBをノードRに送信する。ノードRは情報フレームBを受信する。
(3)時刻T3において、ノードRが情報フレームAと情報フレームBに対してネットワーク符号化を行い、情報フレームXを生成する。このネットワーク符号化により生成された情報フレームを符号化情報フレームと呼ぶ。なお、ネットワーク符号化には、情報フレーム同士のビット毎の排他的論理和がよく用いられる。ノードRは、符号化情報フレームXをノードN1およびノードN2に対して同報送信する。ノードN1は、自身が時刻T1において送信した情報フレームAと時刻T3において受信した符号化情報フレームXとを用いてネットワーク復号を行うことにより、情報フレームBを取得する。同様に、ノードN2においても、自身が時刻T2において送信した情報フレームBと時刻T3において受信した符号化情報フレームXとを用いてネットワーク復号を行うことにより、情報フレームAを取得する。ネットワーク復号には、ネットワーク符号化同様、情報フレーム同士の排他的論理和が用いられる。
上記の手順を行なうことにより、必要となるタイムスロット数が3となる。ネットワーク符号化を用いない場合と用いた場合を比較すると、ネットワーク符号化を適用することにより、ノードN1とノードN2が情報のやり取りを行うために消費するタイムスロット数が3/4になる。すなわち、ネットワーク符号化の適用によるスループット増大効果(これを「ネットワーク符号化利得」と呼ぶ。また、「NC利得」と略記する。)はその逆数の4/3となる。
また、符号化情報フレームに対してネットワーク復号処理を行う際に用いる情報フレームを鍵情報フレームと呼ぶ。たとえば、ノードN1においては、符号化情報フレームXから情報フレームBを取得するために用いる情報フレームAが鍵情報フレームとなり、ノードN2においては、符号化情報フレームXから情報フレームAを取得するために用いる情報フレームBが鍵情報フレームとなる。
図19は、上記において説明した従来のネットワーク符号化を用いたマルチホップシステムにおけるノードN1、ノードN2としての端末局8の構成を示すブロック図である。端末局8は、情報フレーム生成部8−1、鍵情報フレーム記憶部8−2、変調部8−3、TDDスイッチ8−4、送受信アンテナ8−5、復調部8−6、ネットワーク復号部8−7、情報フレーム選択部8−8、及び、誤り検出部8−9を備えて構成される。
図20は、上記において説明した従来のネットワーク符号化を用いたマルチホップシステムにおけるノードRとしての中継局9の構成を示すブロック図である。中継局9は、送受信アンテナ9−1、TDDスイッチ9−2、復調部9−3、誤り検出部9−4、情報フレーム記憶部9−5、ネットワーク符号化部9−6、情報フレーム選択部9−7、変調部9−8を含んで構成される。
いま、2台の端末局8がそれぞれノードN1およびノードN2であり、ノードRが中継局9であるとし、図18に示される通信手順を行った場合における各機能ブロックの動作を以下に説明する。
時刻T1において、ノードN1としての端末局8には、送信すべき情報が存在し、情報フレーム生成部8−1は、送信データと制御情報、誤り検出用のフレームチェック系列(以下、「FCS」と略記)から構成される情報フレームAを生成する。情報フレームAは、変調部8−3において無線信号に変調が行われると同時に、鍵情報フレーム記憶部8−2に鍵情報フレームとして記憶される。この記憶された鍵情報フレームは、後述する通り時刻T3においてネットワーク復号を行う際に用いられる。TDDスイッチ8−4は、変調部8−3と送受信アンテナ8−5とを接続し、変調部8−3によって変調が行われた情報フレームAは、送受信アンテナ8−5により無線信号として中継局9へと送信される。
中継局9においては、ノードN1としての端末局8から送信された情報フレームAを送受信アンテナ9−1により受信する。TDDスイッチ9−2は、送受信アンテナ9−1と復調部9−3を接続する。復調部9−3は、無線信号として受信した情報フレームAを復調して情報系列へと復元し、誤り検出部9−4は、FCSを用いて情報系列が正しく復号されたかを判定する誤り検出処理を行なう。正しく復号された情報フレームAについては、情報フレーム記憶部9−5に記憶される。正しく復号されなかった場合は、破棄される。
時刻T2において、ノードN2としての端末局8についても、時刻T1におけるノードN1としての端末局8と同様の動作を行う。ここでは、情報フレームBが無線信号として送信され、鍵情報フレーム記憶部8−2に保持されることを除けば同一の動作となる。また、中継局9の動作についても同様であり、情報フレームBの受信、復調及び誤り検出を行う。時刻T1、T2のそれぞれにおいて正しく復調が行われると、中継局9は、ネットワーク符号化を行うための二つの情報フレームを取得したこととなる。ネットワーク符号化部9−6は、情報フレーム記憶部9−5の出力である情報フレームAと、誤り検出部9−4の出力である情報フレームBに対して、ビット毎に排他的論理和演算を行い、符号化情報フレームXを生成する。
時刻T3において、中継局9の情報フレーム選択部9−7は、ネットワーク符号化部9−6においてネットワーク符号化が行なわれた符号化情報フレームXを変調部9−8に出力する。変調部9−8は、情報フレーム選択部9−7から出力された符号化情報フレームXを無線信号に変調する。TDDスイッチ9−2が、変調部9−8と送受信アンテナ9−1とを接続すると、変調された符号化情報フレームXは送受信アンテナ9−1により、ノードN1としての端末局8と、ノードN2としての端末局8とに同報送信される。
以下、ノードN1としての端末局8について説明を行う。端末局8は、中継局9から無線信号により送信された符号化情報フレームXを、送受信アンテナ8−5を用いて受信する。時刻T3において、TDDスイッチ8−4は、送受信アンテナ8−5と復調部8−6とを接続する。受信された符号化情報フレームXは、復調部8−6により、無線信号から情報系列へと復調される。ネットワーク復号部8−7は、復調後の符号化情報フレームXと、鍵情報フレーム記憶部8−2に鍵情報フレームとして保持されている情報フレームAとを用いてビット毎の排他的論理和演算を行い、ネットワーク復号する。情報フレーム選択部8−8には、復調部8−6の出力となる情報フレームと、ネットワーク復号部8−7の出力となる情報フレームの双方が入力されるが、ネットワーク復号部8−7において符号化情報フレームXをネットワーク復号することにより情報フレームBが得られるため、ネットワーク復号部8−7からの入力を誤り検出部8−9に出力する。誤り検出部8−9は、情報フレーム選択部8−8の出力となる情報フレームBに対して誤り検出処理を行い、正しく復号が行われていれば受信情報として出力する。時刻T3におけるノードN2としての端末局8についても同様の動作となる。但し、鍵情報フレームAは鍵情報フレームBに、情報フレームBは情報フレームAに読みかえる。
上記のように時刻T3において、ノードRが符号化情報フレームXを生成し、送信するためには、それより前にノードN1とノードN2それぞれが情報フレームA、Bを送信していること、すなわち、各ノードN1、N2が時刻T1、T2において送信機会を得た際、送信バッファに情報フレームA、Bが格納されていなければならない。ノードN1およびノードN2が送信すべき情報が常に存在する状態であれば、送信機会を得た際に必ず情報フレームを送信するため、常に時刻T3において符号化情報フレームを生成することができる。
しかしながら、アクセス制御方式として、図18において示したような固定的なチャネル割当を行うのではなく、ALOHA方式やCSMA方式といったランダムアクセス系プロトコルを想定すると、ノードRが送信機会を得たときに、符号化情報フレームXを生成するための情報フレームA及びBの双方を必ずしも得ているとは限らない。さらに、ノードN1およびノードN2において送信機会を得たときに、送信すべき情報フレームが送信バッファに格納されていない場合や、ノードRが無線チャネルの影響等により情報フレームの受信に失敗した場合についても、時刻T3においてネットワーク符号化を行う情報フレームA及びBの双方が得られていない状態が発生する。この場合、ノードRが、符号化情報フレームを生成するために必要となるもう一つの情報フレームが正しく受信されるまで待機したのちに符号化情報フレームXを生成し、送信する手法も考えられるが、これは、遅延特性・スループット特性の低下をまねいてしまう。
そのような場合において、遅延特性・スループット特性の低下を抑止するために、ノードRが送信機会を得た際に、正しく受信された情報フレームについてはネットワーク符号化を行わずそのまま送信する、という手法がある(例えば、非特許文献1参照)。
一例として、図21は、ノードRが、時刻T2においてノードN2から送信された情報フレームBの受信に失敗した場合の送受信手順を示す。
この場合、時刻T3において、ノードRは、時刻T1において受信した情報フレームAを送信する。これにより、時刻T1〜T3の間に情報フレームAの送信のみではあるが、送信処理を行うことができるため、スループット特性の低下を抑制することができる。
図22は、ノードRが、時刻T1においてノードN1から送信された情報フレームA、および、時刻T2においてノードN2から送信された情報フレームB双方の受信を失敗した場合の送受信手順を示す。
この場合、ノードRは自身が送信すべき情報フレームを保持していないので、時刻T3では何も送信しない。あるいは、時刻T3のタイミングを用いて、他のノードとの通信を行ってもよい。ここでは、各ノードN1、N2およびノードRが情報フレームを送信する時刻は固定的に割り当てられている例を考える。
無線区間における誤りを考慮すると、時刻T2までにおいてノードRとしての中継局9が取りうる状態は、以下の4種類となる。
(ケース1)情報フレームA、情報フレームB双方の復調に成功する。
(ケース2)情報フレームAの復調に成功し、情報フレームBの復調に失敗する。
(ケース3)情報フレームAの復調に失敗し、情報フレームBの復調に成功する。
(ケース4)情報フレームA、情報フレームB双方の復調に失敗する。
(ケース1)については、符号化情報フレームXを生成することができるので、上記で説明したように、情報フレーム選択部9−7は、ネットワーク符号化部9−6の出力である符号化情報フレームXを変調部9−8に出力する。
(ケース2)については、情報フレームAのみが正しく復調されているので、情報フレーム選択部9−7は、情報フレーム記憶部9−5の出力である情報フレームAを変調部9−8に出力する。
(ケース3)については、情報フレームBのみが正しく復調されているので、情報フレーム選択部9−7は、誤り検出部9−4の出力である情報フレームBを変調部9−8に出力する。
(ケース4)については、正しく復調された情報フレームが存在しないため、情報フレーム選択部9−7は何も出力を行わない。
以上の動作により、符号化情報フレームが生成できない場合においても正しく復調された情報フレームを送信することにより、スループット特性の低下を抑制する。
時刻T3において、中継局9の変調部9−8は、(ケース1)〜(ケース3)のように情報フレーム選択部9−7からの出力が存在する場合、その出力である情報フレーム(符号化情報フレーム含む)を無線信号に変調し、TDDスイッチ9−2は、変調部9−8と送受信アンテナ9−1とを接続する。変調された情報フレームは、送受信アンテナ9−1により、ノードN1としての端末局8と、ノードN2としての端末局8とに同報送信される。
以下、ノードN1としての端末局8の説明を行う。端末局8は、上述した図18における処理と同様の処理を行い、情報フレーム選択部8−8には、復調部8−6の出力となる情報フレームと、ネットワーク復号部8−7の出力となる情報フレームの双方が入力される。時刻T2の中継局9の動作において説明した(ケース1)の場合、符号化情報フレームXをネットワーク復号することにより情報フレームBが得られるため、ネットワーク復号部8−7からの入力である符号化情報フレームXを誤り検出部8−9に出力する。一方、(ケース3)では、情報フレームBを受信するため、復調部8−6からの入力を誤り検出部8−9に出力する。(ケース2)、(ケース4)については、情報フレームBが取得できないため、処理を終了する。情報フレーム選択部8−8の出力となる情報フレームBに対しては、誤り検出部8−9により誤りチェックが行われ、正しく復号が行われていれば受信情報として出力される。ノードN2としての端末局8についても同様の動作となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による無線中継システムにおいて情報フレームの送信に用いられる無線フレームを示す図である。本実施形態の無線中継システムでは、中継局と端末局はIEEE802.11aに準拠した無線LANにより通信を行う。図1(a)に示すように、本実施形態の情報フレームに用いられる無線フレームは、STF、LTF1、LTF2、Sigからなり、復調に必要な情報が設定される物理ヘッダと、MAC(Medium Access Control)フレームであるMPDU(MAC layer Protocol Data Unit)が設定されるペイロードとから構成される。ペイロードには、情報フレームのCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)値であるFCS(Frame Check Sequence)が含まれる。ネットワーク符号化は、ペイロード、つまり、MPDUに対して行なわれ、MPDUにはMACヘッダも含まれる。なお、このネットワーク符号化の範囲は一例であり、例えば、MACヘッダについてはネットワーク符号化を行なわず、MAC層への入力であるIPペイロード(IPフレーム)に対してネットワーク符号化を行なう場合もある。
本発明の第1の実施形態による無線中継システムでは、中継局において、ネットワーク符号化により生成された情報フレーム、つまり、符号化情報フレームに含まれるFCSに対して、所定のルールにのっとったビット演算による改変を行った後、端末局へ送信を行う。図1(b)は、この改変されたFCSが設定されている無線フレームを示しており、改変されたFCSをFCS’としている。端末局では、受信した情報フレームがネットワーク符号化されている符号化情報フレームかネットワーク符号化されていない情報フレームのいずれであるかを判定するために、情報フレームのFCSに対して誤り検出演算を行うとともに、中継局において行った既定のビット演算と逆の操作を行なったFCSに対しても同様に通常の誤り検出演算を行う。
そして、FCSを用いた通常の誤り検出結果が「正しい」との判定である場合にはネットワーク符号化されていない情報フレームを受信したとみなし、受信処理を行う。一方、既定のビット演算を行ったFCSを用いた誤り検出結果が「正しい」との判定である場合には、ネットワーク符号化が施された符号化情報フレームを受信したとみなし、自身が保有する鍵情報フレームを用いて符号化情報フレームをネットワーク復号し、所望の情報フレームを取得する処理を行う。
以下、図16に示すAlice & BobモデルにおけるノードN1およびノードN2として本実施形態の端末局装置1(以下、単に「端末局1」と記載)を用い、ノードRとして本実施形態の中継局装置2(以下、単に「中継局2」と記載)を用いた場合について説明する。
図2は、本実施形態による端末局1の構成を示すブロック図である。端末局1は、情報フレーム生成部1−1、鍵情報フレーム記憶部1−2、変調部1−3、TDDスイッチ1−4、送受信アンテナ1−5、復調部1−6、誤り検出部1−7、改変FCS誤り検出部1−8、ネットワーク復号部1−9、及び、情報フレーム選択出力部1−10を含んで構成される。同図に示す端末局1の情報フレーム生成部1−1、鍵情報フレーム記憶部1−2、変調部1−3、TDDスイッチ1−4、送受信アンテナ1−5、復調部1−6はそれぞれ、図19に示す従来技術の端末局8の情報フレーム生成部8−1、鍵情報フレーム記憶部8−2、変調部8−3、TDDスイッチ8−4、送受信アンテナ8−5、復調部8−6と同様の機能を有する。
情報フレーム生成部1−1は、送信すべき情報フレームを生成する。鍵情報フレーム記憶部1−2は、情報フレーム生成部1−1により生成された情報フレームを鍵フレームとして記憶する。変調部1−3は、情報フレーム生成部1−1により生成された情報フレームの変調を行なう。TDDスイッチ1−4は、時分割によって送受信アンテナ1−5の接続を変調部1−3と復調部1−6との間で切り替える。
復調部1−6は、送受信アンテナ1−5により受信した無線信号を復調する。誤り検出部1−7は、復調部1−6において復調された情報フレームのFCSを用いて、CRC符号による情報フレームの誤り検出処理を行い、誤り検出結果及び情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10に出力する。
改変FCS誤り検出部1−8は、復調部1−6において復調された情報フレームのFCS値に対して中継局2において行なった規定の演算の逆演算を行ない、逆演算したFCS値を用いて、CRC符号による情報フレームの誤り検出処理を行なう。改変FCS誤り検出部1−8は、誤り検出結果をネットワーク復号部1−9または情報フレーム選択出力部1−10に、情報フレームをネットワーク復号部1−9に出力する。
ネットワーク復号部1−9は、鍵情報フレーム記憶部1−2から読み出した鍵フレームを用いて、改変FCS誤り検出部1−8から入力された情報フレームをネットワーク復号し、ネットワーク復号により得られた情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10に出力する。なお、誤り検出結果が入力された場合は、復号した情報フレームとともに情報フレーム選択出力部1−10に出力する。
情報フレーム選択出力部1−10は、誤り検出部1−7において誤りが検出されなかった場合は、誤り検出部1−7から入力された情報フレームを選択し、改変FCS誤り検出部1−8において誤りが検出されなかった場合は、ネットワーク復号部1−9から出力された情報フレームを選択し、受信情報として出力する。
図3は、本実施形態による中継局2の構成を示すブロック図である。中継局2は、送受信アンテナ2−1、TDDスイッチ2−2、復調部2−3、誤り検出部2−4、情報フレーム記憶部2−5、ネットワーク符号化部2−6、情報フレーム選択部2−7、FCS改変部2−8、変調部2−9を含んで構成される。同図に示す中継局2の送受信アンテナ2−1、TDDスイッチ2−2、復調部2−3、誤り検出部2−4、情報フレーム記憶部2−5、ネットワーク符号化部2−6、情報フレーム選択部2−7、変調部2−9はそれぞれ、図20に示す従来技術の中継局9の送受信アンテナ9−1、TDDスイッチ9−2、復調部9−3、誤り検出部9−4、情報フレーム記憶部9−5、ネットワーク符号化部9−6、情報フレーム選択部9−7、変調部9−8と同様の機能を有する。
TDDスイッチ2−2は、時分割によって送受信アンテナ2−1の接続を復調部2−3と変調部2−9との間で切り替える。復調部2−3は、無線信号を復調し、情報フレームを得る。誤り検出部2−4は、復調部2−3により復調された情報フレームに対する誤り検出処理を行なう。情報フレーム記憶部2−5は、誤り検出部2−4によって誤りが検出されなかった情報フレームを記憶する。ネットワーク符号化部2−6は、復調部2−3により復調された情報フレームと、この情報フレームより先に復調され、情報フレーム記憶部2−5に記憶されていた情報フレームをネットワーク符号化して符号化情報フレームを生成する。生成された符号化情報フレームには、CRC符号によるFCSが含まれる。
情報フレーム選択部2−7は、ネットワーク符号化部2−6によりネットワーク符号化された符号化情報フレーム、復調部2−3により復調され、誤り検出部2−4によって誤りが検出されなかった情報フレーム、情報フレーム記憶部2−5に記憶されている情報フレームのいずれかを選択する。FCS改変部2−8は、情報フレーム選択部2−7がネットワーク符号化部2−6によりネットワーク符号化された符号化情報フレームを選択した場合、ペイロードに含まれるFCSに規定の演算を行ない、この演算結果によりを行なった結果により、当該ペイロードに含まれるFCSを書き換える。変調部2−9は、情報フレーム選択部2−7から出力された情報フレームの変調を行う。変調部2−9により変調された情報フレームは、送受信アンテナ2−1から無線信号として送信される。
続いて、端末局1がノードN1およびノードN2であり、ノードRが中継局2であるときに、図18、図21及び図22に示される通信手順を行った場合の各機能ブロックの動作を以下に説明する。
時刻T1において、端末局1には、送信すべき情報が存在し、情報フレーム生成部1−1は、送信データと制御情報、誤り検出用のFCSから構成される情報フレームAを生成する。情報フレームAは、変調部1−3において無線信号に変調が行われると同時に、鍵情報フレーム記憶部1−2に鍵情報フレームとして記憶される。この記憶された情報フレームは、後述する通り、時刻T3においてネットワーク復号を行う際に用いられる。TDDスイッチ1−4は、変調部1−3と送受信アンテナ1−5とを接続し、変調部1−3によって変調が行われた情報フレームAは、送受信アンテナ1−5により無線信号として中継局2へと送信される。
中継局2においては、ノードN1としての端末局1から送信された情報フレームAを送受信アンテナ2−1により受信する。TDDスイッチ2−2は送受信アンテナ2−1と復調部2−3を接続する。復調部2−3は、無線信号として受信した情報フレームAを復調して情報系列へと復元し、誤り検出部2−4は、FCSを用いて、情報フレームAの情報系列が正しく復号されたかを判定する誤り検出処理を行なう。正しく復号された情報フレームAについては、情報フレーム記憶部2−5に記憶される。正しく復号されなかった場合は、破棄される。
時刻T2において、ノードN2としての端末局1についても、時刻T1におけるノードN1としての端末局1と同様の動作を行う。ここでは、情報フレームBが無線信号として送信され、鍵情報フレーム記憶部1−2に保持されることを除けば同一の動作となる。また、中継局2の動作についても同様であり、情報フレームBの受信、復調及び誤り検出を行う。時刻T1、T2のそれぞれにおいて正しく復調が行われると、中継局2は、ネットワーク符号化を行ための二つの情報フレームを取得したこととなる。ネットワーク符号化部2−6は、情報フレーム記憶部2−5の出力である情報フレームAと、誤り検出部2−4の出力である情報フレームBに対して、ビット毎に排他的論理和演算を行い、FCSを設定した符号化情報フレームXを生成し、情報フレーム選択部2−7に出力する。
時刻T2において符号化情報フレームXが生成された場合、時刻T3において、中継局2の情報フレーム選択部2−7は、ネットワーク符号化部2−6から入力された符号化情報フレームXをFCS改変部2−8に出力する。FCS改変部2−8では、符号化情報フレームに含まれるFCS部分についてのみ、規定の演算、ここでは、ビット反転を行う。FCS改変部2−8は、FCS部分にビット反転が行われた符号化情報フレームXを変調部2−9に出力する。変調部2−9は、FCS改変部2−8から入力された符号化情報フレームを変調する。
時刻T3においては、TDDスイッチ2−2により変調部2−9と送受信アンテナ2−1とが接続されているため、変調部2−9によって変調された符号化情報フレームは、送受信アンテナ2−1から無線信号として、ノードN1としての端末局1ならびにノードN2としての端末局1に送信される。
上記のように時刻T3において、中継局2が符号化情報フレームXを生成し、送信するためには、それより前にノードN1とノードN2それぞれが情報フレームA、Bを送信していること、すなわち、各ノードN1、N2が時刻T1、T2において送信機会を得た際に、送信バッファである鍵情報フレーム記憶部1−2にノードN1の場合は情報フレームAが、ノードN2の場合は情報フレームBが格納されていなければならない。ノードN1およびノードN2が送信すべき情報が常に存在する状態であれば、送信機会を得た際に必ず情報フレームを送信するため、常に時刻T3において中継局2において符号化情報フレームを生成することができる。
時刻T2において符号化情報フレームXが生成されない場合の中継局2の動作について説明する。符号化情報フレームXが生成されない場合とは、すなわち、従来技術において説明したように、ランダムアクセス系プロトコルを用いた場合や、情報フレームの受信が誤った場合である。このような場合、正しく復号された情報フレーム、すなわち、情報フレーム記憶部2−5から出力される情報フレームA、あるいは、時刻T2において誤り検出部2−4から出力される情報フレームBを情報フレーム選択部2−7において選択し、ネットワーク符号化を行わずに送信を行う。FCS改変部2−8は、FCSの反転を行わずに、情報フレーム選択部2−7が選択した情報フレームをAまたはBを変調部2−9に出力し、変調部2−9によって変調された情報フレームAまたはBは、送受信アンテナ2−1から無線信号としてノードN1としての端末局1ならびにノードN2としての端末局1に送信される。つまり端末局1において設定された情報フレームAまたはBに含まれるFCSは変更されずに送信される。
続いて、時刻T3における、ノードN1としての端末局1の動作を説明する。
図4は、時刻T3における端末局1の処理フローを示す図である。時刻T3において、端末局1のTDDスイッチ1−4は、送受信アンテナ1−5と復調部1−6を接続する。中継局2から送信された情報フレームは、送受信アンテナ1−5により受信され(ステップS11)、復調部1−6により復調され、誤り検出部1−7と改変FCS誤り検出部1−8の双方に出力される(ステップS12)。誤り検出部1−7は、受信した情報フレームに含まれるFCSをそのまま用いて誤り検出処理を行う。具体的には、復調された情報フレームからCRC符号によるFCS値を算出し、算出したFCS値と情報フレームに含まれるFCS値とを照合して、情報フレームの誤りを検出する。誤り検出部1−7は、誤り検出結果と情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10に出力する。
一方、改変FCS誤り検出部1−8は、まず、復調された情報フレームに含まれるFCS部分をビット反転し、その後、このビット反転されたFCSを用いて誤り検出処理を行う。具体的には、復調された情報フレームからCRC符号によるFCS値を算出し、算出したFCS値と、ビット反転されたFCS値とを照合して、情報フレームの誤りを検出する。
上述のように、中継局2のFCS改変部2−8においては、符号化情報フレームに対してFCS部分のビット反転を行うが、ネットワーク符号化されていない情報フレームについてはFCS部分のビット反転を行わない。そのため、誤り検出部1−7の誤り検出結果と、改変FCS誤り検出部1−8の誤り検出結果を参照することにより、受信された情報フレームが符号化情報フレームか、ネットワーク符号化されていない情報フレームのいずれかであるかが判別される。
すなわち、誤り検出部1−7の誤り検出結果が「誤り」との判定であり、かつ、改変FCS誤り検出部1−8の誤り検出結果が「正しい」との判定である場合(ステップS13:NO、ステップS14:YES)、受信した情報フレームは符号化情報フレームXであると判断し、ネットワーク復号部1−9は、時刻T1において鍵情報フレーム記憶部1−2に記憶していた情報フレームAを鍵情報フレームとして、符号化情報フレームXのネットワーク復号を行い、情報フレームBを復元する(ステップS15)。情報フレーム選択出力部1−10は、ネットワーク復号部1−9から入力された情報フレームBを受信情報として出力する(ステップS16)。
一方、誤り検出部1−7の誤り検出結果が「正しい」との判定であり、かつ、改変FCS誤り検出部1−8の誤り検出結果が「誤り」との判定である場合(ステップS13:YES)、受信した情報フレームは情報フレームBであると判断する。このとき、情報フレーム選択出力部1−10は、誤り検出部1−7から入力された情報フレームBを受信情報として出力する(ステップS17)。
また、誤り検出部1−7の誤り検出結果と、改変FCS誤り検出部1−8の誤り検出結果との双方が「誤り」との判定の場合(ステップS14:NO)、情報フレームが正しく受信されなかったと判断して情報フレームを破棄し、それ以降の処理は行わない(ステップS18)。
なお、時刻T3における、ノードN2としての端末局1の動作も、ノードN1としての端末局1の動作と同様である。ただし、情報フレームAを情報フレームBに読み代え、情報フレームBを情報フレームAに読み代える。
なお、上記においては、端末局1の改変FCS誤り検出部1−8、中継局2の情報FCS改変部2−8においてFCSに対して行なう規定の演算をビット反転としているが、規定の演算を、FCSのビット列を既定の数だけシフトさせる演算としてもよく、FCSのビット列を反転シフトさせる演算でもよい。あるいは、FCSのビット列を既定のハッシュ関数に入力したときの出力を規定の演算結果としてもよい。なお、規定の演算や関数が一方向性である場合、端末局1の改変FCS誤り検出部1−8は、復調部1−6において復調された情報フレームからCRC符号によるFCS値を算出し、算出したFCS値に規定の演算を行った結果と、この情報フレームに設定されているFCS値とを照合して、情報フレームの誤りを検出する。
図5は、本実施形態を適用可能な他のトポロジの無線中継システムを示す図である。
時刻T1において、送信局であるノードS1(node-S1)は、情報フレームAを変調し、無線により送信する。ノードRとしての中継局2は、上記と同様に受信した無線信号を復調し、復調した情報フレームAを情報フレーム記憶部2−5に記憶する。受信局であるノードD1(node-D1)としての端末局1は、中継局2宛に送信された無線信号を受信し、受信した無線信号から情報フレームAを復調して、鍵情報フレーム記憶部1−2に記憶する。
次に、時刻T2において、送信局であるノードS2(node-S2)は、情報フレームBを変調し、無線により送信する。中継局2は、上記と同様に受信した無線信号を復調する。受信局であるノードD2(node-D2)としての端末局1は、ノードD1としての端末局1が無線信号を受信した際の上述の動作と同様に、ノードS2が中継局2に向けて送信した無線信号を受信し、受信した無線信号から情報フレームBを復調して、鍵情報フレーム記憶部1−2に記憶する。
時刻T3において、中継局2は、上記のAlice & Bobトポロジの場合と同様に、符号化情報フレームX、情報フレームA、情報フレームBのいずれかを無線により、ノードD1としての端末局1、及び、ノードD2としての端末局1に送信する。ノードD1としての端末局1、ノードD2としての端末局1は、Alice & BobトポロジにおけるノードN1としての端末局1、ノードN2としての端末局1と同様の処理を行なう。ただし、ネットワーク復号に用いる鍵フレームは、自身が送信した情報フレームではなく、鍵情報フレーム記憶部1−2に記憶されている受信した情報フレーム、つまり、ノードD1としての端末局1についてはノードS1から受信した情報フレームA、ノードD2としての端末局1についてはノードS2から受信した情報フレームBである。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態においては、端末局1は、図2に示すように、誤り検出部1−7及び改変FCS誤り検出部1−8を並列に備え、復調部1−6によって復調された情報フレームを誤り検出部1−7及び改変FCS誤り検出部1−8に出力している。本発明の第2の実施形態においては、誤り検出部と改変FCS誤り検出部を直列に備える。以下の第1の実施形態との差分を説明する。
図6は、第2の実施形態による端末局装置1a(以下、単に「端末局1a」と記載)の構成を示すブロック図である。同図において、図2に示す第1の実施形態の端末局1と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。図6に示す端末局1aと図2に示す第1の実施形態の端末局1とが異なる点は、誤り検出部1−7、改変FCS誤り検出部1−8、ネットワーク復号部1−9、情報フレーム選択出力部1−10に代えて、誤り検出部1−7a、改変FCS誤り検出部1−8a、ネットワーク復号部1−9a、情報フレーム選択出力部1−10aを備える点である。
誤り検出部1−7aは、復調部1−6において復調された情報フレームに対して第1の実施形態による誤り検出部1−7と同様に誤り検出処理を行ない、誤り検出結果と情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10aに出力する。改変FCS誤り検出部1−8aは、第1の実施形態による改変FCS誤り検出部1−8と同様に誤り検出処理を行ない、誤り検出結果をネットワーク復号部1−9aまたは情報フレーム選択出力部1−10aに出力し、情報フレームをネットワーク復号部1−9aに出力する。ネットワーク復号部1−9aは、改変FCS誤り検出部1−8aから入力された情報フレームに第1の実施形態によるネットワーク復号部1−9と同様のネットワーク復号を行い、復号した情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10aに出力する。なお、誤り検出結果が入力された場合は、復号した情報フレームとともに情報フレーム選択出力部1−10aに出力する。
情報フレーム選択出力部1−10aは、誤り検出部1−7aにおいて誤りが検出されなかった場合は、誤り検出部1−7aから入力された情報フレームを選択して受信情報として出力し、誤りが検出された場合は、情報フレームを改変FCS誤り検出部1−8aに出力する。また、情報フレーム選択出力部1−10aは、改変FCS誤り検出部1−8aにおいて誤りが検出されなかった場合は、ネットワーク復号部1−9aによりネットワーク復号された情報フレームを選択し、受信情報として出力する。
続いて、端末局1bがノードN1およびノードN2であるときに、図18、図21及び図22に示される通信手順を行った場合の各機能ブロックの動作を以下に説明する。
時刻T1におけるノードN1としての端末局1aの動作、及び、時刻T2におけるノードN2としての端末局1aの動作は、第1の実施形態における端末局1の動作と同様である。
時刻T3におけるノードN1としての端末局1aの動作を説明する。
図7は、時刻T3における端末局1aの処理フローを示す図である。時刻T3において、ノードN1としての端末局1aのTDDスイッチ1−4は、送受信アンテナ1−5と復調部1−6を接続する。中継局2から送信された情報フレームは、送受信アンテナ1−5により受信され(ステップS21)、復調部1−6により復調されて誤り検出部1−7aに出力される(ステップS22)。誤り検出部1−7aは、受信した情報フレームに含まれるFCSをそのまま用いてCRC符号による誤り検出処理を行うと、誤り検出結果と情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10aに出力する。誤り検出部1−7aの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合(ステップS23:YES)、情報フレーム選択出力部1−10aは、受信した情報フレームは情報フレームBであると判断し、誤り検出部1−7aから入力された情報フレームBを受信情報として出力する(ステップS24)。
一方、誤り検出部1−7aの誤り検出結果が「誤り」との判定である場合(ステップS23:NO)、情報フレーム選択出力部1−10aは、誤り検出部1−7aから入力された情報フレームを改変FCS誤り検出部1−8aに出力する。改変FCS誤り検出部1−8aは、復調された情報フレームに含まれるFCS部分をビット反転させた後、このビット反転されたFCSを用いてCRC符号による誤り検出処理を行う。改変FCS誤り検出部1−8aの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合(ステップS25:YES)、受信した情報フレームは符号化情報フレームXであると判断し、ネットワーク復号部1−9aは、時刻T1において鍵情報フレーム記憶部1−2に記憶していた情報フレームAを鍵情報フレームとして、符号化情報フレームXのネットワーク復号を行い、情報フレームBを復元する(ステップS26)。情報フレーム選択出力部1−10aは、ネットワーク復号部1−9aから入力された情報フレームBを受信情報として出力する(ステップS27)。
なお、改変FCS誤り検出部1−8aの誤り検出結果が「誤り」との判定である場合は(ステップS25:NO)、情報フレームが正しく受信されなかったと判断して情報フレームを破棄し、それ以降の処理は行わない(ステップS28)。
なお、時刻T3における、ノードN2としての端末局1aの動作も、ノードN1としての端末局1aの動作と同様である。ただし、情報フレームAを情報フレームBに読み代え、情報フレームBを情報フレームAに読み代える。
なお、以下のように動作することで、端末局1aに、情報フレーム選択出力部1−10aが不要となる。すなわち、誤り検出部1−7aは、誤り検出結果が「正しい」との判定である場合に、復調部1−6から入力された情報フレームを受信情報として出力し、「誤り」との判定である場合に、改変FCS誤り検出部1−8aに情報フレームを出力する。改変FCS誤り検出部1−8aは、誤り検出結果が「正しい」との判定である場合に、誤り検出部1−7aから入力された情報フレームが符号化情報フレームであるとしてネットワーク復号部1−9aに出力し、「誤り」との判定である場合に、情報フレームを破棄する。ネットワーク復号部1−9aは、改変FCS誤り検出部1−8aから受信した符号化情報フレームをネットワーク復号して得られた情報フレームを受信情報として出力する。
[第3の実施形態]
上述した第2の実施形態においては、端末局1は、図6に示すように、改変FCS誤り検出部1−8aによる符号化情報フレーム用の誤り判定処理を行なったのち、ネットワーク復号部1−9aにおいてネットワーク復号を行なっている。本発明の第3の実施形態においては、ネットワーク復号を行なった後、符号化情報フレーム用の誤り判定処理を行なう。
図8は、第3の実施形態による端末局装置1b(以下、単に「端末局1b」と記載)の構成を示すブロック図である。同図において、図6に示す第2の実施形態の端末局1aと同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。図8に示す端末局1bと図6に示す第2の実施形態の端末局1aとが異なる点は、ネットワーク復号部1−9bの後段に改変FCS誤り検出部1−8bを備え、情報フレーム選択出力部1−10aに代えて情報フレーム選択出力部1−10bを備える点である。
以下、第2の実施形態との差分について説明する。
時刻T3におけるノードN1としての端末局1bの動作を説明する。
時刻T3において、ノードN1としての端末局1bのTDDスイッチ1−4は、送受信アンテナ1−5と復調部1−6を接続する。中継局2から送信された情報フレームは、送受信アンテナ1−5により受信され、復調部1−6により復調されて誤り検出部1−7aに出力される。誤り検出部1−7aは、受信した情報フレームに含まれるFCSをそのまま用いてCRC符号による誤り検出処理を行うと、誤り検出結果と情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10bに出力する。誤り検出部1−7aの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合、情報フレーム選択出力部1−10bは、受信した情報フレームは情報フレームBであると判断し、誤り検出部1−7aから入力された情報フレームBを受信情報として出力する。
一方、誤り検出部1−7aの誤り検出結果が「誤り」との判定である場合、情報フレーム選択出力部1−10bは、誤り検出部1−7aから入力された情報フレームが符号化情報フレームXの可能性があると判断し、ネットワーク復号部1−9bへ出力する。ネットワーク復号部1−9bは、時刻T1において鍵情報フレーム記憶部1−2に記憶していた情報フレームAを鍵情報フレームとして、入力された情報フレームのネットワーク復号を行い、情報フレームを復元すると、ネットワーク復号前の情報フレームを改変FCS誤り検出部1−8bに出力し、ネットワーク復号した情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10bに出力する。改変FCS誤り検出部1−8bは、ネットワーク復号部1−9bから受信した情報フレームに含まれるFCS部分をビット反転させた後、このビット反転されたFCSを用いて誤り検出処理を行う。改変FCS誤り検出部1−8bは、誤り検出結果を情報フレーム選択出力部1−10bに出力する。改変FCS誤り検出部1−8bの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合、情報フレーム選択出力部1−10bは、中継局2から受信した情報フレームは符号化情報フレームXであり、ネットワーク復号部1−9bから入力された情報フレームは情報フレームBであると判断し、当該情報フレームBを受信情報として出力する。
なお、時刻T3における、ノードN2としての端末局1bの動作も、ノードN1としての端末局1bの動作と同様である。ただし、情報フレームAを情報フレームBに読み代え、情報フレームBを情報フレームAに読み代える。
なお、以下のように動作することで、端末局1bに、情報フレーム選択出力部1−10bが不要となる。すなわち、誤り検出部1−7aは、誤り検出結果が「正しい」との判定である場合に、復調部1−6から入力された情報フレームを受信情報として出力し、「誤り」との判定である場合に、ネットワーク復号部1−9bに情報フレームを出力する。ネットワーク復号部1−9bは、誤り検出部1−7bから受信した情報フレームをネットワーク復号して得られた情報フレームと、ネットワーク復号前の情報フレームを改変FCS誤り検出部1−8bに出力する。改変FCS誤り検出部1−8bは、ネットワーク復号前の情報フレームの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合に、ネットワーク復号により得られた情報フレームを受信情報として出力し、「誤り」との判定である場合に、情報フレームを破棄する。
[第4の実施形態]
上述した第1の実施形態においては、ネットワーク符号化を行わなかった情報フレームには通常のFCSを、ネットワーク符号化を行なった情報フレームには所定の演算を行ったFCSを設定している。一方、本実施形態では、ネットワーク符号化を行わなかった情報フレームについてはFCSを通常の定められた位置に設定し、ネットワーク符号化を行なった情報フレームについてはFCSを通常の定められた位置とは異なる位置に設定する。なお、ネットワーク符号化を行なった情報フレームのFCSが設定される、通常の定められた位置と異なる位置は、中継局、端末局とも事前にわかっているものとする。
以下、第1の実施形態との差分を説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態による無線中継システムにおいて用いられる無線フレームを示す図である。図9(a)に示すように、ネットワーク符号化を行なわなかった場合、IEEE802.11aに準拠した無線フレームに定められるように、ペイロード内の最後尾にFCSが設定される。一方、ネットワーク符号化を行った場合、図9(b)に示すように、ペイロード内において標準により定められた位置とは異なる位置、同図においては、ペイロードの先頭にFCSが設定される。
図10は、本実施形態による端末局装置1c(以下、単に「端末局1c」と記載)の構成を示すブロック図である。同図において、図2に示す第1の実施形態の端末局1と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。図10に示す端末局1cと図2に示す第1の実施形態の端末局1とが異なる点は、改変FCS誤り検出部1−8に代えて、改変FCS誤り検出部1−8cを備える点である。
改変FCS誤り検出部1−8cは、復調部1−6により復調された情報フレームからネットワーク符号化用のFCS位置に設定されているFCS値を読み出すと、当該情報フレームに対し、CRC符号による誤り検出処理を行なう。
図11は、本実施形態による中継局装置2c(以下、単に「中継局2c」と記載)の構成を示すブロック図である。同図において、図3に示す第1の実施形態の中継局2と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。図11に示す中継局2cと図3に示す第1の実施形態の中継局2とが異なる点は、FCS改変部2−8に代えて、FCS改変部2−8cを備える点である。
FCS改変部2−8cは、情報フレーム選択部2−7がネットワーク符号化部2−6によりネットワーク符号化された符号化情報フレームを選択した場合、ペイロードに含まれるFCSを、通常のFCSの位置からネットワーク符号化用のFCSの位置に移動する。
続いて、端末局1cがノードN1およびノードN2であり、ノードRが中継局2cであるときに、図18、図21及び図22に示される通信手順を行った場合の各機能ブロックの動作を以下に説明する。
時刻T1におけるノードN1としての端末局1c及び中継局2cの動作、及び、時刻T2におけるノードN2としての端末局1c及び中継局2cの動作は、第1の実施形態における端末局1、中継局2の動作と同様である。
時刻T2において、中継局2cのネットワーク符号化部2−6が、情報フレームAと情報フレームBと用いてビット毎に排他的論理和演算を行い、符号化情報フレームXを生成した場合、時刻T3において、情報フレーム選択部2−7は、ネットワーク符号化部2−6から入力された符号化情報フレームXをFCS改変部2−8cに出力する。FCS改変部2−8cでは、符号化情報フレームに含まれるFCSを、IEEE802.11aにより定められた位置、すなわち、ペイロードの最後尾から、ネットワーク符号化用の位置、ここでは、ペイロードの先頭部分に移動する。FCS改変部2−8cは、FCS位置が変更された符号化情報フレームXを変調部2−9に出力する。変調部2−9は、FCS改変部2−8cから入力された符号化情報フレームを変調する。
時刻T3においては、TDDスイッチ2−2により変調部2−9と送受信アンテナ2−1とが接続されているため、変調部2−9によって変調された符号化情報フレームは、送受信アンテナ2−1から無線信号としてノードN1となる端末局1ならびにノードN2となる端末局1に送信される。
なお、時刻T2において符号化情報フレームXが生成されない場合の中継局2cの動作については、第1の実施形態の中継局2の動作と同じである。つまり、情報フレーム記憶部2−5から出力される情報フレームA、あるいは、時刻T2において誤り検出部2−4から出力される情報フレームBを情報フレーム選択部2−7において選択し、FCS改変部2−8cは、FCS位置の移動を行わずに、情報フレーム選択部2−7が選択した情報フレームをAまたはBを変調部2−9に出力し、変調部2−9によって変調された情報フレームAまたはBは、送受信アンテナ2−1から無線信号としてノードN1となる端末局1ならびにノードN2となる端末局1に送信される。
続いて、時刻T3における、ノードN1としての端末局1cの動作を説明する。
図12は、時刻T3における端末局1cの処理フローを示す図である。時刻T3において、端末局1cのTDDスイッチ1−4は、送受信アンテナ1−5と復調部1−6を接続する。中継局2cから送信された情報フレームは、送受信アンテナ1−5により受信され(ステップS31)、復調部1−6により復調されて、誤り検出部1−7と改変FCS誤り検出部1−8cの双方に出力される(ステップS32)。誤り検出部1−7は、情報フレームにおける通常のFCS位置、つまり、ペイロードの最後尾に設定されているFCSを用いてCRC符号による誤り検出処理を行う。改変FCS誤り検出部1−8cは、情報フレームにおけるネットワーク符号化用のFCS位置、ここでは、ペイロードの先頭に設定されているFCSを用いてCRC符号による誤り判定処理を行い、情報フレームの誤りを検出する。
上述のように、端末局1cは、符号化情報フレームに対してはネットワーク符号化用のFCS位置からFCS値を読み出し、ネットワーク符号化されていない情報フレームについては通常のFCS位置、つまり、ペイロードの最後尾からFCS値を読み出す。そのため、誤り検出部1−7の誤り検出結果と、改変FCS誤り検出部1−8cの誤り検出結果を参照することにより、受信された情報フレームが符号化情報フレームXか、ネットワーク符号化された情報フレームのいずれかであるかが判別される。
すなわち、誤り検出部1−7の誤り検出結果が「誤り」との判定であり、かつ、改変FCS誤り検出部1−8cの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合(ステップS33:NO、ステップS34:YES)、受信した情報フレームは符号化情報フレームXであると判断し、ネットワーク復号部1−9は、時刻T1において鍵情報フレーム記憶部1−2に記憶していた情報フレームAを鍵情報フレームとして、符号化情報フレームXのネットワーク復号を行い、情報フレームBを復元する(ステップS35)。情報フレーム選択出力部1−10は、ネットワーク復号部1−9から入力された情報フレームBを受信情報として出力する(ステップS36)。
一方、誤り検出部1−7の誤り検出結果が「正しい」との判定であり、かつ、改変FCS誤り検出部1−8cの誤り検出結果が「誤り」との判定である場合(ステップS33:YES)、受信した情報フレームは情報フレームBであると判断する。情報フレーム選択出力部1−10cは、誤り検出部1−7から入力された情報フレームBを受信情報として出力する(ステップS37)。
また、誤り検出部1−7の誤り検出結果と、改変FCS誤り検出部1−8cの誤り検出結果の双方が誤りであるとの判定の場合は(ステップS34:NO)、情報フレームが正しく受信されなかったと判断して情報フレームを破棄し、それ以降の処理は行わない(ステップS38)。
なお、時刻T3における、ノードN2としての端末局1cの動作も、ノードN1としての端末局1cの動作と同様である。ただし、情報フレームAを情報フレームBに読み代え、情報フレームBを情報フレームAに読み代える。
なお、上記においては、ペイロードの先頭位置をネットワーク符号化用のFCS位置としているが、ペイロード中の最後尾以外の任意の位置としてもよい。
[第5の実施形態]
上述した第4の実施形態においては、端末局1cは、図10に示すように、誤り検出部1−7及び改変FCS誤り検出部1−8cを並列に備え、復調部1−6によって復調された情報フレームを誤り検出部1−7及び改変FCS誤り検出部1−8cに出力している。本発明の第5の実施形態においては、誤り検出部と改変FCS誤り検出部を直列に備える。以下、第4の実施形態との差分を説明する。
図13は、第4の実施形態による端末局装置1d(以下、単に「端末局1d」と記載)の構成を示すブロック図である。同図において、図10に示す第4の実施形態の端末局1cと同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。図13に示す端末局1dと図10に示す第4の実施形態の端末局1cとが異なる点は、誤り検出部1−7、改変FCS誤り検出部1−8c、ネットワーク復号部1−9、情報フレーム選択出力部1−10に代えて、誤り検出部1−7d、改変FCS誤り検出部1−8d、ネットワーク復号部1−9d、情報フレーム選択出力部1−10dを備える点である。
誤り検出部1−7dは、図6に示す第2の実施形態による端末局1aの誤り検出部1−7aと同様の機能を有する。改変FCS誤り検出部1−8dは、第4の実施形態による改変FCS誤り検出部1−8cと同様に誤り検出処理を行ない、誤り検出結果をネットワーク復号部1−9dまたは情報フレーム選択出力部1−10dに出力し、情報フレームをネットワーク復号部1−9dに出力する。ネットワーク復号部1−9dは、第2の実施形態による端末局1aのネットワーク復号部1−9aと同様の機能を有する。
情報フレーム選択出力部1−10dは、誤り検出部1−7dにおいて誤りが検出されなかった場合は、誤り検出部1−7dから入力された情報フレームを選択して受信情報として出力し、誤りが検出された場合は、情報フレームを改変FCS誤り検出部1−8dに出力する。また、情報フレーム選択出力部1−10dは、改変FCS誤り検出部1−8dにおいて誤りが検出されなかった場合は、ネットワーク復号部1−9dによりネットワーク復号された情報フレームを選択し、受信情報として出力する。
続いて、端末局1dがノードN1およびノードN2であるときに、図18、図21及び図22に示される通信手順を行った場合の各機能ブロックの動作を以下に説明する。
時刻T1におけるノードN1としての端末局1dの動作、及び、時刻T2におけるノードN2としての端末局1dの動作は、第4の実施形態における端末局1cの動作と同様である。
時刻T3におけるノードN1としての端末局1dの動作を説明する。
図14は、時刻T3における端末局1dの処理フローを示す図である。時刻T3において、ノードN1としての端末局1dのTDDスイッチ1−4は、送受信アンテナ1−5と復調部1−6を接続する。中継局2cから送信された情報フレームは、送受信アンテナ1−5により受信され(ステップS41)、復調部1−6により復調されて誤り検出部1−7dに出力される(ステップS42)。誤り検出部1−7dは、受信した情報フレームにおける通常の位置、つまり、ペイロードの最後尾に設定されているFCSを用いてCRC符号による誤り検出処理を行うと、誤り検出結果と情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10dに出力する。誤り検出部1−7dの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合(ステップS43:YES)、情報フレーム選択出力部1−10dは、受信した情報フレームは情報フレームBであると判断し、誤り検出部1−7dから入力された情報フレームBを受信情報として出力する(ステップS44)。
一方、誤り検出部1−7dの誤り検出結果が「誤り」との判定である場合(ステップS43:YES)、情報フレーム選択出力部1−10dは、誤り検出部1−7dから入力された情報フレームを改変FCS誤り検出部1−8dに出力する。改変FCS誤り検出部1−8dは、復調された情報フレームからネットワーク符号化用のFCS位置、つまり、ペイロードの先頭に設定されているFCS値を読み出すと、情報フレームにCRC符号による誤り検出処理を行なう。改変FCS誤り検出部1−8dの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合(ステップS45:YES)、中継局2cから受信した情報フレームは符号化情報フレームXであると判断し、ネットワーク復号部1−9dは、時刻T1において鍵情報フレーム記憶部1−2に記憶していた情報フレームAを鍵情報フレームとして、符号化情報フレームXのネットワーク復号を行い、情報フレームBを復元する(ステップS46)。情報フレーム選択出力部1−10dは、ネットワーク復号部1−9dから入力された情報フレームBを受信情報として出力する(ステップS47)。
なお、改変FCS誤り検出部1−8dの誤り検出結果が「誤り」との判定である場合は(ステップS47:NO)、情報フレームが正しく受信されなかったと判断して情報フレームを破棄し、それ以降の処理は行わない(ステップS48)。
なお、時刻T3における、ノードN2としての端末局1dの動作も、ノードN1としての端末局1dの動作と同様である。ただし、情報フレームAを情報フレームBに読み代え、情報フレームBを情報フレームAに読み代える。
なお、以下のように動作することで、端末局1dに、情報フレーム選択出力部1−10dが不要となる。すなわち、誤り検出部1−7dは、誤り検出結果が「正しい」との判定である場合に、復調部1−6から入力された情報フレームを受信情報として出力し、「誤り」との判定である場合に、改変FCS誤り検出部1−8dに情報フレームを出力する。改変FCS誤り検出部1−8dは、誤り検出結果が「正しい」との判定である場合に、誤り検出部1−7dから入力された情報フレームが符号化情報フレームであるとしてネットワーク復号部1−9dに出力し、「誤り」との判定である場合に、情報フレームを破棄する。ネットワーク復号部1−9dは、改変FCS誤り検出部1−8dから受信した符号化情報フレームをネットワーク復号して得られた情報フレームを受信情報として出力する。
[第6の実施形態]
上述した第5の実施形態においては、端末局1dは、図13に示すように、改変FCS誤り検出部1−8dによる符号化情報フレーム用の誤り判定処理を行なったのち、ネットワーク復号部1−9dにおいてネットワーク復号を行なっている。本発明の第6の実施形態においては、ネットワーク復号を行なった後、符号化情報フレーム用の誤り判定処理を行なう。
図15は、第5の実施形態による端末局装置1e(以下、単に「端末局1e」と記載)の構成を示すブロック図である。同図において、図13に示す第5の実施形態の端末局1dと同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。図15に示す端末局1eと132に示す第5の実施形態の端末局1とが異なる点は、ネットワーク復号部1−9eの後段に改変FCS誤り検出部1−8eを備え、情報フレーム選択出力部1−10dに代えて情報フレーム選択出力部1−10eを備える点である。
以下、第5の実施形態との差分について説明する。
時刻T3におけるノードN1としての端末局1eの動作を説明する。
時刻T3において、ノードN1としての端末局1eのTDDスイッチ1−4は、送受信アンテナ1−5と復調部1−6を接続する。中継局2cから送信された情報フレームは、送受信アンテナ1−5により受信され、復調部1−6により復調されて誤り検出部1−7dに出力される。誤り検出部1−7dは、受信した情報フレームにおける通常の位置、つまり、ペイロードの最後尾に設定されているFCSを用いてCRC符号による誤り検出処理を行うと、誤り検出結果と情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10eに出力する。誤り検出部1−7dの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合、情報フレーム選択出力部1−10eは、受信した情報フレームは情報フレームBであると判断する。よって、情報フレーム選択出力部1−10eは、誤り検出部1−7aから入力された情報フレームBを受信情報として出力する。
一方、誤り検出部1−7dの誤り検出結果が「誤り」との判定である場合、情報フレーム選択出力部1−10eは、誤り検出部1−7dから入力された情報フレームが符号化情報フレームXの可能性があると判断し、ネットワーク復号部1−9eに出力する。ネットワーク復号部1−9eは、時刻T1において鍵情報フレーム記憶部1−2に記憶していた情報フレームAを鍵情報フレームとして、入力された情報フレームのネットワーク復号を行い、情報フレームを復元すると、ネットワーク復号前の情報フレームを改変FCS誤り検出部1−8eに出力し、ネットワーク復号した情報フレームを情報フレーム選択出力部1−10eに出力する。改変FCS誤り検出部1−8eは、ネットワーク復号部1−9eから受信した情報フレームに対し、ネットワーク符号化用のFCS位置、ここでは、ペイロードの先頭に設定されているFCSを用いてCRC符号による誤り判定処理を行う。改変FCS誤り検出部1−8eは、誤り検出結果を情報フレーム選択出力部1−10eに出力する。改変FCS誤り検出部1−8eの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合、情報フレーム選択出力部1−10eは、中継局2cから受信した情報フレームは符号化情報フレームXであり、ネットワーク復号部1−9eから入力された情報フレームは情報フレームBであると判断し、当該情報フレームBを受信情報として出力する。
なお、時刻T3における、ノードN2としての端末局1eの動作も、ノードN1としての端末局1eの動作と同様である。ただし、情報フレームAを情報フレームBに読み代え、情報フレームBを情報フレームAに読み代える。
なお、以下のように動作することで、端末局1eに、情報フレーム選択出力部1−10eが不要となる。すなわち、誤り検出部1−7dは、誤り検出結果が「正しい」との判定である場合に、復調部1−6から入力された情報フレームを受信情報として出力し、「誤り」との判定である場合に、ネットワーク復号部1−9eに情報フレームを出力する。ネットワーク復号部1−9eは、誤り検出部1−7eから受信した情報フレームをネットワーク復号して得られた情報フレームと、ネットワーク復号前の情報フレームを改変FCS誤り検出部1−8eに出力する。改変FCS誤り検出部1−8eは、ネットワーク復号前の情報フレームの誤り検出結果が「正しい」との判定である場合に、ネットワーク復号により得られた情報フレームを受信情報として出力し、「誤り」との判定である場合に、情報フレームを破棄する。
上述した本発明の第1〜第6の実施形態によれば、中継局から情報フレームを受信した端末局は、ネットワーク符号化をサポートしているか否かにかかわらず、通常通りの受信操作の後、MAC層における通常の位置からFCSを切り出してCRC符号による誤り検出処理を行う。ネットワーク符号化をサポートしていない端末局の場合、受信した情報フレームが符号化情報フレームであれば、この誤り検出処理によって誤りである、すなわち、自端末局では意味のある情報フレームを得ることができないと認識されるため、そのまま破棄することができる。一方、ネットワーク符号化をサポートしている端末局の場合、通常のCRC符号による誤り検出処理によって受信情報フレームが「誤り」であると判定すると、その情報フレームがネットワーク符号化された情報フレームであると判定し、通常の位置から切り出したFCSに中継局における所定の演算の逆演算を行なった値、あるいは、あらかじめ規定してあるネットワーク符号化用の位置から切り出したFCSを用いて、再度CRC符号による誤り検出処理を行う。その結果「正しい」と判定された情報フレームは、ネットワーク符号化された誤りのない情報フレームであると認識できるため、ネットワーク復号を行い所望の情報フレームを得ることができる。なお、この2回目の誤り検出処理の結果「誤り」と判定された場合には、ネットワーク符号化された情報フレームか否かの判定はできないが、誤りが含まれた、復調が失敗した情報フレームとであることが少なくとも認識できるため、破棄することができる。
中継局から送信された情報フレームがネットワーク符号化されているかどうかを、宛先としての端末局に対して通知する場合、制御情報フレームを送受信して通知を行う手法も考えられる。しかしこれは、オーバヘッド増加を招くため適切でない。また、システムのオーバヘッド削減のため、ネットワーク符号化情報フレーム自体に制御信号を新たに埋め込むと、既存システムに対して影響を及ぼすため、IEEE802.11無線LAN標準のような、既存システムに対して後方互換性を持たせるシステムには望ましくない。つまり、既存システムにネットワーク符号化を実現する端末局を混在させること事を考えると、既存の情報フレームに新しい制御情報を追加しても、既存端末局が解釈できないことになり、これにより、既存の端末局が予測していない動作を行ってしまう等の悪影響が懸念される。
例えば、ネットワーク符号化された情報フレームかどうかを中継局が端末局に通知するために、プリアンブルに通知ビットを挿入することを想定したとしても、既存の標準規格に準拠した無線システムにネットワーク符号化を適用することを考えた場合、プリアンブルには通知ビットを挿入するための余裕がなく、挿入は不可能である。
また、ネットワーク符号化用のヘッダ情報の増加を避けるため、データ部のみではなくMACヘッダまでまとめてネットワーク符号化を行うような無線中継システムの場合、中継局がネットワーク符号化をサポートしている端末局向けの情報フレームをネットワーク符号化した結果、宛先局のMACアドレスがネットワーク符号化をサポートしていない端末局のアドレスになってしまい、誤動作を招く可能性がある。
具体的に例を挙げると、ノードN1のMACアドレスが「D8-AB-E2-A2-7B-4E」、ノードN2のMACアドレスが「85-5C-5C-5C-50-ED」の場合、XORの結果がネットワーク符号化をサポートしていないノードN3のMACアドレス「5D-F7-BE-FE-2B-A3」と一致し、ノードN3は符号化情報フレームを自分宛の情報フレームと誤認識を起こしてしまう。ここで、プリアンブルに通知ビットを埋め込む手法を行った場合、ネットワーク符号化をサポートするノードN1、N2は正常に動作するが、ネットワーク符号化をサポートしていないノードN3では、プリアンブルによる通知ビットの解釈を行なうことができないため、通常通りに復調、CRCによる誤り検出処理を行い、この誤り検出処理では復調に失敗しない限り「正しい」と判定される。しかしながらそのMSDU(データの中身)は意味をなさないものであるため、上位層に動作に影響を与えてしまう。
このように、既存端末局が解釈できないような形式を用いてネットワーク符号化された情報フレームであることを通知した場合は、ネットワーク符号化をサポートしていない端末局に誤ってネットワーク符号化された情報フレームが送信され、誤った宛先に意味のないデータを届けてしまったり、IP(Internet Protocol)ネットワーク上での宛先が不明となり、ネットワーク上のトラヒックを増加させてしまったりする問題があるが、本実施形態では、このような問題が発生しない。
なお、上述した本発明の実施形態においては、IEEE802.11aに準拠した例について説明したが、他の標準(通信プロトコル)についても適用可能である。また、上記実施形態においては、ネットワークコーディングされている情報フレームであることを示す情報をFCSにより示しているが、他の通信プロトコルにより端末局と中継局とが通信する場合は、その通信プロトコルに適用される通信フレームにおいてデータ誤り検出に用いられる情報、例えば、パリティビットなどを用いて示してもよい。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、中継局から端末局へ送信する情報フレームに通知ビットを追加することなく、ネットワーク符号化をサポートしている端末局に対して、中継局から送信する情報フレームがネットワーク符号化された情報フレームであることを通知することが可能となる。また、ネットワーク符号化をサポートしない端末局では、CRC符号による誤り検出処理の結果、符号化情報フレームは「誤り」と判断され、破棄されるため、通常の端末局に影響を与えることがない。従って、追加のオーバヘッドが不要であり、かつ、既存システムに対して悪影響を与えることなく、中継局から送信される情報フレームが符号化情報フレームであるか否かの識別を通知することが可能となり、ネットワーク符号化を効率よく行うことができる。また、本発明は上記実施形態を適用する対象となる中継局、端末局のみに、軽微なソフトウェア変更を行なうことで実現することができる。