JP5072748B2 - アムロジピンの安定な液剤とゼリー剤 - Google Patents

アムロジピンの安定な液剤とゼリー剤 Download PDF

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Description

本発明は、硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするアムロジピンの安定な液剤に関するものであり、更には、ゲル化剤と微粉末状固形物とを含有することにより、速崩壊性で安定なアムロジピンのゼリー組成物に関するものである。
アムロジピンは、米国特許第4,572,909号、特開昭58−167569号等に記載され、その化学名は、2−(2−アミノエトキシメチル)−4−(2−クロロフェニル)−3−エトキシカルボニル−5−メトキシカルボニル−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジンである。アムロジピンは、人体中で長期間作用するカルシウムチャンネル拮抗剤(calcium−channel−blocker)として、狭心症、高血圧および鬱血性の心臓麻痺等の心血管系疾患の治療剤として、世界中で汎用されている。
アムロジピン自体は、光安定性や保存安定性において満足の出来るものではなく、それを改善するために種々の塩が作成されている。例えば、特許文献1では、アムロジピンの種々の塩の中で、ベシレート塩、マレート塩が好ましいものとされている。即ち現在、商品名ノルバスクとして市販されているアムロジピンは、このベシレート塩である。
しかし、このベシレート塩では、まだ光安定性が十分でなく、保存安定性の向上が求められていた。そのため、特許文献2,3では、エチルスルホン酸塩やカンファースルホン酸塩が作製され、光安定性や保存安定性が向上したことが示されている。一方、特許文献4では、アルカリ金属水酸化物との合剤による安定化製剤が作製されており、水溶液又は分散液にした場合にpH8になるようなアルカリ金属水酸化物量の添加が行われている。その結果、光安定性の向上し、優れた保存安定性と共に、迅速な腸管吸収性を示すことが開示されている。
しかし、これまでの取り組みでは、アムロジピンの液剤やアムロジピンのゼリー剤に関する開示はなく、アムロジンに関する安定な溶液製剤やゼリー剤に関する試みはこれまでほとんど知られていなかった。
EP89167 特表2004−534008 特表2006−500334 特開2001−354565
本発明では、アムロジピンの安定な液剤とゼリー組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、現在市販されているアムロジピン・ベシレート塩の新たな剤形展開として、液剤およびゼリー剤の作製に向けて鋭意検討を行った。その結果、安定化剤として硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤を添加することによって、溶液状態におけるアムロジピンの安定性を向上させることが出来ることを見出した。更に、アムロジピンの苦味マスクも硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤を添加することにより達成することができ、安定で服用しやすいものとなることを見出し、本発明の目的とする液剤とゼリー剤を完成させることができた。
更に、ゼリー剤においては、ゲル化剤と微粉末状固形物を添加、混合することにより、速崩壊性のゼリー組成物となることを見出し、経口後、胃の中で速やかにゲルマトリックスが崩壊することが示された。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)アムロジピン0.1〜1重量%と、硫酸基またはスルホン酸基を有する界面活性剤0.2〜2重量%を含有する、液性がpH7以下である安定なアムロジピン液剤。
(2)硫酸基を有する界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムである、上記(1)記載の安定なアムロジピン液剤。
(3)硫酸基を有する界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである、上記1または2記載の安定なアムロジピン液剤。
(3)有機酸またはリン酸が添加されている、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
(5)有機酸が、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸の中から一つ又は複数が選択されるものである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
(6)甘味料として、糖及び/又は糖アルコールが添加されている、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
(7)糖がショ糖、果糖、還元麦芽糖、スクラロースの中から一つ又は複数が選択され、糖アルコールがソルビトール、マンニトール、エリスリトールの中から一つ又は複数が選択される、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
(8)非イオン性界面活性剤が添加されている、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
(9)非イオン性界面活性剤がショ糖脂肪酸エステルである、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
(10)香料として、メントールが添加されている、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤を100重量部として、更に0.2〜3重量部のゲル化剤と0.2〜5重量部の微粉末状固形物を添加して得られる、アムロジピンの安定なゼリー剤。
(12)ゲル化調節剤として、カリウム塩化合物が添加されている、上記(11)に記載の安定なゼリー剤。
(13)カリウム塩化合物が塩化カリウムである、上記(11)または(12)に記載の安定なゼリー剤。
(14)ゲル化剤がカラギーナンである、液性がpH5〜7の上記(11)〜(13)のいずれかに記載の安定なゼリー剤。
(15)微粉末状固形物が、セルロース誘導体、軽質無水ケイ酸、タルクの中から一つ又は複数選択されることからなる、上記(11)〜(14)のいずれかに記載の経口用ゼリー製剤。
(16)セルロース誘導体が結晶セルロースである、上記(11)〜(15)のいずれかに記載の安定なゼリー剤。
(17)少なくとも以下の組成からなり、液性がpH5〜7のアムロジピンのゼリー組成物であって、
a)アムロジピン0.1〜1重量%、
b)硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤0.2〜2重量%、
c)ゲル化剤0.1〜3重量%、
d)ゲル化調節剤0.1〜2重量%、
e)微粉末状固形物0.2〜3重量%、
であることを特徴とする、アムロジピンの安定なゼリー組成物。
(18)甘味料が15〜50重量%添加されていることを特徴とする、上記(17)記載の安定なゼリー組成物。
(19)少なくとも以下の組成からなり、液性がpH6〜7であるアムロジピンのゼリー組成物であって、
a)アムロジピン0.1〜1重量%、
b)硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムであり、
c)ゲル化剤がカラギーナンであり、
d)ゲル化調節剤が塩化カリウムであり、
e)微粉末状固形物が結晶セルロースおよび軽質無水ケイ酸であり、
f)甘味料がソルビトールである
ことを特徴とする、上記(17)記載のアムロジピンの安定なゼリー組成物。
(20)少なくとも以下の組成からなり、液性がpH6〜7であるアムロジピンのゼリー組成物であって、
a)アムロジピンが0.1〜1重量%、
b)ラウリル硫酸ナトリウムが0.2〜0.8重量%、
c)カラギーナンが0.5〜2重量%、
d)塩化カリウムが0.2〜1重量%、
e)結晶セルロースおよび軽質無水ケイ酸が0.5〜2重量%、
f)ソルビトールが20〜45重量%、
であることを特徴とする、上記(17)記載のアムロジピンの安定なゼリー組成物。
(21)非イオン性界面活性剤が0.05〜1.0重量%添加されていることを特徴とする、上記(19)又は(20)記載のアムロジピンの安定なゼリー組成物。
(22)非イオン性界面活性剤がショ糖脂肪酸エステルであることを特徴とする、上記(19)〜(21)のいずれかに記載のアムロジピンの安定なゼリー組成物。
本発明の液剤とゼリー組成物は、アムロジピン・ベシレート塩を溶解して安定な溶液状またはゼリー状の製剤とすることができるため、アムロジピンの新たな剤形展開が出来るようになった。そして、アムロジピン特有の苦味をマスクすることができたため、非常に服用のしやすい剤形のものが提供できた。即ち、嚥下機能の低下した老齢者には錠剤の服用は困難が生じる場合が起きるが、本発明の液剤やゼリー剤では、そのような問題は克服できることになる。従って、より利便性の高い、アムリジピン製剤が提供できることになった。
本発明で言う「アムロジピン」とは、特に特定しない限り、アムロジピン・ベシレート塩のことを言う。アムロジピン・ベシレート塩の液剤やゼリー剤中の濃度は、0.2〜2重量%の範囲を挙げることができる。好ましくは0.25〜0.6重量%の範囲であり、より好ましくは0.3〜0.4重量%の範囲である。
本発明で言う「硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤」とは、経口可能な陰イオン界面活性剤の中で硫酸基またはスルホン酸基を有するものを言う。硫酸基を有する界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸エステルNa、ドデシル硫酸エステルNa等のアルキル硫酸エステルナトリウム(AS)、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル等のアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES)を挙げることができる。また、スルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸Na等の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)または分枝アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)、例えばジアルキルスルホコハク酸Na等のアルファスルフォ脂肪酸エステルナトリウム(ASF、TMS)、例えばオレフィン(C14−16)スルホン酸Na等のアルファオレフィンスルホン酸化合物、例えばメタンスルホン酸Na、エタンスルホン酸Na、カンファースルホン酸Na等のアルキルスルホン酸化合物を挙げることができる。好ましいものとしては、酸性が強く、毒性のほとんどないものが挙げられる。より好ましくは、ラウリル硫酸エステルNa、ドデシル硫酸エステルNa等のアルキル硫酸エステル化合物を挙げることができる。
硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤の液剤の使用濃度としては、0.1〜2%の範囲を挙げることができる。好ましくは0.2〜0.8重量%の範囲であり、より好ましくは0.3〜0.7重量%の範囲である。また、硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤の使用濃度としては液剤の一定量中のアムロジピンの2倍モル量にあたる濃度以上であると良好な効果が得られる。
本発明で言う「有機酸」とは、通常医薬品に使用できる有機酸とそのアルカリ金属塩のことを言う。例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、コハク酸、酢酸、酒石酸、D−酒石酸、酒石酸水素カリウム、DL−酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、マレイン酸、dl−リンゴ酸、dl−リンゴ酸ナトリウム、リン酸、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム等を挙げることができる。好ましいものとしては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、dl−リンゴ酸、dl−リンゴ酸ナトリウム、リン酸、リン酸三ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウムが挙げられる。特に好ましいものとしては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウムが挙げられる。
有機酸はアムロジピンの苦みマスキング作用と共に、そのナトリウム塩と組み合わせてpH緩衝作用をもたらすことが出来る。そのため、有機酸を苦みマスキング剤やpH調節剤、pH緩衝剤として使用することができる。従って、有機酸の使用濃度としては、通常、苦みがマスキングできる濃度あるいはpHを緩衝できる濃度以上であることが望ましい。即ち、有機酸や有機酸ナトリウム塩の使用濃度としては1〜4重量%の範囲を挙げることができる。好ましくは1.5〜3.0重量%の範囲であり、より好ましくは2.0〜3.0重量%の範囲である。
本発明の場合、例えばクエン酸を使用する場合には、これのみでアムロジピンの苦味マスクを行なうのは困難であり、ラウリル硫酸ナトリウムのような陰イオン性界面活性剤の添加が不可欠であった。この結果から、ラウリル硫酸ナトリウムのような陰イオン性界面活性剤が苦味マスクに大きく寄与することが判明した。そして、クエン酸は少し苦味マスクに関与するものの、主にはpH調節・緩衝作用に寄与することが大きいと考えられた。従って、本発明製剤の液性をpH5〜7の範囲にpH調節が可能なクエン酸量を使用することが望ましい。これらの使用量は上記と同様の1〜4重量%の範囲を挙げることができる。好ましくは1.5〜3.0重量%の範囲であり、より好ましくは2.0〜3.0重量%の範囲である。
本発明で言う「液性」とは、ゲル化剤や微粉末状固形物を添加する前の水溶液剤(ゲル・ベースという。)のpHのこと、あるいはゲル化剤や微粉末状固形物が添加された後に形成されるゼリー組成物のpHのことを言う。pHの測定は、pH試験紙あるいはpHメーター等の通常の測定手段を使用して測定することができる。例えば、水溶液剤の場合には、原液のまま測定することができる。ゼリー組成物の場合には、そのままpH試験紙で測定することができ、あるいは、ゼリー組成物を1g分取し、精製水で希釈して全量を20gとして、その溶液をpHメーターで測定することができる。本発明の液剤やゼリー組成物の液性としては、pH7以下であることが好ましく、pH5以上が好ましい。より好ましくはpH6以上であることが挙げられる。
pHが6以上になると、ゼリー組成物の離水傾向がより抑制できることが分かった。従って、ゼリー組成物のより好ましいpHとしては、pH6〜7を挙げることができる。
本発明で言う「甘味料」とは、溶液に甘味を付けるために使用するものであれば、特に限定されるものではない。なお、本明細書において「糖」とは、白糖、乳糖、ブドウ糖、液糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖、カラメル、還元麦芽糖水アメ、黒砂糖、白糖、単シロップ、粉糖、水アメ、マルトース、粉末飴等を言うが、特に限定されるものではない。糖の種類に係わらず使用することができる。また、「糖アルコール」とは、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、グリセリン、エリスリトール等を言うが、特に限定されることはなく、糖アルコールの種類にかかわらず使用することができる。更には、いくつかの糖又は糖アルコールを混合して使用することもできる。好ましい甘味料としては、白糖、還元麦芽糖水アメ、ソルビトール、マンニトール、ブドウ糖、サッカリンナトリウムを挙げることができる。より好ましいものとして、還元麦芽糖水飴、スクラロース、ソルビトール、マンニトールを挙げることができる。
甘味料の使用濃度としては、有機酸と共に使用されて、アムロジピンの特有の苦味がマスクされ、服用しやすい濃度に設定されることが望ましい。また、糖アルコールを使用した場合には、使用濃度が高くなれば、ゼリー組成物の崩壊性(アムロジピンの放出性)が良好になる傾向であった。例えば、糖アルコールとしてソルビトールを使用した場合、約18重量%よりも、約25重量%の方がゼリー組成物の崩壊性が良く、更に30重量%になれば、より崩壊性が良好になる傾向にあった。
以上のように、本発明の甘味料は、使用濃度によってはゼリー組成物の崩壊性を促進することができる。従って、アムロジピンの放出性を制御することを考慮すれば、その使用濃度としては15〜50重量%の範囲を挙げることができる。好ましくは20〜45重量%の範囲であり、より好ましくは25〜45重量%の範囲を挙げることができる。
本発明で言う「非イオン性界面活性剤」とは、経口可能な非イオン性界面活性剤を言い、例えばステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ラウリン酸等とショ糖の水酸基とのエステル体であるショ糖脂肪酸エステル、例えばモノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ヤシ脂肪酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、例えば酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル 酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リノシール酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステル、硬化ひまし油等を挙げることができる。好ましくは、ショ糖脂肪酸エステルを挙げることができる。
非イオン性界面活性剤の使用濃度は、0.05〜1.0重量%の範囲であれば十分であり、好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲であり、より好ましくは0.05〜0.3重量%の範囲を挙げることができる。
本発明においては、更に目的に応じて適宜、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、香料等も添加することが出来る。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸等の有機酸とそれらのアルカリ金属塩からなる緩衝剤や例えば、リン酸等の無機酸とそれらのアルカリ金属塩の緩衝剤を挙げることができる。本発明の液剤やゼリー組成物の液性はpHが7以下の範囲に調整されることが好ましい。より好ましくは、pHが5以上であることが挙げられる。更に好ましいものとして、pHが6〜7の範囲であることが挙げられる。
抗酸化剤としてはアスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピルなどが挙げられる。
防腐剤としては、例えば安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸、パラオキシ安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸イソブチル、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム等を挙げることができる。
これらの添加剤を均一に溶解させるために、適宜、溶解助剤を使用することができる。ここで使用される溶解助剤とは、水あるいは親水性の油状溶剤のことであり、例えば濃グリセリン、グリセリン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。好ましくは濃グリセリン、ポリビニルアルコールを挙げることができる。
香料としては、香り付けのために用いられるものであれば特に限定はないが、例えば、メントール、ハッカ油、バニラエッセンス、コーヒーフレーバー等を挙げることができる。好ましくは、清涼感を与えるために、メントール、ハッカ油を挙げることができる。
本発明で言う「ゲル化剤」とは、例えば、アラビアゴム、アラビアゴム末、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カラギーナン、カラヤガム末、カロブビーンガム、カードラン、カンテン、カンテン末、キサンタンガム、グァーガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、精製ゼラチン、ゼラチン、タマリンド種子ガム、タラガム、トラガント、トラガント末、ファーセルラン、プルラン、ペクチン等が挙げられ、これらの混合物であっても良い。好ましくは、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カロブビーンガム、カンテン末、キサンタンガム、ペクチンが挙げられ、特に好ましくはカラギーナン、カロブビーンガムが挙げられ、カラギーナンを含むゼリー剤ではその液性をpH5〜7とすることが良好である。
一般にカラギーナンはゲル化しないが粘度を上げることによりゲル化を促進することができ、良好なゲル物性および崩壊性を得ることができる。
ゲル化剤の使用濃度としては、0.1〜3重量%の範囲であれば十分であり、好ましくは0.5〜2重量%の範囲であり、より好ましくは1〜2重量%の範囲を挙げることができる。
本発明で言う「微粉末状固形物」とは、微粉末状の形状の、水に難溶な物質で常温で固体のものを言う。微粉末状とは、粒子径が1〜500μmのものを言い、なるべく細かな粒子径のものが望ましい。常温で固体の水に難溶な物質とは、水に難溶又は不溶な無機材料であり、または水に難溶又は不溶な有機材料を言う。これらの材料はゼリー組成物を形成する液性によって、溶解度は変化するが、特に言及しない限り、中性の水の溶解度として取り扱う。なお、水に難溶とは、一般的に水に難溶であることを言い、例えば溶解度として3w/w%以下(冷水100g中に溶解する溶質の量が3g以下)のものを「水に難溶」であると言う。好ましくは1w/w%以下であることが好ましい。
常温で固体の水に難溶な物質の中で、無機材料としては、例えば非晶性二酸化ケイ素、カオリン(石膏)、珪藻土、タルク、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム等のものを挙げることができる。有機材料としては、例えば:結晶セルロース、でんぷん、活性炭、難溶有機低分子化合物等を挙げることができる。
微粉末状固形物の使用濃度としては、0.2〜3重量%の範囲であれば十分であり、好ましくは0.5〜2重量%の範囲であり、より好ましくは0.5〜1.5重量%の範囲を挙げることができる。
本発明で言う「ゲル化調節剤」とは、ゲル化剤によって構築されるゲル・マトリックスの強度を調節するためのものであり、有機酸または無機酸のカリウム塩あるいはアルカリ土類金属塩を言う。ゲル化調節剤の量が多くなると、強度の強いゲルが得られるが、一定量を越えると、逆にゲルの強度が弱くなる。従って、ゲル化調節剤の濃度を横軸に、ゲル強度を縦軸に取ると、ベル型の強度曲線を描くことになる。
ゲル化調節剤としての有機酸とは、酢酸、蓚酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸等を挙げることができる。ゲル化調節剤としての無機酸とは、リン酸、塩酸、硫酸等のものが挙げられる。また、アルカリ土類金属とは、例えばマグネシウム、カルシウム、アルミニウム等が挙げられる。
なお、水に可溶性のカリウム塩を使用する場合、例えば塩化カリウム、酢酸カリウム、蓚酸カリウム等を使用することができる。
このように、本発明で使用可能なカリウム塩とアルカリ土類金属塩は、上記の中から1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられる好ましいカリウム塩としては塩化カリウム、クエン酸カリウム等を挙げることができ、また、アルカリ土類金属塩としては、例えばクエン酸カルシウム等の有機酸カルシウム塩を挙げることができる。
ゲル化調節剤の使用濃度としては、0.1〜2重量%の範囲であれば十分であり、好ましくは0.2〜1重量%の範囲であり、より好ましくは0.2〜0.6重量%の範囲を挙げることができる。
本発明において、ゲル化剤や微粉末状固形物を添加する前の液剤(ゲル・ベース)の液性は、pH7以下である。また、ゲル化剤や微粉末状固形物が添加された後に形成されるゼリー組成物の液性は、pHが約5〜7の範囲になることが好ましい。
なお、ゲル・ベース等の液性は、pHメーター等の通常の液性測定機器で測定することができ、上記の液性になるよう調整することができる。
特に薬効成分を溶解させた液剤(ゲル・ベース)の液性が中性に近いものであれば、一般に薬効成分は安定と考えられる。従って、アムロジピンが溶解したゲル・ベースと最終ゲル組成物の液性はpH6〜7あるいは中性になるように添加する試剤の量比を工夫することが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1)アムロジピン液剤の合成
以下の表1(表中の数値は重量%を表す)の組成で各試剤を秤取する。
水にDソルビトール液、クエン酸、クエン酸ナトリウム、スクラロースを加えて60℃で加温攪拌する。その後、アムロジピン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピルパラベンを加えてアムロジピン溶剤を調製した。
その結果を併せて表1に記載した。
Figure 0005072748
(試験例1)アムロジピン液剤の保存安定性
(陰イオン性界面活性剤・ラウリル硫酸ナトリウムの共存の有無の対比試験)
実施例1で作製した液剤を80℃のインキュベータに24時間保存し、アムロジピンの保存安定性を調べた。その結果、ラウリル硫酸ナトリウムが存在すれば良好な保存安定性が得られたが、ラウリル硫酸ナトリウムが存在しない場合、保存安定性は約15%ほど低下した。
(実施例2)アムロジピンゼリー組成物の合成
以下の表2(表中の数値は重量%を表す)の組成で各試剤を秤取する。
水に、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、塩化カリウム、Dソルビトール、カラギーナン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スクラロースを順に加えながら加温し、80℃に加熱攪拌後、アムロジピン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピルパラベンを加えて、85℃にて殺菌工程を兼ねて加熱攪拌する。所定の容器に温時分注し、自然冷却してゲル組成物を作製した。
ゼリー組成物を1g分取し、精製水で希釈して全量を20gとして、液性のpH値を測定したところ、pHは5.3であった。
(参考例1)陰イオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を含有しないゼリー組成物の合成
以下の表2(表中の数値は重量%を表す)の組成で各試剤を秤取する。
水に、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、塩化カリウム、Dソルビトール、カラギーナン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、スクラロースを順に加えながら加温し、80℃に加熱攪拌後、アムロジピン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピルパラベンを加えて、85℃にて殺菌工程を兼ねて加熱攪拌する。所定の容器に温時分注し、自然冷却してゲル組成物を作製した。実施例1と同様にしてゼリー組成物のpHを測定したところ、pHは5.3であった。
実施例2と参考例1の結果を併せて表2に記載した。
Figure 0005072748
(試験例2)アムロジピンゼリー組成物の保存安定性
(陰イオン性界面活性剤・ラウリル硫酸ナトリウムの共存の有無の対比試験)
(1)60℃での保存安定性
実施例2、参考例1で作製したゼリー組成物を60℃のインキュベータに1週間保存した。その後、アムロジピンの含量を測定し、アムロジピンのゼリー組成物中での保存安定性を調べた。結果を以下の表3に示す。
Figure 0005072748
以上の結果に示されるように、ラウリル硫酸ナトリウムがゼリー組成物中に存在することによって、アムロジピンは大きく安定化されることが分かった。
(試験例3)アムロジピンゼリー組成物の崩壊性
実施例2で作製したゼリー組成物を約2g分取し、溶出試験機に掛けた。まず、ゼリー組成物を日本薬局方崩壊試験液1液(pH1.2)及び2液(pH6.8)に浸漬し、ゼリー組成物の投入時から5分後、15分後、30分後、60分後における各水溶液中へのアムロジピンの溶出率を測定した。
実施例2のゼリー組成物の各溶液中での溶出率を表4に示す。
Figure 0005072748
以上の結果に示されるように、実施例2のゼリー組成物は、日本薬局方崩壊試験液1液および2液の各溶液中で急速に崩壊し、溶液中にアムロジンが溶出されることが分かった。
(実施例3)糖含量の増加による溶出性の改善
実施例2と同様にして、ソルビトールの含量だけを1.4倍増加させた表5(表中の数値は重量%を表す)の組成のゲル組成物を作製した。実施例1と同様にしてゼリー組成物のpHを測定したところ、pHは5.3であった。
Figure 0005072748
(試験例4)アムロジピンゼリー組成物の崩壊性
試験例3と同様に、実施例3で作製したゼリー組成物の崩壊性と各水溶液中へのアムリジピンの溶出率を測定した。
実施例3のゼリー組成物の各溶液中での溶出率を表6に示した。
Figure 0005072748
以上の結果より糖アルコール(Dソルビトール)の添加量を増やすことにより、実施例3のゼリー組成物では、アムロジピンの溶出性が改善されることになった。
(試験例5)アムロジピンゼリー組成物の保存安定性
(1)40℃、50℃での保存安定性
実施例3で作製したゼリー組成物を40℃および50℃のインキュベータに2ヶ月間保存した。その後、アムロジピンの含量を測定し、アムロジピンのゼリー組成物中での保存安定性を調べた。結果を以下の表7に示す。
Figure 0005072748
以上の結果より、実施例3のゼリー組成物は保存安定性も良好なものであることが示された。
(実施例4)pHおよび陰イオン性界面活性剤の含量増加によるゼリー組成物への影響
実施例3のゼリー組成物の改良を進めるため、pHの中性化、糖と陰イオン性界面活性剤の含量増加を検討した。実施例2と同様にして表8(表中の数値は重量%を表す)の組成で各試剤を秤取し、ゲル組成物実施例4−1、実施例4−2、実施例4−3を作製した。各ゼリー組成物を1g分取し、精製水で希釈して全量を20gとして、液性のpHを測定した。更に、ゼリー組成物の離水性を評価するため、室温下で1日保存後のゼリー組成物の外観を目視で観察した。これらの結果を併せて表8に示す。
Figure 0005072748
(試験例6)アムロジピンゼリー組成物の崩壊性
実施例4で作製したゼリー組成物の中で離水が確認されなかった実施例4−2と実施例4−3に関する崩壊性を検討し、水溶液中へのアムロジピンの溶出率を測定した。
実施例4−2のゼリー組成物の各溶液中での溶出率を表9に、実施例4−3の結果を表10に示した。
Figure 0005072748
Figure 0005072748
以上の結果より、実施例4−2のゼリー組成物がより良好な崩壊性を示すことが分かった。
(試験例7)アムロジピンゼリー組成物の保存安定性
(1)40℃、50℃での保存安定性
試験例5と同様に、実施例4で作製した実施例4−2のゼリー組成物の保存安定性を調べた。実施例4−2の結果を以下の表13に示す。
Figure 0005072748
以上の結果より、実施例4−2のゼリー組成物は、1時間以内に完全に崩壊し、実施例2や実施例3に比べて日本薬局方崩壊試験液1液および第2液への溶出が早く、熱安定性が優れ手いることが分かった。

Claims (15)

  1. アムロジピン0.1〜1重量%と、硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤0.2〜2重量%を含有する、液性がpH5〜7の安定なアムロジピン液剤。
  2. 硫酸基を有する陰イオン性界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである、請求項1記載の安定なアムロジピン液剤。
  3. 非イオン性界面活性剤が添加されている、請求項1または2記載の安定なアムロジピン液剤。
  4. 非イオン性界面活性剤がショ糖脂肪酸エステルである、請求項1〜3のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
  5. 有機酸が添加されている請求項1〜4のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
  6. 有機酸が、クエン酸及びそのナトリウム塩の中から一つ又は複数が選択されるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
  7. 甘味料として、糖及び/又は糖アルコールが添加されている、請求項1〜6のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の安定なアムロジピン液剤を100重量部として、更に0.1〜3重量部のゲル化剤と0.2〜5重量部の微粉末状固形物を添加して得られる、アムロジピンの安定なゼリー剤。
  9. ゲル化調節剤が添加されている、請求項8に記載の安定なゼリー剤。
  10. ゲル化調節剤が塩化カリウムである、請求項8または9に記載の安定なゼリー剤。
  11. ゲル化剤がカラギーナンであり、液性がpH5〜7の、請求項8〜10のいずれかに記載の安定なゼリー剤。
  12. 少なくとも以下の組成からなり、液性がpH5〜7のアムロジピンのゼリー組成物であって、
    a)アムロジピン0.1〜1重量%、
    b)硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤0.2〜2重量%、
    c)ゲル化剤0.1〜3重量%、
    d)ゲル化調節剤0.1〜2重量%、
    e)微粉末状固形物0.2〜3重量%、
    であることを特徴とする、アムロジピンの安定なゼリー組成物。
  13. 甘味料が15〜50重量%添加されていることを特徴とする、請求項12記載の安定なゼリー組成物。
  14. 少なくとも以下の組成からなり、液性がpH6〜7であるアムロジピンのゼリー組成物であって、
    a)アムロジピン0.1〜1重量%、
    b)硫酸基またはスルホン酸基を有する陰イオン性界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムであり、
    c)ゲル化剤がカラギーナンであり、
    d)ゲル化調節剤が塩化カリウムであり、
    e)微粉末状固形物が結晶セルロースおよび軽質無水ケイ酸であり、
    f)甘味料がソルビトールである
    ことを特徴とする、請求項12記載のアムロジピンの安定なゼリー組成物。
  15. 少なくとも以下の組成からなり、液性がpH6〜7であるアムロジピンのゼリー組成物であって、
    a)アムロジピンが0.1〜1重量%、
    b)ラウリル硫酸ナトリウムが0.2〜0.8重量%、
    c)カラギーナンが0.5〜2重量%、
    d)塩化カリウムが0.2〜1重量%、
    e)結晶セルロースおよび軽質無水ケイ酸が0.5〜2重量%、
    f)ソルビトールが20〜45重量%、
    であることを特徴とする、請求項12記載のアムロジピンの安定なゼリー組成物。
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