昨今、規格が異なる2種類の波長帯の赤外光(赤外線)を受光するため、計2個の受光モジュールを含む受光ユニットを具備したテレビジョン装置および録画装置などの電気機器が存在する。
例えば、録画装置の中には、デジタルカメラまたはカメラ機能付き携帯電話機等の撮像画像データの送信用の赤外線通信(例えば、IrDA(Infrared Data Association)の通信規格に基づくもの)に対応した受光モジュールと、録画装置のリモートコントロール装置(以下、リモコン装置と称す)によるリモコン操作データ用の赤外線通信に対応した受光モジュールとを設けたものがある。
IrDA用の赤外線通信に用いられる赤外線には、約850nm〜約900nmの波長帯が通常使用されており、リモコン操作データの赤外線通信に用いられる赤外線の波長帯は、各メーカにより独自に規定される場合が多いが一般に、上述したIrDA用の波長帯より長波長(例えば、約950nm)が用いられることが多い。
よって、IrDA通信が可能な送信側の電気機器(デジタルカメラまたは撮影機能付き携帯電話など)に設けられる発信部には、上述した約850nm〜約900nmの波長の赤外線を発する発光素子が設けられると共に、受信側の電気機器に設けられる受光モジュールには、約850nm〜約900nmの波長範囲の光を透過させるバンドパスフィルタが受光素子の前方に配置されている。同様に、リモコン装置に設けられる発信部は、上述した約950nmの波長の赤外線を発する仕様になっていると共に、受信側の電気機器に設けられる受光モジュールには、約950nmを中心とした波長範囲の光を透過させるバンドパスフィルタが用いられる。
このような2個の受光モジュールを含む受光ユニットを具備した電気機器は、それぞれの受光モジュールにおけるバンドパスフィルタの透過波長帯が異なるので、リモコン装置用の受光モジュールでは、IrDA用の赤外線がバンドパスフィルタで遮られ、IrDA用の赤外線による誤作動の発生等を防止している。
なお、バンドパスフィルタは一般に、直交的に入射される光に対しては、所定のバンドパス特性(透過波長帯に含まれる波長の光を透過させ、それ以外の波長の光を遮る特性)を維持するが、斜め方向から入射される光に対しては、透過させる波長帯が低波長側へシフトする特性がある。そのため、下記の特許文献1では、狭い窓の開いた遮光板を用いることで、斜め方向からの入射角度範囲を制限する構造が開示されている。
特開2002−175720号公報
IrDA用とリモコン装置用の2種類の受光モジュールを含む受光ユニットを具備する電気機器において、リモコン装置用の受光モジュールへIrDA用の赤外光が斜めから入射されると、バンドパスフィルタの斜めからの入射光に対して透過波長帯が低波長側へシフトする特性により、リモコン装置用より低波長のIrDA用の赤外光がリモコン装置用のバンドパスフィルタを透過して干渉すると云う問題がある。
すなわち、丁度、各受光モジュールに対向する位置から直交的に光が入射されるように、光が発せられれば、透過波長帯に含まれない光はそれぞれのバンドパスフィルタで遮られる。しかし、各受光モジュールに対して斜めの方向から光が発せられると、IrDA用の光は、リモコン装置用の光のより波長が短いため、斜めからの入射によりバンドパスフィルタの透過波長が短波長側へシフトすることで、上述した問題が起こり得る。そのため、ユーザは、IrDAで赤外線通信を行う場合、IrDAの送信側の機器をIrDA用の受光モジュールの方へ確実に向ける必要があり、ユーザの操作負担が大きくなる。
なお、特許文献1に係る構造は、入射可能な角度範囲を制限するため、本来、受光を想定している対象に対しても受光可能な角度範囲を狭めてしまうので、例えば、リモコン装置の可能な角度範囲が狭くなり、リモコン装置による遠隔操作性が妨げられる。
本発明は、斯かる問題に鑑みてなされたものであり、2種類の受光モジュールを平行的に設けた受光ユニットに対して、長波長側の受光モジュールが含むバンドパスフィルタの配置および形状等を工夫することで、相互の受光モジュールの干渉を抑えて各受光モジュールで確実に受光を行えるようにした受光ユニットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る受光ユニットは、第1波長帯の光を透過させる平板状の第1バンドパスフィルタおよび前記第1バンドパスフィルタを透過した光を受光できるように配置した第1受光素子を有する第1受光モジュールと、前記第1波長帯より長波長側の第2波長帯の光を透過させる平板状の第2バンドパスフィルタおよび前記第2バンドパスフィルタを透過した光を受光できるように配置した第2受光素子を有する第2受光モジュールとを備え、前記第1受光モジュールおよび前記第2受光モジュールは、前記第1受光素子および前記第2受光素子の受光方向の中心線が平行的になるように間隔を空けて配置してある受光ユニットにおいて、前記第2バンドパスフィルタは、前記第1受光モジュール側の一端部が反対側の他端部に比べて前記第2受光素子に近づくように傾斜した状態で配置してあることを特徴とする。
本発明にあっては、長波長側の第2バンドパスフィルタを、第1受光モジュール側の一端部が第2受光素子へ近づくように傾斜させたので、たとえ、第1受光モジュールに対向する箇所から第2受光モジュールへ向けて光が発せられても、第2受光モジュールの第2バンドパスフィルタは傾斜しているため、その光は第2バンドパスフィルタへ直交的に入射することになる。そのため、このような入射に対しては、第2バンドパスフィルタの透過波長帯が短波長側へシフトすることが無くなり、本来のバンドパス特性を維持できる。そのため、第1受光モジュールに対向する箇所から第1受光モジュールに対応した波長の光(第2受光モジュールに対応した光の波長より短波長のもの)が、第2受光モジュールへ向けて発せられても、第2バンドパスフィルタで遮ることができる。
また、本発明に係る受光ユニットは、傾斜した状態で配置された前記第2バンドパスフィルタは、前記第2受光素子の受光方向の中心線に沿った方向での透過波長帯が、前記第2受光素子が受光を想定している波長帯を含むような角度で傾斜してあることを特徴とする。
本発明にあっては、第2受光素子の受光方向の中心線に沿った方向での透過波長帯が、第2受光素子が受光を想定している波長帯に含まれるように、第2バンドパスフィルタの傾斜角度を特定するので、第2受光素子が受光を想定している波長帯の光が、第2受光モジュールに対向する箇所から発射されると、第2バンドパスフィルタへの斜め入射になって、確実に透過されて第2受光素子で受光されるようになる。そのため、第2受光モジュールでは、第2受光素子の受光方向の中心線に対して斜めから、第2受光素子が受光を想定している波長帯より短波長の光が発せられても、そのような光は相対的な位置関係で、第2バンドパスフィルタへ直交的に入射することになり遮られる。一方、第2受光素子が本来、受光を想定している波長の光が、第2受光素子の受光方向の中心線に沿って発せられれば、相対的な位置関係で第2バンドパスフィルタへ斜めに入射することになるが、そのような斜めの入射に対する透過波長帯が第2受光素子の受光すべき波長に合わせられているので、第2バンドパスフィルタを透過することができる。
それにより、第2受光素子では、受光対象となる波長の光のみを確実に受光できるようになる。なお、第1受光モジュールでは、そもそも第2バンドパスフィルタのバンドパス特性に係る波長帯より短い波長の光を透過させる第1バンドパスフィルタを用いているため、第2受光素子に応じた波長の光が第1バンドパスフィルタへ斜めに入射しても、第1バンドパスフィルタでは、斜め入射に対して透過させる光の波長を短波長側へシフトするので、第2受光素子に応じた波長の光は更に透過しにくくなり、上述した第2受光モジュールにおける問題は、そもそも生じない。
本発明に係る受光ユニットは、第1波長帯の光を透過させる平板状の第1バンドパスフィルタおよび前記第1バンドパスフィルタを透過した光を受光できるように配置した第1受光素子を有する第1受光モジュールと、前記第1波長帯より長波長側の第2波長帯の光を透過させる第2バンドパスフィルタおよび前記第2バンドパスフィルタを透過した光を受光できるように配置した第2受光素子を有する第2受光モジュールとを備え、前記第1受光モジュールおよび前記第2受光モジュールは、前記第1受光素子および前記第2受光素子の受光方向の中心線が平行的になるように間隔を空けて配置してある受光ユニットにおいて、前記第2バンドパスフィルタは、前記第2受光素子の受光方向の中心線に対して直交的な直交面部と、前記直交面部の前記第1受光モジュール側で前記第2受光素子を被うように傾斜した斜面部とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、長波長側の第2バンドパスフィルタが、第2受光素子を被うような斜面部を有するので、たとえ、第1受光モジュールに対向する箇所から第2受光モジュールへ向けて光が発せられても、その光は斜面部へ直交的に入射することになる。そのため、第2バンドパスフィルタの透過させる波長帯が短波長側へずれることが無くなり、そのような角度に対して本来のバンドパス特性を維持できる。また、第2バンドパスフィルタは、第2受光素子の受光方向の中心線に対して直交的な直交面部を備えるので、第2受光素子が受光を想定している波長の光は、第2受光素子の対向する箇所から発せられれば、直交面部を透過して第2受光素子で受光されるようになり、相異する波長の光の干渉を防止して、第2受光モジュールでの受光を確実に行える。
本発明に係る受光ユニットは、第1波長帯の光を透過させる平板状の第1バンドパスフィルタおよび前記第1バンドパスフィルタを透過した光を受光できるように配置した第1受光素子を有する第1受光モジュールと、前記第1波長帯より長波長側の第2波長帯の光を透過させる第2バンドパスフィルタおよび前記第2バンドパスフィルタを透過した光を受光できるように配置した第2受光素子を有する第2受光モジュールとを備え、前記第1受光モジュールおよび前記第2受光モジュールは、前記第1受光素子および前記第2受光素子の受光方向の中心線が平行的になるように間隔を空けて配置してある受光ユニットにおいて、前記第2バンドパスフィルタは、前記第2受光素子を被うように碗状に形成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、第2バンドパスフィルタが、第2受光素子を被うような碗状で形成されているので、たとえ、第1受光モジュールに対向する箇所から第2受光モジュールへ向けて光が発せられても、その光は第2バンドパスフィルタの碗状の曲面へ直交的に入射することになる。そのため、第2バンドパスフィルタの透過させる波長帯が短波長側へシフトすることが無くなり、そのような角度に対して本来のバンドパス特性を維持できる。また、第2受光素子の対向する箇所から発せられた光も、第2バンドパスフィルタの碗状の曲面へ直交的に入射するので、第2受光素子に応じた波長の光であれば、第2バンドパスフィルタを透過して第2受光素子で確実に受光される。それにより、相異する波長の光の干渉を防止して、第2受光モジュールでの受光を確実に行えるようになる。
本発明に係る受光ユニットは、前記第2バンドパスフィルタが、中空球体の一部を切り取って碗状に形成してあることを特徴とする。
本発明にあっては、第2バンドパスフィルタが、中空球体の一部を切り取って碗状に形成してあるので、各方向からの入射が法線方向に沿ったものであれば、第2バンドパスフィルタのバンドパス特性を確実に発揮しやすくなり、遮るべき波長の光の透過を確実に防止できる。
本発明にあっては、長波長側の第2バンドパスフィルタを、第1受光モジュール側の一端部が第2受光素子へ近づくように傾斜させるので、第1受光モジュールに対向する箇所から第2受光モジュールへ向けて発せられた光は、第2バンドパスフィルタへ直交的に入射するため、所定のバンドパス特性を発揮でき、第2受光素子が受光を想定していない波長の光を遮ることができる。
また、本発明にあっては、第2受光素子の受光方向の中心線に沿った方向での透過波長帯が第2受光素子の受光対象の光の波長帯に含まれる角度で、第2バンドパスフィルタを傾けるので、第2受光モジュールに対向する箇所から第2受光素子が受光を想定している波長帯の光が発せられれば、確実に第2受光素子で受光できるようになり、安定した受光性能を確保できる。
本発明にあっては、長波長側の第2バンドパスフィルタが、第2受光素子を被うような斜面部を有するので、たとえ、第1受光モジュールに対向する箇所から第2受光モジュールへ向けて光が発せられても、その光は斜面部へ直交的に入射するため、所定のバンドパス特性を発揮でき、第2受光素子が受光を想定していない波長の光を確実に遮ることができると共に、第2受光素子の受光方向の中心線に対して直交的な直交面部を有するので、第2受光素子が受光を想定している波長の光が、第2受光素子の対向する箇所から発せられれば、確実に第2受光素子で受光でき、安定した受光特性が得られる。
本発明にあっては、第2バンドパスフィルタが、第2受光素子を被うような碗状で形成されているので、たとえ、第1受光モジュールに対向する箇所から第2受光モジュールへ向けて光が発せられても、その光は第2バンドパスフィルタの碗状の曲面へ直交的に入射するため、所定のバンドパス特性を発揮でき、第2受光素子が受光を想定していない波長の光を確実に遮ることができると共に、第2受光素子が受光を想定している波長の光が、第2受光素子の対向する箇所から発せられれば、その光を透過させるので、第2受光素子で受光の安定化を図れる。
また、本発明にあっては、第2バンドパスフィルタが、中空球体の一部を切り取って碗状に形成してあるので、各方向からの入射が法線方向に沿ったものであれば、第2バンドパスフィルタのバンドパス特性を確実に発揮でき、遮るべき波長の光の透過を防止できると共に、透過させるべき光をスムーズに透過させられる。
図1は、本発明の実施形態に係る受光ユニット15を含んだ電気機器であるテレビジョン装置10を示している。テレビジョン装置10は、筐体11の前面11aの下方に受光ユニット15を配置しており、受光ユニット15は、図1でテレビジョン装置10の筐体11の右側部11bにIrDA用の第1受光モジュール20を有し、左側部11cにリモコン操作用の第2受光モジュール30を有する。本実施形態では、第1受光モジュール20は、撮影機能付き携帯電話機1から発せられるIrDA用の赤外線(赤外光)の受光に対応したものになっており、第2受光モジュール30はテレビジョン装置10のリモコン装置5から発せられる赤外光の受光に対応したものになっている。
なお、携帯電話機1は、筐体1aに設けた操作部2を適宜操作することで、筐体1aの先端に設けた発信部3から、撮影した画像等のデータ(コンテンツデータ)をIrDAに応じた波長(850nm〜900nmの範囲の波長。例えば、約875nmの波長)の赤外線で送信できるようになっている。また、リモコン装置5は、筐体5aの先端に設けた発信部7から、操作部6で受け付けた操作内容に応じた遠隔操作用の操作信号を、赤外線(例えば、約950nmの波長の赤外線)で送信できるようになっている。
図2は、図1に示すテレビジョン装置10の俯瞰方向における受光ユニット15の概略的な構成を示している。受光ユニット15が有する第1受光モジュール20は、モジュール内に配置した第1受光素子21の前方に、携帯電話機1の発信部3から発せられる赤外線(第1波長帯の光に相当)を透過させるバンドパス特性を有する平板状の第1バンドパスフィルタ22を配置し、第1バンドパスフィルタ22を透過した光(赤外線)を第1受光素子21で受光できるようにしている。なお、第1バンドパスフィルタ22は、第1受光素子21の受光方向の中心線21a(テレビジョン装置10の画面に対する垂直線に平行な線)に対して直交的な配置になっている。
また、受光ユニット15が有する第2受光モジュール30は、モジュール内に配置した第2受光素子31の前方に、リモコン装置5の発信部7から発せられる赤外線(第1波長帯より長波長側の第2波長帯の光に相当)を透過させるバンドパス特性を有する平板状の第2バンドパスフィルタ32を配置して、第2バンドパスフィルタ32を透過した光(赤外線)を第2受光素子31で受光できるようにしている。第2バンドパスフィルタ32は、第1受光モジュール20側の端部32bが反対側の端部32cに比べて第2受光素子31に近づくように傾斜した状態で配置してあり、第2受光素子31の受光方向の中心線31aと直交する線に対して角度Xで傾斜している。
なお、図2に示すように、第1受光モジュール20および第2受光モジュール30は、第1受光素子21の中心線21aと、第2受光素子31の中心線31aとが平行的になるように配置して受光ユニット15が構成されており、受光に関する相互の干渉の影響を抑えるためには、両方の受光モジュール20、30の間隔は、できるだけ広く確保することが好ましい。
図3(a)〜(c)は、第1受光モジュール20が有する第1バンドパスフィルタ22および第2受光モジュール30が有する第2バンドパスフィルタ32のバンドパス特性を説明するための図である。先ず、第1バンドパスフィルタ22について説明すると、図3(a)に示すように、第1バンドパスフィルタ22の表面22aに対して直交的に光K1が入射した場合のバンドパス特性は、図3(b)の実線で示す曲線L1のようになり、約850nm〜約900nmの波長帯の光に対して最も透過レベルが高くなると共に、約850nmより短波長側および約900nmより長波長側では透過レベルが低下していく。
また、図3(a)において、第1バンドパスフィルタ22の表面22aへ、光K1に対して角度αで入射する光K2、K3に対するバンドパス特性は、図3(b)の波線で示す曲線L2のようになる。曲線L2は、曲線L1を短波長側へ約20nmシフトした形態になっており、そのため、角度αで入射する光K2、K3に対するバンドパス特性は、約830nm〜約880nmの波長帯の光に対して最も透過レベルが高くなると共に、約830nmより短波長側および約880nmより長波長側では透過レベルが低下する。なお、このように斜め方向の入射によりバンドパス特性が短波長側へシフトするのは、斜め入射によりバンドパスフィルタの通過距離が長くなることに起因している。
次に、第2バンドパスフィルタ32について説明すると、図3(a)で示すように、第2バンドパスフィルタ32の表面32aに対して直交的に光K1が入射した場合のバンドパス特性は、図3(c)の実線で示す曲線L11のようになり、約970nm〜約1020nmの波長帯の光に対して最も透過レベルが高くなると共に、約970nmより短波長側および約1020nmより長波長側では透過レベルが低下していく。
また、図3(a)において、第2バンドパスフィルタ32の表面32aへ、光K1に対して角度αで入射する光K2、K3に対するバンドパス特性は、図3(b)の波線で示す曲線L12のようになる。曲線L12は、曲線L11を短波長側へ約30nmシフトした形態になっており、そのため、角度αで入射する光K2、K3に対するバンドパス特性は、約940nm〜約990nmの波長帯の光に対して最も透過レベルが高くなると共に、約940nmより短波長側および約990nmより長波長側では透過レベルが低下する。
図4(a)(b)は、図2に示すように、第2受光モジュール30における傾斜配置状態での第2バンドパスフィルタ32に対するバンド特性を説明するための図である。図4(a)に示すように、本実施形態における第2受光モジュール30の傾斜する角度Xは、図3(a)における光K1に対する光K2、K3の角度αと同じ数値にしてある。そのため、このように傾斜させた第2受光モジュール30の第2受光素子31の中心線31aに対するバンド特性は図4(b)に示すようになる。
図4(b)中の実線の曲線L21は、図4(a)の光K11(第2受光素子31の中心線31aに沿った方向の光)に対するバンドパス特性を示し、この曲線L21は丁度、光K11が、第2バンドパスフィルタ32の表面32aでは、表面32aの垂線に対して角度αで斜めに入射することになるので、図3(c)の曲線L12に一致している。また、図4(b)中の波線の曲線L22は、図4(a)の光K12に対するバンドパス特性を示し、この曲線L22は丁度、光K12が、第2バンドパスフィルタ32の表面32aに対して直交的に入射することから、図3(c)の曲線L11に一致している。そのため、第2受光モジュール30においては、第2受光素子31の中心線31aから角度αだけ斜めに入射すると、見かけ上、バンドパス特性が曲線L21から曲線L22へと長波長側へシフトすることになる。
図5(a)は、第1受光モジュール20の第1受光素子21の中心線21a上の位置から、図1に示す携帯電話機1の発信部3より赤外線を発した状態を示している。先ず、第1受光モジュール20へ向けて携帯電話機1の発信部3から赤外線(850nm〜900nmの範囲の波長の赤外線。例えば、約875nmの波長の赤外線)が発せられると、第1バンドパスフィルタ22へ直交的に入射するので、図3(b)に示すバンドパス特性により、発せられた赤外線は第1受光素子21で受光され、画像のデータ(コンテンツデータ)の送受が完了する。
また、仮に、携帯電話機1の発信部3が、上述した位置から、第2受光モジュール30へ向けて赤外線を角度αで発した場合、第2受光モジュール30の傾斜した第2バンドパスフィルタ32では直交的に赤外線が入射することになる。この場合、第2バンドパスフィルタ32のバンドパス特性は、図3(c)の曲線L11および図4(b)の曲線L22のようになるので、発信部3から発せられた赤外線(850nm〜900nmの範囲の波長の赤外線。例えば、約875nmの波長の赤外線)は、第2バンドパスフィルタ32のバンドパス特性(約970nm〜約1020nmの波長の光を透過させる特性)に係る波長帯に含まれないため、第2バンドパスフィルタ32で遮られ、第2受光素子31で発信部3からの赤外線が受光されることが防止される。それにより、携帯電話機1の発信部3から発せられた赤外線が第2受光モジュール30へ向かっても、テレビジョン装置10が誤作動するおそれを解消できる。
図5(b)は、第2受光モジュール30の第2受光素子31の中心線31a上の位置から、図1に示すリモコン装置5の発信部7より赤外線を発した状態を示している。第2受光モジュール30へ向けてリモコン装置5の発信部7から赤外線(例えば、約950nmの波長の赤外線)が発せられると、第2バンドパスフィルタ32へ角度αで入射するため、図4(b)の曲線L21に示すバンドパス特性(透過波長帯の中心が約950nm)により、発信部7からの赤外線は第2バンドパスフィルタ32を透過して第2受光素子31で受光される。これにより、テレビジョン装置10はリモコン装置5で遠隔操作を行うことができ、上述したように携帯電話機1から発せられる赤外線との干渉もないため、良好な受信感度を確保できる。
なお、上述した位置から、リモコン装置5の発信部7が第1受光モジュール20へ向けて赤外線を角度αで発した場合、第1受光モジュール20の第1バンドパスフィルタ22には角度αで赤外線が入射することになるので、図3(b)の曲線L2に示すバンドパス特性により、発信部7から発せられる赤外線の波長(約950nm)は、曲線L2の透過波長帯より、遙かに長波長側であるため、第1バンドパスフィルタ22で発信部7からの赤外線は遮られる。それにより、第1受光モジュール20も良好な受信感度が確保されている。
なお、本発明に係る受光ユニットは、上述した形態に限定されるものではなく、複数の変形例が存在する。図6(a)(b)は変形例の第2バンドパスフィルタ42を示している。変形例の第2バンドパスフィルタ42は、四角錐を底面に平行な面で切り取ったような形状であり、第2受光素子31′の中心線(図6(b)の光K20を通る線)に対して直交的な矩形状の直交面部42aと、その周囲に計4個の傾斜した台形の斜面部42b〜42eを設けることで、全体として末広がり形状になっている。なお、第2バンドパスフィルタ42は、当然、下面部を有しないと共に、第2受光モジュールに配置されると、斜面部42eが第1受光モジュール側に位置して、第2受光素子31′を被うことになる。
変形例の第2バンドパスフィルタ42のバンドパス特性は、図4(b)の曲線L21に示すようになっており、約950nmを中心帯域とした透過波長帯を有する。このような第2バンドパスフィルタ42では、図5(b)に示すように、リモコン装置5の発信部7から発せられた赤外線(約950nmの波長)が直交的に直交面部42aへ入射すると(図6(b)に示す光K20参照)、透過波長帯に含まれることから、発信部7からの赤外線は第2バンドパスフィルタ42を透過して第2受光素子31′で受光される。
一方、図5(a)に示すように、携帯電話機1の発信部3からの赤外線(850nm〜900nmの範囲の波長。例えば、約875nmの波長)が、第2受光モジュールへ向けて発せられると、第2バンドパスフィルタ42の斜面部42eへ直交的に入射されるので(図6(b)に示す光K21参照)、第2バンドパスフィルタ42のバンドパス特性により、発信部3から赤外線は遮られ、第2受光素子31′がノイズ光を受光するような状況を防止できる。なお、変形例の第2バンドパスフィルタ42は直交面部42aの周囲にわたって斜面部42b〜42eを有するので、様々な方向から斜めにノイズ光(第2受光素子31′が受光を想定していない光)が入射されても、各斜面部42b〜42eでノイズ光(例えば、光K22)を遮ることができる。なお、この変形例では、四角錐をベースとした形状で第2バンドパスフィルタ42を形成しているが、三角錐、五画錘のような多角錘または円錐をベースにして第2バンドパスフィルタ42を形成することも可能である。
図7(a)(b)は別の変形例の第2バンドパスフィルタ52を示している。変形例の第2バンドパスフィルタ52は、内周面までの半径がRの中空球体Sの一部を切り取って第2受光素子31″を被うように碗状に形成されており、第2受光素子31″は、第2バンドパスフィルタ52の形状に係る中空球体Sの中心に配置されている。
この変形例の第2バンドパスフィルタ52のバンドパス特性も、図4(b)の曲線L21に示すようになっている。そのため、図5(b)に示すように、リモコン装置5の発信部7から発せられた赤外線(約950nmの波長)が第2バンドパスフィルタ52の湾曲面52aへ入射すると(図7(b)に示す光K30参照。なお、光K30は第2受光素子31″の中心線31a″に一致)、法線方向の入射により第2バンドパスフィルタ52のバンドパス特性は、図4(b)の曲線L12に応じた透過波長帯になり、発信部7からの赤外線は第2バンドパスフィルタ52を透過して第2受光素子31″で受光される。
一方、図5(a)に示すように、携帯電話機1の発信部3からの赤外線が、第2受光モジュールへ向けて発せられると、第2バンドパスフィルタ52の湾曲面52aへ、入射箇所における接線に対して直交的な入射になり、第2バンドパスフィルタ52のバンドパス特性により、発信部3から赤外線は遮られて、第2受光素子31″がノイズ光の影響を受けることを防止できる。なお、第2バンドパスフィルタ52は、中空球体の一部に応じた球面に形成する以外に、曲率が異なる湾曲面にすることも可能であり、また、第2受光素子31″の位置も、第2バンドパスフィルタ52の曲面に応じた曲率に合わせて適宜、配置箇所を変更することも可能である。