JP5072307B2 - 電力取引リスク管理装置及び電力取引リスク管理方法 - Google Patents

電力取引リスク管理装置及び電力取引リスク管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、電力取引におけるリスクを管理する装置に関する。
わが国では、平成17年4月から卸電力取引が開始されたばかりであり、電力取引におけるリスク管理方法は試行錯誤の段階にあるが、関連する技術がいくつか提案されている。特許文献1には、電力価格変動モデルを作成し、当該モデルに基づいて電力価格の変動の確率分布を計算し、当該確率分布を用いて電力価格のリスク評価を行うリスク管理システムが開示されている。特許文献2には、電力取引に伴う市場リスクを計量し、リスクを許容量以下に保ちつつ、収益を最大化するリスク管理システムが開示されている。
特開2004−145396号公報 特開2004−252967号公報
しかしながら、特許文献1のシステムは、各種パラメータから電力価格の変動を予測するものであり、電力取引のリスクを管理するものではない。また、特許文献2のシステムは、自社需要に対して電力供給するためにリスク管理を行うものであり、電力取引自体のリスクを管理するものではない。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、実際の電力取引におけるリスクを管理可能とすることを主たる目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、電力取引リスク管理装置であって、各発電機のヒートレート、各発電機の出力、電力価格及び入札価格の差と入札量と落札確率との分布である落札確率分布、デリバティブ契約並びに約定価格を取得するデータ取得部と、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含む電力取引のリスク要因に関するデータを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータを用いてモデルのパラメータを設定することによって、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測するための予測モデルを作成する予測モデル作成部と、前記予測モデル作成部によって作成された各予測モデル及び前記パラメータの1つであるかく乱項を特定するための乱数発生手段を用いて、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測するリスク要因予測部と、前記データ取得部によって取得された発電機のヒートレートと、前記リスク要因予測部によって予測された燃料価格とから各発電機の発電コストを予測する発電コスト予測部と、前記リスク要因予測部によって予測された電力需要を満たすように、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストの小さい発電機から順に出力を積み上げるとともに、前記データ取得部によって取得された各発電機の出力の合計から前記積み上げた出力を差し引くことによって求められる余剰出力に対応する複数の発電機の各発電コストを計算し、前記各発電コストにマージンを加えることによってスポット売り入札曲線を設定する、又は、前記発電機の発電コストからマージンを差し引くことによってスポット買い入札曲線を設定するスポット入札曲線設定部と、前記リスク要因予測部によって予測された電力価格と、前記スポット入札曲線設定部によって設定されたスポット売り入札曲線又はスポット買い入札曲線による入札価格とから、前記データ取得部によって取得された落札確率分布に基づいてスポット落札量を予測するスポット落札量予測部と、前記リスク要因予測部によって予測された電力価格と、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストと、前記スポット落札量予測部によって予測されたスポット落札量とからスポット契約収支を計算するスポット契約収支計算部と、前記データ取得部によって取得されたデリバティブ契約及び約定価格と、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストとからデリバティブ契約収支を計算するデリバティブ契約収支計算部と、前記スポット契約収支計算部によって計算されたスポット契約収支と、前記デリバティブ契約収支計算部によって計算されたデリバティブ契約収支とから電力取引収支を計算する電力取引収支計算部とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、電力取引リスク管理装置であって、各発電機のヒートレート、各発電機の出力、電力価格及び入札価格の差と入札量とに応じた落札確率の分布である落札確率分布、デリバティブ契約並びに約定価格を取得するデータ取得部と、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含む電力取引のリスク要因に関するデータを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータを用いてモデルのパラメータを設定することによって、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測するための予測モデルを作成する予測モデル作成部と、前記予測モデル作成部によって作成された各予測モデル及び前記パラメータの1つであるかく乱項を特定するための乱数発生手段を用いて、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測するリスク要因予測部と、前記データ取得部によって取得された各発電機のヒートレートと、前記リスク要因予測部によって予測された燃料価格とから各発電機の発電コストを予測する発電コスト予測部と、前記リスク要因予測部によって予測された電力需要を満たすように、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストの小さい発電機から順に出力を積み上げるとともに、前記データ取得部によって取得された各発電機の出力の合計から前記積み上げた出力を差し引くことによって余剰出力を計算し、前記余剰出力に対応した発電コストにマージンを加えることによってスポット売り入札曲線を設定する、又は、前記積み上げた発電コストからマージンを差し引くことによってスポット買い入札曲線を設定するスポット入札曲線設定部と、前記リスク要因予測部によって予測された電力価格と、前記スポット入札曲線設定部によって設定されたスポット売り入札曲線又はスポット買い入札曲線による入札価格と前記電力価格との差分と、前記スポット売り入札曲線又はスポット買い入札曲線による各入札価格に対応する入札量とから、前記データ取得部によって取得された落札確率分布に基づいてスポット落札量を予測するスポット落札量予測部と、前記リスク要因予測部によって予測された電力価格と、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストと、前記スポット落札量予測部によって予測されたスポット落札量とからスポット契約収支を計算するスポット契約収支計算部と、前記データ取得部によって取得されたデリバティブ契約及び約定価格と、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストとからデリバティブ契約収支を計算するデリバティブ契約収支計算部と、前記スポット契約収支計算部によって計算されたスポット契約収支と、前記デリバティブ契約収支計算部によって計算されたデリバティブ契約収支とから電力取引収支を計算する電力取引収支計算部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、電力取引だけに絞った収支を見ることができる。
また、本発明は、電力取引リスク管理装置であって、前記リスク要因予測部、前記発電コスト予測部、前記スポット入札曲線設定部、前記スポット落札量予測部、前記スポット契約収支計算部、前記デリバティブ契約収支計算部及び前記電力取引収支計算部によって電力取引収支を所定の回数だけ計算し、当該所定の回数分の電力取引収支を大きい順に並び替え、中央付近の順位の電力取引収支及び末尾付近の順位の電力取引収支を抽出し、抽出した2つの電力取引収支から電力取引のリスク量を計算するリスク量計算部を備えることを特徴とする。
この構成によれば、電力取引のリスク量を計算することにより、当該電力取引にどの程度のリスクがあるのか、そのリスクに見合った収益が得られるのかを知ることができる。
また、本発明は、電力取引リスク管理装置であって、前記リスク要因予測部、前記発電コスト予測部、前記スポット入札曲線設定部、前記スポット落札量予測部、前記スポット契約収支計算部、前記デリバティブ契約収支計算部及び前記電力取引収支計算部によって、所定のリスク要因だけを変化させた場合の電力取引収支の変化を計算し、リスク感応度として当該電力取引収支の変化率及び当該変化率の変化率を計算するリスク感応度計算部を備えることを特徴とする。
この構成によれば、電力取引のリスク要因の変化に対して収支の変化を中和させるために必要なヘッジ量を知ることができるとともに、中和に必要なヘッジ量の調整を行うことができる。
なお、本発明は、電力取引リスク管理方法を含む。その他、本願が開示する課題およびその解決方法は、発明を実施するための最良の形態の欄、及び図面により明らかにされる。請求項におけるデータ取得部は、実施の形態における入力部4又は通信部に相当する。また、請求項における予測モデル作成部は、実施の形態におけるデータ編集処理部31及びモデルパラメータ設定部32に相当する。また、請求項におけるリスク量計算部及びリスク感応度計算部は、実施の形態におけるリスク指標計算部48に相当する。
本発明によれば、電力を取引する場合のリスクを管理することができる。これによれば、発電資産の有効活用が可能になる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を説明する。本発明の実施の形態に係る電力取引リスク管理装置は、燃料価格、電力需要、電力価格などのリスク要因を予測するモデルを使ったシミュレーションにより電力取引収支を予測し、所定の回数の当該シミュレーションにより予測した電力取引収支とその発生確率の分布からリスク指標を計算するものである。
≪装置の構成と概要≫
図1は、電力取引リスク管理装置1の構成を示す図である。電力取引リスク管理装置1は、電力取引収支を予測し、リスク指標を計算するものであり、例えば、PC(Personal Computer)やサーバなどのコンピュータによって実現される。電力取引リスク管理装置1は、記憶部2、処理部3及び入力部(データ取得部)4を備える。記憶部2は、電力取引収支の予測やリスク指標の計算に必要なデータを記憶するものであり、ハードディスク装置やフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置によって実現される。処理部3は、電力取引収支の予測やリスク指標の計算に必要な処理を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。入力部4は、電力取引収支の予測やリスク指標の計算に必要なデータ(各発電機のヒートレート、各発電機の出力、電力価格及び入札価格の差と入札量と落札確率との分布である落札確率分布、デリバティブ契約並びに約定価格を含む)を入力するものであり、キーボードやマウスなどによって実現される。なお、電力取引リスク管理装置1に表示部を設けて、処理部3による処理の結果や入力部4による入力の内容を表示するようにしてもよい。
記憶部2は、主として電力取引のリスク要因の実績値を記憶するものであり、具体的には、年月日DB(Data Base)21、電力価格DB22、電力需要DB23、水力発電電力量DB24、気象DB25、燃料価格DB26及び発電機稼動状況DB27を記憶する。図2及び図3は、各DBの構成を示す図である。図2に示すように、年月日DB21は、年月日とその曜日を示すDBであり、年月日及び曜日からなる。電力価格DB22は、外部の情報ベンダから取得した各商品(時間帯)の電力価格及び取引量を示すDBであり、年月日、商品、電力価格及び取引量からなる。電力需要DB23は、電力会社の給電システムから取得した各時間帯の電力需要を示すDBであり、地域ごと及び家庭/大口ごとに年月日、時間及び需要からなる。水力発電電力量DB24は、電力会社の給電システムから取得した各時間帯の水力発電による電力量を示すDBであり、地域ごと及び自社自流分/他社分ごとに年月日、時間及び電力量からなる。気象DB25は、気象庁などの外部機関から取得した時刻における気象データを示すDBであり、地域ごとに年月日、時刻、気温、降水量及び降雪量からなる。
図3に示すように、燃料価格DB26は、外部の情報ベンダから取得した燃料のスポット価格実績及び先物・先渡し価格実績を示すDBであり、石炭、ガス及び原油ごとに年月日及び価格からなる。発電機稼動状況DB27は、電力会社の給電システムから取得した発電ユニットの稼動状況を示すDBであり、ユニット名ごとに使用燃料、発電機諸元及び日ごとの稼動状況(運転/停止)からなる。なお、発電機稼動状況DB27のデータは、オペレータの手操作によって入力部4から入力され、取得されたものであってもよい。
図1に戻って、処理部3は、電力価格、電力需要などのリスク要因を予測するモデルを作成する部分、予測モデルを用いてリスク要因を予測する部分、乱数発生に係る部分、スポット落札量の予測に係る部分、電力取引収支を計算する部分及びリスク指標を計算する部分を備える。
リスク要因を予測するモデルを作成する部分には、データ編集処理部31及びモデルパラメータ設定部32がある。データ編集処理部31は、記憶部2に記憶された各DBからデータを取得し、所定のルールに従ってそれぞれ編集し、編集した結果の各データをモデルパラメータ設定部32に出力する。特に、年月日DB21を編集する際には、入力部4から年末年始や盆、その他のイベントである特異日を取得し、設定する。モデルパラメータ設定部32は、データ編集処理部31から出力されたデータに基づいて、各リスク要因の予測モデルのパラメータを設定することによって、予測モデルを作成する。
予測モデルを用いてリスク要因を予測する部分には、電力価格予測部33、電力需要予測部34、気温予測部35、水力発電電力量予測部36、降水量予測部37及び燃料価格予測部38がある。各予測部は、文字通り、モデルパラメータ設定部32によって作成された各予測モデルを用いて、各リスク要因を予測する。なお、各予測部に対しては、乱数発生部40の乱数による予測モデルのかく乱項の特定が行われ、リスク要因の予測に適用される。また、燃料価格予測部38は、必ずしも予測モデルを用いることなく、他の方法を選択して燃料価格を予測することがある。例えば、外部の情報ベンダから先物価格やインプライドボラティリティ(相場の値動きの激しさ/穏やかさの程度の見積もり)を取得して燃料価格を予測したり、長期間の燃料契約によって燃料価格を特定したりする。
乱数発生に係る部分には、相関係数設定部39及び乱数発生部40がある。相関係数設定部39は、モデルパラメータ設定部32によって作成された予測モデル及びリスク要因の実績値を用いて、予測モデルのかく乱項(説明変数で説明できない項)のみのデータを抽出し、リスク要因間の相関係数を計算して、相関行列を求める。乱数発生部40は、乱数を発生させ、相関係数設定部39によって求められた相関行列を用いて、予測モデルのかく乱項を特定する。
スポット落札量の予測に係る部分には、発電機稼動計画部41、発電コスト予測部42、スポット入札曲線設定部43及びスポット落札量予測部44がある。発電機稼動計画部41は、入力部4から取得した発電機の稼動計画を管理するとともに、発電機諸元を発電コスト予測部42に出力する。発電コスト予測部42は、電力需要予測部34から電力需要を取得し、水力発電電力量予測部36から水力発電電力量を取得し、燃料価格予測部38から燃料価格を取得し、発電機稼動計画部41から発電機諸元を取得するとともに、発電機ごとの発電コストを予測する。スポット入札曲線設定部43は、電力需要、発電機諸元(出力制約)、発電コストなどから余剰電力を求め、その余剰電力にマージンを加えてスポット売り入札曲線を設定する。また、スポット入札曲線設定部43は、発電コストの小さい発電機から順に出力を積み上げ、積み上げた出力からマージンを差し引くことによってスポット買い入札曲線を設定する。スポット落札量予測部44は、電力価格予測部33によって予測された電力価格と、スポット入札曲線設定部43によって設定されたスポット売り入札曲線又はスポット買い入札曲線による入札価格とから、入力部4から取得した落札確率分布に基づいてスポット落札量(売り入札量又は買い入札量)を予測する。
電力取引収支を計算する部分には、スポット契約収支計算部45、デリバティブ契約収支計算部46及び電力取引収支計算部47がある。スポット契約収支計算部45は、スポット落札量予測部44によって予測された落札量から、スポット取引における収入と、費用とを計算し、収入から費用を引いたものをスポット契約収支とする。デリバティブ契約収支計算部46は、入力部4から取得したデリバティブ契約に基づく取引における収入と、費用とを計算し、収入から費用を引いたものをデリバティブ契約収支とする。電力取引収支計算部47は、スポット契約収支計算部45によって計算されたスポット契約収支と、デリバティブ契約収支計算部46によって計算されたデリバティブ契約収支とから電力取引収支を計算する。
リスク指標を計算する部分には、リスク指標計算部48がある。リスク指標計算部48は、各リスク要因予測〜電力取引収支計算を1万回程度のシミュレーションにより行い、計算された電力取引収支を集計した分布からリスク指標を計算する。実際のシミュレーションによる計算回数は、計算結果の統計的信頼度に応じて設定される。なお、入力部4から取得した計算条件を用いてリスク指標の計算を行ってもよい。また、リスク指標計算部48を、リスク量計算部と、リスク感応度計算部とに分けてもよい。
≪装置の処理概要≫
図4は、電力取引リスク管理装置1の処理概要を示すフローチャートである。電力取引リスク管理装置1では、まず、データ編集処理部31が、記憶部2に記憶された各DBのデータを編集する処理を行う(S401)。次に、モデルパラメータ設定部32が、データ編集処理部31によって編集されたデータを用いてモデルのパラメータを設定することによって、各リスク要因を予測するモデルを作成する(S402)。そして、各リスク要因の予測部(電力価格予測部33〜燃料価格予測部38)が、モデルパラメータ設定部32によって作成された予測モデルを用いて、各リスク要因を予測する(S403)。ここでは、乱数発生方法の使用や、燃料価格予測方法の設定が行われる。続いて、発電コスト予測部42が発電コストを予測し、スポット入札曲線設定部43がスポット入札曲線を設定する(S404)。続いて、スポット落札量予測部44が、スポット入札曲線設定部43によって設定されたスポット入札曲線を用いて、スポット落札量を予測する(S405)。そして、電力取引収支計算部47が、スポット契約収支及びデリバティブ契約収支から電力取引収支を計算する(S406)。S403の各リスク要因の予測〜S406の電力取引収支計算は、シミュレーション処理として所定回数行われる。さらに、リスク指標計算部48が、所定回数のシミュレーション処理によって求められた電力取引収支の分布からリスク指標を計算する(S407)。これ以降、各ステップの処理の詳細について説明する。
≪データ編集処理≫
図5は、データ編集処理(S401)の詳細を示すフローチャートである。図6及び図7は、データ編集処理(S401)の結果を示す図である。図5〜図7を参照しながら、データ編集処理(S401)の詳細について説明する。
まず、データ編集処理部31は、記憶部2に記憶された年月日DB21のデータ処理を行う(S501)。ここでは、記憶部2から年月日DB21をメモリ上に取得し、各年月日についてチェックを行い、そのチェック結果に応じて各フラグを0又は1に設定した年月日種類DB61を作成し、記憶部2に記憶する。具体的には、当該年月日が日曜日であれば、休日フラグを1に設定する。祝日であれば、祝日フラグを1に設定する。入力部4から取得した特異日(年末年始や盆など)であれば、特異日フラグを1に設定する。平日のうち、祝日や特異日でない日であれば、平日フラグを1に設定する。図6に示す年月日種類DB61は、このようなチェックを通して作成され、記憶部2に記憶されるDBである。
次に、データ編集処理部31は、記憶部2に記憶された電力需要DB23のデータ処理を行う(S502)。ここでは、記憶部2から電力需要DB23をメモリ上に取得し、まず、地域別及び家庭/大口別に電力需要の24時間の合計を求める。そして、図6に示す家庭の全地域需要DB62、大口の全地域需要DB63及び地域別需要比率DB64を作成し、記憶部2に記憶する。
続いて、データ編集処理部31は、記憶部2に記憶された水力発電電力量DB24のデータ処理を行う(S503)。ここでは、記憶部2から水力発電電力量DB24をメモリ上に取得し、まず、地域別に水力発電電力量の24時間の合計を求める。そして、図6に示す全地域水力発電電力量DB65及び地域別水力発電電力量比率DB66を作成し、記憶部2に記憶する。
次に、データ編集処理部31は、記憶部2に記憶された気象DB25のうち、降水量データの処理を行う(S504)。ここでは、記憶部2から気象DB25をメモリ上に取得し、まず、地域別に降水量の24時間の合計(日降水量)を求める。そして、年月日ごとに、地域別水力発電電力量比率DB66の比率を用いて日降水量の加重平均を求めることによって、図6に示す中国地域降水量加重平均DB67を作成し、記憶部2に記憶する。なお、「中国地域」というのは一例であって、他の地域であってもよい。
続いて、データ編集処理部31は、記憶部2に記憶された気象DB25のうち、気温データの処理を行う(S505)。ここでは、記憶部2から気象DB25をメモリ上に取得し、まず、地域別に気温の24時間の平均値(日平均気温)を求める。この場合、地域として東京及び大阪の気温の24時間の平均値も求めておく。次に、各地域の各年月日の日平均気温から冷房度日(CDD:Cooling Degree Days)とそれを2乗した値及び暖房度日(HDD:Heating Degree Days)とそれを2乗した値を求める。CDDは、(日平均気温[℃]−18)と0のうち、小さくない方の値であり、夏季にどの程度の冷房を必要とするか、つまり、どの程度の暑さかを示す指標である。HDDは、(18−日平均気温[℃])と0のうち、小さくない方の値であり、冬季にどの程度の暖房を必要とするか、つまり、どの程度の寒さかを示す指標を示す。ここで、基準となる18℃は、暖房も冷房も要らない温度である。
そして、年月日ごとに、地域別需要比率DB64の比率を用いてCDD、CDD、HDD及びHDDの加重平均を求めることによって、図6に示す中国地域気温加重平均DB68を作成し、記憶部2に記憶する。また、東京及び大阪のCDD、CDD、HDD及びHDDの平均を求め、図6に示す電力価格用気温DB69を作成し、記憶部2に記憶する。なお、ここでは、一例としてCDD、CDD、HDD及びHDDを説明変数としているが、実際にCDD及びHDDの何乗までを説明変数とするかは適宜決定される。
さらに、データ編集処理部31は、記憶部2に記憶された電力価格DB22のうち、電力価格データの処理を行う(S506)。ここでは、記憶部2から電力価格DB22をメモリ上に取得し、目的に応じて、24時間のうち、全商品、ピーク商品、昼間商品又は夜間商品について単純平均又は取引量による加重平均を求めることによって、図7に示す全商品日単純平均DB71〜夜間商品日加重平均DB78のうち、少なくとも1つのDBを作成し、記憶部2に記憶する。
≪予測モデル作成処理≫
以上の各処理によって作成されたDBを用いて、各リスク要因の予測モデル作成処理(S402)が行われる。図8は、予測モデル作成処理(S402)の詳細を示すフローチャートである。図8を参照しながら、予測モデル作成処理(S402)の詳細について説明する。
まず、モデルパラメータ設定部32は、電力価格モデルのパラメータを推計する(S801)。定数、係数及びかく乱項をパラメータとするモデルの式を前提にし、過去のデータを回帰分析し、各パラメータの値を推計する(他のモデルも同様)。電力価格モデルについては、燃料価格DB26、発電機稼動状況DB27、年月日種類DB61、電力価格用気温DB69及び電力価格の全商品日単純平均DB71を解析し、モデルのパラメータを特定する。電力価格モデルの例を式1に示す。
電力価格=定数S1+係数A1×平日+係数A2×休日+係数A3×CDD+係数A4×原油価格O1+係数A5×前期までの電力価格E1+かく乱項R1
かく乱項R1=N(0,σ
・・・式1

なお、「前期までの電力価格E1」について何期までの電力価格を用いるかは適宜決定される。また、かく乱項R1について式1では正規分布を想定しているが、他の分布であってもよく、これは以下の式2〜式6についても同様である。
ここで、パラメータの推計により、定数S1、係数A1、A2、A3、A4及びA5、かく乱項R1が特定される。そして、CDD及び原油価格O1が各予測部(気温予測部35、燃料価格予測部38)によって特定され、かく乱項R1が乱数発生部40によって特定されることにより、電力価格が予測可能になる(他のモデルも同様)。なお、例えば、電力価格を予測すべき日が平日であれば、図6の年月日種類DB61により、式1における「平日」が1になるので、係数A1は電力価格の一部になるが、「休日」が0になるので、係数A2は電力価格の一部にならない。一方、電力価格を予測すべき日が休日であれば、年月日種類DB61により、式1における「休日」が1になるので、係数A2は電力価格の一部になるが、「平日」が0になるので、係数A1は電力価格の一部にならない。
次に、モデルパラメータ設定部32は、電力需要モデルのパラメータを推計する(S802)。電力需要モデルについては、年月日種類DB61、家庭の全地域需要DB62、大口の全地域需要DB63及び中国地域気温加重平均DB68のデータを解析し、モデルのパラメータを特定する。なお、家庭の全地域需要DB62及び大口の全地域需要DB63のうちいずれを使うか(両方でもよい)は、予測期間によって適宜設定される。その設定は、入力部4から行われるものとする。例えば、1年先の電力需要を予測する場合には、両方を使い、1週間先の電力需要を予測する場合には、家庭/大口に応じて使い分ける。電力需要モデルの例を式2に示す。
電力需要=定数S2+係数B1×曜日+係数B2×休日+係数B3×CDD+係数B4×HDD+係数B5×前日までの電力需要+かく乱項R2
かく乱項R2=N(0,σ
・・・式2

なお、「曜日」には、曜日を示すダミー変数が設定される。どの曜日をダミー変数として設定するかは、統計的信頼度によって決定される。また、「前日までの電力需要」として何日前までの電力需要を用いるかは適宜決定される。
続いて、モデルパラメータ設定部32は、気温モデルのパラメータを推計する(S803)。気温モデルについては、気象DB25の気温データを解析し、モデルのパラメータを特定する。気温モデルの例を式3に示す。
気温=基準気温T1+係数C1×(前日における基準気温との差)+かく乱項R3
かく乱項R3=N(0,σ
・・・式3

なお、「前日における基準気温との差」として何日前の基準気温を用いるかは、適宜決定される。
ここで、基準気温T1は、気温を予測すべき日における気温の基準値であり、定数として特定される。基準気温T1は、例えば、過去30年の実績値の平均値であってもよいし、地球の温暖化傾向を反映した気温の年トレンドを加味して予測した値であってもよい。実際には、統計的検定によって計算方法が使い分けられる。前日における基準気温との差は、当該予測日の前日の基準気温T1と、実績気温との差である。
そして、モデルパラメータ設定部32は、水力発電電力量モデルのパラメータを推計する(S804)。水力発電電力量モデルについては、年月日種類DB61、全地域水力発電電力量DB65及び中国地域降水量加重平均DB67のデータを解析し、モデルのパラメータを特定する。水力発電電力量モデルの例を式4に示す。
水力発電電力量=定数S4+係数D1×曜日+係数D2×降水量+係数D3×前日の発電電力量+かく乱項R4
かく乱項R4=N(0,σ
・・・式4

なお、「曜日」には、曜日を示すダミー変数が設定される。どの曜日をダミー変数として設定するかは、統計的信頼度によって決定される。
次に、モデルパラメータ設定部32は、降水量モデルのパラメータを推計する(S805)。降水量モデルについては、中国地域降水量加重平均DB67のデータを解析し、モデルのパラメータを特定する。降水量モデルの例を式5に示す。
降水量=0 (晴れ)
定数S5+かく乱項R5 (雨)
かく乱項R5=N(0,σ
・・・式5

ここで、降水量を予測すべき日の天気が晴れであると予測される場合には、無条件に降水量は0になる。一方、降水量を予測すべき日の天気が雨であると予測される場合には、式5に示すように定数及びかく乱項によって、降水量が求められる。なお、式5では、晴れや雨は、確率的にスイッチするようにモデル化しているが、過去の実績経験分布を適用することも可能である。
さらに、モデルパラメータ設定部32は、燃料価格モデルのパラメータを推計する(S806)。燃料価格モデルについては、燃料価格DB26のデータを解析し、モデルのパラメータを特定する。燃料価格モデルの例を式6に示す。
燃料価格=前期価格+定数S6+かく乱項R6
かく乱項R6=N(0,σ
・・・式6

ここで、前期価格は、燃料の場合には、前日の価格である。予測する価格が終値であるならば、前日の終値価格を使用することになる。ちなみに、電力スポット取引の場合には、30分単位の商品であるので、30分前の価格が前期価格になる。
≪リスク要因の予測処理≫
以上により求めたモデル(式)を用いて、各リスク要因の予測処理(S403)が行われる。すなわち、電力価格予測部33は、式1の電力価格モデルを用いて電力価格を予測する。電力需要予測部34は、式2の電力需要モデルを用いて電力需要を予測する。気温予測部35は、式3の気温モデルを用いて気温を予測する。水力発電電力量予測部36は、式4の水力発電電力量モデルを用いて水力発電電力量を予測する。降水量予測部37は、式5の降水量モデルを用いて降水量を予測する。燃料価格予測部38は、式6の燃料価格モデルを用いて燃料価格を予測する。
なお、式1〜式6には、それぞれかく乱項R1〜R6が含まれているが、かく乱項R1〜R6の値を特定するために、相関係数設定部39による相関行列の設定及び乱数発生部40による乱数発生処理が行われる。まず、相関係数設定部39は、モデルパラメータ設定部32によって作成された予測モデル及び記憶部2に記憶されたリスク要因の実績値を用いて、予測モデルの定数項及び係数項(説明変数)で説明できないかく乱項のみのデータを抽出する。図9(a)は、各リスク要因のかく乱項の例を示す図である。次に、相関係数設定部39は、抽出した各リスク要因のかく乱項間の相関係数を計算して、相関行列を設定する。図9(b)は、相関行列の例を示す図である。続いて、乱数発生部40は、相関係数設定部39によって設定された相関行列を用いて乱数を発生させて、各予測モデルのかく乱項を特定する。なお、相関係数が示す各リスク要因のかく乱項間の相関関係を維持しつつ、かく乱項を特定するような乱数の発生については、既存の方法(多次元正規乱数など)による。
燃料価格予測部38は、必ずしも式6の燃料価格モデルを用いる必要はない。例えば、外部の情報ベンダから先物価格やインプライドボラティリティ(相場の値動きの激しさ/穏やかさの程度の見積もり)を取得できれば、それらの指標によって燃料価格を予測してもよい。また、長期間の燃料契約をしているのであれば、その契約内容によって燃料価格を特定してもよい。従って、燃料価格予測部38の燃料価格予測方法は、予めオペレータによる入力部4の操作で選択され、又は、燃料価格予測部38自らの判断によって選択されて、設定されるものとする。
≪発電コストの予測及びスポット入札曲線の設定≫
以上により予測された各リスク要因を用いて、発電コストの予測及びスポット入札曲線の設定の処理(S404)が行われる。図10は、その処理を示すフローチャートであり、図11は、その処理を説明するためのグラフである。図10及び図11を参照しながら、発電コストの予測及びスポット入札曲線の設定の処理(S404)について説明する。
まず、発電機稼動計画部41が、今後稼動する予定の発電機を選定し(S1001)、それらの発電機の諸元(燃料量単位あたりの発電電力量など)を発電コスト予測部42に出力する。発電機の稼動計画はオペレータによる入力部4の操作によって取得され、稼動発電機の種類や燃料(燃種)として水力、原子力、ベース石炭、海外炭、LNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)及び石油が選定されるものとする。これに対して、発電コスト予測部42は、発電機稼動計画部41から発電機の諸元を取得する(S1002)。また、発電コスト予測部42は、燃料価格予測部38から燃料価格(燃料量単位あたりの価格)を取得する(S1003)。そして、発電コスト予測部42は、発電機ごとに、燃料量単位あたりの価格及び燃料量単位あたりの発電電力量から、電力量単位あたりの発電コスト[¥/kWh]を計算する(S1004)。そして、発電コスト予測部42は、稼動発電機の発電コストをそのコスト順に並べ替える(S1005)。図11(a)は、コスト順に並べ替えられた発電コストのグラフを示す図である。これによれば、発電コストの小さい水力から順に電力を使用することによって、発電コストを抑えることができる。
続いて、発電コスト予測部42は、発電機稼動計画部41から各発電機の出力制約を取得する(S1006)。ここで、発電機の出力制約とは、最低出力や最高出力などの出力に関する制約条件である。例えば、コスト順が隣り合う発電機X(コスト小)及び発電機Y(コスト大)があった場合に、制約条件がないと仮定したときには、発電機Xをその最高出力分使用することになる。しかしながら、発電機Yの最低出力の制約条件があるときには、発電機Xの出力は、その最高出力ではなく、発電機Xの最高出力から発電機Yの最低出力を差し引いた分の出力になり、発電機Yの出力は、その最低出力になる。
そして、発電コスト予測部42は、電力需要予測部34から取得した電力需要、水力発電電力量予測部36から取得した水力発電電力量及び発電機稼動計画部41から取得した発電機の出力制約に基づいて、式7に示す発電合計となるように発電コストを調整する(S1007)。
発電合計=電力需要−水力発電電力量+その他 ・・・式7

ここで、(電力需要−水力発電電力量)は、水力発電以外で賄うべき電力需要を示す。その他は、これまでの電力量の貸し借りの経緯などから、今回融通すべき電力量である。それらの合計が発電合計であり、その発電合計を水力の次にコストの小さい原子力から順に割り当てていく。図11(b)は、発電合計が各発電機に割り当てられた状態を示すグラフである。ここで、海外炭の発電機については、発電コスト分すべてが割り当てられていない。これは、LNGの発電機の最低出力という出力制約によって、海外炭の発電機の発電コストが抑えられ、その分の発電コストがLNGの発電機に割り当てられているのである。
さらに、スポット入札曲線設定部43は、発電コスト予測部42によって調整された発電コストに基づいてスポット入札曲線を設定する(S1008)。具体的には、まず、図11(b)に示す発電コストの総計から発電合計を差し引くことによって、図11(c)に示す余剰電力を求める。次に、求めた余剰電力にマージン(利ざや)を加えることによって、図11(d)に示すスポット売り入札曲線を設定する。スポット売り入札曲線のグラフは、横軸を発電電力量[万kWh]とし、縦軸を入札価格[¥/kWh]とする。
なお、スポット入札曲線設定部43は、スポット買い入札曲線の場合については、図11(e)に示す自社需要向け発電の発電コストからマージンを差し引くことによって、図11(f)に示すスポット買い入札曲線を設定する。
≪スポット落札量の予測≫
以上により設定されたスポット入札曲線を用いて、スポット落札量の予測処理(S405)が行われる。図12は、その処理を示すフローチャートであり、図13は、その処理を説明するためのグラフである。図12及び図13を参照しながら、スポット落札量の予測処理(S405)について説明する。
まず、スポット落札量予測部44は、電力価格予測部33によって予測された電力価格を取得する(S1201)。この電力価格は、スポット落札量を予測すべき期間内の各年月日について予測された電力価格である。次に、スポット落札量予測部44は、スポット入札曲線設定部43によって設定されたスポット入札曲線を取得する(S1202)。そして、予測された電力価格−入札価格(図11(d)の場合には、3個の入札価格が設定される)を計算する(S1203)。(電力価格−入札価格)が負になった場合には、入札価格が相場の電力価格より高いので、落札する可能性が低い。換言すれば、(電力価格−入札価格)が正になった場合には、入札価格が相場の電力価格より安いので、落札する可能性が高い。従って、ここでは、(電力価格−入札価格)が正になった場合について取り扱うものとする。続いて、入力部4から、経験的に作成された落札確率分布を取得し、取得した落札確率分布に基づいて落札量を計算する(S1204)。
図13(a)は、落札確率分布のグラフの一例を示す図である。X軸に(電力価格−入札価格)差又は(入札価格−電力価格)差をとり、Y軸に売り入札量又は買い入札量をとり、Z軸に落札確率をとっている。売りの場合には、(電力価格−入札価格)差が大きいほど、入札価格が他の競合者の価格より安く、落札しやすいので、落札確率が高くなる。また、売り入札量が少ないほど、電力量の取引が成立しやすく、落札しやすいので、落札確率が高くなる。そこで、落札確率分布のグラフを使って、(電力価格−入札価格)差と売り入札量に対応する落札確率に基づきシミュレーションごとに落札の有無が発生する。
逆に、買いの場合には、予測された入札価格−電力価格(図11(f)の場合には、4個の入札価格が設定される)を計算する(S1203)。(入札価格−電力価格)が負になった場合には、電力価格が相場の入札価格より高いので、落札する可能性が低い。換言すれば、(入札価格−電力価格)が正になった場合には、電力価格が相場の入札価格より安いので、落札する可能性が高い。従って、ここでは、(入札価格−電力価格)が正になった場合について取り扱うものとする。続いて、入力部4から、経験的に作成された落札確率分布を取得し、取得した落札確率分布に基づいて落札量を計算する(S1204)。
スポット落札量予測部44は、入札価格を落札価格とし、入札量を落札量として出力する(S1205)。そして、S1201〜S1205のシミュレーションの回数分データを蓄積する(S1206)。ここでは、図13(b)に示すような価格と落札量を組み合わせたデータを記憶部2に記憶する。
≪電力取引収支計算≫
次に、電力取引収支計算の処理(S406)が行われる。図14は、その処理を示すフローチャートであり、図15、図16及び図17は、その処理を説明する図である。図14〜図17を参照しながら、電力取引収支計算の処理(S406)について説明する。なお、図15は、売り入札の場合の電力取引収支計算の処理について示す図である。
まず、発電コスト予測部42は、発電ユニットごとの発電コスト[¥/kWh]を計算する(S1401)。具体的には、図15に示すように、入力部4又は発電機稼動計画部41から、各発電ユニットについて発電ユニット名、燃種、定格[万kW]及びヒートレート[kg,l/kWh]を取得する。また、燃料価格予測部38から、各発電ユニットについて燃料価格[¥/t,kl]を取得する。そして、ヒートレート[kg,l/kWh]と、燃料価格[¥/t,kl]とを掛け合わせることによって、発電コスト[¥/kWh]を計算する。
次に、売り入札の場合には、電力需要に対して発電ユニットごとに積み上げた出力及び余剰出力を求める(S1402)。具体的には、まず、発電コスト予測部42が、図15に示すように、電力需要予測部34から電力需要[万kW]を取得する。また、水力発電電力量予測部36から水力発電の最高出力[万kW]を取得する。さらに、入力部4又は発電機稼動計画部41から各発電ユニットの最低出力及び最高出力を取得する。そして、発電コストの小さい水力発電から順に、最高出力を積み上げていく。これは、発電コストの小さい発電ユニットを極力使用することによって、発電コストを抑えるためである。ただし、発電ユニットの最低出力以上という制約条件を満たす必要もある。そこで、例えば、LNGの最高出力は120であるが出力を110に抑えるとともに、重油の最低出力の10を満たすために出力を10とする。換言すれば、送電線容量制約により重油を10ほど出力させる必要があった場合には、代わりに次に発電コストの大きい発電ユニットであるLNGを10ほど出力抑制させ、出力を110とする。これにより、出力の合計を電力需要の820にすることができる。さらに、スポット入札曲線設定部43が、最高出力の合計から出力の合計を差し引くことにより、余剰出力を算出する。
続いて、先渡し量[万kW]に対してさらなる余剰出力を求め、余剰出力からスポット出力を求める(S1403)。具体的には、スポット入札曲線設定部43が、図15に示すように、入力部4から先渡し量の10を取得し、それを先渡し出力とする。次に、重油の110及び原油の30をさらなる余剰出力とする。そして、スポット落札量予測部44が、落札確率分布に基づいて、重油の110のみがスポット出力として計算される。ここでは、予想電力価格と入札価格との差が大きい重油が原油より落札確率が大きいので、重油の110のみが落札されたこととする。
次に、デリバティブ契約収支計算部46が、デリバティブ契約収支を計算する(S1404)。具体的には、図15に示すように、先渡し取引の約定価格を入力部4から取得するとともに、先渡し出力を落札量とする。そこで、約定価格及び落札量から収入を求める。一方、先渡し取引の対象となる燃種(ここでは、LNG)の発電コスト及び落札量から費用を求める。なお、先渡し取引の対象となる燃種が複数ある場合には、各燃種について、約定価格及び落札量から求めた収入を合計し、発電コスト及び落札量から求めた費用を合計する。そして、先渡し取引の収入及び費用からデリバティブ契約収支を計算する。
さらに、スポット契約収支計算部45が、スポット契約収支を計算する(S1405)。具体的には、図15に示すように、電力価格予測部33からスポット価格を取得し、約定価格とするとともに、スポット出力を落札量とする。そこで、マージン、約定価格及び落札量から収入を求める。マージンは、予め一律の値としてもよいし、発電コストの不確実性の度合いに応じた値としてもよい。一方、スポット取引の対象となる燃種(ここでは、重油)の発電コスト及び落札量から費用を求める。なお、スポット取引の対象となる燃種が複数ある場合には、各燃種について、マージン、約定価格及び落札量から求めた収入を合計し、発電コスト及び落札量から求めた費用を合計する。そして、スポット取引の収入及び費用からスポット契約収支を計算する。
そして、電力取引収支計算部47が、デリバティブ契約収支計算部46によって計算されたデリバティブ契約収支と、スポット契約収支計算部45によって計算されたスポット契約収支とから、電力取引収支を計算する(S1406)。
一方、買い入札の場合には、発電コスト予測部42は、発電ユニットごとの発電コストを計算した(S1401)後、電力需要に対して発電ユニットごとに積み上げた出力を求める(S1407)。次に、先渡し量に対してさらに発電ユニットごとに積み上げた先渡し出力を求める(S1408)。続いて、発電ユニットごとのスポット出力を求める(S1409)。そして、デリバティブ契約収支の計算(S1404)以降の処理を行う。なお、図16は、買い入札の場合の電力取引収支計算の処理について示す図であるが、売り入札の場合と同様であるので、詳細な説明を割愛する。
以上、電力取引収支計算(S406)について説明したが、図4の電力取引リスク管理装置1の処理の中で、所定の予測期間についてS403〜S406のシミュレーションを所定回数実施する。シミュレーション回数は、統計的信頼度水準に基づき定められる。それによって、図17(a)に示すような各年月日の電力取引収支及びその予測期間合計が、シミュレーションごとに求められる。また、図17(b)は、電力取引収支の予測期間合計を所定の範囲ごとに分けて、その範囲ごとの発生確率の分布を示したグラフである。
≪リスク指標計算≫
1万回のシミュレーションによって求められた電力取引収支のデータから、リスク指標計算の処理(S407)が行われる。図18は、その処理を示すフローチャートであり、図19及び図20は、その処理を説明するための図である。図18〜図20を参照しながら、リスク指標計算の処理(S407)について説明する。なお、図18のS1801〜S1803はリスク量計算の処理であり、S1804〜S1806はリスク感応度計算の処理である。
まず、リスク指標計算部48は、シミュレーションごとの電力取引収支の予測期間合計を大きい順に並び替える(S1801)。すなわち、図19(a)に示す電力取引収支のデータのうち、予測期間合計を降順にソートする。ここで、電力取引収支の分布が大きいほど、リスクが大きいとみなされる。一般的には、発生確率が5%や1%の点がリスク管理指標として扱われている。
そこで、大きい順に並び替えられた予測期間合計から、例えばシミュレーション回数が1万回の場合には、50%値及び95%値として各々5000番目及び9500番目の電力取引収支を抽出する(S1802)。図19(b)によれば、5000番目の収支として13.4[億円]を抽出し、9500番目の収支として7.4[億円]を抽出する。
抽出した2つの電力取引収支からリスク量を計算する(S1803)。例えば、図19(b)に示すように、5000番目の収支及び9500番目の収支の差を求めることによって、リスク度合いCFaR(=6.0[億円])が計算できる。また、5000番目の収支及びリスク度合いの比CF(50%)/CFaR(=2.23)を求めることによって、リスクに見合った収益が得られているか否かの判定に活用することができる。リスクに見合った収益が得られているか否かの判定を行う指標には、上述したCF(50%)/CFaR以外にも、CF(50%)−λ・CFaRなどの指標がある。ここで、λはリスク回避度である。なお、どの順位の電力取引収支を使うかは、入力部4から任意に指定できるものとする。また、図19(c)は、リスク量についてCF(Cash Flow:収支)分布のグラフ上に示した図である。
続いて、リスク指標計算部48は、1つのリスク要因を単位量ずつ変化させた場合の、電力取引収支を計算する(S1804)。例えば、図20に示すように、電力価格以外のリスク要因を固定して、電力価格を所定値、所定値−0.1、所定値−0.2、・・・のように0.1ずつ減少させた場合の、電力取引収支を計算する。この計算には、予測モデルを用いたシミュレーション(図4のS403〜S406)を用いることができる。
次に、電力取引収支の変化率(デルタ)を計算する(S1805)。さらに、デルタの変化率(ガンマ)を計算する(S1806)。以上によれば、デルタにより、リスク要因の変化に対して電力取引収支の変化を中和させるために必要なヘッジ量を知ることができる。また、ガンマにより、その中和に必要なヘッジ量を調整することができる。
以上本発明の実施の形態について説明したが、図1に示す電力取引リスク管理装置1内の各部を機能させるために、処理部3で実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係る電力取引リスク管理装置1が実現されるものとする。なお、プログラムをインターネットなどのネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップなどをコンピュータに組み込んでもよい。
以上説明した本発明の実施の形態によれば、電力取引だけに絞った収支を見ることができる。また、電力取引のリスク量を計算することにより、当該電力取引にどの程度のリスクがあるのか、そのリスクに見合った収益が得られるのかを知ることができる。さらに、電力取引のリスク要因の変化に対して収支の変化を中和させるために必要なヘッジ量を知ることができるとともに、中和に必要なヘッジ量の調整を行うことができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、上記実施の形態では、キーボードやマウスなどである入力部4から電力取引収支の予測やリスク指標の計算に必要なデータを入力するように記載したが、入力部4の代わりにネットワークを通じてデータを受信する通信部(データ取得部)を設けてもよい。通信部は、NIC(Network Interface Card)などのネットワーク接続機器によって実現される。
電力取引リスク管理装置1の構成を示す図である。 記憶部2に記憶される各DBの構成を示す図である。 記憶部2に記憶される各DBの構成を示す図である。 電力取引リスク管理装置1の処理概要を示すフローチャートである。 データ編集処理(S401)の詳細を示すフローチャートである。 データ編集処理(S401)の結果を示す図である。 データ編集処理(S401)の結果を示す図である。 予測モデル作成処理(S402)の詳細を示すフローチャートである。 相関係数設定部39の処理を説明するための図であり、(a)は各リスク要因のかく乱項の例を示す図であり、(b)は相関行列の例を示す図である。 発電コストの予測及びスポット入札曲線の設定の処理(S404)を示すフローチャートである。 発電コストの予測及びスポット入札曲線の設定の処理(S404)を説明するためのグラフである。 スポット落札量の予測処理(S405)を示すフローチャートである。 スポット落札量の予測処理(S405)を説明するためのグラフである。 電力取引収支計算の処理(S406)を示すフローチャートである。 電力取引収支計算の処理(S406)を説明する図である。 電力取引収支計算の処理(S406)を説明する図である。 電力取引収支計算の処理(S406)を説明する図である。 リスク指標計算の処理(S407)を示すフローチャートである。 リスク指標計算の処理(S407)を説明するための図である。 リスク指標計算の処理(S407)を説明するための図である。
符号の説明
1 電力取引リスク管理装置
2 記憶部
3 処理部
4 入力部(データ取得部)
31 データ編集処理部(予測モデル作成部)
32 モデルパラメータ設定部(予測モデル作成部)
33 電力価格予測部(リスク要因予測部)
34 電力需要予測部(リスク要因予測部)
38 燃料価格予測部(リスク要因予測部)
40 乱数発生部(乱数発生手段)
42 発電コスト予測部
43 スポット入札曲線設定部
44 スポット落札量予測部
45 スポット契約収支計算部
46 デリバティブ契約収支計算部
47 電力取引収支計算部
48 リスク指標計算部(リスク量計算部、リスク感応度計算部)

Claims (8)

  1. 各発電機のヒートレート、各発電機の出力、電力価格及び入札価格の差と入札量と落札確率との分布である落札確率分布、デリバティブ契約並びに約定価格を取得するデータ取得部と、
    少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含む電力取引のリスク要因に関するデータを記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶されたデータを用いてモデルのパラメータを設定することによって、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測するための予測モデルを作成する予測モデル作成部と、
    前記予測モデル作成部によって作成された各予測モデル及び前記パラメータの1つであるかく乱項を特定するための乱数発生手段を用いて、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測するリスク要因予測部と、
    前記データ取得部によって取得された各発電機のヒートレートと、前記リスク要因予測部によって予測された燃料価格とから各発電機の発電コストを予測する発電コスト予測部と、
    前記リスク要因予測部によって予測された電力需要を満たすように、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストの小さい発電機から順に出力を積み上げるとともに、前記データ取得部によって取得された各発電機の出力の合計から前記積み上げた出力を差し引くことによって求められる余剰出力に対応する複数の発電機の各発電コストを計算し、前記各発電コストにマージンを加えることによってスポット売り入札曲線を設定する、又は、前記発電機の発電コストからマージンを差し引くことによってスポット買い入札曲線を設定するスポット入札曲線設定部と、
    前記リスク要因予測部によって予測された電力価格と、前記スポット入札曲線設定部によって設定されたスポット売り入札曲線又はスポット買い入札曲線による入札価格とから、前記データ取得部によって取得された落札確率分布に基づいてスポット落札量を予測するスポット落札量予測部と、
    前記リスク要因予測部によって予測された電力価格と、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストと、前記スポット落札量予測部によって予測されたスポット落札量とからスポット契約収支を計算するスポット契約収支計算部と、
    前記データ取得部によって取得されたデリバティブ契約及び約定価格と、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストとからデリバティブ契約収支を計算するデリバティブ契約収支計算部と、
    前記スポット契約収支計算部によって計算されたスポット契約収支と、前記デリバティブ契約収支計算部によって計算されたデリバティブ契約収支とから電力取引収支を計算する電力取引収支計算部と、
    を備えることを特徴とする電力取引リスク管理装置。
  2. 各発電機のヒートレート、各発電機の出力、電力価格及び入札価格の差と入札量とに応じた落札確率の分布である落札確率分布、デリバティブ契約並びに約定価格を取得するデータ取得部と、
    少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含む電力取引のリスク要因に関するデータを記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶されたデータを用いてモデルのパラメータを設定することによって、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測するための予測モデルを作成する予測モデル作成部と、
    前記予測モデル作成部によって作成された各予測モデル及び前記パラメータの1つであるかく乱項を特定するための乱数発生手段を用いて、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測するリスク要因予測部と、
    前記データ取得部によって取得された各発電機のヒートレートと、前記リスク要因予測部によって予測された燃料価格とから各発電機の発電コストを予測する発電コスト予測部と、
    前記リスク要因予測部によって予測された電力需要を満たすように、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストの小さい発電機から順に出力を積み上げるとともに、前記データ取得部によって取得された各発電機の出力の合計から前記積み上げた出力を差し引くことによって余剰出力を計算し、前記余剰出力に対応した発電コストにマージンを加えることによってスポット売り入札曲線を設定する、又は、前記積み上げた発電コストからマージンを差し引くことによってスポット買い入札曲線を設定するスポット入札曲線設定部と、
    前記リスク要因予測部によって予測された電力価格と、前記スポット入札曲線設定部によって設定されたスポット売り入札曲線又はスポット買い入札曲線による入札価格と前記電力価格との差分と、前記スポット売り入札曲線又はスポット買い入札曲線による各入札価格に対応する入札量とから、前記データ取得部によって取得された落札確率分布に基づいてスポット落札量を予測するスポット落札量予測部と、
    前記リスク要因予測部によって予測された電力価格と、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストと、前記スポット落札量予測部によって予測されたスポット落札量とからスポット契約収支を計算するスポット契約収支計算部と、
    前記データ取得部によって取得されたデリバティブ契約及び約定価格と、前記発電コスト予測部によって予測された発電コストとからデリバティブ契約収支を計算するデリバティブ契約収支計算部と、
    前記スポット契約収支計算部によって計算されたスポット契約収支と、前記デリバティブ契約収支計算部によって計算されたデリバティブ契約収支とから電力取引収支を計算する電力取引収支計算部と、
    を備えることを特徴とする電力取引リスク管理装置。
  3. 前記リスク要因予測部、前記発電コスト予測部、前記スポット入札曲線設定部、前記スポット落札量予測部、前記スポット契約収支計算部、前記デリバティブ契約収支計算部及び前記電力取引収支計算部によって電力取引収支を所定の回数だけ計算し、当該所定の回数分の電力取引収支を大きい順に並び替え、中央付近の順位の電力取引収支及び末尾付近の順位の電力取引収支を抽出し、抽出した2つの電力取引収支から電力取引のリスク量を計算するリスク量計算部
    を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力取引リスク管理装置。
  4. 前記リスク要因予測部、前記発電コスト予測部、前記スポット入札曲線設定部、前記スポット落札量予測部、前記スポット契約収支計算部、前記デリバティブ契約収支計算部及び前記電力取引収支計算部によって、所定のリスク要因だけを変化させた場合の電力取引収支の変化を計算し、リスク感応度として当該電力取引収支の変化率及び当該変化率の変化率を計算するリスク感応度計算部
    を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力取引リスク管理装置。
  5. 各発電機のヒートレート、各発電機の出力、電力価格及び入札価格の差と入札量と落札確率との分布である落札確率分布、デリバティブ契約並びに約定価格を取得するデータ取得部と、
    少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含む電力取引のリスク要因に関するデータを記憶する記憶部と、
    を備えるコンピュータによる電力取引リスク管理方法であって、
    前記記憶部に記憶されたデータを用いてモデルのパラメータを設定することによって、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測するための予測モデルを作成する第1のステップと、
    前記第1のステップによって作成された各予測モデル及び前記パラメータの1つであるかく乱項を特定するための乱数発生手段を用いて、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測する第2のステップと、
    前記データ取得部によって取得された発電機のヒートレートと、前記第2のステップによって予測された燃料価格とから各発電機の発電コストを予測する第3のステップと、
    前記第2のステップによって予測された電力需要を満たすように、前記第3のステップによって予測された発電コストの小さい発電機から順に出力を積み上げるとともに、前記データ取得部によって取得された各発電機の出力の合計から前記積み上げた出力を差し引くことによって求められる余剰出力に対応する複数の発電機の各発電コストを計算し、前記各発電コストにマージンを加えることによってスポット売り入札曲線を設定する、又は、前記各発電機の発電コストからマージンを差し引くことによってスポット買い入札曲線を設定する第4のステップと、
    前記第2のステップによって予測された電力価格と、前記第4のステップによって設定されたスポット売り入札曲線又はスポット買い入札曲線による入札価格とから、前記データ取得部によって取得された落札確率分布に基づいてスポット落札量を予測する第5のステップと、
    前記第2のステップによって予測された電力価格と、前記第3のステップによって予測された発電コストと、前記第5のステップによって予測されたスポット落札量とからスポット契約収支を計算する第6のステップと、
    前記データ取得部によって取得されたデリバティブ契約及び約定価格と、前記第3のステップによって予測された発電コストとからデリバティブ契約収支を計算する第7のステップと、
    前記第6のステップによって計算されたスポット契約収支と、前記第7のステップによって計算されたデリバティブ契約収支とから電力取引収支を計算する第8のステップと、
    を備えることを特徴とする電力取引リスク管理方法。
  6. 各発電機のヒートレート、各発電機の出力、電力価格及び入札価格の差と入札量とに応じた落札確率の分布である落札確率分布、デリバティブ契約並びに約定価格を取得するデータ取得部と、
    少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含む電力取引のリスク要因に関するデータを記憶する記憶部と、
    を備えるコンピュータによる電力取引リスク管理方法であって、
    前記記憶部に記憶されたデータを用いてモデルのパラメータを設定することによって、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測するための予測モデルを作成する第1のステップと、
    前記第1のステップによって作成された各予測モデル及び前記パラメータの1つであるかく乱項を特定するための乱数発生手段を用いて、少なくとも燃料価格、電力需要及び電力価格を含むリスク要因を予測する第2のステップと、
    前記データ取得部によって取得された発電機のヒートレートと、前記第2のステップによって予測された燃料価格とから各発電機の発電コストを予測する第3のステップと、
    前記第2のステップによって予測された電力需要を満たすように、前記第3のステップによって予測された発電コストの小さい発電機から順に出力を積み上げるとともに、前記データ取得部によって取得された各発電機の出力の合計から前記積み上げた出力を差し引くことによって余剰出力を計算し、前記余剰出力に対応した発電コストマージンを加えることによってスポット売り入札曲線を設定する、又は、前記積み上げた発電コストからマージンを差し引くことによってスポット買い入札曲線を設定する第4のステップと、
    前記第2のステップによって予測された電力価格と、前記第4のステップによって設定されたスポット売り入札曲線又はスポット買い入札曲線による入札価格と前記電力価格との差分と、前記スポット売り入札曲線又はスポット買い入札曲線による各入札価格に対応する入札量とから、前記データ取得部によって取得された落札確率分布に基づいてスポット落札量を予測する第5のステップと、
    前記第2のステップによって予測された電力価格と、前記第3のステップによって予測された発電コストと、前記第5のステップによって予測されたスポット落札量とからスポット契約収支を計算する第6のステップと、
    前記データ取得部によって取得されたデリバティブ契約及び約定価格と、前記第3のステップによって予測された発電コストとからデリバティブ契約収支を計算する第7のステップと、
    前記第6のステップによって計算されたスポット契約収支と、前記第7のステップによって計算されたデリバティブ契約収支とから電力取引収支を計算する第8のステップと、
    を備えることを特徴とする電力取引リスク管理方法。
  7. 前記第2のステップないし前記第8のステップの処理によって電力取引収支を所定の回数だけ計算し、当該所定の回数分の電力取引収支を大きい順に並び替え、中央付近の順位の電力取引収支及び末尾付近の順位の電力取引収支を抽出し、抽出した2つの電力取引収支から電力取引のリスク量を計算する第9のステップ
    を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の電力取引リスク管理方法。
  8. 前記第2のステップないし前記第8のステップの処理によって、所定のリスク要因だけを変化させた場合の電力取引収支の変化を計算し、リスク感応度として当該電力取引収支の変化率及び当該変化率の変化率を計算する第10のステップ
    を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の電力取引リスク管理方法。
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