次に、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて説明する。まず、パチンコ機の構成について説明し、続いてパチンコ機の背面構成について説明する。図1はパチンコ機の正面図であり、図2は本体枠及び前面枠を開放した状態のパチンコ機を示す斜視図であり、図3はパチンコ機の背面図である。
[1.パチンコ機の構成]
パチンコ機1は、図1及び図2に示すように、外枠2、本体枠3、遊技盤4、前面枠5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の枠材により縦長四角形の枠状に形成され、外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面一側には、ヒンジ機構7により本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。また、本体枠3は、前枠体8、遊技盤装着枠9及び機構装着枠10を合成樹脂材により一体成形することで構成されている。本体枠3の前側に形成された前枠体8は、外枠2前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。なお、遊盤装着枠9及び機構装着枠10を一体成形することなくそれぞれ別体として本体枠3に取り付けてもよい。
前枠体8の後部に一体的に形成された遊技盤装着枠9には、遊技盤4が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤4の盤面(前面)には、外レールと内レールとを備えた案内レール11が設けられ、この案内レール11の内側には、遊技領域12が区画形成されている。
この遊技領域12には、各種入賞口装置が設けられ、遊技領域12の中央(中央上側寄り)にセンター役物装置が設けられている。このセンター役物装置は、その詳細な説明については後述するが、演出効果を高めるさまざまな工夫が施されており、液晶表示器、演出ランプ、階調ランプ及び可動体等を備えて構成されている。演出ランプは点灯し、階調ランプはその明るさが滑らかに変化して階調点灯する。可動体は液晶表示器で繰り広げられる演出(画像)に合わせて可動する。
遊技盤装着枠9よりも下方に位置する前枠体8の前側下部の一側寄りには、スピーカ装着板13を介して低音用スピーカ14が装着されている。また、前枠体8前面の下部領域内の上側部分には、遊技盤4の発射通路に向けて遊技球を導く発射レール15が傾斜状に装着されている。一方、前枠体8前面の下部領域内の下側部分には、下前面部材16が装着されている。下前面部材16前面のほぼ中央には、下皿17が設けられ、片側寄りには操作ハンドル18が設けられている。
本体枠3(前枠体8)のヒンジ機構7が設けられる側とは反対側となる開放側の後面には、外枠2に対して本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対して前面枠5を施錠する機能と、を兼ね備えた施錠装置19が装着されている。施錠装置19は、外枠2に設けられた閉止具20に係脱可能に係合して本体枠3を閉鎖状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック21と、前面枠5の開放側の後面に設けられた閉止具22に係脱可能に係合して前面枠5を閉鎖状態に施錠する上下複数の扉施錠フック23と、を備えている。そして、シリンダー錠24の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることにより本体枠施錠フック21と外枠2の閉止具20との係合が解除されて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に鍵が回動操作されることにより扉施錠フック23と前面枠5の閉止具22との係合が解除されて前面枠5が解錠されるようになっている。なお、シリンダー錠24の前端部は、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作が行えるように前枠体8及び下前面部材16を貫通して下前面部材16の前面に露出して配置されている。
本体枠3前面の一側には、ヒンジ機構25により前面枠5が前方に開閉可能に装着されている。前面枠5は、扉本体フレーム26、サイド装飾装置27、上皿28及び音響電飾装置29を備えて構成されている。扉本体フレーム26は、プレス加工された金属製フレーム部材により構成され、前枠体8の上端から下前面部材16の上縁に亘る部分を覆う大きさに形成されている。扉本体フレーム26のほぼ中央には、遊技盤4の遊技領域12を前方から透視可能なほぼ円形状の開口窓30が形成されている。また、扉本体フレーム26の後側には、開口窓30よりも大きい矩形枠状をなす窓枠31が設けられ、この窓枠31には、透明板32が装着されている。
扉本体フレーム26の前側には、開口窓30の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置27、下部に上皿28及び上部に音響電飾装置29がそれぞれ装着されている。サイド装飾装置27は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材により形成されたサイド装飾体33を主体として構成されている。サイド装飾体33には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、この開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ34が組み込まれている。音響電飾装置29は、透明カバー体35、中高音用スピーカ36、スピーカカバー37及び図示しないリフレクタ体等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
次に、パチンコ機1の背面構成について説明する。パチンコ機1の背面には、図3に示すように、上述した機構装着枠10の上側に球タンク38、機構装着枠10の右側に払出装置39がそれぞれ装着されている。球タンク38の下方に、球タンク38から払出装置39に向けて遊技球が転動するよう傾斜した状態(図3中、右下がりの勾配を持たせた状態)でタンクレール40が機構装着枠10に設けられている。球タンク38は図示しないパチンコ島設備から供給される遊技球を受け、この遊技球はタンクレール40を転動して払出装置39で取り込まれる。
タンクレール40の下方には、上述した遊技盤装着枠9に装着された遊技盤4が配置されている。この遊技盤4の裏面中央上寄りには後述するセンター役物装置が配置されており、このセンター役物装置の最後部には液晶モジュール41が取り付けられている。この液晶モジュール41は、液晶表示器42、液晶制御基板43が収容された液晶制御基板ボックス44等を備えて構成されている。液晶制御基板43は、その詳細な説明については後述するが、液晶表示器42にさまざまな画像を表示する制御を行う。
遊技盤4の裏面左側には、ランプ駆動基板45が収容されたランプ駆動基板ボックス46が配置されている。ランプ駆動基板45は、その詳細な説明については後述するが、センター役物装置に備えた演出ランプへの点灯信号及び階調ランプへの階調信号を出力する制御を行う一方、ステッピングモータ及びソレノイド等の可動体の駆動源への駆動信号も出力する制御を行う。
遊技盤4の裏面下側には、ボックス装着台47が配置されている。このボックス装着台47は、サブ統合基板48が収容されたサブ統合基板ボックス49と、主制御基板50が収容された主制御基板ボックス51と、が装着されている。具体的には、サブ統合基板ボックス49に重ね合わされた状態で主制御基板ボックス51が装着されている。ボックス装着台47は、サブ統合基板ボックス49及び主制御基板ボックス51が装着された状態でもサブ統合基板ボックス49及び主制御基板ボックス51が遊技盤4の外郭より外側にはみ出さないように配置されている。なお、サブ統合基板48は音声、演出ランプ、階調ランプ及び可動体の駆動源等の各種制御を行い、主制御基板50は遊技の進行の各種制御を行う。これらの詳細な説明については後述する。
このように、タンクレール40の下方には、液晶モジュール41(後述するセンター役物装置)及び主制御基板ボックス51等が突出している。このため、球タンク38から落下した遊技球による損傷又は電気的な短絡が生じないよう後カバー52が設けられている。この後カバー52は、液晶モジュール41(センター役物装置)及び主制御基板ボックス51の上側を覆いかぶさる大きさの矩形状に形成されており、図示しないカバーヒンジ機構により開閉及び着脱可能に機構装着枠10に装着されている。なお、後カバー52は半透明の合成樹脂材により形成されており、後カバー52が閉状態であっても、例えば作業者が液晶モジュール41及びランプ駆動基板ボックス46等を目視できるようになっている。
主制御基板ボックス51は、その上側を除いて後カバー52に覆われることなく露出されている。主制御基板50は、その下側に検査用コネクタ53及びRAMクリアスイッチ54を備えており、検査用コネクタ53及びRAMクリアスイッチ54が主制御基板ボックス51から露出されている。このため、後カバー52が閉状態であっても、検査用コネクタ53に図示しない基板検査装置のコネクタを差し込むことができ、主制御基板50の検査を行うことができる。また、RAMクリアスイッチ54を操作して、主制御基板50から遊技に関する各種情報を消去(クリア)することができる。
遊技盤装着枠9の下方、上述した前枠体8の後下側領域(以下、単に「下側領域」と記載する。)には、その左側に発射装置55が装着されている。この発射装置55は、発射モータ56及び発射ハンマー57を備えて構成されている。発射モータ56は、発射ハンマー57を作動させて遊技球を上述した遊技領域12に向けて発射する。下側領域の中央には、払出制御基板58が収容された払出制御基板ボックス59が装着されている。払出制御基板58は、その詳細な説明については後述するが、払出装置39の払い出しに関する各種制御を行う。下側領域の右側には、インターフェース基板60が収容されたインターフェース基板ボックス61が装着されている。インターフェース基板60は、パチンコ機1に隣接して設置されている、図示しないプリペイドカードユニットと払出制御基板58とを電気的に接続し、球貸に関する信号を送受信する。
[2.遊技盤の構成]
次に、上述した遊技盤4の構成について説明する。まず、遊技盤4の遊技領域12内に設けられた各種構成部材について説明し、続けて遊技盤4の各種構成部材について説明する。図4は遊技盤の正面図であり、図5は遊技盤の構成を示す斜視図である。なお、遊技領域12内に打ち込まれた遊技球が落下するとき、遊技球を弾いて遊技球の進行方向を複雑にする複数の障害釘は、図面の見やすさの関係上、図示を省略した。
[2−1.遊技領域内の各種構成部材]
遊技盤4の遊技領域12には、図4に示すように、センター役物装置70、入賞口ユニット71及び装飾ユニット72が設けられている。センター役物装置70は遊技領域12の中央上寄りに配置され、その下方には入賞口ユニット71が配置されている。装飾ユニット72はセンター役物装置70の左下方(入賞ユニット71の左方)に配置されている。
[2−1−1.センター役物装置]
センター役物装置70は、その上側に点灯する演出ランプ73、右側に明るさが滑らかに変化して階調点灯する階調ランプ74が設けられている。そして下側に遊技球が左右に揺動するステージ75、入賞口ユニット71に遊技球を誘導する球誘導孔76及び球誘導路77が設けられ、左側にステージ75に遊技球を誘導するワープ孔78及び遊技球が通過することができるゲート79が設けられている。
遊技球がゲート79に進入するとゲートスイッチ80により検出されて再び遊技領域12内に戻る。ゲート79の下方には、ワープ孔78が配置されている。遊技球がワープ孔78に進入するとステージ75に誘導されて揺動したり又は球誘導孔76に進入して球誘導路77を通過したりして、再び遊技領域12内に戻る。
センター役物装置70に進入した遊技球がセンター役物装置70からパチンコ機1の内部に進入しないようにセンター役物装置70に隔壁板81が設けられている。上述した球誘導孔76は隔壁板81に設けられており、球誘導路77と連結されている。これにより、球誘導孔76に入球した遊技球は球誘導路77を通過して遊技領域12内に再び戻るようになっている。また、隔壁板81は、上述した液晶表示器42の表示領域82に遊技球が衝突するのを防いでいる。
なお、センター役物装置70の上側及び下側には隔壁板81と表示領域82との間に可動体が設けられており、その詳細な説明については後述するが、視認できない位置(原位置)で待機し、所定の条件が成立したとき、表示領域82の前面側に出現し、再び原位置に戻る。
[2−1−2.入賞口ユニット]
入賞口ユニット71は、上始動入賞口83、下始動入賞口84、大入賞口装置85を備えて構成されている。入賞口ユニット71の上側には上始動入賞口83が配置されており、この上始動入賞口83の下方には下始動入賞口84が配置されている。上始動入賞口83に入球した遊技球は上始動口スイッチ86により検出され、下始動入賞口84に入球した遊技球は下始動口スイッチ87により検出される。下始動入賞口84には開閉翼88が設けられており、開閉翼ソレノイド89に駆動信号が出力されると開閉翼88が開き、一方、駆動信号が出力されないと開閉翼88が閉じるようになっている。開閉翼88が開くと下始動入賞口84に遊技球が入球しやすい開状態となる一方、開閉翼88が閉じると下始動入賞口84に遊技球が入球することができない閉状態となる。
ここで、その詳細な説明については後述するが、所定の条件が成立したとき、開閉翼ソレノイド89に駆動信号が出力されると、開閉翼88が開いて下始動入賞口84が閉状態から開状態となる。このとき、下始動入賞口84に遊技球が入球しやすくなる。一方、開閉翼ソレノイド89に駆動信号が出力されなくなると、開閉翼88が閉じて下始動入賞口84が開状態から閉状態となる。このとき、下始動入賞口84の左方又は右方から進入してくる遊技球は開閉翼88によりブロックされる。なお、下始動入賞口84の上方には上述したように上始動入賞口83が配置されている。このため、上方から進入してくる遊技球は上始動入賞口83によりブロックされている。下始動入賞口84が閉状態から開状態となると、その左方又は右方から進入してくる遊技球に加えて、上始動入賞口83に入球しなかった遊技球、つまり下始動入賞口84の上方から進入してくる遊技球が下始動入賞口84に入球する機会を得ることができる。
下始動入賞口84の下方には大入賞口装置85が配置されている。この大入賞口装置85は、大入賞口90、開閉板91、開閉板ソレノイド92、カウントスイッチ93を備えて構成されている。大入賞口90は横長四角形状を有しており、開閉板ソレノイド92に駆動信号が出力されると開閉板91が開き、一方、駆動信号が出力されないと開閉板91が閉じるようになっている。開閉板91が開くと大入賞口90に遊技球が入球しやすい開放状態となる一方、開閉板91が閉じると大入賞口90に遊技球が入球することができない閉鎖状態となる。
ここで、その詳細な説明については後述するが、所定の条件が成立したとき、開閉板ソレノイド92に駆動信号が出力されると、開閉板91が開いて大入賞口90が閉鎖状態から開放状態となる。このとき、大入賞口90に遊技球が入球しやすくなり、この入球した遊技球はカウントスイッチ93により検出される。一方、開閉板ソレノイド92に駆動信号が出力されなくなると、開閉板91が閉じて大入賞口90が開放状態から閉鎖状態となる。このとき、大入賞口90に遊技球が入球できなくなる。
なお、入賞口ユニット71には、大入賞口装置85の左側に左普通入賞口94、右側に右普通入賞口95が設けられている。左普通入賞口94に入球した遊技球は左入賞口スイッチ96により検出され、一方、右普通入賞口95に入球した遊技球は右入賞口スイッチ97により検出される。
[2−1−3.装飾ユニット]
装飾ユニット72は、上特別図柄表示器98、下特別図柄表示器99、上特別図柄記憶ランプ100、下特別図柄記憶ランプ101、普通図柄表示器102、普通図柄記憶ランプ103、遊技状態ランプ104、小当り表示ランプ105、ラウンド表示ランプ106、演出ランプ107を備えて構成されている。
装飾ユニット72の上側には上特別図柄表示器98が配置されている。この上特別図柄表示器98の下方に下特別図柄表示99が配置されている。上特別図柄表示器98は、上始動入賞口83に遊技球が入球すると、所定の特別図柄を変動表示する。一方、下特別図柄表示器99は、下始動入賞口84に遊技球が入球すると、上特別図柄表示器98と同様に、所定の特別図柄を変動表示する。なお、上始動入賞口83及び下始動入賞口84に入球した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されていない数を保留数として、上特別図柄記憶ランプ100及び下特別図柄記憶ランプ101にそれぞれ表示する。
上特別図柄記憶ランプ100及び下特別図柄記憶ランプ101の下方には普通図柄表示器102が配置されており、この普通図柄表示器102の右方に普通記憶ランプ103が配置されている。普通図柄表示器102は、ゲート79を通過すると、所定の普通図柄を変動表示する。なお、ゲート79を通過した遊技球は、普通図柄の変動表示で使用されていない数を保留数として、普通図柄記憶ランプ103に表示する。
普通図柄表示器102の下方には遊技状態ランプ104が配置されており、この遊技状態ランプ104に左方には小当り表示ランプ105が配置され、この小当り表示ランプ105の左方にはラウンド表示ランプ106が配置されている。遊技状態ランプ104は遊技状態として確率変動が生じているときには赤色で点灯し、確率変動が生じていないときにはランプが消灯する。小当り表示ランプ105は遊技状態として小当りが生じたときに点灯する。ラウンド表示ランプ106は大入賞口90が閉鎖状態から開放状態となる回数(「ラウンド」という。)に応じた色で点灯する。例えば、2ラウンドのときには赤色で点灯し、15ラウンドのときには緑色で点灯する。なお、装飾ユニット72の下側には、装飾ユニット側普通入賞口107,108が設けられており、これらの装飾ユニット側普通入賞口107,108に遊技球が入球すると、上述した左入賞口スイッチ96で検出される。装飾ユニット側普通入賞口107,108の下側には、点灯する演出ランプ109が設けられている。遊技領域12内に発射された遊技球が入賞口ユニット71及び装飾ユニット72に設けた各種入賞口のいずれにも入球しなかったときにはアウト口110で回収される。
[2−2.遊技盤の各種構成部材]
次に、遊技盤4の各種構成部材について説明する。遊技盤4は、図5に示すように、前構成部材115、遊技盤本体116を備えて構成されている。前構成部材115は、ほぼ円形の開口117を有しており、この開口117内に遊技球を案内する上述した案内レール11が設けられて遊技盤本体116の前面側に装着されている。これにより、案内レール11の内側に遊技領域12が区画形成される。遊技盤本体116は、適宜形状の貫通孔118を複数有しており、これらの貫通孔118を覆うように、センター役物装置70、入賞口ユニット71及び装飾ユニット72が装着されている。遊技盤本体116の裏面下側は、入賞口ユニット71及び装飾ユニット72の各種入賞口に入球した遊技球と、アウト口109で回収された遊技球と、を排出誘導する排出誘導部材119が装着されている。この排出誘導部材119を覆うように、上述したボックス装着台47が遊技盤本体116の裏面下側に装着されている。このボックス装着台47には、上述したように、サブ統合基板48が収納されたサブ統合基板ボックス49が装着され、そのサブ統合基板ボックス49の後部に重ね合わされた状態で、主制御基板50が収納された主制御基板ボックス51が装着されている。
センター役物装置70は、前装飾体120、後装飾体121、上述した液晶モジュール41を備えて構成されている。前装飾体121は貫通口118を覆うように遊技盤本体116の前面側に装着され、後装飾体121は遊技盤本体116の裏面に前装飾体120と対応して装着され、液晶モジュール41は後装飾体121の後側に取り付けられている。つまり液晶モジュール41は、センター役物装置70の最後部に取り付けられている。
前装飾体120には、上述した演出ランプ73、階調ランプ74、ステージ75、ワープ孔78、ゲート79、ゲートスイッチ80、隔壁板81等が設けられている。一方、後装飾体121には、その詳細な説明については後述するが、その上側に上あご可動体、下側に下あご可動体が設けられている。
[3.後装飾体の構成]
次に、上述した後装飾体121の構成について説明する。まず、後装飾体121の各種構成部材について説明し、続けて各種ユニットについて説明する。図6は後装飾体の斜視図であり、図7は上あご可動体ユニットの斜視図であり、図8は上あご可動体ユニットの分解斜視図であり、図9は上あご駆動ユニット本体の分解斜視図であり、図10は上あご支持シャフトの揺動機構の概略図であり、図11は下あご可動体ユニットの斜視図であり、図12は下あご可動体ユニットの分解斜視図であり、図13は下あご駆動ユニット本体の分解斜視図であり、図14は下あご支持シャフトの揺動機構の概略図である。
後装飾体121は、図6に示すように、上あご可動体ユニット130、下あご可動体ユニット131、可動体ユニットカバー132を備えて構成されている。上あご可動体ユニット130は上あご可動体133を有しており、可動体ユニットカバー132の右側に装着されている。一方、下あご可動体ユニット131は下あご可動体134を有しており、可動体ユニットカバー132の左側に装着されている。なお、図6に示した上あご可動体133及び下あご可動体134の位置がそれぞれの収容部に収まった状態であり、収容位置(原位置)となる。
[3−1.上あご可動体ユニット]
次に、上あご可動体ユニット130の構成部材について説明する。上あご可動体ユニット130は、図7に示すように、上あご可動体133、上あご駆動ユニット135を備えて構成されている。
[3−1−1.上あご可動体]
上あご可動体133は、上あご可動対本体136、サングラス137を備えて構成されている。上あご可動体本体136には開口孔138が設けられており、この開口孔138の奥には演出ランプ139が取り付けられている。サングラス137にはレンズ140が設けられており、演出ランプ139の放つ光が開口孔138を通してレンズ140に映るようになっている。
[3−1−2.上あご駆動ユニット]
上あご駆動ユニット135は、図8に示すように、上あご駆動ユニット本体141、上あご駆動ユニット装飾カバー142、を備えて構成されている。上あご駆動ユニット本体141は、上あご駆動ユニット装飾カバー142により上あご可動体133を可動する機構等を保護するとともに、趣向を凝らしたデザインが施されている。上あご可動体133は、上あご可動体本体136と上あご支持シャフト143とが固定されることにより可動するようになっている。これらの詳細な説明については後述する。なお、上あご可動体本体136と固定さていない上あご支持シャフト143の部位には上あご装飾部材144が取り付けられており、上あご支持シャフト143の存在を隠している。
[3−1−2(a).上あご駆動ユニット本体]
上あご駆動ユニット本体141は、図9に示すように、ベース145、上あご昇降ステッピングモータ146、上あご昇降揺動駆動機構147を備えて構成されている。ベース145は板金を屈曲形成されており、上あご駆動ステッピングモータ146及び上あご昇降揺動駆動機構147が装着されている。上あご昇降ステッピングモータ146の出力軸148には駆動ギア149が装着される。ベース145には駆動ギア貫通口150が設けられており、その大きさは駆動ギア149の歯先円直径より大きく形成されている。これにより、出力軸148に駆動ギア149を装着した状態で上あご昇降ステッピングモータ146をベース145に装着することができる。
[3−1−2(b).上あご昇降揺動駆動機構]
上あご昇降揺動駆動機構147は、上部支持部材151、下部支持部材152、上あご昇降揺動部材153を備えて構成されている。上部支持部材151は案内シャフト154及び補助シャフト155の上端を支持し、下部支持部材152は案内シャフト154及び補助シャフト155の下端を支持している。案内シャフト154及び補助シャフト155はほぼ平行に配置して両端が支持されており、案内シャフト154には上あご昇降揺動部材153が挿通されている。このように、上部支持部材151及び下部支持部材152が案内シャフト154及び補助シャフト155を挟み込んだ状態でベース145に装着されており、ベース145の強度を高める構造となっている。
上部支持部材151には片持ちピン156が設けられており、この片持ちピン156にはプーリ付ギア157が挿通されている。このプーリ付ギア157は、伝達ギア158、歯付駆動プーリ159を備えて一体成形されている。伝達ギア158は、上あご昇降ステッピングモータ146の出力軸148に装着された駆動ギア149と噛み合うことにより駆動トルクが伝達され、片持ちピン156を回転中心として回転する。このとき、歯付駆動プーリ159も伝達ギア158と一体となって片持ちピン156を回転中心として回転する。片持ちピン156には図示しない止め輪溝が設けられており、この止め輪溝にE形止め輪160が挿入して嵌められている。このE形止め輪160によりプーリ付ギア157が片持ちピン156から外れないようになっている。なお、上部支持部材151には駆動ギア貫通口161が設けられており、その大きさは駆動ギア149の歯先円直径より大きく形成されている。これにより、上部支持部材151(上あご昇降揺動駆動機構147)がベース145に装着された状態で上あご昇降ステッピングモータ146をベース145に装着することができる。
歯付駆動プーリ159には、歯付ベルト(タイミングベルト)162が巻き掛けられている。このタイミングベルト162は、下支持部材152の近傍に配置された従動移動部材163の従動プーリ164にも巻き掛けられている。
下支持部材152の近傍には従動移動部材163が配置されている。この従動移動部材163は、従動プーリ164、従動移動部材本体165、ヒンジピン166を備えて構成されている。従動移動体本体165は案内シャフト154に挿通されており、この案内シャフト154に沿って上下に移動したり又は案内シャフト154を回転中心として回転したりする。従動移動部材本体165にはフック状の係止部167が設けられており、従動プーリ164が挿通された状態でヒンジピン166が係止部167で係止されている。従動移動部材本体165とベース145とは引張りばね168により連結されており、従動移動部材本体165が引張りばね168によりベース145の方向に引っ張られている。これにより、歯付駆動プーリ159と従動プーリ164とに巻き掛けられているタイミングベルト162に良好なテンションを与えることができる。
このように、上あご昇降ステッピングモータ146に駆動信号(励磁信号)が入力されると、この励磁信号に応じて、出力軸148に装着された駆動ギア149が回転する。この回転は駆動ギア149と噛み合うプーリ付ギア157の伝達ギア158に伝達され、その回転方向が反対方向となって歯付駆動プーリ159と一体に片持ちピン156を回転中心として回転する。この回転はタイミングベルト162に伝達され、タイミングベルト162は、歯付駆動プーリ159と従動プーリ164との間で引張りばね168により良好なテンションが与えられ状態で回転移動する。なお、上あご昇降揺動部材153は、その詳細な説明については後述するが、タイミングベルト162を固定するベルト固定部169が設けられており、タイミングベルト162の回転移動とともに案内シャフト154に沿って上下に移動する。このとき、上あご昇降揺動部材153が案内シャフト154を回転中心として回転しても、この回転に追従して従動移動部材163も案内シャフト154を回転中心として回転する。これにより、タイミングベルト162は歯付駆動プーリ159、従動プーリ164及びベルト固定部169から外れにくくなり、上あご昇降揺動部材153の回転によるタイミングベルト162への負荷も抑えることができる。
[3−1−2(c).上あご昇降揺動部材]
上あご昇降揺動部材153は、上述した上あご支持シャフト143、上あご昇降揺動部材本体170、上あご揺動ソレノイド171を備えて構成されている。上あご昇降揺動部材本体170は、案内シャフト154に挿通されており、この案内シャフト154を回転中心として回転しないように回転防止片172が設けられている。この回転防止片172は、補助シャフト155との間に適度なすき間を設けて補助シャフト155を把持するよう形成されている。これにより、上あご昇降揺動部材本体170はその姿勢を維持したまま案内シャフト154に沿って上下に移動することができる。
上あご昇降揺動部材本体170は、回転防止片172、上述したベルト固定部169に加えて、上あご昇降揺動部材本体170(図8に示した上あご可動体133)の原位置検出用の上あご原位置検出片173が設けられている。この上あご原位置検出片173は、図6に示した可動体ユニットカバー132に設けられた上あご原位置検出スイッチ174で検出される。この上あご原位置検出スイッチ174は上あご昇降揺動部材本体170の原位置となる位置に配置されており、上あご原位置検出片173が上あご原位置検出スイッチ174で検出されると、上あご昇降部材本体170(図8に示した上あご可動体133)の現在位置が原位置となる。
上あご揺動ソレノイド171は、図10に示すように、上あご揺動ソレノイド本体175、プランジャ176を備えて構成されている。上あご昇降揺動部材本体170には上あご揺動ソレノイド本体175が取り付けられており、プランジャ176には圧縮ばね177が装着されている。上あご揺動ソレノイド本体175に駆動信号が入力されると、プランジャ176は上あご揺動ソレノイド本体175の方向に駆動されて圧縮ばね177を圧縮する(「プランジャ176による縮運動」という)。一方、駆動信号が入力されなくなると、圧縮された圧縮ばね177の復元力によりプランジャ176は上あご揺動ソレノイド本体175の方向と反対方向に駆動されて(「プランジャ176による伸運動」という)プランジャ原位置に復帰する。このように、プランジャ176による伸縮運動が行われる。この伸縮運動は、プランジャ176の先端に形成されたプランジャ頭部178により揺動伝達部材179に伝達される。なお、図10(b)に示すプランジャ176の位置がプランジャ原位置となる。
揺動伝達部材179は、上あご支持シャフト143に固定されており、プランジャ頭部178を把持することでプランジャ176による伸縮運動を受けるつめ部180が設けられている。揺動伝達部材179が上あご昇降揺動部材本体170に設けられた図示しない揺動伝達部材収容部に収容されている。揺動伝達部材179が揺動伝達部材収容部に収容されることで上あご支持シャフト143の軸方向への移動が規制されている。これにより、上あご支持シャフト143が上あご昇降揺動部材本体170から抜けないようになっている。
上あご揺動ソレノイド本体175に駆動信号が入力されると、プランジャ176による縮運動が開始される。この縮運動を受けるつめ部180は、プランジャ頭部178により上あご揺動ソレノイド本体175の方向に引っ張られる動きとなる。このため、揺動伝達部材179は、上あご支持シャフト143を回転中心として図10(b)中時計方向に回転し、その後、上述した揺動伝達部材収容部の内壁と干渉することにより停止する。これにより、上あご支持シャフト143は、自身の軸を回転中心として図10(b)中時計方向に回転し、その後停止する。一方、上あご揺動ソレノイド本体175に駆動信号が入力されなくなると、プランジャ176による伸運動が開始される。この伸運動を受けるつめ部180は、プランジャ頭部178により上あご揺動ソレノイド本体175の方向と反対方向に押し出される運動となる。このため、揺動伝達部材179は、上あご支持シャフト143を回転中心として図10(b)中反時計方向に回転し、その後、揺動伝達部材収容部の内壁と干渉することにより停止してプランジャ176の位置がプランジャ原位置となる。これにより、上あご支持シャフト143は、自身の軸を回転中心として図10(b)中反時計方向に回転し、その後停止する。なお、上あご支持シャフト143は図示しないブッシュに挿通されており、自身の軸を回転中心として滑らかに回転することができる。このブッシュは上あご昇降揺動部材本体170に設けられた図示しないブッシュ収容部に収容されている。
このように、プランジャ176による伸縮運動は、揺動伝達部材179を介して、上あご支持シャフト143が自身の軸を回転中心として時計方向又は反時計方向に回転することにより図8に示した上あご可動体133の揺動運動に変換される。
[3−2.下あご可動体ユニット]
次に、下あご可動体ユニット131の構成部材について説明する。下あご可動体ユニット131は、図11に示すように、下あご可動体134、下あご駆動ユニット190を備えて構成されている。
[3−2−1.下あご可動体]
下あご可動体134は、下あご可動対本体191、舌部材192を備えて構成されている。下あご可動体本体191の内部には演出ランプ193が取り付けられている。舌部材192は透明性を有しており、演出ランプ193の放つ光を視認することができるようになっている。
[3−2−2.下あご駆動ユニット]
下あご駆動ユニット190は、図12に示すように、下あご駆動ユニット本体194、下あご駆動ユニット装飾カバー195、を備えて構成されている。下あご駆動ユニット本体194は、下あご駆動ユニット装飾カバー195により下あご可動体134を可動する機構等を保護するとともに、趣向を凝らしたデザインが施されている。下あご可動体134は、下あご可動体本体191と下あご支持シャフト196とが固定されることにより可動するようになっている。これらの詳細な説明については後述する。なお、下あご可動体本体191と固定さていない下あご支持シャフト196の部位には下あご装飾部材197が取り付けられており、下あご支持シャフト196の存在を隠している。
[3−2−2(a).下あご駆動ユニット本体]
下あご駆動ユニット本体194は、図13に示すように、ベース198、下あご昇降ステッピングモータ199、下あご昇降揺動駆動機構200を備えて構成されている。ベース198は板金を屈曲形成されており、下あご駆動ステッピングモータ199及び下あご昇降揺動駆動機構200が装着されている。下あご昇降ステッピングモータ199の出力軸201には駆動ギア202が装着される。ベース198には駆動ギア貫通口203が設けられており、その大きさは駆動ギア202の歯先円直径より大きく形成されている。これにより、出力軸201に駆動ギア202を装着した状態で下あご昇降ステッピングモータ199をベース198に装着することができる。
[3−2−2(b).下あご昇降揺動駆動機構]
下あご昇降揺動駆動機構200は、上部支持部材204、下部支持部材205、下あご昇降揺動部材206を備えて構成されている。上部支持部材204は案内シャフト207及び補助シャフト208の上端を支持し、下部支持部材205は案内シャフト207及び補助シャフト208の下端を支持している。案内シャフト207及び補助シャフト208はほぼ平行に配置して両端が支持されており、案内シャフト207には下あご昇降揺動部材206が挿通されている。このように、上部支持部材204及び下部支持部材205が案内シャフト207及び補助シャフト208を挟み込んだ状態でベース198に装着されており、ベース198の強度を高める構造となっている。
上部支持部材204には片持ちピン209が設けられており、この片持ちピン209にはプーリ付ギア210が挿通されている。このプーリ付ギア210は、伝達ギア211、歯付駆動プーリ212を備えて一体成形されている。伝達ギア211は、下あご昇降ステッピングモータ199の出力軸201に装着された駆動ギア202と噛み合うことにより駆動トルクが伝達され、片持ちピン209を回転中心として回転する。このとき、歯付駆動プーリ212も伝達ギア211と一体となって片持ちピン209を回転中心として回転する。片持ちピン209には図示しない止め輪溝が設けられており、この止め輪溝にE形止め輪213が挿入して嵌められている。このE形止め輪213によりプーリ付ギア210が片持ちピン209から外れないようになっている。なお、上部支持部材204には駆動ギア貫通口214が設けられており、その大きさは駆動ギア202の歯先円直径より大きく形成されている。これにより、上部支持部材204(下あご昇降揺動駆動機構200)がベース198に装着された状態で下あご昇降ステッピングモータ199をベース198に装着することができる。
歯付駆動プーリ212には、歯付ベルト(タイミングベルト)215が巻き掛けられている。このタイミングベルト215は、下支持部材205の近傍に配置された従動移動部材216の従動プーリ217にも巻き掛けられている。
下支持部材205の近傍には従動移動部材216が配置されている。この従動移動部材216は、従動プーリ217、従動移動部材本体218、ヒンジピン219を備えて構成されている。従動移動体本体218は案内シャフト207に挿通されており、この案内シャフト207に沿って上下に移動したり又は案内シャフト207を回転中心として回転したりする。従動移動部材本体218にはフック状の係止部220が設けられており、従動プーリ217が挿通された状態でヒンジピン219が係止部220で係止されている。従動移動部材本体218とベース198とは引張りばね221により連結されており、従動移動部材本体218が引張りばね221によりベース198の方向に引っ張られている。これにより、歯付駆動プーリ212と従動プーリ217とに巻き掛けられているタイミングベルト215に良好なテンションを与えることができる。
このように、下あご昇降ステッピングモータ199に駆動信号(励磁信号)が入力されると、この励磁信号に応じて、出力軸201に装着された駆動ギア202が回転する。この回転は駆動ギア202と噛み合うプーリ付ギア210の伝達ギア211に伝達され、その回転方向が反対方向となって歯付駆動プーリ212と一体に片持ちピン209を回転中心として回転する。この回転はタイミングベルト215に伝達され、タイミングベルト215は、歯付駆動プーリ212と従動プーリ217との間で引張りばね221により良好なテンションが与えられ状態で回転移動する。なお、下あご昇降揺動部材206は、その詳細な説明については後述するが、タイミングベルト215を固定するベルト固定部222が設けられており、タイミングベルト215の回転移動とともに案内シャフト207に沿って上下に移動する。このとき、下あご昇降揺動部材206が案内シャフト207を回転中心として回転しても、この回転に追従して従動移動部材216も案内シャフト207を回転中心として回転する。これにより、タイミングベルト215は歯付駆動プーリ212、従動プーリ217及びベルト固定部222から外れにくくなり、下あご昇降揺動部材206の回転によるタイミングベルト215への負荷も抑えることができる。
[3−2−2(c).下あご昇降揺動部材]
下あご昇降揺動部材206は、上述した下あご支持シャフト196、下あご昇降揺動部材本体223、下あご揺動ソレノイド224を備えて構成されている。下あご昇降揺動部材本体223は、案内シャフト207に挿通されており、この案内シャフト207を回転中心として回転しないように回転防止片225が設けられている。この回転防止片225は、補助シャフト208との間に適度なすき間を設けて補助シャフト208を把持するよう形成されている。これにより、下あご昇降揺動部材本体223はその姿勢を維持したまま案内シャフト207に沿って上下に移動することができる。
下あご昇降揺動部材本体223は、回転防止片225、上述したベルト固定部222に加えて、下あご昇降揺動部材本体223(図12に示した下あご可動体134)の原位置検出用の下あご原位置検出片226が設けられている。この下あご原位置検出片226は、上述した下部支持部材205に設けられた下あご原位置検出スイッチ227で検出される。この下あご原位置検出スイッチ227は下あご昇降揺動部材本体223の原位置となる位置に配置されており、下あご原位置検出片226が下あご原位置検出スイッチ227で検出されると、下あご昇降部材本体223(図12に示した上あご可動体133)の現在位置が原位置となる。
下あご揺動ソレノイド224は、図14に示すように、下あご揺動ソレノイド本体228、プランジャ229を備えて構成されている。下あご昇降揺動部材本体223には下あご揺動ソレノイド本体228が取り付けられており、プランジャ229には圧縮ばね230が装着されている。下あご揺動ソレノイド本体228に駆動信号が入力されると、プランジャ229は下あご揺動ソレノイド本体228の方向に駆動されて圧縮ばね230を圧縮する(「プランジャ229による縮運動」という)。一方、駆動信号が入力されなくなると、圧縮された圧縮ばね230の復元力によりプランジャ229は下あご揺動ソレノイド本体228の方向と反対方向に駆動されて(「プランジャ229による伸運動」という)プランジャ原位置に復帰する。このように、プランジャ229による伸縮運動が行われる。この伸縮運動は、プランジャ229の先端に形成されたプランジャ頭部231により駆動アーム232に伝達される。
駆動アーム232は、下あご昇降揺動部材本体223に設けられたヒンジピン233に挿通されており、プランジャ頭部231を把持することでプランジャ228による伸縮運動を受けるつめ部234が設けられている。また、駆動アーム232には長穴235が設けられており、この長穴235に片持ちピン236が挿通されている。この片持ちピン236は揺動伝達部材237に設けられており、この揺動伝達部材237は下あご支持シャフト196に固定されている。なお、ヒンジピン233には図示しない止め輪溝が設けられており、この止め輪溝にE形止め輪238が挿入して嵌められている。このE形止め輪238により駆動アーム232がヒンジピン233から外れないようになっている。また、揺動伝達部材237は駆動アーム232及び下あご昇降揺動部材本体223に挟まれており、下あご支持シャフト196の軸方向への移動が規制されている。これにより、下あご支持シャフト196が下あご昇降揺動部材本体223から抜けないようになっている。
下あご揺動ソレノイド本体228に駆動信号が入力されると、プランジャ229による縮運動が開始される。この縮運動を受けるつめ部234は、プランジャ頭部231により下あご揺動ソレノイド本体228の方向に引っ張られる動きとなる。このため、駆動アーム232は、ヒンジピン233を回転中心として図14(b)中時計方向に回転する。この回転は、長穴235に挿通された片持ちピン236を介して、揺動伝達部材237に伝達される。そして、揺動伝達部材237は、下あご支持シャフト196を回転中心として図14(b)中時計方向に回転し、その後、揺動伝達部材237に設けた過回転防止片239が下あご昇降揺動部材本体223と干渉することにより停止する。これにより、下あご揺動シャフト196は、自身の軸を回転中心として図14(b)中時計方向に回転し、その後停止する。一方、下あご揺動ソレノイド本体228に駆動信号が入力されなくなると、プランジャ229による伸運動が開始される。この伸運動を受けるつめ部234は、プランジャ頭部231により下あご揺動ソレノイド本体228の方向と反対方向に押し出される運動となる。このため、駆動アーム232は、ヒンジピン233を回転中心として図14(b)中反時計方向に回転する。この回転は、長穴235に挿通された片持ちピン236を介して、揺動伝達部材237に伝達される。そして、揺動伝達部材237は、下あご支持シャフト196を回転中心として図14(b)中反時計方向に回転し、その後、過回転防止片239が下あご昇降揺動部材本体223と干渉することにより停止してプランジャ229の位置がプランジャ原位置となる。これにより、下あご支持シャフト196は、自身の軸を回転中心として図14(b)中反時計方向に回転し、その後停止する。なお、下あご支持シャフト196は図示しないブッシュに挿通されており、自身の軸を回転中心として滑らかに回転することができる。このブッシュは下あご昇降揺動部材本体223に設けられた図示しないブッシュ収容部に収容されている。
このように、プランジャ229による伸縮運動は、駆動アーム232及び揺動伝達部材237を介して、下あご支持シャフト196が自身の軸を回転中心として時計方向又は反時計方向に回転することにより図12に示した下あご可動体134の揺動運動に変換される。
[4.主基板及び周辺基板]
次に、パチンコ機1の各種制御を行う制御基板について説明する。パチンコ機1の制御構成は、主基板250のグループ及び周辺基板251のグループから構成されており、この2つのグループにより各種制御が分担されている。まず、主基板250のグループについて説明し、続けて周辺基板251のグループについて説明する。図15は主基板及び周辺基板のブロック図である。
[4−1.主基板のグループ]
主基板250のグループは、図15に示すように、上述した、主制御基板50及び払出制御基板58により構成されている。
[4−1−1.主制御基板]
主制御基板50は、図15に示すように、マイクロプロセッサとしての主制御MPU50aと、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート50bと、上述した検査用コネクタ53及びRAMクリアスイッチ54と、を備えている。主制御MPU50aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されており、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマと、不正を防止するための機能等も内蔵されている。
主制御MPU50aは、主制御I/Oポート50bを介して、上述した、ゲートスイッチ80、左入賞口スイッチ96、右入賞口スイッチ97、上始動口スイッチ86、下始動口スイッチ87及ぶカウントスイッチ93からの検出信号がそれぞれ入力されており、これらの検出信号に基づいて、その詳細な説明については後述するが、上述した、開閉翼ソレノイド89、開閉板ソレノイド92、上特別図柄表示器98、下特別図柄表示器99、上特図記憶ランプ100、下特図記憶ランプ101、普通図柄表示器102、普図記憶ランプ103、遊技状態表示ランプ104、小当り表示ランプ105及びラウンド表示ランプ106を駆動する駆動信号を、主制御I/Oポート101bを介して出力する。
主制御基板50と払出制御基板58との基板間では、互いに、つまり双方向に各種コマンドがやり取りされ、主制御基板50とサブ統合基板48との基板間では、主制御基板50からサブ統合基板48へ、つまり一方向に各種コマンドが出力されている。なお、主制御基板50は図示しない電源基板から電力が供給されている。この電源基板には、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板50に電力を供給するバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)が搭載されている。詳細な説明は後述するが、このキャパシタにより供給される電力により主制御MPU50aは電源遮断時にでも電源断時処理において各種の情報を内蔵RAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した各種の情報は、電源投入時に主制御基板50のRAMクリアスイッチ54が操作されると、その内容が内蔵RAMから消去(クリア)される。
[4−1−2.払出制御基板]
払出制御基板58は、図15に示すように、マイクロプロセッサとしての払出制御MPU58aと、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート58bと、を備えている。払出制御MPU58aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されており、不正を防止するため機能も内蔵されている。
払出制御MPU58aは、例えば、主制御基板50から出力された遊技球を払い出す賞球コマンドが払出制御I/Oポート50bを介して入力されると、この賞球コマンドに基づいて払出装置39(排出モータ)に駆動信号を、払出制御I/Oポート58bを介して出力する。また、払出制御MPU58aは、図示しないプリペイドカードユニットから、図3に示したインターフェース基板60を介して貸球要求信号が入力されると、この貸球要求信号に基づいて払出装置39(排出モータ)に駆動信号を、払出制御I/Oポート58bを介して出力する。なお、払出制御基板58は図示しない電源基板から電力が主制御基板50と同様に供給されている。この電源基板には、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板103に電力を供給するキャパシタが搭載されている。このキャパシタにより供給される電力により払出制御MPU58aは電源遮断時にでも払い出しに関する各種の払出情報を内蔵RAMに記憶することができるようになっている。この払出情報は、電源投入時に主制御基板50のRAMクリアスイッチ54が操作されると、その内容が内蔵RAMから消去(クリア)される。
[4−2.周辺基板のグループ]
周辺基板251は、図15に示すように、上述した、サブ統合基板48及び液晶制御基板43により構成されている。
[4−2−1.サブ統合基板]
サブ統合基板48は、図15に示すように、マイクロプロセッサとしてのサブ統合MPU48aと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するサブ統合ROM48bと、高音質の演奏を行う音源IC48cと、この音源IC111cが参照する音楽及び効果音等の音情報が記憶されている音ROM48dと、を備えている。
サブ統合MPU48aは、パラレル入出力ポート及びシリアル入出力ポート等の各種入出力ポートを内蔵しており、主制御基板50からコマンドを受け取ると、このコマンドに基づいて、サイド装飾装置27に点灯信号を出力したり、演出に関する演出コマンドを作成したりする。この演出コマンドは、パラレル入出力ポートを介して音源IC48c及び液晶制御基板43に出力されている。なお、パラレル入出力ポートには、上述した、上あご原位置検出スイッチ174及び下あご原位置検出スイッチ227からの検出信号がランプ駆動基板45を介して入力されている。また、液晶制御基板43からの動作信号も入力されている。この動作信号は、液晶制御基板43が正常動作している旨を伝える信号である。
演出ランプ73,109,139,193を点灯/消灯(ON/OFF)したり又は階調ランプ74を階調点灯したりするランプデータと、上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199を駆動したり又は上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224を駆動したりする駆動データと、はシリアル入出力ポートを介してランプ駆動基板45に出力されている。
音源IC48cは、サブ統合MPU48aから出力された演出コマンドに基づいて、音ROM48dから音情報を読み込み、低音用スピーカ14及び中低音用スピーカ36から各種演出に合わせた音楽及び効果音等が出るよう制御を行う。
[4−2−2.液晶制御基板]
液晶制御基板4は、図15に示すように、マイクロプロセッサとしての液晶制御MPU43aと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶する液晶制御ROM43bと、液晶表示器42を表示制御するVDP(Video Display Processorの略)43cと、液晶表示器42に表示する各種画像を記憶する画像ROM43dと、を備えている。
液晶制御MPU43aは、サブ統合基板48から上述した演出コマンドを受け取ると、この演出コマンドに基づいてVDP43cを制御する。このVDP43cは、画像ROM43dから画像を読み出して液晶表示器42の表示制御を行う。なお、液晶制御MPU43aは、正常に動作していると、その旨を伝える動作信号をサブ統合基板48に出力する。
[5.ランプ駆動基板]
次に、ランプ駆動基板45について説明する。図16はランプ駆動基板のブロック図である。ランプ駆動基板45は、上述したサブ統合基板48からシリアル出力されたランプデータ及び駆動データに基づいて、演出ランプ73,109,139,193を点灯する点灯信号を出力したり、階調ランプ74を階調点灯する階調点灯信号を出力したり、上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199を励磁して駆動する励磁信号を出力したり、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224を駆動する駆動信号を出力したりする。まず、ランプ駆動基板45の構成について説明し、ランプ駆動基板45に入力される各種信号について説明し、演出ランプ73,109,139,193の点灯制御及び階調ランプ74の階調制御を行うランプ制御部について説明し、続いて上あご昇降ステッピングモータ146、下あご昇降ステッピングモータ199、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224の駆動制御を行うシリアルパラレル変換部について順に説明する。
ランプ駆動基板45は、図16に示すように、ランプ制御部45a、シリアルパラレル変換部45b,45cを備えている。ランプ制御部45aは、演出ランプ73,109,139,193の点灯制御及び階調ランプ74の階調制御を行う。シリアルパラレル変換部45bは、上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199の駆動制御を行い、一方、シリアルパラレル変換部45cは、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224の駆動制御を行う。なお、シリアルパラレル変換部45b,45cは数珠繋ぎ、つまりデイジーチェーン接続されている。
[5−2.ランプ駆動基板に入力される各種信号]
ランプ駆動基板45は、図16に示すように、ランプ制御部45aには転送クロックLP−CLK、ランプデータLP−DAT、ラッチ信号LP−LAT及びMODE信号が入力されており、一方、シリアルパラレル変換部45b,45cには転送クロックSS−CLK、駆動データSS−DAT及びラッチ信号SS−LATが入力されている。
サブ統合MPU48aには、ランプ用シリアル出力ポート48aa、上あご及び下あご用シリアル出力ポート48ab、パラレル出力ポート(以下、単に「出力ポート」と記載する。)48ac、及びパラレル入力ポート(以下、単に「入力ポート」と記載する。)48ad等が内蔵されている。ランプ用シリアル出力ポート48aaは、転送クロックLP−CLKと同期してランプデータLP−DATをランプ制御部45aに1ビットずつ出力(シリアル出力)する。上あご及び下あご用シリアル出力ポート48abは、転送クロックSS−CLKと同期して駆動データSS−DATをシリアルパラレル変換器45b,45cにシリアル出力する。出力ポート48acは、ラッチ信号LP−LAT及びMODE信号をランプ制御部45aに出力したり、ラッチ信号SS−LATをシリアルパラレル変換部45b,45cに出力したりする。なお、入力ポート48adには上あご原位置検出スイッチ174及び下あご原位置検出スイッチ227からの検出信号SEN1,SEN2がランプ駆動基板45を介して入力されている。
[5−3.ランプ駆動部]
ランプ駆動部45aは、図示しない階調制御ICを複数備えている。これらの階調制御ICはデイジーチェーン接続されており、図示しない外付け抵抗がそれぞれ1つ接続されている。階調制御ICは、外付け抵抗により出力する最大電流が決まり、この最大出力電流を、0〜127、つまり128段階で出力する出力電流を設定することができる。本実施形態では、階調制御ICとしてテキサス・インスツルメント(TI)製のTLC5922を用いている。このTLC5922には16チャンネルの出力があり、各出力チャンネルは個別のON/OFF制御に加え、チャンネルごとに、0〜80ミリアンペア(mA)の範囲でプログラム可能な定電流を流すことができる(これらの設定はMODE信号に基づいて行われる)。また、1個の外付け抵抗により最大出力電流を設定し、この最大出力電流に対して、0〜127の128段階で出力電流を、チャンネルごとに出力することができる。
階調制御ICは、サブ統合基板48からシリアル出力されたランプデータLP−DATを取り込み、ラッチ信号LP−LATが入力されると、これを契機として取り込んだランプデータLP−DATに基づいて演出ランプ73,109,139,193に点灯信号を出力したり、階調ランプ74bに階調点灯信号を出力したりする。
演出ランプ演出ランプ73,109,139,193に出力される点灯信号は最大出力電流が出力され、一方、階調ランプ74に出力される階調点灯信号は設定された階調データに基づいて最大出力電流に対して0〜127段階の出力電流が出力されている。
[5−4.シリアルパラレル変換部]
シリアルパラレル変換部45b,45cは、サブ統合基板45からシリアル出力された駆動データSS−DATを取り込み、ラッチ信号SS−LATが入力されると、これを契機として取り込んだ駆動データSS−DATに基づいて、シリアルパラレル変換部45bは上あご昇降ステッピングモータ146の各相(φ1,φ2,φ3,φ4)及び下あご昇降ステッピングモータ199の各相(φ1,φ2,φ3,φ4)に駆動信号(励磁信号)を出力する。一方、シリアルパラレル変換部45cは上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224に駆動信号を出力する。
上あご昇降ステッピングモータ146の回転運動は、上あご昇降揺動駆動機構147を介して、図8に示した上あご可動体133の昇降運動に変換される。上あご原位置検出片173が上あご原位置検出スイッチ174で検出されると、上あご可動体133の現在位置が図8に示した上あご可動体133の原位置となる。一方、下あご昇降ステッピングモータ199の回転運動は、下あご昇降揺動駆動機構200を介して、図12に示した下あご可動体134の昇降運動に変換される。
なお、下あご原位置検出片226が下あご原位置検出スイッチ227で検出されると、下あご可動体134の現在位置が図12に示した下あご可動体134の原位置となる。本実施形態では、上あご原位置検出スイッチ174及び下あご原位置検出スイッチ227としてフォトセンサを用いており、上あご原位置検出片173及び下あご原位置検出片226がフォトセンサの光軸を遮断すると、検出信号SEN1,SEN2としてサブ統合MPU48aの入力ポート48adに入力される。
[6.主制御基板の各種制御処理]
次に、パチンコ機1の遊技の進行に応じて主制御基板50が行う各種制御処理について説明する。最初に、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、電源投入時処理、続いてタイマ割り込み処理について順に説明する。図17は電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図18は図17の電源投入時処理のつづきを示すフローチャートであり、図19はタイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
[6−1.各種乱数]
遊技制御に用いられる各種乱数として、大当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いられる大当り判定用乱数と、この大当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる大当り判定用初期値決定用乱数と、大当り遊技状態を発生させないときにリーチを発生させるか否かの決定に用いられるリーチ判定用乱数と、図4に示した上特別図柄表示器98及び下特別図柄表示器99に表示する変動表示パターンの決定に用いられる変動表示パターン用乱数と、大当り遊技状態を発生させるときに上特別図柄表示器98及び下特別図柄表示器99に表示する特別図柄の組み合わせを決定するのに用いられる大当り図柄用乱数と、この大当り図柄用乱数の初期値の決定に用いられる大当り図柄用初期値決定用乱数等が用意されている。またこれらの乱数に加えて、図4に示した下始動入賞口84の開閉翼88を開閉動作させるか否かの決定に用いられる普通図柄当り判定用乱数と、この普通図柄当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる普通図柄当り判定用初期値決定用乱数と、図4に示した普通図柄表示器102に表示する変動表示パターンの決定に用いられる普通図柄変動表示パターン用乱数等が用意されている。
[6−2.電源投入時処理]
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御基板50の主制御MPU50aは、図17及び図18に示すように、電源投入時処理を行う。この電源投入時処理が開始されると、主制御MPU50aは、割り込みモードの設定を行う(ステップS10)。この割り込みモードは、主制御MPU50aの割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述するタイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、このタイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、優先的にその処理が行われる。ステップS10に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS12)。このI/Oの入出力設定では、主制御MPU50aのI/Oの設定を行う。例えば図4に示した、大入賞口90の開閉動作を行う開閉板91の駆動源としての開閉板ソレノイド92に駆動信号を出力する端子は出力端子(Output)として設定される。一方、大入賞口90に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ93からの検出信号が入力される端子は入力端子(Input)として設定される。ステップS12に続いて、主制御MPU50aに内蔵されたウォッチドックタイマを有効に設定する(ステップS14)。このウォッチドックタイマは、主制御MPU50aの動作(システム)を監視するためのものであり、一定期間にクリアされないときには主制御MPU50aにリセットがかかる(主制御MPU50aのシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS14に続いて、ウェイトタイマ処理1を行う(ステップS16)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では電圧が停電予告電圧以下となると停電信号が入力される。そこで、ウェイトタイマ処理1では、電源投入後、電圧が停電予告電圧より高くなるまで待っている。本実施形態では、この待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。ステップS16に続いて、RAMクリアスイッチ54が操作されているか否かを判定する(ステップS18)。この判定は、主制御基板50のRAMクリアスイッチ54が操作され、その操作信号(検出信号)が主制御MPU50aに入力されているか否かにより行われる。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ54が操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ54が操作されていないと判定する。
ステップS18でRAMクリアスイッチ54が操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットし(ステップS20)、一方、ステップS18でRAMクリアスイッチ54が操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS22)。このRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU50aに内蔵されたRAM(以下、「内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。なお、ステップS20及びステップS22でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU50aの汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS20又はステップS22に続いて、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS24)。このウェイトタイマ処理2では、図15に示した、液晶制御基板43による液晶表示器42の表示制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。例えば、図15に示した液晶制御ROM43bから圧縮されたオープニング用画像を読み出して、同図に示した液晶制御MPU43aに内蔵されたRAMに展開して記憶する等。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。ステップS24に続いて、内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS26)。この設定により内蔵RAMへのアクセスができ、例えば遊技情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。ステップS26に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS28)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれごとにスタックポインタが進む。ステップS28では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS28に続いて、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS30)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。ステップS30でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS32)。このチェックサムは、内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。ステップS32に続いて、算出したチェックサムの値が後述する電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS34)。一致しているときには、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS36)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値及びバックアップフラグBK−FLGの値等のバックアップ情報を後述する電源断時処理において内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、電源断時処理を行ったとき値1、電源断時処理を行っていないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS36でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり電源断時処理を行ったときには、復電時として内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS38)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGを値0にセットするほか、主制御MPU50aに内蔵されたROM(以下、「内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を内蔵RAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。ステップS38に続けて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS40)。この電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。なお、各種コマンド等についての説明は後述する。
一方、ステップS30でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS34でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS36でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり電源断時処理を行っていないときには、内蔵RAMの全領域をクリアし(ステップS42)、初期設定として内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS44)。この設定は、内蔵ROMから初期情報が読み出され、この初期情報が内蔵RAMの作業領域にセットされる。ステップS44に続けて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS46)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を、図15に示したサブ統合基板48に報知するためのRAMクリア報知コマンドと、サブ統合基板48の各種検査を行うためのテストコマンドと、を作成し、送信情報として内蔵RAMの送信情報記憶領域に記憶する。なお、サブ統合基板48がRAMクリア報知コマンドを受信すると、このRAMクリア報知コマンドを液晶制御基板43に送信し、一方テストコマンドを受信すると、図15に示した、音源IC48c、液晶制御基板43及びランプ駆動基板45の各種検査を行うためのテストコマンドを送信する。
ステップS40又はステップS46に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS48)。この設定は、後述するタイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。ステップS48に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS50)。この設定によりステップS48で設定した割り込み周期、つまり4msごとにタイマ割り込み処理が繰り返し行われる。
ステップS50に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットする(ステップS52)。このウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに、値A、値Bそして値Cを順にセットすることによりウォッチドックタイマがクリアされる。ステップS52に続けて、停電信号が入力されているか否かを判定する(ステップS54)。上述したように、パチンコ機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号が入力される。ステップS54の判定は、この停電信号に基づいて行われる。ステップS54で停電信号の入力がないときには非当落乱数更新処理を行う(ステップS56)。
この非当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用初期値決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、後述するタイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ増える(カウントアップする)。このカウンタは、非当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数が設定(更新)されると、この大当り判定用初期値決定用乱数から上限値までカウントアップし、続けて下限値から大当り判定用初期値決定用乱数までカウントアップする。そして再び非当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数が更新される。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(大当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS56に続けて、再びステップS52に戻り、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Aをセットし、ステップS54で停電信号があるか否かを判定し、この停電信号の入力がなければ、ステップS56で非当落乱数更新処理を行い、ステップS52〜ステップS56を繰り返し行う。なお、このステップS52〜ステップS56の処理を「メイン処理」という。
一方、ステップS54で停電信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS58)。この設定により後述するタイマ割り込み処理が行われなくなり、内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。ステップS58に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS60)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。ステップS60に続いて、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする。(ステップS62)、これによりバックアップ情報の記憶が完了する。ステップS62に続いて、内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS64)。この設定により内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が保護される。ステップS64に続いてウォッチドックタイマのクリアを行う(ステップS66)。このクリアは、上述したように、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットすることにより行われる。ステップS66に続けて、無限ループに入る。この無限ループでは、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値A、値Bそして値Cを順にセットしないためウォッチドックタイマがクリアされなくなる。このため、主制御MPU50aにリセットがかかり、その後主制御MPU50aは、この電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS58〜ステップS66の処理及び無限ループを「電源断時処理」という。
パチンコ機1(主制御MPU50a)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により電源投入時処理を行う。
なお、ステップS34では内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS36では電源断時処理が行われたか否かを検査している。このように、内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報を2重にチェックすることによりバックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[6−3.タイマ割り込み処理]
次に、タイマ割り込み処理について説明する。このタイマ割り込み処理は、図17及び図18に示した電源投入時処理において設定された割り込み周期(本実施形態では、4ms)ごとに繰り返し行われる。
タイマ割り込み処理が開始されると、主制御基板50の主制御MPU50aは、図19に示すように、タイマ割り込みを禁止に設定してレジスタの切替(退避)を行う(ステップS70)。ここでは、上述したメイン処理で使用していた汎用記憶素子(汎用レジスタ)から補助レジスタに切り替える。この補助レジスタをタイマ割り込み処理で使用することにより汎用レジスタの値が上書きされなくなる。これにより、メイン処理で使用していた汎用レジスタの内容の破壊を防いでいる。
ステップS70に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Bをセットする(ステップS72)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、電源投入時処理(メイン処理)のステップS52においてセットされた値Aに続いて値Bがセットされる。
ステップS72に続いて、スイッチ入力処理を行う(ステップS74)。このスイッチ入力処理では、電源投入時処理のステップS12においてI/Oの入出力設定で入力端子(Input)として設定された端子の入力状態を読み取り、入力情報として内蔵RAMの入力情報記憶領域に記憶する。例えば図4に示した、左普通入賞口94及び装飾ユニット側普通入賞口107,108に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ96、右普通入賞口に入球した遊技球を検出する右入賞口スイッチ97、大入賞口90に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ93からの検出信号、上始動入賞口83に入球した遊技球を検出する上始動口スイッチ86、下始動入賞口84に入球した遊技球を検出する下始動口スイッチ87からの検出信号、ゲート79を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ80からの検出信号を読み取り、入力情報記憶領域に記憶する。
ステップS74に続いて、タイマ減算処理を行う(ステップS76)。このタイマ減算処理では、例えば、後述する特別図柄及び特別電動役物制御処理で決定される変動表示パターンに従って図4に示した上特別図柄表示器98及び下特別図柄表示器99が点灯するよう時間管理を行う一方、後述する普通図柄及び普通電動役物制御処理で決定される普通図柄変動表示パターンに従って図4に示した普通図柄表示器102が点灯するよう時間管理を行う。具体的には、変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が5秒間であるときには、タイマ割り込み周期が4msに設定されているので、タイマ減算処理が行われるごとに変動時間が4msずつ減算される。この減算結果が値0になることにより変動表示パターン又は普通図柄変動表示パターンの変動時間が正確に計られる。
ステップS76に続いて、当落乱数更新処理を行う(ステップS78)。この当落乱数更新処理では、上述した、大当り判定用乱数及び大当り図柄用乱数を更新する。またこれらの乱数に加えて、図18に示した電源投入時処理(メイン処理)におけるステップS56の非当落乱数更新処理で更新される、大当り判定用初期値決定用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数も更新する。これらの大当り判定用初期値決定用乱数及び大当り図柄用初期値決定用乱数は、メイン処理及びこのタイマ割り込み処理においてそれぞれ更新されることでランダム性をより高めている。一方、大当り判定用乱数及び大当り図柄用乱数は、当落判定(大当り判定)にかかわる乱数であるためこの当落乱数更新処理が行われるごとにのみ、それぞれのカウンタがカウントアップする。例えば、大当り判定用乱数を更新するカウンタは、大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、タイマ割り込み処理が行われるごとにカウントアップする。このカウンタは、大当り判定用初期値決定用乱数から上限値までをカウントアップし、続けて下限値から初期値までをカウントアップする。大当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲をカウンタがカウントアップし終えると、この当落乱数更新処理により大当り判定用初期値決定用乱数は更新される(この大当り判定用初期値決定用乱数は上述した非当落乱数更新処理でも更新される)。なお上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数もこの当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した大当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS78に続いて、賞球制御処理を行う(ステップS80)。この賞球制御処理では、上述した入力状態記憶領域から入力端子の入力状態、つまり入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて遊技球を払い出す賞球コマンドを作成する。そして作成した賞球コマンドを図15に示した払出制御基板58に送信する。例えば、図4に示した大入賞口90に遊技球が1球、入球すると、賞球として15球を払い出す賞球コマンドを作成する。ステップS80に続いて、賞球チェック処理を行う(ステップS82)。この賞球チェック処理では、賞球に関する異常状態を確認する。例えば、大当り遊技状態でないときに大入賞口90に遊技球が入球すると、異常状態として賞球異常報知コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。(なお、この異常状態の確認は、入力情報記憶領域から入力情報を読み出してこの入力情報に基づいて行われる)。ステップS82に続いて、コマンド受信処理を行う(ステップS84)。払出制御基板58は、例えば図15に示した払出装置39に、球詰まりにより遊技球を払い出せない等の払出異常が生じたときには、主制御基板50に払出異常コマンドを送信する。ステップS84のコマンド受信処理では、この払出異常コマンドを受信すると、払出異常報知コマンドを作成し、送信情報として送信情報記憶領域に記憶する。
ステップS84に続いて、特別図柄及び特別電動役物制御処理を行う(ステップS86)。この特別図柄及び特別電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、この入力情報に基づいて始動入賞処理を行う。この始動入賞処理では、入力情報から図4に示した上始動口スイッチ86又は下始動口スイッチ87からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かの判定を行う。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した、大当り判定用乱及び大当り図柄用乱数等を更新する各種カウンタの値を抽出して始動情報として内蔵RAMの始動情報記憶領域に記憶する。
この始動情報記憶領域には、始動情報記憶ブロック0〜7(8つの始動情報記憶ブロック)が設けられており、始動情報記憶ブロック0、始動情報記憶ブロック1、始動情報記憶ブロック2、・・・、そして始動情報記憶ブロック7の順に始動情報が記憶されるようになっている。例えば始動情報が始動情報記憶ブロック0〜6に記憶されている場合、上始動口スイッチ86からの検出信号が入力端子に入力されていたときには始動情報を始動情報記憶ブロック7に記憶する。このとき、上始動口スイッチ86により検出されたことを示す識別情報も記憶するようになっている。これにより、始動情報記憶ブロック0〜7には、遊技球が上始動口スイッチ86又は下始動口スイッチ87のうちどちらに検出されたものであるか、時系列で記憶されることとなる(つまり、履歴が分かるように記憶されている)。
始動情報は始動情報記憶ブロック0に記憶されているものが読み出される。この始動情報が読み出されると、始動情報記憶ブロック1の始動情報が始動情報記憶ブロック0に、始動情報記憶ブロック2の始動情報が始動情報記憶ブロック1に、・・・、始動情報記憶ブロック7の始動情報が始動情報記憶ブロック6に、それぞれシフトされて始動情報記憶ブロック7が空き領域となる。例えば、始動記憶情報ブロック0〜2に始動情報が記憶されている場合には、始動情報記憶ブロック1の始動情報が始動情報記憶ブロック0に、始動情報記憶ブロック2の始動情報が始動情報記憶ブロック1にそれぞれシフトされて始動情報記憶ブロック2〜7が空き領域となる。ここで、始動情報記憶ブロック0〜7に始動情報が記憶されていると、それらの始動情報記憶ブロックの数を保留球として図4に示した、上特図記憶ランプ100及び下特図記憶ランプ101を点灯させるよう、上述した識別情報に基づいて上特図記憶ランプ100及び下特図記憶ランプ101の点灯信号の出力を設定し、出力情報として内蔵RAMの出力情報記憶領域に記憶する。なお、上始動口スイッチ86及び下始動口スイッチ87により検出された遊技球を始動記憶として始動情報記憶ブロックに記憶できる数は最大4個にそれぞれ設定されている。
始動入賞処理に続いて、始動情報記憶ブロック0から始動情報を読み出し、この始動情報に基づいて遊技処理を行う。この遊技処理では、例えば読み出した始動情報から、大当り判定用乱数の値を取り出して内蔵ROMに予め記憶されている大当り判定値と一致するか否かの判定(大当りであるか否かの判定)を行ったり、大当り図柄用乱数の値を取り出して内蔵ROMに予め記憶されている確変当り判定値と一致するか否かの判定(確率変動を発生させるか否かの判定)を行ったりする。ここで、「確率変動」とは、大当りする確率が通常時(低確率)にくらべて高く設定された高確率(確変時)に変化することであり、上述した大当り判定値は、低確率では通常時判定テーブルから読み出され、一方、高確率では確変時判定テーブルから読み出される。
これらの判定結果により発生させる遊技状態が決定する。この決定した遊技状態に、上述した変動表示パターン用乱数に基づいて変動表示パターンを決定して遊技演出コマンドを作成し、送信情報として上述した送信情報記憶領域に記憶する。また、発生させる遊技状態に応じて、例えば大当り遊技状態となるときには図4に示した、開閉板91を開閉動作させるよう開閉板ソレノイド92への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS86に続いて、普通図柄及び普通電動役物制御処理を行う(ステップS88)。この普通図柄及び普通電動役物制御処理では、上述した入力情報記憶領域から入力情報を読み出し、この入力情報に基づいて電動始動入賞口処理を行う。この電動始動入賞口処理では、入力情報から図4に示したゲートスイッチ80からの検出信号が入力端子に入力されていたか否かの判定を行う。この判定結果に基づいて、検出信号が入力端子に入力されていたときには、上述した普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタの値等を抽出して、この抽出した値と、内蔵ROMに予め記憶されている普通図柄当り判定値と、が一致するか否かの判定を行う。一致しているときには、図4に示した、開閉翼88を開閉動作させるよう開閉翼ソレノイド89への駆動信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。また、上述した普通図柄変動表示パターン用乱数に基づいて普通図柄変動表示パターンを決定して図4に示した普通図柄表示器102を点灯させるよう普通図柄表示器102への点灯信号の出力を設定し、出力情報として上述した出力情報記憶領域に記憶する。
ステップS88に続いて、ポート出力処理を行う(ステップS90)。このポート出力処理では、上述した出力情報記憶領域から出力情報を読み出してこの出力情報に基づいて出力端子の出力制御を行う。例えば大当り遊技状態であるときには、図4に示した、大入賞口90の開閉板91の開閉動作を行う開閉板ソレノイド92に駆動信号を出力したりする。
ステップS90に続いて、サブ統合基板コマンド送信処理を行う(ステップS92)。このサブ統合基板コマンド送信処理では、上述した送信情報記憶領域から送信情報を読み出してこの送信情報を図15に示したサブ統合基板48に送信する。この送信情報には、上述した、遊技演出コマンド、RAMクリア報知コマンド、テストコマンド、賞球異常報知コマンド及び払出異常報知コマンド等が組み合わされて構成されている。
ステップS92に続いて、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLに値Cをセットする(ステップS94)。このとき、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、ステップS72においてセットされた値Bに続いて値Cがセットされる。これにより、ウォッチドックタイマクリアレジスタWCLには、値A、値Bそして値Cが順にセットされ、ウォッチドックタイマがクリアされる。ステップS94に続いて、レジスタの切替(復帰)を行う(ステップS96)。この復帰は、ステップS70でスタックに積んで退避した内容を読み出してレジスタに書き込むことにより行われる。ステップS96に続いて、割り込み許可の設定を行い(ステップS98)、このルーチンを終了する。
[7.サブ統合基板の各種制御処理]
次に、主制御基板50から各種コマンドを受け取るサブ統合基板48の各種処理について説明する。図20はリセット処理の一例を示すフローチャートであり、図21はサブ側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図22はコマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図23はコマンド受信終了割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
[7−1.リセット処理]
まず、リセット処理が開始されると、図20に示すように、サブ統合基板48のサブ統合MPU48aは、初期設定処理を行う(ステップS100)。この初期設定処理は、サブ統合MPU48aを初期化する処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割り込み禁止となっており、初期設定処理のあと割り込み許可となる。続いて、16ms経過フラグT−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS102)。この16ms経過フラグT−FLGは、後述する2msごとに処理されるタイマ割り込み処理で16msを計測するフラグであり、16ms経過したとき値1、16ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。ステップS102で16ms経過フラグT−FLGが値1であるとき、つまり16ms経過したときには、16ms経過フラグT−FLGに値0をセットし(ステップS104)、16ms処理中フラグP−FLGに値1をセットする(ステップS106)。この16ms処理中フラグP−FLGは、後述する16ms定常処理を開始するとき値1、終了するとき値0にそれぞれ設定される。続いて、16ms定常処理を行う(ステップS108)。この16ms定常処理は、主制御基板50から送信された送信情報から各種コマンドを解析するコマンド解析処理と、図15に示した、演出ランプ73,109,139,193の点灯制御及び階調ランプ74の階調制御を行うランプ処理と、16ms定常処理が行われているか監視するウォッチドックタイマ処理の他に、その詳細な説明については後述するが、図15に示した、上あご昇降ステッピングモータ146、下あご昇降ステッピングモータ199、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224の駆動パターンをスケジューラにセットする16ms用ステッピングモータ及びソレノイドスケジューラ起動処理等を行う。続いて、16ms処理中フラグP−FLGに値0(16ms定常処理の終了)をセットし(ステップS110)、再びステップS102に戻り、16ms経過フラグT−FLGが値1になるごとに、つまり16ms経過ごとにステップS104〜ステップS110を繰り返し行う。一方、ステップS102で16ms経過フラグT−FLGが値1でない(16ms経過フラグT−FLGが値0)とき、つまり16ms経過していないときには、16ms経過フラグT−FLGが値1になるまで、つまり16ms経過するまで待機する。
[7−2.サブ側タイマ割り込み処理]
次に、サブ側タイマ割り込み処理が開始されると、図21に示すように、サブ統合基板48のサブ統合MPU48aは、2msタイマ割り込み処理を行う(ステップS120)。この2msタイマ割り込み処理は、図9に示した上あご原位置検出片174を検出する上あご原位置検出スイッチ174からの検出信号及び図13に示した下あご原位置検出片226を検出する下あご原位置検出スイッチ227からの検出信号から検出履歴をそれぞれ作成する履歴作成処理の他に、その詳細な説明については後述するが、図15に示した、上あご昇降ステッピングモータ146、下あご昇降ステッピングモータ199、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224を駆動するステッピングモータ及びソレノイド駆動処理等を行う。
続いて、2ms更新カウンタCに値1を加算する(ステップS122)。この2ms更新カウンタCは、このサブ側タイマ割り込み処理が行われた回数をカウントするカウンタであり、2ms更新カウンタCの値1は2msの時間に相当する。続いて、2ms更新カウンタCが値8、つまり16ms(=2ms更新カウンタC×2ms)であるか否かを判定する(ステップS124)。16msであるときには、16ms経過フラグT−FLGに値1をセットし(ステップS126)、16ms処理中フラグP−FLGが値0、つまり図20に示したリセット処理におけるステップS108の16ms定常処理を行っているか否かを判定する。16ms処理中フラグP−FLGが値0であるとき、つまり16ms定常処理を行っていないときには、作業領域のバックアップを行い(ステップS130)、このルーチンを終了する。この作業領域のバックアップは、図20に示したリセット処理におけるステップS108の16ms定常処理で処理した情報を作業領域上に設けられたコピー領域にコピーする。一方、ステップS124で16ms経過していないとき又はステップS128で16ms定常処理中に情報の設定がなかったときには、そのままこのルーチンを終了する。
[7−3.コマンド受信割り込み処理]
次に、コマンド受信割り込み処理が開始されると、図22に示すように、サブ統合基板48のサブ統合MPU48aは、主制御基板50からのコマンドを受信開始する信号(以下、「WR信号」という。)と、主制御基板50からの各種基板をセレクトする信号(以下、「SEL信号」という。)と、がともに値1であるか否かを判定する(ステップS140)。主制御基板50の主制御MPU50aは、まずサブ統合基板48に対応するSEL信号を値1、そしてWR信号を値1にそれぞれセットしてサブ統合基板48にコマンドを送信する。
このコマンドは、1パケット4ニブルにより構成されている。この「ニブル」とは、4ビットを意味し、2ニブルでは8ビット(1バイト)、つまり4ニブルでは16ビット(2バイト)となる。1ニブルのデータの抽出は、WR信号が値0から値1に立ち上がって(「アップエッジ」という。)、所定時間(例えば、20μs〜50μs)保持された後、WR信号が値1から値0に立ち下がる(「ダウンエッジ」という。)ことにより行われ、1パケットでは合計4回行われる。
ステップS140でWR信号及びSEL信号がともに値1であるとき、つまり主制御MPU50aがサブ統合基板48にコマンドを送信するときには、コマンド受信処理を行い(ステップS142)、このルーチンを終了する。このコマンド受信処理は、受信した1ニブル分のコマンド(4分割されたコマンドのうち1つ)をサブ統合MPU48aに内蔵されたRAMのリングバッファに記憶する。この「リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。リングバッファに記憶したあと、続いてバッファライトカウンタを値1だけ加算する。このバッファライトカウンタは、コマンド受信処理を行うごとに値1ずつ加算する。このため、1パケット(4ニブル)を記憶するとバッファライトカウンタは値4になる。
一方、ステップS140でSEL信号及びWR信号がともに値0であるとき、つまり主制御MPU50aがサブ統合基板48にコマンドを出力しないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、主制御基板50からサブ統合基板48へのコマンド送信時には、上述したようにWR信号のアップエッジからダウンエッジまでの所定時間(例えば、20μs〜50μs)、SEL信号、WR信号、データ(4ビット)が一定に保持されているが、ノイズの影響により信号が乱れ、コマンドを正常に受信できないおそれがある。そこで、このノイズ対策として、サブ統合MPU48aは、SEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信(1回目)すると所定時間経過(例えば、1μs)後、再びSEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信する。そして、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致しているか否かを判定する。1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致しているときには、ステップS140でWR信号及びSEL信号がともに値1であるか否かを判定する。一方、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致していないときには、所定時間経過後、再びSEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信し、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致するまで判定を繰り返し行う。
[7−4.コマンド受信終了割り込み処理]
次に、コマンド受信終了割込み処理が開始されると、図23に示すように、サブ統合基板48のサブ統合MPU48aは、WR信号及びSEL信号がともに値0であるか否かを判定する(ステップS150)。主制御基板50の主制御MPU50aは、サブ統合基板48にコマンドの送信が完了すると、WR信号に値0をセットした後、SEL信号を値0にセットする(ダウンエッジ)。ステップS150でWR信号及びSEL信号がともに値0であるとき、つまり主制御MPU50aがサブ統合基板48にコマンドの送信が完了したときには、コマンド受信終了処理を行い(ステップS152)、このルーチンを終了する。このコマンド受信終了処理は、上述したコマンド受信割り込み処理で加算されたバッファライトカウンタに値0をセットする。コマンドを正常に受信できたときには、1パケット4ニブルであるため、バッファライトカウンタは値4になる。また、1パケット分の受信を行えなかったとき、つまりバッファライトカウンタが値4未満のときには、受信したコマンドを破棄する。
一方、ステップS150でWR信号及びSEL信号がともに値0でないとき、つまり主制御MPU50aがサブ統合基板48にコマンドの送信が完了していないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、上述したように、ノイズ対策として、サブ統合MPU48aは、SEL信号を受信(1回目)すると所定時間経過(例えば、1μs)後、再びSEL信号を受信し、1回目に受信したSEL信号と一致しているか否かを判定する。1回目に受信したSEL信号と一致しているときには、ステップS150でWR信号及びSEL信号がともに値0であるか否かを判定する。一方、1回目に受信したSEL信号と一致していないときには、所定時間経過後、再びSEL信号を受信し、1回目に受信したSEL信号と一致するまで判定を繰り返し行う。
なお、本実施形態では、コマンド受信割り込み処理、コマンド受信終了割り込み処理、サブ側タイマ割り込み処理、そして16ms定常処理の順で各処理の優先順位が設定されている。
[8.発展演出]
次に、各種演出(発展演出)について説明する。図24は発展演出の遷移を示す図であり、図25はおしゃべりタイム演出の背景画像の遷移の一例を示すテーブル(背景遷移テーブル)である。
[8−1.演出の遷移]
発展演出は、図24に示すように、通常演出、スロット演出、ピカピカライト演出、おしゃべりタイム演出、超おしゃべりタイム演出、そして大当り演出の順で遷移する。つまり、通常演出から大当り演出まで演出が1つずつ遷移する。これらの各演出は、図4に示した液晶表示器42の表示領域82に表示され、図4に示した、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99による複数の変動表示が行われて順に遷移する。例えば、おしゃべりタイム演出では、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99による変動表示が複数回連続して行われる。
通常演出ではキャラクタがリビングでギターを弾いている演出が行われる。通常演出からスロット演出に遷移すると、キャラクタがリビングからスロット部屋に移動してスロット遊技を開始する演出が行われる。スロット演出からピカピカライト演出に遷移すると、キャラクタがスロット部屋からリビングに再び戻り、図4に示した演出ランプ73がピカピカと光り出す演出が行われる。ピカピカライト演出からおしゃべりタイム演出に遷移すると、図6に示した上あご可動体133が表示領域82の前面上側(原位置)から出現し、図6に示した下あご可動体134が表示領域の前面下側(原位置)から出現する演出が行われる。
上あご可動体133及び下あご可動体134は所定間隔まで近づくと、この所定間隔から小刻みに上下方向に移動したり又は上あご可動体133が図8に示した上あご支持シャフト143を回転中心として揺動したり、下あご可動体134が図12に示した下あご支持シャフト196を回転中心として揺動したりする。表示領域82に表示されている画像は、上述した所定間隔から視認することができるようになっており、上あご可動体133及び下あご可動体134による上下及び揺動運動に連動して「今日も元気だ」等の文字が表示領域82に表示される。このとき、図2に示した中高音用スピーカ36から音声が出力される。このように、おしゃべりしている口の状態を、上あご可動体133及び下あご可動体134による上下及び揺動運動により作り出している。なお、おしゃべりタイム演出では、表示領域82に表示される背景画像として朝、昼及び夜が用意されており、その詳細な説明については後述するが、背景画像が朝、昼、そして夜の順に遷移する。
おしゃべりタイム演出から超おしゃべりタイム演出に遷移すると、引き続き上あご可動体133及び下あご可動体134による上下及び揺動運動する演出が行われ、上述した背景画像に雷が追加されている。超おしゃべりタイム演出から大当り演出に遷移すると、大当りである旨を伝える所定演出が表示領域82に表示される。なお、上述した、スロット演出、ピカピカライト演出及びおしゃべりタイム演出からも大当り演出に遷移することができる一方、ピカピカライト演出及びおしゃべりタイム演出では、上述した通常演出に再び戻ることもある。このように、趣向を凝らした発展演出となっている。
[8−2.おしゃべりタイム演出の背景画像]
上述したおしゃべりタイム演出の背景画像は、図25に示すように、背景遷移テーブルに従って遷移する。この背景遷移テーブルは、背景遷移数及び背景導出率から構成されている。背景遷移数は、朝、昼及び夜の背景画像を繰り返し表示する回数が設定されている。例えば、(値3,値3,値24)は、朝の背景画像を3回、昼の背景画像を3回、そして夜の背景画像を24回、それぞれ繰り返し表示することを意味しており、合計30回のおしゃべりタイム演出が行われることになる。
背景導出率は、通常時(低確率)及び確変時(高確率)における値(分母として値20014)がそれぞれ設定されており、通常時又は確変時のいずれかに背景遷移数が振り分けられている。例えば、確変時の背景導出率:値(414/20014)には背景遷移数(値3,値3,値24)が振り分けられ、通常時の背景導出率:値(72/20014)には背景遷移数(値3,値6,値7)が振り分けられている。なお、確変時では背景遷移数の各値の総和が値30に設定されており、おしゃべりタイム演出が開始されて30回のおしゃべりタイム演出を行ったあと、つまり上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99による変動表示がおしゃべりタイム演出で30回行われたあと、上述した超おしゃべりタイム演出に遷移する。一方、通常時では背景遷移数の各値の総和が値16〜値29までのいずれかの値(終了値)に設定されており、おしゃべりタイム演出が開始されて終了値のおしゃべりタイム演出を行ったあと、上述した通常演出に再び戻ることとなる。このように、おしゃべりタイム演出が長く行われるほど超おしゃべりタイム演出に遷移するようになっており、おしゃべりタイム演出が長く行われるほど遊技者にとって有利な状態(「確率変動状態」という。)にあるという、期待度が持てるようになっている。
[9.ステッピングモータ及びソレノイド駆動制御処理]
次に、図15に示した、上あご昇降ステッピングモータ146、下あご昇降ステッピングモータ199、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224の駆動制御について説明する。図26は16ms用ステッピングモータス及びソレノイドのスケジューラ起動処理の一例を示すフローチャートであり、図27はステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの一例を示すテーブルであり、図28は2ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理の一例を示すフローチャートであり、図29は2ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ進行処理の一例を示すフローチャートであり、図30はステッピングモータ及びソレノイドの駆動処理の一例を示すフローチャートであり、図31は原位置検出スイッチとソレノイド可動範囲との関係を示す簡略図である。16ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理は図20に示したリセット処理におけるステップS108の16ms定常処理の一処理として行われ、ステッピングモータ及びソレノイドの駆動処理は図21に示したサブ側タイマ割り込み処理におけるステップS120の2msタイマ割り込み処理の一処理として行われる。
なお、上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199の出力軸側から見て時計方向への回転をCW(Clock Wise)と表記し、反時計方向への回転をCCW(Counter Clock Wise)と表記する。上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199は4相ステッピングモータであり、本実施形態ではバイポーラ駆動方式により制御している。この「バイポーラ駆動方式」とは、ステータコイルの両端に印加する電圧の正負を切り替えて電流の方向を変化させることによりコイルを励磁し、磁界を切り替える方式をいう。
[9−1.16ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理]
16ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理が開始されると、図15に示したサブ統合基板48のサブ統合MPU48aは、図26に示すように、昇降揺動フラグSS−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS160)。この昇降揺動フラグSS−FLGは、ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの進行が終了したか否かを表すフラグであり、ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの進行を終了したとき又はスケジューラを設定していないとき値0、進行中であるとき又はスケジューラを設定したとき値1にそれぞれ設定されている。ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラは、図6に示した、上あご可動体133及び下あご可動体134を可動させる駆動パターンであり、その詳細な説明については後述する。
ステップS160で昇降揺動フラグSS−FLGが値0であるとき、つまりステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの進行を終了したとき又はスケジューラを設定していないときには、上あご可動体133及び下あご可動体134が原位置にある状態か否かを判定する(ステップS162)。この判定は、例えば上あご可動体133の場合では、図9に示した、上あご原位置検出片173がフォトセンサとしての上あご原位置検出スイッチ174で検出されたか否かにより行う。具体的には、上あご原位置検出片173が上あご原位置検出スイッチ174の光軸を遮断した履歴(サンプリング履歴)に基づいて行う。このサンプリング履歴は、図21で示したサブ側タイマ割り込み処理におけるステップS120の2msタイマ割り込み処理の一処理として作成されている。
サンプリング履歴と、図15に示したサブ統合ROM48bに予め記憶された履歴判定値と、が一致しているときには、上あご可動体133が原位置にある状態と判定する。一方、一致していないときには、上あご可動体133が原位置にない状態と判定する。下あご可動体134も同様に、図13に示した、下あご原位置検出片226がフォトセンサとしての下あご原位置検出スイッチ227で検出されたか否かにより行い、下あご原位置検出片226が下あご原位置検出スイッチ1227の光軸を遮断したサンプリング履歴と、サブ統合ROM48bに予め記憶された履歴判定値と、が一致しているときには、下あご可動体134が原位置にある状態と判定する。一方、一致していないときには、下あご可動体134が原位置にない状態と判定する。
ステップS162で上あご可動体133及び下あご可動体134が原位置にある状態のときには、図20に示したリセット処理におけるステップS108の16ms定常処理の一処理として行われたコマンド解析処理の解析結果に基づいて後述するステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの駆動パターンを設定し(ステップS164)、昇降揺動フラグSS−FLGに値1をセットし(ステップS166)、このルーチンを終了する。ステップS166では、ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの進行中であるとして又はスケジューラを設定したとして昇降揺動フラグSS−FLGに値1をセットしている。
一方、ステップS162で上あご可動体133又は下あご可動体134が原位置にない状態のときには、特定演出フラグSP−FLGが値1である否かを判定する(ステップS168)。この特定演出フラグSP−FLGは、図25に示した、おしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出に遷移していないとき値0、それらの演出に遷移しているとき値1にそれぞれ設定されている。
ステップS168で特定演出フラグSP−FLGが値1であるとき、つまりおしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出に遷移しているときには、ステップS164でステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの駆動パターンを設定し、ステップS166で昇降揺動フラグSS−FLGに値1し、このルーチンを終了する。一方、ステップS168で特定演出フラグSP−FLGが値1でない(値0である)とき、つまりおしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出に遷移していないときには、原位置復帰動作処理を行い(ステップS170)、このルーチンを終了する。この原位置復帰処理は、上あご可動体133及び下あご可動体134を原位置に復帰させる処理である。
一方、ステップS160で昇降揺動フラグSS−FLGが値0でない(値1である)とき、つまりステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの進行中であるとき又はスケジューラを設定したときには、そのままこのルーチンを終了する。
[9−2.ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ]
ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラは、図27に示すように、上あご可動体133及び下あご可動体134を可動させる駆動パターンを複数備えている。これらの駆動パターンは、上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199の駆動パルス幅及び回転方向と、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224の駆動ON/OFFと、駆動時間と、を1つの組とするデータを複数備えて構成されており、サブ統合ROM48bに予め記憶されている。データの配列は、データ0,データ1,データ2,・・・,データnという時系列となっている。例えば駆動パターン38のデータ0には、上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199の駆動パルス幅として4ミリ秒(ms)、回転方向としてCWが設定されており、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224の駆動として駆動OFFが設定されている。そしてデータ0の駆動時間は40msに設定されている。図26に示した16ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理におけるステップS164では、この駆動パターン38を、ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの駆動データとして設定する。なお、各駆動パターンのデータ0は、上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199の駆動開始時に当たるため脱調しないように最初の10ステップ、つまり40ms(=4ms×10ステップ)間をスローアップさせるデータとして設定されている。
[9−3.2ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理]
2ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理が開始されると、サブ統合基板48のサブ統合MPU48aは、図28に示すように、アドレスセットフラグST−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS180)。このアドレスセットフラグST−FLGは、上述したスケジューラの駆動データの先頭アドレスがセットされているとき値1、セットされていないとき(セットする準備が整ったとき)値0にそれぞれ設定されている。ステップS180でアドレスセットフラグST−FLGが値0であるとき、つまりスケジューラの駆動データの先頭アドレスがセットされていないときには、スケジューラの駆動パターンの先頭アドレスをセットする(ステップS182)。このスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスは、図26に示した16ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理におけるステップS164で設定したステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの駆動データのデータ0を示す(例えば、図27で示した駆動パターン38のデータ0)。
続いて、スケジューラの駆動パターンの先頭アドレスをセットしたとしてST−FLGに値1をセットし(ステップS184)、このルーチンを終了する。一方、ステップS180でアドレスセットフラグが値0でない(値1である)とき、つまりスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスがセットされているときには、そのままこのルーチンを終了する。
[9−4.2ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ進行処理]
2ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ進行処理が開始されると、サブ統合基板48のサブ統合MPU48aは、図29に示すように、駆動時間が終了したか否かを判定する(ステップS190)。この判定は、ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラパターンに設定された経過時間が経過したか否かにより行う。具体的には、例えば、図27に示した駆動パターン38のデータ0に設定された経過時間40msを、後述するステッピングモータ及びソレノイドの駆動処理における2msタイマ一括減算処理で減算し、その後、値0になった否かにより行う。ステップS190で駆動時間が経過したときには、ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラのデータを1つ進め(例えば、図27に示した駆動パターン38のデータ0からデータ1に進め、ステップS192)、データがあるか否かを判定する(ステップS194)。この判定は、進めたデータに駆動データ終了因子が含まれているか否かにより行う。例えば、図27に示した駆動パターン38のデータ510に駆動データ終了因子が含まれていると、駆動パターン38におけるステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラが終了することを意味する。
ステップS194で駆動データ終了因子が含まれているときには、ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラの進行が終了したとして昇降揺動フラグSS−FLGに値0をセットし(ステップS196)、次のスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスをセットする準備が整ったとしてアドレスセットフラグST−FLGに値0をセットし(ステップS198)、このルーチンを終了する。一方、ステップS190で駆動時間が経過していないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[9−5.ステッピングモータ及びソレノイドの駆動処理]
ステッピングモータ及びソレノイドの駆動処理が開始されると、サブ統合基板48のサブ統合MPU48aは、図30に示すように、2msタイマ一括減算処理を行う(ステップS200)。この2msタイマ一括減算処理では、上述したスケジュールの駆動パターンの駆動時間を2msずつ減算する処理を行う。例えば、図27で示した駆動パターン38のデータ0では、駆動時間40msから2msずつ、38ms、36ms、・・・、そして0msと、この2msタイマ一括減算処理が行われるごとに減算される。ステップS200に続いて、2ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理を行う(ステップS202)。この2ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理では、図28で示したように、上あご昇降ステッピングモータ146、下あご昇降ステッピングモータ199、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224を駆動するスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスをセットする処理を行う。ステップS202に続いて、2msステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ進行処理を行う(ステップS204)。この2msステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ進行処理では、図29に示したように、上あご昇降ステッピングモータ146、下あご昇降ステッピングモータ199、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224をスケジューラの駆動データに基づいて進行する処理を行う。ステップS204に続いて、ステッピングモータ駆動データの作成を行い(ステップS206)、ソレノイド可動範囲であるか否かの判定を行う(ステップS208)。
上あご可動体133及び下あご可動体134が原位置にある状態で上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224を駆動すると、図6に示した可動体ユニットカバー132と干渉する。このため、図31に示すように、原位置からはなれた位置からソレノイド可動範囲が設定されている。このソレノイド可動範囲に上あご可動体133及び下あご可動体134の位置がある状態では、可動体ユニットカバー132との干渉を回避することができる。つまり、原位置及びその近傍において、可動体ユニットカバー132との衝突を回避することができる。上あご可動体133及び下あご可動体134の位置は、上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199のステップ数により把握することができる。上述したステップS208の判定では、このステップ数に基づいて行う。具体的には、ステップカウンタのステップ数により判定する。ステップカウンタは、原位置を0とし、CW方向回転時に1加算され、CCW方向回転時に1減算され、原位置を判定した地点で0設定される。なお、上あご可動体133及び下あご可動体134の可動範囲は可動体可動範囲としてステップ数で管理され、図24に示した、おしゃべりタイム演出及び超おしゃべりタイム演出における上あご可動体133及び下あご可動体134の可動範囲は可動体演出範囲としてステップ数で管理され、図9に示した上あご原位置検出スイッチ174及び図13に示した下あご原位置検出スイッチ227の検出範囲は原位置検出スイッチの検出範囲としてステップ数で管理されている。
図30に戻り、ステップS208でステップ数がソレノイド可動範囲にあるときには、上述したスケジューラの駆動データに基づいてソレノイド駆動データの作成を行い(ステップS210)、一方、ステップS208でステップ数がソレノイド可動範囲にないときには、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224を強制的に駆動OFFにするソレノイド駆動データを作成する(ステップS212)。
ここで、ステッピングモータ駆動データ及びソレノイド駆動データは、それぞれ1バイト、つまり8ビットの情報である。ステッピングモータ駆動データは、上位4ビットと下位4ビットとに駆動するステッピングモータの駆動信号を割り振ることにより1バイトで2台のステッピングモータを駆動する。例えば、ステッピングモータ駆動データの上位4ビットには下あご昇降ステッピングモータ199の駆動信号(励磁信号)が割り振られ、一方、ステッピングモータ駆動データの下位4ビットには上あごステッピングモータ146の励磁信号が割り振られている(図16参照)。ソレノイド駆動データの下位4ビットのうち2ビットには、下あご昇降ステッピングモータ199及び上あご揺動ソレノイド171の駆動信号が割り振られている(図16参照)。
ステップS210又はステップS212に続いて、ソレノイド駆動データを図16に示したランプ駆動基板45に駆動データSS−DATとして出力し(ステップS214)、ステッピングモータ駆動データをランプ駆動基板45に駆動データSS−DATとして出力し(ステップS216)、このルーチンを終了する。
サブ統合MPU48aは、図16に示した上あご及び下あご用シリアル出力送信部48abから転送クロックSS−CLKと同期して、上述したステップS210で駆動データSS−DATとしてのソレノイド駆動データの最上位ビットから最下位ビットまでを順に1ビットずつランプ駆動基板45に出力したのち、続けて、上述したステップS212で駆動データSS−DATとしてのステッピングモータ駆動データの最上位ビットから最下位ビットまでを順に1ビットずつランプ駆動基板45に出力する。
これにより、ソレノイド駆動データは、図16に示した、シリアルパラレル変換部45bを介して、シリアルパラレル変換部45cにシフトされ、ステッピングモータ駆動データはシリアルパラレル変換部45bにシフトされる。シリアルパラレル変換部48b,48cは、図16に示したパラレル出力ポート(出力ポート)48acからラッチ信号SS−LATが入力されると、シリアルパラレル変換部48bは上あご昇降ステッピングモータ146の各相(φ1,φ2,φ3,φ4)及び下あご昇降ステッピングモータの各相(φ1,φ2,φ3,φ4)に駆動信号(励磁信号)を出力し、シリアルパラレル変換部48cは上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224に駆動信号を出力する。
上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199は、励磁信号に応じてCW又はCCWの回転運動を行い、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224は、駆動信号に応じてプランジャによる伸縮運動を行う。
[10.特定演出における上あご可動体及び下あご可動体の可動]
次に、図24に示した、特定演出としてのおしゃべりタイム演出及び超おしゃべりタイム演出における、図6に示した、上あご可動体133及び下あご可動134の可動について説明する。図32は特定演出フラグ設定処理の一例を示すフローチャートであり、図33は特定演出時において出現する上あご可動体及び下あご可動体の位置を示す遊技盤の正面図である。なお、特定演出フラグ設定処理は、図20に示したリセット処理におけるステップS108の16ms定常処理の一処理として行われるが、図4に示した、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99が変動表示開始時に行われ、一つの変動表示に対して一回行われる。
[10−1.特定演出フラグ設定処理]
特定演出フラグ設定処理が開始されると、図15に示した、サブ統合基板48に示したサブ統合MPU48aは、図32に示すように、特定演出が行われているか否かを判定する(ステップS220)。この判定では、図24に示したように、通常演出、スロット演出、ピカピカライト演出、おしゃべりタイム演出そして超おしゃべりタイム演出と遷移する発展演出が特定演出に遷移しているか否かにより行う。ステップS220で発展演出がおしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出に遷移しているときには、背景遷移カウンタBTCが値10でないか否かを判定する(ステップS222)。この背景遷移カウンタBTCは、おしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出において、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99が変動表示した回数をカウントするカウンタである。ステップS222で背景遷移カウンタBTCが値10でないとき、つまり上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99が変動表示した回数の合計が10回に達していないときには特定演出フラグSP−FLGに値1をセットし(ステップS224)、背景遷移カウンタBTCに値1を加算し(ステップS226)、このルーチンを終了する。特定演出フラグSP−FLGは、上述したように、おしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出に遷移していないとき値0、それらの演出に遷移しているとき値1にそれぞれ設定されている。
一方、ステップS220で発展演出がおしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出に遷移していないときには、又はステップS222で背景遷移カウンタBTCが値10であるとき、つまり上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99が変動表示した回数の合計が10回に達したときには、特定演出フラグSP−FLGに値0をセットし(ステップS228)、このルーチンを終了する。
このように、ステップS224で特定演出フラグSP−FLGに値1をセットすると、図26に示した16ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理におけるステップS168の判定によりステップS164でスケジューラの駆動パターンの設定を行い、ステップS166で昇降揺動フラグSS−FLGに値1をセットする。これにより、図30に示したステッピングモータ及びソレノイドの駆動処理によって、上述したスケジューラの駆動データに基づいて、図15に示した、上あご昇降ステッピングモータ146、下あご昇降ステッピングモータ199、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224の駆動制御が行われ、図33に示すように、センター役物装置70の視認できない原位置に待機していた上あご可動体133及び下あご可動体134は、液晶表示器42の表示領域82の前面側に出現して所定間隔まで近づくと、この所定間隔から小刻みに上下方向に移動したり又は上あご可動体133が図8に示した上あご支持シャフト143を回転中心として揺動したり、下あご可動体134が図12に示した下あご支持シャフト196を回転中心として揺動したりする。
一方、ステップS228では、背景遷移カウンタBTCが値10になると、発展演出がおしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出に遷移していても、特定演出フラグSP−FLGに値0をセットする。これにより、図26に示した16ms用ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラ起動処理におけるステップS168の判定によりステップS170で原位置復帰処理を開始する。つまり図33に示す、上あご可動体133及び下あご可動体134は、発展演出がおしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出に遷移していても突然視認できない原位置に復帰する動作を行う。これにより、上あご可動体133及び下あご可動体134の原位置の保証をとっている。なお、この原位置復帰処理は、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99の変動表示開始から停止する間、つまり一回の変動表示中に行われる。その後、背景遷移カウンタBTCに値0をセットすると、特定演出フラグ設定処理におけるステップS220、そしてステップS222の判定によりステップS224で特定演出フラグに値1を再びセットする。これにより、上あご可動体133及び下あご可動体134は再び、図33に示すように、視認できない原位置から表示領域82の前面側に出現して所定間隔まで近づくと、この所定間隔から小刻みに上下方向に移動したり又は上あご可動体133が上あご支持シャフト143を回転中心として揺動したり、下あご可動体134が下あご支持シャフト196を回転中心として揺動したりする。
このように、おしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出では、背景遷移カウンタBTCの値に基づいて特定演出フラグSP−FLGに値0又は値1がセットされる。これにより、おしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出では、上あご可動体133及び下あご可動体134が表示領域82の前面側に出現したり、突然、視認できない原位置に復帰したりする。また、上あご可動体133及び下あご可動体134が表示領域82の前面側に一度出現すると、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99が変動表示した回数の合計が10回に達するまで、それぞれの原位置に復帰することなく出現したままの状態となる。
これにより、特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99が変動表示開始するごとに上あご可動体133及び下あご可動体134の原位置を確認しなくても、表示領域82の前面側に出現したままの状態で連続可動することができる。また、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99が変動表示した回数の合計が10回に達すると、上あご可動体133及び下あご可動体134をそれぞれ原位置に復帰させた後、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99による次の変動表示が開始されると、再び表示領域82の前面側に出現するようにしている。このため、上あご可動体133及び下あご可動体134が互いに衝突しない適度な間隔(所定間隔)を維持することができる。
なお、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99が変動表示した回数の合計が10回に達すると、一旦、上あご可動体133及び下あご可動体134が視認できない原位置に復帰するため遊技者は残念に思うことになるが、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99による次の変動表示が開始され、再び表示領域82の前面側に出現すると、原位置に復帰する前の期待感を継続させることができる。
以上説明した本実施形態のパチンコ機1によれば、センター役物装置70、上始動入賞口83、下始動入賞口84、上特別図柄表示器98、下特別図柄表示器99及び主制御基板50を備えており、センター役物装置70は遊技球が落下する遊技盤4の遊技領域12のほぼ中央に配置されている。主制御基板50は上始動入賞口83又は下始動入賞口84に遊技球が入球したことに基づいて上特別図柄表示器98及び下特別図柄表示器99の変動表示制御を行う。
センター役物装置70には、液晶表示器42、上あご可動体133、下あご可動体134、上あご昇降ステッピングモータ146、下あご昇降ステッピングモータ199、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224が組み付けられている。液晶表示器42は種々の画像を表示し、上あご可動体133及び下あご可動体134は液晶表示器の周囲に収容され、その収容位置(原位置)で待機している。
上あご昇降ステッピングモータ146は原位置から液晶表示器42の表示領域82の前面側に上あご可動体133を出現(移動)させ、上あご揺動ソレノイド171は上あご支持シャフト143を回転中心として上あご可動体133を揺動させる。下あご昇降ステッピングモータ199は原位置から液晶表示器42の表示領域82の前面側に下あご可動体134を出現(移動)させ、下あご揺動ソレノイド224は下あご支持シャフト196を回転中心として下あご可動体134を揺動させる。
パチンコ機1は、サブ統合基板48も備えており、このサブ統合基板48は、上特別図柄表示器98又は下特別図柄表示器99で図柄の変動表示が開始されるごとに主制御基板50から送信された送信情報に基づいて上あご昇降ステッピングモータ146、下あご昇降ステッピングモータ199、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224の駆動制御を行う。
サブ統合基板48は、送信情報から各種コマンドを解析し、解析した遊技演出コマンドがおしゃべりタイム演出又は超おしゃべりタイム演出を示すコマンドであるときにはステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラに従って上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199に駆動信号を出力し、上あご可動体133及び下あご可動体134を原位置から液晶表示器42の表示領域82の前面側に出現させて所定間隔まで近づける。
このとき、上あご可動体133及び下あご可動体134の現在位置がソレノイド可動範囲にあるか否かの判定を行う。上あご可動体133及び下あご可動体134の現在位置がソレノイド可動範囲にあるときには、ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラに従って上あご昇降ステッピングモータ146、下あご昇降ステッピングモータ199、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224に駆動信号を出力し、所定間隔から小刻みに上下方向に移動させたり又は揺動させたりすることでおしゃべりしている口の状態を作り出す。
一方、上あご可動体133及び下あご可動体134の現在位置がソレノイド可動範囲にないときには、ステッピングモータ及びソレノイドのスケジューラに従って上あご昇降ステッピングモータ146及び下あご昇降ステッピングモータ199に駆動信号を出力する一方、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224に駆動信号を出力しないようスケジューラから取得したソレノイド駆動データを強制的に動作不可状態(初期化)にする。このように、上あご揺動ソレノイド171及び下あご揺動ソレノイド224への駆動信号は上あご可動体133及び下あご可動体134がソレノイド可動範囲にあるか否かによって規制されている。したがって、上あご可動体133及び下あご可動体134は、原位置及びその近傍において、揺動運動による可動体ユニットカバー132との衝突を回避することができる。また、別途、特別にステッピングモータの位置を監視するセンサを設けることがないので、不要にセンター役物装置のコストアップをまねいたり、意匠を損なうこともない。
[4.別例]
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、背景遷移カウンタBTCが値10になると、上あご可動体133及び下あご可動体134をそれぞれの原位置に復帰させていたが、リーチ演出になるときに原位置へ復帰させるようにしてもよい。このとき、液晶表示器42の表示領域82で迫力のあるリーチ演出を行うことで遊技者の期待感を維持するとともに上あご可動体133及び下あご可動体134の原位置の保証をとることができる。また、背景遷移カウンタBTCに基づいて原位置の保証をとるものと組み合わせてもよい。こうすれば、遊技者は、表示領域82で表示される迫力あるリーチ演出や上あご可動体133及び下あご可動体134によるおしゃべりしている口の状態を作り出す演出に釘付けになり、遊技者の遊技意欲の低下をより抑制することができるとともに上あご可動体133及び下あご可動体134の原位置の保証をより確実にとることができ、好ましい。
また、上述した実施例では、パチンコ機1を例にとって説明したが、本発明が適用できる遊技機はパチンコ機に限定されるものではなく、パチンコ機以外の遊技機、例えばスロットマシン又はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた融合遊技機(遊技玉を用いてスロット遊技を行うもの。)などにも適用することができる。
1…パチンコ機(パチンコ機)、4…遊技盤(遊技盤)、12…遊技領域(遊技領域)、42…液晶表示器(液晶表示器)、48…サブ統合基板(副制御基板)、50…主制御基板(主制御基板)、70…センター役物装置(センター役物装置)、83…上始動入賞口(始動入賞口)、84…下始動入賞口(始動入賞口)、98…上特別図柄表示器(図柄表示器)、99…下特別図柄表示器(図柄表示器)、133…上あご可動体(可動体)、134…下あご可動体(可動体)、146…上あご昇降ステッピングモータ(第1の電気的駆動源)、171…上あご揺動ソレノイド(第2の電気的駆動源)、199…下あご昇降ステッピングモータ(第1の電気的駆動源)、224…下あご揺動ソレノイド(第2の電気的駆動源)。