JP5071531B2 - 電子部品の温度制御装置並びにハンドラ装置 - Google Patents
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また、電子部品に接触してそれを冷却するヒートシンクの内部に加熱用のヒータを配置した場合、ヒータの第一の面と第二の面の温度差が大きくなり、ヒータがその熱膨張と収縮による応力で破損してしまう場合がある。また、電子部品を検査する際に加える加圧力がすべてヒータに加わることとなり、ヒータのひび割れやヒータとヒートシンク間の接合材がひび割れを起こす不具合がある。
また、特許文献3に記載の圧縮機と凝縮器を備えた冷却システムにおいても、流体流ループの低温側で、露点以下になり、可動部配管に結露が生じる場合がある。
さらに、電子部品を搬送する機能と測定中の電子部品を冷却する機能を一体化したハンドラ装置の測定ハンドにおいて、電子部品を吸着する吸着パットが、熱伝導性を改善するために電子部品上面に塗布された熱伝導性液体を吸込んでしまう不具合もあった。
これによれば、熱伝導ブロックに接触させた電子部品を、冷凍サイクル装置の潜熱を利用して冷却することができるので、大きな液体タンクを用いることなく冷却度を上げることができる。また、冷却液を冷やすための時間も短縮できる。さらに、蒸発器での蒸発により、冷媒が蒸発器設置環境の気温より低温になった場合には、第2加熱器を動作させることで、可動部である蒸発器に繋がる配管の結露を防止することができる。
また、前記第2加熱器が予め定めた温度以上になるのを防止する過昇温防止器を備えるのが好ましい。これにより第2加熱器の過度の温度上昇が防止される。
また、前記第2加熱器の温度を検出する第2温度検出器と、該第2温度検出器の検出値に基づいて前記第2加熱器の動作を制御するコントローラとを備えるのが好ましい。これにより冷媒回収側配管の結露防止を自動制御することが可能となる。なお、このコントローラは第1加熱器の動作を制御するコントローラを利用してもよい。
なお、前記吸着パットは伸縮自在に構成されており、非吸着時には前記吸着パットが伸びた状態でその先端が前記熱伝導ブロックの電子部品接触面より突出した位置にあり、吸着時には前記吸着パットが縮んだ状態へ変化する構造となっているものである。これにより、電子部品と熱伝導ブロックとの間に熱伝導を良好にする熱伝導性液体を滴下した場合にも、その液体を吸着パット内に吸い込むことがない。また、吸着パットを熱伝導ブロックの外周に環状に配置した場合には、熱伝導性液体を吸着パットで囲まれた部分以外に漏らすことも防止できる。
また、前記熱伝導ブロックは前記蒸発器との間で前記第1加熱器を非介在とした部分を有するのが好ましい。電子部品の発熱量の多い部分を、この第1加熱器を非介在とした部分に対応させて接触させることにより、電子部品の冷却を効率よく行うことができる。
なお、前記熱伝導ブロックの前記第1加熱器を非介在とした部分は近傍の前記第1加熱器と断熱材で仕切られているのが好ましい。これにより、熱伝導ブロックの第1加熱器を非介在とした部分では、第1加熱器の影響が低減されて冷却効率が一層向上する。
これにより、電子部品の温度が低下しすぎた場合などにおいて電子部品を加熱する際に、第1加熱器によりに加熱するとともに、冷媒の流れを通常流路からバイパス流路に切り換えて、高圧高温冷媒蒸気を気化器へ導くことにより、効率よく熱伝導ブロックを加熱できる。またこのように加熱時でも冷媒の流れを止めないようにすることにより、圧縮機への負担を減らすことができる。
これにより、冷凍サイクル装置の冷媒の量を常に一定に保つことができ、安定した温度制御が可能となる。
このハンドラ装置により、可動部である蒸発器に繋がる配管の結露を防止することができる。また、冷凍サイクル装置の潜熱を利用して冷却を行うことで、冷却開始までの時間を短縮することができる。また、冷凍サイクル装置を構成する蒸発器と熱伝導ブロックを加熱する第1加熱器との間に隙間を設けたことにより、加圧力や温度差に起因する第1加熱器の破損を抑制することができる。その他、この構成により熱伝導効率が改善されたハンドラ装置、あるいは温度変化に対して応答性のよいハンドラ装置を得ることができる。
図1は本発明の実施形態1に係る電子部品の温度制御装置の全体構成図である。この温度制御装置は、圧縮機1、凝縮器2、膨張器(例えば膨張弁)6及び蒸発器7が配管17,18で繋がれた冷媒の循環回路を備えており、この冷媒循環回路により冷凍サイクル装置が構成されている。このうちの蒸発器7がヒートシンクとして電子部品40の温度制御に直接関与することになる。蒸発器7には、電子部品40と直接接触する熱伝導ブロック9が締結されており、熱伝導ブロック9には、それを加熱するための第1加熱器10や、熱伝導ブロック9の温度を検出する温度検出装置としての第1温度センサ11が組み込まれている。第1温度センサ11はコントローラ(例えばプログラマブルコントローラ)30と接続されており、コントローラ30は第1温度センサ11の検出温度に応じて、第1加熱器10の動作を制御する。なお、電子部品40を蒸発器7に直接接触させるのではなく、熱伝導ブロック9を介して接触させるのは、異なる形状の制御対象電子部品に応じた熱伝導ブロック9を交換して使用することで、蒸発器7と電子部品40との間の熱伝導を電子部品の種類にかかわらず常に良好な状態にして、電子部品40の温度制御を行うためである。
また、第1温度センサ11はかならずしも必須のものではない。その理由は、電子部品40自体が内部に温度センサ相当物を備える場合もあり、その場合には、電子部品40の温度センサ相当物の検出値をコントローラ30にフィードバックすることで、第1加熱器10の動作を制御することができるからである。
なお、蒸発器7、吸着パット8、熱伝導ブロック9、第1加熱器10などから構成される電子部品の冷却に直接関わる部分を、以下では「電子部品冷却部」と称する。
なお、第2加熱器12が蒸発器7と近い距離に設けられた場合には、第2加熱器12の熱が蒸発器7に影響しないように、第2加熱器12と蒸発器7の間の配管部に断熱材21を設けるのが好ましい。その場合、図2に示すように蒸発器7に接して断熱材21を設けてもよい。
熱伝導ブロック9の温度は第1温度センサ11からコントローラ30にフィードバックされ、電子部品40の温度が低下しすぎた場合には、コントローラ30が第1加熱器10を動作させて熱伝導ブロック9を加熱し、それにより電子部品40の温度を上昇させる。以上のようにして電子部品40の温度制御が実行される。また、電子部品40を高温に保持する場合にも、第1温度センサ11を動作させて電子部品40を所定の温度にする。
なお、電子部品40の温度が低下しすぎた場合などにおいて、電子部品40を加熱する際には、第1加熱器10に電流を流すとともに、電磁弁5をOFFにして冷媒の流路を遮断して熱伝導ブロック9を加熱すると、電子部品40の温度上昇に要する時間が短縮できる。
なお、回収側の配管18の結露を防止するための加熱に関しては、温度精度を要求しないので、第2加熱器12の制御はサーモスタットや温度ヒューズなど過昇温防止器での温度管理でも十分である。ただし、第1加熱器10と同様の制御、すなわち第2加熱器12の近傍に第2温度センサ13を配置し、その検出値をコントローラ30にフィードバックして、コントローラ30により第2加熱器12を制御してもよい。さらに、過昇温防止器と第2温度センサ13の両方を備えるようにしてもよい。
蒸発器7と熱伝導ブロック9はごく薄い熱伝導材料(熱伝導グリス、熱硬化型樹脂、シリコンオイルなどの液体であって200℃未満で気化しない液体)を介在して、ねじなどで締結される。これにより、蒸発器7と熱伝導ブロック9とが確実に密着し、蒸発器7と熱伝導ブロック9との間の熱伝導性が向上する。なお、熱伝導ブロック9は電子部品40の形状などに応じて交換して使用される。
また、図2に示すように、第1加熱器10は熱伝導ブロック9より平面積が小さくされて、蒸発器7と熱伝導ブロック9との間に配置され、かつ蒸発器7と隙間20を介して配置されている。これにより、電子部品40をテスタの検査ソケットに押し付けて電気的に接続する場合に、コンタクト圧力が第1加熱器10に直接加わらなくなり、第1加熱器10がひび割れたり、接合材がひび割れたりすることがない。
また、温度制御対象の電子部品40がマルチコアタイプで発熱箇所が複数箇所ある場合には、電子部品40の温度をそれらの複数箇所で監視すべく、第1温度センサ11と第1加熱器10をそれぞれ複数個装着するのが好ましい。高速化、高集積化されたCPUなどでは非常に熱密度が高く、電子部品の表面では温度勾配ができるため、電子部品40の発熱するエリアを分けて個々に温度制御することにより、温度勾配を減らすと共に、電子部品40が局所的に高温になって破損する不具合を対策することができる。
電子部品40を熱伝導ブロック9に圧接するための吸着パット8は、吸着パット8内で真空引きが行われていない間は、先端が熱伝導ブロック9の電子部品接触面より突出した状態となっている。電子部品40を吸着する際には、吸着パット8の先端がその電子部品40の上面に接触する位置まで、吸着パット8を含む電子部品冷却部を降下させる。そして、吸着パット8の先端が電子部品40の上面に接触したら、吸着パット8内で真空引きを行って、吸着パット8に電子部品40を吸着させる。この真空引きに伴って、伸縮性を有する吸着パット8が電子部品40を吸着させた状態で縮む。電子部品40を単に搬送するだけの目的であれば、吸着パット8は電子部品40を吸着保持できるだけでよいが、電子部品40を温度制御することまで考慮した場合には、吸着パット8による電子部品40の吸引時に、電子部品40が熱伝導ブロック9に圧接するようにするのが好ましい。
なお、ここで使用される液体熱伝導材料50は熱伝導性に優れ、しかも電気的に絶縁性を有するもの(気抵抗が1×1010Ω以上)である。このようなものとして、例えばフッ素系不活性液体が市販されている。
また、回収側の配管18を常に常温または室温以上とすることで、冷媒を必ず気化させることができるので、その場合にはアキュムレータが不要で、コンプレッサの弁などの損傷を防ぐこともできる。
図4は本発明の実施形態2に係る電子部品の温度制御装置の全体構成図である。実施形態2の温度制御装置は、図1の温度制御装置に、圧縮機1から凝縮器2を経由しないで膨張器6へと繋がるバイパス流路22を備え、さらに圧縮機1から凝縮器2を経由して膨張器6へ流れる通常流路(配管17による流路)とバイパス流路22とを選択的に切り換える流路切換器である電磁弁23,24を備えている点で、実施形態1と相違している。
このように選択的に利用可能なバイパス流路22を備えたことで、電子部品40の温度が低下しすぎた場合などにおいて電子部品を加熱する際に、第1加熱器10によりに加熱するとともに、冷媒を凝縮器2を通さないで圧縮機1から膨張器6に流れるバイパス流路22に切り換え、高圧高温冷媒蒸気を蒸発器7へ導くことにより、効率的に熱伝導ブロック9を加熱することが可能となる。またこのように加熱時でも冷媒の流れを止めないようにすることにより、圧縮機1への負担を減らすことができる。
さらに、電磁弁5,23,24や圧力調整弁26は、同様の作用を果たす他の機器、例えば流量制御装置などで代用してもよい。
図5は本発明の実施形態3に係るハンドラ装置の構成図である。このハンドラ装置は、電子部品(デバイスを含む)を所定の温度に保持して、ハンドラ装置とは別体のテスタに押圧し、電子部品の特性検査を行うことが可能な電子部品のハンドリング装置である。このハンドリング装置は、検査対象である電子部品の温度制御のために、実施形態1または実施形態2で説明した温度制御装置を備える。なお、図5で表されている符号1,2,17,18は実施形態1または実施形態2の同じ符号に対応する。また、図5で表されている測定ロボット部60を構成する測定ハンド60Aが、実施形態1または実施形態2の電子部品冷却部に対応している。以下では、検査対象の電子部品をIC(ただし図示せず)として実施形態3のハンドラ装置を利用したICの検査工程を説明する。
Claims (11)
- 圧縮機、凝縮器、膨張器及び蒸発器を循環する冷媒流路を有した冷却サイクル装置と、
前記蒸発器に結合され前記電子部品と接触可能な面を有する熱伝導ブロックと、
前記熱伝導ブロックを加熱する少なくとも1つの第1加熱器と、
前記蒸発器から前記圧縮機へ戻る配管を加熱する第2加熱器と、
を備え、
前記蒸発器と前記熱伝導ブロックが熱伝導性液体を介在して締結され、
前記第1加熱器は前記熱伝導ブロックより平面積が小さくされて、前記蒸発器と前記熱伝導ブロックとの間に配置され、かつ前記蒸発器と隙間を介して配置されている電子部品の温度制御装置。 - 圧縮機と、
凝縮器と、
膨張器と、
蒸発器と、
前記圧縮機、前記凝縮器、前記膨張器及び前記蒸発器に接続された冷媒流路と、
特性検査される電子部品と接触可能な面を有し、前記蒸発器と結合された熱伝導ブロックと、
前記蒸発器と前記熱伝導ブロックの間に配置された熱伝導性材料と、
前記熱伝導ブロックを加熱する第1加熱器と、
前記蒸発器と前記圧縮機を接続する配管を加熱する第2加熱器と、
を備え、
前記第1加熱器は前記熱伝導ブロックに収容され、かつ前記蒸発器とは隙間を介して配置されている
電子部品の温度制御装置。 - 前記熱伝導ブロックの温度を検出する第1温度検出器と、該第1温度検出器の検出値に基づいて前記第1加熱器の動作を制御するコントローラとを備えた請求項2に記載の電子部品の温度制御装置。
- 前記蒸発器と前記第2加熱器との間の配管部に断熱材が配置された請求項2又は3に記載の電子部品の温度制御装置。
- 前記第2加熱器が予め定めた温度以上になるのを防止する過昇温防止器を備えた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品の温度制御装置。
- 前記第2加熱器の温度を検出する第2温度検出器と、該第2温度検出器の検出値に基づいて前記第2加熱器の動作を制御するコントローラとを備えた請求項2〜5のいずれか1項に記載の電子部品の温度制御装置。
- 前記熱伝導ブロックは前記蒸発器との間で前記第1加熱器を非介在とした部分を有する請求項2〜6のいずれか1項に記載の電子部品の温度制御装置。
- 前記熱伝導ブロックの前記第1加熱器を非介在とした部分は、近傍の前記第1加熱器と断熱材で仕切られている請求項7記載の電子部品の温度制御装置。
- 前記圧縮機から前記凝縮器を経由しないで前記膨張器へ繋がるバイパス流路を備え、さらに前記圧縮機から前記凝縮器を経由して前記膨張器へ繋がる通常流路と前記バイパス流路とを選択的に切り換える流路切換器を備えた請求項2〜8のいずれか1項に記載の電子部品の温度制御装置。
- 前記冷媒流路に接続された冷媒供給源と、前記冷媒流路と前記冷媒供給源との接続流路に配置された圧力調整器とを備え、前記圧力調整器は、前記冷媒流路の圧力が低下した場合には前記冷媒供給源から冷媒を前記冷媒流路に供給し、前記冷媒流路の圧力が上昇した場合には前記冷媒流路から冷媒を前記冷媒供給源に回収するものである請求項2〜9のいずれか1項に記載の電子部品の温度制御装置。
- 電子部品を保持して該電子部品を所定位置に位置決めするロボットハンドを備えたハンドラ装置において、請求項2〜10のいずれか1項に記載の温度制御装置を備え、その蒸発器及び熱伝導ブロックを含む電子部品冷却部を前記ロボットハンドの電子部品保持部に配置したハンドラ装置。
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