JP5040538B2 - 電子部品の温度制御装置、電子部品の温度制御方法及びicハンドラ - Google Patents

電子部品の温度制御装置、電子部品の温度制御方法及びicハンドラ Download PDF

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Description

本発明は、電子部品の温度制御装置、電子部品の温度制御方法及びICハンドラに関するものである。
ICなどの電子部品は、その電気的な特性をICハンドラなどによって検査されるとともに、その検査で得られた検査結果に基づいて良品であるか否かを判定される。電子部品の電気的な特性の検査には、電子部品を所定の温度に保持した状態で検査をする温度負荷試験がある。温度負荷試験は、正確な温度(温度負荷)下で電子部品の検査を行なう検査であることから、検査中において電子部品が検査に基づく自己発熱によって温度変化することは好ましくない。そのため、温度負荷試験において、ICハンドラは、電子部品の温度を正確な温度に維持するために、電子部品に対して電子部品の自己発熱による温度変化に対応した温度の補完を行なう必要がある。近年では、パソコンのCPUに代表されるように、電子部品の高速化、高集積化、微細化が進み、電子部品の発熱量がますます増大する傾向にあるため、電子部品の温度を正確な温度に維持して検査できるようにする高いレベルの温度制御技術が求められている。
そこで、検査において電子部品を冷却及び加熱して電子部品の温度を正確な温度に維持する方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1は、電子部品の上面に電気ヒータの下面を結合させ、そのヒータの上面には内部を冷媒が循環するヒートシンクの下面を結合させた。それによって、電子部品は、ヒートシンクに冷媒が循環されると冷却され、電気ヒータが発熱すると加熱されるようにした。
しかし、ヒートシンクを冷却するためには、多量の冷媒を事前に冷却する時間が必要であった。また、電気ヒータは、電子部品の加熱とともに冷却されたヒートシンクも加熱するため、電子部品の加熱に多くの時間を必要としていた。逆に、ヒートシンクは、電子部品を冷却する前に加熱されたヒートシンク自身を冷却するため、電子部品の冷却にも多くの時間を必要としていた。すなわち、電子部品の加熱や冷却が遅れて、電子部品を目標温度にする際の応答性が悪い問題があった。さらに、電気ヒータは、直に電子部品に接触するため、電子部品への押圧力が直接加わり、その押圧力によって損傷を生じるおそれがあった。
そこで、冷却部を冷媒の気化熱で冷却するとともに電気ヒータを電子部品に直接接触させない方法が提案されている(特許文献2)。特許文献2は、電子部品の上面に冷媒の蒸発熱で冷却される冷却部の下面を結合して、冷却部の上面には電気ヒータを結合した。それにより、冷媒を事前に冷却する時間を無くすとともに、電子部品を押圧する力が電気ヒータに直接加わらないようにした。
特表2001−526837号公報 特表2004−527764号公報
しかしながら、特許文献2は、冷却を止めた状態から冷却を開始する場合には、冷媒を流動させて、その流動した冷媒が冷却部において蒸発する必要があった。そのため、冷媒を流動させてから冷却部が冷却されるまでに若干の時間を要し、電子部品の冷却が遅れていた。また、加熱する場合には、電気ヒータは冷却部も加熱するため、電子部品の加熱にも時間を要していた。すなわち、電子部品の冷却にも加熱にも遅れが生じ、電子部品を目
標温度にする際の応答性が悪かった。
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、冷却及び加熱の応答性の高い電子部品の温度制御装置、電子部品の温度制御方法及びICハンドラを提供することにある。
本発明の電子部品の温度制御方法は、熱伝導部材の上面に対して接離可能に配置された冷媒の蒸発により冷却される蒸発器を設けるとともに、前記熱伝導部材に当接されて電力によって発熱するヒータを設け、検査用ソケットに配置された電子部品を前記熱伝導部材の下面にて押圧して、該電子部品に当接した前記熱伝導部材の温度を、所定の目標温度と温度センサから取得した該電子部品の温度とに基づいて、前記蒸発器の接離位置と前記ヒータの発熱温度を調整し該熱伝導部材の温度を前記電子部品に伝達して該電子部品を前記目標温度にする電子部品の温度制御方法であって、前記目標温度よりも前記電子部品の温度が低いことを検出したとき、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させるピストンロッドの力を、前記蒸発器と前記熱伝導部材との間の圧縮空気の空気圧による前記蒸発器を前記熱伝導部材から離間させる力よりも弱くして、前記蒸発器と前記熱伝導部材とを離間させてから、前記ヒータへ電力を供給して前記電子部品を加熱することを特徴とする。
本発明の電子部品の温度制御方法によれば、ヒータが熱伝導部材を介して電子部品を加熱する際には、蒸発器が熱伝導部材から離間して熱的に分離されるため、ヒータが発生する熱は蒸発器に奪われることが無い。従って、ヒータによる電子部品の加熱を素早く行うことができる。また、蒸発器はヒータに加熱されないため、電子部品を冷却する場合には電子部品を素早く冷却することができる。
また、蒸発器と熱伝導部材とを接触させるピストンロッドはバネなどと異なり押圧力を無力にすることができるので、ピストンロッドが蒸発器と熱伝導部材との離間を妨げる虞を減らすことができる。従って、圧縮空気の空気圧によって素早く蒸発器と熱伝導部材とを離間させることができ、熱伝導部材及び電子部品をヒータにより素早く加熱することができる。
その結果、素早い加熱により電子部品に対して応答性の高い温度制御を行うことができる。
本発明の電子部品の温度制御方法は、熱伝導部材の上面に対して接離可能に配置された冷媒の蒸発により冷却される蒸発器を設けるとともに、前記熱伝導部材に当接されて電力によって発熱するヒータを設け、検査用ソケットに配置された電子部品を前記熱伝導部材の下面にて押圧して、該電子部品に当接した前記熱伝導部材の温度を、所定の目標温度と温度センサから取得した該電子部品の温度とに基づいて、前記蒸発器の接離位置と前記ヒータの発熱温度を調整し該熱伝導部材の温度を前記電子部品に伝達して該電子部品を前記目標温度にする電子部品の温度制御方法であって、前記目標温度よりも前記電子部品の温
度が高いことを検出したとき、前記ヒータへの電力の供給を停止してから、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させるピストンロッドの力を、前記蒸発器と前記熱伝導部材との間の圧縮空気の空気圧による前記蒸発器を前記熱伝導部材と離間させる力よりも強くして、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させて該電子部品を冷却することを特徴とする。
本発明の電子部品の温度制御方法によれば、ヒータへの電力の供給を停止させることにより発熱を停止させて、熱伝導部材を蒸発器により冷却した。従って、蒸発器の熱がヒータに奪われることが無い。従って、蒸発器による電子部品の冷却を素早く行うことができる。
また、空気圧により素早く動作するピストンロッドの駆動により蒸発器を熱伝導部材に
素早く接触させることで、熱伝導部材及び電子部品を蒸発器により素早く冷却することができる。
その結果、素早い冷却により電子部品に対して応答性の高い温度制御を行うことができる。
この電子部品の温度制御方法は、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させる時には、前記蒸発器を前記冷媒により冷却しておくことが望ましい。
本発明の電子部品の温度制御方法によれば、蒸発器は熱伝導部材に接触させる時には冷却されている。従って、電子部品を冷却する際には、蒸発器を熱伝導部材に接触させることで、電子部品を素早く冷却することができる。そのため、冷却液で冷却させる場合などのような、停止させていた冷媒を流動させることによる遅れが生じない。その結果、さらに素早い冷却により電子部品に対してより応答性の高い温度制御を行うことができる。
本発明の電子部品の温度制御装置は、熱伝導部材の上面に対して接離可能に配置された冷媒の蒸発により冷却される蒸発器を設けるとともに、前記熱伝導部材に当接されて電力によって発熱するヒータを設け、検査用ソケットに配置された電子部品を前記熱伝導部材の下面にて押圧して、該電子部品に当接した前記熱伝導部材の温度を、所定の目標温度と温度センサから取得した該電子部品の温度とに基づいて、前記蒸発器の接離位置と前記ヒータの発熱温度を調整し該熱伝導部材の温度を前記電子部品に伝達して該電子部品を前記目標温度にする電子部品の温度制御装置であって、前記熱伝導部材と前記蒸発器との間にそれらを離間させる第1の空気圧を供給する第1の空気圧回路と、前記蒸発器を前記熱伝導部材に対して接離可能に駆動するピストンロッドと、前記ピストンロッドのキャップ側に該ピストンロッドにて前記蒸発器を第1の空気圧に抗して前記熱伝導部材と接触させる第2の空気圧を供給する第2の空気圧回路と、を備えていることを特徴とする。
本発明の電子部品の温度制御装置によれば、蒸発器を熱伝導部材から離間させることができる。従って、温度制御装置は、電子部品を加熱する場合には、ヒータの発生する熱が蒸発器に奪われることが無いように蒸発器を熱伝導部材から離間して熱的に分離させことができる。蒸発器が熱伝導部材から離間されることで、熱伝導部材及び電子部品はヒータにより素早く加熱されるようにすることができる。
また、空気圧により素早く動作するピストンロッドの駆動により蒸発器を熱伝導部材に素早く接触させることで、熱伝導部材及び電子部品を蒸発器により素早く冷却することができる。
その結果、温度制御装置は、素早い加熱及び冷却により電子部品に対して応答性の高い温度制御を行うことができる。
この電子部品の温度制御装置は、前記蒸発器の周囲には、該蒸発器を外部から断熱するための断熱筒を備えたことが望ましい。
この電子部品の温度制御装置によれば、蒸発器は断熱筒によって外気と分離される。従って、蒸発器の多く熱(低温)を熱伝導部材に伝えることができるとともに、蒸発器の冷気をできるだけ外部に触れさせないようすることができる。その結果、蒸発器が電子部品を冷却する能力を高くすることができるとともに、蒸発器や断熱筒の周囲に生ずる結露を低減することができる。
この電子部品の温度制御装置は、前記ヒータは、前記熱伝導部材の内部に配置されることが好適である。
この電子部品の温度制御装置によれば、電子部品を押圧する際に、ヒータが直接電子部
品に対する押圧力を受けないので、電子部品への押圧によりヒータが破損することを防ぐことができる。従って、好適に電子部品の温度制御を行うことができる。
この電子部品の温度制御装置は、前記熱伝導部材は、前記蒸発器に対向する熱伝導ブロックと、前記電子部品に対向する対物ブロックとからなり、前記ヒータは、前記熱伝導ブロックと前記対物ブロックとの間に配置されることが好ましい。
この電子部品の温度制御装置によれば、ヒータは、熱伝導ブロックと対物ブロックとの間に配置されるので、ヒータの交換を容易にすることができる。
この電子部品の温度制御装置は、前記蒸発器と前記熱伝導部材の間には、熱伝導維持部材を備えることが好適である。
この電子部品の温度制御装置によれば、熱伝導部材と蒸発器との間に熱伝導維持部材を設けた。従って、熱伝導維持部材を介して蒸発器の熱(低温)を熱伝導部材に、すなわち、電子部品に伝達するようにできた。その結果、電子部品を素早く冷却することができる。
この電子部品の温度制御装置は、前記蒸発器を前記熱伝導部材の上面に接触させるために前記第2の空気圧に基づいて前記ピストンロッドが前記蒸発器を移動させる力は、前記第1の空気圧に基づいて前記蒸発器と前記熱伝導部材とが離間する力よりも強くしてもよい。
この電子部品の温度制御装置によれば、ピストンロッドが蒸発器を熱伝導部材の上面に移動させる力は、蒸発器と熱伝導部材とを離間させる力よりも強い。従って、第1の空気圧を常時供給しておけば、第2の空気圧の供給により蒸発器と熱伝導部材とを接触させることができ、大気圧の供給により蒸発器と熱伝導部材とを離間させることができる。その結果、空気の圧力を第2の空気圧と大気圧との間で切り替える簡単な構造で蒸発器と熱伝導部材との接触、分離を容易に切り替えることができる。
この電子部品の温度制御装置は、前記ピストンロッドを駆動するための空気圧を受ける前記ピストンロッドの受圧面の面積と前記第2の空気圧との積は、前記蒸発器と前記熱伝導部材とを離間するための空気圧を受ける前記蒸発器の受圧面の面積と前記第1の空気圧との積よりも大きいことが好適である。
この電子部品の温度制御装置によれば、ピストンロッドや蒸発器の大きさに関わらず、蒸発器と熱伝導部材との接触、分離を切り替えるために好適な第2の空気圧、及び第1の空気圧の空気を供給することができる。
この電子部品の温度制御装置は、前記熱伝導部材は、該熱伝導部材の下面に形成された凹部と、前記凹部の内部に配設され、該凹部の開口部の方向から与えられた押圧に対する弾性力を与圧する弾性部材とを備え、前記温度センサは、前記凹部の内側面には接しないとともに該凹部の深さよりも短い長さを有し、該温度センサの先端部を該凹部から前記熱伝導部材の下面から突出するように前記弾性部材に支持されていて、前記熱伝導部材と前記電子部品との接触により該凹部内に格納されると前記弾性部材を押圧して、押圧に対抗する前記弾性部材の弾性力によって該電子部品へ押圧されるようにしてもよい。
この電子部品の温度制御装置によれば、温度センサは、凹部よりも高さが低い。従って、熱伝導部材が電子部品と接触して、温度センサが熱伝導部材の凹部に格納されても、温度センサは熱伝導部材に接しない。その結果、温度センサは、弾性部材で押圧される電子部品の温度を好適に計測することができる。
この電子部品の温度制御装置は、前記第1の空気圧回路は、常に前記第1の空気圧を供給し、前記電子部品の温度制御装置は、前記電子部品の温度が前記目標温度よりも低いことを検出する低温検出手段と、前記第2の空気圧回路からピストンロッドのキャップ側に大気圧を供給させることで前記第1の空気圧により前記蒸発器と前記熱伝導部材とを分離させてから、前記ヒータへ電力を供給して該電子部品を加熱する加熱用処理手段とを備え、前記低温検出手段が前記電子部品の温度が前記目標温度よりも低いことを検出したとき、前記加熱用処理手段により該電子部品を加熱することが好適である。
この電子部品の温度制御装置によれば、蒸発器を熱伝導部材から離間させてからヒータを加熱するので、ヒータの発生する熱が蒸発器に奪われることが無く、熱伝導部材及び電子部品はヒータにより素早く加熱されるようにすることができる。従って、素早い加熱により電子部品に対して応答性の高い温度制御を行うことができる。
この電子部品の温度制御装置は、前記第1の空気圧回路は、常に前記第1の空気圧を供給し、前記電子部品の温度制御装置は、前記電子部品の温度が前記目標温度よりも高いことを検出する高温検出手段と、前記ヒータへの電力の供給を停止してから、前記第2の空気圧回路からピストンロッドのキャップ側に第2の空気圧を供給させることで前記蒸発器と前記熱伝導部材とを接触させてから、該電子部品を冷却する冷却用処理手段とを備え、前記高温検出手段が前記電子部品の温度が前記目標温度よりも高いことを検出したとき、前記冷却用処理手段により該電子部品を冷却することが好適である。
この電子部品の温度制御装置によれば、蒸発器を熱伝導部材から離間させてからヒータを加熱するので、ヒータの発生する熱が蒸発器に奪われることが無く、熱伝導部材及び電子部品はヒータにより素早く加熱されるようにすることができる。従って、素早い加熱により電子部品に対して応答性の高い温度制御を行うことができる。
本発明のICハンドラは、電子部品の検査装置に測定ロボットにて保持した電子部品を配置して、該電子部品の温度を所定の目標温度にしながら該電子部品の電気的な検査を行なうICハンドラであって、前記測定ロボットの先端部に上記に記載の電子部品の温度制御装置を備え、前記温度制御装置にて前記電子部品を前記目標温度にすることを特徴とする。
本発明のICハンドラによれば、温度制御装置の蒸発器を熱伝導部材から離間させることができる。従って、ICハンドラは、電子部品を加熱する場合には、ヒータの発生する熱が蒸発器に奪われることが無いように蒸発器を熱伝導部材から離間して熱的に分離させことができる。蒸発器が熱伝導部材から離間されることで、熱伝導部材及び電子部品はヒータにより素早く加熱されるようにすることができる。
また、温度制御装置は、空気圧により素早く動作するピストンロッドの駆動により蒸発器を熱伝導部材に素早く接触させることで、熱伝導部材及び電子部品を蒸発器により素早く冷却することができる。
その結果、ICハンドラは、素早い加熱及び冷却により電子部品に対して応答性の高い温度制御を行うことができる。
本発明の電子部品の温度制御方法は、電子部品に当接する熱伝導部材と、前記熱伝導部材に対して接離可能に配置された蒸発器と、前記熱伝導部材に当接されるヒータと、前記電子部品の温度を検出し前記電子部品を所定の温度に制御する制御回路を有し、前記制御回路が前記所定の温度よりも前記電子部品の温度が低いことを検出したとき、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させる力を、前記蒸発器と前記熱伝導部材との間の圧縮空気の空気圧による前記蒸発器を前記熱伝導部材から離間させる力よりも弱くして、前記蒸発器と前記熱伝導部材とを離間させてから、前記ヒータへ電力を供給して前記電子部品を加熱することを特徴とする。
本発明の電子部品の温度制御方法によれば、ヒータが熱伝導部材を介して電子部品を加熱する際には、蒸発器が熱伝導部材から離間して熱的に分離されるため、ヒータが発生する熱は蒸発器に奪われることが無い。従って、ヒータによる電子部品の加熱を素早く行うことができる。また、蒸発器はヒータに加熱されないため、電子部品を冷却する場合には電子部品を素早く冷却することができる。その結果、素早い加熱により電子部品に対して応答性の高い温度制御を行うことができる。
本発明の電子部品の温度制御方法は、電子部品に当接する熱伝導部材と、前記熱伝導部材に対して接離可能に配置された蒸発器と、前記熱伝導部材に当接されるヒータと、前記電子部品の温度を検出し前記電子部品を所定の温度に制御する制御回路を有し、前記制御回路が前記所定の温度よりも前記電子部品の温度が高いことを検出したとき、前記ヒータへの電力の供給を停止してから、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させる力を、前記蒸発器と前記熱伝導部材との間の圧縮空気の空気圧による前記蒸発器を前記熱伝導部材と離間させる力よりも強くして、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させて前記電子部品を冷却することを特徴とする。
本発明の電子部品の温度制御方法によれば、ヒータへの電力の供給を停止させることにより発熱を停止させて、熱伝導部材を蒸発器により冷却した。従って、蒸発器の熱がヒータに奪われることが無いため、蒸発器による電子部品の冷却を素早く行うことができる。その結果、素早い冷却により電子部品に対して応答性の高い温度制御を行うことができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。図1は、ICハンドラ10を示す平面図である。
ICハンドラ10は、ベース11、安全カバー12、高温チャンバ13、供給ロボット
14、回収ロボット15、第1シャトル16、第2シャトル17、複数のコンベアC1〜C6を備えている。
ベース11は、その上面に前記各要素を搭載している。安全カバー12は、ベース11の大きな領域を囲っていて、この内部には、供給ロボット14、回収ロボット15、第1シャトル16及び第2シャトル17が収容されている。
複数のコンベアC1〜C6は、その一端部側が、安全カバー12の外側に位置し、他端部が安全カバー12の内側に位置するように、ベース11に設けられている。各コンベアC1〜C6は、電子部品などのICチップTを複数収容したトレイ18を、安全カバー12の外側から安全カバー12の内側へ搬送したり、反対に、トレイ18を、安全カバー12の内側から安全カバー12の外側へ搬送したりする。
供給ロボット14は、X軸フレームFX、第1のY軸フレームFY1及び供給側ロボットハンドユニット20により構成されている。回収ロボット15は、該X軸フレームFX、第2のY軸フレームFY2及び回収側ロボットハンドユニット21により構成されている。X軸フレームFXは、X方向に配置されている。第1のY軸フレームFY1及び第2のY軸フレームFY2は、Y方向に沿って互いに平行となるように配置され、前記X軸フレームFXに対して、X方向に移動可能に支持されている。そして、第1のY軸フレームFY1及び第2のY軸フレームFY2は、X軸フレームFXに設けた図示しないそれぞれのモータによって、該X軸フレームFXに沿ってX方向に往復移動する。
第1のY軸フレームFY1の下側には、供給側ロボットハンドユニット20がY方向に移動可能に支持されている。供給側ロボットハンドユニット20は、第1のY軸フレームFY1に設けた図示しないそれぞれのモータによって、該第1のY軸フレームFY1に沿ってY方向に往復移動する。そして、供給側ロボットハンドユニット20は、例えば、コンベアC1のトレイ18に収容された検査前のICチップTを、例えば、第1シャトル16に供給する。
第2のY軸フレームFY2の下側には、回収側ロボットハンドユニット21がY方向に移動可能に支持されている。回収側ロボットハンドユニット21は、第2のY軸フレームFY2に設けた図示しないそれぞれのモータによって、該第2のY軸フレームFY2に沿ってY方向に往復移動する。そして、回収側ロボットハンドユニット21は、例えば、第1シャトル16に供給された検査後のICチップTを、例えば、コンベアC6のトレイ18に供給する。
ベース11の上面であって、供給ロボット14と回収ロボット15の間には、第1のレール24A及び第2のレール24BがそれぞれX軸方向に平行して配設されている。第1のレール24Aには、第1シャトル16がX軸方向に往復動可能に備えられている。また、第2のレール24Bには、第2シャトル17がX軸方向に往復動可能に備えられている。
第1シャトル16は、X軸方向に長い略板状のベース部材16Aを備えていて、その底面の図示しないレール受けによって第1のレール24Aに摺接されている。そして、第1シャトル16に設けた図示しないモータによって、第1のレール24Aに沿って往復動される。ベース部材16Aの上面の両端には、それぞれチェンジキット25,27がネジなどで交換可能に固着されて、各チェンジキット25,27の各ポケット26にICチップTを保持するようになっている。
第2シャトル17は、X軸方向に長い略板状のベース部材17Aを備えていて、その底
面の図示しないレール受けによって第2のレール24Bに摺接されている。そして、第2シャトル17に設けた図示しないモータによって、第2のレール24Bに沿って往復動される。ベース部材17Aの上面の両端には、それぞれチェンジキット25,27がネジなどで交換可能に固着されて、各チェンジキット25,27の各ポケット26にICチップTを保持するようになっている。
ベース11の上面であって、第1及び第2シャトル16,17との間には、検査装置を構成する検査用ソケット23が設けられている。各検査用ソケット23は、ポケット26に収容されたICチップTが装着される。
第1及び第2シャトル16,17と検査用ソケット23との上方には、各シャトル16,17と検査用ソケット23との間でICチップTを相互に搬送する、Y方向に移動可能な測定ロボット22が設けられている。
測定ロボット22の下部には、温度制御装置としての測定ハンド22Aが測定ロボット22に対して上下動可能に保持されている。測定ハンド22Aは、その底面にICチップTを吸着把持するとともに、測定ロボット22に対して下方に移動されることでICチップTを検査用ソケット23に押圧するようになっている。
詳述すると、各シャトル16,17によって供給されたICチップTは、測定ロボット22の測定ハンド22Aによって取得され、検査用ソケット23の直上位置に配置される。その後、ICチップTは、測定ロボット22の下動により検査用ソケット23にはめ込まれる。検査用ソケット23にはめ込まれたICチップTは、さらに、測定ハンド22Aの下動によって下方に移動されて、ICチップTの各接続端子が、上方から検査用ソケット23の接触端子と当接しスプリングピンを下方に押し下げることによって、該検査用ソケット23に装着される。
そして、検査用ソケット23に装着されたICチップTは電気的検査が行われる。検査が終了すると、検査用ソケット23に装着されたICチップTは、測定ハンド22Aの上動によって上方に移動されて、測定ロボット22によって、検査用ソケット23から抜き取られて、回収側のチェンジキット27の対応するポケット26の直上位置に配置される。その後、ICチップTは、測定ロボット22によって下方に移動され、対応する回収側のチェンジキット27のポケット26に収容されるようになっている。これらの動作を、各シャトル16,17により供給されたICチップTが無くなるまで繰り返すようになっている。
測定ハンド22Aは、図2(a),(b)に示すように、その上部に略円板形状の上部フレーム30を備えている。上部フレーム30は、上部を測定ロボット22の下部に設けられた図示しない押圧装置の下方(先端)に接続保持されている。従って、押圧装置の先端が下方に延出された場合には、上部フレーム30は、測定ロボット22に対して相対的に下方に移動されるようになっている。上部フレーム30の中央には、その上面から下面へ貫通した連通孔30Aが形成されている。
上部フレーム30の下面には、下方に開口部を有する複数の、例えば、3つのシリンダ室30Bが凹設されていて(図2においては1つのみ図示)、それぞれのシリンダ室30Bには、それぞれのシリンダ室30Bを上下方向に摺動可能にそれぞれピストンロッドを構成する押圧ピストン31が格納されている。
押圧ピストン31は、ヘッド側(図において下部)には凸状の押圧部31Aを有し、押圧部31Aとは反対側であるキャップ側(図において上部)には平坦な受圧面を有し、て
いる。押圧ピストン31は、図2(a)に示すように、シリンダ室30Bに格納されると、押圧部31Aを上部フレーム30の下面から突出しないようになっている。一方、押圧ピストン31は、図2(b)に示すように、その受圧面を押圧されてシリンダ室30Bの下方に移動されと、押圧部31Aを上部フレーム30の下面から突出するようになっている。押圧ピストン31の外周面に形成された凹部には、気密用のパッキン31Bが嵌めこまれていて、気密用のパッキン31Bは、シリンダ室30Bの内周面と押圧ピストン31の間の気密を保ちながら押圧ピストン31とともにシリンダ室30Bの内周面を上下方向に摺動可能に構成されている。
シリンダ室30Bのキャップ側(図において上側)には、上部フレーム30の上面まで連通する給気孔30Cが上部フレーム30に形成されている。給気孔30Cには、ジョイント32を介して給気管32Aの終端が密着接続されている。そして、シリンダ室30Bのキャップ側には、給気管32Aを通じて外部から圧縮空気が供給されるようになっている。給気管32Aの始端は、図4に示すように、第2の空気圧回路を構成する電磁弁AR3及び第1及び第2の空気圧回路を構成するドライヤAR2を介して第1及び第2の空気圧回路を構成する空気圧源AR1に接続されている。電磁弁AR3は、電磁弁AR3を開くと給気管32Aへ第2の空気圧の圧縮空気を供給し、電磁弁AR3を閉じると給気管32Aへ供給した第2の空気圧の圧縮空気を大気に開放するようになっている。
従って、押圧ピストン31は、電磁弁AR3が閉じて給気管32Aから第2の空気圧の圧縮空気がシリンダ室30Bのキャップ側に供給されると、押圧ピストン31の受圧面は、圧縮空気の第2の空気圧により下方に押圧される。そして、押圧ピストン31は、シリンダ室30Bの内周面を下方に摺動して、その押圧部31Aを上部フレーム30の下面から突出するようになっている。尚、本実施形態では、押圧ピストン31は、圧縮空気が供給されると、その押圧部31Aを高速で突出するピストン、例えば、タッピングピストンである。
上部フレーム30の下面には、上部フレーム30の外周と略同じ大きさの外周を有する円筒形状の断熱筒33が固着されている。断熱筒33内には、略円柱形状の蒸発器35が上下方向に摺動可能に嵌合されている。蒸発器35は、上下方向の長さを断熱筒33の上下方向の長さよりも低く形成されていて、断熱筒33の円筒内部を断熱筒33の上端面と下端面との間を摺動できるようになっている。
蒸発器35の上部には、上部フレーム30の連通孔30Aを貫通し上部フレーム30の上面を突出する凸部35Aが形成されている。
断熱筒33と蒸発器35の間には、気密用のパッキン33Bが、断熱筒33の内側面に形成された凹部に嵌めこまれている。パッキン33Bは、パッキン33Bの接する蒸発器35の側面の位置を境に、蒸発器35の上下における空気の流動を遮断するとともに、蒸発器35の側面が摺動可能になっている。
断熱筒33の一側壁には、上面と下面との間を貫通する給気孔33Cが形成されている。給気孔33Cの下部終端は、断熱筒33の内側面まで延出形成されている。給気孔33Cの始端は、上部フレーム30に形成された給気孔30Dと接続されている。給気孔30Dは上部フレーム30の上面から下面に向かって貫通形成されている。
給気孔30Dには、ジョイント36を介して給気管36Aの終端が密着接続され、給気管36Aを通じて外部から圧縮空気が供給されるようになっている。給気管36Aの始端は、図4に示すように、第1の空気圧回路を構成する空圧レギュレータAR4及びドライヤAR2を介して空気圧源AR1に接続されている。空圧レギュレータAR4は、その出力端の空気圧を所定の一定の圧力に維持する装置であって、本実施形態では、空圧レギュ
レータAR4の出力端からは、一定の第1の空気圧の圧縮空気が給気管36A(給気孔33C)へ常時供給されるようになっている。
断熱筒33の下面には、断熱筒33の外周と略同じ大きさの略円板形状に形成された熱伝導部材を構成する熱伝導ブロック37が気密固着されている。熱伝導ブロック37は、熱伝導性の良好な金属、例えば、銅から形成されている。熱伝導ブロック37の上面であって、蒸発器35に対向する面には、熱伝導維持部材38が設けられている。熱伝導維持部材38は、ごく薄い熱伝導材料、例えば、熱硬化性樹脂や熱伝導グリス、シリコンオイルなどから形成されている。熱伝導維持部材38は、蒸発器35と熱伝導ブロック37の間の熱抵抗となる空気層を少なくして、蒸発器35と熱伝導ブロック37の間の熱伝導を良くするために用いられるもので、その厚みは蒸発器35と熱伝導ブロック37とが互いに対向させるそれぞれの面の平坦度や面粗度に準じて設定される。尚、本実施形態では、熱伝導維持部材38の厚みは100μmとしている。
すなわち、蒸発器35は、その下面と熱伝導維持部材38との間に給気孔33Cから一定の第1の空気圧の圧縮空気が常時供給されるようになっている。そして、蒸発器35は、その下面、すなわち、熱伝導維持部材38と対向する面である底面に受ける圧縮空気の第1の空気圧により断熱筒33の内周面を摺動して上部フレーム30の方向に移動して、蒸発器35の上面が断熱筒33の上端面、すなわち、上部フレーム30の下面に接する位置まで移動するようになっている。尚、本実施形態では、蒸発器35が上部フレーム30に接する位置まで移動した場合に、蒸発器35の底面と熱伝導維持部材38との間は600μm離間する、すなわち、600μmの空気層が形成されるようになっている。
ところで、空圧レギュレータAR4が供給する圧縮空気の第1の空気圧は、その第1の空気圧に基づいて蒸発器35を押し上げる力が、第2の空気圧の圧縮空気が供給された押圧ピストン31が蒸発器35を下方に押圧する力よりも小さくなるように設定されている。すなわち、少なくとも、蒸発器35の底面(受圧面)の面積と第1の空気圧との積よりも、3つの押圧ピストン31の受圧面の面積の和と第2の空気圧との積が大きくなるように、第1の空気圧は、第2の空気圧に対して空圧レギュレータAR4によって調整されている。
蒸発器35は、押圧ピストン31に第2の空気圧の圧縮空気が供給され、同押圧ピストン31により上面が押圧されて下方に移動する。そして、蒸発器35は、蒸発器35の底面が熱伝導維持部材38に接する位置まで、移動するようになっている。熱伝導維持部材38に接した蒸発器35の底面は、熱伝導維持部材38により、蒸発器35の熱を熱伝導ブロック37に好適に伝導するようになっている。
例えば、蒸発器35と熱伝導ブロック37との間に100度の温度差があるとする。このときに、熱伝導率8W/(m・K)の熱伝導グリスを用いた熱伝導維持部材38に蒸発器35の底面を接した場合、10平方mmが伝える熱は800W(=8×(10mm)^2/(100μm)×100度)となる。一方、蒸発器35の底面と熱伝導維持部材38との間に600μmの空気層が形成されている場合、空気の熱伝導率は0.0241W/(m・K)であることから、10平方mmが伝える熱は0.40W(=0.0241×(10mm)^2/(600μm)×100度)となる。このことからも、蒸発器35の底面は、熱伝導維持部材38を介して熱伝導ブロック37に好適に熱を伝導することができることが分かる。
熱伝導ブロック37の下面の中央位置には、電気ヒータ39が密着固定されている。電気ヒータ39は、電力を与えると発熱するものであって、例えば、アルミナヒータ、チッ化アルミヒータ、チッ化珪素ヒータ、炭化珪素ヒータ、チッ化硼素ヒータなどから形成さ
れる。
熱伝導ブロック37及び電気ヒータ39の下面には、熱伝導ブロック37の外周と略同じ外周を有する円板形状に形成された熱伝導部材を構成する対物ブロック40が密着固定されている。対物ブロック40は、検査対象であるICチップTの上面に直接に接触する。対物ブロック40は、熱伝導ブロック37と同様に、熱伝導性の良好な金属、例えば、銅から形成されている。対物ブロック40は、測定ハンド22AからICチップTへの押圧力を受けるとともに、測定ハンド22AからICチップTへの押圧力が電気ヒータ39に直接加わることを防いで、電気ヒータ39の接合部に内部クラックが生じることや電気ヒータ39が破損することを防止している。
対物ブロック40の底面には、図示しない、ICチップTを対物ブロック40に吸着把持するための複数の真空吸着パッドが備えられている。ICチップTは、真空吸着パッドにより測定ハンド22A、すなわち、測定ロボット22の下面に吸着把持される。
対物ブロック40には、図3に示すように、ICチップTの上面と接触する部分の所定の位置に、対物ブロック40を上下方向に貫通する貫通孔40Aが形成されている。貫通孔40Aは、電気ヒータ39側に(図において上側)に上側開口部を有し、ICチップT側(図において下側)に下側開口部を有している。下側開口部は、四角形状に形成されおり、上側開口部は、下側開口部よりも左右に広く形成されている。すなわち、下側開口部から上側開口部までの間に、貫通孔40Aの内側面の左右には、それぞれ傾斜面40L,40Rが形成されている。
貫通孔40Aが形成する内側の空間には、貫通孔40Aを左右に横切る弾性部材としての板バネ41が掛け渡されている。板バネ41は、その中央部に保持部41Aを備えるととともに、その左右両端にそれぞれ支持部41L,41Rを有している。支持部41Lは、貫通孔40Aの傾斜面40Lに、支持部41Rは、貫通孔40Aの傾斜面40Rに、それぞれ連結されている。従って、板バネ41は、貫通孔40Aの内側の空間に支持部41L,41Rにより支持されながら、保持部41Aを電気ヒータ39側(図において上側)に押圧されると、その押圧とは反対のICチップT側(図において下側)に弾性力を付与するようになっている。
板バネ41の保持部41Aには、温度センサ42が挟持されている。温度センサ42は、その内部に白金抵抗体などの温度検出部材を有している。温度センサ42は、その計測面42Aが対物ブロック40の下面よりも下方に突出するように、板バネ41により保持されている。これにより、対物ブロック40がICチップTに接触したときに、温度センサ42の計測面42Aは、ICチップTの上面により上方に押圧され、押圧に対向する板バネ41の弾性力によりICチップTの上面へ押し付けられるようになっている。
また、温度センサ42は、その高さを対物ブロック40の厚みよりもわずかに小さく形成されていて、対物ブロック40の下面と同じ位置まで計測面42Aが貫通孔40Aを上方に押し込まれても、貫通孔40Aを通過して対物ブロック40の上面側に突出せず、熱伝導ブロック37には接触しないようになっている。尚、本実施形態では、温度センサ42の高さは、対物ブロック40の厚みよりも50μm低く形成されている。従って、温度センサ42は、対物ブロック40や熱伝導ブロック37とは離間され、対物ブロック40や熱伝導ブロック37からの熱の影響を低減して、板バネ41で押圧されるICチップTの上面の温度を好適に高い精度で計測することができる。
次に、図4を参照して、冷却サイクル装置について説明する。図4は、冷却サイクル装置を説明するための説明図である。蒸発器35には、その凸部35Aの上部に、冷媒供給
配管48及び冷媒回収配管49が接続されている。
冷媒供給配管48は、圧縮機51から凝縮器52、熱交換器53、受液器54、フィルタドライヤ55及び膨張器56を順番に通った冷媒(供給冷媒)を蒸発器35に供給する。つまり、蒸発器35は、膨張器56にて低圧液体と蒸気とを混合された状態にされた供給冷媒を冷媒供給配管48から供給される。
一方、冷媒回収配管49は、蒸発器35において蒸発した冷媒などの回収冷媒を回収配管加熱器57、熱交換器53、アキュムレータ58を順番に介して圧縮機51に回収される。すなわち、蒸発器35は、その内部で冷媒供給配管48から供給された供給冷媒を蒸発させて、その供給冷媒が蒸発する際の気化熱により冷却されるようになっている。そして、蒸発器35は、蒸発器35の内部で蒸発した冷媒などの回収冷媒を冷媒回収配管49にて回収されるようになっている。
圧縮機51は、冷媒を高温高圧の蒸気の供給冷媒にして凝縮器52に供給する。凝縮器52は、圧縮機51から供給される高温高圧蒸気の供給冷媒を常温高圧の液体に凝縮する。熱交換器53は、凝縮器52で凝縮された供給冷媒の高い温度を圧縮機51に回収される回収冷媒に与えるととともに、回収冷媒の低い温度を凝縮器52で凝縮された供給冷媒に与える。受液器(ストレーナ)54は、凝縮器52の後に配設されて、凝縮器52により液化された供給冷媒の液体を一時的に貯えるもので、蒸発器35内の冷媒量の変化を吸収して凝縮器52などの動作への影響を小さくするための容器である。
フィルタドライヤ55は、供給冷媒に含まれている水分を取り除いて、供給冷媒に含まれた水分が膨張器56を構成するキャピラリーチューブの細い穴に凍り付いて塞ぐことを防ぐ。これにより、膨張器56内で水分が氷結して、膨張器56内における供給冷媒の流が滞ることを防ぐようになっている。フィルタドライヤ55には、フロンのように水を溶解しない冷媒に含まれる水分を取り除くための水分吸着剤、例えば、シリカゲル、ソバビード、モレキュラシープなどの乾燥剤が用いられる。膨張器56は、供給冷媒を低圧の液体と気体の混合した流体である供給冷媒(混合冷媒)にする。冷媒供給配管48は、膨張器56からの混合冷媒(供給冷媒)を蒸発器35に供給する。蒸発器35は、その内部で供給された混合冷媒(供給冷媒)を蒸発させて、混合冷媒の蒸発に伴う気化熱により冷却されるようになっている。
ところで、高い熱量のICチップTを検査する場合は、ICチップTの激しい温度変化に対応して、ICチップTを素早く冷却するには大きな冷却能力を必要とし、蒸発器35の温度をICチップTを検査するよりも大幅に低い温度に、例えば、ICチップTを検査する温度よりも100度以上低い温度にする必要がある。
例えば、ICチップTの内部温度Tjと、ICチップTの表面温度Tcとの間の熱抵抗は0.1〜0.3度/W程度である。また、ICチップTを検査用ソケット23に押し付けて検査する測定ハンド22Aの対物ブロック40の下面温度ThとICチップTの表面温度Tcとの間には、接触面の密着具合によりミクロ的な空気層によって熱抵抗を有し、その熱抵抗は大きい場合に0.2度/W程度である。すなわち、ICチップTの内部温度Tjと対物ブロック40の下面温度Thの熱抵抗は最大で0.5度/Wとなる。このような条件でICチップTの内部に200Wの発熱がある場合に、そのICチップTの内部温度Tjを維持するには、ICチップTを冷却する下面温度Thは、内部温度Tjよりも100度(=200W×0.5度/W)低い必要がある。例えば、200Wの発熱をするICチップTの内部温度Tjを80度に維持したい場合には、ICチップTを冷却する下面温度Thはマイナス20度にする必要がある。
蒸発器35にて蒸発された冷媒(回収冷媒)は、冷媒回収配管49を通って再び圧縮機51に回収される。冷媒回収配管49には、回収配管加熱器57が備えられている。回収配管加熱器57は、冷媒回収配管49の蒸発器35から所定の距離、例えば、回収配管加熱器57が加熱した冷媒回収配管49の熱が蒸発器35に略伝わらない距離だけ離れた位置に備えられている。回収配管加熱器57は、ニクロム線ヒータ、カートリッジヒータ、シリコンラバーヒータ、シーズヒータ、セラミックヒータなどで構成されている。そして、回収配管加熱器57は、冷媒回収配管49を通過する回収冷媒を加熱することで、低温の回収冷媒が冷媒回収配管49を露点以下の温度に冷却して、冷媒回収配管49の周囲に結露を生じるおそれを低減している。
例えば、ICハンドラ10の周囲は温度20度、湿度50%とすると露点は9.3度となるが、回収配管加熱器57は、冷媒回収配管49が露点(9.3度)以下の温度になり結露を生じることや、さらには、氷点以下の温度になり霜を生じることを防いでいる。回収配管加熱器57を用いない場合には、冷媒回収配管49などに断熱材を巻くなどの結露対策を施すが、冷媒回収配管49に設けられる可動部は、その可動部の耐久性が屈曲により劣化することを避けるため断熱材を厚くすることができず、結露を防ぐことは難しかった。そこで、回収配管加熱器57により冷媒回収配管49を加熱することで、冷媒回収配管49の可動部の断熱材を薄くして又は無くして、可動部の耐久性の向上させることができる。
回収配管加熱器57には、サーモスタット57Aが取り付けられている。サーモスタット57Aは、回収配管加熱器57が予め定めた温度以上になると電力の供給を強制的に遮断して、回収配管加熱器57が予め定めた温度以上になることを防止する。また、回収配管加熱器57には、加熱器温度センサ57Bが取り付けられている。回収配管加熱器57により暖められた冷媒回収配管49を通った回収冷媒は、熱交換器53において供給冷媒の高い温度により温められ、アキュムレータ58に供給される。
アキュムレータ58は、回収冷媒に含まれる蒸発器35で蒸発し切れなかった冷媒の液体分を分離する液分離器である。アキュムレータ58は、回収冷媒から冷媒の液体分を取り除くことで、圧縮機51が液体を吸入して弁や弁蓋などを損傷することを防いでいる。
このことにより、ICチップTの電気的検査を行なう場合には、蒸発器35を短時間、例えば2分程度で冷却できるようにした。ところで、ICチップTを冷却する方法には、ICチップTを冷却液で冷却する方法も知られているが、冷却液を用いる場合には、冷却システム装置の経路を流れる以上の冷却液をタンクに用意して、そのタンクの冷却液を所定の温度まで冷やす必要がある。その温度は、例えば、発熱が著しいICチップTを冷却する場合には、0度以下の温度となり、ICチップTの電気的検査を行なう前に、冷却液を冷却するための時間、例えば、1時間以上の時間を要していた。
また、冷却サイクル装置には、フィルタドライヤ55の出力側の配管から分岐されて熱交換器53の手前で冷媒回収配管49に接続されるバイパス配管59が備えられている。バイパス配管59は、フィルタドライヤ55を通過した供給冷媒の一部を熱交換器53の手前で回収冷媒に混合させるようになっている。バイパス配管59には、冷媒回収配管49と接続され手前に、膨張器67が備えられている。膨張器67は、キャピラリーチューブを有し、フィルタドライヤ55の出力側からバイパス配管59に導かれてきた供給冷媒を、低圧液体と蒸気とを混合された状態(混合冷媒)にする。すなわち、バイパス配管59は、膨張器67にて供給冷媒を混合冷媒にして、その混合冷媒を冷媒回収配管49の回収冷媒に混合させるようになっている。
バイパス配管59から回収冷媒に混合された混合冷媒は、アキュムレータ58にて気化
して、回収配管加熱器57の加熱により温度上昇した回収冷媒を冷却させる。回収冷媒の温度が供給冷媒の冷却により低下することで、回収冷媒を高温高圧の蒸気の供給冷媒にする圧縮機51の温度上昇を抑制して、圧縮機51の寿命を長くする事ができる。
次に、上記のように構成したICハンドラ10の測定ハンド22Aの温度調節に関する電気的構成を図5に従って説明する。
ICハンドラ10は、図5に示すように、高温検出手段、低温検出手段、加熱用処理手段及び冷却用処理手段としての制御装置60を備えている。
制御装置60には、CPU(中央演算装置)、ROM及びRAMが備えられている。そして、制御装置60のCPUは、ROMやRAMに記憶された各種データ及び各種制御プログラムに従って各種処理などを実行する。尚、本実施形態では、ROMやRAMに記憶された各種データ、各種制御プログラム及び所定の条件に基づいて電子部品の温度制御、すなわち、蒸発器35による電子部品の冷却用処理や電気ヒータ39による電子部品の加熱用処理を行なう。
制御装置60は、電気ヒータ駆動回路61と電気的に接続されている。電気ヒータ駆動回路61は、制御装置60から入力された電気ヒータ制御信号61Cに基づいて生成した駆動電流61Dを電気ヒータ39に供給して同電気ヒータ39を駆動制御する。
制御装置60は、回収配管加熱器駆動回路62と電気的に接続されている。回収配管加熱器駆動回路62は、制御装置60から入力された回収配管加熱器制御信号62Cに基づいて生成した駆動電流62Dによりを回収配管加熱器57に供給して同回収配管加熱器57を駆動制御する。また、制御装置60は、回収配管加熱器駆動回路62を介して加熱器温度センサ57Bによって検出された回収配管加熱器57の温度信号62Tを入力する。制御装置60は、入力された温度信号62Tから、回収配管加熱器57の温度を算出するようになっている。そして、制御装置60は、算出された回収配管加熱器57の温度が、所定の温度よりも高い場合には駆動電流の供給を停止する値「0」の回収配管加熱器制御信号62Cを回収配管加熱器駆動回路62に出力して、回収配管加熱器57による加熱を停止するようになっている。反対に、算出された回収配管加熱器57の温度が所定の温度よりも低い場合には、制御装置60は、回収配管加熱器57の温度と所定の温度との差に基づいた電流量の値を示す回収配管加熱器制御信号62Cを回収配管加熱器駆動回路62に出力して、回収配管加熱器57の加熱を行なうようになっている。
制御装置60は、電磁弁駆動回路63と電気的に接続されている。電磁弁駆動回路63は、制御装置60から入力された電磁弁制御信号63Cに基づいて電磁弁AR3を駆動制御する。
制御装置60は、温度センサ42と電気的に接続されている。制御装置60は、温度センサ42から入力される温度信号42Tから、ICチップTの表面温度Tcを算出するようになっている。
制御装置60は、入出力装置65と電気的に接続されている。制御装置60は、入出力装置65からICハンドラ10がICチップTを検査するための各種データDT等を入力されてRAMに保存する。また、制御装置60は、ICハンドラ10の各種状態を示す表示信号PSを入出力装置65に出力する。入出力装置65は、表示信号PSに基づいて、表示装置66にICハンドラ10の各種状態を外部に通知するための表示をさせるようになっている。
次に、上記のように構成したICハンドラ10において、ICチップTの温度制御を図
6及び図7に示すICチップTの温度制御の手順を示すフローチャート図に従って説明する。
今、RAMのメモリには、通常はLレベルでICチップTの検査中だけHレベルに設定される検査中フラグ用のアドレス、ICチップTの電気的検査項目ごとに変更される目標温度の値が格納されるアドレスが確保され、所定の値が格納されているものとする。また、本実施形態では、蒸発器35は、常に冷媒(混合冷媒)が供給されていて、常に冷却されている。
蒸発器35を常に冷却する他にも、ICチップTの冷却には、ICチップTの冷却が必要なときに、計量バルブを調整して冷媒を流して蒸発器35を冷却する方法もある。しかし、計量バルブを調整し冷媒を流して冷却する方法では、発熱量が高く(例えば、250W)温度変化の早い(例えば、0.2秒で10度の温度上昇)ICチップTの温度上昇に比べて、蒸発器35の冷却が遅れる、すなわち、ICチップTの冷却に遅れが生じていた。そこで、蒸発器35を常に冷却しておくことで、蒸発器35の冷却に要する時間を無くして、ICチップTを好適に温度制御できるようにしている。
ICハンドラ10にてICチップTの電気的特性の検査が開始されると、制御装置60は、検査中フラグを参照してICチップTが検査中かどうかを判断する(ステップS1)。検査中フラグがHレベルでありICチップTの検査中である場合(ステップS1でYES)、制御装置60は、ICチップTを加熱する必要があるかどうかを判断する(ステップS2)。
詳述すると、制御装置60は、温度センサ42からの温度信号42Tから算出されるICチップTの表面温度Tcが、RAMに格納された目標温度の値よりも低いかどうかを判断する。ICチップTの表面温度Tcが目標温度よりも低いため、ICチップTを加熱する必要がある場合(ステップS2でYES)、制御装置60は、電子部品の加熱用処理を行なう(ステップS3)。
電子部品の加熱用処理では、制御装置60は、図7(a)に示すように、電磁弁AR3が閉じているかどうかを判断する(ステップS3−1)。電磁弁AR3が閉じていない場合(ステップS3−1でNO)、制御装置60は、電磁弁AR3を閉じる(ステップS3−2)。ここで、電磁弁AR3が閉じていない場合とは、電磁弁AR3が開いて押圧ピストン31のキャップ側に第2の空気圧の圧縮空気が供給されて、押圧ピストン31の押圧部31Aが蒸発器35を熱伝導維持部材38に接触させて、熱伝導ブロック37、電気ヒータ39及び対物ブロック40を介してICチップTを冷却している場合である。
そこで、制御装置60は、電磁弁AR3を閉じて押圧ピストン31のキャップ側には大気圧を供給し、蒸発器35を第1の空気圧の圧縮空気によって上方に移動させて、蒸発器35と熱伝導維持部材38とを離間させ、ICチップTの冷却を中止させる。
蒸発器35がICチップTを冷却させる能力は、蒸発器35が熱伝導維持部材38と離間した場合の熱伝導率が、蒸発器35が熱伝導維持部材38と接触した場合の熱伝統率と比較して非常に小さいため、大きく低下する。そのため、蒸発器35と熱伝導維持部材38とが離間した場合は、ICチップTの温度制御においては、蒸発器35によってICチップTの温度制御ができない状態、すなわち、蒸発器35とICチップTを熱的に分離した状態にすることができる。
また、蒸発器35とICチップTを熱的に分離することで、電気ヒータ39の発生する熱が蒸発器35に奪われないので、電気ヒータ39によるICチップTの加熱を素早く行
うことができる。逆に、蒸発器35は電気ヒータ39により加熱されないので、蒸発器35の温度を低温のまま保持しておくことができ、ICチップTを冷却する場合には、素早くICチップTの冷却を行なえるようにできる。
蒸発器35が電気ヒータ39やICチップTと熱的に結合されなくなった場合、すなわち、電磁弁AR3が閉じられている場合(ステップS3−1でYES)、もしくは、電磁弁AR3を閉じた場合、制御装置60は、電気ヒータ39が加熱されているかどうかを判断する(ステップS3−3)。
そして、蒸発器35が電気ヒータ39やICチップTと熱的に結合されなくなった状態において電気ヒータ39が加熱されていない場合(ステップS3−3でNO)、制御装置60は、電気ヒータ39を加熱する(ステップS3−4)。電気ヒータ39が加熱されている場合(ステップS3−3でYES)、もしくは、電気ヒータ39を加熱したら、ICチップTは、電気ヒータ39により加熱されるので、制御装置60は、電子部品の加熱用処理を終了する。
電子部品の加熱処理を終了すると、制御装置60は、再びICチップTが検査中かどうかの判断をして(ステップS1)、それ以降のステップを繰り返す。
一方、ICチップTの表面温度Tcが目標温度よりも高いために加熱が不要な場合(ステップS2でNO)、制御装置60は、ICチップTを冷却する必要があるかどうかを判断する(ステップS4)。
詳述すると、制御装置60は、温度センサ42からの温度信号42Tから算出されるICチップTの表面温度Tcが、RAMに格納された目標温度の値よりも高いかどうかを判断する。ICチップTの表面温度Tcが目標温度よりも高くて、ICチップTを冷却することが必要な場合(ステップS4でYES)、制御装置60は、電子部品の冷却用処理を行なう(ステップS5)。
電子部品の冷却用処理では、制御装置60は、図7(b)に示すように、電気ヒータ39が停止しているかどうかを判断する(ステップS5−1)。電気ヒータ39が停止していない場合(ステップS5−1でNO)、制御装置60は、電気ヒータ39を停止する(ステップS5−2)。
電気ヒータ39が停止している場合(ステップS5−1でYES)、もしくは、電気ヒータ39を停止した場合、制御装置60は、電磁弁AR3が開いているかどうかどうかを判断する(ステップS5−3)。すなわち、電気ヒータ39が停止しているとともに、電磁弁AR3が開いていて蒸発器35が電気ヒータ39やICチップTと熱的に結合しているか否かを判断する。
そして、蒸発器35が電気ヒータ39やICチップTと熱的に結合されていない場合、すなわち、電磁弁AR3が開いていない場合(ステップS5−3でNO)、制御装置60は、電磁弁AR3を開く(ステップS5−4)。電磁弁AR3が開かれると、常時冷却されている蒸発器35が熱伝導維持部材38に接触して、直ちにICチップTの冷却が開始される。電磁弁AR3が開いている場合(ステップS5−3でYES)、ICチップTは、蒸発器35によって冷却されるので、制御装置60は、電子部品の冷却用処理を終了する。
電子部品の冷却処理を終了すると、制御装置60は、再びICチップTが検査中かどうかの判断をして(ステップS1)、それ以降のステップを繰り返す。
また、ICチップTの表面温度Tcが目標温度よりも低いために冷却が不要な場合(ス
テップS4でNO)、制御装置60は、加熱冷却停止用処理を行なう(ステップS6)。詳述すると、制御装置60は、電気ヒータ39が加熱している場合は電気ヒータ39を停止させる、又は、蒸発器35が熱伝導維持部材38と接触している場合は電磁弁AR3を閉じて蒸発器35を熱伝導維持部材38から離間させる。すなわち、ICチップTを、電気ヒータ39による加熱が行なわれないようにするとともに、蒸発器35による冷却が行なわれないようにして、制御装置60は、加熱冷却停止用処理を終了する。
加熱冷却停止用処理を終了すると、制御装置60は、再びICチップTが検査中かどうかの判断をして(ステップS1)、それ以降のステップを繰り返す。
そして、検査中フラグがHレベルではない場合、すなわち、ICチップTが検査中ではない場合(ステップS1でNO)、制御装置60は、ICチップTの温度制御を終了する。
次に、本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、蒸発器35には常に冷媒を供給した。従って、ICチップTを蒸発器35と熱的に結合させることにより、ICチップTを蒸発器35により直ちに冷却できる。その結果、冷却によりICチップTを目標温度へ変化させる場合の応答性を高くすることができる。
また、ICチップTを蒸発器35と熱的に結合させる場合には、電気ヒータ39を停止させた。従って、蒸発器35によりICチップTを冷却する際の熱的な障害を無くすことができる。その結果、冷却によりICチップTを目標温度へ変化させる場合の応答性をより高くすることができる。
(2)本実施形態によれば、ICチップTを加熱する場合は、熱伝導維持部材38と蒸発器35とを離間させた。従って、電気ヒータ39が発生する熱が蒸発器35に奪われないので、電気ヒータ39によるICチップTの加熱を素早く行うことができる。その結果、加熱によりICチップTを目標温度へ変化させる場合の応答性を良くすることができる。
また、熱伝導維持部材38と蒸発器35との離間により、蒸発器35は電気ヒータ39により加熱されないので、蒸発器35の温度を低温のまま保持しておくことができる。従って、蒸発器35がICチップTを冷却する場合に、蒸発器35自身の冷却には時間を要さず、素早くICチップTの冷却を行なえる。その結果、冷却によりICチップTを目標温度へ変化させる場合の応答性をより高くすることができる。
(3)本実施形態によれば、押圧ピストン31を設けた。従って、押圧部31Aは、押圧ピストン31のキャップ側に供給される第2の空気圧により素早く突出して、蒸発器35を熱伝導維持部材38に接触させることができる。また、押圧部31Aが蒸発器35を押圧する力は、押圧ピストン31のキャップ側を大気圧にすることで素早く無力にされて、蒸発器35を第1の空気圧により素早く熱伝導維持部材38から離間させることができる。その結果、ICチップTの加熱及び冷却の応答性を高くすることができる。
(4)本実施形態によれば、蒸発器35を断熱筒33内に設けた。従って、蒸発器35は断熱筒33によって外気と分離される。それにより、蒸発器35の冷気をできるだけ外部に触れさせないようにすることができる。その結果、蒸発器35や断熱筒33の周囲に生じる結露を低減することができる。
(5)本実施形態によれば、測定ハンド22Aは、ICチップTを対物ブロック40にて押圧した。従って、測定ハンド22AがICチップTを検査用ソケット23へ押圧する
力によって電気ヒータ39の接合部に内部クラックが生じることや電気ヒータ39が破損することを防ぐことができる。
(6)本実施形態によれば、電気ヒータ39は、熱伝導ブロック37と対物ブロック40の間に配設された。従って、電気ヒータ39を容易に交換することができる。
(7)本実施形態によれば、熱伝導ブロック37と蒸発器35の間に熱伝導維持部材38を設けた。従って、熱伝導維持部材38を介して蒸発器35の低温の温度を熱伝導ブロック37に、すなわち、ICチップTに伝達するようにできる。その結果、ICチップTを素早く冷却することができる。
(8)本実施形態によれば、空圧レギュレータAR4が供給する圧縮空気の第1の空気圧は、第1の空気圧に基づく蒸発器35を押し上げる力が、第2の空気圧の圧縮空気が供給された押圧ピストン31が蒸発器35を押圧する力よりも小さくなるように設定されている。従って、第1の空気圧の圧縮空気を常時供給しておけば、第2の空気圧の圧縮空気の供給により蒸発器35と熱伝導維持部材38とを接触させることができ、大気圧の空気の供給により蒸発器35と熱伝導維持部材38とを離間させることができる。その結果、空気の圧力を第2の空気圧と大気圧とを電磁弁AR3で切換える簡単な構造で蒸発器35と熱伝導維持部材38との接触、分離を容易に切り替えることができる。
(9)本実施形態によれば、温度センサ42は、貫通孔40Aよりも高さが低い。従って、対物ブロック40がICチップTの上面と接触して、温度センサ42が対物ブロック40の貫通孔40Aに格納されても、温度センサ42は対物ブロック40や熱伝導ブロック37に接しない。その結果、温度センサ42は、対物ブロック40や熱伝導ブロック37からの熱の影響を低減して、板バネ41で押圧されるICチップTの上面の温度を好適に高い精度で計測することができる。
(10)本実施形態によれば、冷媒回収配管49に回収配管加熱器57を設けた。従って、冷媒回収配管49によって回収される冷媒を暖めて、冷媒回収配管49などに結露が生じるおそれを低減することができる。
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
・上記実施形態では、部品の加熱に電気ヒータ39を用いたが、ヒータは電気ヒータに限らない。
・上記実施形態では、冷媒回収配管49は、冷媒を蒸発器35から回収配管加熱器57まで案内した。しかし、これに限らず、冷媒回収配管49の蒸発器35と回収配管加熱器57との間に断熱性能を有する配管を用いてもよい。そうすれば、回収配管加熱器57の高い温度が蒸発器35に伝達することを防止して、蒸発器35の冷却力を高く維持することができる。
・上記実施形態では、温度センサ42の高さは、対物ブロック40の厚みよりも50μm低く形成した。しかし、これに限らず、温度センサ42の高さは、対物ブロック40の厚みよりも低ければよい。
・上記実施形態では、複数の、例えば3つの押圧ピストン31を設けた。しかし、これに限らず、押圧ピストン31は1つでも、2つでも、4つ以上でもよい。
・上記実施形態では、シリンダ室30Bと押圧ピストン31をパッキン31Bによって気密し、断熱筒33の内側面と蒸発器35をパッキン33Bにて気密した。しかし、これに限らず、パッキン以外の方法にて気密してもよい。
・上記実施形態では、真空吸着パッドにてICチップTを対物ブロック40に吸着把持したが、それに限らず、吸引によってICチップTを吸着把持する方法などICチップTを対物ブロック40に吸着把持してもよい。
・上記実施形態では、電磁弁AR3が閉じられている場合を、蒸発器35と電気ヒータ39やICチップTが熱的に結合されなくなった場合とした。しかし、これに限らず、蒸発器35の上面が上部フレームに接したことを検出するセンサからの信号や、電磁弁AR3から所定の時間が経過した後に、蒸発器35と電気ヒータ39やICチップTが熱的に結合されなくなったと判断してもよい。
・上記実施形態では、熱伝導維持部材38の厚みは100μmとしたが、これに限られず、熱伝導維持部材38の厚みは100μmより薄くても又は厚くてもよい。
・上記実施形態では、蒸発器35が上部フレーム30に接する位置まで移動した場合に、蒸発器35の底面と熱伝導維持部材38とは600μm離間したが、これに限られず、蒸発器35の底面と熱伝導維持部材38とは600μmより遠くても又は近くてもよい。
・上記実施形態では、蒸発器35の底面と熱伝導維持部材38とが接触した場合には、それらが離間した場合よりも2000倍(800W/0.40W)の熱が伝達された。しかし、これに限らず、蒸発器35の底面と熱伝導維持部材38とが接触した場合に伝達する熱は、それらが離間した場合に伝達する熱の2000倍よりも小さくても(例えば20倍)、大きくても(例えば20万倍)よい。
・上記実施形態では、バイパス配管59は、熱交換器53の手前に接続されたが、これに限らず、アキュムレータ58の手前に接続されてもよい。
・上記実施形態では、膨張器67はキャピラリーチューブを有したが、これに限らず、膨張器67は膨張弁を有してもよい。
また、膨張器67は、加熱器温度センサ57Bが検出する温度に基づいてその開閉動作を制御されるようにするとよい。具体的には、加熱器温度センサ57Bが検出する温度が所定の温度よりも高い場合には、膨張器67を開いてバイパス配管59から冷媒回収配管49に混合冷媒を供給して、供給した混合冷媒にて回収冷媒を冷却させるようにする。一方、加熱器温度センサ57Bが検出する温度が所定の温度よりも低い場合、すなわち、回収冷媒が低温の場合には、膨張器67を閉じてバイパス配管59から冷媒回収配管49に混合冷媒を供給しないようにする。それにより、既に冷媒の液体分の多い低温の回収冷媒にさらに混合冷媒に含まれる液体分が追加されて、アキュムレータ58の分離できない回収冷媒の液体分が圧縮機51に吸入され、圧縮機51の弁などを損傷させることを防ぐようにできる。
本実施形態におけるICハンドラの全体構造を示す平面図。 本実施形態における測定ハンドの断面構造を示す断面図であって、(a)は蒸発器が熱伝導ブロックと分離している状態を示す図、(b)は蒸発器が熱伝導ブロックと接触している状態を示す図。 本実施形態における熱伝導ブロックの断面構造を示す断面図。 本実施形態における冷却サイクル装置の構成を説明する説明図。 本実施形態における測定ハンドの温度調節に関する電気的構成を示すブロック図。 本実施形態における電子部品の温度制御を示すフローチャート図。 本実施形態における電子部品の温度制御を示すフローチャート図であって、(a)は電子部品の加熱用処理を示すフローチャート図、(b)は電子部品の冷却用処理を示すフローチャート図。
符号の説明
T…ICチップ、C1〜C6…コンベア、DT…データ、FX…X軸フレーム、PS…表示信号、AR1…空気圧源、AR2…ドライヤ、AR3…電磁弁、AR4…空圧レギュレータ、FY1…第1のY軸フレーム、FY2…第2のY軸フレーム、10…ICハンドラ、11…ベース、12…安全カバー、13…高温チャンバ、14…供給ロボット、15…回収ロボット、16…第1シャトル、16A…ベース部材、17…第2シャトル、17A…ベース部材、18…トレイ、20…供給側ロボットハンドユニット、21…回収側ロボットハンドユニット、22…測定ロボット、22A…測定ハンド、23…検査用ソケット、24A…第1のレール、24B…第2のレール、25,27…チェンジキット、26…ポケット、30…上部フレーム、30A…連通孔、30B…シリンダ室、30C…給気孔、30D…給気孔、31…押圧ピストン、31A…押圧部、31B…パッキン、32…ジョイント、32A…給気管、33…断熱筒、33B…パッキン、33C…給気孔、35…蒸発器、35A…凸部、36…ジョイント、36A…給気管、37…熱伝導ブロック、38…熱伝導維持部材、39…電気ヒータ、40…対物ブロック、40A…貫通孔、40L,40R…傾斜面、41…板バネ、41A…保持部、41L,41R…支持部、42…温度センサ、42A…計測面、42T…温度信号、48…冷媒供給配管、49…冷媒回収配管、51…圧縮機、52…凝縮器、53…熱交換器、54…受液器、55…フィルタドライヤ、56,67…膨張器、57…回収配管加熱器、57A…サーモスタット、57B…加熱器温度センサ、58…アキュムレータ、59…バイパス配管、60…制御装置、61…電気ヒータ駆動回路、61C…電気ヒータ制御信号、61D…駆動電流、62…回収配管加熱器駆動回路、62C…回収配管加熱器制御信号、62D…駆動電流、62T…温度信号、63…電磁弁駆動回路、63C…電磁弁制御信号、65…入出力装置、66…表示装置。

Claims (16)

  1. 熱伝導部材の上面に対して接離可能に配置された冷媒の蒸発により冷却される蒸発器を設けるとともに、前記熱伝導部材に当接されて電力によって発熱するヒータを設け、
    検査用ソケットに配置された電子部品を前記熱伝導部材の下面にて押圧して、該電子部品に当接した前記熱伝導部材の温度を、所定の目標温度と温度センサから取得した該電子部品の温度とに基づいて、前記蒸発器の接離位置と前記ヒータの発熱温度を調整し該熱伝導部材の温度を前記電子部品に伝達して該電子部品を前記目標温度にする電子部品の温度制御方法であって、
    前記目標温度よりも前記電子部品の温度が低いことを検出したとき、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させるピストンロッドの力を、前記蒸発器と前記熱伝導部材との間の圧縮空気の空気圧による前記蒸発器を前記熱伝導部材から離間させる力よりも弱くして、前記蒸発器と前記熱伝導部材とを離間させてから、前記ヒータへ電力を供給して前記電子部品を加熱することを特徴とする電子部品の温度制御方法。
  2. 熱伝導部材の上面に対して接離可能に配置された冷媒の蒸発により冷却される蒸発器を設けるとともに、前記熱伝導部材に当接されて電力によって発熱するヒータを設け、
    検査用ソケットに配置された電子部品を前記熱伝導部材の下面にて押圧して、該電子部品に当接した前記熱伝導部材の温度を、所定の目標温度と温度センサから取得した該電子部品の温度とに基づいて、前記蒸発器の接離位置と前記ヒータの発熱温度を調整し該熱伝導部材の温度を前記電子部品に伝達して該電子部品を前記目標温度にする電子部品の温度制御方法であって、
    前記目標温度よりも前記電子部品の温度が高いことを検出したとき、前記ヒータへの電力の供給を停止してから、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させるピストンロッドの力を、前記蒸発器と前記熱伝導部材との間の圧縮空気の空気圧による前記蒸発器を前記熱伝導部材と離間させる力よりも強くして、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させて該電子部品を冷却することを特徴とする電子部品の温度制御方法。
  3. 請求項2に記載の電子部品の温度制御方法において、
    前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させる時には、前記蒸発器を前記冷媒により冷却しておくことを特徴とする電子部品の温度制御方法。
  4. 熱伝導部材の上面に対して接離可能に配置された冷媒の蒸発により冷却される蒸発器を設けるとともに、前記熱伝導部材に当接されて電力によって発熱するヒータを設け、
    検査用ソケットに配置された電子部品を前記熱伝導部材の下面にて押圧して、該電子部品に当接した前記熱伝導部材の温度を、所定の目標温度と温度センサから取得した該電子部品の温度とに基づいて、前記蒸発器の接離位置と前記ヒータの発熱温度を調整し該熱伝導部材の温度を前記電子部品に伝達して該電子部品を前記目標温度にする電子部品の温度制御装置であって、
    前記熱伝導部材と前記蒸発器との間にそれらを離間させる第1の空気圧を供給する第1の空気圧回路と、
    前記蒸発器を前記熱伝導部材に対して接離可能に駆動するピストンロッドと、
    前記ピストンロッドのキャップ側に該ピストンロッドにて前記蒸発器を第1の空気圧に抗して前記熱伝導部材と接触させる第2の空気圧を供給する第2の空気圧回路と、
    を備えていることを特徴とする電子部品の温度制御装置。
  5. 請求項4に記載の電子部品の温度制御装置において、
    前記蒸発器の周囲には、該蒸発器を外部から断熱するための断熱筒を備えたことを特徴とする電子部品の温度制御装置。
  6. 請求項4又は5に記載の電子部品の温度制御装置において、
    前記ヒータは、前記熱伝導部材の内部に配置されることを特徴とする電子部品の温度制御装置。
  7. 請求項4〜6のいずれか1つに記載の電子部品の温度制御装置において、
    前記熱伝導部材は、前記蒸発器に対向する熱伝導ブロックと、前記電子部品に対向する対物ブロックとからなり、
    前記ヒータは、前記熱伝導ブロックと前記対物ブロックとの間に配置されることを特徴とする電子部品の温度制御装置。
  8. 請求項4〜7のいずれか1つに記載の電子部品の温度制御装置において、
    前記蒸発器と前記熱伝導部材の間には、熱伝導維持部材を備えることを特徴とする電子部品の温度制御装置。
  9. 請求項4〜8のいずれか1つに記載の電子部品の温度制御装置において、
    前記蒸発器を前記熱伝導部材の上面に接触させるために前記第2の空気圧に基づいて前記ピストンロッドが前記蒸発器を移動させる力は、前記第1の空気圧に基づいて前記蒸発器と前記熱伝導部材とが離間する力よりも強いことを特徴とする電子部品の温度制御装置。
  10. 請求項4〜9のいずれか1つに記載の電子部品の温度制御装置において、
    前記ピストンロッドを駆動するための空気圧を受ける前記ピストンロッドの受圧面の面積と前記第2の空気圧との積は、前記蒸発器と前記熱伝導部材とを離間するための空気圧を受ける前記蒸発器の受圧面の面積と前記第1の空気圧との積よりも大きいことを特徴とする電子部品の温度制御装置。
  11. 請求項4〜10のいずれか1つに記載の電子部品の温度制御装置において、
    前記熱伝導部材は、
    該熱伝導部材の下面に形成された凹部と、
    前記凹部の内部に配設され、該凹部の開口部の方向から与えられた押圧に対する弾性力を与圧する弾性部材とを備え、
    前記温度センサは、前記凹部の内側面には接しないとともに該凹部の深さよりも短い長さを有し、該温度センサの先端部を該凹部から前記熱伝導部材の下面から突出するように前記弾性部材に支持されていて、前記熱伝導部材と前記電子部品との接触により該凹部内に格納されると前記弾性部材を押圧して、押圧に対抗する前記弾性部材の弾性力によって該電子部品へ押圧されることを特徴とする電子部品の温度制御装置。
  12. 請求項4〜11のいずれか1つに記載の電子部品の温度制御装置において、
    前記第1の空気圧回路は、常に前記第1の空気圧を供給し、
    前記電子部品の温度制御装置は、
    前記電子部品の温度が前記目標温度よりも低いことを検出する低温検出手段と、
    前記第2の空気圧回路からピストンロッドのキャップ側に大気圧を供給させることで前記第1の空気圧により前記蒸発器と前記熱伝導部材とを分離させてから、前記ヒータへ電力を供給して該電子部品を加熱する加熱用処理手段とを備え、
    前記低温検出手段が前記電子部品の温度が前記目標温度よりも低いことを検出したとき、前記加熱用処理手段により該電子部品を加熱することを特徴とする電子部品の温度制御装置。
  13. 請求項4〜12のいずれか1つに記載の電子部品の温度制御装置において、
    前記第1の空気圧回路は、常に前記第1の空気圧を供給し、
    前記電子部品の温度制御装置は、
    前記電子部品の温度が前記目標温度よりも高いことを検出する高温検出手段と、
    前記ヒータへの電力の供給を停止してから、前記第2の空気圧回路からピストンロッドのキャップ側に第2の空気圧を供給させることで前記蒸発器と前記熱伝導部材とを接触させてから、該電子部品を冷却する冷却用処理手段とを備え、
    前記高温検出手段が前記電子部品の温度が前記目標温度よりも高いことを検出したとき、前記冷却用処理手段により該電子部品を冷却することを特徴とする電子部品の温度制御装置。
  14. 電子部品の検査装置に測定ロボットにて保持した電子部品を配置して、該電子部品の温度を所定の目標温度にしながら該電子部品の電気的な検査を行なうICハンドラであって、
    前記測定ロボットの先端部に請求項4〜13のいずれか1つに記載の電子部品の温度制御装置を備え、
    前記温度制御装置にて前記電子部品を前記目標温度にすることを特徴とするICハンドラ。
  15. 電子部品に当接する熱伝導部材と、
    前記熱伝導部材に対して接離可能に配置された蒸発器と、
    前記熱伝導部材に当接されるヒータと、
    前記電子部品の温度を検出し前記電子部品を所定の温度に制御する制御回路を有し、
    前記制御回路が前記所定の温度よりも前記電子部品の温度が低いことを検出したとき、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させる力を、前記蒸発器と前記熱伝導部材との間の圧縮空気の空気圧による前記蒸発器を前記熱伝導部材から離間させる力よりも弱くして、前記蒸発器と前記熱伝導部材とを離間させてから、前記ヒータへ電力を供給して前記電子部品を加熱することを特徴とする電子部品の温度制御方法。
  16. 電子部品に当接する熱伝導部材と、
    前記熱伝導部材に対して接離可能に配置された蒸発器と、
    前記熱伝導部材に当接されるヒータと、
    前記電子部品の温度を検出し前記電子部品を所定の温度に制御する制御回路を有し、
    前記制御回路が前記所定の温度よりも前記電子部品の温度が高いことを検出したとき、前記ヒータへの電力の供給を停止してから、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させる力を、前記蒸発器と前記熱伝導部材との間の圧縮空気の空気圧による前記蒸発器を前記熱伝導部材と離間させる力よりも強くして、前記蒸発器を前記熱伝導部材に接触させて前記電子部品を冷却することを特徴とする電子部品の温度制御方法。
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