JP5070982B2 - 撮像装置及び変倍レンズ - Google Patents

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Description

本発明は新規な撮像装置及び変倍レンズに関する。特に、ビデオカメラ用又はデジタルスチルカメラ用として好適な変倍レンズ及びそれを用いた撮像装置に関する。詳しくは、ズームレンズを基部として、ズームレンズの望遠端焦点距離を拡大するレンズ群を挿入離脱可能に構成して変倍比を拡大し、さらに負レンズ群をズームレンズの前面に着脱可能に構成して広角側に変倍比を拡大するように構成して歪曲収差以外の諸収差を良好に補正した変倍レンズ及び該変倍レンズを用い、撮像素子から得られた映像信号を処理することによって、前記変倍レンズによる歪曲収差を補正して良好な画像を得る撮像装置に関する。
特許文献1では、レンズによって生じる歪曲収差を、固体撮像素子からの映像信号を処理することによって補正する映像信号処理装置が提案されている。
特許文献2では、物体側より順に正、負、正、負、正の屈折力配置からなる5群ズーム方式で、第1、第3、第5のレンズ群を固定し、第2レンズ群を光軸方向に移動させて主に変倍を行い、第4レンズ群でズーミングによる焦点移動の補正と合焦を行う構成が、高倍率化に好適であることが示され、第1レンズ群を特徴のあるレンズ構成とすることにより広角端の画角が広いにもかかわらず前玉径を小型化でき、また補正が困難になる歪曲収差を、特許文献1による映像信号処理によって補正する撮像装置が提案されている。
特許文献3には、物体側より順に正、負、正、正の屈折力配置からなり、第1、第3のレンズ群を固定し、第2レンズ群を光軸方向に移動させて主に変倍を行い、第4レンズ群でズーミングによる焦点移動の補正と合焦を行う構成の4群ズーム方式で、ズームレンズの前方に負の屈折力のアタッチメントレンズを着脱可能に構成することが示されている。
また、主に業務用のビデオカメラ用ズームレンズでは、物体側より順にフォーカスレンズ部、変倍と変倍による焦点移動を補正する変倍レンズ部、結像の役割をする固定のマスターレンズ部から成り、マスターレンズ部内の大きな空気間隔にエクステンダーレンズ群を挿入することにより、変倍焦点距離域を望遠側に遷移させる構成が知られている。
特開平4−61570号公報 特開2005−352348号公報 特開平4−350815号公報
特許文献2によれば、歪曲収差を映像信号処理により補正した後の対角線画角を元に焦点距離を35mm判に換算したとき、略25mmから略1000mmをカバーする約40倍の変倍比が達成されている。しかしながら、業務用途のポータブルHDTV(High Definition TeleVision:高精細テレビ)用ズームレンズのラインナップを見ると、広角端が略17mmのレンズがあり、また別のレンズでは望遠側はエクステンダー使用時に2000mmを超えるレンズがある。
国内では数年後に地上波デジタル放送に全面的に移行し、アスペクト比16:9の大型カラーテレビが普及して、それに伴って民生用途でもビデオカメラに趣味性が強く求められ、HDTVに対応した超高変倍比レンズの要求が高まると予想される。
しかしながら、特許文献2の変倍手段で、広角端の画角を広げ、さらに望遠端の焦点距離を伸ばすようにして変倍比を高くすると、大型化してしまい、民生用途に適さなくなり、また、第4レンズ群の移動空間が広がって絞りから第5レンズ群までの間隔が長くなるために射出瞳距離がプラス側で短くなって、画面周辺部に入射する光線束の傾きが大きくなるため、各画素に有効に光が届きにくくなり、さらに、第1レンズ群のレンズ構成が広角化に適した屈折力配置と、望遠レンズの対物レンズとして適した構成との両立が困難になって、特許文献2の特徴である広角高変倍比でありながら小型で、特に前玉径が小さいという効果を発揮しにくくなってしまう。
また、特許文献2に示された実施例では、広角端の樽型歪曲収差が非常に大きいが、映像信号処理で歪曲収差を補正した場合、画面周辺で画素間隔が引き伸ばされるため、ある空間周波数のMTF(Modulation Transfer Function:変調伝達関数)が、周波数の低い方へ移行する現象により、画質劣化を招いてしまうので、特許文献1の補正手段を適用するときもある程度はレンズ側で歪曲収差の補正をしておくことが必要である。
特許文献3による広角化手段は有効な方法であるが、アタッチメントレンズを外したときの携帯方法を、前後にレンズキャップをはめてケースに収納して持ち運ぶという、アタッチメントレンズに適用されている通常の携帯方法によると、使い勝手が悪く、着脱に多くの時間を要し実用的とは言えない。
そこで、本発明は、超広角域及び超望遠域での焦点距離による撮影を手軽に行い、且つ、広角域から望遠域(広角域の数十倍の焦点距離)までの焦点範囲においては連続変倍による撮影を可能とすることを課題とする。
本発明撮像装置は、変倍レンズと、該変倍レンズによって取り込んだ画像を電気的な画像信号に変換する撮像手段と、画像制御手段とを備え、前記画像制御手段は、前記変倍レンズによる変倍率に応じて予め用意されている変換座標係数を参照しながら、前記撮像手段によって形成された画像信号によって規定される画像上の点を移動させて座標変換した新たな画像信号を形成し、該新たな画像信号を出力するように構成され、前記変倍レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し光軸上を移動することによって変倍作用を行う第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し広角端から望遠端への変倍に際して光軸上を一旦像側へ移動した後物体側へ移動して変倍に伴う像位置の変動の補正を行うと共に合焦作用を行う第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とが配列され、さらに第4レンズ群と第5レンズ群との間に挿入離脱可能に配置され、物体側より順に位置した正レンズ群と負レンズ群とから成るTレンズ群を有し、第1の変倍形態では、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は固定で、Tレンズ群は第4レンズ群の移動を妨げない位置に光路から退避させ、第2レンズ群を光軸方向に移動させることによって主に変倍を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させることによって像位置の変動の補正と合焦を行うように構成し、第2の変倍形態では、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での望遠端の位置に固定し、前記第4レンズ群と第5レンズ群との間に、Tレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように挿入して第1の変倍形態の望遠端での焦点距離よりも焦点距離を長くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成したものである。
さらに別の本発明撮像装置は、変倍レンズと、該変倍レンズによって取り込んだ画像を電気的な画像信号に変換する撮像手段と、画像制御手段とを備え、前記画像制御手段は、前記変倍レンズによる変倍率に応じて予め用意されている変換座標係数を参照しながら、前記撮像手段によって形成された画像信号によって規定される画像上の点を移動させて座標変換した新たな画像信号を形成し、該新たな画像信号を出力するように構成され、前記変倍レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し光軸上を移動することによって変倍作用を行う第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し広角端から望遠端への変倍に際して光軸上を一旦像側へ移動した後物体側へ移動して変倍に伴う像位置の変動の補正を行うと共に合焦作用を行う第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とが配列され、さらに第1レンズ群より物体側に着脱自在に配置され、負レンズ群から成るWレンズ群を有し、また第4レンズ群と第5レンズ群との間に挿入離脱可能に配置され、物体側より順に正レンズ群と負レンズ群から成るTレンズ群を有し、第1の変倍形態では、Wレンズ群は光路から外し、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は固定で、Tレンズ群は第4レンズ群の移動を妨げない位置に光路から退避させ、第2レンズ群を光軸方向に移動させることによって主に変倍を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させることによって像位置の変動の補正と合焦を行うように構成し、第2の変倍形態では、Wレンズ群は光路から外したまま、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での望遠端の位置に固定し、前記第4レンズ群と第5レンズ群との間に、Tレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように挿入して第1の変倍形態での望遠端の焦点距離よりも焦点距離を長くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成し、第3の変倍形態では、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での広角端の位置に固定し、Tレンズ群を光路から退避させ、Wレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように装着して、第1の変倍形態での広角端の焦点距離よりも焦点距離を短くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成したものである。
本発明変倍レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し光軸上を移動することによって変倍作用を行う第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し広角端から望遠端への変倍に際して光軸上を一旦像側へ移動した後物体側へ移動して変倍に伴う像位置の変動の補正を行うと共に合焦作用を行う第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とが配列され、さらに第4レンズ群と第5レンズ群との間に挿入離脱可能に配置され、物体側より順に正レンズ群と負レンズ群から成るTレンズ群を有し、第1の変倍形態では、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は固定で、Tレンズ群は第4レンズ群の移動を妨げない位置に光路から退避させ、第2レンズ群を光軸方向に移動させることによって主に変倍を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させることによって像位置の変動の補正と合焦を行うように構成し、第2の変倍形態では、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での望遠端の位置に固定し、前記第4レンズ群と第5レンズ群との間に、Tレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように挿入して第1の変倍形態での望遠端の焦点距離よりも焦点距離を長くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成したものでる。
本発明にあっては、、超広角域及び超望遠域での焦点距離による撮影を手軽に行い、且つ、広角域から望遠域(広角域の数十倍の焦点距離)までの焦点範囲においては連続変倍による撮影を可能とする。
以下に、本発明撮像装置及び変倍レンズを実施するための最良の形態について説明する。
先ず、本発明撮像装置について説明する。
本発明の第1の発明にかかる撮像装置は、変倍レンズと、該変倍レンズによって取り込んだ画像を電気的な画像信号に変換する撮像手段と、画像制御手段とを備え、前記画像制御手段は、前記変倍レンズによる変倍率に応じて予め用意されている変換座標係数を参照しながら、前記撮像手段によって形成された画像信号によって規定される画像上の点を移動させて座標変換した新たな画像信号を形成し、該新たな画像信号を出力するように構成され、前記変倍レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し光軸上を移動することによって変倍作用を行う第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し広角端から望遠端への変倍に際して光軸上を一旦像側へ移動した後物体側へ移動して変倍に伴う像位置の変動の補正を行うと共に合焦作用を行う第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とが配列され、さらに第4レンズ群と第5レンズ群との間に挿入離脱可能に配置され、物体側より順に位置した正レンズ群と負レンズ群とから成るTレンズ群を有し、第1の変倍形態では、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は固定で、Tレンズ群は第4レンズ群の移動を妨げない位置に光路から退避させ、第2レンズ群を光軸方向に移動させることによって主に変倍を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させることによって像位置の変動の補正と合焦を行うように構成し、第2の変倍形態では、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での望遠端の位置に固定し、前記記第4レンズ群と第5レンズ群との間に、Tレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように挿入して第1の変倍形態の望遠端での焦点距離よりも焦点距離を長くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成したものである。
この第1の発明にかかる撮像装置にあっては、Tレンズ群を光路から待避させた第1の変倍形態では、広角域から望遠域(広角域の数十倍の焦点距離)までの焦点範囲において連続変倍による撮影が可能であり、また、Tレンズ群を光路に挿入した第2の変倍形態では、第1の変倍形態での望遠端の焦点距離をさらに長くした超望遠域での撮影が可能になる。そして、前記広角域から超望遠域までの撮影において画像制御手段によって歪曲収差の補正が為された高画質の画像を得ることが出来る。
本発明の第の発明による撮像装置は、変倍レンズと、該変倍レンズによって取り込んだ画像を電気的な画像信号に変換する撮像手段と、画像制御手段とを備え、前記画像制御手段は、前記変倍レンズによる変倍率に応じて予め用意されている変換座標係数を参照しながら、前記撮像手段によって形成された画像信号によって規定される画像上の点を移動させて座標変換した新たな画像信号を形成し、該新たな画像信号を出力するように構成され、前記変倍レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し光軸上を移動することによって変倍作用を行う第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し広角端から望遠端への変倍に際して光軸上を一旦像側へ移動した後物体側へ移動して変倍に伴う像位置の変動の補正を行うと共に合焦作用を行う第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とが配列され、さらに第1レンズ群より物体側に着脱自在に配置され、負レンズ群から成るWレンズ群を有し、また第4レンズ群と第5レンズ群との間に挿入離脱可能に配置され、物体側より順に正レンズ群と負レンズ群から成るTレンズ群を有し、第1の変倍形態では、Wレンズ群は光路から外し、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は固定で、Tレンズ群は第4レンズ群の移動を妨げない位置に光路から退避させ、第2レンズ群を光軸方向に移動させることによって主に変倍を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させることによって像位置の変動の補正と合焦を行うように構成し、第2の変倍形態では、Wレンズ群は光路から外したまま、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での望遠端の位置に固定し、前記第4レンズ群と第5レンズ群との間に、Tレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように挿入して第1の変倍形態での望遠端の焦点距離よりも焦点距離を長くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成し、第3の変倍形態では、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での広角端の位置に固定し、Tレンズ群を光路から退避させ、Wレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように装着して、第1の変倍形態での広角端の焦点距離よりも焦点距離を短くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成したものである。
この第の発明にかかる撮像装置にあっては、Tレンズ群を光路から待避させ且つWレンズ群を光路から外した第1の変倍形態では、広角域から望遠域(広角域の数十倍の焦点距離)までの焦点範囲において連続変倍による撮影が可能であり、また、Wレンズ群を光路から外し且つTレンズ群を光路に挿入した第2の変倍形態では、第1の変倍形態での望遠端の焦点距離をさらに長くした超望遠域での撮影が可能になる。さらに、Tレンズ群を光路から待避させ、Wレンズ群を光路上に装着した第3の変倍形態では、第1の変倍形態での広角端の焦点距離をさらに短くした超広角域での撮影が可能になる。そして、前記超広角域から超望遠域までの撮影において画像制御手段によって歪曲収差の補正が為された高画質の画像を得ることが出来る。
前記第1及び第2の発明にかかる撮像装置において、第1の変倍形態では、例えば特許文献2におけると同様に、約40倍の連続変倍効果が得られ、画像制御手段によって各焦点距離に応じた歪曲収差の補正を行って、歪曲収差を減少させた高画質な画像を取得できる効果がある。
前記第1及び第の発明にかかる撮像装置において、第2の変倍形態では、前記約40倍のズームレンズの望遠端の焦点距離を例えば2倍に拡大した超望遠レンズを、全長を全く伸ばさずに実現でき、歪曲収差を減少させた高画質な画像を取得できる効果がある。
前記第の発明にかかる撮像装置において、第3の変倍形態では、前記約40倍のズームレンズの広角端の焦点距離を、例えば、0.7倍にして100度を超える対角線画角を実現でき、歪曲収差を減少させた高画質な画像を取得できる効果がある。
本発明の一実施形態による撮像装置にあっては、電源投入時に、前記Wレンズ群及びTレンズ群が光路上にあるか否かの検出を行い、該検出の結果に基づいて、Wレンズ群が光路上にあるときは前記第3の変倍形態を適用してTレンズ群を光路から離脱させ、Wレンズ群が光路上になく、Tレンズ群が光路上に挿入されているときは前記第2の変倍形態を適用し、Wレンズ群もTレンズ群も光路上にないときに第1の変倍形態を適用するように構成することが好ましい。
3つの変倍形態の優先順位を決めて、例えば、手動でWレンズ群の着脱を行うようにした第3の変倍形態を第1優先、駆動装置によりTレンズ群の光軸上への挿入離脱を制御する第2の変倍形態を第2優先、そして、それ以外のときに第1の変倍形態を選択するように優先順位とモード遷移を規定して、使用者の使い勝手をよくすることができる。
本発明の一実施形態による撮像装置にあっては、前記第2の変倍形態による超望遠撮影において、画面中心へ向かう光線束を絞り羽根で遮蔽することなく、開放絞りを維持することが好ましい。
第2の変倍形態で第1の変倍形態の望遠端の焦点距離を拡大したときに、付随的にFナンバーが暗くなる現象を伴い、その結果、開放絞りにおいても回折現象による解像度劣化が顕著になってしまう副作用がある。そこで、本実施形態のように、絞り羽根による像面照度の制御を禁止することによって、この回折現象をさらに悪化させることを防ぐことができる。この場合、絞り羽根による画面の明るさ制御に代わって、例えば、電子シャッタスピードとAGC(Automatic Gain Control:自動利得調節)で明るさの制御を行ったり、例えば、Tレンズ群と一体的に可変濃度ND(Neutral Density)フィルタを挿入して像面照度を制御することも可能である。
図1乃至図4に本発明撮像装置を具体化した撮像装置の一例100を示す。なお、この撮像装置100は本発明をビデオカメラとして適用したものである。
図2及び図3でよく分かるように、ビデオカメラ100は、カメラ筐体110を備え、該カメラ筐体110内に変倍レンズ101の大部分、制御回路を含む制御部、記録媒体への画像信号の記録を行う記録部等が収容されている。また、カメラ鏡筒110の後部には、例えば、EVF(Electronic View Finder:電子ビューファインダ)方式によるファインダー111が配置されている。変倍レンズ101の大部分を支持したレンズ鏡筒の一部112はカメラ筐体110の前端から前方へ突出しており、その前端部には取付支持部113が形成されている。前記取付支持部113は前後の厚みがある板状をしており、その上下両側部には係合溝113a、113aが形成されている。さらに、カメラ筐体110の一方の側面には保持突起114が形成されており、該保持突起114の上下両側面には係合溝114a、114aが形成されている。カメラ筐体110の上面にはズームボタン(ズームスイッチ)115及び第2モードボタン(超望遠スイッチ)116が配置されている。
このビデオカメラ100にはフロントアタッチレンズ120が前記レンズ鏡筒112の前端に着脱自在に設けられる。フロントアタッチレンズ120は筐体121にWレンズ群(超広角用レンズ)101dが支持されて成る。筐体121はレンズ保持枠部122と該レンズ保持部122の後側に一体に形成された着脱部123とが一体に形成されて成る。前記着脱部123は一方の側部に開口したU字状をしており、該U字状部の上下で対向した部分には係合凸条123a、13aが突設されている。そして、レンズ保持部122には大きなほぼ楕円形をした開口122aが形成され、該開口部122aにWレンズ群101dが保持されている。なお、筐体121の前面にはカバーボード124が回動自在に設けられている。該カバーボード124は筐体121の前面を全体に覆う形状をしており、その上縁部が筐体121の前面の上縁部に回動自在に支持されている。なお、該カバーボード124は、所望の回動角度で停止するように、例えば、摩擦構造を介して筐体121に支持され、また、筐体121の前面、従って、Wレンズ群101dの前面を覆った位置では図示しないロック手段でロックされるようになっている。
前記ビデオカメラ100において、Wレンズ群101dを使用しない場合、すなわち、前記第1の変倍形態又は第2の変倍形態で撮影する場合には、フロントアタッチレンズ120をレンズ鏡筒112の前端部から外しておく。この場合、フロントアタッチレンズ120を手持ちしたり、バッグに入れたりしておくと、撮影の邪魔になったり、次に、フロントアタッチレンズ120を使用するのに不便だったりするので、フロントアタッチレンズ120をカメラ筐体110の側面に保持しておく。すなわち、カメラ筐体110の側面に形成した保持突起114の係合溝114a、114aにフロントアタッチレンズ120の係合凸条123a、123aを前方からスライドさせて係合して、フロントアタッチレンズ120をカメラ筐体110に保持しておく。なお、このとき、クリックストップやロック手段によって、フロントアタッチレンズ120が容易には保持突起114から脱落してしまわないようにしておくと良い。
そして、前記第2モードボタン116は、例えば、Tレンズ群(超望遠レンズ)101cが光路に挿入されていない状態で、この第2モードボタン116を押すと、第1の変倍形態の望遠端状態になると同時に、Tレンズ群101cが光路に挿入され、また、Tレンズ群101cが光路に挿入されている状態で、第2モードボタン116が押されると、Tレンズ群101cが光路から退避される。
また、第1の変倍形態において、ズームボタン115が操作されると、広角端から望遠端との間で連続的に焦点距離が変更される。
そして、第3の変倍形態での撮影を行うときは、フロントアタッチレンズ120をレンズ鏡筒112の前端部に装着する。該装着は、レンズ鏡筒112の前端部の取付支持部113に形成された係合溝113a、113aにフロントアタッチレンズ120の係合凸条123a、123aを側方からスライドさせて係合させることによっておこなう。なお、フロントアタッチレンズ120をレンズ鏡筒112の前端部に装着した状態で、ロックがかかるようにしておくと良い。また、第3の変倍形態による撮影を行うには、第1の変倍形態の広角端状態になっていて且つWレンズ群101cが光路から退避していることが必要であるが、これらをズームボタン115及び/又は第2モードボタン116を手動で操作して行っても良いが、制御部がフロントアタッチレンズ120のレンズ鏡筒112の前端部への装着を検知することによって自動的に上記状態となるようにしておくと良い。かかる検知手段としては、マイクロスイッチ、フォトインタラプタ、ICカードの通信技術などが考えられる。また、カバーボード124を、例えば、図2に示すように、Wレンズ群101dの前面を覆わない位置へと移動する。これによって、カバーボード124はレンズフードの機能を果たすことが出来るため、カバーボード124の回動角度を所望の角度でクリックストップさせる。なお、撮影をしない場合及びフロントアタッチレンズ120をレンズ鏡筒112の前端部から外している場合には、カバーボード124をWレンズ群101dの前面を覆う位置にロックしておくことによって、カバーボード124が前側レンズキャップの機能を果たす。また、フロントアタッチレンズ120をカメラ筐体110の保持突起114に支持させた状態では、前記保持突起114が、Wレンズ群101dの後側を覆い、後側レンズキャップの機能を果たす。
次に、図1のブロック図を参照してビデオカメラ100の詳細を説明する。
ビデオカメラ100は、変倍可能な撮影レンズ(変倍レンズ)101を備え、該撮影レンズ101はフォーカスレンズ101a、バリエータレンズ101b、超望遠用レンズ(Tレンズ群)101c、超広角用レンズ(Wレンズ群)101dなどを備える。また、前記撮影レンズ101で形成された光学像を電気的画像信号に変換した画像データを出力するCCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor) などの撮像素子102、前記画像データの歪曲を補正するなど各種動作の制御を行う画像制御手段としての画像制御回路103、撮像素子102から得られる画像データを記憶する第1の画像メモリ104、歪曲を補正した画像データを記憶する第2の画像メモリ105、撮影レンズ101の歪曲収差情報を記憶するデータテーブル106を備える。さらに、撮影者のズーミングの指示を電気信号に変換するズームスイッチ(ズームボタン)115、超望遠用レンズ101cの挿入離脱の指示を与える超望遠スイッチ(第2モードボタン)116を備える。
前記撮影レンズ(変倍レンズ)101に、例えば、後述する各実施の形態にかかる変倍レンズを適用した場合、フォーカスレンズ101aは第4レンズ群G4に相当し、バリエータレンズ101bは第2レンズ群G2に相当し、超望遠用レンズ101cはTレンズ群Tに相当し、超広角用レンズ101dはWレンズ群Wに相当する。
変倍レンズ101にあっては、変倍によって歪曲収差曲線が変化する。そして、歪曲収差の変化はバリエータレンズ101bの位置又は超望遠用レンズ101cの挿入離脱或いはまた超広角用レンズ101dの着脱に依存する。そこで、データテーブル106には、設定した焦点距離における第1の画像メモリ104に記憶される画像データと第2の画像メモリ105に記憶される歪曲を補正された画像データとの間の二次元的な位置情報を関連づける変換座標係数が記憶されており、また、バリエータレンズ101bの位置は広角端から望遠端まで多くの位置に区切られて、各々の位置に対応した変換座標係数がデータテーブル106に記憶されている。
撮影者がズームスイッチ115を操作して、バリエータレンズ101bの位置を移動させたり、超望遠スイッチ116を操作して超望遠用レンズ101cを光路に挿入離脱させたり、超広角用レンズ101dを手動で着脱させると、画像制御回路103は、フォーカスレンズ101aを移動させてフォーカスがボケないように制御すると共に、設定した焦点距離に対応する変換座標係数をデータテーブル106から受け取る。なお、バリエータレンズ101bの位置が予め区切られたいずれかの位置に一致していないときは、その近傍の位置の変換座標係数から補間などの処理により、適切な変換座標係数を得る。変換座標係数は二次元的に離散的に配置された画像上の点の位置を移動させるための係数であるが、離散的に配置された点と点との間の画像に関しては、補間などの処理によって移動するべき位置を求める。画像制御回路103は、撮像素子102から得られた第1の画像メモリ104に記憶されている画像データを、この変換座標係数に基づいて垂直方向及び水平方向における画像移動処理を行うことによって歪曲を補正し、該歪曲を補正した画像データを第2の画像メモリ105に記憶させ、該第2の画像メモリ105に記憶され画像データに基づく信号を映像信号として出力する。
なお、前記フォーカスレンズ101a、バリエータレンズ101b、超望遠用レンズ101cには位置検出装置と駆動装置が各々一対一の関係で制御可能に構成され、超広角用レンズ101dに関しては位置検出装置により手動で着脱されたことを検出可能に構成されている。
前記ビデオカメラ100は、超広角単焦点モード(第3の変倍形態)、ズームモード(第1の変倍形態)、超望遠単焦点モード(第2の変倍形態)の3つのモードを備えており、使用者が操作してモードを切換えるモード遷移について図4を参照して説明する。
先ず、撮像装置への電源投入からの手順を説明すると、手動で超広角用レンズ101dの着脱を行う超広角単焦点モードを最優先とする。先ず、超広角用レンズ101dの装着の有無を確認して、装着していれば直ちに超広角単焦点モードの設定を行うが、仮に、前回に電源を切るときに超望遠単焦点モードとなっていて、今回の電源投入前に超広角用レンズ101dを手動で装着した場合には、超望遠用レンズ101cが挿入されたまま超広角用レンズ101dも装着された状態となる。このときはまず超望遠用レンズ101cを駆動装置により光路から離脱させ、次にバリエータレンズ101bを広角端の位置に移動させて、ズームスイッチ107の指示を受け付けないように設定する。そして、フォーカスレンズ101aを移動させてフォーカスがボケないように制御するが、ズームモード時におけると同じ移動量を許すと、超広角用レンズ101dの表面に付いたゴミや水滴などにAF(Auto Focus)が働いてしまう可能性があるため、そのような不都合が生じない程度の至近距離リミッタを設定する。撮影した画像データに対しては、超広角用レンズ101dを装着した場合に対応する変換座標係数をデータテーブル106から受け取り、歪曲収差補正の映像信号処理を行う。
次に、電源投入時に超広角用レンズ101dが装着されておらず、超望遠用レンズ101cが挿入されている場合について説明する。超望遠スイッチ108が操作されなければ超望遠単焦点モードを優先して、先ず、バリエータレンズ101bを望遠端位置に移動して、ズームスイッチ107の指示を受け付けないように設定する。超望遠単焦点モードでは開放Fナンバーが暗くなる(後述の数値実施例ではF8)ことと、レンズの小型化のために小さい画面サイズを採用するため、回折現象による画質劣化が、残存収差以上に問題となる。そのため絞り羽根で絞って中心開放光束を遮蔽してしまわないように、絞り羽根の駆動を制限して、明るさの制御は電子シャッタスピードなど、絞り以外の手段を使用する。
また、フォーカスレンズ101aの移動空間に超望遠用レンズ101cを挿入するため、フォーカスレンズ101aを合焦のために大きく移動させると、超望遠用レンズ101cに当たってしまう。そのため、超広角単焦点モードにおけるとは違った理由から至近距離リミッタを設定する必要がある。撮影した画像データに対しては、超広角用レンズ101dを挿入した場合に対応する変換座標係数をデータテーブル106から受け取り、歪曲収差補正の映像信号処理を行う。
電源投入時に超広角用レンズ101dが装着されておらず、且つ、超望遠用レンズ101cも挿入されていなければ、ズームモードに設定する。ズームスイッチ107の指示を受付け、絞りの駆動禁止を解除し、至近距離リミッタを解除し、バリエータレンズ101bの位置に対応する変換座標係数をデータテーブル106から受け取り、対応するデータが存在しないときは、その位置の前後の複数のデータテーブルから補間して求め、歪曲収差補正の映像信号処理を行う。
次に、本発明変倍レンズについて説明する。
本発明変倍レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し光軸上を移動することによって変倍作用を行う第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し広角端から望遠端への変倍に際して光軸上を一旦像側へ移動した後物体側へ移動して変倍に伴う像位置の変動の補正を行うと共に合焦作用を行う第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とが配列され、さらに第4レンズ群と第5レンズ群との間に挿入離脱可能に配置され、物体側より順に正レンズ群と負レンズ群から成るTレンズ群を有し、第1の変倍形態では、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は固定で、Tレンズ群は第4レンズ群の移動を妨げない位置に光路から退避させ、第2レンズ群を光軸方向に移動させることによって主に変倍を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させることによって像位置の変動の補正と合焦を行うように構成し、第2の変倍形態では、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での望遠端の位置に固定し、前記第4レンズ群と第5レンズ群との間に、Tレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように挿入して第1の変倍形態での望遠端の焦点距離よりも焦点距離を長くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成したものである。
前記した本発明変倍レンズにあっては、Tレンズ群を光路から待避させた第1の変倍形態では、広角域から望遠域(広角域の数十倍の焦点距離)までの焦点範囲において連続変倍による撮影が可能であり、また、Tレンズ群を光路に挿入した第2の変倍形態では、第1の変倍形態での望遠端の焦点距離をさらに長くした超望遠域での撮影が可能になる。また、第4レンズ群は望遠端において物体寄りに位置するため、望遠端状態での第4レンズ群と第5レンズ群との間にTレンズ群の挿入空間を確保しても、レンズ全長を大きくする必要がない。
本発明の一実施形態による変倍レンズにあっては、上記Tレンズ群を構成する正レンズ群は、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズと凸レンズとの接合レンズで構成され、以下の条件式(1)、(2)、(3)、(4)を満足することが望ましい。
(1)0.8<│DW45/f4│<1.2
(2)0.35<DT/DW45<0.6
(3)nT1>1.77
(4)nT2<1.62
但し、
f4:第4レンズ群の焦点距離
DW45:第1の変倍形態での広角端における第4レンズ群と第5レンズ群との間の空気間隔
DT:Tレンズ群内の空気間隔
nT1:Tレンズ群の上記凹メニスカスレンズの屈折率
nT2:Tレンズ群の上記凸レンズの屈折率
とする。
これにより、レンズ全長を伸ばすこと無しにTレンズ群の光路への挿入が可能になり、また、Tレンズ群を光路に挿入した際にペッツバール和がマイナス側に大きくなって像面湾曲が補正困難になることを防止することが出来る。
前記条件式(1)はTレンズ群を挿入できる空気間隔の確保と射出瞳距離に関するもので、下限値を下回るとTレンズ群のレンズ構成長を短くしないと挿入できず、Tレンズ群のレンズ構成長を短くすると、超望遠単焦点モード(第2の変倍形態)に切換えたときの変倍比を大きくすることができなくなり、上限値を上回ると絞りから第5レンズ群までの距離が長くなるため、広角端における射出瞳距離がプラス側で短くなって、撮像素子の周辺部の画素に対して主光線が斜め入射になって、周辺光量不足が助長されやすい。
前記条件式(2)は超望遠単焦点モードに切換えたときの変倍比と超望遠単焦点モードでの至近距離に関するもので、下限値を下回るとTレンズ群を構成する物体側の正レンズ群と像側の負レンズ群との屈折力の比が大きくなって、ペッツバール和がマイナスで絶対値が大きくなりすぎ、像面湾曲がプラス側へ倒れるのを補正することが困難になる。上限値を上回るとフォーカシングのための第4レンズ群の移動空間が小さくなり、至近距離が遠くなって実用的でなくなる。
前記条件式(3)及び条件式(4)は前記条件式(2)に関連して、ペッツバール和の補正に関するもので、レンズ全長を変えずに、Tレンズ群の挿入によってズームモードにおける望遠端の焦点距離を約2倍にするためには、ペッツバール和がマイナス側に大きくなることを避けられない。これを緩和するためには、特にTレンズ群の物体側の正レンズを2枚接合で構成して、凹レンズの屈折率を高く、凸レンズの屈折率を低く設定することが効果的である。
本発明の一実施形態による変倍レンズにあっては、前記第2レンズ群の最も物体側の凹レンズの少なくとも1面を非球面とすることが望ましい。
第1の変倍手段の広角端及び第3の変倍手段で樽型歪曲収差が発生し、その原因は主に第1レンズ群の構成による。しかし、第1レンズ群を歪曲収差の発生が少ないレンズ構成にすると、特許文献2による前玉径の小型化の効果が薄れるため、第2レンズ群で樽型歪曲収差を補正することが合理的であり、これによって映像信号処理で歪曲収差を補正したときの画質劣化を緩和する効果が得られる。そのために、第2レンズ群の最も物体側の凹レンズに非球面を採用して前記樽型歪曲収差を補正することが効果的である。
次に、本発明変倍レンズの具体的な実施形態を図5を参照して説明する。
変倍レンズ101の、ズームモード(第1の変倍形態)、すなわち、Tレンズ群、Wレンズ群ともに光路中に挿入されていない状態におけるレンズ構成は、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とが配列されて成り、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3と第5レンズ群G5は固定で、第2レンズ群G2を光軸方向に移動させることによって主に変倍を行い、第4レンズ群G4を光軸方向に移動させることによって像位置の変動の補正と合焦を行うように構成し、第2レンズ群G2の最も物体側の凹レンズL21の像側面(第12面)を非球面とする。
第1レンズ群G1は、物体側より順に位置した、凹レンズL11、像側に強い凸面を向けた凸レンズL12、像側に凹面を向けた凹メニスカスレンズL13と両凸レンズL14と物体側に凹面を向けた凹メニスカスレンズL15の3枚接合レンズ、凸レンズL16から成る。第2レンズ群G2は、物体側より順に位置した、像側に強い凹面を向けた凹レンズL21、両凹レンズL22と凸レンズL23との接合レンズから成り、凹レンズL21の像側の面(第12面)が非球面で構成される。第3レンズ群G3は、物体側より順に位置した、両凸レンズL31、像側に凹面を向けた凹メニスカスレンズL32と凸レンズL33との接合レンズから成り、両凸レンズL31の像側の面(第18面)が非球面で構成される。第4レンズ群G4は、物体側より順に位置した、像側に強い凹面を向けた凹レンズL41、両凹レンズL42と凸レンズL43との接合レンズから成る。第5レンズ群G5は、物体側より順に位置した、両凸レンズL51、両凸レンズL52と物体側に凹面を向けた凹メニスカスレンズL53との接合レンズから成り、両凸レンズL52の物体側の面(第29面)が非球面で構成される。そして、第5レンズ群G5と像面IMGとの間に赤外カットフィルタなどの平行平面ガラスFLを有する。また、第3レンズ群G3の物体側に近接して絞りSが配置され、該絞りSは変倍時に固定である。
次に、前記変倍レンズ101に具体的数値を適用した数値実施例1のズームモード(第1の変倍形態)におけるレンズデータを表1に示す。なお、以下の説明において、面番号iは各モード(変倍形態)における通し面番号、曲率半径rは各面の近軸曲率半径、面間隔dは第i面と第i+1面との間の軸上面間隔、屈折率ndは各光学要素の材質のd線(λ(波長)=587.6nm(ナノメータ))における屈折率、アッベ数νdは各光学要素の材質のd線におけるアッベ数をそれぞれ示すものとする。そして、曲率半径rに関して∞は当該面が平面であることを示す。
Figure 0005070982
前記したように、第12面、第18面及び第29面は非球面で構成されている。そこで、前記各面の4次、6次、8次、10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を円錐定数κと共に表2に示す。なお、表2において「e−i」は10を底とする指数表現、すなわち、「10−i」を表しており、例えば、「0.12345e-05」は「0.12345×10−5」を表している。
また、本明細書において、非球面形状は、「xi」を非球面の深さ、「H」を光軸からの高さ、「κ」を円錐定数、「ri」を曲率半径、「Ak」をk次の非球面係数とすると、次の数1式によって定義されるものとする。
Figure 0005070982
Figure 0005070982
広角端から望遠端へのズーミング中に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間の間隔d10、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3(絞りS)との間の間隔d15、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間の間隔d21及び第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間の間隔d26が変化する。そこで、前記各間隔の広角端(焦点距離=1.632)、中間焦点距離(焦点距離=30.968)、望遠端(焦点距離=60.454)における各値を、Fナンバー、画角2ω、射出瞳位置と共に表3に示す。
Figure 0005070982
広角端における第4レンズ群と第5レンズ群との間の空気間隔(DW45)を表4に示す。
Figure 0005070982
第1から第5までの各レンズ群の焦点距離を表5に示す。
Figure 0005070982
前記ズームモードの数値実施例1における前記各焦点距離における球面収差、像面湾曲、歪曲収差を図6(広角端)、図7(中間焦点距離)、図8(望遠端)に示す。
なお、前記収差図において、球面収差曲線と横収差曲線における実線はd線、破線はg線(λ=435.8nm)、一点鎖線はC線(λ=656.3nm)を示し、非点収差曲線における実線はサジタル、破線はメリジオナルの像面を示す。
次に、第2の変倍形態としての超望遠単焦点モードについて説明する。前記第2レンズ群G2をズームモードにおける望遠端の位置に固定し、前記第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間に、Tレンズ群Tをその光軸が他のレンズ群G1、G2、G3、G4、G5共有されるように挿入してズームモードの望遠端における焦点距離よりも焦点距離を長くし、第4レンズ群G4によって合焦を行うように構成する。
ここでフォーカスレンズ群(第4レンズ群G4)の像側に焦点距離拡大用のTレンズ群Tを配置するのは、フォーカシングの移動量をズームモード時と同等に保つためである。もし仮に焦点距離拡大用のTレンズ群Tをフォーカスレンズ群より物体側に配置したとすると、物体距離の変化率が焦点距離拡大用のTレンズ群Tで二乗で拡大されてフォーカスレンズ群に入射することになり、焦点距離拡大用のTレンズ群Tの変倍比が約2倍だとすると、フォーカスレンズ群の距離変化に追随するための移動量は約4倍必要になって、至近距離が実用にならないほど遠くなったり、物体距離変化による収差変動が補正困難になる弊害を招く。すなわちズームレンズの構成を、正、負、正、負、正の屈折力で構成して、フォーカスレンズG4の像側に焦点距離拡大用のTレンズ群Tを挿入することは、極めて合理的な変倍手段である。
前記Tレンズ群Tを構成する正レンズ群は、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズT1と凸レンズT2との接合レンズで構成され、負レンズ群は両凹レンズT3で構成される。そして、このTレンズ群Tは前記条件式(1)、(2)、(3)、(4)を満足する。
前記数値実施例1を元に、超望遠単焦点モード(第2の変倍形態)に切換えたときの数値実施例2のレンズデータを表6に示す。
Figure 0005070982
合焦のために、第4レンズ群G4が光軸方向に移動する。すなわち、面間隔d21(第3レンズ群との間の面間隔)及びd26(Tレンズ群との間の面間隔)が変化する。そこで、物体距離が無限大と−7440.0(1面基準)の時の前記各面間隔の値を焦点距離、Fナンバー、画角2ωと共に表7に示す。
Figure 0005070982
「|DW45/f4|」及び「DT/DW45」の値を表8に示す。
Figure 0005070982
前記超望遠単焦点モードの数値実施例2における球面収差、像面湾曲、歪曲収差を図9に示す。なお、前記収差図において、球面収差曲線と横収差曲線における実線はd線、破線はg線、一点鎖線はC線を示し、非点収差曲線における実線はサジタル、破線はメリジオナルの像面を示す。
次に、第3の変倍形態としての超広角単焦点モードについて説明する。前記第2レンズ群G2をズームモードにおける広角端の位置に固定し、第1レンズ群G1の物体側に負レンズ群から成るWレンズ群Wを光軸が他のレンズ群G1、G2、G3、G4、G5と共有されるように配置する。
Wレンズ群Wは、物体側より順に位置した、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズW1と像側に強い凹面を向けた負メニスカスレンズW2とから成る。
前記数値実施例1を元に、超広角単焦点モード(第3の変倍形態)に切換えたときの数値実施例3のレンズデータを表9に示す。
Figure 0005070982
第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間の面間隔d25及び第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間の面間隔d30の値を焦点距離、Fナンバー、画角2ωと共に表10に示す。
Figure 0005070982
前記超広角単焦点モードの数値実施例3における球面収差、像面湾曲、歪曲収差を図10に示す。なお、前記収差図において、球面収差曲線と横収差曲線における実線はd線、破線はg線、一点鎖線はC線を示し、非点収差曲線における実線はサジタル、破線はメリジオナルの像面を示す。
前記したように、本発明にあっては、ビデオカメラ、静止画ビデオカメラ、スチルカメラ等に適用することができ、変倍レンズは歪曲収差を除く各種収差が良好に補正されると共に、全体として100倍を越えるほどの変倍比を得ることができ、その中で使用頻度が高く、小型化に適した超広角から超望遠までを含む40倍程度の超高倍率ズームレンズを基本構成とし、撮像装置全体として、簡単な操作で望遠端の焦点距離をさらに伸ばしたり、広角端の画角をさらに広げることができる、例えば、35mm判に換算して20mmより広角な超広角レンズと2000mm相当の超望遠レンズを手軽に使え、略25mmから略1000mm相当の約40倍の範囲を連続変倍可能なズームレンズを基本として構成し、略17mmから略2000mmまでの100倍を超える変倍比を達成することができる。また、いかなる画角においてもレンズから発生する歪曲収差を映像信号処理によって良好に補正することができる。
なお、前記した各実施の形態、数値実施例などは、本発明の具体化のほんの一例を示したものであり、これらによって示された、形状や構造並びに数値は本発明の技術的範囲を限定するものではない。
本発明撮像装置の実施の一例を示すブロック図である。 図3と共に本発明撮像装置の実施の一例の外観を示す図であり、本図は超広角単焦点モード(第3の変倍形態)時の状態を示す概略斜視図である。 超広角用レンズ(Wレンズ群)をカメラ筐体から分離して示す概略斜視図である。 電源投入から3つの変倍形態の何れかが選択されるまでの順序を示すフローチャート図である。 変倍レンズの一実施形態のレンズ構成を示す図である。 図7及び図8と共に一実施形態にかかる変倍レンズに具体的数値を適用したズームモード(第1の変倍形態)時の各収差を示す図であり、本図は広角端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。 中間焦点距離状態における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。 望遠端における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。 一実施形態にかかる変倍レンズに具体的数値を適用した超望遠単焦点モード(第2の変倍形態)時の球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。 一実施形態にかかる変倍レンズに具体的数値を適用した超広角単焦点モード(第3の変倍形態)時の球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。
符号の説明
100…ビデオカメラ(撮像装置)、101…撮影レンズ(変倍レンズ)、101c…超望遠レンズ(Tレンズ群)、101d…超広角レンズ(Wレンズ群)、102…撮像素子(撮像手段)、103…画像制御回路(画像制御手段)、G1…第1レンズ群、G2…第2レンズ群、G3…第3レンズ群、G4…第4レンズ群、G5…第5レンズ群

Claims (8)

  1. 変倍レンズと、該変倍レンズによって取り込んだ画像を電気的な画像信号に変換する撮像手段と、画像制御手段とを備え、
    前記画像制御手段は、前記変倍レンズによる変倍率に応じて予め用意されている変換座標係数を参照しながら、前記撮像手段によって形成された画像信号によって規定される画像上の点を移動させて座標変換した新たな画像信号を形成し、該新たな画像信号を出力するように構成され、
    前記変倍レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し光軸上を移動することによって変倍作用を行う第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し広角端から望遠端への変倍に際して光軸上を一旦像側へ移動した後物体側へ移動して変倍に伴う像位置の変動の補正を行うと共に合焦作用を行う第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とが配列され、さらに第4レンズ群と第5レンズ群との間に挿入離脱可能に配置され、物体側より順に位置した正レンズ群と負レンズ群とから成るTレンズ群を有し、
    第1の変倍形態では、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は固定で、Tレンズ群は第4レンズ群の移動を妨げない位置に光路から退避させ、第2レンズ群を光軸方向に移動させることによって主に変倍を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させることによって像位置の変動の補正と合焦を行うように構成し、
    第2の変倍形態では、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での望遠端の位置に固定し、前記第4レンズ群と第5レンズ群との間に、Tレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように挿入して第1の変倍形態の望遠端での焦点距離よりも焦点距離を長くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成した
    ことを特徴とする撮像装置。
  2. 変倍レンズと、該変倍レンズによって取り込んだ画像を電気的な画像信号に変換する撮像手段と、画像制御手段とを備え、
    前記画像制御手段は、前記変倍レンズによる変倍率に応じて予め用意されている変換座標係数を参照しながら、前記撮像手段によって形成された画像信号によって規定される画像上の点を移動させて座標変換した新たな画像信号を形成し、該新たな画像信号を出力するように構成され、
    前記変倍レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し光軸上を移動することによって変倍作用を行う第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し広角端から望遠端への変倍に際して光軸上を一旦像側へ移動した後物体側へ移動して変倍に伴う像位置の変動の補正を行うと共に合焦作用を行う第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とが配列され、さらに第1レンズ群より物体側に着脱自在に配置され、負レンズ群から成るWレンズ群を有し、また第4レンズ群と第5レンズ群との間に挿入離脱可能に配置され、物体側より順に正レンズ群と負レンズ群から成るTレンズ群を有し、
    第1の変倍形態では、Wレンズ群は光路から外し、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は固定で、Tレンズ群は第4レンズ群の移動を妨げない位置に光路から退避させ、第2レンズ群を光軸方向に移動させることによって主に変倍を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させることによって像位置の変動の補正と合焦を行うように構成し、
    第2の変倍形態では、Wレンズ群は光路から外したまま、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での望遠端の位置に固定し、前記第4レンズ群と第5レンズ群との間に、Tレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように挿入して第1の変倍形態での望遠端の焦点距離よりも焦点距離を長くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成し、
    第3の変倍形態では、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での広角端の位置に固定し、Tレンズ群を光路から退避させ、Wレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように装着して、第1の変倍形態での広角端の焦点距離よりも焦点距離を短くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成した
    ことを特徴とする撮像装置。
  3. 電源投入時に、前記Wレンズ群及びTレンズ群が光路上にあるか否かの検出を行い、該検出の結果に基づいて、Wレンズ群が光路上にあるときは前記第3の変倍形態を適用してTレンズ群を光路から離脱させ、Wレンズ群が光路上になく、Tレンズ群が光路上に挿入されているときは前記第2の変倍形態を適用し、Wレンズ群もTレンズ群も光路上にないときに第1の変倍形態を適用するように構成した
    ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
  4. 前記第2の変倍形態による超望遠撮影において、画面中心へ向かう光線束を絞り羽根で遮蔽することなく、開放絞りを維持する
    ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  5. 前記第2の変倍形態による超望遠撮影において、画面中心へ向かう光線束を絞り羽根で遮蔽することなく、開放絞りを維持する
    ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
  6. 物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有し光軸上を移動することによって変倍作用を行う第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有し広角端から望遠端への変倍に際して光軸上を一旦像側へ移動した後物体側へ移動して変倍に伴う像位置の変動の補正を行うと共に合焦作用を行う第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とが配列され、さらに第4レンズ群と第5レンズ群との間に挿入離脱可能に配置され、物体側より順に正レンズ群と負レンズ群から成るTレンズ群を有し、第1の変倍形態では、第1レンズ群と第3レンズ群と第5レンズ群は固定で、Tレンズ群は第4レンズ群の移動を妨げない位置に光路から退避させ、第2レンズ群を光軸方向に移動させることによって主に変倍を行い、第4レンズ群を光軸方向に移動させることによって像位置の変動の補正と合焦を行うように構成し、
    第2の変倍形態では、前記第2レンズ群を第1の変倍形態での望遠端の位置に固定し、前記第4レンズ群と第5レンズ群との間に、Tレンズ群をその光軸が他のレンズ群と共有されるように挿入して第1の変倍形態での望遠端の焦点距離よりも焦点距離を長くし、第4レンズ群によって合焦を行うように構成した
    ことを特徴とする変倍レンズ。
  7. 上記Tレンズ群を構成する正レンズ群は、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズと凸レンズとの接合レンズで構成され、以下の条件式(1)、(2)、(3)、(4)を満足することを特徴とする請求項6に記載の変倍レンズ。
    (1)0.8<│DW45/f4│<1.2
    (2)0.35<DT/DW45<0.6
    (3)nT1>1.77
    (4)nT2<1.62
    但し、
    f4:第4レンズ群の焦点距離
    DW45:第1の変倍形態での広角端における第4レンズ群と第5レンズ群との間の空気間隔
    DT:Tレンズ群内の空気間隔
    nT1:Tレンズ群の上記凹メニスカスレンズの屈折率
    nT2:Tレンズ群の上記凸レンズの屈折率
    とする。
  8. 前記第2レンズ群の最も物体側の凹レンズの少なくとも1面を非球面とした
    ことを特徴とする請求項6に記載の変倍レンズ。
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