JP5070258B2 - ギアポンプ - Google Patents
ギアポンプInfo
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Description
従来型のギアポンプは、その入力軸が正転しているときには正常に液圧を発生できるものの、入力軸が逆転するとギアポンプの吸入吐出の方向も逆転してしまう構造となっており、油圧ショベルやブルドーザ、ダンプトラックを始めとする各種建設機械などに搭載しようとすると、ギアポンプの吸入吐出口の夫々に複数のチェックバルブを組み合わせて配置し、吸入吐出方向が逆転したときにも流力流体が一定方向に流れるように液圧回路を別途構築しなければならないこととなるが、このように複数のチェックバルブをギアポンプに組み込むとポンプ装置全体が大型化してしまい、また、外付け配管でチェックバルブを組み付けた場合には、ギアポンプ搭載スペースの拡大や配管の露出、外がわへの突出などを招き、建設機械などに搭載すると、建設工事中の作業性や安全性を悪化させてしまうという問題があった。
こうした状況を憂慮して、例えば、下記の特許文献1(1)に提案されている発明に代表されるように、オイルポンプに、回転駆動源との間に5個以上のギアおよび2個のクラッチを組み込み、入力軸が正逆転しても、オイルポンプを常に所定の方向に回転駆動することができるようにしたものや、同特許文献1(2)に見られるような、入力軸と油圧ポンプとの間に、遊星歯車機構とワンウェイクラッチとを用いた逆転防止機構を設けて入力軸が、逆転したときにも油圧ポンプを正転方向に駆動するようにしてなるものなどが散見される。
このように、従前までに提案のある各種油圧ポンプは、何れも従来型の複数のチェックバルブを組み合わせたものよりは確かに小型化できるものになってはいるものの、どうしても複数のギアやクラッチ、遊星歯車機構などの組み込みが不可欠となることから、部品点数を大幅削減してギアポンプを充分に小型軽量化できるものとはなっておらず、一層の改良、開発が望まれてはいるものの、現在までのところでは、さらなる構造の簡素化と小型軽量化とを実現可能とし、ポンプ効率、メンテナンス性および経済性を高めることができるようにしたギアポンプ技術について、未だに実現し得ていないという実情に強い関心を抱くことになった。
そこで、この発明者は、入力軸の正逆転駆動に自動的に対応して常に一定方向に圧力流体を圧送可能とすると共に、必要部品点数を各段に削減して構造の大幅な簡素化と小型軽量化とを達成可能とする新たな油圧ポンプ技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造のギアポンプを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示してあるこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
図面に示してある代表的な実施例からも明確に把握できるように、この発明のギアポンプは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、ポンプケーシング内に一対のポンプ歯車同士を軸心平行且つ噛合状態に内装軸着した耐圧室、該耐圧室の一方に圧力流体用の吸込口、同耐圧室を挟んだ、吸込口とは反対がわに吐出口を夫々形成し、前記一対のポンプ歯車の同一方向軸端の夫々に、互いに逆回転方向にのみ回転力を伝達可能なワンウェイクラッチを同心状に装着すると共に、双方のワンウェイクラッチ同士を同一方向に回転可能とする回転力伝達機構で接続して回転方向整合装置を形成した上、該回転方向整合装置の何れか一方のワンウェイクラッチか、または、同回転方向整合装置の回転力伝達機構かの何れか一つに、正逆回転入力可能な入力軸を接続してなるものとした構成を要旨とするギアポンプである。
ポンプケーシングは、当該ギアポンプの本体を形成し、油圧回路への接続を可能とする機能を果たすものであり、その内部に耐圧室を形成し、一方壁に圧力流体用の吸込口を開口すると共に、該耐圧室を挟む他方壁に送出口を開口し、堂耐圧室内には、一対のポンプ歯車同士を軸心平行且つ噛合状態に内装軸着したものでなければならず、一対のポンプ歯車の同一方向軸端の夫々に、回転方向整合装置および入力軸を適宜組み込み可能なものとすべきであって、対象となる油圧装置や建設機械などへの装着を可能とするフランジや取り付け装置などを適宜設けたものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
以上のとおりの構成からなるこの発明のギアポンプ1は、図1および図2中に示すように、入力軸6が正回転している場合は、回転方向整合装置4の同入力軸6に一体化したがわのワンウェイクラッチ40の回転が、同入力軸6に一体化したワンウェイクラッチ40から、そのワンウェイクラッチ40が装着されている一方のポンプ歯車3に直接的に伝達されて、図4中の破線で示すように、一対のポンプ歯車3,3同士が互いの噛合によって連動し、同図4中の二点鎖線矢印に示すように、圧力流体を吸込口25から吸引すると共に、各ポンプ歯車3,3の外がわ回りとなる各歯30,30,……間谷部が耐圧室24内周壁に沿って移送し、送出口26から吐出するものとなり、しかもこのように入力軸6が正回転している場合には、図2中に示すように、前記回転方向整合装置4の当該入力軸6に一体化したワンウェイクラッチ40の歯車外歯41に噛合した回転力伝達機構5である伝達ギア5が従動回転し、他方のワンウェイクラッチ40を回転駆動するが、該他方のワンウェイクラッチ(図1および図2中の下がわ配置のワンウェイクラッチ)40は空転してポンプ歯車(図1および図4中の下がわ配置のポンプ歯車)3に回転力を伝達せず、同ポンプ歯車3が圧力流体を送出口26に向けて吐出する方向にのみ回転自在の状態となる。
以上のような構成からなる実施例1のギアポンプ1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1中に示すよう、ポンプケーシング2のケーシング本体20内と左右側壁部21,22との間に、一対のポンプ歯車3、回転方向整合装置4のワンウェイクラッチ40,40、および回転力伝達機構5である伝達ギア5、ならびに、入力軸6のワンウェイクラッチ40に一体化している端部がわが一まとめに、各部のシール部品7,7,7を伴って液密状に収容されているから、個別の液密構造を必要とせず、ギアポンプ1全体を各段に簡素化、コンパクト化できるという秀れた効果を発揮するものとなる。
叙述の如く、この発明のギアポンプは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの油圧ポンプ技術に比較して必要部品点数を大幅に削減して構造の簡素化と小型・軽量化とを達成可能とし、低廉化して遥かに経済的なものにすることができる上、正逆回転入力によっても、常に圧力流体を一定方向に高効率で安定吐出可能なものとなるから、当該ギアポンプを組み込んだ油圧装置の性能を各段に高性能化することができ、従前までは複雑で大型の油圧回路を組み込む必要があり、ギアポンプの小型、軽量化を断念せざるを得なかった油圧機械業界や重工業業界はもとよりのこと、これまで油圧機械の複雑さや、部品点数の多さに悩まされてきた建設機械業界や各種生産技術業界などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
2 ポンプケーシング
20 同 ケーシング本体
21 同 左側壁部
22 同 右側壁部
23 同 軸孔
24 同 耐圧室
25 同 吸込口
26 同 送出口
27 同 軸受け穴
28 同 ベアリング
3 ポンプ歯車
30 同 歯
31 同 一方の軸端
32 同 他方の軸端
4 回転方向整合装置
40 同 ワンウェイクラッチ
41 同 歯車外歯
42 同 スプロケット外歯
5 回転力伝達機構(伝達ギア、伝達チェーン)
6 入力軸
7 シール部品
Claims (7)
- ポンプケーシング内に一対のポンプ歯車同士を軸心平行且つ噛合状態に内装軸着した耐圧室、該耐圧室の一方に圧力流体用の吸込口、同耐圧室を挟んだ、吸込口とは反対がわに吐出口を夫々形成し、前記一対のポンプ歯車の同一方向軸端の夫々に、互いに逆回転方向にのみ回転力を伝達可能なワンウェイクラッチを同心状に装着すると共に、双方のワンウェイクラッチ同士を同一方向に回転可能とする回転力伝達機構で接続して回転方向整合装置を形成した上、該回転方向整合装置の何れか一方のワンウェイクラッチか、または、同回転方向整合装置の回転力伝達機構かの何れか一つに、正逆回転入力可能な入力軸を接続してなるものとしたことを特徴とするギアポンプ。
- ポンプケーシング内に一対のポンプ歯車同士を軸心平行且つ噛合状態に内装軸着した耐圧室、該耐圧室の一方に圧力流体用の吸込口、同耐圧室を挟んだ、吸込口とは反対がわに吐出口を夫々形成し、前記一対のポンプ歯車の同一方向軸端の夫々に、互いに逆回転方向にのみ回転力を伝達可能なワンウェイクラッチを同心状に装着すると共に、双方のワンウェイクラッチ同士を同一方向に回転可能とする回転力伝達機構で接続して回転方向整合装置を形成するようにした上、該回転方向整合装置の何れか一方のワンウェイクラッチか、または、同回転方向整合装置の回転力伝達機構かの何れか一つに、正逆回転入力可能な入力軸を接続し、該入力軸が正転の場合に、当該回転方向整合装置の何れか一方のワンウェイクラッチが一対のポンプ歯車を正転従動させるようにし、また、同入力軸が逆転の場合に、当該回転方向整合装置の何れか一方のワンウェイクラッチが空転し、当該回転力伝達機構を介して何れか他方のワンウェイクラッチが一対のポンプ歯車を自動的に正転従動させるものとしたことを特徴とするギアポンプ。
- ポンプケーシング内に一対のポンプ歯車同士を軸心平行且つ噛合状態に内装軸着した耐圧室、該耐圧室の一方に圧力流体用の吸込口、同耐圧室を挟んだ、吸込口とは反対がわに吐出口を夫々形成し、前記一対のポンプ歯車の同一方向軸端の夫々に、互いに逆回転方向にのみ回転力を伝達可能なワンウェイクラッチを同心状に装着すると共に、双方のワンウェイクラッチ同士を同一方向に回転可能とする回転力伝達機構で接続して回転方向整合装置を形成した上、該回転方向整合装置の何れか一方のワンウェイクラッチに、正逆回転入力可能な入力軸を同心状に一体化してなるものとしたことを特徴とするギアポンプ。
- ポンプケーシング内に一対のポンプ歯車同士を軸心平行且つ噛合状態に内装軸着した耐圧室、該耐圧室の一方に圧力流体用の吸込口、同耐圧室を挟んだ、吸込口とは反対がわに吐出口を夫々形成し、前記一対のポンプ歯車の同一方向軸端の夫々に、互いに逆回転方向にのみ回転力を伝達可能なワンウェイクラッチを同心状に装着すると共に、双方のワンウェイクラッチ同士を同一方向に回転可能とする回転力伝達機構で接続して回転方向整合装置を形成した上、該回転方向整合装置の何れか一方のワンウェイクラッチに、正逆回転入力可能な入力軸を同心状に一体化し、該入力軸が正転の場合に、当該回転方向整合装置の入力軸一体がわのワンウェイクラッチが一対のポンプ歯車を正転従動させるものとなり、また、同入力軸が逆転の場合に、当該回転方向整合装置の入力軸一体がわのワンウェイクラッチが空転し、当該回転力伝達機構を介して他方のワンウェイクラッチが一対のポンプ歯車を自動的に正転従動させものとしたことを特徴とするギアポンプ。
- 回転方向整合装置が、各ワンウェイクラッチの外周壁に歯車外歯を形成し、回転力伝達機構が双方のワンウェイクラッチ歯車外歯に歯合する伝達ギアからなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載のギアポンプ。
- 回転方向整合装置が、各ワンウェイクラッチの外周壁にスプロケット外歯を形成し、回転力伝達機構が双方のワンウェイクラッチに巻掛けた伝達チェーンからなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載のギアポンプ。
- 回転方向整合装置が、各ワンウェイクラッチの外周壁にプーリー周壁を形成し、回転力伝達機構が双方のワンウェイクラッチに巻掛けた伝達ベルトからなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載のギアポンプ。
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