以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明による曲面表示パネル用画像データ生成装置によって作成された画像データに基づいて画像を表示する曲面表示パネルの例を示す模式図である。ただし、基板11,12上に配置される透明電極等の図示は省略している。ここでは、曲面表示パネル10が基板11,12間に液晶を挟持した液晶パネルである場合の例を示している。また、図1に例示する曲面表示パネル10は、垂直方向に湾曲しているものとする。
図1に示す例では、表示面15が凹曲面であり、観察者の視点21は表示面15の正面方向から表示面15に表示される画像を観察するものとする。
曲面表示パネル10は、第一透明基板11および第二透明基板12の間に液晶(図示せず。)を挟持した構成になっている。液晶は、第一透明基板11、第二透明基板12およびシール材(図示せず。)によって曲面表示パネル10内に封止されている。図1に例示する第一透明基板11および第二透明基板12は、いずれも垂直方向に湾曲している。ただし、水平方向には湾曲していない。
曲面表示パネル10は、例えば、マトリクス状に配置された各画素毎にスイッチング素子(例えば、TFT(Thin Film Transistor))を備え、アクティブマトリクス駆動を採用した曲面表示パネルであってもよい。この場合、一方の透明基板に共通電極(図示せず。)が配置され、もう一方の透明基板状に各画素に対応する表示電極およびスイッチング素子の組み合わせ(図示せず。)がマトリクス状に配置される。以下、スイッチング素子がTFTであるものとして説明する。また、各表示電極は、液晶を介して共通基板と対向するように配置される。共通電極やマトリクス状に配置される各表示電極は、透明基板の形状に合致するように湾曲している。
表示電極は、TFTのドレインに接続される。また、TFTのソースはソース配線に接続され、TFTのゲートはゲート配線に接続される。ゲート配線を介してゲートが所定のオン電位に設定されると、ソースとドレインとの間が導通状態となり、表示電極がソース配線と等しい電位に設定される。ゲートの電位が所定のオフ電位に設定されると、ソースとドレインとの間が非導通状態となり、ソース配線と表示電極の間も非導通状態に切り替えられる。所定のオン電位とは、ソースとドレインとの間を導通状態にするためのゲートの所定電位である。所定のオフ電位とは、ソースとドレインとの間を非導通状態にするためのゲートの所定電位である。以下、所定のオン電位をVgHと表し、所定のオフ電位をVgLと表すことにする。
各ゲート配線は行毎に、1行におけるそれぞれのTFTのゲートに接続される。そして、各ソース配線は列毎に、1列におけるそれぞれのTFTのソースに接続される。曲面表示パネル10を駆動するゲートドライバおよびソースドライバ(いずれも図示せず。)のうち、ゲートドライバは、ゲート配線を順次選択しながら走査し、選択したゲート配線の電位をVgHに設定し、選択していないゲート配線の電位をVgLに設定する。ゲートドライバによって選択された行の選択期間中、ソースドライバは、選択されたゲート配線に対応する1行分の各画素の画像データに応じて、各ソース配線の電位を設定する。この結果、選択したゲート配線に対応する1行分の各画素電極と共通電極との間の液晶に、画像データに応じた電圧が印加される。また、その1行分の画素に、それぞれ電荷が蓄積される。以降、同様にゲート配線を順次選択していくことにより、1画面分の画像が表示される。
また、曲面表示パネル10は、単純マトリクス駆動を採用した曲面表示パネルであってもよい。この場合、一方の透明基板に複数の走査電極(図示せず。)が配置され、もう一方の透明基板に複数の信号電極(図示せず。)が配置される。各走査電極と各信号電極とは液晶を介して互いに直交するように配置される。また、各走査電極および各信号電極は、透明基板の形状に合致するように湾曲している。この曲面表示パネル10を駆動する走査電極ドライバおよび信号電極ドライバ(いずれも図示せず。)のうち、走査電極ドライバは、走査電極を順次選択しながら走査し、選択した走査電極を所定の選択時電位に設定し、他の走査電極を所定の非選択時電位に設定する。一本の走査電極が選択されている間、信号電極ドライバは、選択された走査電極に対応する1行分の各画素の画像データに応じて、各信号電極の電位を設定する。この結果、選択された走査電極と各信号電極との間の液晶に、画像データに応じた電圧が印加される。以降、同様に走査電極を順次選択していくことにより、1画面分の画像が表示される。
本発明による曲面表示パネル用画像データ生成装置によって作成された画像データに基づいて画像を表示する曲面表示パネルの各画素の大きさは等しい。すなわち、各画素の高さ(湾曲に沿った長さ)はそれぞれ等しく、各画素の幅もそれぞれ等しい。
なお、ここでは曲面表示パネル10がアクティブマトリクス駆動方式や単純マトリクス駆動方式で駆動される液晶パネルである場合を例示したが、他の表示パネルであってもよい。例えば、有機EL(Electroluminescence )表示パネルであってもよい。
本発明による曲面表示パネル用画像データ生成装置は、上記のような曲面表示パネルに表示させる画像の画像データを生成する。すなわち、上述のソースドライバあるいは信号電極ドライバに供給される画像データを生成する。
図2は、本発明による曲面表示パネル用画像データ生成装置(以下、画像データ生成装置と記す。)の構成例を示す説明図である。なお、以下の説明においても、曲面表示パネルが垂直方向に湾曲している場合を例にして説明する。また、曲面表示パネルが画像を表示する表示面(観察者によって画像が観察される側の面)が凹曲面である場合を例にして説明する。また、曲面表示パネル10が垂直方向に円弧形に湾曲し、その湾曲の曲率半径は一定であるものとして説明する。以下、この曲率半径をrとする。
本発明の画像データ生成装置には、その曲面表示パネルと等しい行数および列数で画素が配置された平面パネル(平面の表示パネル)用の画像データが入力される。本実施の形態では、画像データは、2値画像の画像データであるものとする。画像データは、平面パネルにマトリクス状に配置された各画素に対応するデータ(例えば、“0”または“1”)を含んでいる。以下、画像データにおいて、各画素の表示は“0”または“1”で表され、“0”は白表示を表し、“1”は黒表示を表すものとする。本発明の画像データ生成装置は、この平面パネル用の画像データを補正することによって、曲面表示パネル用の画像データを生成する。
画像データ生成装置は、水平垂直補正部1と、第一フレームメモリ2と、スケーリング部3と、第二フレームメモリ4とを備える。
第一フレームメモリ2および第二フレームメモリ4は、それぞれ1画面分の画像データを記憶可能な記憶装置である。
水平垂直補正部1には、曲面表示パネルと等しい行数および列数で画素が配置された平面パネル用の1画面分の画像データが入力される。1画面分の画像データのうち、1列分の画素に対応する画像データを列データと記し、1行分の画素に対応する画像データを行データと記す。また、曲面表示パネルにおける画素の列数はP列であり、1画面分の画像データにはP列分の列データが含まれているものとする。水平垂直補正部1は、入力された1画面分の画像データを第一フレームメモリ2に記憶させる。そして、水平垂直補正部1は、を第一フレームメモリ2に記憶させた画像データを読み込み、その画像データに対する補正を行う。
ここで、曲面表示パネルの表示領域(画素がマトリクス状に配置された領域)が湾曲していないと仮定した場合における表示領域の高さをVとする。すなわち、表示領域の湾曲に沿った長さをVとする(図1参照。)。また、観察者の視点21から基準位置22への視線に垂直な平面を平面Tと記す。表示領域の上端の平面Tへの正射影71と、表示領域の下端の平面Tへの正射影72との間隔(距離)をvとする(図1参照。)。なお、基準位置については後述する。曲面表示パネルの表示領域が湾曲していないと仮定した場合に入力された画像データに基づいて画像を表示させた場合、表示領域に表示される画像の高さはVとなるが、実際には湾曲しているので画像の高さはvとして観察される。水平垂直補正部1は、1画面分の画像データに含まれるP列分の列データを、高さの縮尺率v/Vに合わせて、p列分の列データに削減する補正を行う。pは削減後の列データの数であり、削減した列数はP−pである。ただし、厳密にp/P=v/Vが成立していなくてもよい。水平垂直補正部1は、一部の列の列データを、その列に隣接する列の列データと重ね合わせることによって列データを削減する補正を行う。さらに、水平垂直補正部1は、行データの補正を行う。水平垂直補正部1は、行データを他の行データに置換したり、一部の行の行データをその行に隣接する行の行データと重ね合わせたりすることによって、行データを補正する。水平垂直補正部1による補正の具体的な説明については後述する。水平垂直補正部1は、補正後の画像データをスケーリング部3に出力する。
スケーリング部3は、水平垂直補正部1から補正後の画像データが入力されると、その画像データを第二フレームメモリ4に記憶させる。そして、スケーリング部3は、第二フレームメモリ4に記憶させた画像データを読み込み、その画像データを、元の画像データ(平面パネル用の1画面分の画像データ)と同一画素数分の画像データに補正する。スケーリング部3は、水平垂直補正部1によって削減された列データに相当する列数分(P−p列分)の列データを、水平垂直補正部1による補正後の画像データに追加する補正を行う。ただし、スケーリング部3が追加するP−p列分の列データは、白表示または黒表示のみを表す。すなわち、スケーリング部3は、白表示のみを表すP−p列分の列データあるいは黒表示のみを表すP−p列分の列データを、水平垂直補正部1による補正後の画像データに追加する。以下、白表示のみを表すP−p列分の列データを追加する。
スケーリング部3は、水平垂直補正部1による補正後の画像データが表す画像の外側(左右両側)の領域の画像データとして、列データを追加する。すなわち、スケーリング部3は、水平垂直補正部1による補正後の画像データが表す画像が表示領域の中心に配置され、その両側に一色のみ(本例では白色のみ)が表示されるように、列データを追加する補正を行う。スケーリング部3は、削減された列数であるP−pの半分の列数の列データを表示領域における左側の列データとして追加し、削減された列数であるP−pの半分の列数の列データを表示領域における右側の列データとして追加すればよい。P−pが奇数である場合、表示領域における左側の列データとして追加する列数と、表示領域における右側の列データとして追加する列数とが一致していなくてもよい。
画像データ生成装置の動作について説明する前に、まず、曲面表示パネル10を観察する状況について説明する。図3は、曲面表示パネル10を観察する状況を示す説明図である。図3では、曲面表示パネル10として表示領域となる部分のみを示している。本発明の画像データ生成装置が適用される曲面表示パネル10は、予め定められた方向から観察されることを前提とする。観察者の視点21と曲面表示パネル10との距離が曲率半径rに対して十分に大きな値であると、視点21から曲面表示パネル10の表示面の各位置までの各視線は平行であると近似することができる。視点21は、その視点21から曲面表示パネル10の表示面の各位置までの各視線が平行であると近似できる程度まで曲面表示パネル1から離れた位置に存在するものとする。すなわち、観察者はそのような位置から、曲面表示パネル10の表示面に表示された画像を観察するものとする。
また、曲面表示パネル10には、基準位置22が定められる。基準位置22は、曲面表示パネル10内の位置のうち、視点21からの視線が曲面表示パネル10と垂直に交わる位置である。便宜上、以下の説明では、基準位置22が上下に並んだ画素(図3に示す例では画素31,32)の境界に位置しているものとする。図3に示す例では、視点21が曲面表示パネル10の正面の方向に存在していて、基準位置22が曲面表示パネル10の垂直方向における中央部分である場合を示している。
基準位置22から曲面表示パネル10の表示領域の上端まで上方向にn個の画素が並んでいるものとし、基準位置22から上方向に並んだ各画素に対して、基準位置22に近い順に1〜nの番号を割り当てるものとする。同様に、基準位置22から曲面表示パネル10の表示領域の下端まで下方向にm個の画素が並んでいるものとし、基準位置22から下方向に並んだ各画素に対して、基準位置22に近い順に1〜mの番号を割り当てるものとする。本例では、基準位置22が曲面表示パネル10の垂直方向における中央部分であるので、n=mである。
曲面表示パネル10の各画素の高さは等しい。基準位置22から上方向に並んだ各画素の高さをakとし、基準位置22から下方向に並んだ各画素の高さをbkとする。ここで、kは、基準位置22から上方向および下方向に並んだ各画素の番号である。また、透明基板11,12の形状に合わせて各画素も湾曲している。各画素の高さa1〜anおよびb1〜bmは、それぞれの画素の湾曲に沿った長さである。換言すれば、円弧形に湾曲した各画素におけるその円弧の長さである。各画素の高さは等しいので、a1=a2=・・・=an=b1=b2=・・・=bmである。また、各画素で共通の高さをcとする。すなわち、a1=a2=・・・=an=b1=b2=・・・=bm=cである。
基準位置22から上方向に並んだ各画素において、画素の上端の平面Tへの正射影と画素の下端の平面Tへの正射影との間隔(距離)をAkとする。ここで、kは、基準位置22から上方向に並んだ各画素の番号である。
同様に、基準位置22から下方向に並んだ各画素において、画素の上端の平面Tへの正射影と画素の下端の平面Tへの正射影との間隔(距離)をBkとする。ここで、kは、基準位置22から下方向に並んだ各画素の番号である。
なお、平面Tは、観察者の視点21から基準位置22への視線に垂直な平面である。
基準位置22から上方向に並んだk番目の画素において、画素の上端の平面Tへの正射影と画素の下端の平面Tへの正射影との間隔Akは、以下の式によって求められる。
Ak=2・r・sin{c/(2・r)}・sin{(k・c)/(2・r)} (式1)
同様に、基準位置22から下方向に並んだk番目の画素において、画素の上端の平面Tへの正射影と画素の下端の平面Tへの正射影との間隔Bkは、以下の式によって求められる。
Bk=2・r・sin{c/(2・r)}・sin{(k・c)/(2・r)} (式2)
なお、図3に示す曲面表示パネル10の垂直断面において、曲面表示パネル10がなす円弧形の中心位置23と基準位置22とを結ぶ線を基準線と呼ぶことにする。図3に示す各角度θkは、円弧形の中心位置23と基準位置22からk番目の画素の端部(基準位置22から遠い方の端部)とを結ぶ線と、基準線とのなす角度である。
次に、動作について説明する。
まず、水平垂直補正部1には、曲面表示パネルと等しい行数および列数で画素が配置された平面パネル用の1画面分の画像データが入力される。水平垂直補正部1は、入力された1画面分の画像データを第一フレームメモリ2に記憶させる。そして、水平垂直補正部1は、第一フレームメモリ2に記憶させた画像データを読み込み、その画像データに対する補正を行う。
ここでは、曲面表示パネルに64行64列の画素が配置されていて、水平垂直補正部1には、64行64列に配置された各画素の状態(白表示と黒表示のいずれか)を指定する画像データが入力される場合を例にして説明する。また、基準位置22(図3参照。)から上方に32行の画素が並び、基準位置22から下方に32行の画素が並んでいる場合を例にして説明する。さらに、曲面表示パネルの各画素の高さak,bkは、いずれも100(単位は省略して説明する。)であり、各画素の共通の幅Wも100であるものとする。
図4は、曲面表示パネルの表示領域が湾曲していないと仮定した場合において、入力された画像データに基づいて表示される画像の例を示す説明図である。図5は、各行における画素の高さの例を示す説明図である。
水平垂直補正部1は、第一フレームメモリ2に記憶させた画像データを読み込むと、列データを削減するように画像データを補正する。水平垂直補正部1は、列データを削減する補正を以下のように行う。
まず、水平垂直補正部1は、曲面表示パネルの表示領域が湾曲していないと仮定した場合における表示領域の高さVを算出する。Vは、各行における画素の高さの和として計算することができる。水平垂直補正部1は、各行における高さの和としてVを算出すればよい。すなわち各画素の共通の高さcに行数を乗じることでVを算出すればよい。本例では、各画素の共通の高さc=100であるので、Vの値を6400(=100・64)として算出する。なお、Vの値は、曲面表示パネルに配置された画素の行数および画素の高さによって決まる値であるので、水平垂直補正部1は予めVの値を記憶していてもよい。
続いて、水平垂直補正部1は、表示領域の上端の平面Tへの正射影71と、表示領域の下端の平面Tへの正射影72との間隔v(図1参照。)を算出する。vは、基準位置22から上方向に並んだ各行の画素における画素の上端の平面Tへの正射影と画素の下端の平面Tへの正射影との間隔Ak(本例では1≦k≦32)、および基準位置22から下方向に並んだ各行の画素における画素の上端の平面Tへの正射影と画素の下端の平面Tへの正射影との間隔Bk(本例では1≦k≦32)の総和として、vを算出することができる。水平垂直補正部1は、以下に示す式3によってvを算出する。
すなわち、水平垂直補正部1は、式1に従って各Akを算出し、さらに式2に従って各Bkを算出し、その総和としてvを算出する。本例では、水平垂直補正部1は、式1に従ってA1〜A32を算出し、式2に従ってB1〜B32を算出し、A1〜A32およびB1〜B32の総和としてvを算出する。図6は、各行の画素の上端の平面Tへの正射影と各行の画素の下端の平面Tへの正射影との間隔Ak,Bkの値の例を示す説明図である。本例では、A1〜A32およびB1〜B32の総和としてvの値が5200.43として算出されるものとする。
なお、図7は、本発明の画像データ生成装置を用いずに、平面パネル用の画像データをそのまま用いて曲面表示パネルに画像を表示させた場合に認識される画像の例を示す説明図である。図7と図4とを比較して分かるように、曲面表示パネルが湾曲していない平面パネルであると仮定した場合には高さVの画像として認識させるが、実際には高さvの画像として認識される。
水平垂直補正部1は、間隔V,vをそれぞれ算出したならば、削減する列データの数Dを算出する。水平垂直補正部1は、削減する列データの数Dを以下に示す式4に従って算出すればよい。なお、水平垂直補正部1は、小数点以下を四捨五入して、整数としてDを算出する。
D=(V−v)/W (式4)
本例では、V=6400,v=5200.43,各画素で共通の幅W=100であるので、水平垂直補正部1は、D=12を算出する。
水平垂直補正部1は、画像データに含まれるP列分の列データをD個のグループにグループ分けし、各グループから1列分の列データを削減する。水平垂直補正部1は、例えば、画像の左側(あるいは右側)の列から順番に1〜5列目のグループ、6〜11列目のグループ等のように、連続する列のグループとして列データをグループ分けする。なお、左側(あるいは右側)とは、観察者側から見た場合における画像の左側(あるいは右側)を意味する。
水平垂直補正部1は、一つのグループに属する列データの数をP/Dによって算出すればよいが、P/Dが整数であるとは限らない。水平垂直補正部1は、P/Dが整数でない場合、グループに属する列データの数を、P/Dの小数点以下を切り上げた値、あるいはP/Dの小数点以下を切り捨てた値にし、各グループに属する列データの数の総和が、元の画像データに含まれる列データ数Pと一致するようにグループ分けする。
本例では、P=64,D=12であり、P/D=5.33となるので、水平垂直補正部1は、各グループに属する列データの数が5または6になり、その総和が64になるようにグループ分けする。本例では、水平垂直補正部1は、画像の左側から順番に、5列、5列、6列、5列、5列、6列、・・・となるように列データをグループ分けする。すなわち、左から順板に、第1列から第5列までの列データのグループ、第6列から第10列までの列データのグループ、第11列から第16列までの列データのグループ、第17列から第21列までの列データのグループ、第22列から第26列までの列データのグループ、第27列から第32列までの列データのグループ、第33列から第37列までの列データのグループ、・・・にグループ分けする。
各グループにおける端の列からP/(2・D)番目の列(P/(2・D)が整数でない場合、小数点以下を切り上げればよい。)は、各グループにおけるほぼ中央の列である。なお、上記の「各グループにおける端の列」とは、各グループにおける一番左側(あるいは一番右)の列である。本例では、各グループにおける一番左側の列を各グループにおける端の列とする。水平垂直補正部1は、各グループにおける一番左側の列からP/(2・D)番目の列およびその隣の列の列データを特定する。本例では、P/(2・D)=2.7であるので、水平垂直補正部1は、この値を切り上げ、各グループにおける端から3番目の列および4番目の列の列データを特定する。
例えば、水平垂直補正部1は、第1列から第5列までの列データのグループにおいては、第1列から3番目の第3列およびその列に隣接する第4列の列データを特定する。また、例えば、第11列から第16列までの列データのグループにおいては、第13列およびその列に隣接する第14列の列データを特定する。
水平垂直補正部1は、各グループ毎に、特定した2列分の列データを重ね合わせて、1列分の列データに削減する。ここで、「特定した2列分の列データを重ね合わせる」とは、具体的には、以下の動作を意味する。特定した2列分の列データには、互いに隣接する2個の画素の画像データの組が各行毎に含まれる。水平垂直補正部1は、各行毎に、互いに隣接する2個の画素の画像データの組を参照する。そして、水平垂直補正部1は、2個の画素の画像データがいずれも白表示を示しているならば、その2個の画素の画像データの組を、白表示を示す一つの画像データに置き換える。また、水平垂直補正部1は、2個の画素の画像データのうち、少なくともいずれか一方の画像データが黒表示を示しているならば、その2個の画素の画像データの組を、黒表示を示す一つの画像データに置き換える。
図8は、水平垂直補正部1による2列分の列データの重ね合わせの例を示す説明図である。図8(a)は、2列分の列データを示し、図8(b)は、重ね合わせ合わせ後の1列分の列データを示す。また、“1”は黒表示を示し、“0”は白表示を示す。図8(a)に示す1行目の2個の画素の画像データは、いずれも白表示を示す画像データ(“0”)であるので、水平垂直補正部1は、その2個の画素の画像データを、白表示を表す1個の画像データ(“0”)に置き換える(図8(b)参照。)。また、図8(a)に示す2行目の2個の画素の画像データは、一方が黒表示を示す“1”であるので、水平垂直補正部1は、その2個の画素の画像データを、黒表示を表す1個の画像データ(“1”)に置き換える(図8(b)参照。)。また、図8(a)に示す3行目の2個の画素の画像データは、両方とも黒表示を示す“1”であるので、水平垂直補正部1は、その2個の画素の画像データを、黒表示を表す1個の画像データ(“1”)に置き換える(図8(b)参照。)。水平垂直補正部1は、各行についてこのような置き換えを行う。この結果、図8(b)に例示する重ね合わせ後の1列分の列データが得られ、2列分の列データが1列分の列データに削減される。本例では、水平垂直補正部1は、2個の画素の画像データの組毎に、論理和(OR)を求めればよい。
なお、上記の説明は、背景を白色として黒色の文字、記号、図形を表すことを前提にして例に説明した。背景を黒色として白色の文字、記号、図形を表すことを前提にする場合、水平垂直補正部1は、2個の画素の画像データがいずれも黒表示を示しているならば、その2個の画素の画像データの組を、黒表示を示す一つの画像データに置き換え、2個の画素の画像データのうち、少なくともいずれか一方の画像データが白表示を示しているならば、その2個の画素の画像データの組を、白表示を示す一つの画像データに置き換えればよい。
列データを削減する補正を行った後、水平垂直補正部1は、行データの補正を行う。図9は、行データの補正に関する説明図である。なお、図9に示す小数は、小数点以下第3位を四捨五入した値である。まず、図9について説明する。
図9に示す「基準位置からの順番を示す番号」は、基準位置22(図3参照。)から何番目の画素が属する行の行データであるのかを示す。
図9に示す「表示領域端部からのAkまたはBkの累計値L」は、「基準位置からの順番を示す番号」の画素までの表示領域端部からのAkまたはBkの累計値である。表示領域端部とは、基準位置22より上方の画素に関する計算を行う場合、表示領域の上端の画素を意味し、基準位置22より下方の画素に関する計算を行う場合、表示領域の下端の画素を意味する。例えば、本例において、基準位置22から上方に並んだ31番目の画素では、累計値Lは、A32+A31=99.48となる。他の画素に対応する累計値Lも同様に算出することができる。
図9に示す「置換対象行の画素の番号」は、行データを新たに置き換えるために採用する行の画素に割り当てられた番号である。「置換対象行」は、行データを新たに置き換えるために採用する行である。例えば、基準位置22から上方に並んだ第e番目の行の行データを、基準位置22から上方に並んだ第f番目の行データに置換する場合、“f”が「置換対象行の画素の番号」に該当する。
図9に示す「置換対象行に応じた累計値M」について説明する。表示領域の高さがvであり、画素の列数および行数が曲面表示パネルの画素の列数および行数と等しく、各画素の高さがそれぞれ共通の平面パネルを考える。この平面パネルにおける各画素の共通の高さをc’とすると、c’=c・(v/V)となる。本例ではc=100,v/V=(5200.43/6400)=81.26である。また、置換対象行の番号を表示領域端部の行から順番に1から数えた場合の値をhとする。「置換対象行に応じた累計値M」は、表示領域端部の行から置換対象行までの各行の画素の高さの累計値であり、c’とhとの積である。例えば、置換対象行が、表示領域の上端の行(本例では、基準位置22から上方に並んだ32番目の行)であるとすると、その行は表示領域端部から1番目の行に該当するので、累計値Mは81.26となる。同様に、置換対象行が、表示領域の上端から2番目の行(本例では、基準位置22から上方に並んだ31番目の行)であるとすると、累計値Mは、c’・2=162.51となる。置換対象行が他の行であっても、同様に算出される。
LとMとの比とは、L<MであればL/Mであり、L>MであればM/Lである。
水平垂直補正部1は、行データを補正するときに、まず、各行毎に、表示領域端部からのAk,Bkの累計値Lを算出する。
続いて、水平垂直補正部1は、各行毎に、「置換対象行の画素の番号」を変動させ、LとMとの比が最も1に近づく「置換対象行の画素の番号」を特定する。例えば、基準位置22から上方に並んだ32番目の行では、累計値Lは“48.30”である(図9参照。)。水平垂直補正部1は、この32番目の行の行データを置換する候補として、基準位置22から上方に並んだ各行をそれぞれ候補とする。すなわち、水平垂直補正部1は、各行の番号(本例では“1”から“32”までの各番号)をそれぞれ、「置換対象行の画素の番号」とする。そして、水平垂直補正部1は、「置換対象行の画素の番号」とした各番号毎に、「置換対象行の画素の番号」に応じた累計値Mを計算し、さらにMとLとの比を計算する。水平垂直補正部1は、累計値Mを、上述のc’とhとの積として計算すればよい。水平垂直補正部1は、「置換対象行の画素の番号」とした各番号のうち、LとMとの比が最も1に近い値となる番号を、32番目の行の行データを置換する行の番号として特定する。本例では、置換対象行の画素の番号が“32”であるときに、M=81.26となり、LとMとの比が最も1に近くなる。従って、水平垂直補正部1は、基準位置22から上方に並んだ32番目の行データを、同じ行の行データに置換すると判定する。
他の行の行データについても、同様に、「置換対象行の画素の番号」を特定する。例えば、基準位置22から上方に並んだ31番目の行では、累計値Lは、“99.48”である(図9参照。)。水平垂直補正部1は、各行の番号“1”から“32”までをそれぞれ「置換対象行の画素の番号」として、各番号毎に累計値Mを算出し、さらにLとMとの比を算出する。累計値Lが“99.48”である場合、「置換対象行の画素の番号」が“32”のときに、M=81.26となり、LとMとの比が最も1に近づく。従って、水平垂直補正部1は、基準位置22から上方に並んだ31番目の行データを、基準位置22から上方に並んだ32番目の行データに置換すると判定する。
図9は、このような判定を各行毎に行い、最終的に特定した「置換対象行の画素の番号」を示している。
水平垂直補正部1は、各行毎に「置換対象行の画素の番号」を特定した後、「基準位置からの順番を示す番号」に対応する行データを、「置換対象行の画素の番号」に対応する行データに置換する。例えば、水平垂直補正部1は、基準位置22から上方に並んだ31番目の行の行データを、基準位置22から上方に並んだ32番目に置換する。
ただし、特定した「置換対象行の画素の番号」が、「基準位置からの順番を示す番号」と一致する場合、同じ行の行データに置換することになるので、その行に関しては置換を行わなくてよい。
また、水平垂直補正部1は、「置換対象行の画素の番号」として選ばれなかった行の行データについては、その行の外側に隣接する行の行データと重ね合わせて1行分の行データを生成する。そして、水平垂直補正部1は、上記の隣接する行の行データを、生成した1行分の行データに置換する。
例えば、図9に示す例では、「置換対象行の画素の番号」として、“17”が選択されていない。従って、水平垂直補正部1は、基準位置22から上方に並んだ17番目の行の行データと、その外側に隣接する18番目の行データとを重ね合わせて、1行分の行データを生成する。そして、水平垂直補正部1は、基準位置22から上方に並んだ18番目の行の行データを、生成した1行分の行データに置換する。
隣接する2行分の行データを重ね合わせる動作は、2列分の列データを重ね合わせる動作(図8参照。)と同様である。すなわち、隣接する2行分の行データには、互いに隣接する2個の画像データの組が各列毎に含まれる。水平垂直候補部1は、各列毎に、互いに隣接する2個の画素の画像データの組を参照する。そして、水平垂直補正部1は、2個の画素の画像データがいずれも白表示を示しているならば、その2個の画素の画像データの組を、白表示を示す一つの画像データに置き換える。また、水平垂直補正部1は、2個の画素の画像データのうち、少なくともいずれか一方の画像データが黒表示を示しているならば、その2個の画素の画像データの組を、黒表示を示す一つの画像データに置き換える。
また、既に説明したように、背景を黒色として白色の文字、記号、図形を表すことを前提にする場合、水平垂直補正部1は、2個の画素の画像データがいずれも黒表示を示しているならば、その2個の画素の画像データの組を、黒表示を示す一つの画像データに置き換え、2個の画素の画像データのうち、少なくともいずれか一方の画像データが白表示を示しているならば、その2個の画素の画像データの組を、白表示を示す一つの画像データに置き換えればよい。
「基準位置からの順番を示す番号」に対応する行データを、「置換対象行の画素の番号」に対応する行データに置換し、「置換対象行の画素の番号」として選ばれなかった行の行データに関する上記の処理を行ったならば、水平垂直補正部1は、行データに関する補正を終了する。
なお、ここでは、「置換対象行の画素の番号」として選ばれなかった行の行データと、隣接する行の行データとを重ね合わせる場合を説明したが、この行データの重ね合わせを行わずに、「基準位置からの順番を示す番号」に対応する行データを、「置換対象行の画素の番号」に対応する行データに置換するだけで、行データの補正を終了してもよい。この場合、「置換対象行の画素の番号」として選ばれなかった行の行データは、削除されることになる。
図10は、行データの補正後の画像データに基づく画像の例を示す説明図である。水平垂直補正部1に入力される元の画像データには、P列分(本例ではP=64)の列データが含まれているが、水平垂直補正部1が列データを削減するため、列数が減少する。図10に示すように、画像データに最初に含まれていたP列分の列データは、本例では52列分の列データに削減される。図10に示す両側の部分は、列データの削除によって、曲面表示パネル10の画素列数に対して、列データが不足することを表している。なお、元の画像データに含まれていた1行分の行データは、他の1行分の行データに置換されるので、水平垂直補正部1による補正後も、画像データに含まれる行データの数は変わらない。
水平垂直補正部1は、行データの補正を終了した後、その補正後の画像データをスケーリング部3に出力する。スケーリング部3は、水平垂直補正部1から入力される画像データを第二フレームメモリ4に記憶させる。そして、スケーリング部4は、第二フレームメモリに記憶させた画像データを読み込み、その画像データに対する補正を行う。
スケーリング部3は、水平垂直補正部1によって削減された列数分の列データ(D列分の列データ)を、水平垂直補正部1による補正後の画像データに追加する補正を行う。なお、Dは、前述のP−pに相当する。
スケーリング部3は、水平垂直補正部1による補正後の画像データが表す画像の外側(左右両側)の領域の画像データとして、列全体が白色(黒色でもよい。)を示す列データを追加する。すなわち、スケーリング部3は、水平垂直補正部1による補正後の画像データが表す画像が表示領域の中心に配置され、その両側に白色のみ(黒色のみでもよい。)が表示されるように、列データを追加する。具体的には、D/2列分の白色のみを示す列データを、表示領域における左側の列の画像データとして追加し、D/2列分の白色のみを示す列データを、表示領域における右側の列の画像データとして追加する。
この補正によって、図10において不足していた表示領域における左右両側の列の列データが追加される。なお、既に説明したように、D(=P−p)が奇数である場合、表示領域における左側の列データとして追加する列数と、表示領域における右側の列データとして追加する列数とが一致していなくてもよい。
水平垂直補正部1による補正後の画像データに、列データを追加する補正を行ったならば、その補正により、曲面表示パネル用の画像データの生成が完了する。スケーリング部3は、水平垂直補正部1による補正後の画像データに、列データを追加する補正を行った後、その補正後の画像データを、曲面表示パネル10の駆動装置(図示せず。)に出力する。その駆動装置は、各行の画像データを、駆動装置自身が備えているソースドライバあるいは信号電極ドライバに供給し、駆動装置が曲面表示パネル10に画像を表示させる。
図11は、曲面表示パネル10が湾曲していない平面パネルであると仮定したときに、スケーリング部3による補正後の画像データを用いて表示させた画像の例を示す説明図である。図11に示すように、スケーリング部3による補正後の画像データを用いて平面パネルに画像を表示させたとすると、基準位置22から離れた位置に表示される文字等の一部は、縦長になるように表示させる。このように、平面パネルに画像を表示させた場合に、基準位置22から離れた位置では文字等の一部が縦長になるような画像データを生成し、その画像データに基づいて曲面表示パネル10に画像を表示させる。従って、湾曲した曲面表示パネル10に画像を表示された画像は、観察者に歪んで認識されることがない。すなわち、本発明では、観察者の視点21(図3参照。)から観察した画像が歪んで認識されることを防止できる。
上記の実施の形態では、垂直方向に湾曲した曲面表示パネル10用の画像データを生成する画像データ生成装置について説明したが、本発明の画像データ生成装置は、水平方向に湾曲した曲面表示パネル用の画像データ生成装置であってもよい。水平方向に湾曲した曲面表示パネルも、一定の曲率半径rで円弧形に湾曲しているものとする。また、各画素の幅(湾曲に沿った長さ)は等しく、各画素の高さも等しいものとする。さらに、予め定められた方向から観察されることを前提とする。
このような水平方向に湾曲した曲面表示パネル用の画像データを生成する場合、水平垂直補正部1およびスケーリング部3は、垂直方向に湾曲した曲面表示パネル10用の画像データを生成する場合に列データに対して行う処理と同様の処理を行データに対して行い、垂直方向に湾曲した曲面表示パネル10用の画像データを生成する場合に行データに対して行う処理と同様の処理を列データに対して行えばよい。すなわち、水平垂直補正部1は、既に説明した列データを削減する補正と同様に、行データを削減する補正を行い、既に説明した行データの補正と同様に列データの補正を行えばよい。また、スケーリング部3は、水平垂直補正部1によって削減された行データに相当する行数分の行データを、水平垂直補正部1による補正後の画像データに追加する補正を行えばよい。このスケーリング部3が行データを追加する補正は、既に説明した列データを追加する補正と同様に行えばよい。
以下、具体的に説明する。なお、前述の場合と同様に、曲面表示パネルが画像を表示する表示面(観察者によって画像が観察される側の面)が凹曲面である場合を例にして説明する。以下の説明では、曲面表示パネルの表示領域が湾曲していないと仮定した場合における表示領域の幅(表示領域の湾曲に沿った長さ)をVとする。また、水平方向に湾曲した曲面表示パネルの表示領域の右端の平面Tへの正射影と、その表示領域の左端の平面Tへの正射影との間隔(距離)をvとする。また、以下の説明では、曲面表示パネルにおける画素の行数がP行であり、1画面分の画像データにはP行分の行データが含まれているものとする。
さらに、以下の説明では、図3が、曲面表示パネルの水平断面を示しているものとして説明する。そして、基準位置22から右方向に並んだ各画素の幅をa1,a2,・・・,anとし、基準位置22から左方向方に並んだ各画素の幅をb1,b2,・・・,bmとする。各画素の幅は共通でありその幅の値をcとすると、a1=a2=・・・=an=b1=b2=・・・=bm=cである。なお、基準位置22から右方向、左方向それぞれに並んだ各画素に対して、1から順に番号を割り当てている。
基準位置22から右方向に並んだ各画素において、画素の右端の平面Tへの正射影と画素の左端の平面Tへの正射影との間隔(距離)をAkとする。ここで、kは、基準位置22から右方向に並んだ各画素の番号である。
同様に、基準位置22から左方向に並んだ各画素において、画素の右端の平面Tへの正射影と画素の左端の平面Tへの正射影との間隔(距離)をBkとする。ここで、kは、基準位置22から左方向に並んだ各画素の番号である。
水平垂直補正部1には、曲面表示パネルと等しい行数および列数で画素が配置された平面パネル用の1画面分の画像データが入力される。入力された1画面分の画像データを第一フレームメモリ2に記憶させる。そして、水平垂直補正部1は、を第一フレームメモリ2に記憶させた画像データを読み込み、その画像データに対する補正を行う。
まず、水平垂直補正部1は、1画面分の画像データに含まれるP行分の行データを、縮尺率v/Vに合わせて、p行分の行データに削減する補正を行う。ここでは、削減後の行データの数をpとしている。ただし、厳密にp/P=v/Vが成立していなくてもよい。
水平垂直補正部1は、行データを削減するときに、まず、曲面表示パネルの表示領域が湾曲していないと仮定した場合における幅Vを算出する。Vは、各列における画素の幅の和として計算することができ、水平垂直補正部1は、各画素の共通の幅cに列数を乗じることでVを算出すればよい。水平垂直補正部1は予めVの値を記憶していてもよい。
続いて、水平垂直補正部1は、v(平方向に湾曲した曲面表示パネルの表示領域の右端の平面Tへの正射影と、その表示領域の左端の平面Tへの正射影との間隔)を算出する。このとき、水平垂直補正部1は、式1に従って各Akを算出し、さらに式2に従って各Bkを算出し、その総和としてvを算出すればよい。
水平垂直補正部1は、間隔V,vをそれぞれ算出したならば、削減する行データの数(Dとする。)を、D=(V−v)/Hにより算出する。ただし、Hは、曲面表示パネルの各画素の共通の高さである。なお、水平垂直補正部1は、小数点以下を四捨五入して、整数としてDを算出する。
水平垂直補正部1は、画像データに含まれるP行分の行データをD個のグループにグループ分けし、各グループから1行分の行データを削減する。水平垂直補正部1は、一つのグループに属する行データの数をP/Dによって算出すればよいが、P/Dが整数であるとは限らない。水平垂直補正部1は、P/Dが整数でない場合、グループに属する行データの数を、P/Dの小数点以下を切り上げた値、あるいはP/Dの小数点以下を切り捨てた値にし、各グループに属する行データの数の総和がPと一致するようにグループ分けする。
続いて、水平垂直補正部1は、各グループにおける一番上側の行からP/(2・D)番目の行およびその隣の行の行データを特定する。このとき、P/(2・D)が整数でない場合、小数点以下を切り上げればよい。水平垂直補正部1は、各グループ毎に、特定した2行分の行データを重ね合わせて、1行分の行データに削減する。2行分の行データの重ね合わせは、既に説明した動作と同様である。
行データを削減する補正を行った後、水平垂直補正部1は、列データの補正を行う。水平垂直補正部1は、各列毎に、曲面表示パネルの表示領域端部からのAk,Bkの累計値を算出する。ここで、表示領域端部とは、基準位置22より右側の画素に関する計算を行う場合、表示領域の右端の画素を意味し、基準位置22より左側の画素に関する計算を行う場合、表示領域の左端の画素を意味する。図9に示す場合と同様に、この累計値をLと記す。
また、列データを新たに置き換えるために採用する列の画素に割り当てられた番号を、「置換対象列の画素の番号」と記す。「置換対象列」は、列データを新たに置き換えるために採用する列である。
また、図9に示す「置換対象行に応じた累計値M」と同様に、「置換対象列に応じた累計値」を列データの補正に用いる。表示領域の幅がvであり、画素の列数および行数が曲面表示パネルの画素の列数および行数と等しく、各画素の幅がそれぞれ共通の平面パネルを考える。この平面パネルにおける各画素の共通の幅をc’とすると、c’=c・(v/V)となる。また、置換対象列の番号を表示領域端部の列から順番に1から数えた場合の値をhとする。「置換対象列に応じた累計値」は、表示領域端部の列から置換対象列までの各列の画素の幅の累計値であり、c’とhとの積である。以下、この累計値をMとする。そして、「LとMとの比」を、前述の場合と同様に、L<MであればL/Mであり、L>MであればM/Lであると定義する。
水平垂直補正部1は、各列毎に、表示領域端部からのAk,Bkの累計値Lを算出した後、各列毎に、「置換対象列の画素の番号」を変動させ、LとMとの比が最も1に近づく「置換対象列の画素の番号」を特定する。
続いて、水平垂直補正部1は、個々の列毎に、列データを、「置換対象列の画素の番号」に対応する列データに置換する。ただし、「置換対象列の画素の番号」に対応する列データが、置換される前の列データと同一である場合には、置換しなくてよい。
また、水平垂直補正部1は、「置換対象列の画素の番号」として選ばれなかった列の列データについては、その列の外側に隣接する列の列データと重ね合わせて1行分の列データを生成する。そして、水平垂直補正部1は、上記の隣接する列の列データを、生成した1列分の列データに置換する。2列分の列データの重ね合わせは、既に説明した動作と同様である。
以上の処理で、列データに関する補正を終了する。なお、列データを、「置換対象列の画素の番号」に対応する列データに置換するだけで、列データの補正を終了してもよい。
水平垂直補正部1は、列データの補正を終了した後、その補正後の画像データをスケーリング部3に出力する。スケーリング部3は、水平垂直補正部1から入力される画像データを第二フレームメモリ4に記憶させる。そして、スケーリング部4は、第二フレームメモリに記憶させた画像データを読み込み、その画像データに対する補正を行う。
スケーリング部3は、水平垂直補正部1によって削減された行数分の行データ(D行分の行データ)を、水平垂直補正部1による補正後の画像データに追加する補正を行う。
スケーリング部3は、水平垂直補正部1による補正後の画像データが表す画像の外側(上下両側)の領域の画像データとして、行全体が白色(黒色でもよい。)を示す行データを追加する。すなわち、スケーリング部3は、水平垂直補正部1による補正後の画像データが表す画像が表示領域の中心に配置され、その両側に白色のみ(黒色のみでもよい。)が表示されるように、行データを追加する。具体的には、D/2行分の白色のみを示す行データを、表示領域における上側の行の画像データとして追加し、D/2行分の白色のみを示す行データを、表示領域における下側の列の画像データとして追加する。
水平垂直補正部1による補正後の画像データに、行データを追加する補正を行ったならば、その補正により、水平方向に湾曲した曲面表示パネル用の画像データの生成が完了する。スケーリング部3は、水平垂直補正部1による補正後の画像データに、行データを追加する補正を行った後、その補正後の画像データを、曲面表示パネルの駆動装置(図示せず。)に出力する。その駆動装置は、各行の画像データを、駆動装置自身が備えているソースドライバあるいは信号電極ドライバに供給し、駆動装置が曲面表示パネルに画像を表示させる。
スケーリング部3による補正後の画像データを用いて平面パネルに画像を表示させたとすると、基準位置22から離れた位置に表示される文字等の一部は、横長になるように表示される。そのような画像データを生成して、曲面表示パネルに画像を表示させるので、本発明では、画像が歪んで認識されることを防止できる。
以上の説明では、垂直方向あるいは水平方向に湾曲した曲面表示パネルの表示面が凹曲面である場合を示したが、曲面表示パネルの表示面が凸曲面であってもよい。
また、観察者の視点21が曲面表示パネルの正面の方向に存在する場合を例にして説明したが、視点21は正面の方向に限定されない。例えば、視点21が曲面表示パネルの斜め下方向に存在する(すなわち、観察者は斜め下方向から曲面表示パネルを観察する)ことが前提となっていてもよい。
また、曲面表示パネルは、垂直方向および水平方向それぞれに湾曲していたり、その他の態様で湾曲していてもよい。
水平垂直補正部1とスケーリング部3とが同一の装置によって実現されていてもよい。