JP5062659B2 - 量子ビット素子用読み出し方法、及びそれを適用した量子ビット素子用読み出し回路 - Google Patents

量子ビット素子用読み出し方法、及びそれを適用した量子ビット素子用読み出し回路 Download PDF

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Description

本発明は、主としてジョセフソン接合システムで構成される量子計算機や量子中継器等に適用される量子演算回路に備えられる量子ビット素子を対象とした量子ビット素子用読み出し方法、及びそれを適用した量子ビット素子用読み出し回路に関する。
近年、技術分野の進展に伴って量子計算機(Quantum Computer)の実現に向けた量子ビット素子が具現されている。このような量子ビット素子の一例としては、例えば図4に示されるような超伝導磁束量子ビット素子の基本構成(非特許文献1参照)が挙げられる。
この超伝導磁束量子ビット素子では、ジョセフソン接合402を3つ有する超伝導ループ401中に量子化磁束の1/2付近の外部磁束を印加した際、超伝導ループ401を周回する永久電流が時計回りの状態、反時計回りの状態の2つの状態の重ね合わせ状態のときに最もエネルギーの低い2つの固有状態となり、有効な量子2準位系、即ち、量子ビットとして動作する。
こうした量子ビット素子に対する読み出しの一例としては、図5に示されるような量子ビット素子用読み出し回路の基本構成(非特許文献2参照)が挙げられる。
この量子ビット素子用読み出し回路では、上述したような3つのジョセフソン接合を有する超伝導磁束量子ビット素子501に対し、2つのジョセフソン接合を有する接地接続された超伝導磁束量子干渉素子(SQUID)502を対称形となるように磁気的に結合し、更に超伝導磁束量子干渉素子502については電圧状態のスイッチングを行わせ、ここで最適な磁束感度が得られるようにすべく、超伝導磁束量子干渉素子502に対して電流端子506及び電圧端子507を接続して構成されている。
量子ビット素子に対する読み出しの他例としては、図6に示されるような量子ビット素子用読み出し回路の基本構成(非特許文献3参照)が挙げられる。
この量子ビット素子用読み出し回路では、非特許文献2の場合と同様な構成の接地接続された超伝導磁束量子干渉素子602における超伝導磁束量子ビット素子601の生成する磁束によって、超伝導磁束量子干渉素子602の実効インダクタンスが変化することを利用できるように、接地接続されたキャパシタ(C)とこれに接続されたコイル(L)とから成る超伝導LC共振回路603に対してコイル側から超伝導磁束量子干渉素子602を埋め込むように直列接続すると共に、超伝導LC共振回路603のインダクタンスの変化に応じて超伝導LC共振回路603におけるマイクロ波(マイクロ波入力信号)の反射位相が変化(シフト)することを検出できるように、その構成要素であるキャパシタ及びコイルの間を入力キャパシタ605を介在させてマイクロ波伝送線路604に接続して構成されている。
量子ビット素子に対する読み出しの別例としては、図7に示されるような量子ビット素子用読み出し回路の基本構成(非特許文献4参照)が挙げられる。
この量子ビット素子用読み出し回路では、非特許文献3のように超伝導磁束量子ビット素子の持つ磁束ではなく、インダクタンスを検出できるように、接地接続されたキャパシタ(C)とこれに接続されて接地接続されたコイル(L)とから成る超伝導LC共振回路703におけるコイルに近接した位置に超伝導磁束量子ビット素子701を配置すると共に、超伝導磁束量子ビット素子701のインダクタンスの変化に応じて超伝導LC共振回路703におけるマイクロ波(マイクロ波入力信号)に対する応答の変化を検出できるように、構成要素であるキャパシタ及びコイルの間を入力キャパシタ705を介在させてマイクロ波伝送線路704に接続して構成されている。
図8は、上述した各量子ビット素子用読み出し回路に備えられる超伝導磁束量子ビット素子501,601,701における印加磁束量子数に対する諸特性の依存性を示したものであり、同図(a)はエネルギーに関するもの,同図(b)は周回電流(ここでの磁束に関する微分をとったもので、期待値として表わされる)に関するもの,同図(c)はインダクタンスの逆数(更に磁束に関する微分をとったもので、自己インダクタンスLQの逆数1/LQを磁束の関数として表わしたもの)に関するものである。
具体的に言えば、上述した非特許文献2に係る量子ビット素子用読み出し回路については、超伝導磁束量子ビット素子501のエネルギー準位を超伝導ループを貫く磁束の関数として示したものが図8(a)に該当する。ここでは基底状態(演算上では0状態に対応させる)と励起状態(同様に演算上では1に対応させる)とのエネルギーが印加磁束量子数に依存して変化し、丁度量子化磁束の1/2でそれらの状態における差が最小になることを示している。
超伝導磁束量子ビット素子501には、状態として基底状態(0)であるか、或いは励起状態(1)であるかに応じてそれらに対応する互いに逆向きの周回電流が流れる。この周回電流は、エネルギー準位の磁束による微分に比例するもので、その様子は図8(b)に示されるようになる。又、超伝導磁束量子干渉素子502の臨界電流はその超電導ループを貫く磁束に敏感に依存するため、超伝導磁束量子ビット素子501の周回電流によって生成される磁束により若干変化することになる。
そこで、非特許文献2に係る量子ビット素子用読み出し回路では、超伝導磁束量子ビット素子501が基底状態(0)のときの臨界電流と励起状態(1)のときの臨界電流との中間の大きさを持つ電流パルスを電流端子506から超伝導磁束量子干渉素子502へと流すと、基底並びに励起の一方の状態のときは超伝導磁束量子干渉素子502が電圧状態に遷移し、他方の状態のときは超伝導状態に留まるため、電圧端子507に発生する電圧を検出して量子ビット状態を判別するものである。即ち、基本的には超伝導磁束量子ビット素子501の2つの状態の持つ周回電流の違いによって生じる磁束の違いを超伝導磁束量子干渉素子502を通して検出する手法となっている。
非特許文献3に係る量子ビット素子用読み出し回路では、マイクロ波伝送線路604から入力キャパシタ605,超伝導LC共振回路603を通して超伝導磁束量子干渉素子602へマイクロ波を伝送すると、超伝導磁束量子ビット素子601の生成する磁束に応じた超伝導磁束量子干渉素子602の実効インダクタンスの変化を超伝導LC共振回路703におけるマイクロ波(マイクロ波入力信号)の反射位相の変化としてマイクロ波伝送線路604から検出することにより量子ビット状態の読み出しを行うものである。即ち、この場合も超伝導磁束量子ビット素子601の2つの状態の持つ周回電流の違いによって生じる磁束の違いを超伝導磁束量子干渉素子602を通して検出する手法となっており、マイクロ波伝送線路604においてマイクロ波を入射した際の超伝導LC共振回路703からのマイクロ波の反射位相を検出する構成が異なるものの、特性上では非特許文献2の場合に準じるものとなっている。
非特許文献4に係る量子ビット素子用読み出し回路では、マイクロ波伝送線路704から入力キャパシタ705を通して超伝導LC共振回路703へマイクロ波を伝送すると、超伝導磁束量子ビット素子701におけるインダクタンスの変化に伴う超伝導LC共振回路703のマイクロ波(マイクロ波入力信号)に対する応答の変化をマイクロ波伝送線路604から検出(観測)することにより量子ビット状態の読み出しを行うものである。ここでの超伝導磁束量子ビット素子701のインダクタンスは、図8(a)のエネルギー準位の磁束による2階微分の逆数に比例するものであり、その様子は図8(c)に示されるようになる。即ち、この場合には図7に示したように超伝導磁束量子ビット素子701を超伝導LC共振回路703のコイルに接近させて配置し、超伝導磁束量子ビット素子701と超伝導LC共振回路703とを相互インダクタンスとして磁気的に結合し、相互インダクタンスに対する超伝導磁束量子ビット素子701の持つインダクタンスの相違が共振周波数の相違を与えるようにすることにより、超伝導LC共振回路703のマイクロ波に対する応答の変化を観測して量子ビット状態の読み出しを行う手法である。
「Josephson Persistent−Current Qubit」 J.E.Mooij, T.P.Orlando, L.Levitov, L.Tian, C.H. van der Wal, and S.Lloyd, AUGUST1999 VOL285 SCIENCE p:1036−1039(1999). 「Coherent Quantum Dynamics of a Superconducting Flux Qubit」 I.Chiorescu, Y.Nakamura, C.J.P.M.Harmans, and J.E.Mooij, RESEARCH ARTICLE SCIENCE VOL299 21 MARCH 2003 p:1869−1871. 「High−Contrast Dispersive Readout of a Superconducting Flux Qubit Using a Nonlinear Resonator」 A.Lupascu, E.F.C.Driessen, L.Roschier, C.J.P.M.Harmans, and J.E.Mooij, PHYSICAL REVIEW LETTERS(PRL)96,127003(2006). 「Low−frequency measurement of the tunneling amplitude in a flux qubit」 M.Grajcar, A.Izmalkov, E.Il’ichev, Th.Wagner, N.Oukhanski, U.Hubner, T.May, I.Zhilyaev, H.E.Hoenig, Ya.S.Greenberg, V.I.Shnyrkov, D.Born, W.Krech, H.−G.Meyer, Alec Maassen van den Brink, and M.H.S.Amin, PHYSICAL REVIEW B69,060501(R)(2004).
上述した非特許文献2〜4に係る量子ビット素子用読み出し回路の場合、実際の使用状況を想定すると、以下に説明するような幾つかの問題がある。
第1の問題は、磁束バイアスのシフトに伴う操作の煩雑さや読み出し効率の低下である。
具体的に言えば、一般に量子演算回路では、量子ビット状態を観測すると共に、観測した後に得られた結果と観測後の量子ビット状態とが完全に相関しているような所謂射影測定が望まれる。又、超伝導磁束量子ビット素子のコヒーレンスは量子化磁束の1/2でバイアスされたときに最もよく保たれるため、量子ビット制御はこの動作点で行う必要がある。
非特許文献2,3に係る技術では、超伝導磁束量子ビット素子501,601の2つの状態の持つ周回電流の違いによって生じる磁束の違いを超伝導磁束量子干渉素子502,602で検出する手法であり、図8(b)を参照すれば明らかであるように超伝導磁束量子ビット素子501,601を量子化磁束の1/2でバイアスした点では、基底状態(0)でも励起状態(1)でも周回電流の値が零となって量子ビット状態の判別が不能になってしまう。このため、こうした場合の読み出しに際しては、実際には読み出しの直前に超伝導磁束量子ビット素子501,601の磁束バイアスを若干断熱的にシフトさせ、基底状態(0)と励起状態(1)とが異なる周回電流を持つような点へ移動させた上で読み出しを行うようにしている。
ところが、このような磁束バイアスのシフト過程は、回路の基本動作や基本構成を煩雑にするだけでなく、超伝導磁束量子ビット素子501,601の磁束バイアスがシフトする際には超伝導磁束量子ビット素子501,601のエネルギー準位のシフトも伴う。このエネルギー準位のシフト過程で超伝導磁束量子ビット素子501,601の遷移エネルギーと環境に存在する励起モードとの間で共鳴が生じることにより、超伝導磁束量子ビット素子501,601の緩和が起こってしまい、結果として読み出しの効率を低下させることが知られている。
第2の問題は、読み出しの際のエネルギー散逸により量子ビット状態の乱れである。例えば非特許文献2に係る技術では、超伝導磁束量子干渉素子502が電圧状態にスイッチ(切り替わり)した途端、超伝導磁束量子干渉素子502のジョセフソン接合において多くのエネルギー散逸が起こり、多数の準粒子が生成されると共に強い電圧ノイズが発生する。これらは読み出された量子ビット状態を乱して不確定さを招く要因になってしまうのみならず、周辺の超伝導磁束量子ビット素子の動作にも悪影響を及ぼすことになる。
第3の問題は、読み出しを行っていないときに読み出し回路が超伝導磁束量子ビット素子にデコヒーレンスを引き起こすことである。例えば非特許文献4に係る技術では、超伝導LC共振回路703上の電流揺らぎが超伝導磁束量子ビット素子701内の磁束と線形に結合しているため、この揺らぎによるデコヒーレンスが起こり易い。
第4の問題は、読み出し速度が遅いことである。例えば非特許文献4に係る技術では、線形の超伝導LC共振回路703における線形応答を測定するものであり、量子ビット状態の緩和時間よりもずっと短い時間内に測定を行うことができなければ正確な読み出しができなくなってしまう。
ところが、ここでの超伝導磁束量子ビット素子701のインダクタンスの変化による信号変化は超伝導LC共振回路703のQ値[=2π・(回路に蓄えられるエネルギー/1周期で消費されるヱネルギー)]に比例しており、十分な信号レベルを取得するためには高いQ値が必要となるが、Q値を大きくするとそれに比例して超伝導LC共振回路703の応答時間が長くなってしまい、結果として測定時間が長く(読み出し速度が遅く)なってしまう。
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、量子ビット素子を最適な条件でバイアスしたままで量子ビット素子のエネルギー固有状態への射影測定を行うことができる量子ビット素子用読み出し方法、及びそれを適用した量子ビット素子用読み出し回路を提供することにある。
本発明によれば、量子ビット素子に磁気的に結合された非線形共振回路に接続されたマイクロ波伝送線路を通してマイクロ波パルス源からマイクロ波入力信号を供給し、該量子ビット素子を量子化磁束の1/2でバイアスされるようにスイッチング駆動したときに該非線形共振回路から該マイクロ波伝送線路を通して得られるマイクロ波出力信号を検出して読み出しを行う際、該マイクロ波パルス源から該マイクロ波入力信号として該非線形共振回路の共振周波数付近の周波数を持つものを供給し、該マイクロ波出力信号として該非線形共振回路から該マイクロ波伝送線路を通して得られる該量子ビット素子の該スイッチング駆動時に誘起される双安定状態間のスイッチングの波形を検出することにより、該量子ビット素子のエネルギー固有状態への射影測定として量子ビットの読み出しを行う量子ビット素子用読み出し方法が得られる。
又、本発明によれば、上記量子ビット素子用読み出し方法において、量子ビット素子を超伝導磁束量子干渉素子により磁気的に結合される超伝導磁束量子ビット素子とし、非線形共振回路を超伝導磁束量子干渉素子に相互インダクタンスとして接続される超伝導非線形共振回路とした超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法が得られる。
更に、本発明によれば、上記超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法において、超伝導磁束量子干渉素子は、接地接続されて超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、超伝導非線形共振回路は、超伝導磁束量子干渉素子を埋め込むように直列接続されると共に、接地接続されたキャパシタと該キャパシタに接続されたコイルとから成る超伝導LC共振回路であり、超伝導LC共振回路におけるキャパシタ及びコイルの間に入力キャパシタを介在させてマイクロ波伝送線路を接続した条件下にあって、該マイクロ波伝送線路から得られるマイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出する超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法、或いは、超伝導磁束量子干渉素子は、接地接続されて超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、超伝導非線形共振回路は、超伝導磁束量子干渉素子に対して本体導電部を接続配置すると共に、該超伝導磁束量子干渉素子及び該本体導電部の周囲を囲うように接地接続されて配置されたグランドパターン部の局部に該超伝導磁束量子干渉素子を接続して成る1/4波長分布定数型共振回路とし、1/4波長分布定数型共振回路の本体導電部に対して入力キャパシタを直線状に接近配置させると共に、該入力キャパシタにマイクロ波伝送線路を接続した条件下にあって、該マイクロ波伝送線路から得られるマイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出する超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法が得られる。
これらの超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法において、マイクロ波出力信号は、マイクロ波入力信号が超伝導磁束量子ビット素子で反射されて得られる反射波であり、マイクロ波パルス源から入力キャパシタ側のマイクロ波伝送線路を通してマイクロ波入力信号を供給する入力時、並びに該マイクロ波伝送線路にマイクロ波出力信号が伝送される出力時に該マイクロ波入力信号と該マイクロ波出力信号とを分離伝送すると共に、該分離伝送されたマイクロ波出力信号を検出することは好ましい。
加えて、本発明によれば、上記超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法において、超伝導磁束量子干渉素子は、超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、超伝導非線形共振回路は、超伝導磁束量子干渉素子を一対の本体導電部間に直線状に接続配置すると共に、該超伝導磁束量子干渉素子及び該一対の本体導電部の周囲をそれぞれ接地接続されて並設された一対のグランドパターン部により挟んで囲うように配置して成る1/2波長分布定数型共振回路とし、1/2波長分布定数型共振回路における一対の本体導電部の外方両端側に対して入力キャパシタ,出力キャパシタを直線状に接近配置させると共に、該入力キャパシタ,該出力キャパシタにそれぞれマイクロ波伝送線路を接続した条件下にあって、該出力キャパシタ側の該マイクロ波伝送線路から得られるマイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出する超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法が得られる。
この超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法において、マイクロ波出力信号は、マイクロ波入力信号が超伝導磁束量子ビット素子を透過した透過波であり、マイクロ波パルス源から入力キャパシタ側のマイクロ波伝送線路を通してマイクロ波入力信号を供給すると共に、出力キャパシタ側の該マイクロ波伝送線路に伝送されるマイクロ波出力信号を検出することは好ましい。
本発明によれば、量子化磁束の1/2でバイアスされてスイッチング駆動する量子ビット素子と、量子ビット素子に磁気的に結合された非線形共振回路と、非線形共振回路に接続されてマイクロ波入力信号を量子ビット素子へと伝送するためのマイクロ波伝送線路と、マイクロ波入力信号を供給するためのマイクロ波パルス源と、マイクロ波パルス源からマイクロ波入力信号をマイクロ波伝送線路を通して供給したときの量子ビット素子のスイッチング駆動時に非線形共振回路から該マイクロ波伝送線路を通して得られるマイクロ波出力信号を検出して読み出しを行う信号検出回路とを備えた量子ビット素子用読み出し回路において、マイクロ波パルス源では、マイクロ波入力信号として非線形共振回路の共振周波数付近の周波数を持つものを供給し、非線形共振回路では、マイクロ波出力信号として量子ビット素子におけるスイッチング駆動時に誘起される双安定状態間のスイッチングの波形を出力し、信号検出回路では、非線形共振回路からマイクロ波伝送線路を通して得られるマイクロ波出力信号を量子ビット素子のエネルギー固有状態への射影測定として検出して量子ビットの読み出しを行う量子ビット素子用読み出し回路が得られる。
又、本発明によれば、上記量子ビット素子用読み出し回路において、量子ビット素子は、超伝導磁束量子干渉素子により磁気的に結合される超伝導磁束量子ビット素子であり、非線形共振回路は、超伝導磁束量子干渉素子に相互インダクタンスとして接続される超伝導非線形共振回路である超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路が得られる。
更に、本発明によれば、上記超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路において、超伝導磁束量子干渉素子は、接地接続されて超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、超伝導非線形共振回路は、超伝導磁束量子干渉素子を埋め込むように直列接続されると共に、接地接続されたキャパシタと該キャパシタに接続されたコイルとから成る超伝導LC共振回路であり、超伝導LC共振回路におけるキャパシタ及びコイルの間には入力キャパシタを介在配置させてマイクロ波伝送線路が接続され、信号検出回路では、マイクロ波伝送線路から得られるマイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出する超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路、或いは、超伝導磁束量子干渉素子は、接地接続されて超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、超伝導非線形共振回路は、超伝導磁束量子干渉素子に対して接続された本体導電部と、超伝導磁束量子干渉素子及び本体導電部の周囲を囲うように接地接続されて配置されると共に、局部に該超伝導磁束量子干渉素子が接続されたグランドパターン部とから成る1/4波長分布定数型共振回路であり、1/4波長分布定数型共振回路の本体導電部に対して直線状に接近配置された入力キャパシタにマイクロ波伝送線路が接続され、信号検出回路では、マイクロ波伝送線路から得られるマイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出する超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路が得られる。
これらの超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路において、マイクロ波パルス源から入力キャパシタ側のマイクロ波伝送線路を通してマイクロ波入力信号を供給する入力時、並びに該マイクロ波伝送線路にマイクロ波出力信号が伝送される出力時に該マイクロ波入力信号と該マイクロ波出力信号とを分離伝送する入出力分離回路を備え、信号検出回路では、入出力分離回路で分離伝送されたマイクロ波出力信号であって、マイクロ波入力信号が超伝導磁束量子ビット素子で反射されて得られる反射波を検出することは好ましい。
加えて、本発明によれば、上記超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路において、超伝導磁束量子干渉素子は、超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、超伝導非線形共振回路は、超伝導磁束量子干渉素子を挟むように直線状に接続配置された一対の本体導電部と、超伝導磁束量子干渉素子及び一対の本体導電部の周囲を挟んで囲うように配置されると共に、それぞれ接地接続されて並設された一対のグランドパターン部とから成る1/2波長分布定数型共振回路であり、1/2波長分布定数型共振回路における一対の本体導電部の外方両端側に対して直線状に接近配置された入力キャパシタ,出力キャパシタにそれぞれマイクロ波伝送線路が接続され、信号検出回路では、出力キャパシタ側のマイクロ波伝送線路から得られるマイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出する超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路が得られる。
この超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路において、マイクロ波パルス源では、入力キャパシタ側のマイクロ波伝送線路を通してマイクロ波入力信号を供給し、信号検出回路では、出力キャパシタ側のマイクロ波伝送線路に伝送されるマイクロ波出力信号であって、マイクロ波入力信号が超伝導磁束量子ビット素子を透過して得られる透過波を検出することは好ましい。
その他、本発明によれば、上記量子ビット素子用読み出し回路又は上記何れか一つの超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路を備えた量子演算回路が得られる。
本発明の量子ビット素子用読み出し方法の場合、マイクロ波パルス源からマイクロ波入力信号として非線形共振回路の共振周波数付近の周波数を持つものを供給し、マイクロ波出力信号として非線形共振回路からマイクロ波伝送線路を通して得られる量子ビット素子のスイッチング駆動時に誘起される双安定状態間のスイッチングの波形を検出することにより、量子ビット素子のエネルギー固有状態への射影測定として量子ビットの読み出しを行うため、量子ビット素子を長いコヒーレンス時間が得られる最適な条件でバイアスしたままで量子ビット素子のエネルギー固有状態への射影測定を行うことができるようになる。特に、量子ビット素子を超伝導磁束量子干渉素子により磁気的に結合される超伝導磁束量子ビット素子とし、非線形共振回路を超伝導磁束量子干渉素子に相互インダクタンスとして接続される超伝導非線形共振回路とした超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法の場合には、第1の効果として、超伝導磁束量子ビット素子の持つインダクタンスを測定することにより、超伝導磁束量子ビット素子のコヒーレンスが最も良く保たれる量子化磁束の1/2でバイアスした条件下で超伝導磁束量子ビット素子のエネルギー固有状態への射影測定を可能にする量子ビットの読み出しが可能になること、第2の効果として、超伝導磁束量子ビット素子と結合した超伝導磁束量子干渉素子を電圧状態にスイッチすることなく、それを埋め込んだ超伝導非線形共振回路のマイクロ波応答(マイクロ波出力信号)を測定することにより、超伝導磁束量子ビット素子周辺でエネルギー散逸を伴わない量子ビットの読み出しが可能になること、第3の効果として、超伝導非線形共振回路に埋め込まれた超伝導磁束量子干渉素子の非線形性に起因した超伝導非線形共振回路の双安定状態間のスイッチングを利用することにより、短時間で超伝導磁束量子ビット素子の状態を判別できる量子ビットの読み出しが可能になること、第4の効果として、超伝導磁束量子ビット素子と超伝導磁束量子干渉素子との結合の磁気的な対称性を利用して外部からの揺らぎを超伝導磁束量子ビット素子から切り離して読み出しを行っていないときの超伝導磁束量子ビット素子のコヒーレンスを乱さないような量子ビットの読み出しが可能になることが挙げられ、これらの読み出し方法をそれぞれ適用して読み出し回路を構成した場合(更に読み出し回路を適用して量子演算回路を構成した場合)にも、半導体基板上へ各部を配備することによって容易に作製され、同等な作用効果を奏するものとなる。
本発明の最良の形態に係る量子ビット素子用読み出し方法は、量子ビット素子に磁気的に結合された非線形共振回路に接続されたマイクロ波伝送線路を通してマイクロ波パルス源からマイクロ波入力信号を供給し、量子ビット素子を量子化磁束の1/2でバイアスされるようにスイッチング駆動したときに非線形共振回路からマイクロ波伝送線路を通して得られるマイクロ波出力信号を検出して読み出しを行う際、マイクロ波パルス源からマイクロ波入力信号として非線形共振回路の共振周波数付近の周波数を持つものを供給し、マイクロ波出力信号として非線形共振回路からマイクロ波伝送線路を通して得られる量子ビット素子のスイッチング駆動時に誘起される双安定状態間のスイッチングの波形を検出することにより、量子ビット素子のエネルギー固有状態への射影測定として量子ビットの読み出しを行うものである。
但し、この量子ビット素子用読み出し方法では、量子ビット素子を超伝導磁束量子干渉素子により磁気的に結合される超伝導磁束量子ビット素子とし、非線形共振回路を超伝導磁束量子干渉素子に相互インダクタンスとして接続される超伝導非線形共振回路とした場合の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法とすることが好ましい。
以下は、本発明の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法の動作原理を説明する。マイクロ波パルス源からマイクロ波伝送線路を通してマイクロ波入力信号を入力キャパシタを介して超伝導非線形共振回路へ供給すると、超伝導非線形共振回路では電流を誘起し、この電流が超伝導磁束量子干渉素子に流れ込むが、超伝導磁束量子干渉素子では量子化磁束の1/2よりも少しずれた磁束でバイアスされており、微小な電流が2つのブランチを対称に流れるために読み出しを行っていないときのノイズは磁気的な対称性により超伝導磁束量子ビット素子に影響を与えないにも拘らず、マイクロ波入力信号によって誘起される大きな電流が非対称に分配されることになり、この結果として、超伝導磁束量子干渉素子の周回電流に振動成分の電流が発生することになる。この振動成分の電流は超伝導磁束量子干渉素子の持つループインダクタンスに依存するが、ループインダクタンスは超伝導磁束量子干渉素子の超伝導ループと磁気的に結合された超伝導磁束量子ビット素子のインダクタンスに依存する。
ここで、超伝導磁束量子ビット素子は、基底状態(0)と励起状態(1)とに応じて異なるインダクタンスを持つため、超伝導磁束量子干渉素子のループインダクタンスが変化し、それに応じて超伝導磁束量子干渉素子に流れ込む電流の感度となるインダクタンスも変化する。超伝導磁束量子干渉素子を含む超伝導非線形共振回路は、超伝導磁束量子干渉素子のジョセフソン接合による非線形性を持ち、微小信号の極限値での共鳴周波数よりも若干低い周波数で駆動したときに閾値以上の駆動電力において基本振動モードと異なる振動モードが発生し、これらの2つの振動モードの間で双安定な状態となる。これらの2つの振動モード間のスイッチングの閾値が超伝導非線形共振回路のパラメータに敏感に依存するため、超伝導磁束量子ビット素子の状態に応じて変化することになる。こうした異なる振動モード状態(双安定状態)にあるときに、超伝導非線形共振回路の外へ反射波として出力されるマイクロ波出力信号は異なる位相や振幅を持っているため、その波形(位相や振幅)を検出することで量子ビットの読み出しを適確に行うことができる。
何れにしても、上述した超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法の場合、具体的には以下に示す3通りの基本手法が挙げられる。
第1の手法は、超伝導磁束量子干渉素子については、接地接続されて超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものとし、超伝導非線形共振回路については、超伝導磁束量子干渉素子を埋め込むように直列接続されると共に、接地接続されたキャパシタとこのキャパシタに接続されたコイルとから成る超伝導LC共振回路とし、超伝導LC共振回路におけるキャパシタ及びコイルの間に入力キャパシタを介在させてマイクロ波伝送線路を接続した条件下にあって、マイクロ波伝送線路から得られるマイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出するものである。
第2の手法は、超伝導磁束量子干渉素子については、接地接続されて超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものとし、超伝導非線形共振回路については、超伝導磁束量子干渉素子に対して本体導電部を接続配置すると共に、超伝導磁束量子干渉素子及び本体導電部の周囲を囲うように接地接続されて配置されたグランドパターン部の局部に超伝導磁束量子干渉素子を接続して成る1/4波長分布定数型共振回路とし、1/4波長分布定数型共振回路の本体導電部に対して直線状に入力キャパシタを接近配置させると共に、入力キャパシタにマイクロ波伝送線路を接続した条件下にあって、マイクロ波伝送線路から得られるマイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出するものである。
但し、これらの第1の手法,第2の手法に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法の場合、何れもマイクロ波出力信号は、マイクロ波入力信号が超伝導磁束量子ビット素子で反射されて得られる反射波である場合を想定しており、こうした条件下では、マイクロ波パルス源から入力キャパシタ側のマイクロ波伝送線路を通してマイクロ波入力信号を供給する入力時、並びにマイクロ波伝送線路にマイクロ波出力信号が伝送される出力時にマイクロ波入力信号とマイクロ波出力信号とを分離伝送すると共に、分離伝送されたマイクロ波出力信号を検出することが好ましい。
第3の手法は、超伝導磁束量子干渉素子については、超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものとし、超伝導非線形共振回路については、超伝導磁束量子干渉素子を一対の本体導電部間に直線状に接続配置すると共に、超伝導磁束量子干渉素子及び一対の本体導電部の周囲をそれぞれ接地接続されて並設された一対のグランドパターン部により挟んで囲うように配置して成る1/2波長分布定数型共振回路とし、1/2波長分布定数型共振回路における一対の本体導電部の外方両端側に対して入力キャパシタ,出力キャパシタを直線状に接近配置させると共に、入力キャパシタ,出力キャパシタにそれぞれマイクロ波伝送線路を接続した条件下にあって、出力キャパシタ側のマイクロ波伝送線路から得られるマイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出するものである。
但し、第3の手法に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法の場合、マイクロ波出力信号は、マイクロ波入力信号が超伝導磁束量子ビット素子を透過して得られる透過波となっている場合を想定しており、こうした条件下では、マイクロ波パルス源から入力キャパシタ側のマイクロ波伝送線路を通してマイクロ波入力信号を供給すると共に、出力キャパシタ側のマイクロ波伝送線路に伝送されるマイクロ波出力信号を検出することが好ましい。
ところで、本発明の量子ビット素子用読み出し方法を適用した量子ビット素子用読み出し回路では、上述した各部を半導体基板上に形成することによって作製されるものであり、具体的には量子化磁束の1/2でバイアスされてスイッチング駆動する量子ビット素子と、量子ビット素子に磁気的に結合された非線形共振回路と、非線形共振回路に接続されてマイクロ波入力信号を量子ビット素子へと伝送するためのマイクロ波伝送線路と、マイクロ波入力信号を供給するためのマイクロ波パルス源と、マイクロ波パルス源からマイクロ波入力信号をマイクロ波伝送線路を通して供給したときの量子ビット素子のスイッチング駆動時に非線形共振回路からマイクロ波伝送線路を通して得られるマイクロ波出力信号を検出して読み出しを行う信号検出回路とを備えた基本構成のものにおいて、マイクロ波パルス源では、マイクロ波入力信号として非線形共振回路の共振周波数付近の周波数を持つものを供給し、非線形共振回路では、マイクロ波出力信号として量子ビット素子におけるスイッチング駆動時に誘起される双安定状態間のスイッチングの波形を出力し、信号検出回路では、非線形共振回路からマイクロ波伝送線路を通して得られるマイクロ波出力信号を量子ビット素子のエネルギー固有状態への射影測定として検出して量子ビットの読み出しを行うものである。
この量子ビット素子用読み出し回路においても、量子ビット素子を超伝導磁束量子干渉素子により磁気的に結合される超伝導磁束量子ビット素子とし、非線形共振回路を超伝導磁束量子干渉素子に相互インダクタンスとして接続される超伝導非線形共振回路とすれば、超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路として容易に構成できる。
そこで、以下は本発明の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法(上述した第1の手法〜第3の手法)を適用した超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路について、幾つかの実施例を挙げて具体的に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路の基本構成を示した模式図である。
この超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路は、上述した超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法の第1の手法を適用したものであり、図6に示した非特許文献3に係る量子ビット素子用読み出し回路の基本構成と比べ、超伝導磁束量子ビット素子101に磁気的に対称となるよう超伝導磁束量子干渉素子(SQUID)102が結合され、接地接続された超伝導磁束量子干渉素子102が超伝導磁束量子ビット素子101の生成する磁束により実効インダクタンスが変化する点と、接地接続されたキャパシタとこのキャパシタに接続されたコイルとから成る超伝導非線形共振回路としての超伝導LC共振回路103が超伝導磁束量子干渉素子102を埋め込むように直列接続された点と、超伝導LC共振回路103におけるキャパシタ及びコイルの間が入力キャパシタ105を介在させてマイクロ波伝送線路104により接続された点とは同じである。
但し、ここでは更に、マイクロ波入力信号として超伝導LC共振回路103の共振周波数付近の周波数を持つものを供給するためのマイクロ波パルス源107と、マイクロ波パルス源107から入力キャパシタ105側のマイクロ波伝送線路104を通してマイクロ波入力信号を供給する入力時、並びにマイクロ波伝送線路104にマイクロ波出力信号が伝送される出力時にマイクロ波入力信号とマイクロ波出力信号とを分離伝送する入出力分離回路106と、入出力分離回路106で分離伝送されたマイクロ波出力信号の位相を検出する信号検出回路としての位相検出回路108とを備えており、超伝導LC共振回路103がマイクロ波出力信号として超伝導磁束量子ビット素子101におけるスイッチング駆動時に誘起される双安定状態間のスイッチングの波形を出力し、位相検出回路108が超伝導LC共振回路103から入力キャパシタ105,入出力分離回路106を通してマイクロ波伝送線路104上で得られるマイクロ波出力信号の波形として、位相の変化を超伝導磁束量子ビット素子101のエネルギー固有状態への射影測定として検出することにより量子ビットの読み出しを行う点が相違している。
具体的に言えば、超伝導磁束量子ビット素子101は所定数(ここでは3つであるが、それ以上でも良い)のジョセフソン接合を持つ超伝導ループから成るもので、必要なエネルギー準位を実現するためにそれらのうちの1つのジョセフソン接合は他のものよりも小さくなっている。超伝導磁束量子干渉素子102は、超伝導磁束量子ビット素子101と磁気的に結合されており、磁気的に対称な2つのブランチを持つループから成り、それぞれのブランチにジョセフソン接合が1つずつ対称に配置されている。又、超伝導磁束量子ビット素子101と超伝導磁束量子干渉素子102との結合も左右対称的なものであるが、超伝導磁束量子干渉素子102については超伝導LC共振回路103に組み込まれている。
超伝導LC共振回路103は、50Ωの特性インピーダンスを持つマイクロ波伝送線路104に入力キャパシタ105を介して接続されている。マイクロ波伝送線路104には、方向性結合器又はサーキュレータで構成される入出力分離回路106が接続され、ここで分離される入力側にはマイクロ波パルス源107が接続され、出力側には位相検出回路108が接続されている。
次に、この実施例1に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路における読み出し動作を説明する。
超伝導磁束量子ビット素子101は、量子化磁束の1/2でバイアスされているときに基底状態(0状態)と励起状態(1状態)との異なる自己インダクタンスを持つ。超伝導磁束量子ビット素子101と対称的に磁気的に結合している超伝導磁束量子干渉素子102は、量子化磁束の1/2から少しずれた磁束でバイアスされている。
そこで、マイクロ波パルス源107から入出力分離回路106を通してマイクロ波伝送線路104へマイクロ波入力信号を供給する入力に際して、超伝導磁束量子干渉素子102に対して外部から流れる電流が微小であれば、電流は超伝導磁束量子干渉素子102の両側のブランチに均等に分配され、超伝導磁束量子ビット素子101には影響を与えず、量子ビットの読み出しを行わない間の超伝導磁束量子ビット素子101のコヒーレンスを保持するのに役立つ。即ち、こうした場合は量子ビットの読み出しを行わない動作である。
これに対し、量子ビットの読み出しを行うために臨界電流の半分程度の大きい振幅の交流電流を流すと、電流の分配が均等でなくなり、その結果として超伝導磁束量子ビット素子101も磁束の振動を感じることになる。逆に言えば、超伝導磁束量子干渉素子102の超伝導ループの自己インダクタンスに超伝導磁束量子ビット素子101の自己インダクタンスの寄与が現れることになり、超伝導磁束量子ビット素子101の状態に応じて超伝導磁束量子干渉素子102の実効的ループインダクタンスが変化することになり、その結果として超伝導磁束量子干渉素子102に流れ込む電流に対するインダクタンスも変化する。これによって、超伝導磁束量子干渉素子102に接続されて駆動される超伝導LC共振回路103のダイナミクスに影響が現れる。
特に超伝導磁束量子干渉素子102が非線形素子であるために、強く駆動された超伝導LC共振回路103は双安定状態を持ち、その間のスイッチングを示すマイクロ波出力信号(ここでのマイクロ波出力信号はマイクロ波入力信号が超伝導磁束量子ビット素子101で反射した反射波として得られるものである)の波形を検出することで超伝導磁束量子ビット素子101の状態を判別することが可能になる。このとき、超伝導磁束量子干渉素子102は電圧状態へスイッチングすることはないため、超伝導磁束量子干渉素子102上ではエネルギー散逸が生じない。ここで、双安定状態間のスイッチングをマイクロ波出力信号の波形から検出するためには、マイクロ波パルス源107からマイクロ波入力信号として超伝導LC共振回路103の共振周波数付近の周波数を持つものをマイクロ波伝送線路104を通して超伝導磁束量子ビット素子101を持つ超伝導磁束量子干渉素子102へ供給することにより、超伝導LC共振回路103から得られる反射されたパルスによるマイクロ波出力信号が入力キャパシタ105,入出力分離回路106を通ってマイクロ波伝送線路104上で位相検出回路108へ伝送されたとき、位相検出回路108でマイクロ波出力信号の位相の変化(シフト)を測定することにより、双安定状態の何れにあるかを判別することができるため、量子ビットの読み出しを適確に行うことができる。
図2は、本発明の実施例2に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路の基本構成を示した模式図である。
この超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路は、上述した超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法の第2の手法を適用したものであり、実施例1のものと比べ、超伝導磁束量子干渉素子202については、接地接続されて超伝導磁束量子ビット素子201の生成する磁束により実効インダクタンスが変化する点は同じであるが、ここでは超伝導非線形共振回路の基本構造を超伝導コプレーナ共振回路や超伝導マイクロストリップライン共振回路等による1/4波長分布定数型共振回路とした点が相違している。
具体的に言えば、ここでの1/4波長分布定数型共振回路としての1/4波長超伝導コプレーナ共振回路203は、超伝導磁束量子干渉素子202に対して接続された本体導電部203aと、超伝導磁束量子干渉素子202及び本体導電部203aの周囲を囲うように接地接続されて配置されると共に、局部に超伝導磁束量子干渉素子202が接続されたグランドパターン部203bとから成っており、1/4波長超伝導コプレーナ共振回路203の本体導電部203aに対して直線状に接近配置させた導体パターンによる入力キャパシタ205(この長手方向における対向する側面もグランドパターン部203bの局部に挟まれるように囲われる)にマイクロ波伝送線路204が接続されている。即ち、ここでは1/4波長超伝導コプレーナ共振回路203のグランドパターン部203bの終端部分に超伝導磁束量子干渉素子202が接続配置された点が特色となっている。
その他、ここでも実施例1の場合と同様に、マイクロ波入力信号として1/4波長超伝導コプレーナ共振回路203の共振周波数付近の周波数を持つものを供給するためのマイクロ波パルス源207と、マイクロ波パルス源207から入力キャパシタ205側のマイクロ波伝送線路204を通してマイクロ波入力信号を供給する入力時、並びにマイクロ波伝送線路204にマイクロ波出力信号が伝送される出力時にマイクロ波入力信号とマイクロ波出力信号とを分離伝送する入出力分離回路206と、入出力分離回路206で分離伝送されたマイクロ波出力信号の位相を検出する信号検出回路としての位相検出回路208とを備えており、1/4波長超伝導コプレーナ共振回路203がマイクロ波出力信号として超伝導磁束量子ビット素子201におけるスイッチング駆動時に誘起される双安定状態間のスイッチングの波形を出力し、位相検出回路208が1/4波長超伝導コプレーナ共振回路203からマイクロ波伝送線路204を通して得られるマイクロ波出力信号の波形(ここでのマイクロ波出力信号もマイクロ波入力信号が超伝導磁束量子ビット素子201で反射した反射波として得られるものである)として、位相の変化を超伝導磁束量子ビット素子201のエネルギー固有状態への射影測定として検出することにより量子ビットの読み出しを行うようになっている。
即ち、この実施例2に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路においても、マイクロ波パルス源207からマイクロ波入力信号として1/4波長超伝導コプレーナ共振回路203の共振周波数付近の周波数を持つものをマイクロ波伝送線路204を通して超伝導磁束量子ビット素子201を持つ超伝導磁束量子干渉素子202へ供給することにより、1/4波長超伝導コプレーナ共振回路203の本体導体部203aから得られる反射されたパルスによるマイクロ波出力信号が入力キャパシタ205,入出力分離回路206を通ってマイクロ波伝送線路204上で位相検出回路208へ伝送されたとき、位相検出回路208でマイクロ波出力信号の位相の変化(シフト)を測定することにより、双安定状態の何れにあるかを判別することができるため、先の実施例1の場合と同様に量子ビットの読み出しを適確に行うことができる。
図3は、本発明の実施例3に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路の基本構成を示した模式図である。
この超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路は、上述した超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法の第3の手法を適用したものであり、実施例1,2のものと比べ、超伝導磁束量子干渉素子302については、超伝導磁束量子ビット素子301の生成する磁束により実効インダクタンスが変化する点は同じであるが、ここでは超伝導非線形共振回路の基本構造が超伝導コプレーナ共振回路や超伝導マイクロストリップライン共振回路等の1/2波長分布定数型共振回路とした点が相違している。
具体的に言えば、ここでの1/2波長分布定数型共振回路としての1/2波長超伝導コプレーナ共振回路303は、超伝導磁束量子干渉素子302を挟むように直線状に接続配置された一対の本体導電部303aと、超伝導磁束量子干渉素子302及び一対の本体導電部303aの周囲を挟んで囲うように配置されると共に、それぞれ接地接続されて並設された一対のグランドパターン部303bとから成るものであり、1/2波長超伝導コプレーナ共振回路303における一対の本体導電部303aの外方両端側に対して直線状に接近配置された導体パターンによる入力キャパシタ305,出力キャパシタ309(これらの長手方向における対向する側面も一対のグランドパターン部303bの局部に挟まれるように囲われる)にそれぞれマイクロ波伝送線路304が接続されている。
その他、ここでも実施例1,2の場合と同様に、マイクロ波入力信号として1/2波長超伝導コプレーナ共振回路303の共振周波数付近の周波数を持つものを供給するためのマイクロ波パルス源307を備えるが、このマイクロ波パルス源307は入力キャパシタ305側のマイクロ波伝送線路304を通してマイクロ波入力信号を供給するようになっており、信号検出回路としての位相検出回路308は、出力キャパシタ309側のマイクロ波伝送線路304を通してマイクロ波出力信号の波形として、位相の変化を検出するようになっている。ここでは超伝導磁束量子干渉素子302を1/2波長超伝導コプレーナ共振回路303の中央部分に配置すると共に、出力キャパシタ309を設けることにより先の実施例1,2で備えるようにした入出力分離回路106,206を不要とし、且つ位相検出回路308を出力側の出力キャパシタ309に接続配置させるようにした点を特色としている。
この実施例3に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路の場合も、マイクロ波パルス源307からマイクロ波入力信号として1/2波長超伝導コプレーナ共振回路303の共振周波数付近の周波数を持つものを入力キャパシタ305側のマイクロ波伝送線路304へ供給することにより、1/2波長超伝導コプレーナ共振回路303における一対の本体導電部303aの一方のものを経由し、一方の本体導電部303a及び超伝導磁束量子干渉素子302(超伝導磁束量子ビット素子301)と他方の本体導電部303aとを通り、更に出力キャパシタ309側のマイクロ波伝送線路304を通して得られるパルスによるマイクロ波出力信号(ここでのマイクロ波出力信号はマイクロ波入力信号が超伝導磁束量子ビット素子301を透過した透過波として得られるものである)が位相検出回路308へ伝送されたとき、位相検出回路308でマイクロ波出力信号の位相の変化(シフト)を測定することにより、双安定状態の何れにあるかを判別することができるため、先の実施例1,2の場合と同様に量子ビットの読み出しを適確に行うことができる。
尚、上述した実施例1〜3に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路では、マイクロ波出力信号の波形として、反射波や透過波についての位相の変化を検出する位相検出回路108,208,308を備えた構成を説明したが、これらを反射波や透過波についての振幅の変化を検出する振幅検出回路に置き換えても同等に量子ビットの読み出しを適確に行うことができるので、本発明の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路は、上述した各実施例1〜3で説明した構成のものに限定されない。又、本発明の上述した量子ビット素子用読み出し回路や、各実施例1〜3で説明した超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路の所定数のものを組み合わせれば、容易に量子演算回路を構成することができる。
本発明の実施例1に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路の基本構成を示した模式図である。 本発明の実施例2に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路の基本構成を示した模式図である。 本発明の実施例3に係る超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路の基本構成を示した模式図である。 非特許文献1の超伝導磁束量子ビット素子の基本構成を示した模式図である。 非特許文献2の量子ビット素子用読み出し回路の基本構成を示した模式図である。 非特許文献3の量子ビット素子用読み出し回路の基本構成を示した模式図である。 非特許文献4の量子ビット素子用読み出し回路の基本構成を示した模式図である。 非特許文献2乃至非特許文献4の量子ビット素子用読み出し回路に備えられる超伝導磁束量子ビット素子における印加磁束量子数に対する諸特性の依存性を示したものであり、(a)はエネルギーに関するもの,(b)は周回電流に関するもの,(c)はインダクタンスの逆数に関するものである。
符号の説明
101,201,301,501,601,701 超伝導磁束量子ビット素子
102,202,302,502,602 超伝導磁束量子干渉素子(SQUID)
103,603,703 超伝導LC共振回路
104,204,304,604,704 マイクロ波伝送線路
105,205,305,605,705 入力キャパシタ
106,206 入出力分離回路
107,207,307 マイクロ波パルス源
108,208,308 位相検出回路
203 1/4波長超伝導コプレーナ共振回路
203a,303a 本体導体部
203b,303b グランドパターン部
303 1/2波長超伝導コプレーナ共振回路
309 出力キャパシタ
401 超伝導ループ
402 ジョセフソン接合
506 電流端子
507 電圧端子

Claims (15)

  1. 量子ビット素子に磁気的に結合された非線形共振回路に接続されたマイクロ波伝送線路を通してマイクロ波パルス源からマイクロ波入力信号を供給し、該量子ビット素子を量子化磁束の1/2でバイアスされるようにスイッチング駆動したときに該非線形共振回路から該マイクロ波伝送線路を通して得られるマイクロ波出力信号を検出して読み出しを行う際、該マイクロ波パルス源から該マイクロ波入力信号として該非線形共振回路の共振周波数付近の周波数を持つものを供給し、該マイクロ波出力信号として該非線形共振回路から該マイクロ波伝送線路を通して得られる該量子ビット素子の該スイッチング駆動時に誘起される双安定状態間のスイッチングの波形を検出することにより、該量子ビット素子のエネルギー固有状態への射影測定として量子ビットの読み出しを行うことを特徴とする量子ビット素子用読み出し方法。
  2. 請求項1記載の量子ビット素子用読み出し方法において、前記量子ビット素子を超伝導磁束量子干渉素子により磁気的に結合される超伝導磁束量子ビット素子とし、前記非線形共振回路を前記超伝導磁束量子干渉素子に相互インダクタンスとして接続される超伝導非線形共振回路としたことを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法。
  3. 請求項2記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法において、前記超伝導磁束量子干渉素子は、接地接続されて前記超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、前記超伝導非線形共振回路は、前記超伝導磁束量子干渉素子を埋め込むように直列接続されると共に、接地接続されたキャパシタと該キャパシタに接続されたコイルとから成る超伝導LC共振回路であり、前記超伝導LC共振回路における前記キャパシタ及び前記コイルの間に入力キャパシタを介在させて前記マイクロ波伝送線路を接続した条件下にあって、該マイクロ波伝送線路から得られる前記マイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出することを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法。
  4. 請求項2記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法において、前記超伝導磁束量子干渉素子は、接地接続されて前記超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、前記超伝導非線形共振回路は、前記超伝導磁束量子干渉素子に対して本体導電部を接続配置すると共に、該超伝導磁束量子干渉素子及び該本体導電部の周囲を囲うように接地接続されて配置されたグランドパターン部の局部に該超伝導磁束量子干渉素子を接続して成る1/4波長分布定数型共振回路とし、前記1/4波長分布定数型共振回路の前記本体導電部に対して直線状に入力キャパシタを接近配置させると共に、該入力キャパシタに前記マイクロ波伝送線路を接続した条件下にあって、該マイクロ波伝送線路から得られる前記マイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出することを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法。
  5. 請求項3又は4記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法において、前記マイクロ波出力信号は、前記マイクロ波入力信号が前記超伝導磁束量子ビット素子で反射されて得られる反射波であり、マイクロ波パルス源から前記入力キャパシタ側の前記マイクロ波伝送線路を通して前記マイクロ波入力信号を供給する入力時、並びに該マイクロ波伝送線路に前記マイクロ波出力信号が伝送される出力時に該マイクロ波入力信号と該マイクロ波出力信号とを分離伝送すると共に、該分離伝送された該マイクロ波出力信号を検出することを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法。
  6. 請求項2記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法において、前記超伝導磁束量子干渉素子は、前記超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、前記超伝導非線形共振回路は、前記超伝導磁束量子干渉素子を一対の本体導電部間に直線状に接続配置すると共に、該超伝導磁束量子干渉素子及び該一対の本体導電部の周囲をそれぞれ接地接続されて並設された一対のグランドパターン部により挟んで囲うように配置して成る1/2波長分布定数型共振回路とし、前記1/2波長分布定数型共振回路における前記一対の本体導電部の外方両端側に対して入力キャパシタ,出力キャパシタを直線状に接近配置すると共に、該入力キャパシタ,該出力キャパシタにそれぞれ前記マイクロ波伝送線路を接続した条件下にあって、該出力キャパシタ側の該マイクロ波伝送線路から得られる前記マイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出することを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法。
  7. 請求項6記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法において、前記マイクロ波出力信号は、前記マイクロ波入力信号が前記超伝導磁束量子ビット素子を透過して得られる透過波であり、マイクロ波パルス源から前記入力キャパシタ側の前記マイクロ波伝送線路を通して前記マイクロ波入力信号を供給すると共に、前記出力キャパシタ側の該マイクロ波伝送線路に伝送される前記マイクロ波出力信号を検出することを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し方法。
  8. 量子化磁束の1/2でバイアスされてスイッチング駆動する量子ビット素子と、前記量子ビット素子に磁気的に結合された非線形共振回路と、前記非線形共振回路に接続されてマイクロ波入力信号を前記量子ビット素子へと伝送するためのマイクロ波伝送線路と、前記マイクロ波入力信号を供給するためのマイクロ波パルス源と、前記マイクロ波パルス源から前記マイクロ波入力信号を前記マイクロ波伝送線路を通して供給したときの前記量子ビット素子の前記スイッチング駆動時に前記非線形共振回路から該マイクロ波伝送線路を通して得られるマイクロ波出力信号を検出して読み出しを行う信号検出回路とを備えた量子ビット素子用読み出し回路において、前記マイクロ波パルス源では、前記マイクロ波入力信号として前記非線形共振回路の共振周波数付近の周波数を持つものを供給し、前記非線形共振回路では、前記マイクロ波出力信号として前記量子ビット素子における前記スイッチング駆動時に誘起される双安定状態間のスイッチングの波形を出力し、前記信号検出回路では、前記非線形共振回路から前記マイクロ波伝送線路を通して得られる前記マイクロ波出力信号を前記量子ビット素子のエネルギー固有状態への射影測定として検出して量子ビットの読み出しを行うことを特徴とする量子ビット素子用読み出し回路。
  9. 請求項8記載の量子ビット素子用読み出し回路において、前記量子ビット素子は、超伝導磁束量子干渉素子により磁気的に結合される超伝導磁束量子ビット素子であり、前記非線形共振回路は、前記超伝導磁束量子干渉素子に相互インダクタンスとして接続される超伝導非線形共振回路であることを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路。
  10. 請求項9記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路において、前記超伝導磁束量子干渉素子は、接地接続されて前記超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、前記超伝導非線形共振回路は、前記超伝導磁束量子干渉素子を埋め込むように直列接続されると共に、接地接続されたキャパシタと該キャパシタに接続されたコイルとから成る超伝導LC共振回路であり、前記超伝導LC共振回路における前記キャパシタ及び前記コイルの間には入力キャパシタを介在配置させて前記マイクロ波伝送線路が接続され、前記信号検出回路では、前記マイクロ波伝送線路から得られる前記マイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出することを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路。
  11. 請求項9記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路において、前記超伝導磁束量子干渉素子は、接地接続されて前記超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、前記超伝導非線形共振回路は、前記超伝導磁束量子干渉素子に対して接続された本体導電部と、前記超伝導磁束量子干渉素子及び前記本体導電部の周囲を囲うように接地接続されて配置されると共に、局部に該超伝導磁束量子干渉素子が接続されたグランドパターン部とから成る1/4波長分布定数型共振回路であり、前記1/4波長分布定数型共振回路の前記本体導電部に対して直線状に接近配置された入力キャパシタに前記マイクロ波伝送線路が接続され、前記信号検出回路では、前記マイクロ波伝送線路から得られる前記マイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出することを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路。
  12. 請求項10又は11記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路において、前記マイクロ波パルス源から前記入力キャパシタ側の前記マイクロ波伝送線路を通して前記マイクロ波入力信号を供給する入力時、並びに該マイクロ波伝送線路に前記マイクロ波出力信号が伝送される出力時に該マイクロ波入力信号と該マイクロ波出力信号とを分離伝送する入出力分離回路を備え、前記信号検出回路では、前記入出力分離回路で分離伝送された前記マイクロ波出力信号として、前記マイクロ波入力信号が前記超伝導磁束量子ビット素子で反射されて得られる反射波を検出することを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路。
  13. 請求項9記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路において、前記超伝導磁束量子干渉素子は、前記超伝導磁束量子ビット素子の生成する磁束により実効インダクタンスが変化するものであり、前記超伝導非線形共振回路は、前記超伝導磁束量子干渉素子を挟むように直線状に接続配置された一対の本体導電部と、前記超伝導磁束量子干渉素子及び前記一対の本体導電部の周囲を挟んで囲うように配置されると共に、それぞれ接地接続されて並設された一対のグランドパターン部とから成る1/2波長分布定数型共振回路であり、前記1/2波長分布定数型共振回路における前記一対の本体導電部の外方両端側に対して直線状に接近配置された入力キャパシタ,出力キャパシタにそれぞれ前記マイクロ波伝送線路が接続され、前記信号検出回路では、前記出力キャパシタ側の前記マイクロ波伝送線路から得られる前記マイクロ波出力信号の波形として、位相又は振幅の変化を検出することを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路。
  14. 請求項12記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路において、前記マイクロ波パルス源では、前記入力キャパシタ側の前記マイクロ波伝送線路を通して前記マイクロ波入力信号を供給し、前記信号検出回路では、前記出力キャパシタ側の前記マイクロ波伝送線路に伝送される前記マイクロ波出力信号として、前記マイクロ波入力信号が前記超伝導磁束量子ビット素子を透過して得られる透過波を検出することを特徴とする超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路。
  15. 請求項8記載の量子ビット素子用読み出し回路又は請求項9〜14の何れか一つに記載の超伝導磁束量子ビット素子用読み出し回路を備えたことを特徴とする量子演算回路。
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